商標拒絶査定不服審判
2020-014692
インテリジェントタイヤ、インテリジェント
- 審判番号
- 2020-014692
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2019-045018
- 請求日
- 2020年10月21日
- 審決日
- 2021年11月24日
- 公報発行日
- 2022年02月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】横浜ゴム株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人アテンダ国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 齋藤 貴博
- 審判官 山田 啓之
- 審判官 山根 まり子
- 分類
- T18 .13 -Z (W12) / T18 .272-Z (W12)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条第5項、商標法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2019-45018拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年3月29日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和元年12月18日付け:拒絶理由通知書
令和2年1月27日付け:意見書、手続補正書
令和2年7月20日付け:拒絶査定
令和2年10月21日付け:審判請求書
令和3年9月2日付け:審尋
令和3年9月21日付け:回答書
第2 本願商標
本願商標は、「INTELLIGENT TIRE」の文字を標準文字で表してなり、第12類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願されたものである。
その後、指定商品については、上記第1の手続補正により、第12類「自動車用タイヤ,二輪自動車用タイヤ,自転車用タイヤ」と補正されたものである。
第3 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『INTELLIGENT TIRE』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『INTELLIGENT』の文字は『頭の良い、知的な』等の意味を有する語であり、『TIRE』の文字は『タイヤ』等の意味を有する語として、いずれも広く知られている語である。そして、本願に係る指定商品を取り扱う業界において、『タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ』を『インテリジェントタイヤ』と称し、取引が行われている実情が認められる。そうすると、本願商標を、その指定商品中、『タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ』に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示したものとして認識するというべきである。また、本願商標を、前記以外の『タイヤ』に使用するときは、商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第4 当審においてした審尋
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、審尋で、別掲のとおり、その結果を通知するともに、当審の暫定的見解について通知し、相当の期間を指定して、これに対する意見を求めた。
第5 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、上記第4の審尋に対して、回答書において、要旨、以下のように主張した。
1 商標法第3条第1項3号該当性について
(1)本願商標の構成中、「INTELLIGENT」は「頭の良い、知的な」(形容詞)として親しまれている語であり、また、「TIRE」は自動車等の「タイヤ」(名詞)として親しまれている語であるから、本願商標は、「頭の良いタイヤ」又は「知的なタイヤ」という意味が直ちに想起される。
したがって、本願商標を指定商品について使用した際に、「タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ」を認識することはない。
(2)別掲には、「インテリジェントタイヤ」に関する記載が掲載されているが、これらはいずれもタイヤ技術に関わる記事であり、需要者が一般的に目に触れる記事ではない。
したがって、インターネット、書籍、専門紙の一部において「インテリジェントタイヤ」の文字が使用されていたとしても、未だ、一般需要者は「INTELLIGENT TIRE」から「タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ」という品質等を普通に認識することはない。
(3)以上から、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、本願の指定商品との関係においては、商品の品質を直接的に表示したものとして直ちに理解されるとはいい難く、むしろ、特定の意味合いを認識させることのない、一種の造語として認識し、把握されるとみるのが自然である。
そうすると、本願商標を指定商品について使用した場合に、商品の品質の誤認を生じさせるおそれはなく、本願商標は商標法第4条第1項第16号に該当しない。
第6 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
(1)本願商標について
本願商標は、「INTELLIGENT TIRE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、構成中前半の「INTELLIGENT」の文字は、「頭の良い、知的な」(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典 第2版)や「知的なさま。知能の高いさま。情報処理機能のあるさま。」(株式会社岩波書店 広辞苑 第七版)等の意味を有する語として、また、構成中後半の「TIRE」の文字は、「タイヤ」(株式会社小学館 ランダムハウス英和大辞典 第2版、株式会社岩波書店 広辞苑 第七版)を意味する語であって、本願の指定商品との関係では、その普通名称を示すものとして、それぞれ広く親しまれている語であるから、これらを結合してなる本願商標は、「インテリジェントタイヤ」と読まれるものと容易に理解されるものである。
(2)本願の指定商品を取り扱う業界における取引の実情
本願商標を構成する「INTELLIGENT TIRE」の欧文字(語)は、英語の辞典に採録されるような既成の語とはいえないものの、職権による調査によれば、本願の指定商品を取り扱う業界においては、別掲(1)ないし(14)のとおり、書籍、新聞記事及びインターネット上のウェブサイトにおいて、その読みである「インテリジェントタイヤ」の片仮名(語)が、「タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ」程の意味合いを表す語として使用されていることが認められる。
(3)判断
ア 上記(2)を踏まえると、本願の指定商品との関係において、「インテリジェントタイヤ」の語は、「タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ」程の意味合いを表す語として使用され、かつ、取引者、需要者に認識されているというのが相当である。
そうすると、その読みを「インテリジェントタイヤ」とする「INTELLIGENT TIRE」の欧文字からなる本願商標を、その指定商品に使用するときも、その商品が「タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ」であることを取引者、需要者に、認識させるにとどまるものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
イ また、本願商標を、「タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ」以外の上記指定商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがある。
よって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
2 請求人の主張について
(1)請求人は、別掲におけるインターネット、書籍、専門紙には、「インテリジェントタイヤ」に関する記載が掲載されているが、これらはいずれもタイヤ技術に関わる記事であり需要者が一般的に目に触れる記事ではないから、本願商標に接する需要者は、本願商標から「タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ」という品質等を普通に認識することはない旨を主張する。
ところで、商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、(ア)商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、(イ)一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである(昭和53年(行ツ)第129号判決)。
また、上記第3号の趣旨からすれば、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう「商品の品質を普通に用いられる方法で表示する商標」に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する特性を現実に品質としていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する特性を品質としているであろうと一般に認識され得ることをもって足りるというべきである(同第3号にいう「商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する商標」につき同旨、昭和60年(行ツ)第68号判決)。
そうすると、仮に、別掲におけるインターネット、書籍及び専門紙の記事が、需要者が一般的に目に触れるものではないとしても、少なくとも、本願商標に接するその指定商品に係る取引者は、別掲における記事からして、本願商標を「タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ」といった商品の品質を表したものと一般に認識し得るとみるのが相当である。
(2)請求人は、仮に、「インテリジェントタイヤ」に特定の意味を有する場合があったとしても、それは、片仮名の「インテリジェントタイヤ」が普通に用いられているのであって、英文字の「INTELLIGENT TIRE」からなる本願商標が普通に用いられているものではなく、本願商標は、「頭の良いタイヤ」又は「知的なタイヤ」程の意味合いが想起されるのみであるから、本願商標は自他商品識別力を有するものである旨を主張する。
しかしながら、上記1(1)のとおり、本願商標を構成する「INTELLIGENT」及び「TIRE」の文字(語)は、いずれも広く親しまれている語であり、本願商標は全体として「インテリジェントタイヤ」と容易に読まれるものである。
そして、上記1(2)のとおり、「インテリジェントタイヤ」の片仮名(語)が、「タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ」程の意味合いを表す語として使用されているものである。
そうすると、たとえ、「INTELLIGENT TIRE」の文字(語)自体の使用が見当たらないとしても、本願商標に接するその指定商品に係る取引者は、本願商標を「タイヤの接地状態を計測し、その計測結果を車両の監視システムにフィードバックするためのセンサーが装着されたタイヤ」といった商品の品質を表したものと一般に認識し得るとみるのが相当である。
(3)請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標もそれと同様に、判断されるべきである旨主張する。
しかしながら、商標登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるか否かの判断は、当該登録出願の査定時又は審決時において、個別具体的に判断されるものであるから、過去に登録された事例の判断に拘束されることはないし、他に上記判断を覆すべき事情は見いだせない。
(4)したがって、請求人の上記主張は、いずれも採用できない。
3 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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