2020-014518
読取り機器に情報を伝達するためのRFIDトランスポンダに基づくモジュール
- 審判番号
- 2020-014518
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-217026外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年10月16日
- 審決日
- 2021年04月28日
- 公報発行日
- 2021年11月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
- 【請求人代理人】山川 茂樹
- 【請求人代理人】小池 勇三
- 【請求人代理人】山川 政樹
- 分類
- P18 .121-Z (G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
本願は,平成30年11月20日(パリ条約による優先権主張 2017年12月15日(以下,「優先日」という。) 欧州)の出願であって,令和1年12月9日付けで拒絶理由が通知され,これに対して令和2年2月5日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,令和2年6月2日付けで拒絶査定がなされ(以下,「原査定」という。),これに対して令和2年10月16日に審判請求がなされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下,これを「本願発明」という。)は,令和2年2月5日付けで提出された,次のとおりのものである。
「読取り機器(3、3’)により送信され、トランスポンダに基づくモジュール(2)により受信される問合せ信号に基づき、移動する対象物(10)に装着されることを意図され、前記読取り機器(3、3’)の近傍で情報を送信するように設計された前記トランスポンダに基づくモジュール(2)であって、-前記トランスポンダに基づくモジュール(2)の電力供給のためにエネルギーを提供するための少なくとも1つのエネルギー源(4)と、-少なくとも1つの物理的パラメータの1つまたは複数の測定を遂行するための少なくとも1つのセンサ(5)と、-前記センサ(5)の1つまたは複数の測定値を受信するために前記センサ(5)に連結されたマイクロコントローラ(22)と、続きを表示(全12行)-前記センサ(5)により遂行され、かつ記憶するために前記マイクロコントローラ(22)で処理された、前記1つまたは複数の測定の測定データを少なくとも1つのメモリに記憶するためのメモリユニット(21)と、-前記トランスポンダに基づくモジュール(2)が前記読取り機器(3、3’)の近傍に配置されたとき、前記読取り機器(3、3’)から少なくとも1つの問合せ信号を受信するように設計された受信機(25)と、-前記読取り機器の前記問合せに基づき、記憶された前記測定データを送信するように設計された送信機(23)とを備え、前記センサ(5)が連続的に動作し、時間をかけて前記センサ(5)が遂行する前記測定を統制するために、RCタイプまたはリングタイプの発振器である低周波内部発振器により前記マイクロコントローラ(22)を統制し、これらの測定値を、低電力モードで各測定値の時間の指示付きで前記メモリユニット(21)に記憶すること、および前記送信機(23)は、近傍にある前記読取り機器の前記問合せ信号を前記受信機(25)が受信した後に活動化されると、極超短波で、かつ非常に高いビットレートで、記憶された前記測定データの信号を送信するように設計されることを特徴とするトランスポンダに基づくモジュール(2)。」
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,
この出願の請求項1ないし19に係る発明は,本願の優先日前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1ないし2に記載された事項に基づいて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
第4 引用文献の記載及び引用発明
1 引用文献1の記載
(1)本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原査定の拒絶の理由で引用された,特開2016-85737号公報(以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は,当審において付加した。以下,同じ。)
ア 「【発明が解決しようとする課題】【0007】橋やトンネルなどの建造物の損傷評価のように、測定箇所が膨大な場合、パッシブタグを用いた測定では、常に、無線信号を供給するリーダーを現地まで運ぶ必要があり不便である。【0008】また、心拍数や脈拍などの生体情報の監視など、測定頻度が高い場合、パッシブタグを用いた測定では、常に、無線信号を供給するリーダーをタグの近くに配置する必要があり不便である。【0009】また、センシングで取得したデータを表示させるために、タグに表示装置を設けた場合、無線信号によって得られる電力だけでは、表示装置を駆動できない場合が多い。【0010】本発明の一態様は、無線信号が供給されない場合でもセンシングが可能な半導体装置の提供を課題の一とする。無線信号が供給されない場合でも情報を表示することが可能な半導体装置の提供を課題の一とする。本発明の一態様は、消費電力が少ない半導体装置の提供を課題の一とする。本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。」
イ 「【0060】(実施の形態1)本発明の一態様の半導体装置の構成について、図1乃至図5を用いて説明する。【0061】続きを表示(全51行)〈半導体装置1の構成例〉図1に示す半導体装置1は、アンテナ10と、バッテリ13と、論理回路18と、センサ19と、アナログメモリ20と、ADC(アナログデジタルコンバーター)22と、を有している。【0062】アンテナ10は、無線信号を電気信号に、または電気信号を無線信号にして、例えばリーダーなどの外部装置と信号の送受信を行う機能を有する。アンテナ10は、無線信号の周波数帯に応じて複数設けられていてもよい。なお無線信号は、変調された搬送波である。変調方式には、例えばアナログ変調またはデジタル変調であり、振幅変調、位相変調、周波数変調及びスペクトラム拡散のいずれかを用いればよい。【0063】無線信号の周波数帯は、法令等に基づいて適宜選択すればよく、例えば135kHz帯の長波帯、13.56MHz帯の短波帯、900MHz帯のUHF帯、2.45GHz帯のマイクロ波帯等を用いることができる。無線信号の周波数帯に応じて、アンテナ10の構造を選択すればよい。なお、以下では上述の無線信号を無線信号RFと呼ぶことにする。【0064】アンテナ10は、無線信号RFを受信して、半導体装置1の各回路に電力を供給する機能を有する。アンテナ10から供給された電力は電圧VDDを有する。【0065】バッテリ13は、電圧VDDにより充電し、電圧VBATとして放電する機能を有する。電圧VBATは、半導体装置1が有する各回路に供給される。バッテリ13は、繰り返し充放電が可能な二次電池又は電気二重層キャパシタを用いればよい。上記構成にすることで、半導体装置1は、無線信号RFの電力を蓄え、繰り返し動作することが可能になる。なお、電圧VBATは電圧VDDよりも小さいことが好ましい。【0066】センサ19は、感知したデータを信号SSNSとして出力する機能を有する。信号SSNSはアナログデータである。センサ19は、必要に応じて各種センサを用いることができる。例えば、センサ19は、ひずみセンサ、温度センサ、光センサ、ガスセンサ、炎センサ、煙センサ、湿度センサ、圧力センサ、流量センサ、振動センサ、タッチセンサ、音声センサ、磁気センサ、放射線センサ、匂いセンサ、花粉センサ、加速度センサ、傾斜角センサ、ジャイロセンサ、方位センサ、電力センサなどを用いることができる。【0067】アナログメモリ20は、センサ19が感知したアナログデータを記憶し、信号SAMとして出力する機能を有する。例えば、アナログメモリ20は、不揮発性メモリを用いることが好ましい。また、アナログメモリ20は、チャネル領域に酸化物半導体を有する酸化物半導体トランジスタを用いた不揮発性メモリを用いることが好ましい。なお、酸化物半導体トランジスタを用いた不揮発性メモリの詳細は、実施の形態2で説明を行う。【0068】ADC22は、アナログメモリ20に記憶されたアナログデータを、デジタルデータに変換し、信号SADCとして出力する機能を有する。【0069】論理回路18は、半導体装置1が有する各回路を制御する機能を有する。例えば、論理回路18は、アナログメモリ20を読み出すための制御信号を生成する機能を有する。また、論理回路18は、無線信号RFに含まれるコマンドを実行する機能を有する。また、論理回路18は、ADC22から信号SADCを受け取り、アンテナ10に出力する機能を有する。・・・中略・・・【0080】半導体装置1のさらに詳細な構成例について、図2を用いて説明を行う。【0081】図2に示す半導体装置1は、図1に示す半導体装置1に、整流回路11と、定電圧回路12と、発振回路14と、発振回路15と、クロック制御回路16と、電源制御回路17と、復調回路23と、変調回路24と、を追加したものである。【0082】整流回路11は、アンテナ10からの電気信号を整流及び平滑化する機能を有する回路である。整流及び平滑化された信号は、定電圧回路12に出力される。【0083】なお整流回路11は、保護回路(リミッター回路)を有していてもよい。保護回路は、アンテナ10からの電気信号が大電圧の場合に半導体装置1の各回路が破壊されることを防止する機能を有する。【0084】定電圧回路12は、整流回路11が出力した電圧を基に電圧を生成する機能を有する回路である。定電圧回路12で生成される電圧VDDは、半導体装置1が有する各回路に与えられる。なお、定電圧回路12が生成する電圧は、一つに限らず複数であってもよい。【0085】また、図示されていないが、電圧VBATを安定させる目的で、バッテリ13にも定電圧回路を設けても良い。【0086】発振回路14は、クロック信号CLK1を生成する機能を有する。発振回路14は、電圧VDDによって駆動する。発振回路14は、水晶発振器でクロック信号CLK1を生成してもよいし、リングオシレータ―でクロック信号CLK1を生成してもよい。【0087】発振回路15は、クロック信号CLK2を生成する機能を有する。発振回路15は、電圧VDDまたは電圧VBATによって駆動する。発振回路15は、水晶発振器でクロック信号CLK2を生成してもよいし、リングオシレータ―でクロック信号CLK2を生成してもよい。【0088】また、発振回路15は、時刻を表すデータを生成する機能を有する。【0089】クロック制御回路16は、論理回路18、アナログメモリ20及びADC22に入力されるクロック信号を制御する機能を有する。より具体的には、クロック制御回路16は、信号SCLK_CONを生成し、スイッチ41乃至46のオン・オフを制御する機能を有する。【0090】電源制御回路17は、論理回路18、センサ19、アナログメモリ20及びADC22に供給される電力を制御する機能を有する。より具体的には、電源制御回路17は、信号SPOW_CONを生成し、スイッチ31乃至38のオン・オフを制御する機能を有する。【0091】また、アナログメモリ20は、アナログデータが記憶される複数のアドレスAM[k-1](kは1以上の自然数)を有する。【0092】復調回路23は、アンテナ10からの電気信号を復調する機能を有する回路である。復調された信号は、論理回路18に出力される。【0093】変調回路24は、論理回路18で生成された信号に基づいて、電気信号を変調する機能を有する回路である。変調された電気信号は、搬送波によって、アンテナ10を介して無線信号RFとして送信される。」
ウ 「【0094】〈半導体装置1の動作例〉次に、半導体装置1の動作の一例について、図3を用いて説明を行う。【0095】続きを表示(全46行)図3は、半導体装置1の動作例を示したタイミングチャートである。図3は上から順に、無線信号RFの強度、電圧VDDの電圧、電圧VBATの電圧、信号SPOW_CONの電位、クロック信号CLK1の電位、クロック信号CLK2の電位、信号SCLK_CONの電位、信号SSNSの電位、アドレスAM[0]の電位、アドレスAM[1]の電位、信号SAMの電位、信号SADCの電位、を示している。なお、クロック信号CLK1及びクロック信号CLK2は、実際にはパルス状の信号であるが、図3では、連続した信号として図示されている。【0096】図3では、アドレスAM[0]及びアドレスAM[1]の動作例のみを示しているが、アナログメモリ20が有する他のアドレスの動作についても同様に説明することが可能である。【0097】図3に示す時刻T1乃至T13は、動作のタイミングを示すために付したものである。【0098】また、時刻T1乃至T2で表される期間を期間P1とし、時刻T2乃至T7で表される期間を期間P2とし、時刻T7乃至T13で表される期間を期間P3とした。【0099】期間P1において、半導体装置1は、無線信号RFが供給され、バッテリ13の充電が行われる。【0100】また、期間P1において、半導体装置1の各回路は、定電圧回路12で生成された電圧VDDで駆動する。また、期間P1において、半導体装置1の各回路は、発振回路14で生成されたクロック信号CLK1が与えられる。【0101】期間P2において、半導体装置1は、センサ19によるセンシングを行い、取得したデータをアナログメモリ20に格納する。【0102】また、期間P2において、半導体装置1の各回路は、バッテリ13で生成された電圧VBATで駆動する。また、期間P2において、半導体装置1の各回路は、発振回路15で生成されたクロック信号CLK2が与えられる。クロック信号CLK2はクロック信号CLK1と比べて周波数が低いため、半導体装置1は、低消費電力で駆動し、バッテリ13の電力を節約することが可能になる。その結果、無線信号RFが供給されない期間P2が長期間に渡っても、半導体装置1は動作が可能になる。【0103】期間P3において、半導体装置1は再び無線信号RFが供給される。この時、半導体装置1は、アナログメモリ20に格納したデータをADC22によってデジタルデータに変換し、搬送波に乗せて無線信号RFとして送信する。また、期間P3において、半導体装置1は、期間P1と同様に、バッテリ13の充電を行う。【0104】また、期間P3において、半導体装置1の各回路は、定電圧回路12で生成された電圧VDDで駆動する。また、期間P3において、半導体装置1の各回路は、発振回路14で生成されたクロック信号CLK1が与えられる。クロック信号CLK1はクロック信号CLK2と比べて周波数が高いため、半導体装置1は、ADC22のように高速動作が必要な回路を駆動することが可能になる。・・・中略・・・【0116】次に、時刻T3において、信号SPOW_CONとして信号A3が与えられる。その結果、論理回路18、センサ19及びアナログメモリ20に電圧VBATが供給され、ADC22はオフになる(表1)。【0117】信号SCLK_CONとして信号B3が与えられる。その結果、論理回路18及びアナログメモリ20にクロック信号CLK2が入力され、ADC22に対してクロック信号の入力が停止する(表2)。【0118】この時に、センサ19はセンシングを開始し、取得された信号SSNSは、アナログメモリ20のアドレスAM[0]に記憶される。【0119】次に、時刻T4において、センサ19はセンシングを終了する。【0120】信号SPOW_CONとして信号A4が与えられる。論理回路18、センサ19、アナログメモリ20及びADC22はオフになる(表1)。【0121】信号SCLK_CONとして信号B4が与えられる。論理回路18、アナログメモリ20及びADC22に対して、クロック信号の入力が停止する(表2)。【0122】アナログメモリ20は不揮発性メモリであるため、アドレスAM[0]に記憶されたデータは、電源が遮断された状態でも、保持され続ける。【0123】次に、時刻T5において、信号SPOW_CONとして信号A5が与えられる。その結果、論理回路18、センサ19及びアナログメモリ20に電圧VBATが供給され、ADC22はオフになる(表1)。【0124】信号SCLK_CONとして信号B5が与えられる。その結果、論理回路18及びアナログメモリ20にクロック信号CLK2が入力され、ADC22に対してクロック信号の入力が停止する(表2)。【0125】この時に、センサ19はセンシングを開始し、取得された信号SSNSは、アナログメモリ20のアドレスAM[1]に記憶される。【0126】次に、時刻T6において、センサ19はセンシングを終了する。」
エ 「【0148】〈半導体装置2の構成例〉次に、本発明の一態様の半導体装置の別の構成例について図4を用いて説明を行う。【0149】続きを表示(全13行)図4に示す半導体装置2は、図2に示す半導体装置1にデジタルメモリ21を追加したものである。【0150】また、デジタルメモリ21は、デジタルデータが記憶される複数のアドレスDM[k-1](kは1以上の自然数)を有する。【0151】デジタルメモリ21は、センサ19がセンシングを行った時刻を、デジタルデータ(時刻データ)として記憶する機能を有する。論理回路18は、デジタルメモリ21に記憶された時刻データを、信号SADCに付加し、出力する機能を有する。最終的に、アンテナ10から送信された無線信号RFは、センサ19が取得したデータと、センシングが行われた時刻の両方を含んでいる。【0152】例えば、デジタルメモリ21は、不揮発性メモリを用いることが好ましい。不揮発性メモリとしては、例えば、フラッシュメモリの他、強誘電体メモリ(FeRAM)、磁気抵抗メモリ(MRAM)、相変化メモリ(PRAM)、抵抗変化型メモリ(ReRAM)等を用いることができる。また、デジタルメモリ21は、酸化物半導体を用いた不揮発性メモリを用いることが好ましい。なお、酸化物半導体を用いた不揮発性メモリの詳細は、実施の形態2で説明を行う。【0153】なお、半導体装置2が有する他の構成要素の詳細については、半導体装置1の記載を参照すればよい。」
オ 「【0154】〈半導体装置2の動作例〉半導体装置2の動作の一例について、図5のタイミングチャートを用いて説明を行う。【0155】続きを表示(全16行)図5のタイミングチャートは、図3の半導体装置1のタイミングチャートに、デジタルメモリのアドレスDM[0]及びDM[1]の電位を追加したものである。【0156】図5では、アドレスDM[0]及びアドレスDM[1]の動作例のみを示しているが、デジタルメモリ21が有する他のアドレスの動作についても同様に説明することが可能である。【0157】アドレスAM[0]に信号SSNSが書き込まれたと同時に、アドレスDM[0]に、時刻データが書き込まれ、アドレスAM[1]に信号SSNSが書き込まれたと同時に、アドレスDM[1]に、時刻データが書き込まれる。【0158】デジタルメモリに書き込まれたデータは、期間P3の間に、搬送波に乗せられ、無線信号RFとして送信される。【0159】その他の図5のタイミングチャートの詳細は、図3のタイミングチャートの記載を参照すればよい。・・・中略・・・【0164】例えば、心拍数や脈拍などの生体情報の監視など、測定頻度が高い場合、上述の半導体装置を用いて測定を行えば、データをまとめて読み出すときだけ、リーダーを用意すれば良いので、測定者の負担を軽減することが可能になる。」
カ 「図2」
キ 「図3」
ク 「図4」
ケ 「図5」
コ 上記イの段落【0061】には,「図1に示す半導体装置1は、アンテナ10と、バッテリ13と、論理回路18と、センサ19と、アナログメモリ20と、ADC(アナログデジタルコンバーター)22と、を有している」ことが,また,段落【0081】には,「図2に示す半導体装置1は、図1に示す半導体装置1に、整流回路11と、定電圧回路12と、発振回路14と、発振回路15と、クロック制御回路16と、電源制御回路17と、復調回路23と、変調回路24と、を追加したものである」ことが,さらに,上記エの段落【0149】には,「図4に示す半導体装置2は、図2に示す半導体装置1にデジタルメモリ21を追加したものである」ことが,そして,上記オの段落【0164】には,“心拍数や脈拍などの生体情報を半導体装置を用いて測定を行えば,データをまとめて読み出すときだけ,リーダーを用意すれば良い”ことが記載されている。
してみると,引用文献1には,図4の「半導体装置2」として,“アンテナ10と,バッテリ13と,論理回路18と,センサ19と,アナログメモリ20と,デジタルメモリ21と,ADC(アナログデジタルコンバーター)22と,整流回路11と,定電圧回路12と,発振回路14と,発振回路15と,クロック制御回路16と,電源制御回路17と,復調回路23と,変調回路24と,を有している,心拍数や脈拍などの生体情報の測定を行い,データをまとめて読み出すときだけリーダーを用意すれば良い半導体装置2”が記載されているといえる。
サ 上記イの段落【0062】及び【0063】には,“アンテナ10は,無線信号を電気信号に,または電気信号を無線信号にして,リーダーと信号の送受信を行う機能を有し,無線信号の周波数帯としては,900MHz帯のUHF帯を用いることができ”ることが記載されている。
シ 上記イの段落【0065】には,“バッテリ13は,電圧VDDにより充電され,電圧VBATとして放電する機能を有し,電圧VBATが,半導体装置2が有する各回路に供給され”ることが記載されている。
ス 上記イの段落【0066】には,“センサ19は,感知したデータを信号SSNSとして出力する機能を有し,信号SSNSはアナログデータであ”ることが記載されている。
セ 上記イの段落【0067】には,「アナログメモリ20は、センサ19が感知したアナログデータを記憶し、信号SAMとして出力する機能を有する」ことが記載されている。
ソ 上記エの段落【0151】には,「デジタルメモリ21は、センサ19がセンシングを行った時刻を、デジタルデータ(時刻データ)として記憶する機能を有する」ことが記載されている。
タ 上記イの段落【0068】には,「ADC22は、アナログメモリ20に記憶されたアナログデータを、デジタルデータに変換し、信号SADCとして出力する機能を有する」ことが記載されている。
チ 上記イの段落【0069】には,“論理回路18は,半導体装置1が有する各回路を制御する機能を有し,また,無線信号RFに含まれるコマンドを実行する機能,ADC22から信号SADCを受け取り,アンテナ10に出力する機能などを有”することが記載されている。
ツ 上記イの段落【0086】には,“発振回路14は,クロック信号CLK1を生成する機能を有し,電圧VDDによって駆動され,また,リングオシレータ―でクロック信号CLK1を生成するものであ”ることが記載されている。
テ 上記イの段落【0087】には,“発振回路15は,クロック信号CLK2を生成する機能を有し,電圧VDDまたは電圧VBATによって駆動され,また,リングオシレータ―でクロック信号CLK2を生成するものであ”ることが記載されている。
ト 上記イの段落【0092】には,“復調回路23は,アンテナ10からの電気信号を復調する機能を有する回路であって,復調された信号は,論理回路18に出力され”ることが記載されている。
ナ 上記イの段落【0093】には,“変調回路24は,論理回路18で生成された信号に基づいて,電気信号を変調する機能を有する回路であって,変調された電気信号は,搬送波によって,アンテナ10を介して無線信号RFとして送信されるものであ”ることが記載されている。
ニ 上記ウの段落【0095】には,「図3は、半導体装置1の動作例を示したタイミングチャートである」ことが,さらに,段落【0097】及び【0098】には,「図3に示す時刻T1乃至T13は、動作のタイミングを示すために付したものである」こと,「また、時刻T1乃至T2で表される期間を期間P1とし、時刻T2乃至T7で表される期間を期間P2とし、時刻T7乃至T13で表される期間を期間P3とした」ことが記載されている。
また,上記オの段落【0154】ないし【0159】には,“図5は半導体装置2のタイミングチャートであって,図3の半導体装置1のタイミングチャートに,デジタルメモリのアドレスDM[0]及びDM[1]の電位を追加したものであって,デジタルメモリ以外のタイミングチャートは図3のタイミングチャートを参照すればよい”ことが記載されている。
してみると,引用文献1の図5には,“時刻T1ないしT2で表される期間を期間P1とし,時刻T2ないしT7で表される期間を期間P2とし,時刻T7ないしT13で表される期間を期間P3とした際の半導体装置2の動作のタイミングチャート”が記載されているといえる。
ヌ そして,上記ウの段落【0099】,【0100】,図3(上記キ)より図5(上記ク)には,“期間P1において,半導体装置2は,無線信号RFが供給され,半導体装置2の各回路は,定電圧回路12で生成された電圧VDDで駆動され,半導体装置2の各回路は,発振回路14で生成されたクロック信号CLK1が与えられるものであ“ることが記載されているといえる。
ネ また,上記ウの段落【0102】,図3(上記キ)より図5(上記ク)には,“期間P2において,半導体装置2の各回路は,バッテリ13で生成された電圧VBATで駆動され,半導体装置2の各回路は,発振回路15で生成されたクロック信号CLK2が与えられ,クロック信号CLK2はクロック信号CLK1と比べて周波数が低く,半導体装置2は,低消費電力で駆動され,バッテリ13の電力を節約することが可能になるものであ”ることが記載されているといえる。さらに,段落【0116】ないし【0119】,段落【0123】ないし【0126】,図3(上記キ)より図5(上記ク)には,“期間P2における時刻T3~T4及びT5~T6の期間において,半導体装置2は,センサ19によるセンシングを行い,取得したデータをアナログメモリ20に格納する”ことが記載されているといえる。また,段落【0156】,【0157】,図5(上記ク)によれば,“期間P2における時刻T3~T4及びT5~T6の期間において,半導体装置2は,センシングを行った時刻データをデジタルメモリ21に格納する”ことが記載されている。
してみると,引用文献2には,“期間P2における時刻T3~T4及びT5~T6の期間において,半導体装置2は,センサ19によるセンシングを行い,取得したデータをアナログメモリ20に格納し,センシングを行った時刻をデジタルメモリ21に格納し,また,半導体装置2の各回路は,バッテリ13で生成された電圧VBATで駆動され,半導体装置2の各回路は,発振回路15で生成されたクロック信号CLK2が与えられ,クロック信号CLK2はクロック信号CLK1と比べて周波数が低く,半導体装置2は,低消費電力で駆動され,バッテリ13の電力を節約することが可能になるものであ”ることが記載されているといえる。
ノ さらに,上記ウの段落【0103】,【0104】,【0158】,図3(上記キ)より図5(上記ク)には,“期間P3において,半導体装置2は再び無線信号RFが供給され,この時,半導体装置2は,デジタルメモリ21に書き込まれたデータとともに,アナログメモリ20に格納したデータをADC22によってデジタルデータに変換し,搬送波に乗せて無線信号RFとして送信し,また,半導体装置2の各回路は,定電圧回路12で生成された電圧VDDで駆動され,また,半導体装置2の各回路は,発振回路14で生成されたクロック信号CLK1が与えられ,クロック信号CLK1はクロック信号CLK2と比べて周波数が高いため,半導体装置2は,ADC22のように高速動作が必要な回路を駆動することが可能になる”ことが記載されているといえる。
(2)以上アないしノの記載から,図4の半導体装置2に注目すると,引用文献1には,次のとおりの発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「アンテナ10と,バッテリ13と,論理回路18と,センサ19と,アナログメモリ20と,デジタルメモリ21と,ADC(アナログデジタルコンバーター)22と,整流回路11と,定電圧回路12と,発振回路14と,発振回路15と,クロック制御回路16と,電源制御回路17と,復調回路23と,変調回路24と,を有している,心拍数や脈拍などの生体情報の測定を行い,データをまとめて読み出すときだけリーダーを用意すれば良い半導体装置2において,アンテナ10は,無線信号を電気信号に,または電気信号を無線信号にして,リーダーと信号の送受信を行う機能を有し,無線信号の周波数帯としては,900MHz帯のUHF帯を用いることができ,バッテリ13は,電圧VDDにより充電され,電圧VBATとして放電する機能を有し,電圧VBATが,半導体装置2が有する各回路に供給され,センサ19は,感知したデータを信号SSNSとして出力する機能を有し,信号SSNSはアナログデータであり,続きを表示(全17行)アナログメモリ20は,センサ19が感知したアナログデータを記憶し,信号SAMとして出力する機能を有し,デジタルメモリ21は,センサ19がセンシングを行った時刻を,デジタルデータ(時刻データ)として記憶する機能を有し,ADC22は,アナログメモリ20に記憶されたアナログデータを,デジタルデータに変換し,信号SADCとして出力する機能を有し,論理回路18は,半導体装置1が有する各回路を制御する機能を有し,また,無線信号RFに含まれるコマンドを実行する機能,ADC22から信号SADCを受け取り,アンテナ10に出力する機能などを有し,発振回路14は,クロック信号CLK1を生成する機能を有し,電圧VDDによって駆動され,また,リングオシレータ―でクロック信号CLK1を生成するものであり,発振回路15は,クロック信号CLK2を生成する機能を有し,電圧VDDまたは電圧VBATによって駆動され,また,リングオシレータ―でクロック信号CLK2を生成するものであり,復調回路23は,アンテナ10からの電気信号を復調する機能を有する回路であって,復調された信号は,論理回路18に出力され,変調回路24は,論理回路18で生成された信号に基づいて,電気信号を変調する機能を有する回路であって,変調された電気信号は,搬送波によって,アンテナ10を介して無線信号RFとして送信されるものであって,時刻T1ないしT2で表される期間を期間P1とし,時刻T2ないしT7で表される期間を期間P2とし,時刻T7ないしT13で表される期間を期間P3とした際に,期間P1において,半導体装置2は,無線信号RFが供給され,半導体装置2の各回路は,定電圧回路12で生成された電圧VDDで駆動され,半導体装置2の各回路は,発振回路14で生成されたクロック信号CLK1が与えられるものであり,期間P2における時刻T3~T4及びT5~T6の期間において,半導体装置2は,センサ19によるセンシングを行い,取得したデータをアナログメモリ20に格納し,センシングを行った時刻をデジタルメモリ21に格納し,また,半導体装置2の各回路は,バッテリ13で生成された電圧VBATで駆動され,半導体装置2の各回路は,発振回路15で生成されたクロック信号CLK2が与えられ,クロック信号CLK2はクロック信号CLK1と比べて周波数が低く,半導体装置2は,低消費電力で駆動され,バッテリ13の電力を節約することが可能になるものであり,期間P3において,半導体装置2は再び無線信号RFが供給され,この時,半導体装置2は,デジタルメモリ21に書き込まれたデータとともに,アナログメモリ20に格納したデータをADC22によってデジタルデータに変換し,搬送波に乗せて無線信号RFとして送信し,また,半導体装置2の各回路は,定電圧回路12で生成された電圧VDDで駆動され,また,半導体装置2の各回路は,発振回路14で生成されたクロック信号CLK1が与えられ,クロック信号CLK1はクロック信号CLK2と比べて周波数が高いため,半導体装置2は,ADC22のように高速動作が必要な回路を駆動することが可能になる,半導体装置2。」
2 引用文献2
本願の優先日前に頒布又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となり,原査定の拒絶の理由で引用された,特表2012-503354号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。
ア 「【0031】本発明の様々な実施形態は、トランスファージェット回路とNFC回路との双方を用いて他の近接して位置する通信デバイスと通信するように構成された、電子無線通信デバイスに向けられている。トランスファージェットは、モバイル電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ/レコーダ、コンピュータ、データ格納ドライブ、及びテレビのうちの少なくとも1つのような電子デバイス間で大きなデータを高速転送することを可能とするために、もともとはソニーコーポレーションによって開発された、密接近接無線転送技術である。トランスファージェット技術を用いることで、例えば560Mbpsまでの速度で、又はエラー訂正プロトコルのオーバヘッドを伴うと375Mbpsの実効送信レートで、データは送信されうる。トランスファージェットは、超広帯域(UWB)通信技術である。1つの通信デバイスのトランスファージェット回路は、密接に近接する他の通信デバイスと通信するために、超低強度の電波を放射することができる。トランスファージェット回路は、例えば4.48GHzの中心周波数を用いて通信することができ、約3cmまでの通信範囲を有する。これらの例示的な性能特性は完全性のために提供されているが、本発明はこれらに限定されないことが理解されるだろう。」
イ 「図1」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「リーダー」は,「半導体装置2」の「データをまとめて読み出す」ものであるから,本願発明の「読取り機器(3、3’)」に相当する。
そして,引用発明の「半導体装置2」は,「心拍数や脈拍などの生体情報の測定を行」うものであり,人などの移動する対象物に装着されることを意図されたものといえる。さらに,「半導体装置2」は,「リーダー」によって「データをまとめて読み出」されるものであり,「リーダー」の近傍で情報を送信するように設計されたものと認められる。また,「リーダー」によって「データ」が「読み出」される際には,通常,「リーダー」から何らかの問合せ信号が送られ,それに応答して「半導体装置2」は「データ」を送信するものであるから,トランスポンダに基づくモジュールといえる。
したがって,引用発明の「半導体装置2」は,本願発明の「読取り機器(3、3’)により送信され、トランスポンダに基づくモジュール(2)により受信される問合せ信号に基づき、移動する対象物(10)に装着されることを意図され、前記読取り機器(3、3’)の近傍で情報を送信するように設計された前記トランスポンダに基づくモジュール(2)」に相当する。
2 引用発明の「半導体装置2」の「バッテリ13」は,「電圧VBAT」を「半導体装置2が有する各回路に供給」するものであるから,本願発明の「前記トランスポンダに基づくモジュール(2)の電力供給のためにエネルギーを提供するための少なくとも1つのエネルギー源(4)」に相当する。
3 引用発明の「心拍数や脈拍」は,本願発明の「少なくとも1つの物理的パラメータ」に相当する。
そして,引用発明の「半導体装置2」の「センサ19」は,「心拍数や脈拍などの生体情報の測定を行」っているものと認められることから,引用発明の「センサ19」は,本願発明の「少なくとも1つの物理的パラメータの1つまたは複数の測定を遂行するための少なくとも1つのセンサ(5)」に相当する。
4 引用発明の「半導体装置2」の「論理回路18」は,「半導体装置2が有する各回路を制御する」ものであり,「センサ19」にも連結されているものと認められることから,引用発明の「論理回路18」と,本願発明の「前記センサ(5)の1つまたは複数の測定値を受信するために前記センサ(5)に連結されたマイクロコントローラ(22)」とは,後記の点で相違するものの,“前記センサに連結されたマイクロコントローラ”の点では共通する。
5 引用発明の「半導体装置2」の「アナログメモリ20」及び「デジタルメモリ21」は,本願発明の「メモリユニット」に対応するものであるところ,各々,「センサ19が感知したアナログデータ」及び「センサ19がセンシングを行った時刻」を記憶するものである。
そして,引用発明の「センサ19が感知したアナログデータ」及び「センサ19がセンシングを行った時刻」は,「センサ19」の測定の遂行によって生じたデータである。また,通常,「センサ19が感知した」生のデータ及び「時刻」をそのまま「アナログメモリ20」及び「デジタルメモリ21」に記憶することはできないことから,記憶されるデータは何らかの処理がされているものと認められる。してみると,引用発明の「センサ19が感知したアナログデータ」及び「センサ19がセンシングを行った時刻」と,本願発明の「前記センサ(5)により遂行され、かつ記憶するために前記マイクロコントローラ(22)で処理された、前記1つまたは複数の測定の測定データ」とは,後記の点で相違するものの,“前記センサにより遂行され,かつ処理された,前記1つまたは複数の測定の測定データ”の点で共通する。
よって,引用発明の「アナログメモリ20」及び「デジタルメモリ21」と,本願発明の「前記センサ(5)により遂行され、かつ記憶するために前記マイクロコントローラ(22)で処理された、前記1つまたは複数の測定の測定データを少なくとも1つのメモリに記憶するためのメモリユニット(21)」とは,後記の点で相違するものの,“前記センサにより遂行され,かつ記憶するために処理された,前記1つまたは複数の測定の測定データを少なくとも1つのメモリに記憶するためのメモリユニット”の点で共通する。
6 引用発明の「半導体装置2」の「アンテナ10」は,「無線信号を電気信号に,または電気信号を無線信号にして,リーダーと信号の送受信を行う機能を有」するものである。
そして,引用発明の「半導体装置2」の「復調回路23」は,「アンテナ10からの電気信号を復調する機能を有する回路であ」って,また,上記1の点を踏まえると,「アンテナ10」には,「半導体装置2」が「リーダー」の近傍に配置されたとき,前記「リーダ」から少なくとも1つの問合せの電気信号が入力されるものと認められることから,引用発明の「アンテナ10」及び「復調回路23」は,本願発明の「前記トランスポンダに基づくモジュール(2)が前記読取り機器(3、3’)の近傍に配置されたとき、前記読取り機器(3、3’)から少なくとも1つの問合せ信号を受信するように設計された受信機(25)」に相当する。
7 引用発明の「アンテナ10」は,「無線信号を電気信号に,または電気信号を無線信号にして,リーダーと信号の送受信を行う機能を有」するものである。
そして,引用発明は「期間P3において,半導体装置2は再び無線信号RFが供給され,この時,半導体装置2は,デジタルメモリ21に書き込まれたデータとともに,アナログメモリ20に格納したデータをADC22によってデジタルデータに変換し,搬送波に乗せて無線信号RFとして送信」するものであって,ここで,引用発明の「半導体装置2」においては,「アナログメモリ20に格納したデータをADC22によってデジタルデータに変換し」た「信号SADC」は,「論理回路18」に入力され,その後,「変調回路24」で変調され,変調された電気信号が,「搬送波によって,アンテナ10を介して無線信号RFとして送信されるものであ」るから,上記1の点も踏まえると,引用発明の「アンテナ10」及び「変調回路24」は,本願発明の「前記読取り機器の前記問合せに基づき、記憶された前記測定データを送信するように設計された送信機(23)」に相当する。
8 引用発明の「発振回路15」は,「リングオシレータ―でクロック信号CLK2を生成するものであ」って,また,「クロック信号CLK2はクロック信号CLK1と比べて周波数が低」いものであるから,本願発明の「リングタイプの発振器である低周波内部発振器」に相当する。
そして,引用発明では「期間P2における時刻T3~T4及びT5~T6の期間において,半導体装置2は,センサ19によるセンシングを行い,取得したデータをアナログメモリ20に格納し,センシングを行った時刻をデジタルメモリ21に格納し,また,半導体装置2の各回路は,バッテリ13で生成された電圧VBATで駆動され,半導体装置2の各回路は,発振回路15で生成されたクロック信号CLK2が与えられ,クロック信号CLK2はクロック信号CLK1と比べて周波数が低く,半導体装置2は,低消費電力で駆動し,バッテリ13の電力を節約することが可能になるものであ」り,引用発明は「期間P2における時刻T3~T4及びT5~T6の期間において」,時間をかけてセンサ19が遂行する測定を統制するために,リングタイプの発振器である低周波内部発振器により論理回路19を統制し,これらの測定値を,低電力モードで各測定値の時間の指示付きでアナログメモリ20及びデジタルメモリ21に記憶しているものといえる。
したがって,引用発明の「期間P2における時刻T3~T4及びT5~T6の期間において,半導体装置2は,センサ19によるセンシングを行い,取得したデータをアナログメモリ20に格納し,センシングを行った時刻をデジタルメモリ21に格納し,また,半導体装置2の各回路は,バッテリ13で生成された電圧VBATで駆動され,半導体装置2の各回路は,発振回路15で生成されたクロック信号CLK2が与えられ,クロック信号CLK2はクロック信号CLK1と比べて周波数が低く,半導体装置2は,低消費電力で駆動し,バッテリ13の電力を節約することが可能になるものであ」ると,本願発明の「前記センサ(5)が連続的に動作し、時間をかけて前記センサ(5)が遂行する前記測定を統制するために、RCタイプまたはリングタイプの発振器である低周波内部発振器により前記マイクロコントローラ(22)を統制し、これらの測定値を、低電力モードで各測定値の時間の指示付きで前記メモリユニット(21)に記憶する」とは,後記の点で相違するものの,“時間をかけて前記センサが遂行する前記測定を統制するために,RCタイプまたはリングタイプの発振器である低周波内部発振器により前記マイクロコントローラを統制し,これらの測定値を,低電力モードで各測定値の時間の指示付きで前記メモリユニットに記憶する”点では共通する。
9 引用発明は「期間P3において,半導体装置2は再び無線信号RFが供給され,この時,半導体装置2は,デジタルメモリ21に書き込まれたデータとともに,アナログメモリ20に格納したデータをADC22によってデジタルデータに変換し,搬送波に乗せて無線信号RFとして送信」するものであって,上記6及び7の点を踏まえると,この「送信」は,「リーダ」から少なくとも1つの問合せ信号に基づいて,「変調回路24」及び「アンテナ10」が行っているものと認められる。そして,引用発明の「アンテナ10」は,「900MHz帯のUHF帯を用いることができ」るものであるから,この「送信」は,極超短波で送信しているといえる。
してみると,引用発明の「期間P3において,半導体装置2は再び無線信号RFが供給され,この時,半導体装置2は,デジタルメモリ21に書き込まれたデータとともに,アナログメモリ20に格納したデータをADC22によってデジタルデータに変換し,搬送波に乗せて無線信号RFとして送信」すると,本願発明の「前記送信機(23)は、近傍にある前記読取り機器の前記問合せ信号を前記受信機(25)が受信した後に活動化されると、極超短波で、かつ非常に高いビットレートで、記憶された前記測定データの信号を送信するように設計される」とは,後記の点で相違するものの,“前記送信機は,近傍にある前記読取り機器の前記問合せ信号を前記受信機が受信した後に活動化されると,極超短波で,記憶された前記測定データの信号を送信するように設計される”点では共通する。
上記の検討から,本願発明と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「読取り機器により送信され,トランスポンダに基づくモジュールにより受信される問合せ信号に基づき,移動する対象物に装着されることを意図され,前記読取り機器の近傍で情報を送信するように設計された前記トランスポンダに基づくモジュールであって,前記トランスポンダに基づくモジュールの電力供給のためにエネルギーを提供するための少なくとも1つのエネルギー源と,少なくとも1つの物理的パラメータの1つまたは複数の測定を遂行するための少なくとも1つのセンサと,前記センサに連結されたマイクロコントローラと,続きを表示(全11行)前記センサにより遂行され,かつ記憶するために処理された,前記1つまたは複数の測定の測定データを少なくとも1つのメモリに記憶するためのメモリユニットと,前記トランスポンダに基づくモジュールが前記読取り機器の近傍に配置されたとき,前記読取り機器から少なくとも1つの問合せ信号を受信するように設計された受信機と,前記読取り機器の前記問合せに基づき,記憶された前記測定データを送信するように設計された送信機とを備え,時間をかけて前記センサが遂行する前記測定を統制するために,RCタイプまたはリングタイプの発振器である低周波内部発振器により前記マイクロコントローラを統制し,これらの測定値を,低電力モードで各測定値の時間の指示付きで前記メモリユニットに記憶すること,および前記送信機は,近傍にある前記読取り機器の前記問合せ信号を前記受信機が受信した後に活動化されると,極超短波で,記憶された前記測定データの信号を送信するように設計されることを特徴とするトランスポンダに基づくモジュール。」
(相違点1)
「マイクロコントローラ」が,本願発明では,「センサ(5)の1つまたは複数の測定値を受信するため」のものであって,「記憶するために前記マイクロコントローラ(22)で処理」するものであるのに対して,引用発明では,「論理回路18」に関してその旨の特定がされていない点。
(相違点2)
「センサ」が,本願発明では,「連続的に動作」するものであるのに対して,引用発明では,連続的でない点。
(相違点3)
「送信機」が,本願発明では「非常に高いビットレートで」送信するのに対して,引用発明では,その旨の特定がされていない点。
第6 判断
上記相違点について検討する。
(相違点1)について
メモリに記憶するための処理をマイクロコントローラ側で行うようにすることは,当該技術分野において普通に行われていることであるから,引用発明においても,「アナログメモリ20」及び「デジタルメモリ21」に記憶される「センサ19が感知したアナログデータ」及び「センサ19がセンシングを行った時刻」の記憶のための処理を「論理回路18」によって行い,上記相違点1に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点2)について
心拍数や脈拍などの生体情報の測定は,連続的に行った方が好ましいことは明らかであって,そして,生体情報の測定を連続的に行うことは周知の技術(必要であれば,特開2014-195711号公報(特に,段落【0051】等参照),特開2017-129572号公報(特に,段落【0218】等参照),特開2017-29232号公報(特に,段落【0031】等参照),等参照。)と認められる。
してみれば,引用発明においても生体情報の測定を常時行うようにするすることで,上記相違点2に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
(相違点3)について
引用発明は,引用文献1の段落【0010】に記載されるように消費電力の少ない半導体装置を提供することを課題の1つとするものであって,そして,引用発明の「期間P3」における「送信」を高速で行った方が消費電力を少なくできることは当業者にとって自明の事項である。
一方,引用文献2には,非常に高いビットレートとすることで高速転送を可能とする技術が記載されている。
また,引用発明,及び引用文献2の技術は,いずれも高周波を用いた無線通信技術に関するものである。
してみれば,引用発明において消費電力を少なくするために,「期間P3」における「送信」を高速で行う手段として,引用文献2の技術を適用して非常に高いビットレートとすることで,上記相違点3に係る構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
そして,本願発明の構成によってもたらされる効果も,当業者であれば容易に予測できる程度のものであって,格別なものとは認められない。
第7 むすび
以上のとおり,本願発明は,その優先日前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用発明,引用文献2に記載された技術に基づいて,その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2020-014518