2020-015888
電子機器
- 審判番号
- 2020-015888
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-196396外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年11月17日
- 審決日
- 2022年03月25日
- 公報発行日
- 2022年05月27日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .113-WY (H04N) / P18 .121-WY (H04N) / P18 .537-WY (H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第36条、特許法第44条
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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本願は、2014年(平成26年)8月7日(優先権主張 平成25年8月12日)を国際出願日とする特願2015-531789号の一部を平成30年10月18日に新たな特許出願(特願2018-196396号)としたものであって、
令和元年10月16日付けで拒絶理由が通知され、令和2年2月27日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、同年3月10日付けで拒絶理由が通知され、同年7月15日に意見書が提出され、同年8月5日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、
これに対し、同年11月17日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものであり、令和3年10月1日付けで当審より拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年12月13日に意見書が提出されるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和2年8月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
・理由1 本願請求項1~37に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであるから、特許法36条6項1号の規定により特許を受けることができない。
・理由2 (出願日の遡及を認める場合)本願請求項1~24,28~32及び35に係る発明は、引用文献A~Bに基づいて、また、本願請求項25~27,33~34及び36~37に係る発明は、引用文献A~Cに基づいて、
(出願日の遡及を認めない場合)本願請求項1~37に係る発明は、引用文献Dに基づいて、
それぞれ、当業者が容易に想到し得るものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2012-175234号公報
B.特開2007-228019号公報
C.特開2012-164870号公報
D.国際公開第2015/022900号(本願の原出願(特願2015-531789号)に対応する国際公開)
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
・理由1 本願請求項1~24,27,30~32及び35に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明であるから、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができない。
・理由2 本願請求項1~24,27,30~32及び35に係る発明は、以下の引用文献1に基づいて、また、本願請求項25~26,28~29,33~34及び36~37に係る発明は、以下の引用文献1~2に基づいて、それぞれ、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2012-175234号公報(原査定の引用文献A)
2.特開2012-164870号公報(原査定の引用文献C)
第4 本願発明
本願請求項1~62に係る発明(以下、それぞれ、「本願発明1」~「本願発明62」という。)は、本件補正後の請求項1~62に記載された事項により特定される発明であって、そのうち、本願発明1は、以下のとおりである。
「【請求項1】光を電荷に変換する光電変換部を有する複数の画素と、前記複数の画素のうち、行方向と列方向とにそれぞれ並んで配置される複数の第1画素に接続され、前記複数の第1画素を制御するための第1制御信号が出力される第1制御線と、前記複数の画素のうち、前記行方向と前記列方向とにそれぞれ並んで配置される複数の第2画素に接続され、前記複数の第2画素を制御するための第2制御信号が出力される第2制御線とを有する撮像素子と、前記第1画素から出力される第1信号に基づく第1動画像データと、前記第2画素から出力される第2信号に基づく第2動画像データとを生成する生成部と、を備える電子機器。」
第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1に記載の事項
引用文献1には以下の記載がある。なお、下線は当審で付し、各記載の前の【】内には、記載されている段落または図面番号を示した。
ア 【0041】「まず、図1を参照して撮像装置(デジタルビデオカメラ)の構成について説明する。図1に示すように、撮像装置は、レンズ101、絞り102、撮像素子(イメージセンサ)103、DSPブロック104、LCDドライバ105、LCD106、CODEC107、メモリ108、CPU109、入力デバイス110から構成される。」
イ 【0063】「Column選択信号SLcによって選択されたColumnの各画素からの画素信号SIGcは、CDS(Correlated Double Sampling回路)121に入力され、そこでリセットノイズが抑制され、次にADC(Analog-Digital Converter回路)に入力し、そこでアナログ信号からデジタル信号へと変換された後、画像出力として撮像素子(イメージセンサ)から出力される。」
ウ 【0072】「図6を参照して、Rowセレクタの内部構成と、撮像素子103に設定されたブロック(画素グループ)との対応関係例について説明する。
本発明を実現する撮像素子(イメージセンサ)103は、複数の画素からなる画素グループ毎に異なる露光時間(シャッター時間)となるように制御することが1つの特徴である。
ここで説明する実施例では、撮像素子(イメージセンサ)103の撮像面を矩形ブロック状に分割した領域毎にブロック(画素グループ)を形成し、ブロック(画素グループ)それぞれに異なる露光時間(シャッター時間)とする制御を行う例である。」
エ 【0079】「図6に示すRowラインセレクタ124は、画素グループ内の全画素が適切なタイミングで動作するように制御信号を生成する。」
オ 【図6】「
[図:0001383627000001.jpg]
」
(2)引用文献1に記載の発明
引用文献1には、「撮像装置」が、「撮像素子」など「から構成される。」と記載されているから、引用文献1の「撮像装置」は、「撮像素子」を備えるものである。
また、引用文献1には、「撮像素子」が、「複数の画素からなる画素グループ毎に異なる露光時間(シャッター時間)となるように制御する」ものと記載されているから、引用文献1の「撮像素子」は、「複数の画素からなる画素グループを複数備え」るものであり、「画素グループ毎に異なる露光時間となるように制御する」ものである。
また、引用文献1の図6から、「画素グループ」は、「複数の画素が行方向と列方向とに並んで配置される」構成であることが読み取れる。
そして、引用文献1には、「各画素からの画素信号」は、「画像出力として撮像素子から出力される」と記載されている。
したがって、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
(引用発明)
「撮像素子を備えた撮像装置において、撮像素子は、複数の画素からなる画素グループを複数備え、画素グループ毎に異なる露光時間となるように制御され、画素グループは、複数の画素が行方向と列方向とに並んで配置され、各画素からの画素信号が、画像出力として撮像素子から出力される撮像装置。」
2.引用文献2について
(1)引用文献2に記載の事項
ア 【0037】「MOS固体撮像装置20は、図2Bに示すように、第1の半導体チップ部22に画素アレイ23と制御回路24を搭載し、第2の半導体チップ部26に信号処理するための信号処理回路を含むロジック回路25を搭載する。」
イ 【0038】「2つ以上の半導体チップ部を貼り合わせて構成することもできる。」
(2)引用文献2に記載の技術
引用文献2には、以下の技術が記載されている。
(引用文献2に記載の技術)
「第1の半導体チップ部に画素アレイと制御回路を搭載し、第2の半導体チップ部に信号処理するための信号処理回路を含むロジック回路を搭載し、2つ以上の半導体チップ部を貼り合わせて構成するMOS固体撮像装置」
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「撮像素子」の「複数の画素」は、本願発明1の「光を電荷に変換する光電変換部を有する複数の画素」に相当する。
イ 引用発明の「撮像素子」は、「画素グループを複数」備えるものであり、引用発明の「画素グループ」は、「複数の画素が行方向と列方向とに並んで配置」されるものであるから、
引用発明の「撮像素子」における、ある「画素グループ」の画素は、本願発明1の「前記複数の画素のうち、行方向と列方向とにそれぞれ並んで配置される複数の第1画素」に、
引用発明の「撮像素子」における、別の「画素グループ」の画素は、本願発明1の「前記複数の画素のうち、行方向と列方向とにそれぞれ並んで配置される複数の第2画素」に、それぞれ対応する。
よって、引用発明の「撮像素子」は、本願発明1の「前記複数の画素のうち、行方向と列方向とにそれぞれ並んで配置される複数の第1画素」及び「前記複数の画素のうち、行方向と列方向とにそれぞれ並んで配置される複数の第2画素」を備えた「撮像素子」に対応する。
しかし、引用発明の「撮像素子」は、「複数の第1画素に接続され、前記複数の第1画素を制御するための第1制御信号が出力される第1制御線」及び「複数の第2画素に接続され、前記複数の第2画素を制御するための第2制御信号が出力される第2制御線」を備えていない点で、本願発明1の「撮像素子」と相違する。
ウ 引用発明の「撮像装置」において、「各画素からの画素信号が、画像出力として撮像素子から出力される」ものである。
そして、引用発明の「撮像素子」は、「画素グループを複数」備えるものであるから、
引用発明の「撮像素子」における、ある「画素グループ」の各画素から出力される画素信号は、本願発明1の「前記第1画素から出力される第1信号に基づく第1動画像データ」に、
引用発明の「撮像素子」における、別の「画素グループ」の各画素から出力される画素信号は、本願発明1の「前記第2画素から出力される第2信号に基づく第2動画像データ」に、それぞれ対応する。
よって、引用発明の「撮像装置」において、「各画素からの画素信号が、画像出力として撮像素子から出力される」構成は、
本願発明1の「前記第1画素から出力される第1信号に基づく第1動画像データと、前記第2画素から出力される第2信号に基づく第2動画像データとを生成する生成部」に相当する。
エ 引用発明の「撮像装置」は、本願発明1の「電子機器」に相当する。
オ 上記ア~エの検討から、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点及び相違点があるといえる。
(一致点)
「光を電荷に変換する光電変換部を有する複数の画素と、前記複数の画素のうち、行方向と列方向とにそれぞれ並んで配置される複数の第1画素と、前記複数の画素のうち、前記行方向と前記列方向とにそれぞれ並んで配置される複数の第2画素とを有する撮像素子と、前記第1画素から出力される第1信号に基づく第1動画像データと、前記第2画素から出力される第2信号に基づく第2動画像データとを生成する生成部と、を備える電子機器。」
(相違点)
本願発明1は、「前記複数の画素のうち、行方向と列方向とにそれぞれ並んで配置される複数の第1画素に接続され、前記複数の第1画素を制御するための第1制御信号が出力される第1制御線」及び「前記複数の画素のうち、前記行方向と前記列方向とにそれぞれ並んで配置される複数の第2画素に接続され、前記複数の第2画素を制御するための第2制御信号が出力される第2制御線」を備えるのに対し、引用発明は、そのような構成を備えていない点。
(2)判断
引用発明と本願発明1とには相違点があるから、引用発明は、本願発明1ではない。
また、上記相違点について検討すると、相違点に係る本願発明1の構成は、上記引用文献1~2に記載されておらず、本願出願日前において周知技術であるともいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び引用文献2に記載の技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2~62について
本件補正後の請求項2~62は、本件補正後の請求項1を直接または間接に引用するものであるから、上記1.(1)の相違点に係る構成を備えるものである。
したがって、本願発明1と同じ理由により、引用発明は、本願発明2~62ではない。また、本願発明2~62は、引用発明及び引用文献2に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。
3.まとめ
上記1.~2.で検討したとおり、引用発明は、本願発明1~62ではない。また、本願発明1~62は、引用発明及び引用文献2に記載の技術に基づいて当業者が容易に発明できたものではない。
第7 原査定についての判断
1.理由1(特許法36条6項1号)について
本願に係る発明の課題は、明細書の段落【0004】~【0005】に記載されているとおり、「積層型撮像素子を備えた電子機器」において、「複数の動画を生成すること」であり、本願発明1の構成によって解決するものである。本願発明1の構成は、本願明細書の、例えば、段落【0038】において、「撮像素子100の画素領域113Aは、複数のブロックに分割され」、「各ブロックはそれぞれ異なる制御パラメータで各ブロックに含まれる画素が制御され」、「あるブロックに含まれる画素群と、別のブロックに含まれる画素群とで、制御パラメータが異なる画素信号が取得される」ことが記載されている。
よって、本願発明1~62に係る発明は、特許法36条6項1号の規定を満たすものである。
2.理由2(特許法29条2項)について
(1)「出願日の遡及を認めない場合」について
本願発明1に係る発明特定事項は、原出願(特願2015-531789号)の出願当初の明細書の、例えば、段落【0038】において、「撮像素子100の画素領域113Aは、複数のブロックに分割され」、「各ブロックはそれぞれ異なる制御パラメータで各ブロックに含まれる画素が制御され」、「あるブロックに含まれる画素群と、別のブロックに含まれる画素群とで、制御パラメータが異なる画素信号が取得される」ことが記載されている。
そして、本願発明2~62に係る発明特定事項についても、原出願の出願当初の明細書の段落【0015】~【0045】等に記載されているものでるから、本願は、二以上の発明を包含する原出願の一部を新たな特許出願としたものである。また、本願について、特許法44条に規定する他の要件に係る不備を発見しないから、本願は、出願日が遡及する。
よって、原査定の理由2の「出願日の遡及を認めない場合」については、検討を要しない。
(2)「出願日の遡及を認める場合」について
本件補正後の請求項1~62は、上記「第6」の1.(1)の相違点に係る構成である技術的事項を有するものとなった。当該構成は、原査定における引用文献A及びC(当審拒絶理由における引用文献1~2)並びに引用文献Bには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1~62は、当業者であっても、原査定における引用文献A~Cに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
3.まとめ
上記1.~2.で検討したとおり、本願発明1~62は、原査定の拒絶理由によって拒絶することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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