商標拒絶査定不服審判
2024-010308
デンドーサイクル
- 審判番号
- 2024-010308
- 法域
- 商標
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 商願2023-058178
- 請求日
- 2024年06月21日
- 審決日
- 2025年03月13日
- 公報発行日
- 2025年05月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】glafit株式会社
- 【請求人代理人】IBC一番町弁理士法人
- 審判長/審判官
- 審判長 大島 康浩
- 審判官 小林 裕子
- 審判官 大塚 正俊
- 分類
- T18 .13 -Z (W12) / T18 .272-Z (W12)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 商標法3条1項3号商標法4条1項16号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 商標法第3条第1項第3号、商標法第4条第1項第16号、特許法第150条第5項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
商願2023-58178拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
1 手続の経緯
本願は、令和5年5月29日の登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和5年12月19日付け:拒絶理由通知書
令和6年2月27日:意見書、手続補正書の提出
令和6年4月18日付け:拒絶査定
令和6年6月21日:審判請求書、手続補足書の提出
令和6年12月2日付け:証拠調べ通知書
令和7年1月20日:意見書、手続補正書の提出
2 本願商標
本願商標は、「電動サイクル」の文字を標準文字で表してなり、第12類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として登録出願され、その後、本願の指定商品については、前記1の手続補正書により、最終的に、第12類「特定小型原動機付自転車」に補正されたものである。
3 原査定の拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、「電動サイクル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「電動」の文字は「電気で動くこと。」を表し、「サイクル」の文字は「自転車のこと。」を表す語として使用されているから、本願商標は全体として、「電気で動く自転車」程の意味合いを認識させる。そして、インターネット情報によると、「電気で動く自転車」が取り扱われている実情が見受けられる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者は、「電気で動く自転車」又は「電気で動く自転車」に関する商品であると認識するにとどまるというのが相当であるから、本願商標は、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記の商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
4 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲に示したとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、証拠調べの結果を通知した。
5 証拠調べに対する請求人の意見の要点
(1)請求人は、本願商標「電動サイクル」が2023年に新設された車両区分「特定小型原動機付自転車」に属する自社商品の名称として請求人が創作した造語である点を考慮して、本件意見書と同日付提出の手続補正書によって、本願商標の指定商品を「特定小型原動機付自転車」へと補正した。
(2)証拠調べ通知書において提示されている事実は、「電動サイクル」の語が具体的に何を表しているのかは不明であるものを含むものである。
(3)提示されている事実の使用例の一部は、請求人の商品の出所表示として使用されているものであり、請求人商品の出所表示として「電動サイクル」の文字が広く使用されていることを裏付けるものである。
6 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の趣旨
商標法第3条第1項第3号に掲げる商標が、商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、指定商品又は指定役務との関係で、その商品の品質、その役務の質等その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品又は自他役務の識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解される。
そうすると、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには、本件審決時において、本願商標がその指定商品又は指定役務との関係で、商品の品質、役務の質等その他の特性を表示記述するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標がその指定商品又は指定役務に使用された場合に、将来を含め、指定商品又は指定役務の取引者、需要者によって商品又は役務の上記特性を表示したものと一般に認識されるものであれば足りると解される(最高裁昭和53年(行ツ)第129号判決、平成26年(行ケ)第10056号判決、平成27年(行ケ)第10107号判決、平成27年(行ケ)第10232号判決参照)。
(2)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、「電動サイクル」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「電動」の文字は「電気で動くこと。」(出典:「広辞苑 第七版」岩波書店)の意味、「サイクル」の文字は「自転車のこと。」(前掲書)の意味を有する語であるから、本願商標は全体として「電気で動く自転車」程の意味合いを表すものである。
そして、当審における職権による調査によれば、別掲のとおり、指定商品に関連する分野において、「電動サイクル」の文字が、「電気で動く自転車」程の意味合いで、商品の品質(機能)等を表す語として一般に使用されていることがうかがえる事実が認められる。
このような実情を踏まえると、本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「電気で動く自転車」であると認識するというのが相当である。
そうとすると、本願商標は、その指定商品との関係において、商品の品質(機能)を表示したものとして一般に認識されるものであって、特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当ではなく、自他商品の識別力を欠くというべきである。
また、本願商標は、これをその指定商品中、「電気で動く自転車」以外の商品に使用するときは、これに接する需要者に、その商品があたかも「電気で動く自転車」であるかのように、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標を構成する文字「電動サイクル」からは、「サイクル」の多義性より、「電気で動く繰り返しの過程」「電気で動く循環過程」「電気で動く周期」「電気で動く振動数」といった複数の漠然としたイメージが生じ得ることから、結果として曖昧で暗示的な観念を理解させるにすぎないものであって、十分に自他商品の識別機能を発揮し得る商標として認識される旨主張する。
しかしながら、前記(2)のとおり、指定商品に関連する分野において、「電動サイクル」の文字が、「電気で動く自転車」程の意味合いで、商品の品質(機能)等を表す語として一般に使用されている実情を踏まえれば、これをその指定商品に使用しても、これに接する需要者等は、「電気で動く自転車」であることを認識するにとどまり、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ず、単に商品の品質(機能)を普通に用いられる方法で表示したものと認識するにとどまるというべきである。
イ 請求人は、本願商標を使用した「特定小型原動機付自転車」に係るシェアリングサービスが大きな注目を集め、様々な記事媒体に掲載・紹介された旨主張するとともに、手続補足書により甲第8号証ないし甲第14号証を提出し、また、原審及び当審において提示されている事実の使用例の一部は、請求人の商品の出所表示として使用されているものであり、請求人商品の出所表示として「電動サイクル」の文字が広く使用されていることを裏付けるものである旨主張する。
しかしながら、これらが仮に、本願商標が使用をされた結果、自他商品の識別力を獲得するに至っている旨の主張であるとしても、本願商標を使用した商品の使用数量や市場シェア、売上高、広告費、広告宣伝の方法・回数規模等、請求人が本願商標をその指定商品について継続的に使用した事実を裏付ける客観的な証拠の提出はなく、本願商標の周知性の程度を客観的に推し量ることができない。よって、本願商標が、その指定商品との関係において、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているということはできない。
ウ 請求人は、「電動」の文字を構成中に含む商標登録例を挙げて、本願商標も登録すべきである旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは、当該商標の構成態様や、査定時又は審決時における取引の実情を踏まえて、個別具体的に判断すべきものであるところ、請求人の挙げた登録例は、商標の構成態様が本願商標とは異なるものである点において、本願とは、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、上記判断が左右されるものではない。
エ したがって、請求人による上記主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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