特許拒絶査定不服審判
2022-007542
コーティング組成物
- 審判番号
- 2022-007542
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-019684外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2022年05月19日
- 審決日
- 2024年03月27日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】株式会社ADEKA
- 【請求人代理人】弁理士法人翔和国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-Z (C09D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018- 19684「コーティング組成物」拒絶査定不服審判事件〔令和 1年 8月22日出願公開、特開2019-137727〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成30年2月6日の特許出願であって、令和3年9月2日付けの拒絶理由の通知に対し、応答がなかったため、令和4年2月25日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、同年3月1日に拒絶査定の謄本が送達された。
これに対して、令和4年5月19日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。
第2 補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和4年5月19日にされた手続補正を却下する。
[理由]
1 手続補正の内容
令和4年5月19日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲の請求項1、及び請求項1を引用する請求項3について、次のように補正する補正事項を含むものである。下線は補正箇所を示す。
(1)本件補正前
「【請求項1】
カチオン重合性成分(A)、及びカチオン重合開始剤(B)を含有するコーティング組成物であって、
前記カチオン重合性成分(A)は、脂環式エポキシ化合物(A1)から選ばれる1種又は2種以上、及び脂肪族エポキシ化合物(A2)から選ばれる1種又は2種以上を含有するコーティング組成物。」
「【請求項3】
前記カチオン重合性成分(A)として、更にオキセタン化合物(A4)を含有する請求項1又は2に記載のコーティング組成物。」
(2)本件補正後
「 【請求項1】
カチオン重合性成分(A)、及びカチオン重合開始剤(B)を含有するコーティング組成物であって、
前記カチオン重合性成分(A)は、脂環式エポキシ化合物(A1)から選ばれる1種又は2種以上、脂肪族エポキシ化合物(A2)から選ばれる1種又は2種以上、及びオキセタン化合物(A4)を含有し、
前記重合開始剤(B)は、スルホニウムカチオンとヘキサハロゲノアンチモネートとからなるスルホニウム塩を含有する、コーティング組成物。」
「 【請求項3】
カチオン重合性成分(A)、及びカチオン重合開始剤(B)を含有するコーティング組成物であって、
前記カチオン重合性成分(A)は、脂環式エポキシ化合物(A1)から選ばれる1種又は2種以上、脂肪族エポキシ化合物(A2)から選ばれる1種又は2種以上、及びオキセタン化合物(A4)を含有し、
前記カチオン重合性成分(A)中の前記脂環式エポキシ化合物(A1)の含有量が30~65質量%であり、前記脂肪族エポキシ化合物(A2)の含有量が20~35質量%であるコーティング組成物。」
2 本件補正の目的
本件補正は、請求項1の「カチオン重合性成分(A)」について、請求項3の記載に基いて「オキセタン化合物(A4)を含有」することを特定するとともに、「カチオン重合開始剤(B)」について、本願明細書の【0024】~【0033】の記載に基いて「スルホニウムカチオンとヘキサハロゲノアンチモネートとからなるスルホニウム塩を含有」することを限定する補正事項を含むものである。
また、本件補正は、請求項1の記載を引用する形式で記載された本件補正前の請求項3の記載を、請求項1の記載を引用しない形式の記載にするとともに、本願の明細書の【0055】の【表1】及び【0056】の【表2】の「脂環式エポキシ化合物(A1)」及び「脂肪族エポキシ化合物(A2)」の配合割合に基づいて、「カチオン重合性成分(A)中の前記脂環式エポキシ化合物(A1)の含有量が30~65質量%」であること、及び「脂肪族エポキシ化合物(A2)の含有量が20~35質量%」であることを限定する補正事項を含むものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものである。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明1」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際、独立して特許を受けることができるものであるか)について以下で検討する。
また、予備的に、本件補正後の請求項3に記載された発明(以下「本件補正発明3」という。)についても、独立して特許を受けることができるものであるか否かについて検討する。
3 独立特許要件についての判断
(1)本件補正発明
本件補正発明1及び本件補正発明3は、前記1(2)に記載したとおりのものである。
(2)原査定で引用された引用文献及びその記載事項
ア 引用文献
引用文献1:国際公開第2015/005211号
引用文献2:特開2017-173780号公報
イ 引用文献1の記載事項
「[0001] 本発明は、カチオン重合性組成物及び該カチオン重合性組成物に活性エネルギー線を照射することによって得られる硬化物に関する。該カチオン重合性組成物は、特に接着剤に有用である。
[0002] カチオン重合性組成物は、インキ、塗料、各種コーティング剤、接着剤、光学部材等の分野において用いられている。」
「[0005] 本発明の目的は、硬化性、接着性及び耐水性に優れるカチオン重合性組成物を提供することにある。
[0006] 本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、(1)カチオン重合性有機物質として、芳香族エポキシ化合物(1A)を主成分として含有し、さらに脂肪族エポキシ化合物(1B)又は脂環式エポキシ化合物(1C)の少なくとも一方を含有するカチオン重合性有機物質混合物、及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有することを特徴とするカチオン重合性組成物を提供することで、上記目的を達成したものである。」
「[0027] 本発明に使用する前記(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤とは、エネルギー線照射によりカチオン重合を開始させる物質を放出させることが可能な化合物であればどのようなものでも差し支えないが、好ましくは、エネルギー線の照射によってルイス酸を放出するオニウム塩である複塩、またはその誘導体である。かかる化合物の代表的なものとしては、下記一般式、
[A]r+[B]r-(式中、Aは陽イオン種を表し、Bは陰イオン種を表し、rは価数を表す。)で表される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
[0028] ここで陽イオン[A]r+はオニウムであることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[(R1)aQ]r+
で表すことができる。
[0029] 更にここで、R1は炭素原子数が1~60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでいてもよい有機の基である。aは1~5なる整数である。a個のR1は各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つは、芳香環を有する上記の如き有機の基であることが好ましい。QはS,N,Se,Te,P,As,Sb,Bi,O,I,Br,Cl,F,N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]r+中のQの原子価をqとしたとき、r=a-qなる関係が成り立つことが必要である(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
[0030] また、陰イオン[B]r-は、ハロゲン化物錯体であることが好ましく、その構造は、例えば、下記一般式、
[LXb]r-
で表すことができる。
[0031] 更にここで、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B,P,As,Sb,Fe,Sn,Bi,Al,Ca,In,Ti,Zn,Sc,V,Cr,Mn,Co等である。Xはハロゲン原子である。bは3~7なる整数である。また、陰イオン[B]r-中のLの原子価をpとしたとき、r=b-pなる関係が成り立つことが必要である。
[0032] 上記一般式の陰イオン[LXb]r-の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(3,5-ジフルオロ-4-メトキシフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート(BF4)-、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-等を挙げることができる。
[0033] また、陰イオン[B]r-は、下記一般式、
[LXb-1(OH)]r-
で表される構造のものも好ましく用いることができる。L,X,bは上記と同様である。また、その他用いることのできる陰イオンとしては、過塩素酸イオン(ClO4)-、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CF3SO3)-、フルオロスルホン酸イオン(FSO3)-、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオン、カンファースルフォネート、ノナフロロブタンスルフォネート、ヘキサデカフロロオクタンスルフォネート、テトラアリールボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等を挙げることができる。
[0034] 本発明では、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)~(ハ)の芳香族オニウム塩を使用することが特に有効である。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
[0035] (イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4-メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート等のアリールジアゾニウム塩
[0036] (ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のジアリールヨードニウム塩
[0037] (ハ)下記群I又は群IIで表されるスルホニウムカチオンとヘキサフルオロアンチモンイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のスルホニウム塩
[0038]
[化2]
[図:0001410625000001.jpg]
[0039]
[化3]
[図:0001410625000002.jpg]
[0040]また、その他好ましいものとしては、(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)〔(1,2,3,4,5,6-η)-(1-メチルエチル)ベンゼン〕-アイアン-ヘキサフルオロホスフェート等の鉄-アレーン錯体や、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウム等のアルミニウム錯体とトリフェニルシラノール等のシラノール類との混合物等も挙げることができる。
[0041]これらの中でも、実用面と光感度の観点から、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄-アレーン錯体を用いることが好ましい。」
「[0059] 以下、本発明のカチオン重合性組成物及び該カチオン重合性組成物を硬化して得られる硬化物に関し、実施例、評価例及び比較例により具体的に説明する。なお、実施例及び比較例では部は質量部を意味し、%は質量%を意味する。
[0060][実施例1~30、比較例1~2]
下記の[表1]~[表3]に示す配合で各成分を十分に混合して、各々実施組成物1~30、比較組成物1~2を得た。
[0061] (1)カチオン重合性有機物質としては下記の化合物(1A-1)~(1A-12)、(1B-1)~(1B-4)、(1C-1)~(1C-3)、(1D-1)~(1D-2)並びに(1E-1)~(1E-4)を用いた。これらのエポキシ当量を、[表1]~[表5]に合わせて示す。
化合物1A-1:レゾルシノールジグリシジルエーテル
化合物1A-2:ジグリシジルo-フタレート
化合物1A-3:ジビニルベンゼンオキサイド
化合物1A-4:フェニルグリシジルエーテル
化合物1A-5:スチレンオキサイド
化合物1A-6:EP-4100L(ビスフェノールAエポキシ:ADEKA社製)
化合物1A-7:アデカレジンEP-4901L
化合物1A-8:アデカレジンEP-4000L
化合物1A-9:TECHMORE VG-3101L
化合物1A-10:アデカグリシロールED-509S(ADEKA社製)
化合物1A-11:アデカグリシロールED-501(ADEKA社製)
化合物1A-12:アデカグリシロールED-529(ADEKA社製)
化合物1B-1:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル
化合物1B-2:トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート
化合物1B-3: 2-エチルヘキシルグリシジルエーテル
化合物1B-4:1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル
化合物1C-1:セロキサイド2021P(脂環式エポキシ;ダイセル社製)
化合物1C-2:メチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
化合物1C-3:セロキサイド3000(脂環式エポキシ;ダイセル社製)
化合物1D-1:GMA/MMA=3/7の共重合体(Mw:8000)
化合物1D-2:GMA/MMA=3/7の共重合体(Mw:15000)
化合物1E-1:アロンオキセタンOXT-101(東亞合成社製)
化合物1E-2:アロンオキセタンOXT-211(東亞合成社製)
化合物1E-3:ヒドロキシブチルビニルエーテル
化合物1E-4:1,4-ブタンジオールジビニルエーテル
[0062] (2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤としては下記の化合物下記の化合物(2-1)を用いた。
化合物2-1:CPI-100P(サンアプロ社製)」
「[0066]
[表4]
[図:0001410625000003.jpg]
」
ウ 引用文献2の記載事項
「【請求項10】
重合性化合物を含む硬化性組成物であって、前記重合性化合物の組成が、重合性化合物の総量100質量%に対して、
(A1)2つ以上のオキセタニル基を有するオキセタン化合物35~70質量%、
(A2)2つ以上のエポキシ基を有する脂肪族エポキシ化合物0~40質量%、
(A3)2つ以上のエポキシ基を有する脂環式エポキシ化合物15~50質量%、および
(A4)1つ以上の芳香環を有する芳香族エポキシ化合物0~20質量%
であり、
(B)光カチオン重合開始剤
を含む、硬化性組成物。」
「【0005】
本発明は、偏光フィルムからヨウ素が接着剤層へ移動することなく、光学性能を維持することのできる偏光板を提供することを目的とする。さらに、このような偏光板を構成する材料として特に好適な硬化性組成物を提供することを目的とする。」
「【0010】
本発明の偏光板の一実施態様における構成を図1に基づいて説明すると、本発明の偏光板(10)は、偏光フィルム(1)の一方の面に、第1硬化物層(2)と粘着層(3)がこの順に積層された構造を有する。必要に応じて、偏光フィルム(1)の第1硬化物層とは反対側の面に、第2硬化物層(4)を介して透明保護フィルム(5)が備えられてもよい。」
「【0038】
本発明の一実施態様において、前記重合性化合物(A1)~(A4)の含有量は、硬化性組成物が含む全重合性化合物の総量100質量%に対して、
(A1)35~70質量%、
(A2)3~40質量%、
(A3)15~50質量%、
(A4)0.1~20質量%
であってもよく、好ましくは、
(A1)45~55質量%、
(A2)10~25質量%、
(A3)25~35質量%、
(A4)0.1~20質量%
である。オキセタン化合物(A1)の含有量が前記範囲であると、緻密な硬化物層を容易に形成することができる。脂肪族エポキシ化合物(A2)の含有量が前記範囲にあると、硬化性組成物の粘度が低く、塗布しやすい組成物とすることができる。脂環式エポキシ化合物(A3)の含有量が前記範囲にあると、紫外線等の活性エネルギー線の照射による硬化が速やかに進行し、十分な硬さの硬化物層を容易に形成することができる。芳香族エポキシ化合物(A4)の含有量が前記範囲にあると、硬化物層が疎水性となり、ヨウ素が透過しにくい硬化物層となる。」
「【0134】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」および「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を表す。
【0135】
実施例1
1.第1硬化物層を構成する硬化性組成物(A)の調製
下記表1の組成に従い、重合性化合物(A1)、(A2)、(A3)および(A4)ならびに光カチオン重合開始剤(B)を混合して、実施例1の硬化性組成物(A)を調製した。」
「【0147】
【表1】
[図:0001410625000004.jpg]
【0148】
【表2】
[図:0001410625000005.jpg]
【0149】
表1中の化合物は以下のとおりである。
オキセタン化合物(2官能):ビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル(OXT221、東亞合成(株)製)
脂肪族エポキシ化合物(1)(2官能):1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(EX-214、ナガセケムテックス(株)製)
脂肪族エポキシ化合物(2)(2官能):1.6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(EX-212、ナガセケムテックス(株)製)
脂肪族エポキシ化合物(3)(2官能):ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(EX-211、ナガセケムテックス(株)製)
脂肪族エポキシ化合物(4)(2官能):シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル(EX-216、ナガセケムテックス(株)製)
脂肪族エポキシ化合物(5)(4官能):ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(EX-411、ナガセケムテックス(株)製)
脂環式エポキシ化合物(2官能):3,4-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(CEL2021P、ダイセル化学(株)製)
芳香族エポキシ化合物(1)(3官能):2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-([2,3-エポキシプロポキシ]フェニル]エチル]フェニル]プロパン(TECHMORE VG3101L、(株)プリンテック社製)
芳香族エポキシ化合物(2)(2官能):レゾルシノールジグリシジルエーテル(EX-201、ナガセケムテックス(株)製)
芳香族エポキシ化合物(3)(2官能):ビスフェノールFタイプエポキシ(jER806、三菱化学(株)製)
芳香族エポキシ化合物(4)(1官能):p-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル(EX-146、ナガセケムテックス(株)製)
脂肪族エポキシ化合物(1官能):2-エチルへキシルグリシジルエーテル(EX121、ナガセケムテックス(株)製)
オキセタン化合物(1官能):3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(OXT101、東亞合成(株)製)
光カチオン重合開始剤:トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート」
「【0158】
1: 偏光フィルム
2: 第1硬化物層
3: 粘着層
4: 第2硬化物層
5: (第2)透明保護フィルム
6: 第1透明保護フィルム
10:偏光板
X: 液晶セル
【図1】
[図:0001410625000006.jpg]
」
(3)引用文献に記載された発明
ア 引用文献1に記載された発明
引用文献1(前記(2)イ参照。)の[0001]には「本発明は、カチオン重合性組成物」「に関する」ものであることが記載され、同[0002]には「カチオン重合性組成物は」「各種コーティング剤」「の分野において用いられる」ことが記載され、同[0006]には「(1)カチオン重合性有機物質」「及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有する」「カチオン重合性組成物」であることが記載されているから、同[0066][表4]の「実施例26」の化合物に着目し、同[0010]、[0018]、[0059]~[0062]の記載を参酌すれば、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。
(引用発明1)
「(1)カチオン重合性有機物質及び(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含有するカチオン重合性組成物であって、
芳香族エポキシ化合物(1A)として、化合物1A-6:EP-4100L(ビスフェノールAエポキシ:ADEKA社製)を50質量部及び化合物1A-10:アデカグリシロールED-509S(ADEKA社製)を10質量部と、
脂肪族エポキシ化合物(1B)として、化合物1B-1:ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルを32質量部と、
脂環式エポキシ化合物(1C)として、化合物1C-1:セロキサイド2021P(脂環式エポキシ;ダイセル社製)を8質量部と、
オキセタン化合物(1E)として、化合物1E-1:アロンオキセタンOXT-101(東亞合成社製)と、
エネルギー線感受性カチオン重合開始剤として、化合物2-1:CPI-100P(サンアプロ社製)と、
からなる各種コーティング剤の分野において用いられるカチオン重合性組成物。」
イ 引用文献2に記載された発明
引用文献2(前記(2)ウ参照。)の【0005】及び【0010】には「偏光フィルムからヨウ素が接着剤層へ移動すること」のないように、「偏光フィルム」「の一方の面に、第1硬化物層」を積層することが記載され、その第1硬化物層を形成する硬化性組成物について、同【0147】の【表1】の「実施例4」に着目すると、オキセタン化合物(A1)40質量部、脂肪族エポキシ化合物(A2)20質量部、脂環式エポキシ化合物(A3)28質量部、芳香族エポキシ化合物(A4)12部、及び光カチオン重合開始剤(B)2.25部からなる硬化性組成物が記載されている。
してみると、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。
(引用発明2)
「偏光フィルムからヨウ素が接着剤層へ移動することのないように、偏光フィルムの一方の面に積層される第1硬化物層を形成する硬化性組成物であって、
前記硬化性組成物は、重合性化合物(A1)、(A2)、(A3)および(A4)ならびに光カチオン重合開始剤(B)を混合したものであり、
具体的には、オキセタン化合物(A1)40質量部、脂肪族エポキシ化合物(A2)20質量部、脂環式エポキシ化合物(A3)28質量部、芳香族エポキシ化合物(A4)12部、及び光カチオン重合開始剤(B)2.25部からなる硬化性組成物。」
(4)本件補正発明1と引用発明1との対比、判断
ア 対比
本件補正発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「カチオン重合性有機物質」、「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」及び「各種コーティング剤の分野において用いられるカチオン重合性組成物」は、本件補正発明1の「カチオン重合性成分」、「カチオン重合開始剤」及び「コーティング組成物」にそれぞれ相当する。
また、引用発明1の「脂肪族エポキシ化合物(1B)」、「脂環式エポキシ化合物(1C)」及び「オキセタン化合物(1E)」は、本件補正発明1の「脂肪族エポキシ化合物(A2)」、「脂環式エポキシ化合物(A1)」及び「オキセタン化合物(A4)」に相当する。
してみると、本件補正発明1と引用発明1の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「カチオン重合性成分(A)、及びカチオン重合開始剤(B)を含有するコーティング組成物であって、
前記カチオン重合性成分(A)は、脂環式エポキシ化合物(A1)から選ばれる1種又は2種以上、脂肪族エポキシ化合物(A2)から選ばれる1種又は2種以上、及びオキセタン化合物(A4)を含有する、コーティング組成物。」
<相違点1>
カチオン重合開始剤が、本件補正発明1は「スルホニウムカチオンとヘキサハロゲノアンチモネートとからなるスルホニウム塩を含有する」のに対し、引用発明1は「CPI-100P(サンアプロ社製)」である点。
イ 判断
相違点1について検討する。引用発明1の「CPI-100P(サンアプロ社製)」は、サンアプロ社のホームページ(URL:https://www.san-apro.co.jp/products/list/2022/04/89130/)によれば、「汎用光酸発生剤。当社独自製法によるモノ体高純度のスルホニウム塩タイプ。カチオン重合性樹脂配合時の貯蔵安定性に優れる。PF6アニオンを使用しているため、カチオン重合性能を有し、硬化物を高温加熱時の低着色性に優れる。
[図:0001410625000007.jpg]
」とされており、スルホニウムカチオンと、ヘキサフルオロホスフェートとからなるスルホニウム塩であって、本件補正発明1の「スルホニウムカチオンとヘキサハロゲノアンチモネートとからなるスルホニウム塩」とは、アニオン部分がアンチモネートではなくホスフェートである点で異なるものである。
しかしながら、引用発明1を認定した引用文献1(前記(2)イ参照。)の[0027]~[0041]には、「本発明に使用する前記(2)エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」について記載されており、特に[0032]には、アニオン部分の具体例として「テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、テトラ(3,5-ジフルオロ-4-メトキシフェニル)ボレート、テトラフルオロボレート(BF4)-、ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-等を挙げることができる。」と記載されている。
すなわち、引用文献1には、引用発明1の「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」のアニオン部分について、「ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)-」の他に、「ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-」や「ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-」のようなヘキサハロゲノアンチモネートを用い得ることが記載されている。
そうすると、引用発明1において、「エネルギー線感受性カチオン重合開始剤」のアニオン部分の「ヘキサフルオロフォスフェート(PF6)-」を、「ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-」や「ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-」のようなヘキサハロゲノアンチモネートに代えることは、当業者が容易になし得たことである。
ウ 効果
そして、本件補正発明1の「支持基体との密着性が高く、また、得られるコート層の耐湿性が高い」(本願明細書の【0008】参照。)との効果は、引用文献1の[0008]の「本発明のカチオン重合性組成物は、硬化性、接着性及び耐水性に優れるため、接着剤用途として特に有用なものである。」との記載や、同[0066]の[表4]の「耐温水試験」及び「接着性」の結果から想定されるものである。
エ 結論
したがって、本件補正発明1は、引用発明1及び引用文献1に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 請求人の主張
請求人は、審判請求書4頁に「追加実験結果」を示し、カチオン重合開始剤のアニオン部分が「ヘキサハロゲノアンチモネート」であることの効果について、同7頁3行~8行において「オキセタン化合物(A4)を含み、かつカチオン重合開始剤(B)がスルホニウムカチオンと、ヘキサハロゲノアンチモネートからなるスルホニウム塩である実施例14及び15の組成物(補正後の本願の請求項1に係る発明)は、カチオン重合開始剤(B)がトリアリールヘキサフルオロホスフェートであること以外、実施例14及び15と同様組成である参考例の組成物と比較して、硬化性2及び耐湿性2においてより優れた効果を示した。」と主張する。
しかしながら、カチオン重合開始剤のアニオン部分について、本願の出願時の明細書の【0027】に「上記一般式の陰イオン[LXb]m-の具体例としては、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(BF4)-、テトラフルオロボレート(BF4)-、ヘキサフルオロホスフェート(PF6)-、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6)-、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6)-、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6)-等を挙げることができる。」と記載されるにとどまり、「ヘキサハロゲノアンチモネート」が「ヘキサハロゲノホスフェート」より優れたものであることについては記載も示唆もない。
そうすると、前記審判請求書において請求人がした主張における「優れた効果」は、それを認識できる程度の記載や、推論できる記載が前記明細書にあるとはいえず、出願の後に補充した追加実験結果を参酌することは、特許制度の趣旨に反するものであるし、出願人と第三者との公平を害する結果を招来するものであって許されないというべきであるから、請求人の主張は採用できない。
また、仮に「追加実験結果」に示されるような事実があったとしても、それは、「追加実験結果」に示された特定の組成比の組成物で効果があったことを示すにとどまり、「追加実験結果」でカバーされない、本件補正発明1に含まれる組成物のすべての組み合わせについて効果があることを示すものとは認められない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(5)本件補正発明3と引用発明2との対比、判断
ア 対比
本件補正発明3と引用発明2とを対比すると、引用発明2の「重合性化合物(A1)、(A2)、(A3)および(A4)」及び「光カチオン重合開始剤(B)」は、本件補正発明3の「カチオン重合性成分」及び「カチオン重合開始剤」にそれぞれ相当する。
引用発明2の「偏光フィルムからヨウ素が接着剤層へ移動することのないように、偏光フィルムの一方の面に積層される第1硬化物層を形成する硬化性組成物」は、ヨウ素の移動を防ぐコーティング層を構成するものといえるから、本件補正発明3の「コーティング組成物」に相当する。
引用発明2の「オキセタン化合物(A1)」、「脂肪族エポキシ化合物(A2)」及び「脂環式エポキシ化合物(A3)」は、本件補正発明3の「オキセタン化合物(A4)」、「脂肪族エポキシ化合物(A2)」及び「脂環式エポキシ化合物(A1)」に相当する。
また、引用発明2の「カチオン重合性成分」100質量部中の「脂肪族エポキシ化合物(A2)」及び「脂環式エポキシ化合物(A3)」の含有量は、それぞれ、20質量部、28質量部であり、計算すると、それぞれ、20質量%、28質量%である。
してみると、本件補正発明3と引用発明2の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「カチオン重合性成分(A)、及びカチオン重合開始剤(B)を含有するコーティング組成物であって、
前記カチオン重合性成分(A)は、脂環式エポキシ化合物(A1)から選ばれる1種又は2種以上、脂肪族エポキシ化合物(A2)から選ばれる1種又は2種以上、及びオキセタン化合物(A4)を含有し、
前記カチオン重合性成分(A)中の前記脂肪族エポキシ化合物(A2)の含有量が20~35質量%であるコーティング組成物。」
<相違点2>
カチオン重合性成分(A)中の脂環式エポキシ化合物(A1)の含有量が、本件補正発明3は「30~65質量%」であるのに対し、引用発明2は「28質量%」である点。
イ 判断
相違点2について検討する。引用発明2を認定した引用文献2(前記(2)ウ参照。)の【0038】には、「重合性化合物(A1)~(A4)の含有量は、硬化性組成物が含む全重合性化合物の総量100質量%に対して」「(A3)15~50質量%」「であってもよく、好ましくは」「(A3)25~35質量%」「である。」「脂環式エポキシ化合物(A3)の含有量が前記範囲にあると、紫外線等の活性エネルギー線の照射による硬化が速やかに進行し、十分な硬さの硬化物層を容易に形成することができる。」と記載されている。
そうすると、引用発明1において、「脂環式エポキシ化合物(A3)」の含有量を、好ましいとされる範囲で適宜調整することは当業者が容易になし得たことであるから、引用発明2の「脂環式エポキシ化合物(A3)の含有量」を30~35質量%とすることにより、本件補正発明3で特定される前記相違点2の範囲を充足するようにすることに、特段の困難性はない。
ウ 効果
そして、本件補正発明3の「支持基体との密着性が高く、また、得られるコート層の耐湿性が高い」(本願明細書の【0008】参照。)との効果は、引用文献2【0038】の「オキセタン化合物(A1)の含有量が前記範囲であると、緻密な硬化物層を容易に形成することができる。」「脂環式エポキシ化合物(A3)の含有量が前記範囲にあると、紫外線等の活性エネルギー線の照射による硬化が速やかに進行し、十分な硬さの硬化物層を容易に形成することができる。芳香族エポキシ化合物(A4)の含有量が前記範囲にあると、硬化物層が疎水性となり、ヨウ素が透過しにくい硬化物層となる。」との記載から想定されるものである。
エ 結論
したがって、本件補正発明3は、引用発明2及び引用文献2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 請求人の主張
請求人は、審判請求書16頁下から3行~17頁1行及び同17頁下から4行~18頁2行において「引用文献2の実施例1~10、12及び比較例5には、(A1)、(A2)及び(A4)を含有する組成物が記載されています。しかしながら、実施例1~実施例4におけるカチオン重合性成分(A)中の(A1)含有量は、17.5質量%~28質量%であり、特定A1含有量を満たしません。」「また、引用文献1、2及び引用文献5等には、(A1)、(A2)、(A4)及び(B)を含有する組成物とした際に、敢えて、特定A1含有量及び特定A2含有量を同時に満たそうとすることについて記載も示唆もありません。よって、引用文献1、2及び引用文献5等には、(A1)、(A2)、(A4)及び(B)を含有する組成物とした際に、敢えて、特定A1含有量及び特定A2含有量を同時に満たすものとする動機付けが存在しません。」と主張する。
しかしながら、本件補正発明3で特定されているのは、「カチオン重合性成分(A)中の前記脂環式エポキシ化合物(A1)の含有量」及び「脂肪族エポキシ化合物(A2)の含有量」の2種類のみであって、それ以外の含有量は何ら特定されていない。
引用文献2の【0038】には「重合性化合物(A1)~(A4)の含有量は、硬化性組成物が含む全重合性化合物の総量100質量%に対して、(A1)35~70質量%、(A2)3~40質量%、(A3)15~50質量%、(A4)0.1~20質量%であってもよく、好ましくは、(A1)45~55質量%、(A2)10~25質量%、(A3)25~35質量%、(A4)0.1~20質量%である。オキセタン化合物(A1)の含有量が前記範囲であると、緻密な硬化物層を容易に形成することができる。脂肪族エポキシ化合物(A2)の含有量が前記範囲にあると、硬化性組成物の粘度が低く、塗布しやすい組成物とすることができる。脂環式エポキシ化合物(A3)の含有量が前記範囲にあると、紫外線等の活性エネルギー線の照射による硬化が速やかに進行し、十分な硬さの硬化物層を容易に形成することができる。芳香族エポキシ化合物(A4)の含有量が前記範囲にあると、硬化物層が疎水性となり、ヨウ素が透過しにくい硬化物層となる。」と記載され、単に数値範囲が記載されるだけでなく、その意味も記載されているところ、「硬化性組成物の粘度が低く、塗布しやすい組成物とする」ために「脂肪族エポキシ化合物(A2)の含有量」を「10~25質量%」とし、「紫外線等の活性エネルギー線の照射による硬化が速やかに進行し、十分な硬さの硬化物層を容易に形成する」ために「脂環式エポキシ化合物(A3)の含有量」を「25~35質量%」とした結果、「脂肪族エポキシ化合物(A2)の含有量」が「20~25質量%」であり、「脂環式エポキシ化合物(A3)の含有量」が「30~35質量%」の範囲の組み合わせを採用することに、特段の困難性はない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(6)独立特許要件についての判断のむすび
前記(4)で検討したとおり、本件補正発明1は、引用発明1及び引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
また、前記(5)で検討したとおり、本件補正発明3は、引用発明2及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
4 補正の却下の決定のむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1(1)の【請求項1】に記載したとおりのものである。
2 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、次のとおりのものである。
「1.(新規性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1-5
・引用文献等 1
・備考
引用文献1の例えば実施例26には、ビスフェノールAエポキシ、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、脂環式エポキシ、「アロンオキセタンOXT-101」及びエネルギー線感受性カチオン重合開始剤を含むカチオン重合性組成物が記載されている(他に特許請求の範囲、段落[0057]、他の実施例も参照されたい。)。
本願発明のコーティング組成物の用途は、コーティング剤、塗料、接着剤等であり(本願明細書の段落[0050]参照。)、引用文献1に記載された発明のカチオン重合性組成物の用途もコーティング剤、塗料、接着剤等であるから、両者は用途の点で相違しない。
してみれば、本願の請求項1-5に係る発明と引用文献1に記載された発明は、発明特定事項に差異がなく、本願の請求項1-5に係る発明は、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得るものである。
●理由1(新規性)、理由2(進歩性)について
・請求項 1-5
・引用文献等 2
・備考
引用文献2の例えば実施例1には、オキセタン化合物、脂肪族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、芳香族エポキシ化合物及び光カチオン重合開始剤を含む硬化性組成物が記載されている(他に特許請求の範囲、段落[0050]、他の実施例を参照されたい。)。
硬化性組成物は、塗布、硬化させて硬化物層を形成するものであるから、本願発明の「コーティング組成物」に相当する。
してみれば、本願の請求項1-5に係る発明と引用文献2に記載された発明は、発明特定事項に差異がなく、本願の請求項1-5に係る発明は、引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得るものである。
・・・
<引用文献等一覧>
1.国際公開第2015/005211号
2.特開2017-173780号公報
・・・」
3 引用文献の記載事項
引用文献の記載事項及び引用発明は、前記第2の[理由]の3の(2)イ及びウ、並びに同(3)ア及びイに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、上記第2の[理由]の3(4)で検討した本件補正発明1の「重合開始剤(B)」が「スルホニウムカチオンとヘキサハロゲノアンチモネートとからなるスルホニウム塩を含有する」であるとの限定を削除したものである。
また、本願発明は、上記第2の[理由]の3(5)で検討した本件補正発明3の「カチオン重合性成分(A)中の前記脂環式エポキシ化合物(A1)の含有量が30~65質量%であり、前記脂肪族エポキシ化合物(A2)の含有量が20~35質量%である」との限定を削除したものである。
そして、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに上記の限定を付加した本件補正発明1は、上記第2の[理由]の3(4)に記載したとおり、引用発明1及び引用文献1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、同様に、本件補正発明3は、上記第2の[理由]の3(5)に記載したとおり、引用発明2及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
そうすると、本願発明も、引用発明1及び引用文献1に記載された事項、又は引用発明2及び引用文献2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-007542