特許拒絶査定不服審判
2021-003767
水性顔料分散体の製造方法
- 審判番号
- 2021-003767
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2020-515989外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年03月23日
- 審決日
- 2022年05月11日
- 公報発行日
- 2022年08月26日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (C09D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2020-515989「水性顔料分散体の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 5月28日国際公開、WO2020/105441〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2019年(令和元年)11月7日(優先権主張 平成30年11月22日)を国際出願日とする出願であって、令和2年3月17日に手続補正がされ、令和2年7月31日付で拒絶理由が通知され、同年9月29日に意見書の提出と共に手続補正がされ、同年12月21日付で拒絶査定がされ(謄本発送は令和3年1月7日)、同年3月23日に本件審判請求がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~7に係る発明は、令和2年9月29日に補正された特許請求の範囲の請求項1~7の記載により特定されるものであるが、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものであると認める。(当審が改行等を加えた。)
「バイオレット顔料、グリーン顔料及びオレンジ顔料からなる群より選ばれる1種以上を含む顔料とアニオン性基を有する顔料分散樹脂とを含有する不揮発分50質量%以上の組成物(a1)を、混練することによって混練物(a2)を製造する工程[1]、
少なくとも前記混練物(a2)と水性媒体とを混合することによって組成物(a3)を製造する工程[2]、
及び、
前記組成物(a3)を30℃~70℃の範囲内で円筒型遠心分離処理する工程[3]
を有することを特徴とする水性顔料分散体の製造方法。」
第3 原査定の概要
1 拒絶査定の記載
令和2年12月21日付の拒絶査定(以下「原査定」という。)は、次の理由を含むものである。
「●理由1(特許法第29条第2項)について
・・・本願請求項1-5に係る発明は、上記拒絶理由において通知した通り、引用文献1、3-4のいずれかに記載された発明と、引用文献2に記載された発明とを組み合わせて、当業者が容易に想到することができたものである。
<引用文献等一覧>
1.特開2008-111061号公報
2.特開2008-222980号公報
3.特開2007-146152号公報
4.国際公開第2008/015998号」
2 拒絶理由通知の概要
前記1の拒絶査定が引用する令和2年7月31日付の拒絶理由通知は、次の理由を含むものである。
「1.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
●理由1(進歩性)について
・請求項1-7
・引用文献3、2
・・・
本願の請求項1に係る発明と引用文献3に記載された発明とは、30~70℃の範囲内で円筒型遠心分離処理する工程を経ているか否かで相違する。
しかしながら、引用文献2の特許請求の範囲、段落[0012]、[0013]、[0035]、[0037]~[0042]、実施例には、媒体液中の少なくとも一部の成分を除去するために遠心処理を行なう工程において、液温35~80℃にて、円筒型等の遠心処理装置を用いることで、遠心処理を効率良く、処理時間の短縮による生産性向上と、遠心処理での収率を向上し、吐出安定性、液安定性に優れたインクジェット用原材料が得られることが記載されている。
してみると、引用文献3に記載された発明における遠心分離を、液温35~80℃にて、円筒型等の遠心処理装置を用いて実施し、本願の請求項1に係る発明とすることは当業者が容易に想到できたことである。」
第4 当審の判断
1 前記第3、1の原査定に引用された引用文献3には次の記載がある。
(1)「【請求項1】
(a)C.I.ピグメントバイオレット23、(b)酸価50~300mgKOH/gのスチレン-アクリル酸系共重合体、(c)アルカリ金属水酸化物、(d)水、及び(e)湿潤剤を含有する混合物を混練し、着色混練物を製造する混練工程と、前記着色混練物をメディアを用いた分散機で水性媒体中に分散する分散工程を有する水性顔料分散液の製造方法であって、前記混練工程において、(b)/(a)の質量比が0.15~0.45の範囲、混練工程の前半における(d)/(a)の質量比が0.04~0.42の範囲であり、分散工程中の被分散物の粘度変化が10%以内であることを特徴とする水性顔料分散液の製造方法。
【請求項2】
前記混練工程の全工程において、前記(d)/(a)の質量比が0.04~0.42の範囲である請求項1に記載の水性顔料分散液の製造方法。
・・・
【請求項5】
前記分散工程の後に遠心分離を行う遠心分離工程を有する請求項1に記載の水性顔料分散液の製造方法。」
(2)「【0004】
そのような特色のための色調の一つとして紫色がある。そして発色と耐光性に優れたバイオレット顔料として、C.I.ピグメントバイオレット23があり、C.I.ピグメントバイオレット23を用いた、インクジェット記録用インクが報告されている・・・
このようにC.I.ピグメントバイオレット23は良好な耐光性を有するにもかかわらず、従来の製造方法では、樹脂をC.I.ピグメントバイオレット23の顔料表面に強固に付着させておくことができず、良好な分散安定性を有するインクジェット記録用インクを形成することができなかった。このため高温における長期保存安定時に凝集を発生することが多く、特にサーマルジェット記録法によって印刷や画像の形成を行う用途に用いた時、十分な吐出安定性や保存安定性、及び光沢を発現させることができなかった。
・・・
【0007】
本発明によれば、耐光性と発色性に優れたC.I.ピグメントバイオレット23を顔料として使用しており、個々の顔料粒子が樹脂によって良好に被覆されるため、耐水性、耐光性、発色性に優れ、その上で高温での長期保存安定性、高光沢を同時に実現するバイオレット色の水性顔料分散液を製造することができる。また、この水性顔料分散液を用いることにより、インクジェット記録用インク、特にサーマルジェットプリント方式のインクジェット記録用プリンターに適したインクジェット記録用インクを製造することができる。」
(3)「【0012】
本発明の水性顔料分散液を製造する方法は、固形の着色混練物を作製する混練工程、これに続くメディア分散機による分散工程を含むが、遠心分離工程を有することが好ましい。混練工程では、凝集状態にある顔料粒子の表面をスチレン-アクリル酸系共重合体で被覆しながら、凝集体の解砕を進行させる。分散工程では顔料の分散を一層完全なものとし、微分散顔料粒子とする。遠心分離工程では、分散工程で十分に分散できなかった粗粒成分を除去することで、その平均分散粒径を一層小さくすることができる。
また、分散工程の後に遠心分離を行うことによって、該水性顔料分散液から作製したインクジェット記録用インクが優れた耐水性、耐光性、発色性、光沢、高温での長期保存安定性に加え、優れた吐出性を発現する水性顔料分散液を製造することができる。以下、各工程別にその内容を説明する。」
(4)「【0013】
1.混練工程
混練工程では、(a)C.I.ピグメントバイオレット23、(b)スチレン-アクリル酸系共重合体、(c)アルカリ金属水酸化物、(d)水、及び(e)湿潤剤を必須成分として形成された粘土状の混合物に対して強い剪断力を与えながら混練をおこなう。本混練工程において顔料の解砕及び顔料表面の樹脂被覆が良好に行われるための、強力な剪断力を混合物に加えるためには、顔料に合わせて混合物の固形分比を適宜調整することが必要なことは当然であるが、本発明においてはさらに(b)スチレン-アクリル酸系共重合体/(a)C.I.ピグメントバイオレット23の質量比と、(d)水/(a)C.I.ピグメントバイオレット23の質量比とを特定範囲に規定している。特にC.I.ピグメントバイオレット23を顔料として用いる場合には、顔料表面へスチレン-アクリル酸系共重合体を強固に固着させるために、顔料と水の比率を特定の範囲に調整することが必要であり、さらに好ましくは、顔料と湿潤剤の比率を特定の範囲とすることが好ましい。さらに混練機からの強力な剪断力で、顔料の解砕と顔料表面の樹脂被覆が良好に進行するためには、スチレン-アクリル酸系共重合体におけるスチレン系モノマー単位の比率と、重量平均分子量とを特定範囲に規定することが重要である。
・・・
【0015】
(d)水の量は、混練工程の前半において(d)/(a)の質量比が0.04~0.42の範囲となるように調整を行うが、0.05~0.03となる範囲で混練を行うことが好ましく、0.05~0.20となる範囲で混練を行うことがより好ましい。・・・」
(5)「【0019】
2.分散工程
かくして得た混合物を、メディアを用いた分散機で水性媒体中に分散させ、顔料であるC.I.ピグメントバイオレット23の分散を促進させる。この工程で重要な点は、過度な分散をおこなうと、樹脂と顔料の良好な相互作用を低下させ、顔料表面を強い相互作用で被覆した樹脂が顔料表面から脱離することである。樹脂が脱離した顔料表面は、他の顔料と集合体を形成しやすく、また経時的な凝集を起こしやすく分散安定性に悪影響を及ぼす。特にC.I.ピグメントバイオレット23は顔料表面から樹脂が脱離し易く、顔料同士の吸着が特に高温領域で進行しやすい。
・・・
【0021】
かかる分散は通常、0~50℃の範囲で行えるが温度は特に限定されない。具体的には連続式ビーズミルを用いた場合、既述の混練工程を行った後にビーズの充填率を約80体積%にして、1~5分間、好ましくは2~4分間の滞留時間でおこなうと上記の範囲内の粗粒濃度を得ることが容易である。
分散工程に使用されるメディアを用いた分散機としては、サンドミル、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、スパイクミル、アジテーターミル、ピンミル等を挙げることができる。・・・」
(6)「【0022】
3.遠心分離工程
上記工程の後に遠心分離をおこなうことで、残留した粗粒を低減でき、より吐出特性に優れたインクを与える水性顔料分散液が得られる。遠心分離工程後の水性顔料分散液中の粒径1μm以上の粗粒濃度は1千万個/mL以下に抑えることが好ましい。遠心分離操作は慣用の遠心分離設備で実施されてよく、5000~30000Gの遠心力で、10~70℃の温度、2~10分の時間の条件の中で適宜最適な条件を設定して行うことができる。また遠心分離操作は繰り返し行われてもよい。また遠心分離工程の後にろ過の工程を用いることも可能である。得られた遠心分離工程後の水性顔料分散液中の顔料濃度は10~20質量%であることが好ましい。
遠心分離工程を活用することによって、顔料に固着した樹脂が脱離するような強い分散条件で分散工程を行わないために、かりに粗大粒子が水性顔料分散液中に残存したとしても、これを効果的にとりのぞくことが出来る。
【0023】
こうして得られた水性顔料分散液は通常、平均粒径が100nm程度の微分散した顔料分散粒子を含み、該水性顔料分散液より、インクジェット記録用インクを常法により調製することができる。」
(7)「【0043】
<実施例1>
〈水性顔料分散液の調製〉
スチレン-アクリル酸共重合体(A-1) 150部
C.I.ピグメントバイオレット23 500部
(Hostaperm Violet RL Spec.クラリアント社製)
8N水酸化カリウム水溶液 67.1部
ジエチレングリコール 260部
上記配合の混合物を作製し、50L容量のプラネタリーミキサー(井上製作所製PLM-V-50V)に投入し、自転回転数35rpm、公転回転数24rpmで360分間混練を行った。20分後に、混合物が纏まり、棒状となりそのままを続けた。この間の消費電流値は6~12アンペアで攪拌翼の回転周期に応じて増減を繰り返した。これは混合物が極めて高粘度の半固形であるために、容器内部に均一に分布せず、攪拌翼が、混合物を周期的にせん断する毎に大きな力がこれに加わることによる。
360分経過後、レットダウン操作として、水/顔料質量比の増大速度として平均約0.015/分となる速度で添加し、顔料濃度が29.3質量%の均一な混合物を得た。
得られた混合物をステンレスドラムに移送し、
イオン交換水 1162部
ジエチレングリコール 220部
を加え、攪拌モーターで均一に混合したものを、ビーズミル(浅田鉄工(株)製ナノミルNM-G-2L)に通じ、20℃の温度、2.5分の滞留時間で分散し分散物を得た。
次いで、この分散物を、連続式遠心分離機(国産遠心器(株)製 H-600S、2L容量)に通じ、25℃の温度、18900Gの遠心力、10分間の滞留時間で、連続的に遠心分離行い、14.8%の顔料濃度を有する水性顔料分散液を得た。
・・・
【0046】
・・・
B.水性顔料分散液の特性測定
<粗粒の定量>
上記の実施例、比較例で得られた水性顔料分散液を、イオン交換水で100倍に希釈し、サイジングシステムズ製のアキュサイザー780APS粒度分析装置に通じ、1μm以上の粗粒の個数を求め、稀釈前の1mL中の個数に換算した。測定は分散工程後と遠心分離工程後に行った。
・・・
【0051】
[図:0001386829000001.jpg]
」
2 前記第3、1の原査定に引用された引用文献2には次の記載がある。
(1)「【請求項1】
媒体液中の少なくとも一部の成分を除去するために遠心処理を行なう工程を含むインクジェット用原材料あるいはこれを用いたインクジェット用インクの製造方法において、該遠心処理が、液温30℃以上にて行なわれたものであることを特徴とするインクジェット用原材料あるいはインクジェット用インクの製造方法。
【請求項2】
前記遠心処理の際の液温が35~80℃であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用原材料あるいはインクジェット用インクの製造方法。
・・・
【請求項5】
前記遠心処理を行なう液温での粘度が、1000mPa・s以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット用原材料あるいはインクジェット用インクの製造方法。
【請求項6】
前記遠心処理を行なう液温での粘度が、25℃での粘度の80%以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット用原材料あるいはインクジェット用インクの製造方法。
・・・
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかに記載の製造方法により製造されたインクジェット用原材料あるいはインクジェット用インク。
【請求項19】
前記顔料混合物が分散剤により分散されている顔料混合物であることを特徴とする請求項18に記載のインクジェット用原材料あるいはインクジェット用インク。
【請求項20】
水系溶媒と分散剤として下記一般式(I)のEOナフタレン化合物を含有することを特徴とする請求項19に記載のインクジェット用原材料あるいはインクジェット用インク。
【化1】
[図:0001386829000002.jpg]
(式中、R1は炭素数1~20のアルキル基、アリル基、アラルキル基を表わし、lは0~7の整数を、mは30~60の整数を表わす。)」
(2)「【0003】
一方、カーボンブラックや各種の有機顔料を分散させた顔料系インクは染料系インクと比較して耐光性に優れるため盛んに研究されている。
顔料インクは、一般に水やアルコール類等の水性溶媒中に、色材及び分散剤を予備分散させた分散物を調整したのち、この分散物をサンドミルのメディア型分散機等を用いて所定の程度まで分散させる分散処理を行ない、分散液を作製する。次いで所定の濃度に希釈することにより調整されている。
なお上記の分散剤による分散液のほかに、自己分散型やマイクロカプセル型といった分散方式により分散された分散液もある。
【0004】
近年においてはノズルの目詰まり改善、画像の高濃度化、色域の改善、精細性向上を図るためにインクに含有される顔料の粒径を更に小さくすることが要求されてきている。顔料系インクの分散処理においては、分散機の方式、分散プロセス条件等の選択で顔料粒子の小粒径化を図る検討が行なわれている。
しかし、分散処理のみでは約0.5μm以上のいわゆる粗大粒子を十分に低減させることができず、分散液中に多くの粗大粒子が残ってしまう。そのためノズルの目詰まり改善、画像の高濃度化、色域の改善、精細性向上を十分に図ることはできていない。
【0005】
そこで分散処理のあとに遠心処理を行なうことで粗大粒子を低減させる提案も数多くなされている。
というよりむしろ、顔料インク調製の場合、分散処理操作後に未分散粗大粒子の分離操作を省くことの方が、現状では特異であると云える。・・・
【0006】
しかし、現在提案されている遠心処理では、その処理時間が長いため生産性が低下する問題がある。また遠心処理により分散液の収率が低下する。更に遠心処理後は分散液内の顔料濃度も低下する。
特許文献2(特開平03-064376号公報)では、長期放置でもインク中に凝集物が発生しないインクを得る目的で、50℃以上で100時間以上加熱処理(加熱エージング)した後、遠心処理を行なった分散液を用いたインクジェット用インクが提案されている。この提案でも加熱処理した後に遠心処理をしており、遠心処理は室温で行なっている。化学常識的に、全ての凝集反応及び吸着反応は、例外なく、発熱反応(内部潜熱の放出反応)であって見れば、加熱処理した後に、室温で遠心処理すること、すなわち、凝集し易いものは速やかに凝集させ、遠心分離処理中の凝集物生成を避けることは、当然であるとも云える。この場合、それでも遠心処理の処理時間が長いため生産性が低下し、また遠心処理により分散液の収率が低下する。更に遠心処理後は分散液内の顔料濃度も低下するといった問題がある。
以上のように遠心処理の工程にはいまだ課題があり、その改善が必要となっている。」
(3)「【0012】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
本発明者らは、上記課題の解決について鋭意検討した結果、遠心処理の効率を良くするためには、遠心力、処理時間とともに遠心処理時の液温が重要であり、これまで遠心処理については常温(室温、周辺温度)で行なわれるのが一般的であったが、液温を30℃以上の高温にして遠心処理を行なうことで、遠心処理を効率良く行なえ、遠心処理での処理時間の短縮による生産性向上と、遠心処理での収率を向上し、吐出安定性、液安定性に優れたインクジェット用原材料あるいはインクジェット用インクとその製造方法、及びこのインクジェット用原材料を使用したインク、このインクを用いたインクカートリッジ、インクジェットプリント装置、画像形成方法、画像形成物を得ることができることを見出し本発明に至った。
なお、この遠心処理をするタイミングは、インクジェット用原材料の状態で行なっても良いし、その原材料をその他の溶媒にて希釈した後に行なってもよく、或いは原材料にその他の添加剤を添加してから行なっても良いし、完全にインクにした後に行なっても良い。
【0013】
前記のように本発明の特徴は、少なくとも一部の成分を除去するために遠心処理を行なうインクジェット用原材料あるいはインクジェット用インクにおいて、液温を30℃以上にして遠心処理を行なうことを特徴とするインクジェット用の材料あるいはインクジェット用インクが提供される。30℃未満では遠心処理の効率を良くする効果は少ない。更に好ましくは35~80℃である。35℃以上だと遠心処理の効率を上げる効果が更に大きく、80℃を超えると、液の安定性に悪影響を与えたり、遠心処理中に溶媒(水分等)が蒸発しやすくなるといった悪影響があることがある。
本発明の遠心処理は、遠心力によって少なくとも一部の成分を除去することができるものであれば、任意の遠心処理装置を用いることができる。
例えば、遠心沈降管型、円筒型、デカンタ型、分離板型、バスケット型、液体サイクロン等の遠心沈降機が挙げられ、バッチ式と連続式、循環式などを使用することができる。
これらに限定されるわけではないが具体的には、バッチ式では(株)久保田製作所製 ハイブリッド高速冷却遠心機6200 恒温用冷却遠心機(オプション)付、連続式では(株)関西遠心分離機製作所製 KS型超高速遠心分離機や三菱化工機(株)製 三菱ディスクセパレータ等などが挙げられる。
・・・
【0015】
本発明の特徴である遠心処理時の液温については30℃以上にできれば、任意の方法で行なって良い。その中でも比較的簡単な構造で液温を上げる手段として、遠心処理を行なう装置内を加熱することで行なうことが好ましい。装置内を加熱する手段としては、内部にヒーターなどを設置しても良いし遠心処理機の外部から加熱しても良い。また、別の方法として遠心処理を行なう前に液を加熱することで行なう方法も好適に用いることができる。この前もって液を加熱する手段としては、遠心処理がバッチ式であれば加熱した液をセットして遠心処理すれば良い。連続式や循環式の場合は、遠心処理前の液を槽の中で加熱しておき遠心処理機内に送り込めば良い。あるいは遠心処理機に送り込む配管内に加熱部を設けて液温を上げた液を送り込む方法などが挙げられる。
【0016】
その他遠心処理における条件として、遠心処理時間があるが、除去する成分が目的とする量まで除去できる時間以上とする。但し、必要以上に長くすることは生産性が悪化し、またその他の有効な成分まで除去されてしまう可能性や、液の安定性を損なう恐れがあるので、これらを考慮して設定する。
特に限定するわけではないが、通常バッチ式ならば、0.2時間~100時間程度である。連続式は液の供給速度で調整することになるが、0.2時間~100時間遠心処理部内に液が滞留する様に供給速度を設定する。循環式でも遠心処理部内に液が滞留する時間が0.2時間~100時間程度となる時間に設定して行なう。」
(4)「【0017】
遠心処理を行なう液温での粘度は1000mPa・sで以下であることが好ましい。
1000mPa・sを超えている場合でも遠心処理により少なくとも一部の成分を除去させることは可能であるが、処理時間が長くかかり生産性が良くない。また遠心処理での液の収率が悪くなる。特に顔料の粗大粒子を除去する場合は、粗大粒子以外の顔料も沈降してしまい遠心処理後の液内の顔料濃度も低下しやすい傾向にある。1000mPa・s以下とすることで遠心処理後の顔料濃度の低下を改善できる。
【0018】
前記インクジェット用原材料あるいはインクジェット用インクにおいて、遠心処理を行なう液温での粘度が25℃での粘度の80%以下となる液温で遠心処理を行なうことが好ましい。
本発明では遠心処理での液温を常温(室温、周辺温度)つまり25℃程度で行なった場合に比べ、液温を30℃以上にすることで遠心処理を効率よく行なうことができる。これは液温を上げることで液の粘度が下がり遠心処理の効率を上げることができることが要因の一つである。
そのため30℃以上の液温の中でも、とりわけ粘度を25℃での粘度の80%以下となるまで下げることができる液温で遠心処理を行なうことが好ましく、これにより遠心処理の効率をより上げる効果を得ることができる。通常粘度を80%まで下げれば、25%程度遠心処理の効率を上げることができる。
なお、本発明に於ける粘度は、従来公知の測定方法により計測することができる。例えば、東機産業(株)社製の粘度計RE?500Uを使用して測定することができる。」
(5)「【0028】
前記遠心処理にて、約0.5μm以上の粒径の顔料粒子の総個数を遠心処理前の25%以下に低減させることが好ましい。
1/4以下とすることで粗大粒子を除去する効果が得られ、目詰まりの改善、画像の高濃度化、色域の改善、精細性向上を図ることができる。1/4より多い場合は十分に粗大粒子を除去できてはいないため前記の改善効果が十分ではない。
前記0.5μm以上の粗大粒子の測定は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した方法等により行なうことができ、例えば、個数カウント方式粒度分布測定装置(Particle Sizing Systems社製、「AccuSizer 780」)などを用いて行なうことができる。」
(6)実施例等
ア 「【0051】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は何らこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数は質量部を表わすものである。
<顔料分散体作成例-1>
ピグメントレッド122 350部
(大日本インキ社製、FASTOGEN SUPER MAGENTA RG、1次粒子径100nm)
一般式(I)の化合物 80部
(l=0、m=40、POEの位置はβ位)
蒸留水 570部
上記の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL-PA型、メディア:0.3mmφジルコニアボール使用)で15間循環分散し、平均粒子径78.5nmの顔料分散液(A)を得た。
【0052】
<顔料分散体作成例-2>
ピグメントブルー15:3 300部
(東洋インク製造社製、LIONOL BLUE FG7351、一次粒子径30~50nm)
一般式(I)の化合物 150部
(l=0、m=40、POEの位置はβ位)
パイオニンA-51-B(竹本油脂社製) 1部
蒸留水 549部
上記の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL-PA型、メディア:0.3mmφジルコニアボール使用)で12間循環分散し、その後70℃で12時間静置して加熱エージングを行ない、平均粒子径70.9nmの顔料分散液(B)を得た。
【0053】
<顔料分散体作成例-3>
ピグメントイエロー74 200部
(大日精化製、エローNo.43、平均1次粒子径50nm)
一般式(I)の化合物 100部
(l=0、m=40、POEの位置はβ位)
蒸留水 700部
上記の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL-PA型、メディア:0.3mmφジルコニアボール使用)で40時間循環分散し、その後攪拌しながら70℃で2時間加熱エージングを行ない、平均粒子径57.4nmの顔料分散液(C)得た。
【0054】
<顔料分散体作成例-4>
カーボンブラック MCF88(三菱化学株式会社製) 150部
一般式(I)の化合物 100部
(l=0、m=40、POEの位置はβ位)
蒸留水 750部
上記の混合物をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社KDL-PA型、メディア:0.3mmφジルコニアボール使用)で40時間循環分散し、平均粒子径138nmの顔料分散液(D)得た。
【0055】
上記方法で得られた顔料分散液(A)~(D)を用いて、下記の条件で遠心処理を行なった。」
イ 「【0056】
(実施例1)
(株)関西遠心分離機製作所製 KS型超高速遠心分離機 型式U1-160-H0号(前開放型)の装置の回りにヒーターを巻き付け加熱温度制御を可能にした装置を用い、液温を30℃にし、遠心力20000G、循環方式で遠心処理部内の液の滞留時間が180minとなるよう、上記方法で得られた顔料分散液(A)について遠心処理を行なった。その後得られた遠心処理後の顔料分散液を1.2μmメンブレンフィルターでろ過した。
【0057】
(実施例2)
(株)久保田製作所製 ハイブリッド高速冷却遠心機6200 恒温用冷却遠心機(オプション)付を用い、液温を40℃にし、遠心力10000G、バッチ式で遠心処理時間120minに設定し、上記方法で得られた顔料分散液(B)を前もって40℃に加熱した後にセットし遠心処理を行なった。その後得られた遠心処理後の顔料分散液を1.2μmメンブレンフィルターでろ過した。
【0058】
(実施例3)
(株)関西遠心分離機製作所製 KS型超高速遠心分離機 型式U1-160-H0号(前開放型)の装置の回りにヒーターを巻き付け加熱温度制御を可能にした装置を用い、液温を60℃にし、遠心力5000G、循環方式で遠心処理部内の液の滞留時間が50minとなるよう、上記方法で得られた顔料分散液(C)について遠心処理を行なった。なお、循環に用いる槽の回りにもヒーターを巻き付け加熱温度制御を可能にし、槽内の液温も60℃にして行なった。その後得られた遠心処理後の顔料分散液を1.2μmメンブレンフィルターでろ過した。
【0059】
(実施例4)
(株)関西遠心分離機製作所製 KS型超高速遠心分離機 型式U1-160-H0号(前開放型)の装置の回りにヒーターを巻き付け加熱温度制御を可能にした装置を用い、液温を80℃にし、遠心力500G、循環方式で遠心処理部内の液の滞留時間が270minとなるよう、上記方法で得られた顔料分散液(D)について遠心処理を行なった。なお、循環に用いる槽の回りにもヒーターを巻き付け加熱温度制御を可能にし、槽内の液温も80℃にして行なった。その後得られた遠心処理後の顔料分散液を1.2μmメンブレンフィルターでろ過した。
【0060】
上記実施例1~4を行なった際の結果を表2に示す。・・・」
ウ 「【0061】
(比較例1)
実施例1において、液温を25℃にした以外は同様にして行なった。
【0062】
(比較例2)
実施例2において、液温を25℃にした以外は同様にして行なった。
【0063】
(比較例3)
実施例3において、液温を25℃にした以外は同様にして行なった。
【0064】
(比較例4)
実施例4において、液温を25℃にした以外は同様にして行なった。
【0065】
(比較例5)
実施例2において、液温を25℃にし、遠心処理時間を158minと2倍にした以外は同様にして行なった。
【0066】
(比較例6)
実施例3において、液温を25℃にし、遠心処理時間を68minと2倍にした以外は同様にして行なった。」
エ 「【0067】
【表2】
[図:0001386829000003.jpg]
」
オ 「【0068】
表2のように、実施例1~4と比較例1~4のように、液温以外を同じ条件で遠心処理を行った場合を比較すると、実施例の条件で行なった場合のほうが、いずれも遠心処置後の0.5μm以上の粒径の顔料粒子の総個数が少なくなっており、25℃で行なった比較例より遠心処理の効率が良い。また、遠心処理後の顔料濃度も比較例より実施例の方が高く、粗大粒子のみを効果的に除去できている。
更に表2の、比較例5,6に示すとように、液温が25℃の場合は遠心処理時間を2倍に延ばしても、実施例2,3の液温を上げた条件で遠心処理を行なった場合のほうが、いずれも遠心処置後の0.5μm以上の粒径の顔料粒子の総個数が少なくなっており、25℃で行なった比較例より遠心処理の効率が良い。また、遠心処理後の顔料濃度も比較例より実施例の方が高く、粗大粒子のみを効果的に除去できている。」
3 引用発明の認定
(1)前記1(7)で摘記した引用文献3の実施例1から次の発明(以下「引用発明」という。)が認定できる。
「C.I.ピグメントバイオレット23を500部、スチレン-アクリル酸系共重合体を150部、8N水酸化カリウム水溶液67.1部、ジエチレングリコール260部を含有する混合物をプラネタリーミキサーで混合する工程<1>と、
レットダウン操作として、水/顔料質量比の増大速度として平均約0.015/分となる速度で添加し、顔料濃度が29.3質量%の均一な混合物とし、これをステンレスドラムに移送し、イオン交換水1162部、ジエチレングリコール220部を加え、ビーズミルで分散する工程<2>と、
連続式遠心分離機(国産遠心器(株)製 H-600S、2L容量)を用い、25℃の温度、18900Gの遠心力、10分間の滞留時間で、連続的に遠心分離を行う工程<3>
を有する水性顔料分散液の製造方法。」
4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)本願発明の工程[1]と引用発明の工程<1>
ア 不揮発分
引用発明における各成分のうち、揮発分となり得るのは水及びジエチレングリコールであるから、引用発明の混練工程における揮発分について検討すると、8N水酸化カリウム水溶液中の水酸化カリウムを無視したとしても、(67.1+260)/(67.1+260+500+150)=327.1/977.1=33.48%となる。
そうすると、引用発明の工程<1>における各成分のうち、不揮発分は50質量%以上であることがわかるから、引用発明の「C.I.ピグメントバイオレット23を500部、スチレン-アクリル酸系共重合体を150部、8N水酸化カリウム水溶液67.1部、ジエチレングリコール260部を含有する混合物をプラネタリーミキサーで混合する工程」は、本願発明の「不揮発分50質量%以上の組成物(a1)を、混練することによって混練物(a2)を製造する工程」を充足する。
イ 引用発明における「C.I.ピグメントバイオレット23」は、本願発明における「バイオレット顔料、グリーン顔料及びオレンジ顔料からなる群より選ばれる1種以上を含む顔料」に相当する。
ウ 前記1(4)に摘記した引用文献3の段落【0013】に、「特にC.I.ピグメントバイオレット23を顔料として用いる場合には、顔料表面へスチレン-アクリル酸系共重合体を強固に固着させるために、顔料と水の比率を特定の範囲に調整することが必要」と記載されているように、スチレン-アクリル酸系共重合体は、顔料分散樹脂に相当する。また、アクリル酸には、カルボキシル基が存在し、アニオン性であるから、引用発明の「スチレン-アクリル酸系共重合体」は、本願発明の「アニオン性基を有する顔料分散樹脂」に相当する。
エ 以上から、引用発明における「C.I.ピグメントバイオレット23を500部、スチレン-アクリル酸系共重合体を150部、8N水酸化カリウム水溶液67.1部、ジエチレングリコール260部を含有する混合物をプラネタリーミキサーで混合する工程<1>」は、本願発明における「バイオレット顔料、グリーン顔料及びオレンジ顔料からなる群より選ばれる1種以上を含む顔料とアニオン性基を有する顔料分散樹脂とを含有する不揮発分50質量%以上の組成物(a1)を、混練することによって混練物(a2)を製造する工程[1]」に相当する。
(2)本願発明における工程[2]と引用発明の工程<2>
ア 引用発明における「イオン交換水1162部、ジエチレングリコール220部」は本願発明の「水性媒体」に相当する。
イ 引用発明の「ビーズミルで分散」は、本願発明の「前記混練物を水性媒体に混合」に相当する。
ウ 以上から、引用発明における「レットダウン操作として、水/顔料質量比の増大速度として平均約0.015/分となる速度で添加し、顔料濃度が29.3質量%の均一な混合物とし、これをステンレスドラムに移送し、イオン交換水1162部、ジエチレングリコール220部を加え、ビーズミルで分散する工程<2>」は、本願発明における「少なくとも前記混練物(a2)と水性媒体とを混合することによって組成物(a3)を製造する工程[2]」に相当する。
(3)本願発明の工程[3]と引用発明の工程<3>
引用発明における「分散工程の後に遠心分離を行う遠心分離工程を有する水性顔料分散液の製造方法」は、「遠心分離処理する工程[3]を有する・・・水性顔料分散体の製造方法」である点で本願発明と共通する。
(4)一致点
以上から、引用発明と本願発明とは次の点で一致する。
「バイオレット顔料、グリーン顔料及びオレンジ顔料からなる群より選ばれる1種以上を含む顔料とアニオン性基を有する顔料分散樹脂とを含有する不揮発分50質量%以上の組成物(a1)を、混練することによって混練物(a2)を製造する工程[1]、
少なくとも前記混練物(a2)と水性媒体とを混合することによって組成物(a3)を製造する工程[2]、及び、
前記組成物(a3)を遠心分離処理する工程[3]
を有することを特徴とする水性顔料分散体の製造方法。」
(5)相違点
本願発明は、次の点で引用発明と相違する。
遠心分離において、本願発明においては、「30℃~70℃の範囲内で円筒型遠心分離処理」と特定されるのに対して、引用発明においては「連続式遠心分離機(国産遠心器(株)製 H-600S、2L容量)を用い、25℃の温度、18900Gの遠心力、10分間の滞留時間で、連続的に遠心分離」する点。
5 相違点についての判断
(1)引用発明における連続式遠心分離機(国産遠心器(株)製 H-600S、2L容量)が、「円筒型」であるか否かは明らかでなく、引用発明における温度も25℃であり、「30℃~70℃の範囲内」にあるものではない。しかしながら、前記1(6)に摘記したように引用文献3の段落【0022】には、「遠心分離操作は慣用の遠心分離設備で実施されてよく、5000~30000Gの遠心力で、10~70℃の温度、2~10分の時間の条件の中で適宜最適な条件を設定して行うことができる。」と記載されており、常温より高温にして遠心分離操作を行うことは示唆されている。
(2)ここで、前記2(3)に摘記した引用文献2の段落【0012】には、「遠心処理の効率を良くするためには、遠心力、処理時間とともに遠心処理時の液温が重要であり、これまで遠心処理については常温(室温、周辺温度)で行なわれるのが一般的であったが、液温を30℃以上の高温にして遠心処理を行なうことで、遠心処理を効率良く行な」えることが記載され、また、2(6)に摘記した実施例及び比較例の対比からも、25℃で行うよりも30℃、40℃、60℃で遠心分離を行う方が粗大粒子が減少していることから、残留した粗粒を低減するために遠心分離をおこなう(引用文献3の【0022】)ものである引用発明において、粗大粒子をさらに減少させるために遠心分離処理温度をそのような温度とすることは当業者が容易になし得ることである。
(3)また、前記2(6)の実施例1、3、4で用いられた高速遠心分離機も回りにヒーターを巻き付けていることから、円筒型であると認められる。
(4)したがって、引用文献2の実施例1、3、4に記載の遠心分離機及び温度条件を引用発明に採用することにより本願発明は当業者が容易に発明をすることができたものといえる。
(5)そして、本願発明が相違点に係る構成により予測できない効果を奏しているということもできない。
6 請求人の主張に対して
請求人は審判請求書において、引用文献3における遠心分離条件が2~10分であるのに対して、引用文献2における遠心分離条件が循環方式を用い、液の循環時間が180min.(引用文献2の【0056】)と条件が異なるので適用に阻害要因があると主張する。
しかしながら、引用文献2の段落【0016】には、「特に限定するわけではないが、通常バッチ式ならば、0.2時間~100時間程度である。連続式は液の供給速度で調整することになるが、0.2時間~100時間遠心処理部内に液が滞留する様に供給速度を設定する。循環式でも遠心処理部内に液が滞留する時間が0.2時間~100時間程度となる時間に設定して行なう。」と記載されており、引用文献2には短時間の遠心分離条件も開示されているから、請求人の主張は前提に誤りがあって採用できない。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、他の請求項に係る発明について検討するまでなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-003767