特許拒絶査定不服審判
2021-002105
仮想現実(VR)環境におけるVRユーザの観客ビュー追跡
- 審判番号
- 2021-002105
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-549174外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年02月16日
- 審決日
- 2022年02月28日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
- 【請求人代理人】森下 賢樹
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2018-549174「仮想現実(VR)環境におけるVRユーザの観客ビュー追跡」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 9月21日国際公開、WO2017/161297、平成31年 4月25日国内公表、特表2019-511781、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続きの経緯
本願は、2017年(平成29年)3月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年3月18日および2017年3月16日 いずれも米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 2年 1月28日付け :拒絶理由通知
令和 2年 4月 6日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 8月26日付け :拒絶理由通知(最後)
令和 2年10月30日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年11月10日付け :令和2年10月30日の手続補正につい
ての補正の却下の決定、拒絶査定(原査
定)
令和 3年 2月16日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和 3年10月20日付け :拒絶理由(当審拒絶理由)通知
令和 3年12月15日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、令和3年12月15日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】
観客が視聴するための仮想現実コンテンツを処理する方法であって、
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)プレイヤによるインタラクションに関連付けられた仮想現実ストリームをサーバで受信することであって、前記HMDプレイヤは、仮想現実環境をナビゲートするように構成され、前記仮想現実環境の前記ナビゲートは、HMDプレイヤビューを有する前記仮想現実ストリームを生成する、前記仮想現実ストリームを受信することと、
観客のデバイスを介して、前記観客のHMDを用いて前記仮想現実ストリームを視聴する要求を、前記サーバで受信することと、
前記サーバが、前記観客の前記HMDのために、前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記デバイスに送信することであって、前記仮想現実ストリームの前記フィードは、前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記デバイスに送信することと、
前記サーバが、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューをギア比率に従って調節することであって、前記ギア比率は、前記HMDプレイヤが前記仮想現実環境をナビゲートする時、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う速度を規定する、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューを調節することと、
を含み、
前記HMDプレイヤビューの後を追う前記HMD観客ビューは、前記HMDプレイヤが動く速度よりも遅い速度で動き、
前記ギア比率は、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う時の遅れを提供し、前記遅れは、前記HMD観客ビューの動きを前記HMDプレイヤビューの動きよりゆっくりに変化させ、前記HMDプレイヤビューは、前記HMDプレイヤが、前記仮想現実環境をナビゲートまたは移動しながら、前記HMDプレイヤの前記HMDを実世界空間で動かすと、前記HMDプレイヤが制御する速度で移動する、方法。
【請求項2】
前記ギア比率は、前記仮想現実環境で遭遇するコンテンツに基づいて、前記サーバによって動的に調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ギア比率は、前記観客の好みに基づいて、前記サーバによって動的に調節される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ギア比率は、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う時の、動的に調節可能な遅れを提供し、前記動的に調節可能な遅れは、前記HMD観客ビューの動きの速度を、前記HMDプレイヤビューの動きに対して変化させ、前記HMDプレイヤが、前記仮想現実環境をナビゲートまたは移動しながら、実世界空間で前記HMDプレイヤの前記HMDを動かすと、前記HMDプレイヤビューは、前記HMDプレイヤによって制御される速度で動く、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
観客が視聴するための仮想現実コンテンツを処理する方法であって、
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)プレイヤが装着したヘッドマウントディスプレイ(HMD)によるインタラクションに関連付けられた仮想現実ストリームをコンピュータで処理することであって、前記HMDプレイヤは、仮想現実環境をナビゲートするように構成され、前記仮想現実環境の前記ナビゲートは、HMDプレイヤビューを有する前記仮想現実ストリームを生成する、前記仮想現実ストリームをコンピュータで処理することと、
観客のHMDに関連付けられた要求であって、前記観客のHMDを用いて前記仮想現実ストリームを視聴する前記要求を前記コンピュータで受信することと、
前記コンピュータが、前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記HMDに送信することであって、前記仮想現実ストリームの前記フィードは、前記HMDプレイヤがナビゲートしている前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームのフィードを送信することと、
前記コンピュータが、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューをギア比率に従って調節することであって、前記ギア比率は、前記HMDプレイヤが前記仮想現実環境をナビゲートする時、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う速度を規定する、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューを調節することと、
を含み、
前記HMDプレイヤビューの後を追う前記HMD観客ビューは、前記HMDプレイヤが動く速度よりも遅い速度で動き、
前記ギア比率は、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う時の遅れを提供し、前記遅れは、前記HMD観客ビューの動きを前記HMDプレイヤビューの動きよりゆっくりに変化または反応させ、前記HMDプレイヤが、前記仮想現実環境をナビゲートまたは移動しながら、実世界空間で前記HMDプレイヤの前記HMDを動かすと、前記HMDプレイヤビューは、前記HMDプレイヤによって制御される速度で動く、方法。
【請求項6】
前記ギア比率は、前記仮想現実環境で遭遇するコンテンツに基づいて、前記コンピュータによって動的に調節される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ギア比率は、前記観客の好みに基づいて、前記コンピュータによって動的に調節される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ギア比率は、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う時の、動的に調節可能な遅れを提供し、前記動的に調節可能な遅れは、前記HMD観客ビューの動きの速度を、前記HMDプレイヤビューの動きに対して変化させ、前記HMDプレイヤが、前記仮想現実環境をナビゲートまたは移動しながら、前記HMDプレイヤの前記HMDを実世界空間で動かすと、前記HMDプレイヤビューは、前記HMDプレイヤによって制御される速度で動く、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
観客が視聴するための仮想現実コンテンツを処理するプログラム命令を有するコンピュータ可読媒体であって、
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)プレイヤが装着したヘッドマウントディスプレイ(HMD)によるインタラクションに関連付けられた仮想現実ストリームをコンピュータで処理するプログラム命令であって、前記HMDプレイヤは、仮想現実環境をナビゲートするように構成され、前記仮想現実環境の前記ナビゲートは、HMDプレイヤビューを有する前記仮想現実ストリームを生成する、前記仮想現実ストリームをコンピュータで処理する前記プログラム命令と、
観客のHMDに関連付けられた要求であって、前記観客のHMDを用いて前記仮想現実ストリームを視聴する前記要求を前記コンピュータで受信するプログラム命令と、
前記コンピュータが、前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記HMDに送信するプログラム命令であって、前記仮想現実ストリームの前記フィードは、前記HMDプレイヤがナビゲートしている前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記HMDに送信する前記プログラム命令と、
前記コンピュータが、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューをギア比率に従って調節するプログラム命令であって、前記ギア比率は、前記HMDプレイヤが前記仮想現実環境をナビゲートする時、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う速度を規定する、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューをギア比率に従って調節する前記プログラム命令と、
を含み、
前記HMDプレイヤビューの後を追う前記HMD観客ビューは、前記HMDプレイヤが動く速度よりも遅い速度で動き、
前記ギア比率は、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う時の遅れを提供し、前記遅れは、前記HMD観客ビューの動きを前記HMDプレイヤビューの動きよりゆっくりに変化または反応させ、前記HMDプレイヤが、前記仮想現実環境をナビゲートまたは移動しながら、前記HMDプレイヤの前記HMDを実世界空間で動かすと、前記HMDプレイヤビューは、前記HMDプレイヤによって制御される速度で動く、コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記ギア比率は、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う時の、動的に調節可能な遅れを提供し、前記動的に調節可能な遅れは、前記HMD観客ビューの動きの速度を、前記HMDプレイヤビューの動きに対して変化させ、前記HMDプレイヤが、前記仮想現実環境をナビゲートまたは移動しながら、前記HMDプレイヤの前記HMDを実世界空間で動かすと、前記HMDプレイヤビューは、前記HMDプレイヤによって制御される速度で動く、請求項9に記載のコンピュータ可読媒体。」
第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
令和2年1月28日付けの拒絶の理由に引用された引用文献1(米国特許出願公開第2014/0113718号明細書)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は、強調のため当審にて付与。以下同様。)
「Abstract
The field of the invention relates to multi-user online gaming systems, and more particularly to systems and methods that enable a spectator's experience for online active games.
・・・(以下略)」
(当審訳:
要約
本発明の分野は、マルチユーザオンラインゲームシステムに関し、より詳細には、オンラインアクティブゲームの観戦者体験を可能にするシステム及び方法に関する。・・・(以下略))
「DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
[0032] Turning back to FIG. 4, once a spectator has selected a particular active game to view, the spectator grid 1100 receives the request (Action Block 2100) and establishes a data connection with the spectator's client 1200 (Action Block 2200) to transmit game data to the client 1200 in streaming fashion (Action Block 2600) to be rendered on the spectator client 1200 in real-time or near real-time to the selected active game. Turning to FIG. 6, an example format 1500 is shown for game data transmitted by the spectator grid 1100 to the spectator client 1200. What is shown, in an embodiment, is that game chunks 150 are sent to the spectator client 1200 with similar structure and content to the game chunks 150 sent to game clients 110. One difference in this embodiment is that the game chunks 150 sent to the spectator client 1200 includes complete data for the active game being viewed. For example, all player positions are provided, including the ones that are hidden, so that the spectator is provided an omnipresent view.
[0033] Once the chunks 150 are received, the spectator client 1200 can generate the same graphics and visual representations of the active game in real-time or near real time of the active game.
[0034] Also included in the data format 1500 are keyframes, which are effectively snapshots of a particular game at a particular point in time. A keyframe is aligned with a fixed group of chunks 150, e.g., 3, to define a time interval using the time stamps in the chunks 150. A keyframe can be generated by creating a chunk 150 that includes game data packets for all players that exist at a given time. When a keyframe is loaded onto a spectator client 1200, then the latest game data, e.g. the latest scene, along with all of the entity data that are known by the spectator client 1200 at that time, e.g., avatar and computer controlled object data, are deleted. The keyframe can then be played back as a regular chunk 150, which renders the entity data that exist at that point in time at their correct positions. The chunk 150 that corresponds to the keyframe's point in time is then loaded as the next chunk to render. From there, chunks 150 can be rendered in chronological order. The amount of game play time represented by a chunk 150 is configurable by the system's 1000 administrator, for example, approximately 30 seconds.
[0035] One aspect of the keyframes is the enablement of time-shifting features for the live game (Action Block 2700). For instance, an active game session rendered from the chunks 150 at a previous point of time can be quickly simulated by jumping to specific keyframes instead of individual chunks 150. In an embodiment, when jumping to specific keyframes, much of the game processing can be disabled, such as rendering and sound, to enable faster jumps. Once a keyframe is reached, then normal playback and rendering is enabled, as described above.
[0036] Turning to FIG. 7, to illustrate exemplary time shifting controls enabled by the system 1000 (Action Block 2700), a user interface for a spectator client 1200 viewing an active game session is shown. As mentioned above, the chunks 150 enable the spectator client 1200 to render real-time, or in near real-time fashion, game play from an active game, but with an omnipresent view that enables the spectator to view all game play within the virtual landscape. Moreover, certain time-shifting controls can be enabled. The following are examples.」
(当審訳:
[0032] 図4に戻る。観戦者が閲覧する特定のアクティブゲームを選択すると、観戦者グリッド1100は、要求を受信し(動作ブロック2100)、観戦者のクライアント1200とのデータ接続を確立して(動作ブロック2200)、選択されたアクティブゲームに対してリアルタイムまたはほぼリアルタイムで観戦者クライアント1200上にレンダリングされるゲームデータをストリーミング方式でクライアント1200に送信する(動作ブロック2600)。図6を参照すると、観戦者グリッド1100によって観戦者クライアント1200に送信されるゲームデータの例示的なフォーマット1500が示されている。一実施形態では、ゲームクライアント110に送信されるゲームチャンク150と同様の構造およびコンテンツを有するゲームチャンク150が観戦者クライアント1200に送信されることが示される。この実施形態の1つの違いは、観戦者クライアント1200に送信されるゲームチャンク150が、閲覧されているアクティブなゲームの完全なデータを含むことである。例えば、隠されている位置を含む全てのプレーヤ位置が提供され、その結果、観客には、遍在するビューが提供される。
[0033] チャンク150が受信されると、観戦者クライアント1200は、アクティブなゲームの同じグラフィックスおよび視覚的表現を、アクティブなゲームのリアルタイムまたはほぼリアルタイムで生成することができる。
[0034] データフォーマット1500には、特定の時点における特定のゲームの事実上のスナップショットであるキーフレームも含まれる。キーフレームは、チャンク150内のタイムスタンプを使用して時間間隔を定義するために、チャンク150の固定されたグループ、例えば3と位置合わせされる。キーフレームは、所与の時間に存在するすべてのプレーヤのゲームデータパケットを含むチャンク150を作成することによって生成することができる。キーフレームが観戦者クライアント1200にロードされると、最新のゲームデータ、例えば最新のシーンが、その時点で観戦者クライアント1200によって知られているエンティティデータの全て、例えばアバターおよびコンピュータ制御オブジェクトデータと共に削除される。次いで、キーフレームは、その時点でそれらの正しい位置に存在するエンティティデータをレンダリングする通常のチャンク150として再生され得る。次に、キーフレームの時点に対応するチャンク150が、すべき次のチャンクとしてロードされる。そこから、チャンク150を時間順にレンダリングすることができる。チャンク150によって表されるゲームプレイ時間の量は、システム1000の管理者によって設定可能であり、例えば、約30秒である。
[0035] キーフレームの一態様は、ライブゲームのためのタイムシフト機能の有効化である(動作ブロック2700)。例えば、前の時点でチャンク150からレンダリングされたアクティブなゲームセッションは、個々のチャンク150の代わりに特定のキーフレームにジャンプすることによって迅速にシミュレートすることができる。一実施形態では、特定のキーフレームにジャンプするとき、より速いジャンプを可能にするために、レンダリングおよびサウンドなど、ゲーム処理の大部分を無効にすることができる。キーフレームに達すると、上述のように、通常の再生およびレンダリングが可能になる。
[0036] 図7を参照すると、システム1000によって有効にされる例示的なタイムシフト制御を示すために(動作ブロック2700)、アクティブなゲームセッションを閲覧する観戦者クライアント1200のためのユーザインターフェースが示されている。上述したように、チャンク150は、観戦者クライアント1200が、アクティブなゲームからのゲームプレイをリアルタイムで、またはほぼリアルタイムでレンダリングすることを可能にするが、観戦者が仮想風景内のすべてのゲームプレイを閲覧することを可能にするオムニプレゼントビューを有する。さらに、特定の時間シフト制御を可能にすることができる。
以下は例である。)
「図4
[図:0001382919000001.jpg]
」
「図6
[図:0001382919000002.jpg]
」
「図7
[図:0001382919000003.jpg]
」
「[0039] Playback Speed 1230―The “+” and “-” buttons will increase and decrease the speed that the game is playing at, respectively, and the playback speed 1 can be displayed. The use of keyframes may be particularly helpful in performance of this feature, as described above.
[0040] Time control scrubber bar 1240―this area represents the time that is in the past for the game. It can be clicked on to set the time back to an earlier time. A tooltip that shows what time the user will jump to when hovering over this bar can be included (not shown).」
(当審訳:
[0039] 再生速度1230―「+」および「-」ボタンは、ゲームがプレイしている速度をそれぞれ増減させ、再生速度1を表示することができる。キーフレームの使用は、上述のように、この特徴の実行において特に有用であり得る。
[0040] 時間制御スクラバ・バー1240―この領域は、ゲームの過去の時間を表す。時間を前の時間に戻すためにクリックすることができる。このバー上でホバリングするときにユーザがジャンプする時間を示すツールチップを含めることができる(図示せず)。)
「[0046] In addition to the controls above, a spectator may select any area of the virtual landscape, which can be expansive, to view at any time, and can further select a particular player for the camera view to automatically follow. For instance, the spectator can mouse click on a particular player in the game, and the spectator's camera view can follow that player automatically. This can be achieved by having the spectator client 1200 focus on that player's data within the received chunks 150, either real-time, or at a selected time. Further, the spectator can switch from player to player at any time.
[0047] Turning back to FIG. 4, because the spectator's view is omnipresent, a player may be able to use that spectator's view to its advantage to obtain additional information about other players in the game. To prevent this, a delay may be configured (Decision Block 2300). If configured, then the spectator grid 1100 may buffer the chunks by a certain amount of time, e.g., 30 seconds, before transmitting such data to a spectator, thereby enabling a delay, which would remove the incentive for an active player to attempt to view the game in spectator mode.
[0048] Moreover, the delay enables the spectator grid 1100 and/or spectator client 1200 to analyze the most recent data and notify the spectator of upcoming events that may be of interest to the spectator. For instance, the virtual landscape of a game may be too large to view in detail in its entirety on a spectator client's 1200 screen, and the various avatars may be moving in any different direction. At any given moment, an event could occur, such as a special move or a special achievement outside the spectator's current camera view. Example events include champion defeats, champion damage, events that lead up to champion defeat and/or damage, and game specific events such as the completion of important team-based objectives, and status of key objects within the game, such as status of key computer controlled avatars or objects. To maintain focus on the key events, the spectator grid 1100 and/or spectator client 1200 can be configured to monitor for such activities within the buffer (which occur on the spectator's client 1200 at a configurable time later, e.g., 30 seconds) and cause the spectator's view to focus on those specific activities when they develop and/or occur on the spectator's client 1200. This directed view (Action Block 2500) will ensure that the spectator does not miss key events as they unfold.」
(当審訳:
[0046] 上記の制御に加えて、観戦者は、いつでも見るために、拡張的であり得る仮想風景の任意のエリアを選択することができ、カメラビューが自動的に追従するように特定のプレイヤーをさらに選択することができる。例えば、観戦者は、ゲーム内の特定のプレイヤーをマウスクリックすることができ、観戦者のカメラビューは、そのプレイヤーを自動的にフォローすることができる。これは、観戦者クライアント1200に、受信されたチャンク150内のそのプレイヤーのデータにリアルタイムで、または選択された時間にフォーカスさせることによって達成することができる。さらに、観客は、いつでもプレーヤーからプレーヤーに切り替えることができる。)
[0047] 図4に戻る。観戦者の視界が遍在するので、プレイヤーは、ゲームにおける他のプレイヤーについての追加の情報を得るために、その観戦者の視界を有利に使用することができる。これを防止するために、遅延が構成され得る(決定ブロック2300)。 構成される場合、観戦者グリッド1100は、そのようなデータを観戦者に送信する前に、特定の時間量、例えば、30秒だけチャンクをバッファリングしてもよく、それによって、遅延を可能にし、これは、アクティブプレイヤーが観戦者モードでゲームを閲覧しようと試みるインセンティブを除去する。
[0048] さらに、遅延は、観戦者グリッド1100および/または観戦者クライアント1200が最新のデータを分析し、観戦者にとって関心があるであろう、今後来るイベントを観戦者に通知することを可能にする。例えば、ゲームの仮想風景は、観戦者クライアント1200の画面上でその全体を詳細に見るには大きすぎる場合があり、様々なアバターが任意の異なる方向に移動している場合がある。任意の所与の瞬間に、観戦者の現在のカメラビューの外側の特別な動きまたは特別な達成などのイベントが発生し得る。例示的なイベントは、チャンピオン敗北、チャンピオンダメージ、チャンピオン敗北および/またはダメージに至るイベント、ならびに重要なチームベースの目的の完了などのゲーム特有のイベント、ならびにキーコンピュータ制御アバターまたはオブジェクトのステータスなどのゲーム内のキーオブジェクトのステータスを含む。キーイベントへの焦点を維持するために、観戦者グリッド1100および/または観戦者クライアント1200は、バッファ内のそのような活動(構成可能な時間後、例えば、30秒後に観戦者のクライアント1200上で発生する)を監視し、それらの特定の活動が観戦者のクライアント1200上で展開および/または発生すると、観戦者のビューにそれらの特定の活動に焦点を合わせるように構成され得る。この方向付けられたビュー(動作ブロック2500)は、観客がキーイベントを開くときに見逃すことがないようにする。)
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「オンラインアクティブゲームの観戦者体験を可能にする方法であって、
観戦者が閲覧する特定のアクティブゲームを選択すると、観戦者グリッド1100は、要求を受信し、観戦者のクライアント1200とのデータ接続を確立して、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで観戦者クライアント1200上にレンダリングされるゲームデータをストリーミング方式でクライアント1200に送信し、
観戦者クライアント1200に送信されるゲームチャンク150が、閲覧されているアクティブなゲームの完全なデータを含み、
観客には、遍在するビューが提供され、
チャンク150は、観戦者クライアント1200が、アクティブなゲームからのゲームプレイをリアルタイムで、またはほぼリアルタイムでレンダリングすることを可能とし、観戦者が仮想風景内のすべてのゲームプレイを閲覧することを可能にするオムニプレゼントビューを有し、
「+」および「-」ボタンは、ゲームがプレイしている速度をそれぞれ増減させ、再生速度1を表示し、
カメラビューが自動的に追従するように特定のプレイヤーをさらに選択し、
観戦者グリッド1100は、そのようなデータを観戦者に送信する前に、特定の時間量だけチャンクをバッファリングしてもよく、それによって、遅延を可能にする
方法。」
2.引用文献2について
令和2年1月28日付けの拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2013-178639号広報)には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0093】
(D-1)画像表示システムおよび頭部装着型表示装置の構成:
図13は、第4実施例における画像表示システム1000cの一例を概略的に示す説明図である。画像表示システム1000cは、複数のヘッドマウントディスプレイHMcと、サーバーSVとを備えている。図13の例では、人物PAに装着されたヘッドマウントディスプレイHMcと、人物PBに装着されたヘッドマウントディスプレイHMcとは「参加モード」であり、一方、人物PCに装着されたヘッドマウントディスプレイHMcは「観戦モード」である。」
「【0098】
一方、観戦モードのヘッドマウントディスプレイHMcでは、ステップS200およびS204を省略する点、および、ステップS300において、無線LANインターフェイス182を介してサーバーSVからステータスの受信を行う点が、図12に示した第3実施例とは異なる。この結果、観戦モードのヘッドマウントディスプレイHMcでは、サーバーSVを介して受信した、他の参加モードのヘッドマウントディスプレイHMcのステータスに応じた効果画像が付与される。例えば、図13の例では、観戦モードの人物PCの視野VR2には、左右の光学像表示部を透過して見える外景SC2内の外界の人物PAおよびPBと、虚像VI2として表示された効果画像とが、重畳された状態で視認可能となる。」
したがって、上記引用文献2には次の技術的事項が記載されていると認められる。
「画像表示システムおよび頭部装着型表示装置において、
人物PAに装着されたヘッドマウントディスプレイHMcと、人物PBに装着されたヘッドマウントディスプレイHMcとは「参加モード」であり、人物PCに装着されたヘッドマウントディスプレイHMcは「観戦モード」であり、
観戦モードのヘッドマウントディスプレイHMcでは、サーバーSVを介して受信した、他の参加モードのヘッドマウントディスプレイHMcのステータスに応じた効果画像が付与される画像表示システムおよび頭部装着型表示装置。」
第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の「オンラインアクティブゲームの観戦者体験を可能にする方法」は、「観戦者が仮想風景内のすべてのゲームプレイを閲覧する」ものであり、引用発明の「観戦者」、「仮想風景内のすべてのゲームプレイ」、及び「閲覧」は、それぞれ本願発明1の「観客」、「仮想現実コンテンツ」、及び「視聴」に相当するため、観客が仮想現実コンテンツを視聴するためのものといえる。したがって、引用発明の「観戦者が仮想風景内のすべてのゲームプレイを閲覧する」ものである「オンラインアクティブゲームの観戦者体験を可能にする方法」は、本願発明1における「観客が視聴するための仮想現実コンテンツを処理する方法」に相当する。
イ.引用発明の「観戦者が閲覧する特定のアクティブゲームを選択すると、観戦者グリッド1100は、要求を受信し」について、引用発明の「観戦者グリッド1100」が本願発明1の「サーバ」に相当し、引用発明の「要求」とは、「観戦者が閲覧する特定のアクティブゲーム」を閲覧するための要求であることから、本願発明1の「前記仮想現実ストリームを視聴する要求」に相当する。したがって、引用発明の「観戦者が閲覧する特定のアクティブゲームを選択すると、観戦者グリッド1100は、要求を受信」することは、本願発明1の「前記仮想現実ストリームを視聴する要求を、前記サーバで受信すること」に相当する。
ウ.引用発明の「レンダリングされるゲームデータ」は、「ストリーミング方式でクライアント1200に送信」されることから、上記「ア.」を踏まえると、本願発明1の「仮想現実ストリーム」に相当し、引用発明の「クライアント1200」は、本願発明1の「観客のデバイス」に相当する。また、引用発明において、「レンダリングされるゲームデータ」を送信する主体は「観戦者グリッド1100」であることから、上記「イ.」を踏まえると、引用発明の「リアルタイムまたはほぼリアルタイムで観戦者クライアント1200上にレンダリングされるゲームデータをストリーミング方式でクライアント1200に送信」することは、本願発明1の「前記サーバが、前記観客の前記HMDのために、前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記デバイスに送信すること」とは、「前記サーバが、前記観客のために、前記仮想現実ストリームを前記観客のデバイスに送信すること」である点で共通する。
また、引用発明の「観戦者クライアント1200上にレンダリングされるゲームデータ」は、上記「ア.」を踏まえると、本願発明1の「観客」が「視聴」するための「仮想現実ストリーム」であることから、引用発明の上記「ゲームデータ」を「ストリーミング方式でクライアント1200に送信」する構成は、本願発明1の「前記仮想現実ストリームの前記フィードは、前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する」構成とは、「前記仮想現実ストリームは、前記仮想現実環境の観客ビューを提供する」構成という点で共通する。
以上のことから、引用発明の「リアルタイムまたはほぼリアルタイムで観戦者クライアント1200上にレンダリングされるゲームデータをストリーミング方式でクライアント1200に送信」することは、本願発明1の「前記サーバが、前記観客の前記HMDのために、前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記デバイスに送信することであって、前記仮想現実ストリームの前記フィードは、前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記デバイスに送信すること」とは、「前記サーバが、前記観客のために、前記仮想現実ストリームを前記観客のデバイスに送信することであって、前記仮想現実ストリームは、前記仮想現実環境の観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームを前記観客の前記デバイスに送信すること」という点で共通する。
したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「観客が視聴するための仮想現実コンテンツを処理する方法であって、
前記仮想現実ストリームを視聴する要求を、サーバで受信することと、
前記サーバが、前記観客のために、前記仮想現実ストリームを前記観客のデバイスに送信することであって、前記仮想現実ストリームは、前記仮想現実環境の観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームを前記観客の前記デバイスに送信することと、
を含む、方法。」
(相違点1)
本願発明1では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いているのに対して、引用発明では、HMDを用いることが記載されていないため、本願発明1のような「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)プレイヤによるインタラクションに関連付けられた仮想現実ストリームをサーバで受信することであって、前記HMDプレイヤは、仮想現実環境をナビゲートするように構成され、前記仮想現実環境の前記ナビゲートは、HMDプレイヤビューを有する前記仮想現実ストリームを生成する、前記仮想現実ストリームを受信すること」について、特定されていない点。
(相違点2)
「前記仮想現実ストリームを視聴する要求を、前記サーバで受信すること」について、上記相違点1で示したように、引用発明では、HMDを用いることが記載されていないため、本願発明1では、「観客のデバイスを介して」、上記要求を前記サーバで受信し、「前記観客のHMDを用いて」前記仮想現実ストリームを視聴するのに対して、引用発明では、そのような特定がされていない点。
(相違点3)
「前記サーバが、前記観客のために、前記仮想現実ストリームを前記観客のデバイスに送信することであって、前記仮想現実ストリームは、前記仮想現実環境の観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームを前記観客の前記デバイスに送信すること」について、上記相違点1で示したように、引用発明では、HMDを用いることが記載されていないため、本願発明1では、「前記観客の前記HMDのために」、「前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する」のに対して、引用発明では、そのような、HMDに関して特定されていない点。
(相違点4)
「前記サーバが、前記観客のために、前記仮想現実ストリームを前記観客の前記デバイスに送信することであって、前記仮想現実ストリームは、前記仮想現実環境の観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームを前記観客の前記デバイスに送信すること」について、本願発明1では、「前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記デバイスに送信する」、及び「前記仮想現実ストリームの前記フィードは、前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する」のに対し、引用発明では、仮想現実ストリームの「フィード」に関して特定されていない点。
(相違点5)
本願発明1は、ギア比率に従ってHMDプレイヤビューの後を追うHMD観客ビューの動く速度を調節するのに対して、引用発明は、「観戦者グリッド1100は、そのようなデータを観戦者に送信する前に、特定の時間量だけチャンクをバッファリングしてもよく、それによって、遅延を可能にする」ものであって、ゲームプレイの再生タイミングを遅らせるものであり、視点の移動を遅延させるものではないため、引用発明には、本願発明1のような「前記サーバが、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューをギア比率に従って調節することであって、前記ギア比率は、前記HMDプレイヤが前記仮想現実環境をナビゲートする時、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う速度を規定する、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューを調節することと、を含み、前記HMDプレイヤビューの後を追う前記HMD観客ビューは、前記HMDプレイヤが動く速度よりも遅い速度で動き、前記ギア比率は、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う時の遅れを提供し、前記遅れは、前記HMD観客ビューの動きを前記HMDプレイヤビューの動きよりゆっくりに変化させ、前記HMDプレイヤビューは、前記HMDプレイヤが、前記仮想現実環境をナビゲートまたは移動しながら、前記HMDプレイヤの前記HMDを実世界空間で動かすと、前記HMDプレイヤが制御する速度で移動する」ことについては特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず相違点5について検討すると、相違点5に係る本願発明1の「前記サーバが、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューをギア比率に従って調節することであって、前記ギア比率は、前記HMDプレイヤが前記仮想現実環境をナビゲートする時、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う速度を規定する、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューを調節することと、を含み、前記HMDプレイヤビューの後を追う前記HMD観客ビューは、前記HMDプレイヤが動く速度よりも遅い速度で動き、前記ギア比率は、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う時の遅れを提供し、前記遅れは、前記HMD観客ビューの動きを前記HMDプレイヤビューの動きよりゆっくりに変化させ、前記HMDプレイヤビューは、前記HMDプレイヤが、前記仮想現実環境をナビゲートまたは移動しながら、前記HMDプレイヤの前記HMDを実世界空間で動かすと、前記HMDプレイヤが制御する速度で移動する」という構成は、上記引用文献2にも記載も示唆もされておらず、また、本願の優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2-4について
本願発明2-4は、本願発明1の上記相違点5に係る構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
3.本願発明5について
(1)対比
上記本願発明5と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア.引用発明の「オンラインアクティブゲームの観戦者体験を可能にする方法」は、「観戦者が仮想風景内のすべてのゲームプレイを閲覧する」ものであり、引用発明の「観戦者」、「仮想風景内のすべてのゲームプレイ」、及び「閲覧」は、それぞれ本願発明5の「観客」、「仮想現実コンテンツ」、及び「視聴」に相当するため、観客が仮想現実コンテンツを視聴するためのものといえる。したがって、引用発明の「観戦者が仮想風景内のすべてのゲームプレイを閲覧する」ものである「オンラインアクティブゲームの観戦者体験を可能にする方法」は、本願発明5における「観客が視聴するための仮想現実コンテンツを処理する方法」に相当する。
イ.引用発明の「観戦者が閲覧する特定のアクティブゲームを選択すると、観戦者グリッド1100は、要求を受信し」について、引用発明の「観戦者グリッド1100」が本願発明5の「コンピュータ」に相当し、引用発明の「要求」とは、「観戦者が閲覧する特定のアクティブゲーム」を閲覧するための要求であることから、本願発明5の「前記仮想現実ストリームを視聴する前記要求」に相当する。したがって、引用発明の「観戦者が閲覧する特定のアクティブゲームを選択すると、観戦者グリッド1100は、要求を受信」することは、本願発明5の「前記仮想現実ストリームを視聴する前記要求を前記コンピュータで受信すること」に相当する。
ウ.引用発明の「レンダリングされるゲームデータ」は、「ストリーミング方式ででクライアント1200に送信」されることから、上記「ア.」を踏まえると、本願発明5の「仮想現実ストリーム」に相当する。また、引用発明の「クライアント1200」は、本願発明5の「観客のHMD」と、「観客のデバイス」である点で共通しており、引用発明において、「レンダリングされるゲームデータ」を送信する主体は「観戦者グリッド1100」であることから、上記「イ.」を踏まえると、引用発明の「リアルタイムまたはほぼリアルタイムで観戦者クライアント1200上にレンダリングされるゲームデータをストリーミング方式でクライアント1200に送信」することは、本願発明5の「前記コンピュータが、前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記HMDに送信する」こととは、「前記コンピュータが、仮想現実ストリームを前記観客のデバイスに送信する」ことである点で共通する。
また、引用発明の「観戦者クライアント1200上にレンダリングされるゲームデータ」は、上記「ア.」を踏まえると、本願発明5の「観客」が「視聴」するための「仮想現実ストリーム」であることから、引用発明の上記「ゲームデータ」を「ストリーミング方式でクライアント1200に送信」する構成は、本願発明5の「前記仮想現実ストリームの前記フィードは、前記HMDプレイヤがナビゲートしている前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する」ものとは、「前記仮想現実ストリームは、前記仮想現実環境の観客ビューを提供する」ものという点で共通する。
以上のことから、引用発明の「リアルタイムまたはほぼリアルタイムで観戦者クライアント1200上にレンダリングされるゲームデータをストリーミング方式でクライアント1200に送信」することは、本願発明5の「前記コンピュータが、前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記HMDに送信することであって、前記仮想現実ストリームの前記フィードは、前記HMDプレイヤがナビゲートしている前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームのフィードを送信すること」とは、「前記コンピュータが、前記仮想現実ストリームを前記観客の前記デバイスに送信することであって、前記仮想現実ストリームは、前記仮想現実環境の観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームを送信すること」という点で共通する。
したがって、本願発明5と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「観客が視聴するための仮想現実コンテンツを処理する方法であって、
前記仮想現実ストリームを視聴する要求をコンピュータで受信することと、
前記コンピュータが、前記仮想現実ストリームを前記観客の前記デバイスに送信することであって、前記仮想現実ストリームは、前記仮想現実環境の観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームを送信することと、
を含む、方法。」
(相違点6)
本願発明5では、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いているのに対して、引用発明では、HMDを用いることが記載されていないため、本願発明5のような「ヘッドマウントディスプレイ(HMD)プレイヤが装着したヘッドマウントディスプレイ(HMD)によるインタラクションに関連付けられた仮想現実ストリームをコンピュータで処理することであって、前記HMDプレイヤは、仮想現実環境をナビゲートするように構成され、前記仮想現実環境の前記ナビゲートは、HMDプレイヤビューを有する前記仮想現実ストリームを生成する、前記仮想現実ストリームをコンピュータで処理すること」について、特定されていない点。
(相違点7)
「前記仮想現実ストリームを視聴する要求をコンピュータで受信すること」について、上記相違点6で示したように、引用発明ではHMDを用いることが記載されていないため、本願発明5では、「観客のHMDに関連付けられた要求であって、前記観客のHMDを用いて」前記仮想現実ストリームを視聴するのに対して、引用発明では、そのような特定がされていない点。
(相違点8)
「前記コンピュータが、前記仮想現実ストリームを前記観客の前記デバイスに送信することであって、前記仮想現実ストリームは、前記仮想現実環境の観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームを送信すること」について、上記相違点6で示したように、引用発明ではHMDを用いることが記載されていないため、本願発明5では、「前記観客の前記HMDに送信する」、及び「前記HMDプレイヤがナビゲートしている前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する」のに対して、引用発明では、そのような、HMDに関して特定されていない点。
(相違点9)
「前記コンピュータが、前記仮想現実ストリームを前記観客の前記デバイスに送信することであって、前記仮想現実ストリームは、前記プレイヤがナビゲートしている前記仮想現実環境の観客ビューを提供する、前記仮想現実ストリームを送信すること」について、本願発明5では、「前記仮想現実ストリームのフィードを前記観客の前記HMDに送信する」、及び「前記仮想現実ストリームの前記フィードは、前記HMDプレイヤがナビゲートしている前記仮想現実環境のHMD観客ビューを提供する」のに対し、引用発明では、仮想現実ストリームの「フィード」に関して特定されていない点。
(相違点10)
本願発明5は、ギア比率に従ってHMDプレイヤビューの後を追うHMD観客ビューの動く速度を調節するのに対して、引用発明は、「観戦者グリッド1100は、そのようなデータを観戦者に送信する前に、特定の時間量だけチャンクをバッファリングしてもよく、それによって、遅延を可能にする」ものであって、ゲームプレイの再生タイミングを遅らせるものであり、視点の移動を遅延させるものではないため、引用発明には、本願発明5のような「前記コンピュータが、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューをギア比率に従って調節することであって、前記ギア比率は、前記HMDプレイヤが前記仮想現実環境をナビゲートする時、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う速度を規定する、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューを調節することと、を含み、前記HMDプレイヤビューの後を追う前記HMD観客ビューは、前記HMDプレイヤが動く速度よりも遅い速度で動き、前記ギア比率は、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う時の遅れを提供し、前記遅れは、前記HMD観客ビューの動きを前記HMDプレイヤビューの動きよりゆっくりに変化または反応させ、前記HMDプレイヤが、前記仮想現実環境をナビゲートまたは移動しながら、実世界空間で前記HMDプレイヤの前記HMDを動かすと、前記HMDプレイヤビューは、前記HMDプレイヤによって制御される速度で動く」ことについては特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず相違点10について検討すると、相違点10に係る本願発明5の「前記コンピュータが、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューをギア比率に従って調節することであって、前記ギア比率は、前記HMDプレイヤが前記仮想現実環境をナビゲートする時、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う速度を規定する、前記仮想現実環境の前記HMD観客ビューを調節することと、を含み、前記HMDプレイヤビューの後を追う前記HMD観客ビューは、前記HMDプレイヤが動く速度よりも遅い速度で動き、前記ギア比率は、前記HMD観客ビューが前記HMDプレイヤビューの後を追う時の遅れを提供し、前記遅れは、前記HMD観客ビューの動きを前記HMDプレイヤビューの動きよりゆっくりに変化または反応させ、前記HMDプレイヤが、前記仮想現実環境をナビゲートまたは移動しながら、実世界空間で前記HMDプレイヤの前記HMDを動かすと、前記HMDプレイヤビューは、前記HMDプレイヤによって制御される速度で動く」という構成は、上記引用文献2にも記載も示唆もされておらず、また、本願の優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本願発明5は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
4.本願発明6-8について
本願発明6-8は、本願発明5の上記相違点10に係る構成を備えるものであるから、本願発明5と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
5.本願発明9について
本願発明9は、本願発明5とカテゴリー違いで実質的に同様内容の「プログラム命令を有するコンピュータ可読媒体」に係る発明であるので、本願発明5と同様の理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
6.本願発明10について
本願発明10は、本願発明9の構成を備えるものであるから、本願発明9と同じ理由により、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1-20について、「前記ギア比率は、前記HMDプレイヤビューの動きに対する前記HMD観客ビューの動きを滑らかにすることを提供する、」との記載が明確でなく、また、発明の範囲が明確でないため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができないというものである。更に、上記記載について、発明の詳細な説明に実施可能に記載されていないため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしておらず、特許を受けることができないというものである。しかしながら、令和3年12月15日付け手続補正により補正された請求項1、5、9は、それぞれ、「動きを滑らかにすることを提供する」という記載を削除し、「前記HMDプレイヤが動く速度よりも遅い速度で動き」と記載を明確にするものとなっており、また、発明の詳細な説明においても実施可能に記載されている構成を有するものとなっている。したがって、原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
1.特許法第36条第6項第1号について
(1)当審では、請求項5-6、13-14、17について、「前記HMDプレイヤビューの動きの加速」に対応する本願明細書の記載がないとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年12月15日付け手続補正において、当該請求項の削除を行う補正がされた結果、この拒絶の理由は解消した。
(2)当審では、請求項7について、「前記HMDプレイヤビューが前記ギア比率によって与えられる遅れよりも早く動く時」に対応する本願明細書の記載がないとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年12月15日付け手続補正において、当該請求項の削除を行う補正がされた結果、この拒絶の理由は解消した。
(3)当審では、請求項8について、「前記ギア比率は、前記HMDプレイヤビューと前記HMD観客ビューとの間の仮想ゴムバンド接続に関連付けられた物理メトリックに基づいて、調節可能である」に対応する本願明細書の記載がないとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年12月15日付け手続補正において、当該請求項の削除を行う補正がされた結果、この拒絶の理由は解消した。
2.特許法第36条第6条第2項について
当審では、請求項7について、「ギア比率によって与えられる遅れ」の技術的意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、令和3年12月15日付け手続補正において、当該請求項の削除を行う補正がされた結果、この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2021-002105