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特許拒絶査定不服審判

2020-017609

高効率発電方法、組立体、及びシステム

審判番号
2020-017609
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-107601
請求日
2020年12月23日
審決日
2022年01月05日
公報発行日
2022年06月24日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】パルマー ラボ,エルエルシー
  • 【請求人代理人】高岡 亮一
  • 【請求人】8 リバーズ キャピタル,エルエルシー
  • 【請求人代理人】高岡 亮一
審判長/審判官
  • 審判長 山本 信平
  • 審判官 鈴木 充
  • 審判官 佐々木 正章
分類
P18 .536-WZ (F01D) / P18 .537-WZ (F01D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法36条4項1号特許法36条6項1号特許法36条6項2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第4項第1号、特許法第2条第3項第1号
データ出所
審決公報(XML)

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特願2018-107601「高効率発電方法、組立体、及びシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成30年10月11日出願公開、特開2018-159381〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2011年(平成23年)9月20日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2010年9月21日(US)アメリカ合衆国、2010年9月21日(US)アメリカ合衆国、2011年1月28日(US)アメリカ合衆国、2011年9月19日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2013-529416号の一部を平成28年10月27日に新たな特許出願とした特願2016-210344号の一部を平成30年6月5日に新たな特許出願としたものであって、令和元年6月27日付け(発送日:同年7月2日)で拒絶理由が通知され、令和元年9月19日に意見書及び手続補正書が提出され、令和元年12月23日付け(発送日:令和2年1月7日)で拒絶理由が通知され、令和2年4月6日に意見書が提出されたが、令和2年8月24日付け(発送日:同年9月1日)で拒絶査定がされ、これに対して令和2年12月23日に拒絶査定不服審判が請求され、当審において令和3年8月5日付け(発送日:同年8月10日)で拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、令和3年11月4日に意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし10に係る発明は、令和元年9月19日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 複数の構成部品を備えるタービン組立体であって、前記複数の構成部品が、 燃焼生成物ストリームを受け入れるように構成された入口と、出口と、を備えるケーシングと、 前記ケーシングの中に配置されるロータと、 前記ロータの根元から先端に延びる複数のブレードと、 を含み、 前記タービン組立体の長さと前記ブレードの平均直径との比が3.5よりも大きい、タービン組立体。 【請求項2】 前記ブレードが0.275m未満のブレード高さを有するか、又は、 前記タービン組立体が2,000枚未満のブレードを備える、請求項1に記載のタービン組立体。 【請求項3】 発電方法であって、 燃料、O2、及びCO2循環流体を燃焼器の中に導入すること、 前記燃料を燃焼させてCO2を含む燃焼生成物ストリームを提供すること、 前記燃焼生成物ストリームが、複数のタービン翼を備え且つ3.5よりも大きいタービンの長さとタービン翼の平均直径との比を備えるタービンを横切って膨張して電力を発生させ、且つタービン排気ストリームを出力すること、 前記タービン排気ストリームを処理して前記CO2循環流体の少なくとも一部を前記燃焼器の中に再循環させること、 前記再循環されるCO2循環流体の一部を取り出すこと、及び、 前記再循環されるCO2循環流体をトランスピレーション流体として用いること、 を含む、方法。 【請求項4】 前記再循環されるCO2循環流体を前記トランスピレーション流体として用いることが前記再循環されるCO2循環流体を前記タービン又は前記燃焼器の中に発散させることを含む、請求項3に記載の方法。 【請求項5】 前記燃焼生成物ストリームを前記燃焼器から導管を通して前記タービンに誘導することをさらに含み、 前記再循環されるCO2循環流体を前記トランスピレーション流体として用いることが前記再循環されるCO2循環流体を前記導管の中に発散させることを含む、請求項3に記載の方法。 【請求項6】 前記再循環されるCO2循環流体をその温度を変化させるように調整することをさらに含む、請求項3に記載の方法。 【請求項7】 発電システムであって、 燃料、O2、及びCO2循環流体ストリームを受け入れる、及び前記CO2循環流体ストリームが存在する状態で前記燃料を燃焼させ且つCO2を含む燃焼生成物ストリームを提供する少なくとも1つの燃焼段を有するように構成された燃焼器と、 前記燃焼器と流体連通するタービンであって、前記燃焼生成物ストリームを受け入れるための入口、CO2を含むタービン排気ストリームを放出するための出口、及び複数のタービン翼を有し、前記タービンの長さと前記タービン翼の平均直径との比が3.5よりも大きい、タービンと、 前記タービン排気ストリームを処理して再循環されるCO2循環流体ストリームを生成するように構成された1つ以上の構成部品と、を備え、 前記システムの1つ以上の構成部品が、前記再循環されるCO2循環流体ストリームの一部をトランスピレーション流体として用いるように構成される、発電システム。 【請求項8】 前記タービン排気ストリームを処理して前記再循環されるCO2循環流体ストリームを生成するように構成された前記1つ以上の構成部品が、フィルタ、熱交換器、セパレータ、及び圧縮機を含む、請求項7に記載の発電システム。 【請求項9】 前記再循環されるCO2循環流体ストリームの一部を前記トランスピレーション流体として用いるように構成された前記1つ以上の構成部品が、それを通して前記トランスピレーション流体を受け入れるように構成された多孔質焼結材料を含む、請求項7に記載の発電システム。 【請求項10】 前記タービン翼が0.275m未満のブレード高さを有するか、又は、 前記タービンが2,000枚未満のタービン翼を備える、請求項7に記載の発電システム。」 第3 当審拒絶理由の内容 当審拒絶理由の内容は以下のとおりである。 理由1.(明確性)本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 理由2.(サポート要件)本願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 理由3.(実施可能要件(委任省令要件))本願は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 記 ●理由1(明確性)について (1)請求項1の「タービン組立体の長さ」は、具体的にどこの長さを意味するのか明確でない。 発明の詳細な説明の段落【0034】に「タービン長さ」、タービンの「全長」についての記載はあるが、「タービン組立体の長さ」についての記載はない。仮に、「タービン組立体の長さ」がタービンの「全長」のことを意味するものとしても、同段落には、「全長は、入口から出口までのケーシングの長さを指す場合がある。」及び「全長は、入口のすぐ傍に隣接するタービン翼から出口のすぐ傍に隣接するタービン翼までのケーシング内の距離を指す場合がある。」の二通りが記載されており、どのような場合に、どちらの長さを指すのか一義的に理解できない。また、「入口」及び「出口」の具体的な形状や位置などが特定されていないことから、同記載を参酌しても、「タービン組立体の長さ」の意味が明確でない。 (2)請求項1の「ブレードの平均直径」は、具体的にブレードのどの部分の直径を意味するのか明確でない。 例えば、ブレードがエンドウォールやシュラウドを有する場合、どこまでの直径なのか。 請求項3及び7に記載の「タービン翼の平均直径」についても、同様に明確でない。 (3)請求項3及び7の「タービンの長さ」は、具体的にどこの長さを意味するのか明確でない。 発明の詳細な説明の段落【0034】に、「タービン長さ」、タービンの「全長」についての記載はあるが、これらと、「タービンの長さ」との関係が明確でない。仮に、「タービン長さ」がタービンの「全長」のことを意味するものとしても、上記(1)で述べたのと同様に、「タービン長さ」の意味が明確でない。 よって、請求項1、3及び7並びに請求項1、3及び7を引用する請求項2、4ないし6及び8ないし10に係る発明は明確でない。 ●理由2(サポート要件)について 本願の発明が解決しようとする課題は、発明の詳細な説明の段落【0004】等の記載から、燃焼生成物の流れの中の粒子がタービン翼に衝突することによる、タービン翼の損傷を緩和することにあると把握できる。そして、請求項1及び2に係る発明は、「タービン組立体の長さとブレードの平均直径との比が3.5よりも大きい」という発明特定事項を有しており、請求項3ないし6に係る発明は、「3.5よりも大きいタービンの長さとタービン翼の平均直径との比を備える」という発明特定事項を有しており、請求項7ないし10に係る発明は、「タービンの長さとタービン翼の平均直径との比が3.5よりも大きい」という発明特定事項を有している。(これらの発明特定事項は、全て実質的に同じものと解されるので、以下総称して、「特定事項A」という。) しかしながら、以下に述べるように、特定事項Aにより、なぜ、当該課題を解決することができるのかが、発明の詳細な説明の記載を見ても理解できない。 (1)発明の詳細な説明の段落【0028】には、タービン翼上の粒子衝突損傷がブレード速度に関係する旨の記載があり、段落【0029】には、公知のガスタービンは、典型的に600mph(268m/秒)以上のブレード速度で作動するところ、本発明の一実施形態によれば、典型的な速度の約1/3である低いブレード速度(200mph(89m/秒))で作動する旨の記載があるが、特定事項Aにより、なぜ、低いブレード速度とすることができるのかが不明である。 ブレードの回転数が同じであれば、ブレードの直径が小さいほど、ブレード速度(ブレードの周速度)が小さくなるとしても、特定事項Aは「タービン組立体の長さとブレードの平均直径との比」を特定したものであって、ブレードの直径や回転数を特定するものではないから、当該「比」が3.5よりも大きくても、ブレードの平均直径や回転数が大きければ、低いブレード速度とはならない。 また、そもそも、どの程度のブレード速度であれば、タービン翼の損傷を緩和することができるのか、その具体的な評価結果等も示されていない。 さらに、タービン翼の損傷に関して、粒子の成分、大きさ、質及び量並びに流れの速度(ロータの回転軸方向速度)なども影響することが技術常識であるから、単に、ブレード速度(ブレードの周速度)が減少すれば、タービン翼の損傷を低減できるともいえない。 (2)発明の詳細な説明の段落【0118】には、【表1】(従来の設計)と【表2】(発明的な設計)により、従来の典型的なタービンと、本発明のタービンとの比較結果が示されている。 しかしながら、 ア 【表2】においては、タービン長さ/タービン直径が約3.3であり、特定事項Aを満たしていない。 イ 「流速」が表2の方が小さくなっているが、この「流速」が何を意味するのか(ブレードの周速度なのか、作動流体の流れの速度なのか等)が不明であるし、タービン長さ/タービン直径の他に、「発電機電力要件」以外のパラメータも異なっているから、特定事項Aにより、本願発明が解決しようとする課題を解決することは理解できない。 ウ さらに、そもそも、タービン翼の損傷に関する評価結果が示されていない。 よって、段落【0118】並びに【表1】及び【表2】の記載から、特定事項Aにより、タービン翼の損傷を緩和することができるということを、認識することはできない。 (3)請求人は、令和元年9月19日の意見書及び令和2年4月6日の意見書において、「さらに、請求項1、3、及び7に列記されている比の利用により、従来の天然ガス発電所タービンの作動条件とは著しく作動条件が可能になり得ます。例えば、本願の段落0118にある表1及び表2は、従来のタービン設計(表1)及び本願発明の設計(表2)と関連する様々な作動条件を概説しております。示されているように、本願発明のタービンは、著しくより高い圧力(例えば、15バールに対して300バールのタービン入口圧)で、著しくより高い流れ密度(例えば、0.75kg/m3に対して70kg/m3)をもって、著しく低減された流速(例えば、700mphに対して100mph)で動作することができます。そのため、より狭い幅を有する比較的より長いタービン組立体は、低減されたブレード速度で動作することができます。従来のタービン翼が600mph以上の速度で動作することができるのに対し、本願発明のタービン組立体の比較的より短いブレードは、著しく減少されているブレード速度(例えば、約300mph未満)をもって動作することができます。そのため、特許請求されている比により、ブレードの腐食が起こる臨界速度を下回るブレード速度を伴う動作が可能になり得、それにより、動作寿命の増加及び動作費用の低減を提供することができます。」と主張している。 しかしながら、圧力、流れ密度、流速は、燃料の種類、燃焼温度、流路の形状、その他の様々なパラメータも関係することが技術常識であり、特定事項Aと、ブレード速度との間に、相関関係があるとはいえない。 (4)請求人は審判請求書において、「さらに、当該発明者は、分析及び試験により、非常に低いリフト係数のブレード及び非常に小さい圧力比を有する非常に多数のロータディスク段の使用が、3.5~7の長さ比に関して78~88%の等エントロピー効率に繋がり、従って、これが特許請求されている設計に必要とされる重大な比であることが判明したと述べております。 そのため、本願は、発明者の陳述との組み合わせにおいて、特許請求されている比がいかに重大な値であり、従って、3.5という下限は恣意的な選択ではなく、非常に高い圧力で動作する発電システムを伴う使用を依然として可能にしつつ、タービンの寿命を改善するという技術的な結果を実現するべく実施されることを確かに指摘していることは明白であります。」と主張している。 しかしながら、具体的な分析及び試験の結果は示されていない。 そうすると、出願時の技術常識に照らしても、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明の記載により、当該発明の課題を解決できると認識し得る範囲のものであるとは、到底いうことができない。 したがって、請求項1ないし10に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 ●理由3(実施可能要件(委任省令要件))について 本願の発明の詳細な説明は、タービン組立体の具体的な構成などタービンの具体的な形態が十分に開示されておらず、当業者が、請求項1ないし10に係る発明を実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。 また、上記「●理由2(サポート要件)について」で述べたように、当業者が本願明細書及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、発明の課題と、特定事項Aとの実質的な関係を理解することができず、発明の課題の解決手段を理解できないから、請求項1ないし10に係る発明の技術上の意義が不明である。 よって、本願の発明の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 第4 請求人の主張 当審拒絶理由に対して、請求人は手続補正書を提出することなく、意見書において次のように主張している。 3-1.理由1(請求項1~10) 審判官殿は、請求項1~10に係る発明が不明確である旨を指摘されております。審判請求人は、このご指摘に鑑み、以下に釈明を致します。 論点(1)及び(3)につきまして、請求項1、3、及び7に列記されている「タービン組立体の長さ」、並びに請求項3及び7に列記されている「タービンの長さ」は、入口から出口までのケーシングの距離として測定されるにしろ、入口のすぐ傍に隣接するタービン翼から出口のすぐ傍に隣接するタービン翼までのケーシング内の距離として測定されるにしろ、タービンの長さを包含するのに十分に広範であることを、審判請求人は主張致します。例えば、本願の出願当初の段落0034の12~15行をご参照下さい。この主張は、本願の直前の親出願(特願2016-210344)の審理においてなされたものであり(令和元年8月5日に付けの意見書をご参照下さい。)、さらなる補正なしで各請求項の特許審決を結果的にもたらしたことを、審判請求人は特筆致します。 論点(2)につきまして、請求項1に列記されている「ブレードの平均直径」は、本願の出願当初の段落0034の5~8行で説明されていることを、審判請求人は主張致します。この主張は、本願の直前の親出願の審理においてなされたものであり(上記意見書をご参照下さい。)、さらなる補正なしで各請求項の特許審決を結果的にもたらしたことを、審判請求人は特筆致します。 従いまして、本願発明は明確でありますので、特許法第36条第6項第1号及び第2号に基づく拒絶理由は解消されたものと思われます。 3-2.理由2及び3(請求項1~10) 審判官殿は、請求項1~10に係る発明が発明の詳細な説明に記載されておらず、かつ当業者が発明の詳細な説明の記載に基づいて実施不可能なものである旨を指摘されております。審判請求人は、このご指摘に鑑み、以下に釈明を致します。 審判官殿は、本願の明細書等が、特許請求されているとおりの「タービン組立体の長さとブレードの平均直径との比が3.5よりも大きい」ことにより、どのようにしてタービン翼に対する損傷を軽減することができるのかを示していないと述べられております。しかしながら、特許請求されているタービンの寸法は、低減されたブレード損傷を提供しつつ、それでもなお要求される電力出力を提供するさらなる作動パラメータ(例えば、低減された作動速度)に直接関係することを、審判請求人は主張致します。具体的には、3.5よりも大きい比を有することは、事実上、ブレード長が短く―先行技術の設計でよりも遥かに短く保たれることを意味することを、審判請求人は主張致します。短いブレードは、事実上、ブレード先端の速度が低く―先行技術の設計でよりも遥かに低く保たれること意味します。この低い速度により、ブレードに対する微粒子の衝突速度は遥かにより低くなるため、ブレード侵食は低減されます。加えて、この限定事項をタービンの寸法に設けることは、有益な特徴を実現することを可能にしないだろう条件下での作動を事実上妨げるために、本願発明の主要な態様であります。言い換えれば、従来の寸法のタービンはより低い速度で動作することができるかもしれない一方で、保護の利益が実現可能でないより高い速度で動作することができる状態にあり続けます。本願発明においては、タービンの寸法を限定することにより、所望の保護効果を実現するには大き過ぎるだろう速度での作動を妨げる構造が結果的にもたらされます。 以下の記載は、本願の発明者、マイルス・パルマー(MilesPalmer)による陳述の要約であります: D<L/K、式中、Dはブレード(タービン翼)の平均直径であり、Lはタービン組立体(タービン)の長さ、Kはこれらの値の比であります。これは、D<L/Kと言っているのと同じであります。特許請求されているKは3.5であり、1.5乃至2という典型的な先行技術のKの値と比較して大きいものであります。これは、特許請求されているブレードが、先行技術における典型的なブレードの直径の約半分以下であることを意味します。これは、先端の速度が比例的により低いことを意味します。しかしながら、それは、タービンの電力出力がブレードの平均直径の約四分の一の電力に比例するために、発電量が遥かにより低いことを意味します。そのため、直径の半分が16倍より小さい電力を生み出すことになるでしょう。 これは、先行技術が良好な電力出力を有するべく1.5~2のKを有するためであります。3.5のKを有することは、電力出力が遥かに(例えば、16乃至50倍)より低いことを意味し、それは、本願発明が既知の技術に対して新規且つ非自明である1つの理由であります。非常に低い電力出力にもかかわらず、密度がより小さい直径を補償するよりも多くの影響を与えるような高圧及び高密度にある駆動流体を提供すること等の軽減要因を実施する能力のために、本願発明によるタービンは依然として機能的であります。本願発明の流体密度は、ガスタービンの流体密度よりもざっと100倍より高いです。そのため、本願発明による電力がより小さい半径に起因して16乃至50倍より低いとしても、100倍より高い流体密度により、本願発明による単位タービンサイズ当たりの発電量は、大直径の先行技術のタービンでよりも遥かに多くなります。 そのため、その動作及び効果(すなわち、侵食効果を低減する低減された速度)は、本願の当初明細書等から明らかであります。 従いまして、本願発明は発明の詳細な説明に記載された発明であり、かつ当業者が発明の詳細な説明の記載に基づいて実施可能なものでありますので、特許法第36条第6項第1号及び第4項第1号に基づく拒絶理由は解消されたものと思われます。 第5 当審の判断 1 理由1(明確性)について (1)「タービン組立体の長さ」について 請求人は「請求項1、3、及び7に列記されている「タービン組立体の長さ」、並びに請求項3及び7に列記されている「タービンの長さ」は、入口から出口までのケーシングの距離として測定されるにしろ、入口のすぐ傍に隣接するタービン翼から出口のすぐ傍に隣接するタービン翼までのケーシング内の距離として測定されるにしろ、タービンの長さを包含するのに十分に広範であることを、審判請求人は主張致します。例えば、本願の出願当初の段落0034の12~15行をご参照下さい。」と述べている。 しかし、本願の出願当初の段落【0034】の12~15行には、「幾つかの実施形態では、全長は、入口から出口までのケーシングの長さを指す場合がある。或る実施形態では、全長は、入口のすぐ傍に隣接するタービン翼から出口のすぐ傍に隣接するタービン翼までのケーシング内の距離を指す場合がある。」と記載されているように、「タービン組立体の長さ」については、「入口から出口までのケーシングの長さ」と「入口のすぐ傍に隣接するタービン翼から出口のすぐ傍に隣接するタービン翼までのケーシング内の距離」の二通りが記載されており、同じタービン組立体であっても両者は異なる。 したがって、「タービン組立体の長さ」の意味が一義的に理解できない。 また、「入口」及び「出口」の具体的な形状や位置、タービン翼との位置関係などは、様々なものが想定されるところ、具体的な例示もなく、同記載を参酌しても、「タービン組立体の長さ」がタービン組立体のどこからどこまでの長さを意味しているのか明確でない。 (2)「ブレードの平均直径」について 請求人は「請求項1に列記されている「ブレードの平均直径」は、本願の出願当初の段落0034の5~8行で説明されていることを、審判請求人は主張致します。」と述べている。 しかし、本願の出願当初の段落【0034】の5~8行には「本開示に係るタービンは、約3.5m未満、約3m未満、又は約2.5m未満の平均直径を有することができる。さらなる実施形態では、平均タービン直径は、約0.25m~約3m、約0.5m~約2m、又は約0.5m~約1.5mとすることができる。」と記載されているが、段落【0034】において例示された寸法は、具体的にどのような形状・形態のブレードの、どこからどこの寸法を直径としてどの範囲で平均したものあるのかが不明である。 また、段落【0035】には、「平均ブレード半径(ロータの中心からタービン翼の先端まで)」との記載はあるものの、タービン翼の具体的な形状・形態について説明がなく、ロータの中心からタービン翼の先端までの寸法が場所によって異なるタービン翼、エンドウォールやシュラウドを有するタービン翼、ロータの中心からタービン翼の先端までの寸法が異なる複数段のタービン翼を備えるロータなどが、一般的に存在することを踏まえると、「先端」とはタービン翼のどの部分なのか、どのようにして「平均」を求めるのかが、不明である。 (3)小括 以上のとおり、請求項1に記載の「タービン組立体の長さ」及び「ブレードの平均直径」は、依然として、その意味が明確でない。 また、請求項3及び7の「タービンの長さ」及び「タービン翼の平均直径」についても、同様に明確でない。 よって、請求項1、3及び7並びに請求項1、3及び7を引用する請求項2、4ないし6及び8ないし10に係る発明は明確でない。 2 理由2(サポート要件)について 本願の発明が解決しようとする課題は、発明の詳細な説明の段落【0004】等の記載から、燃焼生成物の流れの中の粒子がタービン翼に高い速度(例えば、600mph(268m/秒)以上)で衝突することによるタービン翼の損傷を緩和することである(以下、「本願課題」という。)。 発明の詳細な説明の段落【0028】には、タービン翼上の粒子衝突損傷がブレード速度に関係する旨の記載があり、段落【0029】には、公知のガスタービンは、典型的に600mph(268m/秒)以上のブレード速度で作動するところ、本発明の一実施形態によれば、典型的な速度の約1/3である低いブレード速度(200mph(89m/秒))で作動する旨の記載がある。 そして、本願の請求項1に係る発明は、「タービン組立体の長さとブレードの平均直径との比が3.5よりも大きい」という発明特定事項(以下、「特定事項A」という。)を有している。 しかしながら、ブレード速度は、ブレードの直径と回転数で決まるところ、特定事項Aは「タービン組立体の長さとブレードの平均直径との比」を特定しているに過ぎず、ブレードの直径と回転数を特定するものではない。 また、他にブレード速度に関連する発明特定事項はない。 そうすると、当該「比」が3.5よりも大きくても、ブレードの平均直径又は回転数が大きければ、段落【0029】に記載のような低いブレード速度とならないから、特定事項Aにより本願課題を解決できるとは理解できない。 また、タービン翼の損傷に関して、粒子の成分、大きさ、質及び量並びに流れの速度(ロータの回転軸方向速度)などが影響することは技術常識であるから、単に、ブレード速度(ブレードの周速度)が減少すればタービン翼の損傷を低減できるとはいえないし、発明の詳細な説明には、どの程度のブレード速度であれば、タービン翼の損傷を緩和するといえるのか、その具体的な評価結果等が記載されておらず、意見書にも示されていない。 さらに、当審拒絶理由の「●理由2(サポート要件)について」の(2)で指摘したように、発明の詳細な説明の段落【0118】並びに【表1】及び【表2】の記載を参酌しても、本願課題と特定事項Aと関係が理解できない。 そうすると、出願時の技術常識に照らしても、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明の記載により、当該発明が解決しようとする課題を解決できると認識し得る範囲のものであるとは、到底いうことができない。 したがって、請求項1に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。 請求項2ないし10に係る発明についても同様に、発明の詳細な説明に記載したものではない。 3 理由3(実施可能要件(委任省令要件))について 本願の請求項1に係る発明は、「タービン組立体」という物の発明である。そして、物の発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為であるから(特許法第2条第3項第1号)、物の発明について実施可能要件を充足するためには、明細書の発明の詳細な説明において、当業者が、明細書の発明の詳細な説明及び出願時の技術常識に基づき、過度の試行錯誤を要することなく、その物を生産し、かつ、使用することができる程度の記載があることを要する。 しかしながら、上記「1 理由1(明確性)について」において述べたとおり、請求項1に係る発明の「タービン組立体の長さ」及び「ブレードの平均直径」が明確でなく、また、本願の発明の詳細な説明には、当該事項について具体的な形態が十分に開示されていないから、当業者が、請求項1に係る発明の「タービン組立体」を生産することができない。仮に、請求項1に係る発明に、文言上に当てはまる「タービン組立体」を生産することができたとしても、本願発明が解決しようとする課題を解決できるものとして「タービン組立体」を生産し、かつ使用することができない。 よって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が、請求項1に係る発明を実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているとはいえない。 また、上記「2 理由2(サポート要件)について」において述べたように、当業者が発明の詳細な説明及び図面の記載並びに出願時の技術常識に基づいて、本願発明が解決しようとする課題と、特定事項Aとの実質的な関係を理解することができず、本願発明が解決しようとする課題を解決するための手段を理解できないから、請求項1に係る発明の技術上の意義が理解できない。 請求項2ないし10に係る発明についても同様に、発明の技術上の意義が理解できない。 よって、本願の発明の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより、当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。 第6 むすび 以上のとおり、本願の請求項1ないし10に係る発明は明確でないから、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 また、本願の請求項1ないし10に係る発明は発明の詳細な説明に記載したものではないから、本願の特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 さらに、本願の発明の詳細な説明は、経済産業省令で定めるところにより、当業者が本願の請求項1ないし10に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されていないから、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 よって、結論のとおり審決する。

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2020-017609

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