2020-015449
表示処理装置及び表示処理方法
- 審判番号
- 2020-015449
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-534125外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年11月09日
- 審決日
- 2021年10月28日
- 公報発行日
- 2021年12月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 20項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成28年6月17日(優先権主張 平成27年8月10日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和2年10月16日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。
本願請求項1-8に係る発明は、以下の引用文献A-Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2001-273302号公報
B.特開2009-271795号公報
C.特開2014-92955号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審が令和3年7月29日付けで通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)の概要は、次のとおりである。
本願請求項1-4、7、8に係る発明は、以下の引用文献1-6に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.特開2001-273302号公報(拒絶査定時の引用文献A)
2.特開2010-108057号公報(当審において新たに引用した文献)
3.特開2000-29885号公報(当審において新たに引用した文献)
4.特開2000-222416号公報(当審において新たに引用した文献)
5.特開2003-331257号公報(当審において新たに引用した文献)
6.特開2009-271795号公報(拒絶査定時の引用文献B)
第4 本願発明
本願の請求項1-7に係る発明(それぞれ、以下「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和3年9月6日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であって、そのうち本願発明1は以下のとおりのものである。
【請求項1】
クエリデータに基づく類似検索により抽出された複数の類似データの、そのクエリデータとの類似度値をそれぞれ取得する取得手段と、
前記クエリデータを表す領域が一方の端に配置され、前記複数の類似データを表す複数の領域が、その端から順に前記類似度値の大きい順に一列に並んでおり、前記複数の類似データを表す複数の領域の大きさは、前記類似度値が大きいほど大きくなった、表示を出力する出力処理手段と、
前記複数の類似データの各々が下位階層のデータを有するか否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記出力処理手段は、下位階層のデータを有する類似データを表す領域が、下位階層のデータを持たない類似データを表す領域と区別可能な状態で配置された前記表示を出力する表示処理装置。
なお、本願発明2-7の概要は次のとおりである。
本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明6は、本願発明1のカテゴリ表現を変更した表示処理方法の発明であり、本願発明7は、本願発明6の表示処理方法をコンピュータに実行させるプログラムの発明である。
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1と引用発明
(1)引用文献1の記載事項
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当審で引用した引用文献1(引用文献A)には、画像検索システムについて、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。以降の文献も同様。)
「【0002】【従来の技術】近年、コンピュータによる画像処理技術の発達、およびディジタル画像の普及等に伴い、データベースに格納されたディジタル画像を検索および表示するための画像検索システムの開発が進められている。画像検索システムは、入力されたキー画像に類似する画像をデータベースから検索してユーザに提示する。この場合、検索された画像は、キー画像との類似度が高い画像から順に一覧表示されるのが通常である。」
「【0027】<類似画像検索・表示処理>次に、図3のフローチャートを参照して、類似画像検索・表示のための処理手順について述べる。まず、ユーザによってキー画像kとして指定された画像が画像入力部101にて入力され(ステップST201)、そのキー画像kが画像特徴抽出部102に送られる。画像特徴抽出部102ではキー画像kから画像特徴が抽出される(ステップST202)。このキー画像kから抽出された画像特徴は類似画像検索部105に送られ、画像特徴データベース104から類似画像を検索する処理が開始される(ステップST203)。【0028】ここで、キー画像kと画像特徴データベース104内の登録画像iとの類似度をS(k,i)、ただし(S(k,i)≧0)、とすると、類似画像検索部105によりS(k,i)>Tである画像が画像特徴データベース中から類似画像候補として検索される。ここでTは類似度閾値とする。すべての画像をブラウズする際はT=0とすればよい。」
「【0030】(略)また、a,b,c,d,e,f,g,hはS(k,i)>Tを満たす類似画像候補であり、S(a,k)>S(b,k)>S(c,k)>S(d,k)>S(e,k)>S(f,k)>S(g,k)>S(h,k)とする。(略)」
「【0033】以上のように、キー画像kとの類似性だけではなく、検索された画像同士の類似性をも考慮して、類似した画像同士をまとめて提示することにより、図5(B)に示すような単純にキー画像kとの類似度順に画像を表示する従来手法に比べて、本実施形態では類似した画像特徴を持つ画像同士が隣接して表示されるため、画像の閲覧が容易となる利点を有する。」
「」(図5)
(2)引用発明
引用文献1は、図5(A)のように画像検索の結果をクラスタ分け表示するものであるが、従来技術である図5(B)のように通常表示するものとは、表示の態様以外の事項は共通するものといえる。
また、図5(B)の通常表示では、キー画像kを表す領域が一方の端に配置されており、類似画像a~hを表す複数の領域がその端から類似度の高い順に一列に並んでいるように表示するものといえる。
そうすると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「入力されたキー画像に類似する画像をデータベースから検索してユーザに提示する画像検索システムであって、(【0002】)キー画像kと画像特徴データベース104内の登録画像iとの類似度をS(k,i)、ただし(S(k,i)≧0)、とすると、類似画像検索部105によりS(k,i)>Tである画像が画像特徴データベース中から類似画像候補として検索され、(【0028】)a,b,c,d,e,f,g,hはS(k,i)>Tを満たす類似画像候補であり、S(a,k)>S(b,k)>S(c,k)>S(d,k)>S(e,k)>S(f,k)>S(g,k)>S(h,k)とすると、(【0030】)キー画像kを表す領域が一方の端に配置されており、類似画像a~hを表す複数の領域が、その端から類似度の高い順に一列に並んでいるように表示する(図5(B))画像検索システム。」
2 引用文献2-5と周知事項
(1)引用文献2の記載事項
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当審で引用した引用文献2には、以下の事項が記載されている。
「【0013】図3に示すように、検索結果リスト6aには、検索条件との合致度順に番号付けしたコンテンツ番号、コンテンツの格納パス、検索条件との合致度が記載される。尚、検索部6は各コンテンツの検索条件との合致度を1から10の整数値で算出するとする。検索部6は表示効果生成部7へ合致度の順番に検索結果リスト6aを出力する。」
「【0019】インデックス配置部9は、映像スケーリング及び配置部10へ、表示フラグが1であるコンテンツ番号1から6までのコンテンツについて表示位置とサイズの表9bを参照して、表示位置とサイズの値を通知する。【0020】映像スケーリング及び配置部10は、インデックス配置部9から入力した配置を基に、コンテンツをスケーリングしてインデックス動画像として画面表示部11へ出力する。(略)」
「【0054】尚、上記各実施の形態では、コンテンツとして動画像としたが、静止画像等であっても同様に適用可能である。」
「」(図5)
図5より、合致度が高いインデックス動画像ほど、表示領域のサイズが大きいことが看取できる。
(2)引用文献3の記載事項
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当審で引用した引用文献3には、図2とともに以下の事項が記載されている。
「【0014】可視化空間210では、検索結果の画像が3次元的な散布図として表示される。各画像の3次元中での大きさは、各画像の特徴量データと、ユーザが指定する好きな画像および嫌いな画像の特徴量データとから計算される類似度と対応付けられる。好きな画像および嫌いな画像に関するユーザの指定は、GUIクライアント130の管理する好きな画像パネルおよび嫌いな画像パネルにそれぞれ反映される。類似度は0から1の間の実数値で表現され、1ならば最大の大きさで画像は表示される。それ以下の場合は、類似度に比例して縮小して表示され、0.1以下の場合は表示されない。この類似度の値は、検索条件によって決まる。」
(3)引用文献4の記載事項
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当審で引用した引用文献4には、図13とともに以下の事項が記載されている。
「【0076】同図において、130は検索結果表示部、131~135が各メディアデータである。図示したように、本実施形態の検索結果表示部130では、マッチングの度合が大きなデータが大きく、かつ、表示部130の中心136の近くに表示されるため、ユーザにマッチングの度合を直接視覚的に把握させることが可能である。更に、データ表示領域の重なりがなるべく少なくなるように表示されるので、各探索結果が見易い。」
(4)引用文献5の記載事項
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当審で引用した引用文献5には、図4とともに以下の事項が記載されている。
「【0019】この実施例による画像データベース装置は,複数の駒の画像が表示装置6の表示画面上に表示される。表示された複数駒の画像のうち,ユーザが探している画像に似ている画像が指定される。指定された画像に似た複数駒の画像が画像データベース4の中から見つけられる。見つけられた複数駒の画像が,指定された画像に似ているほど大きく(似ていないほど小さく),表示される。また,指定された画像に似ていないほどあたかも霧がかかったかのようにぼんやりと表示される。より詳しくは,以下の説明によって明らかとなろう。」
(5)周知事項
引用文献2-5(上記(1)-(4))に記載されているように、「画像検索の結果を表示する場合に、クエリデータに類似ないし合致する程度が高いほど、検索結果を表す領域を大きくすること。」は周知事項である。
3 引用文献6の記載事項
当審で引用した引用文献6(引用文献B)には、図33とともに以下の事項が記載されている。
「【0085】(略)この第2の関連度マップ46においては、2次元平面の中心に検索語のタグ40が配置され、他のタグ40はそれぞれの関連度においてこれを螺旋状に取り囲むように配置されているため、各タグ40の配置(検索語のタグとの距離)によって、検索語との関連度を読み取ることが可能となる。」
4 引用文献Cの記載事項
原査定で引用された引用文献Cには、以下の事項が記載されている。
「【0095】(略)また、図15の(B)は、類似度基準が1~5へと順に変化した際の抽出結果をクエリ情報のコンテンツを中心に配置し、類似度基準が変化するとその中心から時計方向に順に配置し、同じ類似度基準の結果を中心からその類似度基準が持つ方向で遠方に配置する際の表示例である。」
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「キー画像k」、「類似する画像をデータベースから検索」、「類似画像a~h」及び「類似度」は、それぞれ本願発明1の「クエリデータ」、「類似検索」、「複数の類似データ」及び「類似度値」に相当する。
イ 引用発明は、「類似画像a~h」の表示にそれぞれの「類似度」を用いているから、「類似画像a~h」それぞれの「類似度」を取得する「取得手段」を備えることは明らかである。
したがって、引用発明は、上記アを考慮すると、本願発明1の「クエリデータに基づく類似検索により抽出された複数の類似データの、そのクエリデータとの類似度値をそれぞれ取得する取得手段」という構成を備えているといえる。
ウ 引用発明は、「キー画像kを表す領域が一方の端に配置されており、類似画像a~hを表す複数の領域が、その端から類似度の高い順に一列に並んでいるように表示する」ことから、そのように表示するための出力を行う出力処理手段を備えることは明らかである。また、上記アを考慮すると、「キー画像kを表す領域が一方の端に配置され」ること及び「類似画像a~hを表す複数の領域が、その端から類似度の高い順に一列に並んでいる」ことは、それぞれ本願発明1の「前記クエリデータを表す領域が一方の端に配置され」ること及び「前記複数の類似データを表す複数の領域が、その端から順に前記類似度値の大きい順に一列に並んで」いることに相当する。
したがって、引用発明は、本願発明1の「前記クエリデータを表す領域が一方の端に配置され、前記複数の類似データを表す複数の領域が、その端から順に前記類似度値の大きい順に一列に並んで」いる、「表示を出力する出力処理手段」という構成を備えているといえる。
エ 引用発明の「画像検索システム」は、「入力されたキー画像に類似する画像をデータベースから検索してユーザに提示する」、すなわち「表示する」ものであるから、本願発明1と同様の「表示処理装置」といえる。
上記アないしエより、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また相違する。
<一致点>
クエリデータに基づく類似検索により抽出された複数の類似データの、そのクエリデータとの類似度値をそれぞれ取得する取得手段と、
前記クエリデータを表す領域が一方の端に配置され、前記複数の類似データを表す複数の領域が、その端から順に前記類似度値の大きい順に一列に並んでいる、表示を出力する出力処理手段と、
を備える表示処理装置。
<相違点1>
「出力処理手段」について、本願発明1では、「前記複数の類似データを表す複数の領域の大きさは、前記類似度値が大きいほど大きくなった」表示を出力するのに対し、引用発明では、この点が特定されていない点。
<相違点2>
本願発明1では、「前記複数の類似データの各々が下位階層のデータを有するか否かを判定する判定手段」を備え、さらに、「前記出力処理手段」について、本願発明1では、「下位階層のデータを有する類似データを表す領域が、下位階層のデータを持たない類似データを表す領域と区別可能な状態で配置された前記表示を出力する」のに対し、引用発明では、この点が特定されていない点。
(2)判断
相違点1と相違点2は、いずれも「出力処理手段」の類似データの表示の出力に関するものであるから、併せて検討する。
上記第5の2(5)に示すとおり、「画像検索の結果を表示する場合に、クエリデータに類似ないし合致する程度が高いほど、検索結果を表す領域を大きくすること。」は、本願優先日前に周知事項であるから、同様に画像を検索する引用発明において、周知事項を適用し、類似画像a~hを表示する領域の大きさを類似度が大きいほど大きくすることで、相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得るものといえる。
しかしながら、本願発明1は、さらに相違点2に係る構成である「前記複数の類似データの各々が下位階層のデータを有するか否かを判定する判定手段」を備え、「前記出力処理手段」が、「下位階層のデータを有する類似データを表す領域が、下位階層のデータを持たない類似データを表す領域と区別可能な状態で配置された前記表示を出力する」という構成を備えるところ、当該構成は、当審拒絶理由で引用した引用文献2-6に記載されておらず、当業者にとって自明なものでもない。
そして、本願発明1は、相違点2に係る構成により、本願明細書に記載された「クエリーデータに基づく類似検索の結果に加えて、その類似検索により抽出された各類似データについての下位階層のデータとの類似関係が把握されやすくなる。」(段落【0073】)という効果を奏するものである。
したがって、相違点2に係る本願発明1の構成は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-6の記載事項に基づいて、容易に想到することができたものとはいえない。
(3)請求項1についてのまとめ
以上のとおり、本願発明1は、引用発明と引用文献2-6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 本願発明2-7について
(1)本願発明2-5について
本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明であって、本願発明1の「前記複数の類似データの各々が下位階層のデータを有するか否かを判定する判定手段」、及び、「前記出力処理手段は、下位階層のデータを有する類似データを表す領域が、下位階層のデータを持たない類似データを表す領域と区別可能な状態で配置された前記表示を出力する」という構成を備えるから、本願発明1についての理由により、引用発明と引用文献2-6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本願発明6、7について
本願発明6は、本願発明1のカテゴリ表現を変更した表示処理方法の発明であり、本願発明7は、本願発明6の表示処理方法をコンピュータに実行させるプログラムの発明であって、いずれも本願発明1の「前記複数の類似データの各々が下位階層のデータを有するか否かを判定する判定手段」、及び、「前記出力処理手段は、下位階層のデータを有する類似データを表す領域が、下位階層のデータを持たない類似データを表す領域と区別可能な状態で配置された前記表示を出力する」という構成に対応する構成を備えるから、本願発明1についての理由と同様の理由により、引用発明と引用文献2-6の記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 原査定の理由についての判断
令和3年9月6日にされた手続補正による補正により、補正後の請求項1-5は、「前記複数の類似データの各々が下位階層のデータを有するか否かを判定する判定手段」、及び、「前記出力処理手段は、下位階層のデータを有する類似データを表す領域が、下位階層のデータを持たない類似データを表す領域と区別可能な状態で配置された前記表示を出力する」という技術的事項を有し、また、請求項6,7は当該技術的事項に対応する技術的事項を有するものとなった。
そして、当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Cには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-7は、当業者であっても、原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由及び当審の拒絶理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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