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特許拒絶査定不服審判

2021-005536

アップリンクデータ解凍、圧縮方法および装置

審判番号
2021-005536
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-558705外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年04月28日
審決日
2022年01月05日
公報発行日
2022年02月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (H04L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-558705「アップリンクデータ解凍、圧縮方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成30年11月 1日国際公開、WO2018/196491、令和 2年 6月25日国内公表、特表2020-519090、請求項の数(15)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

目次 ▾ 19項目
理 由

第1 手続の経緯

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本願は、2018年(平成30年)3月8日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2017年4月28日 中国)を国際出願日とする出願であって、令和元年10月28日に手続補正書が提出され、令和2年7月31日付けで拒絶理由通知がされ、令和2年11月13日に意見書とともに手続補正書が提出され、令和2年12月22日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和3年4月28日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2 原査定の概要

原査定(令和2年12月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1ないし4、6ないし12、14及び15に係る発明は、以下の引用文献1又は引用文献2に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1: Qualcomm Inc.、A Low-Complexity Uplink Data Compression Solution [online]、3GPP TSG-RAN WG2 #97bis R2-1703583、Internet: <URL: http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_97bis/Docs/R2-1703583.zip>、2017年 3月25日、[検索日 2017年12月13日]

引用文献2:米国特許出願公開第2016/0309364号明細書

第3 本願発明

本願請求項1ないし15に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明15」という。)は、令和2年11月13日に提出された手続補正書に係る手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定される発明であり、このうち本願発明1、7、12及び14は以下のとおりの発明である。

[本願発明1]

「 解凍エンドが、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)パケットを受信すると、前記PDCPパケットのうち、少なくともPDCPパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDC(Uplink Data Compression)ヘッダを検査することと、
前記解凍エンドが、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記PDCPパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行うこととを含み、
前記UDCヘッダは、
UDC圧縮を行うか否かを指示するための第1指示ビットフィールド、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための第2指示ビットフィールドを含む、アップリンクデータ解凍方法。」

[本願発明7]

「 圧縮エンドが、PDCPパケットを解凍エンドに送信することを含み、
前記解凍エンドが、前記PDCPパケットのうち、少なくともPDCPパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDCヘッダを検査し、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記PDCPパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行い、
前記UDCヘッダは、
UDC圧縮を行うか否かを指示するための第1指示ビットフィールド、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための第2指示ビットフィールドを含む、アップリンクデータ圧縮方法。」

[本願発明12]

「 解凍エンドであって、
PDCPパケットを受信すると、前記PDCPパケットのうち、少なくともPDCPパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDCヘッダを検査する検査モジュールと、
前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記PDCPパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行う第1処理モジュールとを含み、
前記UDCヘッダは、
UDC圧縮を行うか否かを指示するための第1指示ビットフィールド、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための第2指示ビットフィールドを含む、解凍エンド。」

[本願発明14]

「 PDCPパケットを解凍エンドに送信する送信モジュールを含む圧縮エンドであって、
前記解凍エンドが、前記PDCPパケットのうち、少なくともPDCPパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDCヘッダを検査し、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記PDCPパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行い、
前記UDCヘッダは、
UDC圧縮を行うか否かを指示するための第1指示ビットフィールド、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための第2指示ビットフィールドを含む、圧縮エンド。」

なお、本願発明2ないし6は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明8ないし11は、本願発明7を減縮した発明であり、本願発明13は、本願発明12を減縮した発明であり、また、本願発明15は、本願発明14を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

(1)引用文献1記載事項

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原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、強調のため当審が付与した。以降においても同様。)

ア 「2 Main idea of the UDC Solution
Both UE and eNB maintains UL Compression Memory to remember uncompressed contents of previous packets. When a new packet arrives, the UE tries to match (partially or fully) with the stored packets. If a match is found, then the UE sends pointers (addresses/locations of matched data block in both the compression memory and the packet) instead of the actual data bytes, to the eNB. The decompression algorithm is similar to the famous C language library function “memcpy(src addr, dest addr, length)” which simply copies the pointed data from the compression memory to the current packet, to recover the original packet. So the compressed data format mainly contains the following parameters.…(以下省略)」

[当審訳]

「2 UDCソリューションの主旨
UEとeNBの双方は、以前のパケットの非圧縮コンテンツを記憶するために、UL圧縮メモリを保持している。新しいパケットが到着すると、UEは保存されているパケットと(部分的または完全に)一致するかどうかを試す。一致した場合、UEは、実際のデータバイトではなく、ポインター(圧縮メモリとパケットの両方で一致したデータブロックのアドレス/位置)をeNBに送信する。解凍アルゴリズムは、有名なC言語ライブラリ関数である”memcpy(src addr, dest addr, length)”に似ている。この関数は、圧縮メモリから現在のパケットにポインティングされたデータを単純にコピーすることで、元のパケットを復元する。そのため、圧縮データのフォーマットには、主に以下のようなパラメータが含まれる。…(以下省略)」
イ 「3.1 Compressed Data Format
[図:0001381559000001.jpg]
Figure 1: UL Compression Packet Format」

[当審訳]

「3.1 圧縮データフォーマット
…(図面中の文字の訳は省略)…
図1:UL圧縮パケットフォーマット」
ウ 「UDC common header (first octet)
■ Packet action (upper 3 bits)
□ 011 - Decompression shall be performed as indicated by the UDC header that follows the first octet. The entire packet (decompressed) shall be pushed to UL compression memory. The UDC header shall be pushed to UDC header memory if the UDC header length is less than or equal to udcHeaderMemorySize.
□ 010 - Decompression shall be performed as indicated by the UDC header that follows the first octet. The packet header (of the decompressed packet), as indicated by udcHeaderLength, shall be pushed to UL compression memory. The UDC header shall be pushed to UDC header memory if the UDC header length is less than or equal to udcHeaderMemorySize.
□ 001 - For this packet action, there is no following header and no decompression needs to be performed. The entire packet shall be pushed to UL compression memory. The UDC header shall not be pushed to UDC header memory.
□ 000 - For this packet action, there is no following header and no decompression needs to be performed. The packet shall not be pushed to UL compression memory. The UDC header shall not be pushed to UDC header memory.
□ 100 - This is an exact match of the UDC header with the contents of UDC header memory. Decompression shall be performed, as indicated by the previous UDC header, as contained in UDC header memory. The entire packet or packet header only shall be pushed to UL compression memory, depending on the packet action in the previous packet (011 or 010 respectively). The UDC header shall not be pushed to UDC header memory.
□ 101 - Reset UL compression memory to all zeros. For this packet action, there are no following header and no decompression needs to be performed. The entire packet shall be pushed to UL compression memory. The UDC header shall not be pushed to UDC header memory.
■ Checksum (next 4 bits) - The checksum is used by the decompressor to detect UL compression memory out-of-sync conditions between the compressor and decompressor.」

[当審訳]

「UDC共通ヘッダ(第1オクテット)
■ パケットアクション(最初の3ビット)
□ 011:解凍は、第1オクテットに続くUDCヘッダが示すとおりに行う。伸長されたパケット全体は、UL圧縮メモリにプッシュされる。UDCヘッダの長さがudcHeaderMemorySize以下の場合、UDCヘッダをUDCヘッダメモリにプッシュする。
□ 010:解凍は、第1オクテットに続くUDCヘッダが示すとおりに行う。udcHeaderLengthで示される(伸長されたパケットの)パケットヘッダは、UL圧縮メモリにプッシュする。UDCヘッダの長さがudcHeaderMemorySize以下の場合は、UDCヘッダをUDCヘッダメモリにプッシュしなければならない。
□ 001:このパケットアクションでは、次のヘッダはなく、解凍を行う必要はない。パケット全体がUL圧縮メモリにプッシュされる。UDCヘッダはUDCヘッダメモリにプッシュしてはならない。
□ 000:このパケットアクションでは、次のヘッダはなく、解凍を行う必要はない。このパケットは、UL圧縮メモリにプッシュしてはならない。UDCヘッダをUDCヘッダメモリにプッシュしてはならない。
□ 100:これは、UDCヘッダとUDCヘッダメモリの内容が完全に一致していることを意味する。UDCヘッダメモリに含まれる、前のUDCヘッダが示すとおりに、解凍を行う。前パケットのパケットアクション(それぞれ011または010)に応じて、パケット全体またはパケットヘッダのみをUL圧縮メモリにプッシュすること。UDCヘッダは、UDCヘッダメモリにプッシュしてはならない。
□ 101:UL圧縮メモリをすべて0にリセットする。このパケットアクションでは、次のヘッダがなく、解凍を行う必要がない。パケット全体をUL圧縮メモリにプッシュすること。UDCヘッダは、UDCヘッダメモリにプッシュしないこと。
■ チェックサム(次の4ビット):チェックサムは、解凍器が、圧縮器と解凍器間のUL圧縮メモリの同期不能状態を検出するために使用される。」
エ 「3.2 Decompressor Algorithm
The decompressor must look into the UL compressed packet to determine if the packet is compressed. If the packet is not compressed, it must remove the header byte. If the packet is compressed, it must perform decompression on the packet as shown in the below figure:
[図:0001381559000002.jpg]
Figure 4: Decompressor Flow Chart」

[当審訳]

「3.2 解凍アルゴリズム
解凍器は、UL圧縮パケットを調べて、そのパケットが圧縮されているかどうかを判断しなければならない。パケットが圧縮されていない場合は、ヘッダバイトを削除しなければならない。パケットが圧縮されている場合には、以下の図に示されるようにパケットの解凍を行わなければならない。
…(フローチャートの訳は省略)…
図4:解凍器フローチャート」
オ 「4 Performance Evaluation
4.1 Simulation Assumption
…(中略)…
- UDC entity is considered to be located in PDCP layer
…(以下省略)」

[当審訳]

「4 性能評価
4.1 シミュレーションの条件
…(中略)…
- UDCエンティティはPDCP層に位置するものとする。
…(以下省略)」

(2)引用発明1

前記(1)ア及びエより、eNBは、UEにより圧縮されたデータバイトを含むUL圧縮パケットをUEから受信して、圧縮されたデータバイトを解凍する方法を実行するものといえ、また、eNBは解凍器、UEは圧縮器と同一視できる。

また、「UDC」は、引用文献1のタイトルに含まれる「Uplink Data Compression」(アップリンクデータ圧縮)の略語であり、「ヘッダ」がパケットに含まれる情報であること、及び、UEがeNBに送信することがアップリンク(UL)と称されることは本願優先日前の技術常識であるから、前記(1)イの「UDC Header」(「UDCヘッダ」)は、UL圧縮パケットに含まれるものといえる。

また、前記(1)イから、前記(1)ウの「UDC共通ヘッダ」が「UDCヘッダ」に含まれることが見て取れる。

また、前記(1)イ(特に図1)及びウより、「UDC共通ヘッダ」は、3ビットの「パケットアクション」と4ビットの「チェックサム」を含むものといえる。

また、前記(1)ウ及びエ(特に図4)より、「パケットアクション」は、パケットが圧縮されているか否か、UL圧縮メモリをどの部分で更新するか、及び、UL圧縮メモリをリセットするか否かを指示する情報であり、また、「チェックサム」は、解凍器が、圧縮器と解凍器間のUL圧縮メモリの同期不能状態を検出するために使用される情報といえる。

以上から、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「 eNB(解凍器)が、UE(圧縮器)により圧縮されたデータバイトを含むUL圧縮パケットをUEから受信して、圧縮されたデータバイトを解凍する方法であって、
UL圧縮パケットは、3ビットのパケットアクションと4ビットのチェックサムを含む共通UDCヘッダを含むUDCヘッダを含み、
パケットアクションは、パケットが圧縮されているか否か、UL圧縮メモリをどの部分で更新するか、及び、UL圧縮メモリをリセットするか否かを指示する情報であり、チェックサムは、解凍器が、圧縮器と解凍器間のUL圧縮メモリの同期不能状態を検出するために使用される情報であり、
解凍器は、UL圧縮パケットを調べて、そのパケットが圧縮されているかどうかを判断し、パケットが圧縮されていない場合は、ヘッダバイトを削除し、パケットが圧縮されている場合には、パケットの解凍を行い、
UDCエンティティはPDCP層に位置するものとする、
方法。」

2 引用文献2について

(1)引用文献2記載事項

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原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。

「[0051] Uplink data compression (UDC) aims to reduce the size of uplink data packets including, but not limited to, transport control protocol (TCP) headers, user datagram protocol (UDP) headers, Internet protocol (IP) headers, and data fields, for example. In UDC, the user device (e.g., such as user terminal 120) compresses the data, which may then be decompressed at a receiving end, for example, by the radio network controller (RNC).
[0052] UDC may enable shorter transmit durations and low transmit power, which in tum may result in reduced interference, system capacity gains, and better user experience.
[0053] UDC is performed by compressing packets headers and/or payloads based on prior packets sent. For example, a memory such as an uplink Compression Memory may be employed at both the transmitter and/or receiver side to remember past packets. Looking at the existing memory, repetitive strings in the prior packets may be identified and matched to strings in current packets. Matched blocks of data (e.g., bytes) in the current packet may be replaced with Pointer Metadata that points to a location in the UL Compression Memory of a block of matched bytes.
[0054] FIG. 3 illustrates an example UDC packet format 300. As shown in FIG. 3, the UDC packet format 300 includes a Packet action field, a Checksum field, an Extension field, a UDC static header, a UDC dynamic header, a mismatched bytes field, and a remaining bytes field. The UDC static header includes a Number of matches field. The UDC dynamic header includes pointer metadata for each match being referenced for compression. The pointer metadata includes a Distance to pointer in bytes field, a Lookback length field and a Length in bytes fields.
[0055] As shown in FIG. 3, the Packet action field may be the upper 3 bits of the packet header. The values of the 3 bits in the Packet action field can indicate various actions. A value of 011 for the Packet action field indicates full packet compression. In this case, the entire packet is pushed to the UL Compression (Comp) Memory. A value of 010 for the Packet action field indicates Header-only compression. In this cases, only the header is pushed to UL Compression Memory. A value of 100 for the Packet action field indicates Full packet compression, but the packet is not pushed to the UL Compression Memory. In this case, the packet is not pushed to the UL Compression Memory. For the above three Packet action field values (011, 010, and 100), decompression can be performed as indicated by the Number of Matches field and the pointer metadata fields.
[0056] A value of 001 for the Packet action field indicates that compression was attempted but no matches were found. In this case, the entire packet is pushed to UL Compression Memory. A value of 000 for the Packet action field indicates no compression was attempted. In this case, the packet is not pushed to UL Compression Memory. A value of 101 for the Packet action field indicate for all bits in the UL Comp Memory to be reset to values of all zeros. In this case, the entire packet is pushed to UL Compression Memory. If the Packet action field is set to any one of these three Packet action values (001, 000, and 101), the Number of Matches and Pointer Metadata fields will not be present.
[0057] As shown in FIG. 3, the Checksum field can be 4 bits. The Checksum field is used by the decompressor (e.g., the RNC) to detect UL Compression Memory Out of Sync conditions between the compressor and decompressor. For Packet action field values of 011, 010 and 100, the Checksum field includes the sum of the first 5 bytes of the first match in this packet. For a Packet action field value of 001, the Checksum field includes the sum of the last 5 bytes in the UL Compression Memory before the packet that includes the checksum is pushed into the UL Compression Memory. For a Packet action field value of 000, the checksum bits are invalid and may not be checked. For a Packet action field value of 101, the checksum bits can be set to all zeros.」

[当審訳]

「[0051]アップリンクデータ圧縮(UDC)は、たとえば、限定はしないが、トランスポート制御プロトコル(TCP)ヘッダ、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)ヘッダ、インターネットプロトコル(IP)ヘッダ、およびデータフィールドを含む、アップリンクデータパケットのサイズを低減することを目的とする。UDCでは、ユーザデバイス(たとえば、ユーザ端末120など)がデータを圧縮し、それは、次いで、たとえば、無線ネットワークコントローラ(RNC)によって受信端において解凍され得る。
[0052]UDCは、より短い送信持続時間および低送信電力を可能にし得、これは、干渉の低減、システム容量利得、およびより良いユーザエクスペリエンスを生じ得る。
[0053]UDCは、送られた先行パケットに基づいてパケットヘッダおよび/またはペイロードを圧縮することによって実行される。たとえば、アップリンク圧縮メモリなどのメモリが、過去のパケットを記憶するために送信機側および/または受信機側の両方において採用され得る。既存のメモリを見ながら、先行パケット中の反復的なストリングが識別され、現在のパケット中のストリングにマッチされ得る。現在のパケット中のデータのマッチしたブロック(たとえば、バイト)は、マッチしたバイトのブロックのUL圧縮メモリ中のロケーションを指すポインタメタデータと置き換えられ得る。
[0054]図3は、例示的なUDCパケットフォーマット300を示す。図3に示されているように、UDCパケットフォーマット300は、パケットアクションフィールドと、チェックサムフィールドと、拡張フィールドと、UDC静的ヘッダと、UDC動的ヘッダと、ミスマッチしたバイトフィールドと、残りのバイトフィールドとを含む。UDC静的ヘッダはマッチ数フィールドを含む。UDC動的ヘッダは、圧縮のために参照されている各マッチについてのポインタメタデータを含む。ポインタメタデータは、バイト単位のポインタまでの距離フィールド(Distance to pointer in bytes field)と、ルックバック長さフィールドと、バイト単位の長さフィールド(Length in bytes field)とを含む。
[0055]図3に示されているように、パケットアクションフィールドはパケットヘッダの上部の3ビットであり得る。パケットアクションフィールド中の3ビットの値は様々なアクションを示すことができる。パケットアクションフィールドのための011の値がフルパケット圧縮を示す。この場合、パケット全体がUL圧縮(Comp)メモリにプッシュされる。パケットアクションフィールドのための010の値がヘッダのみの圧縮を示す。この場合、ヘッダのみがUL圧縮メモリにプッシュされる。パケットアクションフィールドのための100の値がフルパケット圧縮を示すが、パケットはUL圧縮メモリにプッシュされない。この場合、パケットはUL圧縮メモリにプッシュされない。上記の3つのパケットアクションフィールド値(011、010、および100)の場合、解凍が、マッチ数フィールドおよびポインタメタデータフィールドによって示されるように実行され得る。
[0056]パケットアクションフィールドのための001の値は、圧縮が試みられたが、マッチが見つけられなかったことを示す。この場合、パケット全体がUL圧縮メモリにプッシュされる。パケットアクションフィールドのための000の値は、圧縮が試みられなかったことを示す。この場合、パケットはUL圧縮メモリにプッシュされない。パケットアクションフィールドのための101の値は、UL圧縮メモリ中のすべてのビットがすべて0の値にリセットされることを示す。この場合、パケット全体がUL圧縮メモリにプッシュされる。パケットアクションフィールドがこれらの3つのパケットアクション値(001、000、および101)のうちのいずれか1つに設定される場合、マッチ数フィールドおよびポインタメタデータフィールドは存在しない。
[0057]図3に示されているように、チェックサムフィールドは4ビットであり得る。チェックサムフィールドは、圧縮器と解凍器との間のUL圧縮メモリ同期外れ条件を検出するために解凍器(たとえば、RNC)によって使用される。011、010、および100のパケットアクションフィールド値の場合、チェックサムフィールドは、このパケット中の最初のマッチの最初の5バイトの和を含む。001のパケットアクションフィールド値の場合、チェックサムフィールドは、チェックサムを含むパケットがUL圧縮メモリにプッシュされる前のUL圧縮メモリ中の最後の5バイトの和を含む。000のパケットアクションフィールド値の場合、チェックサムビットは無効であり、チェックされないことがある。101のパケットアクションフィールド値の場合、チェックサムビットはすべて0に設定され得る。」

「[0071] At 406, the sender may transmit the compressed current packet (e.g., to a receiver). In aspects, the present methods and apparatus include complementary methods and apparatus on the receive side. In such aspects, one or more blocks of data in one or more portions of one or more previous packets (e.g., the immediately preceding packet or any other prior packet) may be stored in a memory, and such data may be employed to decode and/or reassemble such packets after receipt, for example. In aspects, the data stored in memory on the transmit side in step 402 may also be provided to or obtained, and stored on the receive side.」

[当審訳]

「[0071]406において、送信側は、圧縮された現在のパケットを(たとえば、受信機に)送信する。態様では、本方法および本装置は、受信側上の相補的方法および装置を含む。そのような態様では、1つまたは複数の前のパケット(たとえば、直前のパケットまたは他の先行パケット)の1つまたは複数の部分中のデータの1つまたは複数のブロックはメモリに記憶され得、そのようなデータは、たとえば、受信の後にそのようなパケットを復号および/または再組立するために採用され得る。態様では、ステップ402中に送信側上のメモリに記憶されたデータはまた、受信側に与えられるかまたは取得され、受信側上に記憶され得る。」

「FIG.3
[図:0001381559000003.jpg]
」

(当審訳は省略)

(2)引用発明2

引用文献2には、「アップリンク圧縮(UDC)」に関するものであって、「アップリンク」の技術的性質に鑑みれば、引用文献2の[0051]に記載の「受信端」(RNC)及び「ユーザデバイス」はそれぞれ、送信機及び受信機といい得るものである。

よって、引用文献2の[0051]より、引用文献2には、アップリンクデータ圧縮(UDC)において、受信機が、送信機によって圧縮されたデータを受信して、解凍する方法が記載されているといえる。

また、引用文献2の[0057]に記載の「圧縮器」及び「解凍器」はそれぞれ、「アップリンク圧縮(UDC)」に関する限りにおいては、前記「送信機」及び「受信機」と同一視できる。

また、引用文献2のFIG.3を参酌すれば、[0057]に記載の「チェックサムフィールド」は、「パケットアクションフィールド」に続くものである。

よって、前記(1)より、引用文献2には次の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

「 アップリンクデータ圧縮(UDC)において受信機が、送信機によって圧縮されたデータを受信して、解凍する方法であって、
UDCパケットフォーマット300は、パケットアクションフィールドと、これに続くチェックサムフィールドとを含み、
パケットアクションフィールドはパケットヘッダの上部の3ビットであり、パケットアクションフィールド中の3ビットの値は様々なアクションを示すことができ、
011の値がフルパケット圧縮を示し、この場合、パケット全体がUL圧縮(Comp)メモリにプッシュされ、
続きを表示(全13行)
010の値がヘッダのみの圧縮を示し、この場合、ヘッダのみがUL圧縮メモリにプッシュされ、
100の値がフルパケット圧縮を示すが、パケットはUL圧縮メモリにプッシュされず、この場合、パケットはUL圧縮メモリにプッシュされず、
001の値は、圧縮が試みられたが、マッチが見つけられなかったことを示し、この場合、パケット全体がUL圧縮メモリにプッシュされ、
000の値は、圧縮が試みられなかったことを示し、この場合、パケットはUL圧縮メモリにプッシュされず、
101の値は、UL圧縮メモリ中のすべてのビットがすべて0の値にリセットされることを示し、この場合、パケット全体がUL圧縮メモリにプッシュされ、
チェックサムフィールドは4ビットであり、送信機と受信機との間のUL圧縮メモリ同期外れ条件を検出するために受信機によって使用され、
チェックサムフィールドは、011、010、および100のパケットアクションフィールド値の場合、このパケット中の最初のマッチの最初の5バイトの和を含み、001のパケットアクションフィールド値の場合、チェックサムを含むパケットがUL圧縮メモリにプッシュされる前のUL圧縮メモリ中の最後の5バイトの和を含み、000のパケットアクションフィールド値の場合、無効であり、
送信側は、圧縮された現在のパケットを受信機に送信し、1つまたは複数の前のパケットの1つまたは複数の部分中のデータの1つまたは複数のブロックはメモリに記憶され得、そのようなデータは、受信の後にそのようなパケットを復号および/または再組立するために採用され得る、
方法。」

第5 引用文献1に基づく進歩性の判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明1とを対比する。

ア 引用発明1の「eNB(解凍器)」及び「UE(圧縮器)」はそれぞれ、本願発明1の「解凍エンド」及び「圧縮エンド」に相当する。

引用発明1の「UL圧縮パケット」は、所定の通信プロトコルの下で送信されることは自明であるから、本願発明1の「PDCP(Packet Data Convergence Protocol)パケット」とは、「所定のパケット」である点において共通する。

また、引用発明1において、「圧縮されたデータバイト」を含む「UL圧縮パケット」は、「所定のパケット」のうちの「データパケット」といい得るものである。

そして、引用発明1の「パケットアクション」は、「パケットが圧縮されているか否か」を指示する情報であるから、本願発明1の「データパケットの圧縮コンテキスト情報」に相当する。

加えて、引用発明1の「パケットアクション」は、「UL圧縮メモリをどの部分で更新するか、及び、UL圧縮メモリをリセットするか否かを指示する情報」でもあり、また、「チェックサム」は、「解凍器が、圧縮器と解凍器間のUL圧縮メモリの同期不能状態を検出するために使用される情報」であり、引用発明1の「圧縮器」の「UL圧縮メモリ」及び「解凍器」の「UL圧縮メモリ」はそれぞれ、本願発明1の「圧縮エンドの圧縮キャッシュエリア」及び「解凍エンドの圧縮キャッシュエリア」に相当する。

よって、引用発明1の「パケットアクション」と「チェックサム」は、本願発明1の「圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報」に相当する。

また、引用発明1において、「UL圧縮パケットをUEから受信」すると「パケットアクション」を含む「UDCヘッダ」を検査するものといえる。

また、引用発明1の「UDCヘッダ」は、「UDC(Uplink Data Compression)ヘッダ」といい得るものである。

よって、引用発明1と、本願発明1の「解凍エンドが、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)パケットを受信すると、前記PDCPパケットのうち、少なくともPDCPパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDC(Uplink Data Compression)ヘッダを検査すること」とは、「解凍エンドが、所定のパケットを受信すると、前記所定のパケットのうち、少なくとも所定のパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDC(Uplink Data Compression)ヘッダを検査すること」との共通の構成を備える。

イ 引用発明1において、「eNB(解凍器)」は、「パケットアクション」と「チェックサム」の指示に基づいて、「UL圧縮パケット」に対して対応する処理を行うものである。

よって、前記アを参酌すれば、引用発明1と本願発明1の「前記解凍エンドが、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記PDCPパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行うこと」とは、「前記解凍エンドが、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記所定のパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行うこと」との共通の構成を備える。

ウ 引用発明1の「パケットアクション」は、3ビットからなる1つの「指示ビットフィールド」といえる。

また、引用発明1の「パケットアクション」は、「パケットが圧縮されているか否かを指示する」機能と、「UL圧縮メモリをリセットするか否かを指示する」機能とを備え、これらの機能はそれぞれ、本願発明1の「UDC圧縮を行うか否かを指示する」機能及び「解凍キャッシュエリア復元を指示する」機能に相当する。

よって、引用発明1の、「UDCヘッダ」が「パケットアクション」を含むことと、本願発明1の「前記UDCヘッダは、UDC圧縮を行うか否かを指示するための第1指示ビットフィールド、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための第2指示ビットフィールドを含む」こととは、「前記UDCヘッダは、UDC圧縮を行うか否かを指示し、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための指示ビットフィールドを含む」との点において共通する。(なお、本願明細書【0079】の記載「解凍キャッシュエリア検査用の指示ビットフィールド(C情報:6ビット)」からすると、本願発明1に係る「指示ビットフィールド」は、1ビットの情報には限定されていない。)

エ 引用発明1の「eNB(解凍器)が、UE(圧縮器)により圧縮されたデータバイトを含むUL圧縮パケットをUEから受信して、圧縮されたデータバイトを解凍する方法」は、本願発明1の「アップリンクデータ解凍方法」に相当する。

(2)一致点、相違点

前記(1)より、本願発明1と引用発明1は、次の点において一致ないし相違する。

[一致点]

「 解凍エンドが、所定のパケットを受信すると、前記所定のパケットのうち、少なくとも所定のパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDC(Uplink Data Compression)ヘッダを検査することと、
前記解凍エンドが、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記所定のパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行うこととを含み、
前記UDCヘッダは、
UDC圧縮を行うか否かを指示し、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための指示ビットフィールドを含む、アップリンクデータ解凍方法。」

[相違点]

<相違点1-1>

「パケット」が、本願発明1では、「PDCP(Packet Data Convergence Protocol)パケット」であり、「データパケット」が、本願発明1では、「(少なくとも)PDCPパケットのうちの」ものであるのに対し、引用発明1は、「UDCエンティティはPDCP層に位置するものとする」との技術事項を備えるものの、当該技術事項から直ちに「UL圧縮パケット」が「PDCP(Packet Data Convergence Protocol)パケット」のうちのものであるとはいえない点。

<相違点1-2>

本願発明1は、「UDC圧縮を行うか否かを指示するための第1指示ビットフィールド、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための第2指示ビットフィールドを含む」との構成を備え、「UDC圧縮を行うか否かを指示する」機能と「解凍キャッシュエリア復元を指示する」機能とを異なる「ビットフィールド」で実現するのに対し、引用発明1の「パケットアクション」は、「UDC圧縮を行うか否かを指示する」ことと「解凍キャッシュエリア復元を指示する」ことを1つの指示ビットフィールドで実現するものである点。

(3)相違点についての判断

事案に鑑みて、先に上記相違点1-2について検討するに、引用発明1において、「パケットアクション」は、「UDC圧縮を行うか否かを指示する」機能と「解凍キャッシュエリア復元を指示する」機能のみならず、「UL圧縮メモリをどの部分で更新するかを指示する」機能とを組み合わせて3ビットで表現するものであり、このうち、「UDC圧縮を行うか否かを指示する」機能と「解凍キャッシュエリア復元を指示する」機能のみを切り離してこれらの各々を異なるビットフィールドで実現するように変更する動機付けを当業者といえども見出すことはできない。

また、「UDC圧縮を行うか否かを指示する」機能と「解凍キャッシュエリア復元を指示する」機能とを、2つの異なる「指示ビットフィールド」により実現することが本願優先日前に周知技術であったともいえない。

したがって、上記相違点1-1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2ないし6について

本願発明2ないし6も、相違点1-2に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明7ないし11について

本願発明7は、本願発明1を、「アップリンクデータ圧縮方法」として特定したものであって、本願発明8ないし11は、本願発明7を減縮したものである。

よって、本願発明7ないし11は、相違点1-2に係る本願発明1の構成に対応する技術事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本願発明12及び13について

本願発明12は、本願発明1を「解凍エンド」の発明として特定したものであり、本願発明13は、本願発明12を減縮したものである。

よって、本願発明12及び13は、相違点1-2に係る本願発明1の構成に対応する技術事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

5 本願発明14及び15について

本願発明14は、本願発明7を、「圧縮エンド」として特定したものであって、本願発明15は、本願発明14を減縮したものである。

よって、本願発明14及び15は、本願発明7と同様に、相違点1-2に係る本願発明1の構成に対応する技術事項を備えるものであるから、本願発明7と同じ理由により、当業者であっても、引用発明1に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 引用文献2に基づく進歩性の判断

1 本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明2とを対比する。

ア 引用発明2は、「受信機が、送信機によって圧縮されたデータを受信して、解凍する方法」であるから、引用発明2の「受信機」及び「送信機」はそれぞれ、本願発明1の「解凍エンド」及び「圧縮エンド」に相当する。

また、引用発明2において、「送信側は、圧縮された現在のパケットを受信機に送信」すると、「受信機」は、当該「圧縮されたパケット」を「解凍」するものといえる。

ここで、「圧縮された現在のパケット」は所定のプロトコルの下で送信されることは自明であるから、本願発明1の「PDCP(Packet Data Convergence Protocol)パケット」とは、「所定のパケット」である点において共通する。

また、「圧縮された現在のパケット」は、「圧縮されたデータ」を含む「データパケット」といえるものであって、「所定のパケット」のうちの「データパケット」といい得るものである。

また、引用発明2において、前記「圧縮された現在のパケット」は、「UDCパケットフォーマット」の形式であると認められ、引用発明2の「UDCパケットフォーマット300は、パケットアクションフィールドと、これに続くチェックサムフィールドとを含み」及び「パケットアクションフィールドはパケットヘッダの上部の3ビット」との構成からすれば、「パケットアクションフィールド」及び「チェックサムフィールド」は、「パケットヘッダ」に含まれ、「UDC(Uplink Data Compression)ヘッダ」といい得るものである。

そして、引用発明2の「パケットアクションフィールド」は、その値に関して、

「 010の値がヘッダのみの圧縮を示し、この場合、ヘッダのみがUL圧縮メモリにプッシュされ、
100の値がフルパケット圧縮を示すが、パケットはUL圧縮メモリにプッシュされず、この場合、パケットはUL圧縮メモリにプッシュされず、
001の値は、圧縮が試みられたが、マッチが見つけられなかったことを示し、この場合、パケット全体がUL圧縮メモリにプッシュされ、
000の値は、圧縮が試みられなかったことを示し、この場合、パケットはUL圧縮メモリにプッシュされず、
101の値は、UL圧縮メモリ中のすべてのビットがすべて0の値にリセットされることを示し、この場合、パケット全体がUL圧縮メモリにプッシュされ、
」と規定され、また、「チェックサムフィールド」は、
「チェックサムフィールドは4ビットであり、送信機と受信機との間のUL圧縮メモリ同期外れ条件を検出するために受信機によって使用され、
チェックサムフィールドは、011、010、および100のパケットアクションフィールド値の場合、このパケット中の最初のマッチの最初の5バイトの和を含み、001のパケットアクションフィールド値の場合、チェックサムを含むパケットがUL圧縮メモリにプッシュされる前のUL圧縮メモリ中の最後の5バイトの和を含み、000のパケットアクションフィールド値の場合、無効であり」と規定されるものであるから、「パケットアクションフィールド」は、パケットの圧縮がなされているか否か又はパケットのどの部分が圧縮されているかという圧縮のコンテキストを示す機能と、送信機と受信機との間のUL圧縮メモリ同期外れ条件を検出するために、UL圧縮メモリのリセットを指示したり、チェックサムフィールドが、どのパケットのどの部分の和であるのか又は無効であるのかを指示したりする、UL圧縮メモリの制御を指示する機能とを備えているといえる。

ここで、引用発明2において、「送信機」の「UL圧縮メモリ」及び「受信機」の「UL圧縮メモリ」はそれぞれ、本願発明1の「圧縮エンドの圧縮キャッシュエリア」及び「解凍エンドの解凍キャッシュエリア」に相当し、また、引用発明2において「送信機と受信機との間のUL圧縮メモリ同期外れ条件を検出する」ことは、本願発明2の「圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御する」ことに相当する。

そうすると、引用発明2の「パケットアクションフィールド」は、本願発明1の「データパケットの圧縮コンテキスト情報」と「圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報」とを兼ねた情報といえる。

また、引用発明2において、「受信機」が、「送信機」から受信した「圧縮されたパケット」を解凍するにあたり、当該パケットの「UDC(Uplink Data Compression)ヘッダ」を検査するものといえる。

以上から、引用発明2と、本願発明1の「解凍エンドが、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)パケットを受信すると、前記PDCPパケットのうち、少なくともPDCPパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDC(Uplink Data Compression)ヘッダを検査すること」とは、「解凍エンドが、所定のパケットを受信すると、前記所定のパケットのうち、少なくとも所定のパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDC(Uplink Data Compression)ヘッダを検査すること」との共通の構成を備える。

イ 前記アより、引用発明2において、「受信機」が「パケットアクションフィールド」に示された指示に対応する処理を行うものといえる。

よって、前記アを参酌すれば、引用発明2と、本願発明1の「前記解凍エンドが、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記PDCPパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行うこと」とは、「前記解凍エンドが、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記所定のパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行うこと」との共通の構成を備える。

ウ 引用発明2の「パケットアクションフィールド」は、3ビットからなる1つの「指示ビットフィールド」といえる。

また、前記アを参酌すれば、引用発明2の「パケットアクションフィールド」は、パケットの圧縮がなされているか否かを示す機能と、UL圧縮メモリのリセットを指示する機能とを備え、これらの機能はそれぞれ、本願発明1の「UDC圧縮を行うか否かを指示する」機能及び「解凍キャッシュエリア復元を指示する」機能に相当する。

よって、引用発明2の、「パケットヘッダ」が「パケットアクションフィールド」を含むことと、本願発明1の「前記UDCヘッダは、UDC圧縮を行うか否かを指示するための第1指示ビットフィールド、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための第2指示ビットフィールドを含む」こととは、「前記UDCヘッダは、UDC圧縮を行うか否かを指示し、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための指示ビットフィールドを含む」との点において共通する。

エ 引用発明2の「アップリンクデータ圧縮(UDC)において受信機が、送信機によって圧縮されたデータを受信して、解凍する方法」は、本願発明1の「アップリンクデータ解凍方法」に相当する。

(2)一致点、相違点

前記(1)より、本願発明1と引用発明2は、次の点において一致ないし相違する。

[一致点]

「 解凍エンドが、所定のパケットを受信すると、前記所定のパケットのうち、少なくとも所定のパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDC(Uplink Data Compression)ヘッダを検査することと、
前記解凍エンドが、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記所定のパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行うこととを含み、
前記UDCヘッダは、
UDC圧縮を行うか否かを指示し、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための指示ビットフィールドを含む、アップリンクデータ解凍方法。」

[相違点]

<相違点2-1>

「パケット」が、本願発明1では、「PDCP(Packet Data Convergence Protocol)パケット」であり、「データパケット」が、本願発明1では、「(少なくとも)PDCPパケットのうちの」ものであるのに対し、引用発明2の「圧縮された現在のパケット」は「PDCP(Packet Data Convergence Protocol)パケット」のうちのものであるとは特定されてない点。

<相違点2-2>

本願発明1は、「UDC圧縮を行うか否かを指示するための第1指示ビットフィールド、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための第2指示ビットフィールドを含む」との構成を備え、「UDC圧縮を行うか否かを指示する」機能と「解凍キャッシュエリア復元を指示する」機能とを異なる「ビットフィールド」で実現するのに対し、引用発明2の「パケットアクションフィールド」は、「UDC圧縮を行うか否かを指示する」ことと「解凍キャッシュエリア復元を指示する」ことを1つの指示ビットフィールドで実現するものである点。

(3)相違点についての判断

事案に鑑みて、先に上記相違点2-2について検討するに、引用発明2において、「パケットアクションフィールド」は、「UDC圧縮を行うか否かを指示する」機能と「解凍キャッシュエリア復元を指示する」機能のみならず、パケットのどの部分が圧縮されているかを指示する機能、チェックサムフィールドが、どのパケットのどの部分の和であるのか又は無効であるのかを指示する機能とを組み合わせて3ビットで表現するものであり、このうち、「UDC圧縮を行うか否かを指示する」機能と「解凍キャッシュエリア復元を指示する」機能のみを切り離してこれらの各々を異なるビットフィールドで実現するように変更する動機付けを当業者といえども見出すことはできない。

また、「UDC圧縮を行うか否かを指示する」機能と「解凍キャッシュエリア復元を指示する」機能とを、2つの異なる「指示ビットフィールド」により実現することが本願優先日前に周知技術であったともいえない。

したがって、上記相違点2-1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明2に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2ないし6について

本願発明2ないし6も、相違点2-2に係る本願発明1の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明2に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

3 本願発明7ないし11について

本願発明7は、本願発明1を、「アップリンクデータ圧縮方法」として特定したものであって、本願発明8ないし11は、本願発明7を減縮したものである。

よって、本願発明7ないし11は、相違点2-2に係る本願発明1の構成に対応する技術事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明2に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

4 本願発明12及び13について

本願発明12は、本願発明1を「解凍エンド」の発明として特定したものであり、本願発明13は、本願発明12を減縮したものである。

よって、本願発明12及び13は、相違点2-2に係る本願発明1の構成に対応する技術事項を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明2に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

5 本願発明14及び15について

本願発明14は、本願発明7を、「圧縮エンド」として特定したものであって、本願発明15は、本願発明14を減縮したものである。

よって、本願発明14及び15は、本願発明7と同様に、相違点2-2に係る本願発明1の構成に対応する技術事項を備えるものであるから、本願発明7と同じ理由により、当業者であっても、引用発明2に基いて容易に発明をすることができたものとはいえない。

[補足]

なお、令和2年7月31日付けの拒絶理由通知書においては、

「 上記解凍エンドにおける処理は、解凍エンドにおける解凍方法がどのようなものであるのかについて特定する一方で、圧縮エンドにおける圧縮方法を、以下の点(a)を除いて、何ら特定していない。
(a)PDCPパケットは、少なくともPDCPパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDCヘッダを含む点。
したがって、以下では、解凍エンドにおける処理は、上記した点(a)を除いて、サブコンビネーションの発明である圧縮エンドにおける圧縮方法を特定するための意味を有しないものとして、請求項7に係る発明を認定する。
また、請求項8-11、14-15についても同様である。」と説示され、また、原査定では、

「この認定では、(a)を除くと述べているように、UDCヘッダがどのような情報を含んでいるのかという点については、圧縮エンドにおける圧縮方法を特定するための意味を有するものとしている。すなわち、(A)や(B)は圧縮エンドにおける圧縮方法を特定するための意味を有するものとしている。」と説示されている。

なお、原査定において参照されている上記「(A)」及び「(B)」は、令和2年11月13日に提出された意見書によれば、

「(А)少なくともPDCPパケットのうちのデータパケットの圧縮コンテキスト情報と、圧縮エンドの圧縮キャッシュエリアとの一致を確保するように前記解凍エンドの解凍キャッシュエリアを制御することを前記解凍エンドに指示するための解凍キャッシュエリア関連情報とを含むUDC(Uplink Data Compression)ヘッダ、
(B)前記UDCヘッダは、UDC圧縮を行うか否かを指示するための第1指示ビットフィールド、及び解凍キャッシュエリア復元を指示するための第2指示ビットフィールドを含む」

との技術事項である。

そうすると、原査定の上記説示は、請求項7ないし11、14及び15に係る発明(本願発明7ないし11、14及び15)に含まれる「前記解凍エンドが」「UDCヘッダを検査し、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記PDCPパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行い」という、他のサブコンビネーションの発明である「アップリンクデータ解凍方法」又は「解凍エンド」の構成が、請求項7ないし11、14及び15に係るサブコンビネーションの発明(「アップリンクデータ圧縮方法」又は「圧縮エンド」)の構成を特定するものではない、との趣旨と理解できる。

ここで、「圧縮」と「解凍」とが互いに対応した処理であることは本願優先日前における技術常識であるから、本願発明7ないし11、14及び15における「前記解凍エンドが」「UDCヘッダを検査し、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記PDCPパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行い」との構成が「解凍エンド」及びその「解凍方法」を具体的に特定している以上、それに対応した「圧縮エンド」及びその「圧縮方法」を具体的に特定しているといえる。

したがって、本願発明7ないし11、14及び15の「前記解凍エンドが」「UDCヘッダを検査し、前記圧縮コンテキスト情報と解凍キャッシュエリア関連情報に基づいて、前記PDCPパケットのうちのデータパケットに対し、対応する処理を行い」との他のサブコンビネーションの発明に係る構成は、本願発明7ないし11、14及び15に係るサブコンビネーションの発明の構成を特定するものではないとはいえない。

第7 むすび

以上のとおり、本願発明1ないし15は、当業者が引用文献1又は引用文献2に記載された発明に基いて容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

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2021-005536

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