特許拒絶査定不服審判
2021-006209
充電回路、端末、及び充電方法
- 審判番号
- 2021-006209
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-559961外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年05月14日
- 審決日
- 2022年02月15日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】北京小米移動軟件有限公司
- 【請求人代理人】特許業務法人藤本パートナーズ
- 分類
- P18 .536-Z (H02J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-559961「充電回路、端末、及び充電方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 1月30日国際公開、WO2020/019447、令和 2年10月22日国内公表、特表2020-530748〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2018(平成30年)9月18日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年7月27日、中国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 9月18日付け:拒絶理由通知
令和 2年12月18日 :意見書、手続補正書の提出
令和 3年 1月18日付け:拒絶査定
令和 3年 5月14日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1ないし15に係る発明は、令和3年5月14日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は次のとおりのものである。
「【請求項1】
制御回路と、前記制御回路に接続される降圧回路とを含む充電回路であって、
前記制御回路は、制御信号の生成周波数を指示するためのフィードバック信号を取得し、前記フィードバック信号に基づいて前記制御信号を生成し、前記制御信号を前記降圧回路に送信するように構成され、
前記降圧回路は、入力電圧及び前記制御信号を取得し、前記制御信号に基づいて前記入力電圧を降圧処理し、取得された出力電圧をバッテリに出力するように構成され、前記出力電圧に対応する出力電流が、前記入力電圧に対応する入力電流より大きく、前記出力電圧は、前記生成周波数を決定するためのものであり、
前記降圧回路は、少なくとも2つのカスケード接続された降圧サブ回路を含み、
前記降圧サブ回路の出力電圧は、前記降圧サブ回路に入力される入力電圧の半分であり、前記降圧サブ回路の出力電流は、前記降圧サブ回路に入力される入力電流の2倍であり、
前記降圧サブ回路は、スイッチ回路と、第1の容量性回路と、第2の容量性回路とを含み、第1の容量性回路と第2の容量性回路とは、前記スイッチ回路にそれぞれ接続され、第1の容量性回路と第2の容量性回路との容量値が等しく、
前記スイッチ回路が第1の状態にある場合、第1の容量性回路と第2の容量性回路とは直列接続され、
前記スイッチ回路が第2の状態にある場合、第1の容量性回路と第2の容量性回路とは並列接続され、
前記スイッチ回路は、第1のスイッチと、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第4のスイッチとを含み、
前記第1のスイッチの第1のポート及び前記第2のスイッチの第1のポートは、それぞれ前記降圧サブ回路の入力端であり、前記第1のスイッチの第2のポートは、前記第1の容量性回路の第1のポート及び前記第3のスイッチの第1のポートにそれぞれ接続され、前記第3のスイッチの第2のポートは接地され、前記第2のスイッチの第2のポートは、前記第1の容量性回路の第2のポート及び前記第4のスイッチの第1のポートにそれぞれ接続され、前記第4のスイッチの第2のポートは前記降圧サブ回路の出力端であり、
前記第2の容量性回路の第1のポートは前記第4のスイッチの第2のポートに接続され、前記第2の容量性回路の第2のポートは接地される、
ことを特徴とする充電回路。」
なお、令和3年5月14日の手続補正により請求項1は補正されていない。
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由のうち、実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)についての理由の概要は、次のとおりである。
「・請求項 1-15
請求項1には、「制御回路と、前記制御回路に接続される降圧回路とを含む充電回路であって、前記制御回路は、制御信号の生成周波数を指示するためのフィードバック信号を取得し、前記フィードバック信号に基づいて前記制御信号を生成し、前記制御信号を前記降圧回路に送信するように構成され、前記降圧回路は、入力電圧及び前記制御信号を取得し、前記制御信号に基づいて前記入力電圧を降圧処理し、取得された出力電圧をバッテリに出力するように構成され、前記出力電圧に対応する出力電流が、前記入力電圧に対応する入力電流より大きく、前記出力電圧は、前記生成周波数を決定するためのものであり、・・・前記スイッチ回路は、第1のスイッチと、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第4のスイッチとを含み、前記第1のスイッチの第1のポート及び前記第2のスイッチの第1のポートは、それぞれ前記降圧サブ回路の入力端であり、前記第1のスイッチの第2のポートは、前記第1の容量性回路の第1のポート及び前記第3のスイッチの第1のポートにそれぞれ接続され、前記第3のスイッチの第2のポートは接地され、前記第2のスイッチの第2のポートは、前記第1の容量性回路の第2のポート及び前記第4のスイッチの第1のポートにそれぞれ接続され、前記第4のスイッチの第2のポートは前記降圧サブ回路の出力端であり、前記第2の容量性回路の第1のポートは前記第4のスイッチの第2のポートに接続され、前記第2の容量性回路の第2のポートは接地される、ことを特徴とする充電回路」との記載がある。
そして、発明の詳細な説明の段落[0024]-[0032]及び図3,5を参照すると、降圧回路として、図3,5に記載された降圧サブ回路を用いることにより、電圧が半分にされて電流が倍増される効果が実現されるとの説明がなされている。
しかしながら、令和2年9月18日付け拒絶理由通知書の理由1で説示したとおり、図3,5に記載された回路が、降圧回路として機能するとした根拠が、発明の詳細な説明及び図面を参照しても著しく不明であるため、当業者が請求項1に係る発明を実施することができない。
まず、図3のように、第1のスイッチS1と第4のスイッチS4とがオン状態、且つ第2のスイッチS2と第3のスイッチS3とがオフ状態にある場合、第1の容量性回路C1と第2の容量性回路C2とは、降圧サブ回路221の入力電圧から充電される充電状態にある(段落[0031])。ここで、図3の回路からみて、第1の容量性回路C1は、第1のスイッチS1及び第3のスイッチS3に接続されているポート(第1のポート)の電位が、第2のスイッチS2及び第4のスイッチS4に接続されているポート(第2のポート)の電位よりも高くなるように充電されることになる。また、第2の容量性回路C2は、第4のスイッチS4に接続されているポート(第1のポート)の電位が、接地されるポート(第2のポート)の電位よりも高くなるように充電されることになる。
そしてその状態から、図5のように、第3のスイッチS3と第4のスイッチS4とがオン状態、且つ第1のスイッチS1と第2のスイッチS2とがオフ状態とした場合、第1の容量性回路C1と第2の容量性回路C2とは並列接続される(段落[0032])ものの、当該並列接続は、第1の容量性回路C1の低電位側(第2のポート)と第2の容量性回路C2の高電位側(第1のポート)とが接続され、第1の容量性回路C1の高電位側(第1のポート)と第2の容量性回路C2の低電位側(第2のポート)とが接続されたものである。第1の容量性回路C1と第2の容量性回路C2とをこのような向きで並列接続しても、出力電圧は入力電圧の半分にはならないし、出力電流が入力電流の2倍にはならないことは明らかである。
以上のとおりであるから、段落[0024]-[0032]及び図3,5を参照しても、図3,5に記載された回路が「電圧が半分にされて電流が倍増される降圧回路」として機能するものではないことは明らかであり、当業者が請求項1に係る発明を実施することができない。」
第4 当審の判断
1.請求項1に係る発明について
請求項1に係る発明が備える「降圧サブ回路」の「スイッチ回路と、第1の容量性回路と、第2の容量性回路とを含み、第1の容量性回路と第2の容量性回路とは、前記スイッチ回路にそれぞれ接続され、第1の容量性回路と第2の容量性回路との容量値が等しく、前記スイッチ回路が第1の状態にある場合、第1の容量性回路と第2の容量性回路とは直列接続され、前記スイッチ回路が第2の状態にある場合、第1の容量性回路と第2の容量性回路とは並列接続され、前記スイッチ回路は、第1のスイッチと、第2のスイッチと、第3のスイッチと、第4のスイッチとを含み、前記第1のスイッチの第1のポート及び前記第2のスイッチの第1のポートは、それぞれ前記降圧サブ回路の入力端であり、前記第1のスイッチの第2のポートは、前記第1の容量性回路の第1のポート及び前記第3のスイッチの第1のポートにそれぞれ接続され、前記第3のスイッチの第2のポートは接地され、前記第2のスイッチの第2のポートは、前記第1の容量性回路の第2のポート及び前記第4のスイッチの第1のポートにそれぞれ接続され、前記第4のスイッチの第2のポートは前記降圧サブ回路の出力端であり、前記第2の容量性回路の第1のポートは前記第4のスイッチの第2のポートに接続され、前記第2の容量性回路の第2のポートは接地される」との構成は、各スイッチ及び容量性回路の接続関係から、発明の詳細な説明の段落【0024】ないし【0032】及び図3、5に記載された「降圧サブ回路221」に対応するものと認められる。
2.発明の詳細な説明の記載
請求項1に係る発明の「降圧サブ回路」に対応する「降圧サブ回路221」に関して、発明の詳細な説明には以下の記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
「【0031】制御信号が、第1のスイッチS1と第4のスイッチS4とがオン状態にあり、且つ第2のスイッチS2と第3のスイッチS3とがオフ状態にあるように制御する場合、直列接続された第1の容量性回路C1と第2の容量性回路C2とは、降圧サブ回路221の入力電圧から充電される充電状態にある。図3の等価図を参照すると、図3において、第1の容量性回路及び第2の容量性回路のそれぞれがコンデンサであることを例とする。この場合、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2とは直列接続され、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2との容量値が等しいので、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2とが同時に充電されていることになり、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2とによって蓄積されたエネルギーは等しい。すなわち、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2との電圧のそれぞれは、降圧サブ回路221の入力電圧の半分であり、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2との電流のそれぞれは、降圧サブ回路221の入力電流である。
【0032】制御信号が、第3のスイッチS3と第4のスイッチS4とがオン状態にあり、且つ第1のスイッチS1と第2のスイッチS2とがオフ状態にあるように制御する場合、並列接続された第1の容量性回路C1と第2の容量性回路C2とは、バッテリ270に電圧を出力する放電状態にある。図5の等価図を参照すると、図5において、第1の容量性回路及び第2の容量性回路のそれぞれがコンデンサであることを例とする。この場合、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2とは並列接続され、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2とによって蓄積されたエネルギーが等しいため、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2との電圧のそれぞれは、降圧サブ回路221の入力電圧の半分であり、すなわち、降圧サブ回路221の出力電圧は、降圧サブ回路221の入力電圧の半分であり、第1のコンデンサC1と第2のコンデンサC2との電流のそれぞれは、降圧サブ回路221の入力電流であり、すなわち、降圧サブ回路221の出力電流は、降圧サブ回路221の入力電流の2倍である。」
3.「降圧サブ回路221」の動作についての検討
上記段落【0032】には、「第3のスイッチS3」と「第4のスイッチS4」とがオン状態にあり且つ「第1のスイッチS1」と「第2のスイッチS2」とがオフ状態にあるように制御することにより、「第1のコンデンサC1」(第1の容量性回路C1)と「第2のコンデンサC2」(第2の容量性回路C2)とは並列接続され、「第1のコンデンサC1」と「第2のコンデンサC2」との電圧のそれぞれは入力電圧の半分であり、「第1のコンデンサC1」と「第2のコンデンサC2」との電流のそれぞれは入力電流であり、出力電圧は入力電圧の半分となり、出力電流は入力電流の2倍となる旨記載されている。
しかしながら、上記段落【0032】に記載されたように各スイッチを制御した場合、「第1のコンデンサC1」(第1の容量性回路)の「第1のスイッチS1」に接続されるポート(第1のポート)が「第3のスイッチS3」を介して接地されることとなり、「第1のコンデンサC1」(第1の容量性回路)と「第2のコンデンサC2」(第2の容量性回路)とは、「第1のコンデンサC1」の「第2のポート」と「第2のコンデンサC2」の「第1のポート」とが「第4のスイッチS4」を介して接続され、「第1のコンデンサC1」の「第1のポート」と「第2のコンデンサC2」の「第2のポート」とが接地を介して接続されることとなり、「第1のコンデンサC1」と「第2のコンデンサC2」とは並列接続され出力電圧は入力電圧の半分となり出力電流は入力電流の2倍となるものとは認められない。
すなわち、「第1のコンデンサC1」の「第1のポート」は「第1のスイッチS1」を介して入力端に接続されるポートであるから、「第1のコンデンサC1」と「第2のコンデンサC2」とは逆極性のポート同士が接続された状態、すなわち、直列短絡回路を形成した状態となるものと認められ、「第1のコンデンサC1」と「第2のコンデンサC2」とは並列接続され出力電圧は入力電圧の半分となり出力電流は入力電流の2倍となるものとは認められない。
したがって、出願時の技術常識を参酌しても、発明の詳細な説明には、請求項1に係る発明の「前記降圧サブ回路の出力電圧は、前記降圧サブ回路に入力される入力電圧の半分であり、前記降圧サブ回路の出力電流は、前記降圧サブ回路に入力される入力電流の2倍であり、」「前記スイッチ回路が第2の状態にある場合、第1の容量性回路と第2の容量性回路とは並列接続され」ることについて、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていない。
なお、請求人は審判請求書において次のとおり主張している。
「まず、図3では、C1とC2が直列に接続され(C1とC2との容量値が等しい)、図3では、C1とC2を充電します。したがって、C1とC2の電圧はそれぞれ入力電圧(Vin)の半分になります。負荷(LOAD)の場合、出力電圧(Vout)はC2の容量値(つまり、Vin/2)に等しく、出力電流はC2の容量値によって提供される電流(Iと呼びます)です。
また、図5では、C1とC2が並列に接続され、C1とC2が放電状態にあり、C1とC2が負荷(LOAD)に電力を供給します。このとき、C1とC2とが並列に接続されているため、負荷(LOAD)の出力電流はC2の容量値によって供給される電流の2倍になります(つまり、図5の負荷の出力電流は図3の負荷の出力電流の2倍になります)。
本願では、C1とC2を直列に(図3)接続した後、C1とC2を並列(図5)に接続します。図3でC1とC2が安定した後、図5のようにC1とC2が並列に接続されます(この時、入力電源が遮断された状態になります)。図5では、C1とC2が電源の役割を果たし、C1の電圧及びC2の電圧はいずれもVin/2であり、C1の電流及びC2の電流はいずれもIであるため、出力電流はC1による電流と出力電流はC2による電流の合計(I+I=2I)であり、出力電圧(Vout)はC2によって供給される電圧(即ち、Vin/2)であります。
したがって、本願の請求項1に記載される「前記降圧サブ回路の出力電圧は、前記降圧サブ回路に入力される入力電圧の半分であり、前記降圧サブ回路の出力電流は、前記降圧サブ回路に入力される入力電流の2倍である」ことは、発明の詳細な説明及び図面から理解可能な事項であります。」
しかしながら、上述したように、図5に示されたC1とC2は逆極性に充電されたポート同士が接続されたものであり、このような回路の出力電圧が入力電圧の半分となり、出力電流が入力電流の2倍になるものとは認められない。
よって、請求人の主張は採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本願は、発明の詳細な説明の記載が特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていないものである。
したがって、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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