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特許拒絶査定不服審判

2021-004067

新規合成した遺伝子ライブラリ

審判番号
2021-004067
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-163456
請求日
2021年03月30日
審決日
2023年07月11日
公報発行日
2023年12月28日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】ツイスト バイオサイエンス コーポレーション
  • 【請求人代理人】清原 義博
  • 【請求人代理人】清原 直己
  • 【請求人代理人】弁理士法人清原国際特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 長井 啓子
  • 審判官 福井 悟
  • 審判官 松本 淳
分類
P18 .55 -WZ (C12P) / P18 .536-WZ (C12P) / P18 .537-WZ (C12P) / P18 .121-WZ (C12P)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
審決公報(XML)

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特願2019-163456「新規合成した遺伝子ライブラリ」拒絶査定不服審判事件〔令和2年2月13日出願公開、特開2020-22453〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成26年8月5日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2013年8月5日 (US)米国、2013年8月5日 (US)米国)を国際出願日とする出願の一部を令和1年9月6日に新たな特許出願としたものであって、令和2年11月30日付けで拒絶査定がなされ、令和3年3月30日に拒絶査定不服審判請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。以後の主な手続の経緯は、次のとおりである。 令和3年 5月 6日 補正書(審判請求書の理由の補正)の提出 令和4年10月13日付け 拒絶理由通知書 令和5年 1月17日 意見書、手続補正書の提出 令和5年 2月 2日付け 拒絶理由通知書、審尋 令和5年 5月 3日 意見書の提出 第2 本願発明 本願の請求項1~9に係る発明は、令和5年1月17日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~9に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】 基板上でn量体オリゴヌクレオチドを合成する方法であって、該方法は、 a)マイクロウェルを含む複数のミクロ構造を有する基板を提供する工程、ここで、複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され、複数のミクロ構造は、ヌクレオチド結合に適した化学部分で官能化され、および b)場所に特異的な予め決められた配列に従って、分解された場所(loci)の1つに存在する複数の成長している個々のオリゴヌクレオチド鎖に少なくとも2つのヌクレオチド構築ブロック(building blocks)を結合し、それによって、nの塩基長である複数のオリゴヌクレオチドを合成する工程であって、基板上の複数のオリゴヌクレオチドは、1/1000塩基未満のエラー率でそれぞれの場所に特異的な予め決められた配列から逸脱し、構築ブロックは、ヌクレオチド、ジヌクレオチドまたはトリヌクレオチドを含む、工程、および c)合成されたオリゴヌクレオチドを基板から切断する工程 を含み、nは、少なくとも100である、方法。」 第3 当審で通知した拒絶理由の概要 令和5年2月2日付けで当審が通知した拒絶理由の概要は、以下のとおりである。 理由1(新規事項) 令和5年1月17日付け手続補正書でした補正により、「a)マイクロウェルを含む複数のミクロ構造を有する基板を提供する工程、ここで、複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」ることが特定されたが、上記の特定に係る手続補正は、当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものと認められ、上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 理由2(明確性要件) 請求項1に記載された「分解された場所(loci)を提供するクラスター」、「複数のミクロ構造」が「クラスターに配置され」ることが何を意味しているか、技術的に明らかでなく、また、「a)マイクロウェルを含む複数のミクロ構造を有する基板を提供する工程、ここで、複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」るとは、どのような工程であるか明らかでないので、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由3(実施可能要件) 本願明細書の実施例には、請求項1に係る発明の具体例に対応するものの記載はなく、1/1000bp未満のエラー率で予め決められた配列から逸脱する、n量体の合成されたオリゴヌクレオチドを合成するための具体的な方法、条件を選択するには、当業者に過度の試行錯誤を要すると認められるので、この出願は、発明の詳細な説明の記載について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由4(サポート要件) 請求項1に係る発明の解決しようとする課題は、「1/1000bp未満のエラー率で予め決められた配列から逸脱する、n量体の合成されたオリゴヌクレオチドを合成する方法」の提供であると認められるが、実施例の記載を見ても、本願明細書において、請求項1に記載された発明特定事項により、上記課題を解決できたことが具体的に記載されているとは認められないので、この出願は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 第4 本願明細書等の記載 願書に添付した明細書又は図面(以下「本願明細書等」という。)には、以下の記載がある(下線は当審において付与した。)。 本a 「【発明が解決しようとする課題】 【0003】 上に言及されるように、より少ない誤差で効率的に、大きな遺伝子ライブラリまたは比較的より長いオリゴヌクレオチドフラグメントを迅速に合成することができる、方法、デバイスおよびシステムが急速に必要とされている。同様に、平行して多くの個々に対処可能な反応のためにマイクロ流体の規模で液体試薬を分割および混合することができる方法も必要とされている。本発明は、これらの必要性に対処し、関連する利点も提供する。・・・ 本b 【0093】 本明細書に記載されるような官能化された表面を有する基板上でオリゴヌクレオチドを合成するための方法のいずれかの実施において、第1および第2の試薬は、異なり得る。幾つかの実施形態では、第1場所は、その表面エネルギーを増大させる部分で官能化される。幾つかの実施形態では、部分は、化学的に不活性な部分である。幾つかの実施形態では、複数の場所は、基板表面に作られたミクロ構造上に存在する。幾つかの実施形態では、ミクロ構造は、互いに流体連通している少なくとも2つのチャネルを含む。 ・・・ 【0096】 また別の態様では、本発明は、複数の分解された場所に試薬を付着させる方法を提供する。該方法は、インクジェットポンプを介して第1試薬の少なくとも1滴を複数の場所の第1場所に適用する工程、およびインクジェットポンプを介して第2試薬の少なくとも1滴を複数の分解された場所の第2場所に適用する工程を含む。幾つかの実施形態では、第2場所は、第1場所に隣接している。さらに幾つかの実施形態では、第1および第2の試薬は、異なる。さらにまた幾つかの実施形態では、第1および第2の場所は、支持体表面に作られたミクロ構造上に存在する。また幾つかの実施形態では、ミクロ構造は、100μmの深さを超える少なくとも1つのチャネルを含む。」 本c 「【0131】 ここで図1Cを参照すると、様々な実施形態中の本発明は、流体操作のための1つ以上の静的または動的なウェーハの使用を熟考する。・・・DNA合成ウェーハは、正確な管理の下、表面上またその内部で分解された場所でオリゴヌクレオチドのインサイツの合成を行うように構成され得る。インクジェットプリントヘッドは、合成、例えば合成ウェーハの分解された場所上への標準のホスホラミダイト合成のための試薬の液滴の送達に利用され得る。複数の分解された場所に共通の他の試薬は、大量に送られ得る。・・・したがって、本発明は、複数の小さな容積での反応条件の正確な管理を介する、高品質でのオリゴヌクレオチドおよび長い遺伝子の大きなライブラリの速い合成を熟慮する。本発明のさらなる恩恵は、当該技術分野で既知の従来の合成方法と比較した試薬使用の減少である。 ・・・ 【0134】 基板/ウェーハ 一態様では、作られた、本明細書に記載される方法のいずれかによって作られた官能化された表面を有する基板および官能化された表面を有する基板上でオリゴヌクレオチドを合成する方法が、本明細書に記載される。基板は、複数の分解された場所を有する固体担体を含むことができる。複数の分解された場所は、任意の幾何学的形状、配向または組織を有し得る。分解された場所は、任意のスケールスケール(例えば、ミクロスケールまたはナノスケール)であり得るか、または基板表面に作られたミクロ構造を包含し得る。分解された場所は、少なくとも一寸法を有するマイクロチャネル上で局所化される。基板の個々の分解された場所は、互いに流体的に切り離され得る、例えば、第1オリゴヌクレオチドの合成のための第1の分解された場所は、基板の2つの表面間の第1ビア上にあり得、第2オリゴヌクレオチドの合成のための第2の分解された場所は、基板の2つの表面間の第2ビア上にあり得、第1および第2のビアは、基板内に流体接続されていないが、基板の同じ2つの表面から始まる且つ終了する。幾つかの場合では、分解された場所のミクロ構造は、2-Dまたは3-Dでマイクロチャネルまたはマイクロウェルになり得る。「3-D」マイクロチャネルは、マイクロチャネルのキャビティが相互接続され得るか又は固体担体内に伸長し得ることを意味する。マイクロチャネルまたはマイクロウェル内では、任意の幾何学的形状、配向または組織を有する、第2ミクロ構造または特徴部が存在し得る。二次的特徴部の表面は、二次的特徴部の表面の表面エネルギーを減少させることができる部分で官能化され得る。オリゴヌクレオチドを合成するための試薬の液滴は、マイクロチャネルまたはマイクロウェルへと付着され得る。マイクロウェルは、本明細書で使用されているように、液体を保持することができるマイクロ流体スケールの構造を指す。様々な実施形態では、マイクロウェルは、各端部上の流体開口部を通る、上端部と下端部との間の液体の流れを可能にし、それ故、マイクロチャネルのように作用する。これらの文脈では、マイクロウェルおよびマイクロチャネルという用語は、明細書の全体にわたって交換可能に使用される。 【0135】 図3は、本明細書に記載されるような第1基板、および随意に、第2基板を含むオリゴヌクレオチド合成のためのシステムの例を例証する。インクジェットプリンターのプリンターヘッドは、第1基板の位置に対するX?Y方向に移動することができる。第2基板は、第1基板で密封するためにZ方向に移動することができ、分解されたリアクターを形成する。合成されたオリゴヌクレオチドは、第1基板から第2基板に送達され得る。別の態様では、本発明はまた、オリゴヌクレオチドアセンブリのためのシステムに関する。オリゴヌクレオチドアセンブリのためのシステムは、ウェーハハンドリングのためのシステムを含むことができる。図4は、本発明の様々な実施形態による、基板のレイアウト設計のための例を例証する。基板は、複数のマイクロウェルを含むことができ、マイクロウェルは、均一のピッチ、例えば1.5mmのピッチで配置され得る。代替的に、複数のピッチは、レイアウトの異なる方向で選ばれ得る、例えば、ミクロ構造の列は、第1ピッチによって定義することができ、各列内で、ミクロ構造は、第2ピッチによって分離され得る。・・・図5は、試薬の液滴がインクジェットプリンターによってマイクロウェルへと付着されるときの事例を例証する。液体の液滴は、より小さなマイクロウェル上に広がり、それに充填することができ、これは、幾つかの場合において、隣接面と比較してマイクロウェルの表面の高エネルギーの表面修飾によって促進される。 【0136】 官能化された表面を有する基板上に高密度の分解された場所を有していることが、小さなデバイスを有する及び/又は大多数の分子を小さなデバイスで合成する及び/又は大多数の異なる分子を合成するのに望ましいかもしれない。・・・基板上の分解された場所は、任意の異なる組織を有することができる。例えば、限定なしで、分解された場所は、接近してクラスター化され得、1つ以上の円形領域、長方形領域、楕円領域、不規則領域などを形成する。一態様では、分解された場所は、密接に詰められ、低量の相互汚染を有しているか又は相互汚染を有していない(例えば、1つの分解された場所へと付着される試薬の液滴は、別の最も近い分解された場所へと付着される試薬の液滴と実質的に混合しない)。基板上の分解された場所の組織は、各小領域または全体領域が、流体接続条件下で認められるのと同じ湿度、圧力またはガス含有量、または実質的に類似した湿度、圧力またはガス含有量を有することができるように、ともに包含されて、制御された湿度、圧力またはガス含有量を有する密封されたキャビティを作り出すことを可能にするように設計され得る。基板上の分解された場所のための異なる設計の幾つかの例は、図6A-Cに例証される。例えば、図6Bのbは、穴のアレイ(Array of Holes)と呼ばれるレイアウトの設計であり、図6Bのcは、花(Flowers)と呼ばれるレイアウトの設計であり、図6Bのdは、照準器(Gunsight)と呼ばれるレイアウトの設計であり、および図6Bのeは、放射花(RadialFlower)と呼ばれるレイアウトの設計である。図6Cは、97.765のμmのステンシル上の一連のマイクロウェルで覆われた基板の設計を例証する。図6Cで例証されるようなマイクロウェルは、アイランドへとクラスター化される。マイクロウェルは、インクジェットヘッドからの試薬を充填され得る。 【0137】 基板上の分解された場所の各々は、当該技術分野で既知の任意の形状、または当該技術分野で既知の方法によって作ることができる形状を有することができる。例えば、分解された場所の各々は、円形、矩形、楕円形、または不規則形状である面積を有することができる。幾つかの実施形態では、分解された場所は、液体が大気泡を作り出すことなく容易に流れることを可能にする形状であり得る。 ・・・ 【0140】 基板に組み込まれたミクロ構造は、マイクロチャネルまたはマイクロウェルを含み得、ここでミクロ構造は、基板の上面または底面から始まり、幾つかの場合において、典型的に対抗する表面に流体接続される。 ・・・ 【0143】 複数の分解された場所を有する基板上のマイクロチャネルまたはマイクロウェルなどのミクロ構造は、本明細書に記載されるか、さもなければ当該技術分野に既知の任意の方法(例えば、微細加工プロセス)によって製造され得る。本明細書に開示される基板を製造するのに使用され得る微細加工プロセスは、限定しないが、リソグラフィー;湿式化学、乾燥、およびフォトレジスト除去などの、エッチング技術;マイクロ流体装置/ラボオンチップ、光学的MEMS(MOEMSとも呼ばれる)、RFMEMS、PowerMEMS、およびBioMEMS技術を含む微小電気機械(MEMS)技術、および深掘り反応性イオンエッチング(DRIE);微小電気機械(NEMS)技術;シリコンの熱酸化;電気めっきおよび無電解めっき;ホウ素、リン、ヒ素、およびアンチモン拡散などの拡散プロセス;イオン注入;蒸発(フィラメント、電子ビーム、閃光、およびシャドーイングおよびステップカバレージ)などフィルム付着、スパッタリング、化学蒸着(CVD)、エピタキシー(気相、液相、および分子線)、電気めっき、スクリーン印刷、およびラミネーションなどの、膜蒸着、を含む。」 「 [図:0001403924000001.jpg] ・・・ [図:0001403924000002.jpg] [図:0001403924000003.jpg] [図:0001403924000004.jpg] 」 本d 「【0221】 分解された場所またはリアクターキャップは、一連の複数の筐体内に構成されて、支持体表面へと作られるミクロ構造上に存在することができる。ミクロ構造は、本明細書の他の段落に記載されるように、当該技術分野に既知の方法によって製造され得る。ミクロ構造は、2Dまたは3Dで任意の形状および設計を有しているマイクロチャネルまたはマイクロウェルであり得る。ミクロ構造(例えば、マイクロチャネルまたはマイクロウェル)は、互いに流体連通している少なくとも2つのチャネルを含み得る。例えば、マイクロチャネルは、相互接続され得、それによって、流体が真空吸引などの与えられた条件で浸み込むことを可能にする。個々のミクロ構造は、個々に対処可能且つ分解可能であり得、その結果、2つの分解された場所の中身は、混合されずに維持される。・・・」 本e 「【0494】 流体の微小滴は、最小限の交差汚染と高精度の、本明細書に別記されるような基板内の、表面または分解された場所に送達され得る。」 本f 「【0535】 実施例3:流体デバイス 実質的に平面の基板部分を含む流体デバイスを、図25Dで示されるように、本発明の方法および組成物に従って製造した。基板の断面は、図25Eに示される。基板は、108のクラスターを含、ここで、各クラスターは、流体接続した109のグルーピングを含む。各グルーピング、第1チャネルから伸長する5つの第2チャネルを含む。図25Aは、109のグルーピングを含む各クラスターのデバイス図である。図25Cは、図25Aのクラスターのハンドル図である。図25Bは、11のグルーピングの列を示す図25Aの断面図である。図25Fは、図25Dで示される基板についての別の図であり、ここで、ラベルの位置は視覚化される。図25Gは、図25Aに拡大図であり、クラスターの109のグルーピングを示す。 【0536】 図25Aおよび25Cで示されるように、109のグルーピングが、円状のパターンでクラスターを形成するためにオフセット列に配され、ここで、個々の領域は互いに重複していない。個々のグルーピングは、円を形成する。・・・ 【0537】 図25Aおよび25Cで示される109のグルーピングのクラスターは、図25Aおよび25Cにおいてクラスターに隣接して置かれ得る単一の反応ウェルにおける配置に適した構成で配されている。図25Dにおけるクラスターの残りは、図26および実施例4に記載されるナノリアクタープレートなどの、多くの反応ウェルへの送達を促進する方法で同様に配される。基板は、108の反応ウェルを含み、11,772のグルーピングを提供する。・・・ 【0538】 実質的に平面の基板部分は、図25Dで示されるように、グルーピングの108のクラスターを含む。クラスターは、正方形を形成に配される。・・・ 【0539】 基板は、システムの他のコンポーネントとの流体デバイスのアライメントを促進するために3つの基準マークを含む。第1基準マークは、起点の近くに位置付けられ、ここで、基準マークは、どのクラスターよりも起点に接近している。 ・・・ 【0541】 基板についての別の図が、図25Fに示され、これは、108のクラスターの配置およびラベルの位置を示している。・・・」 「 [図:0001403924000005.jpg] [図:0001403924000006.jpg] [図:0001403924000007.jpg] 」 本g 「【0550】 実施例5:オリゴヌクレオチド合成デバイスの製造 二酸化ケイ素の電気的絶縁体層を挟む約30um厚さのデバイス層および約400um厚さのハンドル層を有するシリコン・オン・インシュレーター(SOI)のウェーハを、図28に例証されるようなフロントエンド処理方法を使用して、エッチングし、三次元の流体接続部を有している多くの特徴部を含む実施例3に記載される典型的な基板を作成した。・・・ 【0551】 実施例3に記載されるデバイスに従って、フォトリソグラフィー、DRIE、およびフォトレジストの剥離をハンドル側繰り返し(図28のE-G)、所望のパターンを生成した。埋め込み酸化物(BOX)を、ウェットエッチングプロセスを使用して除去した(図28のG)。流体特徴部の側壁に付着されたかもしれない混入するフルオロポリマーを、熱酸化によって除去した。熱酸化を、ウェットエッチングプロセスを使用して剥離した。 【0552】 エッチングしたSOIウェーハを、図29に記載されるような処理工程にさらした。 ・・・ 【0556】 図31は、上記の方法に従って製造されたデバイスの画像を示す。」 本h 「【0562】 実施例7 - 2Dオリゴヌクレオチド合成デバイス上の50量体の配列の合成 二次元のオリゴヌクレオチド合成デバイスを、フローセルへと組み込み、これを、フローセルに接続した(AppliedBiosystems(ABI394DNASynthesizer)。二次元のオリゴヌクレオチド合成デバイスを、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4ヒドロキシブチルアミド(Gelest,shop.gelest.com/Product.aspx?catnum=SIT8189.5&Index=0&TotalCount=1)で均一に官能化し、これを、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド合成方法を使用して、50bp(「50量体のオリゴヌクレオチド」)の典型的なオリゴヌクレオチドを合成するために用いた。 【0563】 50量体の配列を、SEQ ID NO.:1に記載される通りであった。 ・・・ 【0572】 オリゴヌクレオチド合成の後、75psiで一晩、チップをガス状のアンモニア中で脱保護した。5つの水滴を表面に塗布し、オリゴ(oligos)を回収した(図45のA)。その後、回収したオリゴを、BioAnalyzer小型RNAチップ上で分析した(図45のB)。」 本i 「【0573】 <実施例8:2Dオリゴヌクレオチド合成デバイス上での100量体の配列の合成> 50量体の配列の合成について実施例7に記載されるものと同じプロセスを、異なる2つのシリコンチップ(1つはN-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシブチルアミドで一様に官能化したものであり、もう1つは11-アセトキシウンデシルトリエトキシシランとn-デシルトリエトキシシランの5/95の混合により官能化したものである)上での100量体のオリゴヌクレオチド(・・・SEQ ID NO.:2)の合成に使用し、表面から抽出したオリゴを、BioAnalyzer装置上で分析した(図46)。 ・・・ 【0576】 次に、PCR増幅したサンプルをクローン化し、サンガー配列決定を行った(Sangersequence)。表4は、チップ1のスポット1-5から採取したサンプル、及びチップ2のスポット6-10から採取したサンプルのためにサンガー配列決定を行った結果を要約する。 【0577】 【表4】 [図:0001403924000008.jpg] 【0578】 故に、合成したオリゴヌクレオチドの高品質と均一性を、異なる表面化学作用により2つのチップ上で繰り返した。全体的に、配列決定した100量体の262のうち233に対応する、全体的に89%が、エラーのない完全な配列であった。」 本j 「【0582】 <実施例9:3Dオリゴヌクレオチド合成デバイス上での100量体の配列の合成> 合成用の活性領域上で11-アセトキシウンデシルトリエトキシシランとn-デシルトリエトキシシランの5/95の混合により差次的に官能化された、実施例3に記載されるような3次元のオリゴヌクレオチド合成デバイスを、本明細書に記載されるオリゴヌクレオチド合成方法を使用して、実施例8の100量体のオリゴヌクレオチドを合成するためにフローセルへ組み込んだ。表3のプロトコルに従い、実施例7に記載されるような標準のDNA合成化学(連結、キャッピング、酸化、及びデブロッキング)を使用して、合成を行った。 ・・・ 【0584】 PCR生成物もBioAnalyzer上で実行し(図50のB)、100量体の位置にて鋭いピークを示した。 【0585】 PCR生成物の配列決定の結果は、29の配列の内の23の配列が完全であり、エラー率が図51の位置合わせマップにより示されるように600bpにおいて~1であり、ここで、「x」は単独の塩基欠失を示し、「星印」は単独の塩基変異を示し、「+」はサンガー配列における低品質スポットを示す。」 本k 「【0586】 <実施例10:3次元のマイクロ流体オリゴヌクレオチド合成デバイス上での並列のオリゴヌクレオチド合成> 実施例9の3次元のマイクロ流体デバイス上で並列のオリゴヌクレオチド合成を実行するために、ハウス設定(house set-up)を使用して、実施例7の合成プロトコルを修正した。」 第5 当審の判断 1.理由1(新規事項)の検討 令和5年1月17日付け手続補正書でした補正により、請求項1に「a)マイクロウェルを含む複数のミクロ構造を有する基板を提供する工程、ここで、複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」ることが加えられた。 ここで、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。なお、当初明細書等には、上記の「第4 本願明細書等の記載」と同じ内容が記載されている。)には、「ミクロ構造」、「分解された場所」、「クラスター」を相互に関連付ける記載として、「分解された場所は、任意のスケールスケール(例えば、ミクロスケールまたはナノスケール)であり得るか、または基板表面に作られたミクロ構造を包含し得る」こと(本cの【0134】)、「分解された場所のミクロ構造は、2-Dまたは3-Dでマイクロチャネルまたはマイクロウェルになり得る」こと(本cの【0134】)、「例えば、限定なしで、分解された場所は、接近してクラスター化され得、1つ以上の円形領域、長方形領域、楕円領域、不規則領域などを形成する」こと(本cの【0136】)、「図6Cで例証されるようなマイクロウェルは、アイランドへとクラスター化される」こと(本cの【0137】)、「図25Aおよび25Cで示されるように、109のグルーピングが、円状のパターンでクラスターを形成するためにオフセット列に配され、ここで、個々の領域は互いに重複していない」こと(本fの【0536】)、「実質的に平面の基板部分は、図25Dで示されるように、グルーピングの108のクラスターを含む」こと(本fの【0538】)が記載されている。 以上の記載から、当初明細書等に、「分解された場所(loci)」には、「ミクロ構造」が包含され、「分解された場所(loci)」やマイクロウェル等の「複数のミクロ構造」が、クラスターを形成すること、換言すれば、「分解された場所(loci)」やマイクロウェル等の「複数のミクロ構造」はクラスターに配置されることが、記載されていることは理解可能である。 しかし、「分解された場所(loci)を提供するクラスター」という請求項1の発明特定事項、すなわち、クラスターが分解された場所(loci)を提供することについては、当初明細書等に記載されておらず、かかる事項が、当初明細書等の記載より自明に導き出せるものとは認められない。 そうすると、令和5年1月17日付け手続補正書でした補正は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものであり、上記補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものとは認められない。 したがって、上記補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 2.理由2(明確性要件)の検討 請求項1の「分解された場所(loci)を提供するクラスター」の記載が何を意味しているか、請求項1の「a)マイクロウェルを含む複数のミクロ構造を有する基板を提供する工程、ここで、複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」るとは、どのような工程であるか、請求項1の記載自体で明確であるとは認められない。 また、当初明細書等と同様に、願書に添付した明細書又は図面(本願明細書等)には、「複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」ることに関する記載はないので、「分解された場所(loci)を提供するクラスター」が具体的に如何なるものか、また、、「a)マイクロウェルを含む複数のミクロ構造を有する基板を提供する工程、ここで、複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」るとは、どのような工程であるか、本願明細書等を参照しても理解、特定することはできない。 ここで、審判請求人は、令和5年5月3日付け意見書で、 (1)請求項1のa)に記載の「マイクロウェルを含む複数のミクロ構造を有する基板を提供する工程、ここで、複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され、複数のミクロ構造は、ヌクレオチド結合に適した化学部分で官能化され」ることは、【0135】~【0137】に記載され、図4、図6B、図6C、図6Aに開示されている点、 (2)クラスターに配置されて、ミクロ構造により提供される分解された場所(loci)が、DNA合成に用いられることは、例えば、【0131】、【0494】等で示されるように明細書全般を通じて記載されている点、 (3)例えば、【0143】~【0160】によると、分解された場所(loci)が、フォトリソグラフィーまたはその他の技術を使用して作製されることが記載されている点 を挙げて、本願明細書等には、「複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」るという構造的特徴を記載および図示するだけではなく、それらがどのように使用され、製造されるかを開示している旨を主張する。 まず、(1)について、検討する。 本願明細書等の【0135】~【0137】に記載され、図4、図6B、図6C、図6Aに開示されている内容(本c)は、上記1.の「理由1(新規事項)の検討」で述べたように、「分解された場所(loci)」には、「ミクロ構造」が包含され、「分解された場所(loci)」やマイクロウェル等の「複数のミクロ構造」が、クラスターを形成すること、換言すれば、「分解された場所(loci)」やマイクロウェル等の「複数のミクロ構造」はクラスターに配置されることに止まるものであり、これらの記載は、「複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」ることを説明するものではない。 次に、(2)について、検討する。 本願明細書等の【0131】には、「DNA合成ウェーハは、正確な管理の下、表面上またその内部で分解された場所でオリゴヌクレオチドのインサイツの合成を行うように構成され得る」こと(本c)、【0494】には、「流体の微小滴は、最小限の交差汚染と高精度の、本明細書に別記されるような基板内の、表面または分解された場所に送達され得る」こと(本e)が記載されるが、審判請求人が指摘するところの「ミクロ構造により提供される分解された場所(loci)」という記載は本願明細書等に存在しないし、上記の【0131】及び【0494】の記載が、「複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」ることを説明するものともいえない。 最後に、(3)について、検討する。 本願明細書等の【0143】には、「複数の分解された場所を有する基板上のマイクロチャネルまたはマイクロウェルなどのミクロ構造は、本明細書に記載されるか、さもなければ当該技術分野に既知の任意の方法(例えば、微細加工プロセス)によって製造され得る。本明細書に開示される基板を製造するのに使用され得る微細加工プロセスは、限定しないが、リソグラフィー」等が採用されることが記載され(本c)、同【0143】~【0160】(本c)、実施例5(本g)には、審判請求人が指摘するように、分解された場所(loci)を有する基板上のミクロ構造がフォトリソグラフィーまたはその他の技術を使用して作製されることが記載されていると認められる。しかし、これらの記載は、「複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」ることを説明するものではない。 以上からすると、審判請求人が(1)~(3)で指摘する箇所を参照しても、本願明細書等に、「複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」るという発明特定事項を具体的に示す技術的説明があるとは認められないから、審判請求人の主張は失当というべきである。 したがって、請求項1の「分解された場所(loci)を提供するクラスター」の記載が何を意味しているか、請求項1の「a)マイクロウェルを含む複数のミクロ構造を有する基板を提供する工程、ここで、複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」るという記載が、どのような工程であるか、当業者に明らかであるとはいえず、これらの記載は、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるというべきであるから、この出願の特許請求の範囲の請求項1の記載は、明確性要件を満たしていない。 3,理由3(実施可能要件)及び理由4(サポート要件)の検討 (1)本願発明が解決しようとする課題 本願明細書の【0003】に「より少ない誤差で効率的に、大きな遺伝子ライブラリまたは比較的より長いオリゴヌクレオチドフラグメントを迅速に合成することができる、方法、デバイスおよびシステムが急速に必要とされている」ことが記載されていること(本a)、また、本願発明が「基板上でn量体オリゴヌクレオチドを合成」する際に、「1/1000塩基未満のエラー率」及び「nは、少なくとも100」を発明特定事項としていることから、本願発明が解決しようとする課題は、「1/1000bp未満のエラー率で予め決められた配列から逸脱する、n量体(nは少なくとも100)の合成されたオリゴヌクレオチドを合成する方法」を提供することにあると認められる。 (2)エラー率の低減に寄与する可能性がある本願発明の発明特定事項 本願発明のc)工程である「合成されたオリゴヌクレオチドを基板から切断する工程」は、オリゴヌクレオチドを基板から切断することだけなので、エラー率の低減に寄与する発明特定事項とは認められない。 同じく、本願発明のb)工程のうち、「個々のオリゴヌクレオチド鎖に少なくとも2つのヌクレオチド構築ブロック(buildingblocks)を結合し、それによって、nの塩基対長である複数のオリゴヌクレオチドを合成する」ことも、「構築ブロックが、ヌクレオチド、ジヌクレオチドまたはトリヌクレオチドを含む」だけのものなので、エラー率の低減に寄与する発明特定事項とは認められない。 一方、a)工程の「複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され、複数のミクロ構造は、ヌクレオチド結合に適した化学部分で官能化され」る「マイクロウェルを含む複数のミクロ構造を有する基板を提供する工程」、及び、b)工程のうち、「分解された場所(loci)の1つに存在する複数の成長している個々のオリゴヌクレオチド鎖に少なくとも2つのヌクレオチド構築ブロック(building blocks)を結合し、それによって、nの塩基長である複数のオリゴヌクレオチドを合成する工程」は、エラー率の低減に寄与する可能性のある発明特定事項と認められる。 (3)本願発明のサポート要件の判断 本願明細書等の「<実施例8:2Dオリゴヌクレオチド合成デバイス上での100量体の配列の合成>」の表4によれば、スポット5、6、8、10において、1/1000bp未満のエラー率で100量体の配列の合成が行えたことが記載されている(本i)。 しかし、「2Dオリゴヌクレオチド合成デバイス」の言及がある実施例8(本i)、実施例7(本h)及びその他の箇所を参照しても、「2Dオリゴヌクレオチド合成デバイス」が、具体的に如何なる構造のものか、また、そのデバイスが、具体的に如何なる製造方法によって製造されたものか説明されていないので、かかるデバイスが、「複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され、複数のミクロ構造は、ヌクレオチド結合に適した化学部分で官能化され」たものであるとは認定できない。 また、本願明細書等の「実施例9:3Dオリゴヌクレオチド合成デバイス上での100量体の配列の合成」では、実施例3に記載されるような3次元のオリゴヌクレオチド合成デバイスを用いたことが記載されており(本j)、実施例3によれば、3次元のオリゴヌクレオチド合成デバイスは、基板部分の各反応ウェルが、第1チャネルから伸長する5つの第2チャネルを有する109のクラスターのグルーピングを含み、当該グルーピングを含む108の反応ウェルが正方形のクラスターを形成し、合計11,772(=109×108)のグルーピングを提供するものであることが記載されている(本f)。 しかし、この3次元のオリゴヌクレオチド合成デバイスが、「複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」たものであるか否かについては、本願明細書等の記載から明らかでない。 加えて、実施例9の【0585】には、「 PCR生成物の配列決定の結果は、29の配列の内の23の配列が完全であり、エラー率が図51の位置合わせマップにより示されるように600bpにおいて~1であり、ここで、「x」は単独の塩基欠失を示し、「星印」は単独の塩基変異を示し、「+」はサンガー配列における低品質スポットを示す。」と記載されているものの(本j)、実施例9の合成方法により、「1/1000bp未満のエラー率で予め決められた配列から逸脱する、n量体(nは少なくとも100)の合成されたオリゴヌクレオチド」が製造できることは確認されていない。 なお、当審では、令和4年10月13日付け拒絶理由通知書及び令和5年2月2日付け審尋の2回にわたり、審判請求人に対し、特許請求の範囲の各請求項に記載された発明特定事項と実施例1~15の記載の関係について、具体的に説明するように求めたが、審判請求人より何らの回答がなされなかった。 よって、実施例1~15の記載を参酌しても、本願明細書等には、本願発明の発明特定事項により、上記(1)の課題を解決できたことが具体的に記載されているとは認められない。 以上からすると、本願発明は、本願明細書等の記載、及び、本願の出願時の技術常識を参酌しても、上記(1)の課題を解決できるものとは認められないから、本願の特許請求の記載は、本願発明について、サポート要件に適合しているとはいえない。 (4)本願発明の実施可能要件の判断 上記(3)でも検討したように、本願明細書等の実施例1~15が、本願発明の具体例に対応するものとは認められないし、実施例1~15の記載、その他の箇所の記載、及び、本願の出願時の技術常識を参酌しても、1/1000bp未満のエラー率で予め決められた配列から逸脱する、n量体(nは少なくとも100)の合成されたオリゴヌクレオチドを合成するための具体的な方法、条件を選択するには、当業者に過度の試行錯誤、実験を要すると認められる。 したがって、本願の発明の詳細な説明の記載は、本願発明について、実施可能要件に適合しているとはいえない。 (5)審判請求人の主張について 審判請求人は、令和5年5月3日付け意見書で、ポリヌクレオチド合成のための分解された場所のミクロ構造は、2-Dまたは3-Dである可能性があり(【0134】)、2-Dミクロ構造は、請求項1に記載されているように、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置することができ、「3-D」に関しては、【0134】に、「「3-D」マイクロチャネルは、マイクロチャネルのキャビティが相互接続され得るか又は固体担体内に伸長し得ることを意味する。」と定義されているため、2-Dでマイクロチャネルまたはマイクロウェルになり得るものであれば、3-Dでマイクロチャネルまたはマイクロウェルになり得るのである旨を主張する。 しかし、本願明細書等の【0134】(本c)を参照しても、ポリヌクレオチド合成のための分解された場所の2-Dであるミクロ構造が、具体的に如何なる構造のものか、また、そのデバイスが、具体的に如何なる製造方法によって製造されるものか、当業者には理解、特定できないし、かかる2-Dであるミクロ構造が、「分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され」たものであることも当業者には理解、特定できない。 したがって、審判請求人の「2-Dミクロ構造は・・・分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置することができ」や「2-Dでマイクロチャネルまたはマイクロウェルになり得るものであれば、3-Dでマイクロチャネルまたはマイクロウェルになり得る」との主張は、本願明細書等の記載に基づくものではなく、採用できない。 また、審判請求人は、同意見書で、全体として、実施例8のデータは、1/1000未満のエラー率を達成できることを明確に示しており、実施例8の合成のプロトコルは、実施例7の表3に詳細に示されていることから、「特定の方法および条件」は、当業者であれば、2D合成面が何を意味するかを含め理解することができると主張する。 しかし、本願明細書等には、実施例8(本i)の「2Dオリゴヌクレオチド合成デバイス」が、具体的に如何なる構造のものか、また、そのデバイスが、具体的に如何なる製造方法によって製造されるものか、説明されておらず、かかるデバイスが、「複数のミクロ構造は、分解された場所(loci)を提供するクラスターに配置され、複数のミクロ構造は、ヌクレオチド結合に適した化学部分で官能化され」たものであることも理解、特定できないから、当業者であっても、2D合成面、すなわち、ポリヌクレオチド合成のための分解された場所の2-Dであるミクロ構造が、何を意味するのか理解、特定できない。 したがって、審判請求人の主張は、理由がない。 (6)小括 上記(3)によると、この出願は、特許請求の範囲の記載が、請求項1に係る発明について、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 上記(4)によると、この出願は、発明の詳細な説明の記載が、請求項1に係る発明について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 第6 むすび 以上のとおり、本願について、令和5年1月17日付け手続補正書でした補正は、特許法第17条の2第3項の規定にする要件を満たしていない。 また、本願は、請求項1に係る発明について、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号及び第2号に規定する要件を満たしておらず、発明の詳細な説明の記載が同法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 したがって、本願は、請求項2~9について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-004067

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