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特許拒絶査定不服審判

2021-000493

画像データのデータ構造

審判番号
2021-000493
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2019-080249外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2021年01月13日
審決日
2022年08月23日
公報発行日
2022年11月25日
結論
請求不成立
審判長/審判官
分類
P18 .1 -WZ (G06T)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項、特許法第2条第4項、特許法第2条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2019-80249「画像データのデータ構造」拒絶査定不服審判事件〔令和元年9月19日出願公開、特開2019-160330〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 9項目
理 由

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、2016年(平成28年)6月24日(優先権主張 平成27年8月18日)を国際出願日とする特願2017-535279の一部を平成31年4月19日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。

令和元年 6月18日 :上申書の提出
令和2年 7月 2日付け:拒絶理由通知書
令和2年 9月14日 :意見書、手続補正書の提出
令和2年10月 1日付け:拒絶査定
令和3年 1月13日 :審判請求書の提出
令和4年 4月15日付け:拒絶理由通知書(当審)
令和4年 5月30日付け:応対記録

第2 本願の請求項1に記載されたもの

本願の請求項1に記載されたものは、令和2年9月14日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである。(記号A-Dは分説するために当審にて付した。以下「構成A」-「構成D」という。)

「 【請求項1】
A 観測点から見た景色を少なくとも一部の範囲に投影した球の表面を、当該球の中心を通り互いに直交する3個の平面で分割して得られる8個の分割領域のそれぞれが、互いに等しい緯度に対応する画素からなる同緯度画素群に属する画素の数が高緯度になるにつれて減少するように、かつ、互いに異なる緯度に対応する複数の同緯度画素群が互いに等しい緯度範囲に対応するように変換された状態で平面上に配置されてなる画像データであって、
B 前記3個の平面は、地平面、前記観測点から見てユーザーに提示したい方向である所与の正面方向に沿った鉛直面、及び、当該正面方向と交差する左右方向に沿った鉛直面であり、
C 前記8個の分割領域のそれぞれを直角二等辺三角形状に変換して得られる8個の変換領域は、全体として正方形になるように、かつ、前記所与の正面方向に対応する前記球上の一点が前記正方形の中心に位置し、前記所与の正面方向に接する4個の分割領域により構成される半球面が、前記正方形の4辺それぞれの中点を結んで形成される内接正方形に変換されるように平面上に配置され、
D 当該画像データを構成する各画素は、当該画素の前記画像データ内における位置座標を線形な変換式によって変換して得られる緯度値により表される前記球上の位置に対応づけられており、かつ、前記内接正方形を構成する各画素については、当該画像データを取得した画像表示制御装置が前記観測点から所与の視野範囲を見た景色を当該画像表示制御装置のユーザーに提示するための表示画像を生成する際に、どの画素も同じ変換式によって当該画素の前記画像データ内における位置座標を前記球上の位置に変換することで前記表示画像を生成できるように、当該画素の画素値が決定されている
A ことを特徴とする画像データのデータ構造。」

第3 当審における拒絶の理由の概要

令和4年4月15日付けで当審が通知した本願の請求項1に対する拒絶理由(発明該当性)の概要は、以下のとおりのものである。

(発明該当性)この出願の請求項1に記載されたものは、下記の点で特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができない。

記

本願の請求項1の「画像データのデータ構造」は、「画像データ」、「画像データ」を構成する「各画素」及び「各画素」の「画素値」の特徴が特定されているだけであって、「画像データ」に含まれるデータ要素が、何らかの構造を有しているものとはいえない。すなわち、「画像データ」の「データ構造」が特定されているものではない。

また、本願の請求項1の「画像データのデータ構造」は、プログラムに類似する性質を有するデータ構造ではない点で、特許法第2条第4項に規定された「プログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの」ということはできない。

以上のとおり、本願の請求項1に記載されたものは、全体としてみて、「データ構造」に基づく情報処理を具体的に特定するものではなく、「人為的な取決め」を記載したにとどまるものであって、特許法第2条柱書における「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではなく、特許法第29条第1項柱書に規定する「発明」に該当しない。

第4 判断

1 本願の請求項1に記載されたものの構成について

(1) 本願の請求項1の「画像データのデータ構造」の構成

ア 構成Aについて

構成Aは、「画像データ」を、「観測点から見た景色を少なくとも一部の範囲に投影した球の表面を、当該球の中心を通り互いに直交する3個の平面で分割して得られる8個の分割領域のそれぞれ」が、「互いに等しい緯度に対応する画素からなる同緯度画素群に属する画素の数が高緯度になるにつれて減少するように」、かつ、「互いに異なる緯度に対応する複数の同緯度画素群が互いに等しい緯度範囲に対応するように」「変換された状態で平面上に配置されてなる」ものであることを特定している。

イ 構成Bについて

構成Bは、構成Aの「3個の平面」が、「地平面」、「観測点から見てユーザーに提示したい方向である所与の正面方向に沿った鉛直面」、及び、「当該正面方向と交差する左右方向に沿った鉛直面」であることを特定している。

ウ 構成Cについて

構成Cは、「8個の分割領域のそれぞれを直角二等辺三角形状に変換して得られる8個の変換領域」が、「全体として正方形になるように」、かつ、「前記所与の正面方向に対応する前記球上の一点が前記正方形の中心に位置し」、「前記所与の正面方向に接する4個の分割領域により構成される半球面」が、「前記正方形の4辺それぞれの中点を結んで形成される内接正方形に」「変換されるように平面上に配置され」ることを特定している。

エ 構成Dについて

構成Dは、「画像データを構成する各画素」が、「当該画素の前記画像データ内における位置座標を線形な変換式によって変換して得られる緯度値により表される前記球上の位置に対応づけられており」、かつ、「前記内接正方形を構成する各画素」が、「当該画像データを取得した画像表示制御装置が前記観測点から所与の視野範囲を見た景色を当該画像表示制御装置のユーザーに提示するための表示画像を生成する際に、どの画素も同じ変換式によって当該画素の前記画像データ内における位置座標を前記球上の位置に変換することで前記表示画像を生成できるように」、「当該画素の画素値が決定されている」ことを特定している。

オ 上記アないしエを総合すると、本願の請求項1の「画像データ」は、構成Aのように変換された状態で平面上に配置されてなるものであり、「画像データ」を分割する「3個の平面」は、構成Bで特定される面であり、「8個の分割領域」及び「所与の正面方向に接する4個の分割領域により構成される半球面」の「平面上」への「配置」は、それぞれ構成Cで特定されるように変換された配置であり、「画像データを構成する各画素」は、構成Dのように「球上の位置に対応づけられ」、「内接正方形を構成する各画素」は、構成Dのように「画像表示制御装置のユーザーに提示するための表示画像を生成する」際の「表示画像を生成できる」ように「当該画素の画素値が決定されている」ものである。

カ しかしながら、上記アないしエを総合しても、本願の請求項1に記載されたものは、「画像データ」がどのようにして生成されたものであり、当該「画像データ」の各画素がどのような画素であるのかを特定し、当該「各画素」の「画素値」が、当該「画像データ」を「取得」した「画像表示制御装置」が所望の「表示画像」を「画像データ」に含まれていない「変換式」で「生成」することが可能な値とすることを特定しているだけであって、このような「画像データ」を「画像データのデータ構造」と称しているにすぎない。

(2)本願の請求項1の「画像データのデータ構造」に基づき実行される情報処理

ア 本願の請求項1では、上記(1)エのように、構成Dについて、「前記内接正方形を構成する各画素」が、「当該画像データを取得した画像表示制御装置が前記観測点から所与の視野範囲を見た景色を当該画像表示制御装置のユーザーに提示するための表示画像を生成する際に、どの画素も同じ変換式によって当該画素の前記画像データ内における位置座標を前記球上の位置に変換することで前記表示画像を生成できるように」、「当該画素の画素値が決定されている」ことを特定していることから、構成Dに関連する情報処理は、「画像表示制御装置」が、「画像データ」を「取得」し、「観測点から所与の視野範囲を見た景色を当該画像表示制御装置のユーザーに提示するための表示画像を生成する際に」、「どの画素も同じ変換式によって当該画素の前記画像データ内における位置座標を前記球上の位置に変換することで前記表示画像を生成」する情報処理である。

イ 上記(1)ア及びウのように、構成A及びCについては、「平面上に配置」される対象がいかなるものであるかを特定し、上記(1)イのように、構成Bについては、「3個の平面」がいかなる平面であるかを特定しているだけであって、それぞれに関連する情報処理は特定されていない。

ウ そうすると、本願の請求項1の「画像データのデータ構造」に基づき実行される情報処理は、上記アの構成Dについての情報処理のみである。

2 本願の請求項1に記載されたものの発明該当性についての判断

(1)「画像データのデータ構造」について

上記1(1)オ及びカのように、本願の請求項1の「画像データのデータ構造」は、「画像データ」がどのようにして生成されたものであり、当該「画像データ」の各画素がどのような画素であるのかを特定し、当該「各画素」の「画素値」が、当該「画像データ」を「取得」した「画像表示制御装置」が所望の「表示画像」を「画像データ」に含まれていない「変換式」で「生成」することが可能な値とすることを特定することをもって、データ構造と称しているが、本願の請求項1では、「画像データ」、「画像データ」を構成する「各画素」及び「各画素」の「画素値」の特徴が特定されているだけであって、「画像データ」に含まれるデータ要素が、何らかの構造を有しているものとはいえない。すなわち、「画像データ」の「データ構造」が特定されているものではない。

さらに、本願の請求項1では、「画像データ」が「観測点から見た景色を少なくとも一部の範囲に投影した球の表面を、当該球の中心を通り互いに直行する3個の平面で分割して得られる8個の分割領域のそれぞれが、互いに等しい緯度に対応する画素からなる同緯度画素群に属する画素の数が高緯度になるにつれて減少するように、かつ、互いに異なる緯度に対応する複数の同緯度画素群が互いに等しい緯度範囲に対応するように変換された状態で」平面上に配置されてなることをもって構造を有していると称しているにすぎないものともいえる。

(2)「プログラムに準ずるデータ構造」について

ア 上記(1)のように、本願の請求項1の「画像データのデータ構造」は、「画像データ」がどのようにして生成されたものであり、当該「画像データ」の各画素がどのような画素であるのかを特定し、当該「各画素」の「画素値」が、当該「画像データ」を「取得」した「画像表示制御装置」が所望の「表示画像」を「画像データ」に含まれていない「変換式」で「生成」することが可能な値とすることを特定することをもって、データ構造と称しているにすぎない。この点を踏まえて、本願の請求項1における「画像データ」がプログラムに準ずるかを以下で検討する。

イ 本願の請求項1における構成Dの情報処理は、上記1(2)アのとおりであって、「画像表示制御装置」が、「画像データ」を「取得」し、「観測点から所与の視野範囲を見た景色を当該画像表示制御装置のユーザーに提示するための表示画像を生成する際に」、「どの画素も同じ変換式によって当該画素の前記画像データ内における位置座標を前記球上の位置に変換することで前記表示画像を生成」する情報処理である。

ウ そうすると、本願の請求項1において、「画像データ」は、「画像表示制御装置」が行う「観測点から所与の視野範囲を見た景色を当該画像表示制御装置のユーザーに提示するための表示画像を生成する」という情報処理において、「どの画素も同じ変換式によって当該画素の前記画像データ内における位置座標を前記球上の位置に変換する」ことができるような「画素値」を有するデータであるといえる。

エ よって、本願の請求項1の「画像データ」は、「画像表示制御装置」に「取得」されることによって、「画像表示制御装置」が行う「どの画素も同じ変換式によって当該画素の前記画像データ内における位置座標を前記球上の位置に変換する」という情報処理の対象となるものであって、当該「画像データ」の各要素間の関係及びデータ要素の単位が、コンピュータに対する指令が一の結果を得ることができるように組み合わされたプログラムに類似する性質を有しているとはいえない。

オ 以上のとおり、本願の請求項1の「画像データのデータ構造」は、プログラムに類似する性質を有するデータ構造ではない点で、特許法第2条第4項に規定された「プログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。)その他電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの」ということはできない。

3 審判請求人の主張について

(1)審判請求人の主張

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審判請求人は、令和3年1月13日提出の審判請求書の「3.(2)本願の請求項に記載されたものが特許法第29条第1項柱書の発明である理由」において、以下の(a)及び(b)の2点について主張している。

(a)「特許・実用新案審査基準の第III部第1章2.1.5において、情報の提示それ自体が技術的特徴を有する例として「テレビ受像機用のテストチャート」が挙げられていることからも明らかなように、2次元的な情報の配列によって構成されるテストチャートのような画像であっても、そのデータ構造自体が技術的特徴を有し、特許法上の発明に該当する場合がある。そして、同章2.1.6では、データ構造(データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造)がコンピュータの処理を規定するものであれば、「プログラムに準ずるもの」に該当し、法上の発明に該当する場合があるとされている。
この点について、本願の請求項1に係る画像データ(以下、本願画像データという)のデータ構造は、上述したように特徴1,2,3a及び3bを有している。これらの特徴は、いずれも本願画像データに含まれる各画素をどのように投影球面上に投影された景色と対応させるかを規定するものであって、2次元の画素配列によって構成される画像データ内において各画素がどのような情報を持っているかを規定するものである。しかも、特徴3a及び3bにおける「変換式」は、本願画像データ内の画素の「位置座標」(画素配列内における画素の座標)を投影球面上の位置に変換するものであることから、これらの特徴は、各画素の画素配列内における位置とその画素が持つ情報との関係を規定するものといえる。すなわち、これらの特徴は、単に2次元の画素配列内に含まれる個々の画素がどのような情報を持つのかを規定するだけではなく、それらの画素をどのような順序で2次元的に配置して全体としての画像を構成するかを規定するものである。すなわち、本願画像データのデータ構造は、「データ要素(画素)間の相互関係で表される、データの有する論理的構造」を規定するものと認められる。」
(b)「さらに、特徴3a及び3bにおける変換式は、本願画像データを用いて画像表示制御装置がユーザーに提示するための表示画像を生成する際に実際に行うべき演算処理の内容を示している。すなわち、これらの特徴は、コンピュータが実行する処理の内容を規定するものといえる。しかも、このコンピュータが実行する処理は、本願画像データを構成する個々の画素(データ要素)の配列(データ構造)の特徴から必然的に導かれるものである。このことは、各画素が有する情報が本願画像データとは異なる態様で定義された画像データを用いる場合には、各画素を本願画像データの場合とは異なる種類の変換式で変換する必要が生じることからも明らかである。以上より、本願画像データのデータ構造は、コンピュータの処理を規定するものであり、プログラムに準ずるものであると認められる。
そして、本願画像データのデータ構造は、単にコンピュータの処理を規定するに留まらず、その処理が、正面領域内の景色を表示するというより可能性の高い状況下において、場合分けを行う必要のない比較的少ない演算量で実現可能な処理となるように規定されている。すなわち、本願画像データのデータ構造は、ハードウェア資源がそのデータ構造を利用してユーザーに提示する表示画像の生成という具体的な情報処理を実現する際に、必要な演算量を低減するという技術的効果を奏するように構成されている。このことから、本願画像データのデータ構造は、技術的特徴を有するデータ構造であって、自然法則を利用した技術的思想の創作にあたり、特許法第29条第1項柱書に定められた発明であると認められる。」

(2)審判請求人の主張についての判断

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上記審判請求人の主張について検討する。

ア 主張(a)についての判断

「テレビ受像機用のテストチャート」については、審査基準の該当箇所に「情報の提示(提示それ自体、提示手段、提示方法等)に技術的特徴があるものは、情報の単なる提示に当たらない。」とし、「テレビ受像機用のテストチャート」は、その説明として「テストチャートそれ自体に技術的特徴がある。」とされているように、「テストチャート」という画像自体に技術的特徴があるものであって、「テストチャート」の「画像データのデータ構造」に技術的特徴があるものではない。

そのため、本願の請求項1のような「画像データのデータ構造」の技術的特徴の有無の判断に、上記「テレビ受像機用のテストチャート」の審査基準を適用することは適切ではない。

また、審判請求書に記載された審査基準の「同章2.1.6」には、「発明の課題を解決するための手段は示されているものの、その手段によっては、課題を解決することが明らかに不可能なもの」の例が記載されており、「データ構造」については記載されていないが、審査基準の「同章2.2 コンピュータソフトウエアを利用するものの審査に当たっての留意事項」の(1)(注)に「また、「プログラムに準ずるもの」とは、コンピュータに対する直接の指令ではないためプログラムとは呼べないが、コンピュータの処理を規定するものという点でプログラムに類似する性質を有するものをいう。例えば、データ構造(データ要素間の相互関係で表される、データの有する論理的構造)が「プログラムに準ずるもの」に該当することがある。」と記載されているため、当該審査基準に基づくと、上記2(2)で検討したように、本願の請求項1の「画像データのデータ構造」は、「プログラムに準ずるもの」として検討すべき「データ構造」ではなく、また「画像データ」も「プログラムに準ずるもの」ということはできない。

したがって、審判請求人の審判請求書による上記主張(a)を採用することはできない。

イ 主張(b)についての判断

「特徴3a及び3bにおける変換式」は、「画像表示制御装置」が備えるものであり、「画像データのデータ構造」において当該「変換式」が含まれるものではない。

また、当該「特徴3a及び3bにおける変換式」について、「画像データのデータ構造」が当該「変換式」により特定される変換処理を規定するような情報を含むものでもない。

さらに、「画像データ」が本願画像データと異なる態様で定義された場合、変換式を変更する必要があったとしても、当該変換式を変更するためにコンピュータに対して指示するような情報は、本願の請求項1の「画像データのデータ構造」に含まれておらず、「画像データのデータ構造」がコンピュータの処理を規定するものではない。

加えて、「必要な演算量を低減する」という技術的効果は、「画像表示制御装置」における処理によって奏されるものであって、「画像データのデータ構造」は、単に「画像表示制御装置」に提示されているだけであって、「画像表示制御装置」に対して「プログラムに準ずるもの」としてコンピュータの処理を規定することにより奏される効果ではない。

したがって、審判請求人の審判請求書による上記主張(b)を採用することはできない。

4 小括

以上のとおり、本願の請求項1の記載は、全体としてみて、「データ構造」に基づく情報処理を具体的に特定するものではなく、「人為的な取決め」を記載したにとどまるものであって、特許法第2条柱書における「自然法則を利用した技術的思想の創作」ではなく、特許法第29条第1項柱書に規定する「発明」に該当しない。

第5 まとめ

以上のとおり、本願の請求項1に記載されたものは、特許法第29条第1項柱書に規定する要件を満たしておらず特許を受けることができないから、他の請求項に記載されたものについて検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2021-000493

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