特許異議申立
2020-700716
調光装置、および、調光装置の製造方法
- 審判番号
- 2020-700716
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-158481
- 登録番号
- 6669214
- 請求日
- 2020年09月18日
- 審決日
- 2021年10月11日
- 公報発行日
- 2022年04月28日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】凸版印刷株式会社
- 【権利者代理人】恩田 誠
- 【権利者代理人】恩田 博宣
- 【異議申立人】遠藤 眞理子
- 審判長/審判官
- 審判長 瀬川 勝久
- 審判官 清水 督史
- 審判官 野村 伸雄
- 分類
- P1651.113-ZAA(G02F) / P1651.121-ZAA(G02F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6669214号発明「調光装置、および、調光装置の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6669214号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10、11〕について訂正することを認める。
特許第6669214号の請求項1、3、6~11に係る特許を取り消す。
特許第6669214号の請求項2、4、5に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6669214号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし11に係る特許についての出願は、平成30年8月27日に出願され、令和2年3月2日にその特許権の設定登録がされ、同年3月18日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和2年 9月18日 :特許異議申立人遠藤眞理子による請求項1な
いし11に係る特許に対する特許異議の申立
て(全請求項)
同年10月28日付け:取消理由通知(同年11月2日発送)
令和3年 1月 4日 :特許権者による意見書の提出
同年 1月22日付け:特許法第120条の5第5項に基づく通知
(同年1月27日発送)
同年 2月26日 :特許異議申立人による意見書の提出
同年 3月19日付け:取消理由通知(決定の予告)
(同年3月29日発送)
同年 5月28日 :特許権者による訂正請求書・意見書の提出
同年 7月12日付け:特許法第120条の5第5項に基づく通知
(同年7月16日発送)
なお、令和3年5月28日提出の訂正請求書・意見書に対する申立人からの応答はなかった。
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
令和3年5月28日にされた訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)は、特許請求の範囲を訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~11について訂正することを求めるものであって、以下の訂正事項からなる。
(当審注:下線は、特許権者が付したものである。)
なお、本件訂正請求は、一群の請求項である訂正後の請求項〔1~9〕、〔10、11〕について請求されたものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を以下のように訂正する。請求項1を引用する請求項3、6~9も同様に訂正する。
「 第1接合面を有した第1透明被覆基材と、
第2接合面を有した第2透明被覆基材と、
前記第1接合面と前記第2接合面との間に位置する調光シートと、を備え、
前記調光シートは、
第1電極層と、当該第1電極層を支持する第1支持フィルムとを備え、前記第1支持フィルムが前記第1接合面に透明粘着剤で接合された第1透明電極フィルムと、
第2電極層と、当該第2電極層を支持する第2支持フィルムとを備え、前記第2支持フィルムが前記第2接合面に透明粘着剤で接合された第2透明電極フィルムと、
前記第1透明電極フィルムと前記第2透明電極フィルムとの間を埋める液晶組成物を備える液晶層と、を備え、
前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成し、当該シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合する透明粘着層をさらに備え、前記透明粘着層は、JIS K 7209:2000 A法に準拠した吸水率が2%以下である調光装置であって、
前記調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚みが1mm以上5mm以下であり、
前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり、
前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える
調光装置。」
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「請求項1または2に記載の調光装置。」と記載されているのを、「請求項1に記載の調光装置。」に訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から5のいずれか一項に記載の調光装置。」と記載されているのを、「請求項1または3に記載の調光装置。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1から6のいずれか一項に記載の調光装置。」と記載されているのを、「請求項1,3,6のいずれか一項に記載の調光装置。」に訂正する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8に「請求項1から7のいずれか一項に記載の調光装置。」と記載されているのを、「請求項1,3,6,7のいずれか一項に記載の調光装置。」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9に「請求項1~8のいずれか一項に記載の調光装置。」と記載されているのを、「請求項1,3,6から8のいずれか一項に記載の調光装置。」に訂正する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10を以下のように訂正する。請求項10の記載を引用する請求項11も同様に訂正する。
「 高分子ネットワークが有する空隙を埋める液晶組成物と、分散されたスペーサとを備える液晶層を備え、当該液晶層が、第1支持フィルムに支持された第1電極層と、第2支持フィルムに支持された第2電極層との間に位置する調光シートであって、前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成する、前記調光シートを用い、
第1透明被覆基材と第2透明被覆基材とが前記調光シートを挟むように、前記第1透明被覆基材、前記第2透明被覆基材、および、前記調光シートをラミネートすることと、
透明粘着層によって当該シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合することと、を含み、
JIS K 7209:2000 A法に準拠した前記透明粘着層の吸水率が2%以下である調光装置の製造方法であって、
前記調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚みが1mm以上5mm以下であり、
前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり、
前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える
調光装置の製造方法。」
2 当審の判断
(1)訂正事項1
ア 訂正事項1は、訂正前の請求項1及び請求項1を引用する請求項3、6~9に係るものであり、
「 前記調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚みが1mm以上5mm以下であり、
前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり、
前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える」との文言を加える訂正である。
イ 訂正の目的の適否
訂正事項1は、「透明粘着層」について、「前記調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚みが1mm以上5mm以下であり」、「前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える」と限定するとともに、「第1透明被覆基材」及び「第2透明被覆基材」について、「前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり」と限定するものである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
ウ 新規事項追加の有無
訂正事項1に関し、願書に添付した明細書、特許請求の範囲には、以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。
「【請求項2】
前記調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚みが1mm以上5mm以下である
請求項1に記載の調光装置。」
「【0023】
各透明被覆基材11,12は、可視光を透過する無色透明である。各透明被覆基材11,12は、透明樹脂製、あるいは、ガラス製である。」
「【請求項5】
前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える
請求項1から3のいずれか一項に記載の調光装置。」
上記記載のとおり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲には、訂正事項1に係る「前記調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚みが1mm以上5mm以下であり、
前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり、
前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える」ことが記載されている。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。
エ 特許請求の範囲の拡張、変更の存否
訂正事項1は、上記イのとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、この訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。
(2)訂正事項2、4、5
訂正事項2、4、5は、それぞれ、請求項2、4、5を削除するものであるから、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した特許請求の範囲、明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)訂正事項3、6~9
訂正事項3、6~9は、訂正事項2、4、5による請求項の削除に伴い、請求項3、6~9において選択的に引用する請求項のうち一部を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内においてしたものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(4)訂正事項10
訂正事項10は、訂正前の請求項10及び請求項10を引用する請求項11に係るものであり、
「 前記調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚みが1mm以上5mm以下であり、
前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり、
前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える」との文言を加える訂正である。
そうすると、訂正事項10は、上記(1)イ~エに示したのと同様に、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5、6項の規定に適合する。
(5)まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~11についての訂正を認める。
第3 訂正発明の認定
上記のとおり、本件訂正請求による訂正が認められたので、本件特許の訂正後の請求項1、3、6~11に係る発明(以下「訂正発明1」、「訂正発明3」、「訂正発明6」~「訂正発明11」という。)は、特許請求の範囲の請求項1、3、6~11に記載された事項により特定される、次のとおりのものと認められる。
[訂正発明1]
「第1接合面を有した第1透明被覆基材と、
第2接合面を有した第2透明被覆基材と、
前記第1接合面と前記第2接合面との間に位置する調光シートと、を備え、
前記調光シートは、
第1電極層と、当該第1電極層を支持する第1支持フィルムとを備え、前記第1支持フィルムが前記第1接合面に透明粘着剤で接合された第1透明電極フィルムと、
第2電極層と、当該第2電極層を支持する第2支持フィルムとを備え、前記第2支持フィルムが前記第2接合面に透明粘着剤で接合された第2透明電極フィルムと、
前記第1透明電極フィルムと前記第2透明電極フィルムとの間を埋める液晶組成物を備える液晶層と、を備え、
前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成し、当該シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合する透明粘着層をさらに備え、前記透明粘着層は、JIS K 7209:2000 A法に準拠した吸水率が2%以下である調光装置であって、
前記調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚みが1mm以上5mm以下であり、
前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり、
前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える
調光装置。」
[訂正発明3]
「前記液晶層は、前記液晶組成物内に分散されたスペーサを有し、前記スペーサの圧縮破壊強度が1MPa以上である
請求項1に記載の調光装置。」
[訂正発明6]
「前記第1透明被覆基材の主成分、前記第2透明被覆基材の主成分、および、前記透明粘着層の主成分は、同一種類の樹脂である
請求項1または3に記載の調光装置。」
[訂正発明7]
「前記第1支持フィルムと前記第1接合面とを接合する透明粘着剤の主成分、前記第2支持フィルムと前記第2接合面とを接合する透明粘着剤の主成分、および、前記透明粘着層を構成する透明粘着剤の主成分は、同一種類の樹脂である
請求項1,3,6のいずれか一項に記載の調光装置。」
[訂正発明8]
「前記第1透明被覆基材は、前記第1接合面とは反対側の表面を備え、前記第1接合面と前記表面との間を貫通する開口部をさらに備え、
前記開口部は、前記調光シートのなかで前記シート端面に囲まれた領域と対向している
請求項1,3,6,7のいずれか一項に記載の調光装置。」
[訂正発明9]
「前記第1電極層に接続された電源線をさらに備え、
前記第1電極層と前記電源線との接続部は、前記第1支持フィルムと前記第1接合面とを接合する透明粘着剤を介して前記第1透明被覆基材に覆われている
請求項1,3,6から8のいずれか一項に記載の調光装置。」
[訂正発明10]
「高分子ネットワークが有する空隙を埋める液晶組成物と、分散されたスペーサとを備える液晶層を備え、当該液晶層が、第1支持フィルムに支持された第1電極層と、第2支持フィルムに支持された第2電極層との間に位置する調光シートであって、前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成する、前記調光シートを用い、
第1透明被覆基材と第2透明被覆基材とが前記調光シートを挟むように、前記第1透明被覆基材、前記第2透明被覆基材、および、前記調光シートをラミネートすることと、
透明粘着層によって当該シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合することと、を含み、
JIS K 7209:2000 A法に準拠した前記透明粘着層の吸水率が2%以下である調光装置の製造方法であって、
前記調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚みが1mm以上5mm以下であり、
前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり、
前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える
調光装置の製造方法。」
[訂正発明11]
「前記ラミネートすることでは、前記第1支持フィルムを前記第1透明被覆基材に接合する透明粘着剤と、前記第2支持フィルムを前記第2透明被覆基材に接合する透明粘着剤とが、前記シート端面を覆い、
前記シート端面を覆うことでは、前記シート端面を覆う透明粘着剤を硬化することによって前記透明粘着層を形成する
請求項10に記載の調光装置の製造方法。」
第4 取消理由の概要
請求項1~11に係る発明についての特許に対して、当審が令和3年3月19日付けの取消理由通知(決定の予告)において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
【理由その1】(新規性)
本件特許の請求項1に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
【理由その2】(進歩性)
本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたも
のであり、取り消されるべきものである。
【理由その3】(進歩性)
本件特許の請求項1ないし11に係る発明は、本件特許出願前に頒布された下記の甲第2号証、甲第3号証、甲第10号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1ないし11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであ
り、取り消されるべきものである。
記
甲第1号証:国際公開第2017/099167号
甲第2号証:特開2005-17860号公報
甲第3号証:特開平2-24630号公報
甲第10号証:特開平1-186911号公報
第5 各甲号証に記載された発明
1 甲第1号証に記載された発明
(1)甲第1号証には、図面とともに、以下の記載がある(なお、下線は当審で付した。以下同じ。)。
ア 「[請求項1] 互いに対向する1対のガラス板と、
前記1対のガラス板の対向面にそれぞれ接し、少なくとも一方が以下に示す所定の透湿性を有する1対の中間接着層と、
前記1対の中間接着層の間に配置される機能性フィルムと、を備える合わせガラスであって、
前記合わせガラスの端部で測定される厚みが、前記端部から10mm内側の位置で測定される前記合わせガラスの厚みよりも5μm以上小さい、合わせガラス。
透湿性(A):JIS Z 0208:1976に準じて測定した温度40℃、湿度90%RHにおける透湿度が50g/m2・day以下。
[請求項2]
……
[請求項8] 前記機能性フィルムは、調光フィルムおよび赤外線反射フィルムから選ばれる少なくとも1種を含む、前記請求項1~7のいずれか1項に記載の合わせガラス。」
イ 「背景技術
[0002] 窓ガラスとして、合わせガラスの内部に機能性フィルムを封入することで合わせガラスに各種機能を持たせることが行われている。例えば、赤外線反射フィルムや調光フィルムを封入したもの等が知られている。
[0003] しかしながら、調光フィルムは合わせガラス中に封入したとしても、合わせガラスの端面から侵入した熱や水分に起因する種々の不具合が生じていた。
[0004] 例えば、合わせガラスに封入された調光フィルムの端部の水分による劣化を防ぐための手段として、特許文献1には、合わせガラス作製前に中間接着層の構成材料を乾燥させ、含水量を低くする技術が記載されている。」
ウ 「[0024][ガラス板]
本発明の実施形態の合わせガラス10Aに用いるガラス板1A、1Bの材質としては、透明な無機ガラスや有機ガラス(樹脂)が挙げられる。無機ガラスとしては通常のソーダライムガラス(ソーダライムシリケートガラスともいう)、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が特に制限なく用いられる。これらのうちでもソーダライムガラスが特に好ましい。成形法についても特に限定されないが、例えば、フロート法等により成形されたフロート板ガラスが好ましい。
[0025] 有機ガラス(樹脂)としては、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールとの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂等が挙げられる。これらのなかでも芳香族系ポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート樹脂やポリメチルメタクリレート系アクリル樹脂等のアクリル樹脂が好ましく、ポリカーボネート樹脂がより好ましい。さらに、ポリカーボネート樹脂のなかでも特にビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂が好ましい。なお、ガラス板は、上記のような樹脂を2種以上含んで構成されてもよい。
[0026]
……
[0031][中間接着層]
合わせガラス10Aにおける1対の中間接着層2A、2Bは、ガラス板1A、1Bの主面と略同形、同寸の主面を有する。中間接着層2A、2Bは、機能性フィルム3を挟持しつつ、それぞれガラス板1A、1Bの対向面に接するように設けられる。このように中間接着層2A、2Bは、該中間接着層2A、2Bを介して1対のガラス板1A、1Bの間に機能性フィルム3を挟み込むように接着して合わせガラス10Aとして一体化する機能を有する。
[0032]
……
[0038] 熱可塑性樹脂として、具体的には、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン-エチルアクリレート共重合体樹脂、ポリオレフィン系共重合体等の従来から中間接着層用として用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。」
エ 「[0050] 調光フィルム3の切り欠き部の幅wは、用途に応じて適宜選択できる。本発明の合わせガラスにおいては、中間接着層と調光フィルムとの剥離を抑制できる構成であることから調光フィルム3の切り欠き部の幅wは、40mm以下であってもよく、好ましくは20mm以下であってもよい。より高い信頼性を考慮すれば、調光フィルム3は切り欠き部を有することが好ましい。すなわち、調光フィルム3の切り欠き部の幅wは0mmを超え40mm以下が好ましい。
[0051] 調光フィルム3としては、懸濁粒子デバイス(Suspended Particle Device(SPD))フィルム、液晶素子を用いた調光フィルム、エレクトロクロミックを用いた調光フィルム等が使用できる。SPDフィルムとしては、電圧の印加により配向可能な懸濁粒子を含有するポリマー層を、透明導電膜を内側にコートした2枚の電気絶縁性フィルムで挟み込むようにして構成された、一般的なSPDフィルムが使用可能である。
[0052]
……
[0053] 液晶素子を用いた調光フィルムとしては、例えば特開2005-17860号に示される、一対の電極付き透明樹脂基板間に、非重合性の液晶組成物と重合性化合物とを含む液晶性混合物を、該液晶性混合物を所定以上の粘度でありかつ液晶相を示す温度で透明樹脂基板間に挟持する液晶調光素子や、一対の電極付き透明樹脂基板間に紫外線により重合する重合性化合物を含む液晶組成物を配置したものが挙げられる。」
オ 「[0055][バリア層]
図3は、本発明の合わせガラスにおいてバリア層を有する合わせガラスの一例の断面図を示す。図3に示す合わせガラス10Bは、互いに対向する1対のガラス板1A、1Bと、1対のガラス板1A、1Bの対向面にそれぞれ接する1対の中間接着層2A、2Bと、中間接着層2A、2Bに挟持されるように配置される機能性フィルム、例えば、調光フィルム3を備える。合わせガラス10Bにおいて、1対のガラス板1A、1Bおよび1対の中間接着層2A、2Bは略同形、同寸の主面を有し、調光フィルム3の主面はその外周が全体に幅wだけガラス板1A、1Bの外周より内側に位置する大きさであって、調光フィルム3の外側にその端面に接しかつ中間接着層2A、2Bに挟持されるように主面が幅wの額縁形状を有するバリア層4を有する。
[0056] 合わせガラス10Bにおいて、バリア層4以外の構成は合わせガラス10Aと同様である。バリア層4は、例えば、合わせガラス10Bの製造時に予め調光フィルム3の周囲を取り囲むように額縁形状に形成されて積層されるものであり、所定の透湿性(A)を有することが好ましい。なお、所定の透湿性(A)については、上記のとおりである。バリア層4の透湿性は、透湿性(A)と同様にして測定される透湿性として30g/m2・day以下が好ましく、15g/m2・day以下がより好ましく、10g/m2・day以下であることがさらに好ましい。バリア層4を構成する材料としては、上記中間接着層の材料と同様の材料が使用できる。」
カ 「[0060](その他の層)
実施形態の合わせガラスは、その他の層として、枠体等への取り付け部分や配線導体等を隠蔽する目的と、外部からの水分により調光フィルム等の機能性フィルムの端部が経年劣化した場合の外観悪化の予防を目的として、合わせガラスを構成する1対のガラス板のうち少なくとも一方のガラス板の中間接着層と接する側の主面の周縁部の一部または全部に帯状に、黒色セラミックス層を設けることがある。実施形態の合わせガラスにおいても、その他の層として、このような黒色セラミックス層を設けてもよい。ただし、意匠性向上の観点から、本発明の合わせガラスにおいては黒色セラミックス層を有しない、または黒色セラミック層を有していてもその幅は狭く、具体的には30mm以下である場合、さらには25mm以下である場合、特には20mm以下である場合に、本発明の効果を特に顕著に享受できる。
[0061][合わせガラスの製造]
本発明の実施形態の合わせガラスは、一般的に用いられる公知の技術により製造できる。例えば、合わせガラス10Aにおいては、1対の中間接着層2A、2Bの間に機能性フィルム、例えば、調光フィルム3を所定の位置関係となるように配置した積層体を作製し、これを1対のガラス板1A、1Bの間に挿入して、ガラス板1A、中間接着層2A、機能性フィルム(調光フィルム)3、中間接着層2B、ガラス板1Bの順に積層された圧着前の合わせガラスである合わせガラス前駆体を準備する。その他の層を有する場合も、同様に得られる合わせガラスと同様の積層順にガラス板と各層を積層して合わせガラス前駆体を準備する。
[0062] また、以下の方法で製造されてもよい。すなわち、合わせガラス10Bにおいては、1対の中間接着層2A、2Bの間に機能性フィルム、例えば、調光フィルム3およびバリア層4を所定の位置関係となるように配置した積層体を作製し、これを1対のガラス板1A、1Bの間に挿入して、ガラス板1A、中間接着層2A、機能性フィルム(調光フィルム)3およびバリア層4からなる層、中間接着層2B、ガラス板1Bの順に積層された圧着前の合わせガラスである合わせガラス前駆体を準備する。
[0063] この合わせガラス前駆体をゴムバッグのような真空バッグの中に入れ、この真空バッグを排気系に接続して、真空バッグ内の圧力が約-65~-100kPaの減圧度となるように減圧吸引(脱気)しながら温度約70~110℃で接着することで実施形態の合わせガラスを得ることができる。さらに、例えば、100~110℃、圧力0.6~1.3MPaの条件で加熱加圧する圧着処理を行うことで、より耐久性の優れた合わせガラスを得ることができる。」
キ 図3は、以下のものである。
[図:0001383241000001.jpg]
10A,10B…合わせガラス
1A,1B…ガラス板
2A,2B…中間接着層
3…機能性フィルム(調光フィルム)
4…バリア層
(2)上記(1)の記載を踏まえて、図3を見ると、以下のことが理解できる。
ア 従来、合わせガラスに封入した「機能性フィルム」において、合わせガラスの端面から侵入した熱や水分に起因する種々の不具合が生じていたことから、合わせガラス作製前に中間接着層の構成材料を乾燥させ、含水量を低くする方法がとられていたこと(上記(1)イを参照。)。
イ 「機能性フィルム」は、液晶素子を用いた調光フィルムであってもよく、このような調光フィルムが表裏面に透明電極を有することは技術常識であるから、該「液晶素子を用いた調光フィルム」が、「第1の透明電極フィルム」、「第2の透明電極フィルム」及び「第1の透明電極フィルムと第2の透明電極フィルムとの間を埋める液晶層」を備えていること(上記(1)エを参照。)。
ウ 当該「液晶層の端面」、「第1の透明電極フィルムの端面」及び「第2の透明電極フィルムの端面」が、調光フィルムの端面を構成していること。
エ 当該「第1の透明電極フィルム」は、透明な中間接着層2Aにより第1の有機ガラス1Aに接合され、当該「第2の透明電極フィルム」は、透明な中間接着層2Bにより第2の有機ガラス1Bに接合されていること(上記(1)エを参照。)。
オ 当該「調光フィルム」の端面は、バリア層4により覆われていること(上記(1)オを参照。)。
カ 当該「調光フィルム」が広がる方向での当該「バリア層4」の厚みは、「調光フィルム」の切り欠き部の幅wに等しく、0mmを超え40mm以下が好ましいこと(上記(1)エを参照。)。
(3)以上の検討からして、甲第1号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「第1の有機ガラス1Aと、第2の有機ガラス1Bと、前記第1の有機ガラス1Aと前記第2の有機ガラス1Bとの間に位置する液晶素子を用いた調光フィルム3を備え、
前記調光フィルム3は、
前記第1の有機ガラス1Aに透明な中間接着層2Aで接合された第1の透明電極フィルムと、
前記第2の有機ガラス1Bに透明な中間接着層2Bで接合された第2の透明電極フィルムと、
前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間を埋める液晶層と、を備え、
前記液晶層の端面、前記第1の透明電極フィルムの端面、前記第2の透明電極フィルムの端面が、前記調光フィルム3の端面を構成し、
前記中間接着層(2A、2B)は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)からなり、
前記調光フィルム3の端面は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)からなるバリア層4により覆われており、
有機ガラス1A、1Bの材質は、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールとの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂等の樹脂であり、
前記調光フィルム3が広がる方向での前記バリア層4の厚みは、前記調光フィルム3の切り欠き部の幅wに等しく、0mmを超え40mm以下が好ましい、
調光装置。」(以下「甲1発明」という。)
「第1の有機ガラス1Aと、第2の有機ガラス1Bと、前記第1の有機ガラス1Aと前記第2の有機ガラス1Bとの間に位置する液晶素子を用いた調光フィルム3を備え、
前記調光フィルム3は、
前記第1の有機ガラス1Aに透明な中間接着層2Aで接合された第1の透明電極フィルムと、
前記第2の有機ガラス1Bに透明な中間接着層2Bで接合された第2の透明電極フィルムと、
前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間を埋める液晶層と、を備え、
前記液晶層の端面、前記第1の透明電極フィルムの端面、前記第2の透明電極フィルムの端面が、前記調光フィルム3の端面を構成し、
前記中間接着層(2A、2B)は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)からなり、
前記調光フィルム3の端面は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)からなるバリア層4により覆われており、
有機ガラス1A、1Bの材質は、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールとの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂等の樹脂であり、
前記調光フィルム3が広がる方向での前記バリア層4の厚みは、前記調光フィルム3の切り欠き部の幅wに等しく、0mmを超え40mm以下が好ましい、
調光装置の製造方法であって、
液晶層は、非重合性の液晶組成物と重合性化合物とを含む液晶性混合物を、該液晶性混合物を所定以上の粘度でありかつ液晶相を示す温度で有するものであり、
ガラス板1A、中間接着層2A、機能性フィルム(調光フィルム)3およびバリア層4からなる層、中間接着層2B、ガラス板1Bの順に積層された圧着前の合わせガラスである合わせガラス前駆体を準備し、
この合わせガラス前駆体をゴムバッグのような真空バッグの中に入れ、減圧吸引(脱気)しながら温度約70~110℃で接着することで合わせガラスを得る、
調光装置の製造方法。」(以下「甲1製法発明」という。)
2 甲第2号証に記載された発明
(1)甲第2号証には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 「【請求項1】
一対の電極付き透明樹脂基板(A)間に、非重合性の液晶組成物と重合性化合物とを含む液晶性混合物を挟持し、つぎに該液晶性混合物において重合反応を行なうことによって該透明樹脂基板(A)間に液晶と重合体の複合体を形成させた液晶調光素子を製造する方法において、液晶性混合物を、200cps以上の粘度でありかつ液晶相を示す温度範囲で透明樹脂基板(A)間に挟持することを特徴とする液晶調光素子の製造方法。」
イ 「【0054】
本発明においては、透明樹脂基板(A)間に液晶と重合体の複合体を形成させた後に、透明樹脂基板(A)の外周部を封止するのが好ましい。封止はシール剤を用いて行うのが好ましい。シール剤としてはエポキシ樹脂などの加熱硬化型の樹脂が好ましい。封止には公知または周知の方法が採用できる。たとえば、透明樹脂基板(A)の外周部を有機溶剤などを用いて清浄にした後、外周部にシール剤を塗布し加熱硬化させる方法などが挙げられる。
【0055】
……
【0056】
本発明における液晶調光素子からは、種々の用途に用いうる調光部材を製造できる。調光部材は、上記の方法で製造した液晶調光素子を一対の透明基板(B)間に配置し、つぎに透明基板(B)と液晶調光素子の間隙に接着性樹脂を積層し(以下、接着性樹脂を積層したものを「積層体」と表記する)、つぎに加熱処理することによって、接着性樹脂を熱溶融させて接着樹脂とし、該接着樹脂が透明基板(B)と液晶調光素子を接着する(以下、熱圧着という。)ことによって製造されうる。
【0057】
透明基板(B)としては、ガラス板、またはポリカーボネート板が好ましく、これらを用いる場合には、2枚ともガラス板を使用する組み合わせ、2枚ともポリカーボネート板を使用する組み合わせ、または1枚がガラス板で他の1枚がポリカーボネート板を使用する組み合わせのいずれであってもよい。このうち、可視光の透過率が高い、剛性が高い、傷がつきにくい、透湿性が小さいなどの理由により、少なくとも1枚がガラス基板である組み合わせが好ましい。透明基板(B)に用いるガラス板またはポリカーボネート板の色は、無色透明であっても、着色透明であってもよい。着色透明である場合には、該調光部材の用途に応じた色を選択すればよく、たとえば車両や建築物に装着する場合には黒色または緑色が挙げられる。
【0058】
積層体を形成する接着性樹脂としては、公知のものが使用できる。たとえば、ポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニルコポリマー、またはそれらの変性体などが挙げられる。このうち、接着性樹脂としては140℃以下で熱溶融する樹脂が好ましく、120℃以下で熱溶融する樹脂が液晶調光素子への負荷を減らしうることからより好ましい。さらに接着性樹脂は、液晶調光素子の性能を損なわない範囲において、紫外線吸収剤、断熱性付与剤など種々の添加物を含有していてもよい。
【0059】
……
【0062】
本発明の製造方法により製造される液相調光素子の一態様としては図1に示す液晶調光素子が挙げられる。
図1の液晶調光素子においては、透明樹脂基板1Aおよび1Bの表面に、それぞれ透明電極膜2A、2Bが積層しており、さらに2Aおよび2Bの表面には配向膜3A、3Bが形成されている。液晶と重合体との複合体4は透明樹脂基板1A、1B間に形成され、液晶と重合体との複合体4の外周部には、封止剤5が配置され、かつ電源を供給するための端子6Aおよび6Bが透明電極膜2Aおよび2Bの表面に取り付けられている。
【0063】
また該液晶調光素子から形成される調光部材の一態様としては図2に示す調光部材が挙げられる。
図2は、透明基板7A、7B間に図1で示した液晶調光素子を封入した調光部材である。さらに、接着樹脂8は、液晶調光素子と透明基板7Aと7Bとを接着しかつ透明基板7Aおよび7B間に封入する。このようにして製造された調光部材においては、透過率を高度に調整されうる。」
ウ 図1及び図2は、以下のものである。
図1
[図:0001383241000002.jpg]
図2
[図:0001383241000003.jpg]
1A、1B:透明樹脂基板(A)
2A、2B:透明電極膜
3A、3B:配向膜
4:液晶/重合体複合体
5:封止剤
6A、6B:端子
7A、7B:透明基板(B)
8:接着性樹脂
(2)上記(1)の記載からして、甲第2号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「透明基板7Aと、透明基板7Bと、前記透明基板7Aと前記透脂基板7Bとの間に位置する液晶調光素子を備え、
前記液晶調光素子は、
前記透明基板7Aに透明な接着性樹脂8で接合された第1の透明樹脂基板1Aと、
前記透明基板7Bに透明な接着性樹脂8で接合された第2の透明樹脂基板1Bと、
前記第1の透明樹脂基板と前記第2の透明樹脂基板との間を埋める液晶層4と、を備え、
前記第1の透明樹脂基板1Aの透明電極膜2Aの端面、前記第2の透明樹脂基板1Bの透明電極膜2Bの端面、前記液晶層4の端面が、液晶調光素子の端面を構成し、
当該液晶調光素子の端面を覆うエポキシ樹脂からなる封止剤5と、前記透明基板7Aと前記透明基板7Bを接合するエチレン酢酸ビニルポリマーからなる透明な接着性樹脂8をさらに備え、
透明基板7A、7Bは、ポリカーボネート板である、
調光装置。」(以下「甲2発明」という。)
「透明基板7Aと、透明基板7Bと、前記透明基板7Aと前記透脂基板7Bとの間に位置する液晶調光素子を備え、
前記液晶調光素子は、
前記透明基板7Aに透明な接着性樹脂8で接合された第1の透明樹脂基板1Aと、
前記透明基板7Bに透明な接着性樹脂8で接合された第2の透明樹脂基板1Bと、
前記第1の透明樹脂基板と前記第2の透明樹脂基板との間を埋める液晶層4と、を備え、
前記第1の透明樹脂基板1Aの透明電極膜2Aの端面、前記第2の透明樹脂基板1Bの透明電極膜2Bの端面、前記液晶層4の端面が、液晶調光素子の端面を構成し、
当該液晶調光素子の端面を覆うエポキシ樹脂からなる封止剤5と、前記透明基板7Aと前記透明基板7Bを接合するエチレン酢酸ビニルポリマーからなる透明な接着性樹脂8をさらに備え、
透明基板7A、7Bは、ポリカーボネート板である、
調光装置の製造方法であって、
前記液晶層4は、非重合性の液晶組成物と重合性化合物とを含む液晶性混合物において重合反応を行なうことによって液晶と重合体の複合体を形成させたものであり、
前記液晶調光素子を一対の透明基板7A、7B間に配置し、つぎに透明基板7A、7Bと液晶調光素子の間隙に接着性樹脂を積層し、つぎに加熱処理することによって、接着性樹脂を熱溶融させて接着樹脂とし、該接着樹脂が透明基板7A、7Bと液晶調光素子を接着する、
調光装置の製造方法。」(以下「甲2製法発明」という。)
3 甲第3号証に記載された発明
(1)甲第3号証には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 「2.特許請求の範囲
(1)電極付の基板間に液晶物質を分散させた樹脂マトリックス体によるフィルム状液晶層を挟持し、電圧によってその光の透過状態を制御する液晶光学素子において、その側面を絶縁性のシール材でシールしたことを特徴とする液晶光学素子。」
イ 「本発明では、この液晶光学素子の側面に絶縁性のシール材を供給し、シールを行う。
このシール材としては、加工性、信頼性の面から熱もしくは光により硬化する硬化性化合物や、粘着材もしくは接着材付のプラスチックフィルム等がある。
この単体で用いる硬化性化合物としては、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の樹脂がある。特に、異種物質の拡散係数の小さいものが好ましく、高い架橋密度を有するものが好ましい。
また、粘着材もしくは接着材付のプラスチックフィルムとしては、ポリエステル、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン等のプラスチックフィルムが使用でき、その粘着材もしくは接着材としてはアクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコン系等の樹脂がある。この場合には、粘着材もしくは接着材の層は粘着性もしくは接着性を示す範囲内で薄くすることが好ましい。
このシールは、少なくともフィルム状液晶層の側面を覆うようにされるが、必要に応じて基板の側面、上下面、端子部分等も覆うようにされる。特に、端子部分の透明電極露出部分も覆うようにされることが電極の信頼性から見て好ましい。」(第4頁左下欄6行~右下欄11行)
ウ 「この保護板を用いる場合の保護板としては、強度が高く、透過性が良いものが好ましく、具体的には、アクリル板、ポリカーボネート板、透明塩化ビニル板等の有機材料板、ガラス板、石英板等の無機材料板等がある。」(第5頁左上欄11行~15行)
エ 「加熱により接着性を生じるシート状接着材としては、代表的なものとして、ポリビニルブチラールがあり、通常の合せガラスの製造と同様に、液晶光学素子と保護板とをポリビニルブチラールシートを介して積層し、減圧下で脱泡して、その後加熱加圧することにより容易に脱泡し、一体化できる。」(第5頁左下欄2行~8行)
オ 第1図(A)は、以下のものである。
[図:0001383241000004.jpg]
1…液晶光学素子
2A、2B…保護板
3…接着材
4A、4B…端子
5A、5B…電極付の基板
6…フィルム状液晶層
7A、7B…シール材
(2)上記(1)の記載からして、甲第3号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「保護板2Aと、保護板2Bと、前記保護板2Aと前記保護板2Bとの間に位置する液晶光学素子1を備え、
前記液晶光学素子1は、
電極付きの基板5Aと、
電極付きの基板5Bと、
前記電極付きの基板5Aと前記電極付きの基板5Bとの間を埋めるフィルム状液晶層6と、を備え、
前記電極付きの基板5Aの端面、前記電極付きの基板5Bの端面、前記フィルム状液晶層6の端面が、前記液晶光学素子1の端面を構成し、
当該液晶光学素子1の端面を覆うアクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の樹脂からなるシール材(7A、7B)と、前記保護板2Aと前記保護板2Bを接合するアクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の樹脂からなる接着剤3をさらに備え、
保護板は、アクリル板、ポリカーボネート板、透明塩化ビニル板等の有機材料板等である、
調光装置。」(以下「甲3発明」という。)
「保護板2Aと、保護板2Bと、前記保護板2Aと前記保護板2Bとの間に位置する液晶光学素子1を備え、
前記液晶光学素子1は、
電極付きの基板5Aと、
電極付きの基板5Bと、
前記電極付きの基板5Aと前記電極付きの基板5Bとの間を埋めるフィルム状液晶層6と、を備え、
前記電極付きの基板5Aの端面、前記電極付きの基板5Bの端面、前記フィルム状液晶層6の端面が、前記液晶光学素子1の端面を構成し、
当該液晶光学素子1の端面を覆うアクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の樹脂からなるシール材(7A、7B)と、前記保護板2Aと前記保護板2Bを接合するアクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の樹脂からなる接着剤3をさらに備え、
保護板は、アクリル板、ポリカーボネート板、透明塩化ビニル板等の有機材料板等である、
調光装置の製造方法であって、
前記フィルム状液晶層6は、液晶物質を分散させた樹脂マトリックス体によるものであり、
液晶光学素子と保護板とをポリビニルブチラールシートを介して積層し、減圧下で脱泡して、その後加熱加圧することにより容易に脱泡し、一体化する、
調光装置の製造方法。」(以下「甲3製法発明」という。)
4 甲第10号証に記載された発明
(1)甲第10号証には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 「2.特許請求の範囲
(1)電極付の基板間に電気光学媒体を挟持して電界によってその光の透過状態を制御する調光体を、2枚の保護板の間にシート状接着材を介して挟持し、そのシート状接着材により接着して一体化したことを特徴とする調光装置。」
イ 「電気光学媒体としては、液晶、エレクトロクロミック物質等の電界の印加によってその光の透過状態を制御可能なものが使用でき、透明状態と散乱状態との間で変化するもの、色の変化するもの、光の透過率が変化するもの等があり、いずれも適用できる。
これらの中では、液晶を使用したものが、消費電力が少なく、大面積化しても抵抗の高い透明電極が使用できること、及び表示素子で多く使用されていて信頼性の高い物質が種々手に入り易いことから好ましい。
もっとも以下に示すような、透明状態と散乱状態との間で変化する液晶調光体が大面積の調光体を容易に製造できるため好ましい。
具体的には、液晶を用いた透過散乱制御型の調光体が好ましい。特に、液晶と樹脂マトリックスとの組み合わせによる調光体が好ましい。これには、液晶がマイクロカプセルに封入されたものや樹脂の多孔質マトリックス中に液晶が含浸されたようなものがあり、電界の印加状態によって、液晶と樹脂マトリックスとの屈折率を一致させたり一致させなかったりすることにより、透過状態と散乱状態との変化が得られるものである。」(第3頁左下欄1行~右下欄4行)
ウ 「この保護板としては、強度が高く、透過性が良いものが好ましいく、具体的には、アクリル板、ポリカーボネート板、透明塩化ビニル板等の有機材料板、ガラス板、石英板等の無機材料板等がある。」(第4頁左下欄9行~13行)
エ 「本発明で使用される接着材は熱硬化型、2液温合硬化型、光硬化型等種々の接着材が使用可能であるが、シート状接着材が積層作業が容易で生産性が良い。特に、積層作業中はベトつかなく、加熱または光照射時にはじめて接着性を生じるシート状接着材が積層作業の作業性が良く好ましい。
加熱により接着性を生じるシート状接着材としては、代表的なものとして、ポリビニルブチラールがあり、本発明においても通常の合せガラスの製造と同様に、調光体と保護板とをポリビニルブチラールシートを介して積層し、減圧下で脱泡し、その後加熱加圧することにより容易に脱泡、一体化できる。
光照射により接着性を生じるシート状接着材を使用した場合には、積層しておいた後、加圧しながら紫外線等の光を照射して接着一体化されればよい。」(第4頁右下欄12行~第5頁左上欄9行)
オ 第2図は、以下のものである。
[図:0001383241000005.jpg]
(2)上記(1)の記載からして、甲第10号証には、次の発明が記載されていると認められる。
「保護板2Aと、保護板2Bと、前記保護板2Aと前記保護板2Bとの間に位置する調光体1を備え、
前記調光体1は、
電極付き基板5Aと、
電極付き基板5Bと、
前記電極付き基板5Aと前記電極付き基板5Bとの間を埋める液晶層と、を備え、
前記電極付き基板5Aの端面、前記電極付き基板5Bの端面、前記液晶層の端面が、前記調光体1の端面を構成し、
当該調光体1の端面を覆い、かつ、前記保護板2Aと前記保護板2Bを接合するポリビニルブチラールからなるシート状接着材(3A、3B)をさらに備え、
保護板は、アクリル板、ポリカーボネート板、透明塩化ビニル板等の有機材料板等である、
調光装置。」(以下「甲10発明」という。)
「保護板2Aと、保護板2Bと、前記保護板2Aと前記保護板2Bとの間に位置する調光体1を備え、
前記調光体1は、
電極付き基板5Aと、
電極付き基板5Bと、
前記電極付き基板5Aと前記電極付き基板5Bとの間を埋める液晶層と、を備え、
前記電極付き基板5Aの端面、前記電極付き基板5Bの端面、前記液晶層の端面が、前記調光体1の端面を構成し、
当該調光体1の端面を覆い、かつ、前記保護板2Aと前記保護板2Bを接合するポリビニルブチラールからなるシート状接着材(3A、3B)をさらに備え、
保護板は、アクリル板、ポリカーボネート板、透明塩化ビニル板等の有機材料板等である、
調光装置の製造方法であって、
前記液晶層は、液晶と樹脂マトリックスとの組み合わせによるものであり、
調光体と保護板とをポリビニルブチラールシートを介して積層し、減圧下で脱泡し、その後加熱加圧することにより容易に脱泡、一体化する、
調光装置の製造方法。」(以下「甲10製法発明」という。)
第6 対比・判断
1 進歩性(甲第1号証を主引用例とした場合)について
(1)訂正発明1について
ア 対比
(ア)訂正発明1と甲1発明を対比する。
a 甲1発明の「第1の有機ガラス1A」は、「第1の透明電極フィルム」に対して「透明な中間接着層2Aで接合され」ており、「第1の透明電極フィルム」に対向する接合面を有しているといえる。また、甲1発明の「第1の有機ガラス1A」が透明な材料で構成されることは明らかである。そうすると、甲1発明の「第1の有機ガラス1A」は、訂正発明1の「第1透明被覆基材」に相当し、甲1発明は、訂正発明1の「第1接合面を有した第1透明被覆基材」との構成を有する。
同様に、甲1発明の「第2の有機ガラス1B」は、「第2の透明電極フィルム」に対して「透明な中間接着層2Bで接合され」ていることから、甲1発明の「第2の有機ガラス1B」は、訂正発明1の「第2透明被覆基材」に相当し、甲1発明は、訂正発明1の「第2接合面を有した第2透明被覆基材」との構成を有する。
b 甲1発明の「調光フィルム3」は、「前記第1の有機ガラス1Aと前記第2の有機ガラス1Bとの間に位置する」ものであり、「第1の有機ガラス1A」の上記接合面と「第2の有機ガラス1B」の上記接合面との間に位置するといえるから、訂正発明1の「前記第1接合面と前記第2接合面との間に位置する調光シート」に相当する。
c 甲1発明において、「前記調光フィルム3は、前記第1の有機ガラス1Aに透明な中間接着層2Aで接合された第1の透明電極フィルムと、前記第2の有機ガラス1Bに透明な中間接着層2Bで接合された第2の透明電極フィルムと、前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間を埋める液晶層と、を備え」ており、「中間接着層(2A、2B)は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)からなり」、ここで、透明電極フィルムは一般に、液晶層側に面する電極層と、当該電極層を支持する支持フィルムとを備えるものであるから、甲1発明の「第1の透明電極フィルム」、「第2の透明電極フィルム」、「液晶層」は、それぞれ訂正発明1の「第1の透明電極フィルム」、「第2の透明電極フィルム」、「液晶層」に相当し、甲1発明は、訂正発明1の「前記調光シートは、第1電極層と、当該第1電極層を支持する第1支持フィルムとを備え、前記第1支持フィルムが前記第1接合面に透明粘着剤で接合された第1透明電極フィルムと、第2電極層と、当該第2電極層を支持する第2支持フィルムとを備え、前記第2支持フィルムが前記第2接合面に透明粘着剤で接合された第2透明電極フィルムと、前記第1透明電極フィルムと前記第2透明電極フィルムとの間を埋める液晶組成物を備える液晶層と、を備え」との構成を有する。
d 甲1発明の「前記液晶層の端面、前記第1の透明電極フィルムの端面、前記第2の透明電極フィルムの端面が、前記調光フィルム3の端面を構成」する点は、訂正発明1の「前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成」する点に相当する。
e 甲1発明の「ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)からな」る「中間接着層(2A、2B)」及び「ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)からなるバリア層4」は、訂正発明1の「シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合する透明粘着層」に相当する。
f 甲1発明の「第1の有機ガラス1A」、「第2の有機ガラス1B」の材質は、いずれも「ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールとの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂等の樹脂であり」、主成分は樹脂であるものと解されるから、甲1発明は、訂正発明1の「前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり」との構成を有する。
g 甲1発明の「調光装置」は、訂正発明1の「調光装置」に相当する。
(イ)よって、訂正発明1と甲1発明とは、以下の点で一致する。
〈一致点〉
「第1接合面を有した第1透明被覆基材と、
第2接合面を有した第2透明被覆基材と、
前記第1接合面と前記第2接合面との間に位置する調光シートと、を備え、
前記調光シートは、
第1電極層と、当該第1電極層を支持する第1支持フィルムとを備え、前記第1支持フィルムが前記第1接合面に透明粘着剤で接合された第1透明電極フィルムと、
第2電極層と、当該第2電極層を支持する第2支持フィルムとを備え、前記第2支持フィルムが前記第2接合面に透明粘着剤で接合された第2透明電極フィルムと、
前記第1透明電極フィルムと前記第2透明電極フィルムとの間を埋める液晶組成物を備える液晶層と、を備え、
前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成し、当該シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合する透明粘着層をさらに備える、調光装置であって、
前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂である、
調光装置。」
(ウ)一方、両者は、以下の点で相違する。
〈相違点1〉
透明粘着層の吸水率に関して、訂正発明1は、「JIS K 7209:2000 A法に準拠した吸水率が2%以下である」のに対して、甲1発明は、「ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)からな」るものの、その具体的な吸水率が不明である点。
〈相違点2〉
「調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚み」が、訂正発明1では「1mm以上5mm以下」であるのに対し、甲1発明では「0mmを超え40mm以下」である点。
〈相違点3〉
訂正発明1では、「前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える」のに対し、甲1発明では、そのような特定がされていない点。
イ 判断
(ア)〈相違点1〉について
a ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂及びエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)の吸水率(JIS K 7209:2000 A法に準拠した吸水率)は、いずれも2%以下であると認められる。
必要ならば、下記の文献を参照。
文献a 特開2001-310836号公報(【0048】及び【004 9】)
文献b 特開2012-35338号公報(【0034】)
文献c ポリマー辞典(コンサイス版)、昭和61年6月10日、株式会社 大成社、ポリマー性能一欄表、564~585頁
b 上記aの検討からして、上記〈相違点1〉は、実質的な相違点ではない。
c 以下、仮に実質的に相違するとして、訂正発明1の「透明粘着層」において「JIS K 7209:2000 A法に準拠した吸水率が2%以下」とする技術的意義について、本件特許明細書の記載を参酌して検討する。
(a)本件特許明細書には、以下の記載がある。
「【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、調光シートが置かれる環境は、相対湿度が低い乾いた雰囲気に限られず、相対湿度が高い湿潤な雰囲気に広がりつつある。湿潤な雰囲気に置かれた調光シートでは、液晶層に水が浸入すると、光透過率の可変機能が液晶層で低下してしまう。」
「【0007】
…さらに、液晶層の端面を含むシート端面が、2%以下の吸水率を有した透明粘着層で覆われるため、液晶層の端面に対し防水性が向上可能でもある。そして、防水性を向上させる透明粘着層が、各透明被覆基材と同じく、透明であるため、透明粘着層が視認されることによる意匠性の低下が抑制可能でもある。」
「【0024】
各透明被覆基材11,12は、調光シート20に対し防水性を向上可能である観点から、2%以下の吸水率を有することが好ましい。吸水率は、JIS K 7209:2000 A法に準拠した値である。」
「【0071】
なお、透明粘着層41が、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂に変更した場合にも、同様の結果が得られた。一方で、透明粘着層41が、酢酸セルロース、および、ポリビニルアルコールの場合には、試験後での外観観察において、調光シート20内へのシート端面20Eからの水の浸入が認められ、また、透明化した部分、および、駆動電圧の印加に不感となる部分の存在が液晶層21の端部に認められた。」
(b)上記記載からして、上記技術的意義は、調光シートの液晶層に「水」が浸入することを防止するために、透明粘着層の防水性を高めることにあり、吸水率の上限値(2%)に臨界的な技術的意義は認められない。
d また、上記技術的意義に関して、液晶層を内部に侵入する水分から保護する必要のあることは、当該技術分野において技術常識である(ちなみに、甲第1号証の[0002]ないし[0004]には、「合わせガラスに封入した機能性フィルム」の不具合は、合わせガラスの端面から侵入した熱や水分に起因することが記載されている。)ところ、液晶層を用いた調光装置のシール材として、内部への水分の侵入を防ぐために、外気中に含まれる気相の水分や雨水などの水分を吸収する性質の低い樹脂を用いることは、本件特許出願時点で周知である(以下「周知技術」という。)。
必要ならば、以下の文献を参照。
文献d 国際公開第2014/171470号([0066])
文献e 特表2009-533248号公報(【0050】)
文献f 特開平7-261160号公報(【0019】)
e してみると、甲1発明の「調光装置」において、内部への水分の侵入を防止するために、「バリア層4及び中間接着層(2A、2B)」を構成する樹脂として、「雨水などの水分を吸収する性質の低い樹脂」を選択することは、当業者が上記周知技術に基づいて容易になし得たことである。
その際、「雨水などの水分を吸収する性質の低い樹脂」を、「JIS K 7209:2000 A法に準拠した吸水率が2%以下である樹脂」から選択することは、適宜なし得た設計事項である。
(イ)〈相違点2〉について
a 甲1発明において、「前記調光フィルム3が広がる方向での前記バリア層4の厚み」が「0mmを超え40mm以下」であることから、「バリア層4の厚み」を当該数値範囲内の「1mm以上5mm以下」としたものが把握される。
b してみると、上記〈相違点2〉は、実質的な相違点ではない。
c 以下、仮に実質的に相違するとして、訂正発明1の「前記調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚みが1mm以上5mm以下であ」ることの技術的意義について、本件特許明細書の記載を参酌して検討する。
(a)本件特許明細書には、以下の記載がある。
「【0052】
調光シート20が広がる方向での透明粘着層41の厚み41Tは、調光シート20に対し防水性が向上可能である観点から、1mm以上であることが好ましい。透明粘着層41の厚み41Tが、透明粘着層41の厚み方向で一定でない場合、透明粘着層41の厚み41Tの最小値が1mm以上であることが好ましい。
【0053】
透明粘着層41の厚み41Tは、調光シート20と対向する位置から見た意匠性が向上可能である観点から、5mm以下であることが好ましい。透明粘着層41の厚み41Tが、透明粘着層41の厚み方向で一定でない場合、透明粘着層41の厚み41Tの最大値が5mm以下であることが好ましい。例えば、図2が示す例では、透明粘着層41の厚み41Tのなかで、最小値を示す部位は、第1透明被覆基材11と接し、1mm以上の厚みを有することが好ましい。透明粘着層41の厚み41Tのなかで、最大値を示す部位は、第1透明被覆基材11と接し、5mm以下の厚みを有することが好ましい。」
(b)上記記載からして、上記技術的意義は、調光シートの防水性を高める観点から、調光シートが広がる方向での透明粘着層の厚みをある程度大きくすることが好ましく、意匠性を高める観点からは、当該厚みをある程度小さくすることが好ましいことにあり、その厚みの下限値(1mm)及び上限値(5mm)に臨界的な技術的意義は認められない。
d 上記技術的意義に関し、甲第1号証には、「前記調光フィルム3が広がる方向での前記バリア層4の厚み」(すなわち、調光フィルム3の切り欠き部の幅w)に関して、「調光フィルム3の切り欠き部の幅wは、用途に応じて適宜選択でき」、「より高い信頼性を考慮すれば、調光フィルム3は切り欠き部を有することが好ましい」ものであり([0050])、「バリア層4」は、「所定の透湿性」を有するものである([0056])とともに、「合わせガラスを構成する1対のガラス板のうち少なくとも一方のガラス板の中間接着層と接する側の主面の周縁部の一部または全部に帯状に、黒色セラミックス層を設けることがあり」、「ただし、意匠性向上の観点から、本発明の合わせガラスにおいては黒色セラミックス層を有しない、または黒色セラミック層を有していてもその幅は狭く」する([0060])と記載されている。
e 甲第1号証の上記記載にみられるように、水分の浸入に対するバリア性能と、合わせガラスとしての意匠性とを勘案して透明粘着層の厚みを調整することは、最適化に伴う設計事項にとどまるものであって、甲1発明において上記バリア層4の厚みを調整して「1mm以上5mm以下」の範囲とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。
(ウ)〈相違点3〉について
調光シートを一対の透明被覆基材で挟んだ調光装置において、所望のサイズに加工するなどの目的で端部を切断することは、普通に行われていることであり(必要であれば、甲第3号証の5頁右上欄3~14行、甲第10号証の4頁右下欄1~11行を参照。)、甲1発明において「バリア層4及び中間接着層(2A、2B)」の端を切断して製造することに何ら困難性は認められない。
その結果、「バリア層4及び中間接着層(2A、2B)」の外側面は、「有機ガラス(1A、1B)」の端面に連なる切断痕を備えることになる。
(エ)そして、相違点1~3を総合的に勘案しても、訂正発明1の奏する作用効果は、甲1発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(オ)特許権者は、令和3年5月28日提出の意見書において、以下a~cの点を主張している。
a 合わせガラスの分野において用いられる中間接着層用の熱可塑性樹脂においては、同一名称の樹脂であっても、バッチ等の違いにより、同一の吸水率を有するものであるとはいえず、甲1発明に記載の、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、および、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)の吸水率(JIS K 7209:2000 A法に準拠した吸水率)が2%以下であるとはいえない。(5頁12行~8頁23行)
b 透湿と吸水とは相互に異なる性質である。例えば文献dの記載は、水分を吸って含有することを意味する吸水率とは異なる思想を開示するものであり、吸水率を低めることを示唆するものではない。そして、文献dはシール材37を透過してしまう水分を抑えることこそ示唆するものの、シール材37が含有する水分までも抑えることを示唆するとはいえない。(8頁24行~10頁17行)
c 訂正発明1は、液晶層外から液晶層内への水の移行を透明粘着層によって抑えることを可能にしつつ、調光装置において調光可能な領域を最大限に拡張可能とするものである。一方、甲第1号証に記載の合わせガラスは、その外寸を基準とするものであるから、ガラス板1A、1B、中間接着層2A、2B、SPD調光フィルム3、および、バリア層4を含む積層体を、SPD調光フィルム3の外縁を基準として切断し、これによって、バリア層4の厚みを所定の範囲に定めるという技術思想が、甲第1号証から導き出され得ないことは明らかである。(10頁18行~12頁25行)
(カ)しかしながら、前記(オ)a~cの主張については、それぞれ以下のとおりであるから、いずれも認められない。
a 上記(オ)aの主張について
(a)本件特許明細書には、【0056】に列挙されたポリウレタン等の「JIS K 7209:2000 A法に準拠した吸水率」を2%以下にするために、特段の工夫が必要であることは記載されていないところ、当該【0056】に列挙されたポリウレタン等の樹脂の吸水率は、上記文献a~c(上記(ア)を参照。)に記載された吸水率と整合することから、当該【0056】に記載された樹脂は、上記文献a~cに記載される程度の一般的な樹脂であると解される。
(b)他方、甲第1号証にも、ポリウレタン等の製造に際して特段の工夫を講じることは記載されておらず、甲第1号証に接した当業者は、当該ポリウレタン等の吸水率は、上記文献a~cに記載された吸水率と同程度であると解するのが自然である。
(c)また、特許権者は、同一名称の樹脂であっても、バッチ等によりその吸水率が変動する旨、主張しているが、上記のような一般的なポリウレタン等の樹脂において、吸水率が変動して吸水率が2%以下の範囲を満たさないとする具体的な根拠を何ら示していない。
(d)以上のことから、特許権者の主張は、上記(ア)~(エ)の判断を左右するものではない。
b 上記(オ)bの主張について
(a)文献dにおいて、「シール材37は、第1接着剤33や第2接着剤35よりも透湿性が低く、かつ、第1接着剤33や第2接着剤35よりも高分子量の可塑剤を含むウレタン系やシリコン系の透明なシーラが用いられる。
シール材37に透湿性(水蒸気(外気中に含まれた気相の水分)や雨水などの水分を吸収する性質)の低いシール材を採用することにより、シール材37は第1接着剤33や第2接着剤35よりも優れた止水性を備えている。」([0066])と記載されていることから、「水分を吸収する性質」「の低いシール材」との表現のとおり、「シール材」として吸水性の低い材料を採用していることは明らかである。
また、文献dにおける「調光シート32の端部32a、第1接着剤33の端面33aおよび第2接着剤35の端面35aをシール材37で覆うことにより、第1接着剤33や第2接着剤35に含まれた水分が調光シート32の端部32aから内部に浸入することを防止できる。
このように、ドアガラス30の外部71の水分や、第1接着剤33および第2接着剤35に含まれた水分が調光シート32の端部32aから浸入することを防止することにより、調光シート32への水分の浸入を効果的に防止できる。」([0068])との記載とともに、図4を参照すると、シール材は、調光シートの端部と、外部(水分を含むドアガラスの外部、第1接着剤、第2接着剤)との間に、調光シートの端部に接するように介在して、調光シートの端部への水分の浸入を防止するものであるから、シール材は透湿性が低いのみならず、そもそも水分を含む性質も低いと考えられる(仮にそうでなければ、シール材が水分を含むことにより、その水分が、シール材に接している調光シートの端部に触れてしまい、「水分の浸入を効果的に防止」するという役割を果たせないことは明らかである。)。
(b)よって、特許権者の上記主張は、上記(ア)~(エ)の判断を左右するものではない。
c 上記(オ)cの主張について
上記(ウ)において説示したとおりであり、特許権者の主張を採用することはできない。
(キ)小括
訂正発明1は、甲1発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正発明1に係る特許は、取り消されるべきものである。
(2)訂正発明3について
調光装置の液晶層において、ビーズ状のスペーサを介在させることは、普通に行われていることであるから(必要ならば、本件特許明細書の【0003】に特許文献1として例示された特開2018-40883号公報(【0053】)を参照。)、甲1発明の「液晶層」に「ビーズ状のスペーサ」を適用することに何ら困難性は認められない。
また、圧縮破壊強度を1MPa以上とすることは、最適化に伴う設計事項である。
(3)訂正発明6について
第1の有機ガラス1A、第2の有機ガラス1B、透明な中間接着層2A、透明中間接着層2B及びバリア層4を同一樹脂、例えば、アクリル樹脂とすることで、接着強度を増すことは、適宜なし得ることである。
(4)訂正発明7について
第1の透明電極フィルム、第2の透明電極フィルム、透明な中間接着層2A、透明な中間接着層2B及びバリア層4を同一樹脂、例えば、アクリル樹脂とすることで、接着強度を増すことは、適宜なし得ることである。
(5)訂正発明8について
開口部(窓)は、必要に応じて適宜設けることができるものである。
必要ならば、甲第8号証(特開平11-259021号公報)の図7を参照。
図7
[図:0001383241000006.jpg]
16…プラスチックフィルム
40…開口
(6)訂正発明9について
甲1発明において、「第1の透明電極フィルム」の電極と外部電源線との接続箇所から水分が内部に侵入することを防止するために、該接続箇所を「中間接着層2A」を介して「第1の有機ガラス1A」により覆うことは、当業者が適宜なし得ることである。
(7)訂正発明10について
ア 対比
(ア)訂正発明10と甲1製法発明とを対比すると、甲1製法発明の「液晶層」であって、「非重合性の液晶組成物と重合性化合物とを含む液晶性混合物を、該液晶性混合物を所定以上の粘度でありかつ液晶相を示す温度で有する」ものは、訂正発明10の「高分子ネットワークが有する空隙を埋める液晶組成物」「を備える液晶層」に相当する。
また、甲1製法発明において、「調光フィルム3」は、「前記第1の透明電極フィルムと前記第2の透明電極フィルムとの間を埋める液晶層と、を備え、前記液晶層の端面、前記第1の透明電極フィルムの端面、前記第2の透明電極フィルムの端面が、前記調光フィルム3の端面を構成し」ており、ここで、透明電極フィルムは一般に、液晶層側に面する電極層と、当該電極層を支持する支持フィルムとを備えるものであるから、甲1製法発明の「調光フィルム3」、「第1の透明電極フィルム」、「第2の透明電極フィルム」、「液晶層」は、それぞれ訂正発明10の「調光シート」、「第1の透明電極フィルム」、「第2の透明電極フィルム」、「液晶層」に相当し、甲1製法発明は、訂正発明10のように「液晶層が、第1支持フィルムに支持された第1電極層と、第2支持フィルムに支持された第2電極層との間に位置する調光シートであって、前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成する、前記調光シートを用い」ているといえる。
さらに、甲1製法発明は、「ガラス板1A、中間接着層2A、機能性フィルム(調光フィルム)3およびバリア層4からなる層、中間接着層2B、ガラス板1Bの順に積層された圧着前の合わせガラスである合わせガラス前駆体を準備し、この合わせガラス前駆体を」「温度約70~110℃で接着することで合わせガラスを得る」ものであって、「前記調光フィルム3の端面は、ポリビニルブチラール樹脂(PVB)、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂又はエチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)からなるバリア層4により覆われ」ることから、甲1製法発明の「ガラス板1A」、「ガラス板1B」、「『合わせガラス』における『中間接着層2A』、『中間接着層2B』及び『バリア層4』」は、訂正発明10の「第1透明被覆基材」、「第2透明被覆基材」、「透明粘着層」に相当し、甲1製法発明は、訂正発明10の「第1透明被覆基材と第2透明被覆基材とが前記調光シートを挟むように、前記第1透明被覆基材、前記第2透明被覆基材、および、前記調光シートをラミネートすることと、透明粘着層によって当該シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合すること」との構成を有する。
また、甲1製法発明の「第1の有機ガラス1A」、「第2の有機ガラス1B」の材質は、いずれも「ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールとの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂等の樹脂であり」、主成分は樹脂であるものと解されるから、甲1製法発明は、訂正発明10の「前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり」との構成を有する。
(イ)そうすると、訂正発明10と甲1製法発明とは、以下の点で一致する。
〈一致点〉
「高分子ネットワークが有する空隙を埋める液晶組成物を備える液晶層を備え、当該液晶層が、第1支持フィルムに支持された第1電極層と、第2支持フィルムに支持された第2電極層との間に位置する調光シートであって、前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成する、前記調光シートを用い、
第1透明被覆基材と第2透明被覆基材とが前記調光シートを挟むように、前記第1透明被覆基材、前記第2透明被覆基材、および、前記調光シートをラミネートすることと、
透明粘着層によって当該シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合することと、を含む、
調光装置の製造方法であって、
前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂である、
調光装置の製造方法。」
(ウ)一方、訂正発明10と甲1製法発明とは、上記(1)ア(ウ)に示した相違点1~3と同様の点のほか、以下の相違点4で相違する。
〈相違点4〉
「液晶層」につき、訂正発明10は、「分散されたスペーサ」を備えるのに対し、甲1製法発明は、そのような特定がされていない点。
イ 判断
上記相違点1~3についての判断は、上記(1)イに示したのと同様である。
上記相違点4については、上記(2)に示したとおり、液晶層にスペーサを適用することに何ら困難性はなく、甲1製法発明において相違点4に係る訂正発明10の構成を採用することは、当業者が適宜なし得たことである。
したがって、訂正発明10は、甲1製法発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正発明10に係る特許は、取り消されるべきものである。
(8)訂正発明11について
甲1製法発明の「合わせガラス前駆体」における「中間接着層2A」、「中間接着層2B」及び「バリア層4」は、「温度約70~110℃で接着する」ことにより硬化し、「ガラス板1A」、「機能性フィルム(調光フィルム)3」、「ガラス板1B」を互いに接合していると解されるから、甲1製法発明の「合わせガラス前駆体」における「中間接着層2A」、「中間接着層2B」及び「バリア層4」は、訂正発明11の「透明粘着剤」に相当し、甲1製法発明は、訂正発明11の「前記ラミネートすることでは、前記第1支持フィルムを前記第1透明被覆基材に接合する透明粘着剤と、前記第2支持フィルムを前記第2透明被覆基材に接合する透明粘着剤とが、前記シート端面を覆い、前記シート端面を覆うことでは、前記シート端面を覆う透明粘着剤を硬化することによって前記透明粘着層を形成する」との構成を備える。
(9)まとめ
訂正発明1、3、6~11は、甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、訂正発明1、3、6~11に係る特許は、取り消されるべきものである。
2 進歩性(甲第2、3、10号証をそれぞれ主引用例とした場合)について
(1)訂正発明1について
ア 対比
(ア)訂正発明1と甲2発明を対比する。
a 甲2発明の「第1の透明樹脂基板1A」が「透明な接着性樹脂8で接合された」「透明基板7A」、及び、「第2の透明樹脂基板1B」が「透明な接着性樹脂8で接合された」「透明基板7B」は、それぞれ訂正発明1の「第1接合面を有した第1透明被覆基材」及び「第2接合面を有した第2透明被覆基材」に相当する。
b 甲2発明の「前記透明基板7Aと前記透脂基板7Bとの間に位置する液晶調光素子」は、訂正発明1の「前記第1接合面と前記第2接合面との間に位置する調光シート」に相当する。
c 甲2発明において、「前記液晶調光素子は、前記透明基板7Aに透明な接着性樹脂8で接合された第1の透明樹脂基板1Aと、前記透明基板7Bに透明な接着性樹脂8で接合された第2の透明樹脂基板1Bと、前記第1の透明樹脂基板と前記第2の透明樹脂基板との間を埋める液晶層4と、を備え」、「第1の透明樹脂基板1Aの透明電極膜2A」及び「第2の透明樹脂基板1Bの透明電極膜2B」を備えるから、甲2発明の「『第1の透明樹脂基板1A』及び『透明電極膜2A』」、「『第2の透明樹脂基板1B』及び『透明電極膜2B』」、「液晶層4」は、それぞれ訂正発明1の「第1の透明電極フィルム」、「第2の透明電極フィルム」、「液晶層」に相当し、甲2発明は、訂正発明1の「前記調光シートは、第1電極層と、当該第1電極層を支持する第1支持フィルムとを備え、前記第1支持フィルムが前記第1接合面に透明粘着剤で接合された第1透明電極フィルムと、第2電極層と、当該第2電極層を支持する第2支持フィルムとを備え、前記第2支持フィルムが前記第2接合面に透明粘着剤で接合された第2透明電極フィルムと、前記第1透明電極フィルムと前記第2透明電極フィルムとの間を埋める液晶組成物を備える液晶層と、を備え」との構成を有する。
d 甲2発明の「前記第1の透明樹脂基板1Aの透明電極膜2Aの端面、前記第2の透明樹脂基板1Bの透明電極膜2Bの端面、前記液晶層4の端面が、液晶調光素子の端面を構成」する点は、訂正発明1の「前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成」する点に相当する。
e 甲2発明の「エポキシ樹脂からなる封止剤5」及び「エチレン酢酸ビニルポリマーからなる透明な接着性樹脂8」は、訂正発明1の「シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合する透明粘着層」に相当する。
f 甲2発明の「透明基板7A、7Bは、ポリカーボネート板であ」り、その主成分は樹脂であると解されるから、訂正発明1の「前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であ」るとの構成を有する。
g 甲2発明の「調光装置」は、訂正発明1の「調光装置」に相当する。
(イ)訂正発明1と甲3発明を対比する。
a 甲3発明の「保護板2A」、「保護板2B」は、「接着剤3」により「接合される」ものであり、いずれも透明な材料で構成されることは明らかであるから、それぞれ訂正発明1の「第1接合面を有した第1透明被覆基材」、「第2接合面を有した第2透明被覆基材」に相当する。
b 甲3発明の「前記保護板2Aと前記保護板2Bとの間に位置する液晶光学素子1」は、訂正発明1の「前記第1接合面と前記第2接合面との間に位置する調光シート」に相当する。
c 甲3発明において、「前記液晶光学素子1は、電極付きの基板5Aと、電極付きの基板5Bと、前記電極付きの基板5Aと前記電極付きの基板5Bとの間を埋めるフィルム状液晶層6と、を備え」ており、「電極付きの基板5A」及び「電極付きの基板5B」が透明な材料で構成されることは明らかであるから、甲3発明の「電極付きの基板5A」、「電極付きの基板5B」、「フィルム状液晶層6」は、それぞれ訂正発明1の「第1透明電極フィルム」、「第2透明電極フィルム」、「液晶層」に相当し、甲3発明は、訂正発明1の「前記調光シートは、第1電極層と、当該第1電極層を支持する第1支持フィルムとを備え、前記第1支持フィルムが前記第1接合面に透明粘着剤で接合された第1透明電極フィルムと、第2電極層と、当該第2電極層を支持する第2支持フィルムとを備え、前記第2支持フィルムが前記第2接合面に透明粘着剤で接合された第2透明電極フィルムと、前記第1透明電極フィルムと前記第2透明電極フィルムとの間を埋める液晶組成物を備える液晶層と、を備え」との構成を有する。
d 甲3発明は、「前記電極付きの基板5Aの端面、前記電極付きの基板5Bの端面、前記フィルム状液晶層6の端面が、前記液晶光学素子1の端面を構成」するから、訂正発明1のように「前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成」するといえる。
e 甲3発明の「アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の樹脂からなるシール材(7A、7B)」及び「アクリル系、ウレタン系、エポキシ系等の樹脂からなる接着剤3」は、訂正発明1の「シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合する透明粘着層」に相当する。
f 甲3発明において、「保護板は、アクリル板、ポリカーボネート板、透明塩化ビニル板等の有機材料板等であ」り、その主成分は樹脂であると解されるから、甲3発明は、訂正発明1の「前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり」との構成を有する。
g 甲3発明の「調光装置」は、訂正発明1の「調光装置」に相当する。
(ウ)訂正発明1と甲10発明を対比する。
a 甲10発明の「保護板2A」、「保護板2B」は、「シート状接着材(3A、3B)」により「接合」されるものであり、いずれも透明な材料により構成されることは明らかであるから、それぞれ訂正発明1の「第1接合面を有した第1透明被覆基材」、「第2接合面を有した第2透明被覆基材」に相当する。
b 甲10発明の「前記保護板2Aと前記保護板2Bとの間に位置する調光体1」は、訂正発明1の「前記第1接合面と前記第2接合面との間に位置する調光シート」に相当する。
c 甲10発明において、「前記調光体1は、電極付き基板5Aと、電極付き基板5Bと、前記電極付き基板5Aと前記電極付き基板5Bとの間を埋める液晶層と、を備え」ており、「電極付き基板5A」及び「電極付き基板5B」が透明な材料で構成されることは明らかであるから、甲10発明の「電極付き基板5A」、「電極付き基板5B」、「液晶層」は、それぞれ訂正発明1の「第1透明電極フィルム」、「第2透明電極フィルム」、「液晶層」に相当し、甲10発明は、訂正発明1の「前記調光シートは、第1電極層と、当該第1電極層を支持する第1支持フィルムとを備え、前記第1支持フィルムが前記第1接合面に透明粘着剤で接合された第1透明電極フィルムと、第2電極層と、当該第2電極層を支持する第2支持フィルムとを備え、前記第2支持フィルムが前記第2接合面に透明粘着剤で接合された第2透明電極フィルムと、前記第1透明電極フィルムと前記第2透明電極フィルムとの間を埋める液晶組成物を備える液晶層と、を備え」との構成を有する。
d 甲10発明は、「前記電極付き基板5Aの端面、前記電極付き基板5Bの端面、前記液晶層の端面が、前記調光体1の端面を構成」するから、訂正発明1のように「前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成し」ているといえる。
e 甲10発明の「ポリビニルブチラールからなるシート状接着材(3A、3B)」は、訂正発明1の「シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合する透明粘着層」に相当する。
f 甲10発明において、「保護板は、アクリル板、ポリカーボネート板、透明塩化ビニル板等の有機材料板等であ」り、その主成分は樹脂であると解されるから、甲10発明は、訂正発明1の「前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂であり」との構成を有する。
g 甲10発明の「調光装置」は、訂正発明1の「調光装置」に相当する。
(エ)よって、訂正発明1と、甲2発明、甲3発明及び甲10発明のそれぞれとを対比すると、以下の点で一致する。
〈一致点〉
「第1接合面を有した第1透明被覆基材と、
第2接合面を有した第2透明被覆基材と、
前記第1接合面と前記第2接合面との間に位置する調光シートと、を備え、
前記調光シートは、
第1電極層と、当該第1電極層を支持する第1支持フィルムとを備え、前記第1支持フィルムが前記第1接合面に透明粘着剤で接合された第1透明電極フィルムと、
第2電極層と、当該第2電極層を支持する第2支持フィルムとを備え、前記第2支持フィルムが前記第2接合面に透明粘着剤で接合された第2透明電極フィルムと、
前記第1透明電極フィルムと前記第2透明電極フィルムとの間を埋める液晶組成物を備える液晶層と、を備え、
前記第1電極層の端面、前記第2電極層の端面、および、前記液晶層の端面が、シート端面を構成し、当該シート端面を覆い、かつ、接合面間を接合する透明粘着層をさらに備える、調光装置であって、
前記第1透明被覆基材の主成分、および、前記第2透明被覆基材の主成分が樹脂である、
調光装置。」
一方、訂正発明1と、甲2発明、甲3発明及び甲10発明のそれぞれとは、以下の点で相違する。
〈相違点A〉
透明粘着層の吸水率に関して、訂正発明1は、「JIS K 7209:2000 A法に準拠した吸水率が2%以下である」のに対して、甲2発明、甲3発明及び甲10発明は、各樹脂の吸水率が不明である点。
〈相違点B〉
「調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚み」が、訂正発明1では「1mm以上5mm以下」であるのに対し、甲2発明、甲3発明及び甲10発明では、そのような特定がされていない点。
〈相違点C〉
訂正発明1では、「前記透明粘着層は、前記シート端面と対向する内側面と、前記調光シートが広がる方向に向けて前記調光装置の外側に露出した外側面とを備え、当該外側面が各透明被覆基材の端面に連なる切断痕を備える」のに対し、甲2発明、甲3発明及び甲10発明では、そのような特定がされていない点。
イ 判断
(ア)〈相違点A〉について
a 甲第3号証(5頁右下欄13行~15行)、甲第10号証(5頁右上欄7行~9行)に記載されているように、一般に、液晶層を用いた調光装置のシール材として、屋外使用や高湿度雰囲気下での使用を想定して、耐湿性に優れた材料を使用することは、当業者が必要に応じて適宜考慮することである。
b また、液晶層を用いた調光装置のシール材として、内部への水分の侵入を防ぐために、外気中に含まれる気相の水分や雨水などの水分を吸収する性質の低い樹脂を用いることは、本件特許出願時点で周知である(上記1(1)イ(ア)dの「周知技術」を参照。)。
c してみると、甲2発明、甲3発明及び甲10発明において、内部への水分の侵入を防止するために、「雨水などの水分を吸収する性質の低い樹脂」を選択することは、当業者が上記周知技術に基づいて容易になし得たことである。
その際、「雨水などの水分を吸収する性質の低い樹脂」を、「JIS K 7209:2000 A法に準拠した吸水率が2%以下である樹脂」から選択することは、適宜なし得た設計事項である。
(イ)〈相違点B〉について
上記1(1)イ(イ)c~eに示したのと同様に、「調光シートが広がる方向での前記透明粘着層の厚み」は、最適化に伴う設計事項にすぎず、当該厚みを「1mm以上5mm以下」とすることは格別のことではない。
(ウ)〈相違点C〉について
上記1(1)イ(ウ)に示したのと同様に、甲2発明、甲3発明及び甲10発明において相違点Cに係る訂正発明1の構成となすことは、当業者にとって格別のものではない。
(エ)そして、相違点A~Cを総合的に勘案しても、訂正発明1の奏する作用効果は、甲2発明及び周知技術、甲3発明及び周知技術、又は甲10発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
(オ)特許権者は、令和3年5月28日提出の意見書において、以下dの点を主張している。
d 甲第2号証、甲第3号証、甲第10号証のいずれについても、甲第1号証に記載の合わせガラスと同様に、これらの外寸を基準とするものであり、バリア層4の厚みを所定の範囲に定めるという技術思想は導き出され得ない。(12頁26行)。
しかしながら、上記dの主張については、上記(イ)(及び上記1(1)イ(イ)c~e)に説示したとおりである。
(カ)小括
訂正発明1は、当業者が甲2発明及び周知技術、甲3発明及び周知技術、又は甲10発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、訂正発明1に係る特許は、取り消されるべきものである。
(2)訂正発明3、6~9について
上記1(2)~(6)に示したのと同様に、訂正発明3、6~9は、甲2発明及び周知技術、甲3発明及び周知技術、又は甲10発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、訂正発明3、6~11に係る特許は、取り消されるべきものである。
(3)訂正発明10、11について
訂正発明10、11と、甲2製法発明、甲3製法発明及び甲10製法発明のそれぞれとを対比すると、上記(1)アに示した相違点A~Cと同様の点のほか、以下の相違点Dで相違し、その余の点で一致する。
〈相違点D〉
「液晶層」につき、訂正発明10及び11は、「分散されたスペーサ」を備えるのに対し、甲2製法発明、甲3製法発明及び甲10製法発明は、そのような特定がされていない点。
上記相違点A~Dについての判断は、上記(1)イ及び上記1(7)に示したのと同様である。
(4)まとめ
訂正発明1、3、6~11は、当業者が甲第2号証に記載された発明及び周知技術、甲第3号証に記載された発明及び周知技術、又は甲第10号証に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、訂正発明1、3、6~11に係る特許は、取り消されるべきものである。
第7 むすび
以上のとおり、訂正発明1、3、6~11は、当業者が甲第1号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、訂正発明1、3、6~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
また、訂正発明1、3、6~11は、当業者が甲第2号証に記載された発明及び周知技術、甲第3号証に記載された発明及び周知技術、又は甲第10号証に記載された発明及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、訂正発明1、3、6~11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
請求項2、4、5に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、本件特許異議申立てについて、請求項2、4、5に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-700716