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特許拒絶査定不服審判

2021-003507

床材

審判番号
2021-003507
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2016-134612
請求日
2021年03月17日
審決日
2022年01月06日
公報発行日
2022年02月25日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
当事者
  • 【請求人】東リ株式会社
  • 【請求人代理人】細田 芳徳
審判長/審判官
  • 審判長 森次 顕
  • 審判官 奈良田 新一
  • 審判官 有家 秀郎
分類
P18 .121-WY (E04F)
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特許法第29条第2項
データ出所
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特願2016-134612「床材」拒絶査定不服審判事件〔平成30年 1月11日出願公開、特開2018- 3521、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年7月6日の出願であって、令和1年9月9日付けで拒絶理由通知がされ、令和1年10月29日付けで手続補正がされ、令和2年3月4日付けで最後の拒絶理由通知がされ、令和2年7月2日付けで手続補正がされ、令和2年12月22日付けで令和2年7月2日付けの手続補正が却下されるとともに拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、令和3年3月17日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。 第2 令和2年12月22日付けの補正の却下の決定及び原査定の概要 1.令和2年12月22日付けの補正の却下の決定の概要は以下のとおりである。 令和2年7月2日付けの補正は、特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものであるが、当該補正後の本願請求項1-4に係る発明は、引用文献1、2、4及び5に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであり、独立特許要件を満たさないから、令和2年7月2日付けの補正は却下すべきものである。 引用文献等一覧 1.特開2003-213211号公報 2.特開2015-145103号公報 4.特開2006-316578号公報 5.特開2004-225456号公報 2.原査定(令和2年12月22日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-4に係る発明は、上記引用文献1、2及び4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 第3 本願発明 本願請求項1-4に係る発明(以下、請求項の番号に応じて「本願発明1」等という。)は、令和3年3月17日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 樹脂層及び形状安定化層を含む床材本体と、前記床材本体の上に表面保護層を有する床材であって、前記表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種類と、防滑性粒子とを含み、前記表面保護層に用いる樹脂としては電離放射線硬化性樹脂からなり、前記表面保護層の表面粗さRyが10以上50未満である、床材(但し、木材を含む床材を除く)。」 本願発明2-4は、それぞれ、概略、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献4 (1)引用文献4の記載 原査定の拒絶の理由において主たる引用文献として引用された引用文献4には、次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。 ア 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明は紫外線硬化型塗料の皮膜を表面に有する床材であって、初期・長期の耐汚染性及び初期・長期の防滑性を兼ね備え、靴底の摩耗も少なく、清掃性も損なわない床材を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 係る課題を解決するために本発明の講じた手段は、 熱可塑性樹脂製シート基材の上に、紫外線硬化型塗料からなる表面保護膜を設け、表面に丸みを帯びた凹凸形状を有し凹部と凸部の差が50μm以上である防滑性床材とすることであり(請求項1)、この際、紫外線硬化型塗料が平均粒子径100~200μmの球状粒子を含有し、該球状粒子により上記表面に丸みを帯びた凹凸形状を有し凹部と凸部の差が50μm以上である防滑性床材とすることであり(請求項2)、熱可塑性樹脂製シート基材にエンボス加工を施し、そのエンボス加工面に紫外線硬化型塗料を塗布した後、紫外線を照射しながらエンボス加工温度以上に加熱することにより、紫外線硬化型塗料を硬化すると共に、上記表面に丸みを帯びた凹凸形状を有し凹部と凸部の差が50μm以上である防滑性床材とすることであり(請求項3)、請求項3に記載の防滑性床材の紫外線硬化型塗料が平均粒子径100~200μmの球状粒子を含有し、請求項2と請求項3を組合わせたかたちの防滑性床材とすることであり(請求項4)、さらに紫外線硬化型塗料が平均粒子径5~20μmの微細粒子を含有する防滑性床材とすることである(請求項5)。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、防滑性床材は、表面に丸みを帯びた凹凸形状を有し凹部と凸部の差が50μm以上である故、初期・長期の防滑性及び初期・長期の耐汚染性が得られ、靴底も摩耗しにくく清掃性も損なわない。さらに、紫外線硬化型塗料に微細粒子を混合することにより上記凹部と凸部の差が50μm以上であり且つ丸みを帯びた凹凸の凸部上面にも微細粒子が存在するため、防滑性床材の表面に微細な凹凸構造ができ、水濡れ時も防滑性が効果的に発揮できる。」 イ 「【発明を実施するための最良の形態】 【0008】 以下、本発明の具体的な実施態様について説明する。 本発明に使用する熱可塑性樹脂製シート基材の熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル系樹脂,エチレン-酢酸ビニル共重合体,エチレン-アクリレート共重合体,ポリエチレン系,ポリプロピレン系,アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、天然ゴム,ネオプレン,イソプレン,ポリブタジエン,NBR,SBR等のゴム、ポリオレフィン系,スチレン系,ポリエステル系,ポリウレタン系等の熱可塑性エラストマーなどに各種添加剤を混合し、カレンダー加工や押出加工等でシート状に加工したものが挙げられる。 【0009】 これらの熱可塑性樹脂製シート基材は、単層でも、2層以上の複数層でも良く、その中に発泡層を設けても良い。また、裏面及び/又は中間に寸法安定性、施工時の接着性の向上を目的として編物、織物、不織布、紙等を積層することも可能である。また、熱可塑性樹脂製シート基材表面に印刷フイルムをラミネートして意匠付与しても良い。厚みは通常の床材と同様でよく、1.0~5.0mm程度が一般的である。 【0010】 本発明に使用する紫外線硬化型塗料に使用するベース樹脂としては、ラジカル重合型の不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等の一般的なオリゴマーを用いたものが挙げられ、中でも、強靭性、耐薬品性、密着性の良いウレタンアクリレートが好ましい。これらの2種類以上の混合物でもよく、また、粘度調整や塗料の皮膜硬さ調整のために単官能、2官能、多官能アクリルモノマーを添加してもよい。 【0011】 本発明でいう凹部と凸部の差が50μm以上であり且つ丸みを帯びた凹凸形状とは、凸部と凹部の差が50μm以上であって、凸部R(曲率半径)が50μm以上である凹凸形状のことをいい、概ね凸部に角のない凹凸のことである。 凸部と凹部の差が50μm未満の凹凸については靴底が削れる影響は少ないためその凸部に丸みを帯びていなくても差し支えない。」 (2)引用文献4に記載された発明 上記(1)から見て、引用文献4には、次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。 「熱可塑性樹脂製シート基材の上に、紫外線硬化型塗料からなる表面保護膜を設け、表面に丸みを帯びた凹凸形状を有し凹部と凸部の差が50μm以上である防滑性床材であって、 紫外線硬化型塗料が平均粒子径5~20μmの微細粒子を含有し、 熱可塑性樹脂製シート基材は2層以上の複数層で、中間に寸法安定性、施工時の接着性の向上を目的として編物、織物、不織布、紙等を積層し、 紫外線硬化型塗料に使用するベース樹脂としては、ウレタンアクリレートを用いた、 防滑性床材。」 2.引用文献1 (1)引用文献1の記載 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、床、壁、天井などの表面仕上げ材、柱や家具、キャビネット、自動車内装などの化粧材、各種造作材などに使用される木質仕上げ材用の塗料組成物に関する。及び、この塗料組成物を塗布してなる表面塗装木質材に関する。」 イ 「【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、耐汚染性が良好で、且つ、この性能が長期間に亘って持続し、さらに、表面の滑りを抑制し、転倒や倒壊の危険性を低減できる木質材用塗料組成物及び表面塗装木質材を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討の結果、シリコーン変性活性エネルギー線硬化性化合物と微粒子状物質を組み合わせることで、耐汚染性が良好で、且つ、この性能が長期間に亘って持続し、さらに、表面の滑りを抑制し、転倒や倒壊の危険性を低減可能なことを見出し、本発明に至った。 【0006】すなわち本発明は、シリコーン変性活性エネルギー線硬化性化合物(A)、微粒子状物質(B)を含有することを特徴とする木質材用塗料組成物を提供する。さらに、本発明は、前記した木質材用塗料組成物の硬化塗膜が木質材表面に形成されていることを特徴とする表面塗装木質材を提供する。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明の木質材用塗料組成物はシリコーン変性活性エネルギー線硬化性化合物(A)と微粒子状物質(B)を必須成分とする木質材用塗料組成物であり、それはシリコーン変性活性エネルギー線硬化性化合物(A)と微粒子状物質(B)とを適宜混合することにより調製することができる。以下に、本発明の各構成要件について詳細に述べる。 【0008】本発明のシリコーン変性活性エネルギー線硬化性化合物(A)としては、インキおよび塗料等に使用されている各種シリコーン化合物の中で、活性エネルギー線照射により重合可能な官能基によって変性された化合物が挙げられる。例えば、(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン変性不飽和ポリエステル、シリコーン変性ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン変性エポキシ(メタ)アクリレート、シリコーン変性ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ変性シリコーン、ビニル変性シリコーン等が挙げられる。この中で好ましくは(メタ)アクリル酸変性シリコーン、シリコーン変性ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン変性エポキシ(メタ)アクリレート、シリコーン変性ポリエステル(メタ)アクリレートである。これらシリコーン変性活性エネルギー線硬化性化合物(A)は、上記化合物を単独で用いることもできるし、2種以上を混合して用いることもできる。」 ウ 「【0030】本発明における微粒子状物質(B)の平均粒径(b)は、通常1~100μmで、塗料を硬化した際の硬化塗膜(厚さt、μm)に対し、t/3~3tの関係にあるものが好ましい。滑り抑制効果を十分にする点でt/3以上が好ましく、耐汚染性向上、塗膜表面の平滑性維持の点で3t以下が好ましい。」 3.引用文献2 (1)引用文献2の記載 原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。 ア 「【0008】 本発明は、基材フィルム層(A)、クリヤー塗膜層(B)及び意匠層(C)を有する3次元成型品加飾用積層フィルムであって、 上記クリヤー塗膜層(B)は、ポリウレタンアクリレート(B1)、不飽和2重結合を有するモノマー・オリゴマー(B2)及び重合開始剤(B3)を含有する活性エネルギー線硬化型コーティング組成物によって形成されたものであり、 上記活性エネルギー線硬化型コーティング組成物は、(B1)の固形分重量、(B2)の固形分重量の合計量((B1)+(B2))100重量部中に、(B1)を50~99重量部、(B2)を1~50重量部の範囲内となるように含有し、(B1)の固形分重量、(B2)の固形分重量の合計量((B1)+(B2))100重量部に対して(B3)を0.5~20重量部の範囲内となるように含有することを特徴とする3次元成型品加飾用積層フィルムである。」 イ 「【0046】 ポリウレタンアクリレート(B1)は、フッ素及び/又はシリコーンで変性されたものであってもよい。すなわち、フッ素やシリコーン単位を含有する単量体を使用して上述した方法によってポリウレタンアクリレート(B1)を合成するものであってもよいし、上述した方法によって得られたポリウレタンアクリレート(B1)が有する官能基をフッ素及び/又はシリコーンを有する化合物と反応させたものであってもよい。」 4.引用文献5 (1)引用文献5の記載 令和2年12月22日付けの補正の却下の決定に引用された引用文献5には、次の事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、戸建て住宅、アパート、マンション、保養所、店舗、事務所等の建築物における居室、厨房、廊下、洗面所等の室内床面又は濡れ縁、バルコニー、ベランダ等の室外床面に使用するための床材に関するものであり、特に、生活汚染物等に対する拭き取り性、撥水性、耐汚染性が改良された床材に関するものである。」 イ 「【0020】 本発明の床材は、図1に示す様に、任意の床材本体1の表面に、防汚層2が形成されて構成されるものである。そして、本発明においては、該防汚層2が、アクリルウレタン樹脂の側鎖にオルガノポリシロキシ基が導入されたシリコーン変性アクリルウレタン樹脂からなることを特徴としている。 【0021】 本発明において、床材本体1の材質や構造等は特に限定されるものではなく、従来より床材として使用されているものであれば任意に適用することができる。例えば、天然木の無垢材、合板、集成材、中質繊維板(MDF)、硬質繊維板(HDF)、単板積層材(LVL)、配向性ボード(OSB)、パーティクルボード等の木質系基材、陶磁器板、プレキャストコンクリート板(PC)等の無機質系基材、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属系基材、ポリオレフィン系樹脂、ぽり塩化ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂等の合成樹脂系基材、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)、木粉充填熱可塑性樹脂等の合成樹脂系複合基材等、或いはそれらから選ばれる2種以上の積層体、複合体等を任意に適用することができる。床材本体1の側面部には、例えば雄雌実等の連結構造が設けられていても良い。さらに、床材本体1の表層部分には、例えば天然木の突板、模様印刷紙、模様印刷合成樹脂フィルム等の化粧シートが設けられていてもよい。」 ウ 「【0035】 防汚層2は、上述したシリコーン変性アクリルウレタン樹脂を主成分としつつ、必要に応じて他の熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等を適宜配合した混合系樹脂によって構成することもできる。電離放射線硬化性樹脂を併用した場合には、シリコーン変性アクリルウレタン樹脂における水酸基とイソシアネート基との熱的なウレタン反応によって硬化させるほか、電子線又は紫外線等の電離放射線を照射することによって電離放射線硬化性樹脂を硬化させる必要がある。 【0036】 防汚層2には、必要に応じて各種の添加剤を添加することが可能である。例えば、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、架橋アクリルビーズ等、防汚層2の主材樹脂よりも高硬度の材質からなる硬質粒子を添加することで、防汚層2の耐摩耗性や耐擦傷性を向上すると共に、床材用途として要求される滑り防止機能をも付与することができる。 【0037】 すなわち、防汚層2の表面が平滑であると、シリコーン変性アクリルウレタン樹脂に特有の滑り性のために、素足や靴下、靴、スリッパ等が滑り易く、歩行中の転倒等の危険がある場合があるが、硬質粒子の添加により防汚層2の表面を適度に粗面化することにより、表面の滑り性を抑え、転倒等の危険を低減することができる。 【0038】 但し、特に高硬度で減摩剤としての効果の高いアルミナなどは、粒径が大きすぎたり添加量が過剰であったりすると、スリッパや靴下などを傷める原因になるほか、極端な場合には、転倒した際に膝頭を擦り剥く等の怪我の原因となる場合もあるので、係る危険性に留意しつつ粒径や添加量を適宜設計することが望ましい。一般的には、硬質粒子の平均粒径は1~30μm程度、添加量は1~30重量%程度の範囲内とすることが望ましい。また、球状、楕円体状又は角の丸まった多面体状等、鋭い角部のない形状の粒子を用いることも有効である。」 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明4とを対比する。 ア 引用発明4の『「複数層」の「熱可塑性樹脂製シート基材」の各「層」』は、本願発明1の「樹脂層」に相当する。 また、引用発明4において、「熱可塑性樹脂製シート基材」の「中間に」「積層」される「編物、織物、不織布、紙等」は、「寸法安定性、施工時の接着性の向上を目的として」「積層」されるものであるから、床材の形状を安定化させるための「層」であるといえる。したがって、当該『「編物、織物、不織布、紙等」の「層」』は、本願発明1の「形状安定化層」に相当する。 そして、引用発明4の『「編物、織物、不織布、紙等」の「層」を含む「熱可塑性樹脂製シート基材」』は、本願発明1の「樹脂層及び形状安定化層を含む床材本体」に相当する。 イ 引用発明4の「表面保護膜」は、本願発明1の「表面保護層」に相当する。そして、引用発明4において『「熱可塑性樹脂製シート基材の上に」「表面保護膜を設け」る』点は、本願発明1の「前記床材本体の上に表面保護層を有する」点に相当する。 ウ 引用発明4の「防滑性床材」は、本願発明1の「床材」に相当し、引用発明4において『「防滑性床材」が「熱可塑性樹脂製シート基材」と、「表面保護膜」を有する』点は、本願発明1において『「床材」が「床材本体と、」「表面保護層を有する」』点に相当する。 エ 本願明細書の【0050】に「電離放射線により硬化する樹脂としては、加工性の良さ及び汎用的であることから、光硬化性樹脂を用いることが好ましく、紫外線硬化性樹脂を用いることがより好ましい。」と記載されていることから、本願発明1の「電離放射線」には「紫外線」が含まれるものと認められる。 そうすると、引用発明4の『「表面保護膜」が「紫外線硬化型塗料からな」り、「紫外線硬化型塗料」に「ベース樹脂」が「使用」される』点は、本願発明1の「前記表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み」の点に相当する。 オ 本願明細書の【0057】に「なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの総称である」と記載されていることから、本願発明1の「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方に該当するものである。 そうすると、引用発明4の『「紫外線硬化型塗料に使用するベース樹脂としては、ウレタンアクリレートを用い」、「紫外線硬化型塗料が平均粒子径5~20μmの微細粒子を含有」する』点と、本願発明1の「前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種類と、防滑性粒子とを含み」の点とは、「前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、防滑性粒子とを含み」の点で共通する。 カ 引用発明4において「ベース樹脂として」「用い」られる「ウレタンアクリレート」が、紫外線硬化性の樹脂であることは明らかである。 そうすると、引用発明4の『「表面保護膜」が「紫外線硬化型塗料からな」り、「紫外線硬化型塗料に使用するベース樹脂としては、ウレタンアクリレートを用い」』る点は、本願発明1の「前記表面保護層に用いる樹脂としては電離放射線硬化性樹脂からなり」の点に相当する。 キ 引用発明4の「防滑性床材」は、「編物、織物、不織布、紙等」の「層」を含む「熱可塑性樹脂製シート基材」の上に、「紫外線硬化型塗料からなる表面保護膜」を設けたものであるから、木材の層を有しないものである。 よって、引用発明4の『「防滑性床材」が木材の層を有しない』点は、本願発明1の「床材(但し、木材を含む床材を除く)」に相当する。 ク 以上を総合すると、本願発明1と引用発明4とは、 「樹脂層及び形状安定化層を含む床材本体と、前記床材本体の上に表面保護層を有する床材であって、前記表面保護層は、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含み、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂と、防滑性粒子とを含み、前記表面保護層に用いる樹脂としては電離放射線硬化性樹脂からなる、床材(但し、木材を含む床材を除く)。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 (相違点1)「電離放射線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂」に関し、本願発明1は「電離放射線硬化性シリコン変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂および電離放射線硬化性フッ素変性ウレタン(メタ)アクリレート樹脂から選ばれる少なくとも1種類」であるのに対し、引用発明4はそのように特定されていない点。 (相違点2)「表面保護層の表面粗さRy」に関し、本願発明1は「10以上50未満である」と特定されているのに対し、引用発明4はそのように特定されていない点。 (2)検討 事案に鑑みて、まず上記相違点2について検討する。 ア 本願発明1における「Ry」の定義と技術的意義について、本願明細書の【0082】には、「表面保護層4の表面粗さは、防滑性と防汚性を兼ね備えるという観点から、次のようなRa、Ry、Rpkの各値が好ましい。(中略)本明細書における表面粗さは、JIS B0601-1994に準じて表面粗さ測定機により測定されたものから算出される。Ra、Ry、Rpkの各値が下限値以上であれば防汚性を高めることができ、上限値以下であれば歩行に違和感が無く、防滑性が良好である。」と記載されている。 そして、JIS B0601-1994において「Ry」は、「最大高さ」を示すものであり、「粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけを抜き取り、この抜取り部分の山頂線と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定し、この値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。」と定義されている。 引用発明4において、「Ry」の値は不明であるが、「表面に丸みを帯びた凹凸形状を有し凹部と凸部の差が50μm以上である」ことから、引用発明4における「表面保護膜」の「最大高さ」が50μm以上、すなわち、「Ry」が50以上の値となることは技術的に自明である。 そして、引用発明4において、「表面に丸みを帯びた凹凸形状を有し凹部と凸部の差が50μm以上」としたことは、「初期・長期の耐汚染性及び初期・長期の防滑性を兼ね備え」る床材を提供するという、引用発明4における課題を解決するための手段として採用された技術的特徴である。すると、引用発明4において、「Ry」を50未満とすること、すなわち「最大高さ」を50μm未満とすることは、「凹部と凸部の差」も50μm未満とすることであるから、上記課題解決に反する設計となるため、当業者が適宜なし得ることとはいえない。 イ 引用文献1、2、5においても相違点2に係る構成は記載されていない。 なお、引用文献1の段落【0030】には、「微粒子状物質(B)の平均粒径(b)は、通常1~100μmで、塗料を硬化した際の硬化塗膜(厚さt、μm)に対し、t/3~3tの関係にあるものが好ましい。滑り抑制効果を十分にする点でt/3以上が好ましく、耐汚染性向上、塗膜表面の平滑性維持の点で3t以下が好ましい」と記載されているが、当該記載は、微粒子状物質の平均粒径に対する硬化塗膜の適切な厚さの関係を、平均粒径と膜厚との比値の範囲で示したものであり、引用発明4において「表面保護膜」の「Ry」値を「10以上50未満」とすることを示唆するものではない。 (3)判断 したがって、本願発明1は、相違点1について検討するまでもなく、当業者であっても引用発明4、引用文献1、2、5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2.本願発明2-4について 本願発明2-4も、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明4、引用文献1、2、5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 審判請求時の補正により、本願発明1-4は「前記表面保護層の表面粗さRyが10以上50未満である」という事項を有するものとなっており、当該事項については上記第5において相違点2として検討したとおりであるから、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1、2、4に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。

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2021-003507

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    共通の審決分類: 121・E04F
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    共通の審決分類: 121・E04F
  • 2024-002048拒絶査定不服審判 / 2025-02-13 / 原査定取消(特許/登録すべき)化粧材及びその製造方法
    共通の審決分類: 121・E04F
  • 2023-020526拒絶査定不服審判 / 2024-12-23 / 原査定取消(特許/登録すべき)庇
    共通の審決分類: 121・E04F
  • 2023-008008拒絶査定不服審判 / 2024-10-31 / 原査定取消(特許/登録すべき)内装仕上化粧板の施工方法
    共通の審決分類: 121・E04F

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