2021-000949
Fairing for motorcycles
- 審判番号
- 2021-000949
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2019-500910外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2021年01月22日
- 審決日
- 2021年05月26日
- 公報発行日
- 2021年07月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
- 【請求人代理人】松谷 道子
- 【請求人代理人】大塚 雅晴
- 【請求人代理人】山田 裕三
- 分類
- D18 .113-WY (G2-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 事案の概要
1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は,平成31年(2019年)4月4日(パリ条約による優先権主張2018年10月16日,欧州連合知的財産庁)の国際意匠登録出願であって,令和2年(2020年)5月27日付けの拒絶の通報に対し,同年9月4日付けで意見書が提出されたが,同年10月14日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和3年(2021年)1月22日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同年3月16日に手続補正書(対象書類,審判請求書)が提出されたものである。
2 本願意匠の願書及び添付図面の記載
本願意匠は,意匠に係る物品を「Fairing for motorcycles」(参考訳:「自動二輪車用フェアリング」,以下日本語訳で示す。)とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は,本願意匠は,その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため,意匠登録を受けることができない意匠)に該当する,というものである。
拒絶理由通知において引用された意匠は,以下のとおりである(以下「引用意匠」という。)(別紙第2参照)。
Cited Design
Design of [Fairing] on the front of the motorcycle
Publishing Office: Japan Patent Office
Title of the Publication: Design Bulletin
Filing Date (yyyy/mm/dd): 2013/08/26
JPO Application Number: 2013-019434
Priority Date (yyyy/mm/dd): 2013/02/27
Registration Date (yyyy/mm/dd): 2014/03/07
JPO Registration Number: 1494161
Date of Publication of Bulletin (yyyy/mm/dd): 2014/04/07
Name of Right Holder: ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
Domicile/Residence of Right Holder: イタリア国(ピサ)56025ポンテデラ,ヴィアレ・リナルド・ピアッジオ25番
(参考和訳)
引用意匠
自動二輪車の前方部分に表された「フェアリング」の意匠
公報発行官庁 日本国特許庁
文献名 意匠公報
出願日 2013年8月26日
出願番号 意願2013-019434
優先日 2013年2月27日
登録日 2014年3月7日
登録番号 意匠登録第1494161号
公報発行日 2014年4月7日
権利者の氏名/名称 ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
権利者の住所/居所 イタリア国(ピサ)56025ポンテデラ,ヴィアレ・リナルド・ピアッジオ25番
第2 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は,いずれも車体の前面部分に装飾のために取り付けられる「自動二輪車用フェアリング」であるから,両意匠の意匠に係る物品は一致する。
(2)形態の対比
両意匠の形態を対比する(以下,対比のため,引用意匠も本願意匠の図面の向きに合わせることとする。)と,その形態には,主として以下の共通点及び相違点が認められる。
なお,本願意匠の図の表示【1.1】を「斜視図」とし,図の表示【1.2】を「正面図」とし,図の表示【1.3】を「右側面図」とし,図の表示【1.4】を「左側面図」とし,図の表示【1.5】を「平面図」として以下記載する。
ア 形態の共通点
(共通点1)両意匠は,全体を,下方に向かって漸次幅の拡がる,前面側の中央部分が正面側に盛り上がった,縦長で左右対称の板状体(以下「本体部」という。)とし,本体部の左右の縁部分(以下「左右縁部」という。)を,背面側に傾斜する傾斜面となるように形成し,本体部の下辺部分を,背面側に湾曲する略凸状湾曲面になるように形成している点で共通する。
(共通点2)本体部の上端部近傍に,正面視略正方形状の平面部分(以下「フレーム部」という。)を形成している点で共通する。
(共通点3)本体部の下端部近傍に,下から大中小の大きさの正面視略扁平V字状の開口部(以下「スリット部」という。)を3つ,縦1列に形成している点で共通する。
イ 形態の相違点
(相違点1)本願意匠の本体部の具体的な形態が,正面視において,その横幅が,上端部から約2/3の部分までは僅かに拡がり,その下方部分からは大きく拡がり,下端部の横幅が上端部の約2倍となる略撥状の板状体としたものであって,その上端部には背面側斜め下方に傾斜する板状体を形成し,フレーム部より下方部分の左右縁部との境界部分には,二重線で表された段差部分を形成し,フレーム部とスリット部の間の中央部分には,二重線で表されたセンターラインを1条形成しているのに対し,引用意匠の本体部の具体的な形態は,正面視において,上端部から下端部まで横幅が漸次拡がる略縦長等脚台形状の板状体としたものであって,その上端部を略凸円弧状に形成したものである点で,両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠の左右縁部の形態が,その上端部から下端部にかけて上方よりも下方部分の方が漸次大きく傾斜するように傾斜面を形成したものであって,幅の狭い略水平な上方部分から幅の広い略垂直な中間部分を経て,先の尖った略垂直な下端部分となるような略細幅帯状の湾曲面に形成したものであるのに対し,引用意匠の左右縁部の形態は,その上端部から本体部の約2/3の部分を,正面視略縦長J字状(左縁部),若しくは正面視略逆縦長J字状(右縁部)になるように,切り欠き部が略凹湾曲面状になるように形成したものである点で,両意匠は相違する。
(相違点3)本願意匠のフレーム部の具体的な形態及びその配置態様が,本体部の上端部分に形成された略正方形状の平坦な部分の下方部分に,二重線で表された略正方形状の平面部分を,本体部の中央部分より一段盛り上げて形成したものであるのに対し,引用意匠のフレーム部の具体的な形態及びその配置態様は,本体部の上端部分に,略正方形状の平面部分を本体部の中央部分より一段下がった位置に形成したものである点で,両意匠は相違する。
(相違点4)本願意匠のスリット部の具体的な形態が,その開口部分に二重線で表された枠状の部分を形成しているのに対し,引用意匠のスリット部の具体的な形態には,そのような枠状部分を形成していない点で,両意匠は相違する。
2 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品についての判断
両意匠の意匠に係る物品は,同一である。
(2)形態の類否についての判断
本願意匠の意匠に係る物品である「自動二輪車用フェアリング」は,自動二輪車の車体前面部分を覆う大型の車体カバーの中央部分に取り付けられるフェアリングであって,自動二輪車を前面から見たときに特に目につく車体装飾のアクセントとなる部分であるから,この物品の購入者である需要者にとってみれば,強く注意を惹く部分である。
よって,需要者の注意を惹く部分であるこのフェアリングの類否判断に際しては,需要者は,その具体的な形態について強い関心を持って観察するとの前提に基づいて,両意匠の共通点及び相違点が類否判断に及ぼす影響について評価することとする。
ア 共通点の評価
(共通点1)は全体の形態に係るものであり,(共通点2)はフレーム部の形態,(共通点3)はスリット部の形態に係るものであるが,これらは両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるから,これら(共通点1)ないし(共通点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
イ 相違点の評価
(相違点1)の本体部の具体的な形態については,本願意匠が二重線で表された左右の段差部を有し,この左右段差部の間が中央部分に向かって大きく盛り上がった立体的な略撥状のものであるとの印象を与えるのに対し,引用意匠は,中央部分全体が僅かに盛り上がった平面的な略縦長等脚台形状のものであるとの印象を与えるものであって,本願意匠にのみ形成されたセンターラインの有無も含めて,需要者に別異の印象を強く与えるものであるから,この(相違点1)が意匠全体の美感に与える影響は大きい。
(相違点2)の左右縁部の形態については,本願意匠が,その上端部から下端部にかけて傾斜面の傾きが変化する細幅帯状の複雑な傾斜面のものであるのに対し,引用意匠は,その上端部から約2/3の部分までを切り欠いて段差部分を形成したものであって,これらの形態の相違は需要者に異なる印象を強く与えるものであるから,この(相違点2)が意匠全体の美感に与える影響は大きい。
(相違点3)のフレーム部の具体的な形態及びその配置態様については,この部分にはエンブレム等が貼付される部分であって,特に需要者の目を惹く部分であるところ,本体部中央部分から盛り上がって形成された立体的な本願意匠のものと,本体部中央部分を切り欠いて形成されたような平面的な引用意匠のものでは,それが形成された位置の相違も含めて,需要者に別異の印象を強く与えるものであるから,この(相違点3)が意匠全体の美感に与える影響も大きい。
(相違点4)のスリット部の具体的な形態については,スリット開口部の形態が正面視略扁平V字状で共通し,その数も一致するものであるが,本願意匠の二重線で表された枠部分をもつスリット部と,引用意匠の単なる開口部からなるスリット部では,それを観察する需要者に一定の異なる印象を与えるものであるから,この(相違点4)が意匠全体の美感に与える影響は一定程度ある。
ウ 形態の類否判断
両意匠の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき,意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合,両意匠は,需要者が強い関心を持って観察する本体部,左右縁部,及びフレーム部の相違が意匠全体の美感に与える影響が大きく,スリット部の相違も意匠全体の美感に一定程度の影響を与えるものであるから,両意匠の全体の概括的な形態が共通することを考慮しても,意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえるから,両意匠の形態は類似しないものである。
3 小括
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が同一であるが,その形態において類似しないから,本願意匠と引用意匠が類似するということはできない。
第3 むすび
上記のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2021-000949