2020-014070
広帯域eNBと狭帯域UEとの間のワイヤレス通信
- 審判番号
- 2020-014070
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-520793外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年10月07日
- 審決日
- 2021年10月20日
- 公報発行日
- 2021年12月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】クアルコム,インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】村山 靖彦
- 【請求人代理人】黒田 晋平
- 分類
- P18 .121-WY (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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本願は、2017年(平成29年)10月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2016年11月2日 米国、2017年6月27日 米国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
第2 原査定の概要
原査定(令和2年6月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
(進歩性):下記の請求項に係る発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
・請求項1-6、8、10、12-19、22-23、25-32、35-36、38-45、48-49、51-52に対して、引用文献1
・請求項7、11、20、24、33、37、46、50に対して、引用文献1及び2
・請求項9、21、34、47に対して、引用文献1及び3
引用文献等一覧
1.特開2016-001929号公報(以下、「引用文献1」という。)
2.特開2005-026862号公報(周知技術を示す文献)(以下、「引用文献2」という。)
3.国際公開第2015/050771号(周知技術を示す文献)(以下、「引用文献3」という。)
第3 当審拒絶理由の概要
令和3年6月24日付けで当審より通知した拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)の概要は次のとおりである。
1.(明確性)この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。
記
理由1(明確性)について
請求項8には「前記UEが、各送信単位または各オン期間におけるリッスンビフォアトーク(LBT)を条件として、前記アップリンク通信を送信する、請求項1に記載の方法。」と記載されている。一方、引用元の請求項1は、「リッスンビフォアトーク(LBT)プロシージャを実行することなく、前記複数の送信単位の少なくとも1つの間に、免許不要周波数帯域上でアップリンク通信を送信するステップ」と記載されており、リッスンビフォアトークプロシージャを実行しないことを前提としてアップリンク通信を送信するものを前提としているものであるから、リッスンビフォアトークを条件としてアップリンク通信を送信する請求項8と、請求項1では、アップリンク通信を送信する前提が矛盾するものが記載されており、請求項8は、どのような方法を特定しようとしているのか明確でない。
請求項20、32、44についても同様である。
よって、請求項8、20、32、44に係る発明は明確でない。
第4 本願発明
本願請求項1ないし44に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明44」という。)は、令和3年8月25日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし44に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「 【請求項1】免許不要周波数帯域において動作するユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信の方法であって、前記UEにおいて、前記UEのために前記免許不要周波数帯域における各フレームの中のアップリンク持続時間を複数の送信単位にセグメント化するステップであって、各送信単位が複数の免許不要周波数のうちの単一の周波数で少なくとも1つのオン期間および少なくとも1つのオフ期間を備え、フレームが整数個の前記送信単位を備える、ステップと、リッスンビフォアトーク(LBT)プロシージャを実行することなく、前記複数の送信単位の少なくとも1つの間に、免許不要周波数帯域上でアップリンク通信を送信するステップとを備え、続きを表示(全113行)前記複数の送信単位のうちの所与の送信単位ごとに、前記送信単位のオン期間の間、前記UEが、アップリンク通信を送信し、前記送信単位のオフ期間の間、前記UEが、アップリンク通信を送信することを控える、方法。【請求項2】各送信単位が、複数のオン期間および複数のオフ期間を備える、請求項1に記載の方法。【請求項3】前記オン期間および前記オフ期間が、基地局によって構成されるか、またはフレームタイプごとに指定される、請求項1に記載の方法。【請求項4】各オン期間が各オフ期間よりも短い、請求項1に記載の方法。【請求項5】各オン期間が各オフ期間と同じ長さを有する、請求項1に記載の方法。【請求項6】各オン期間が、5ミリ秒という長さを備え、各オフ期間が、5ミリ秒という長さを備える、請求項1に記載の方法。【請求項7】前記UEの前記送信単位が、第2のUEの第2の送信単位と多重化され、前記UEの前記送信単位の前記オン期間が、前記第2のUEの前記第2の送信単位に対する第2のオフ期間に相当し、前記UEの前記送信単位の前記オフ期間が、前記第2のUEの前記第2の送信単位に対する第2のオン期間に相当する、請求項1に記載の方法。【請求項8】前記送信単位に基づくスケジューリング単位の中で基地局からアップリンクスケジューリングを受信するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。【請求項9】前記送信単位に基づくスケジューリング単位の中でアップリンク開始遅延を受信するステップをさらに備える、請求項1に記載の方法。【請求項10】同じ送信単位内の復調基準信号(DMRS)送信および物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信が、同じ冗長バージョン(RV)および同じスクランブリングシーケンスに基づく、請求項1に記載の方法。【請求項11】前記ワイヤレス通信が拡張マシンタイプ通信(eMTC)を備える、請求項1に記載の方法。【請求項12】免許不要周波数帯域において動作するユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための装置であって、前記UEにおいて、前記UEのために前記免許不要周波数帯域における各フレームの中のアップリンク持続時間を複数の送信単位にセグメント化するための手段であって、各送信単位が複数の免許不要周波数のうちの単一の周波数で少なくとも1つのオン期間および少なくとも1つのオフ期間を備え、フレームが整数個の前記送信単位を備える、手段と、リッスンビフォアトーク(LBT)プロシージャを実行することなく、前記複数の送信単位の少なくとも1つの間に、免許不要周波数帯域上でアップリンク通信を送信するための手段とを備え、前記複数の送信単位のうちの所与の送信単位ごとに、前記送信単位のオン期間の間、前記UEが、アップリンク通信を送信し、前記送信単位のオフ期間の間、前記UEが、アップリンク通信を送信することを控える、装置。【請求項13】各送信単位が、複数のオン期間および複数のオフ期間を備える、請求項12に記載の装置。【請求項14】前記オン期間および前記オフ期間が、基地局によって構成されるか、またはフレームタイプごとに指定される、請求項12に記載の装置。【請求項15】各オン期間が各オフ期間よりも短い、請求項12に記載の装置。【請求項16】各オン期間が各オフ期間と同じ長さを有する、請求項12に記載の装置。【請求項17】各オン期間が、5ミリ秒という長さを備え、各オフ期間が、5ミリ秒という長さを備える、請求項12に記載の装置。【請求項18】前記UEの前記送信単位が、第2のUEの第2の送信単位と多重化され、前記UEの前記送信単位の前記オン期間が、前記第2のUEの前記第2の送信単位に対する第2のオフ期間に相当し、前記UEの前記送信単位の前記オフ期間が、前記第2のUEの前記第2の送信単位に対する第2のオン期間に相当する、請求項12に記載の装置。【請求項19】前記送信単位に基づくスケジューリング単位の中で基地局からアップリンクスケジューリングを受信するための手段をさらに備える、請求項12に記載の装置。【請求項20】前記送信単位に基づくスケジューリング単位の中でアップリンク開始遅延を受信するための手段をさらに備える、請求項12に記載の装置。【請求項21】同じ送信単位内の復調基準信号(DMRS)送信および物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信が、同じ冗長バージョン(RV)および同じスクランブリングシーケンスに基づく、請求項12に記載の装置。【請求項22】前記ワイヤレス通信が拡張マシンタイプ通信(eMTC)を備える、請求項12に記載の装置。【請求項23】免許不要周波数帯域において動作するユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための装置であって、メモリと、前記メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサとを備え、前記プロセッサが、前記UEにおいて、前記UEのために前記免許不要周波数帯域における各フレームの中のアップリンク持続時間を複数の送信単位にセグメント化することであって、各送信単位が複数の免許不要周波数のうちの単一の周波数で少なくとも1つのオン期間および少なくとも1つのオフ期間を備え、フレームが整数個の前記送信単位を備える、ことと、リッスンビフォアトーク(LBT)プロシージャを実行することなく、前記複数の送信単位の少なくとも1つの間に、免許不要周波数帯域上でアップリンク通信を送信することとを行うように構成され、前記複数の送信単位のうちの所与の送信単位ごとに、前記送信単位のオン期間の間、前記UEが、アップリンク通信を送信し、前記送信単位のオフ期間の間、前記UEが、アップリンク通信を送信することを控える、装置。【請求項24】各送信単位が、複数のオン期間および複数のオフ期間を備える、請求項23に記載の装置。【請求項25】前記オン期間および前記オフ期間が、基地局によって構成されるか、またはフレームタイプごとに指定される、請求項23に記載の装置。【請求項26】各オン期間が各オフ期間よりも短い、請求項23に記載の装置。【請求項27】各オン期間が各オフ期間と同じ長さを有する、請求項23に記載の装置。【請求項28】各オン期間が、5ミリ秒という長さを備え、各オフ期間が、5ミリ秒という長さを備える、請求項23に記載の装置。【請求項29】前記UEの前記送信単位が、第2のUEの第2の送信単位と多重化され、前記UEの前記送信単位の前記オン期間が、前記第2のUEの前記第2の送信単位に対する第2のオフ期間に相当し、前記UEの前記送信単位の前記オフ期間が、前記第2のUEの前記第2の送信単位に対する第2のオン期間に相当する、請求項23に記載の装置。【請求項30】前記少なくとも1つのプロセッサが、前記送信単位に基づくスケジューリング単位の中で基地局からアップリンクスケジューリングを受信するようにさらに構成される、請求項23に記載の装置。【請求項31】前記少なくとも1つのプロセッサが、前記送信単位に基づくスケジューリング単位の中でアップリンク開始遅延を受信するようにさらに構成される、請求項23に記載の装置。【請求項32】同じ送信単位内の復調基準信号(DMRS)送信および物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信が、同じ冗長バージョン(RV)および同じスクランブリングシーケンスに基づく、請求項23に記載の装置。【請求項33】前記ワイヤレス通信が拡張マシンタイプ通信(eMTC)を備える、請求項23に記載の装置。【請求項34】免許不要周波数帯域において動作するユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のためのコンピュータ実行可能コードを記憶するコンピュータ可読記憶媒体であって、前記UEにおいて、前記UEのために前記免許不要周波数帯域における各フレームの中のアップリンク持続時間を複数の送信単位にセグメント化することであって、各送信単位が複数の免許不要周波数のうちの単一の周波数で少なくとも1つのオン期間および少なくとも1つのオフ期間を備え、フレームが整数個の前記送信単位を備える、ことと、リッスンビフォアトーク(LBT)プロシージャを実行することなく、前記複数の送信単位の少なくとも1つの間に、免許不要周波数帯域上でアップリンク通信を送信することとを行うためのコードを備え、前記複数の送信単位のうちの所与の送信単位ごとに、前記送信単位のオン期間の間、前記UEが、アップリンク通信を送信し、前記送信単位のオフ期間の間、前記UEが、アップリンク通信を送信することを控える、コンピュータ可読記憶媒体。【請求項35】各送信単位が、複数のオン期間および複数のオフ期間を備える、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。【請求項36】前記オン期間および前記オフ期間が、基地局によって構成されるか、またはフレームタイプごとに指定される、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。【請求項37】各オン期間が各オフ期間よりも短い、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。【請求項38】各オン期間が各オフ期間と同じ長さを有する、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。【請求項39】各オン期間が、5ミリ秒という長さを備え、各オフ期間が、5ミリ秒という長さを備える、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。【請求項40】前記UEの前記送信単位が、第2のUEの第2の送信単位と多重化され、前記UEの前記送信単位の前記オン期間が、前記第2のUEの前記第2の送信単位に対する第2のオフ期間に相当し、前記UEの前記送信単位の前記オフ期間が、前記第2のUEの前記第2の送信単位に対する第2のオン期間に相当する、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。【請求項41】前記送信単位に基づくスケジューリング単位の中で基地局からアップリンクスケジューリングを受信するためのコードをさらに備える、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。【請求項42】前記送信単位に基づくスケジューリング単位の中でアップリンク開始遅延を受信するためのコードをさらに備える、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。【請求項43】同じ送信単位内の復調基準信号(DMRS)送信および物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)送信が、同じ冗長バージョン(RV)および同じスクランブリングシーケンスに基づく、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。【請求項44】前記ワイヤレス通信が拡張マシンタイプ通信(eMTC)を備える、請求項34に記載のコンピュータ可読記憶媒体。」
第5 当審拒絶理由についての判断
請求項8、20、32、44について
令和3年8月25日にされた手続補正により、特許請求の範囲が補正され、拒絶の理由の対象であった補正前の請求項8、20、32、44は削除された。
したがって、当審の拒絶理由で指摘した上記理由1(明確性)は解消されたため、本願の特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
第6 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2016-001929号公報には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)
(1)「【0027】以下、この発明をより詳細に説明するために、この発明を実施するための形態について、添付の図面に従って説明する。以降、LTEシステムについて説明する。ただし、上り及び下りスケジューラが各移動端末へ送信レート、送信電力(送信許可電力、送信許可最大電力)、送信タイミング、利用周波数、利用周波数の幅などを制御及び指示する移動体通信システム(例えば、UTRANシステム)において、本発明は適用可能である。(後略)」
(2)「【0030】また、Active中のDTX動作期間とは、ある一定時間の送信動作と、ある一定時間の送信を行わない動作をActive中のDTX周期にて繰り返す期間として説明する(図15を参照)。なお、DTX周期の繰り返し回数が1回というActive中のDTX動作期間も存在する。Active中のDTX動作期間中であって、送信を行わない期間をDTX期間(DTXPeriod)、DTX間隔(DTXInterval)として説明する(図15を参照)。また、DTX動作期間中であって、DTX期間を除く部分については、DTX動作期間中のActiveとして説明する(図15を参照)。【0031】続きを表示(全15行)DTX周期にて移動端末3がDTX動作期間中のActiveで行う送信動作の例としては、下記の(1)~(9)の送信動作が考えられる。(1)下りスケジューリングに用いる情報(例えばCQI)の送信動作(2)復調(Demodulation)と同期検波(Detection)に用いられるリファレンス信号の送信動作(3)上りチャネルの品質測定目的のリファレンス信号(SoundingReferenceSignal)の送信動作(4)上りスケジューリングリクエストの送信動作(5)ユーザデータ(Trafficデータ)の送信動作(6)基地局による上りタイミング測定を行うための送信動作(例えば、Sounding Reference Signal、CQI、RACHの送信などが考えられる。)(7)下りデータに対するHARQ対応のAck信号/Nack信号の送信動作(8)L1/L2制御信号の送信動作(9)前記(1)~(8)の組み合わせ動作ただし、(9)における(1)~(8)の組み合わせ動作は、時間的に連続でも不連続でもよい。」
(3)
「」
引用文献1の上記記載、及びこの分野における技術常識を考慮すると、次のことがいえる。
ア 上記「段落27」には、「以降、LTEシステムについて説明する。」との記載、及び上記「段落31」には、「DTX周期にて移動端末3がDTX動作期間中のActiveで行う送信動作の例としては、下記の(1)~(9)の送信動作が考えられる。」との記載があるから、引用文献1には、「LTEシステムにおける、移動端末のDTX動作期間中の送信動作方法」が記載されているといえる。
イ 上記「段落30」には、「Active中のDTX動作期間とは、ある一定時間の送信動作と、ある一定時間の送信を行わない動作をActive中のDTX周期にて繰り返す期間」と記載されているから、DTX動作とは、ある一定時間の送信動作と、ある一定時間の送信を行わない動作をDTX周期にて繰り返すことであるといえる。また、上記「図15 下図」からは、DTX動作期間中に複数のDTX周期が含まれることが見て取れる。
そうすると、引用文献1には、「DTX動作とは、ある一定時間の送信動作と、ある一定時間の送信を行わない動作をDTX周期にて繰り返すことであり、DTX動作期間中に複数のDTX周期が含まれる」ことが記載されているといえる。
以上を総合すると、上記引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「 LTEシステムにおける、移動端末のDTX動作期間中の送信動作方法あって、DTX動作とは、ある一定時間の送信動作と、ある一定時間の送信を行わない動作をDTX周期にて繰り返すことであり、DTX動作期間中に複数のDTX周期が含まれる、方法。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された、特開2005-026862号公報には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)
「【0017】以上の図2から判るように、移動局MT1以外の移動局MT2~MT4はパワーセーブ状態におかれることが可能とされているが、図5に示すパワーセーブ動作とは異なり、それら移動局MT2~MT4各々のパワーセーブ状態からの復帰タイミングは基地局APにより時間的に重複しないよう、意図的にずらされている。また、パワーセーブ状態から復帰した移動局に対しては、基地局APから最優先でポーリングが行われることによって、CFP期間中にその移動局に係るデータの送受信が行われている。」
上記引用文献2の記載によれば、「移動局MT2~MT4各々のパワーセーブ状態からの復帰タイミングは基地局APにより時間的に重複しないよう、意図的にずらされている。」ものである。
そうすると、引用文献2には、「各移動局のパワーセーブ状態からの復帰タイミングは基地局APにより時間的に重複しないよう制御される。」という技術事項が記載されている。
3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された、国際公開第2015/050771号には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付与した。)
「[0055] In many deployments, as mentioned above, a device seeking to transmit using an unlicensed radio frequency spectrum band may be required to verify that the unlicensed radio frequency spectrum band is available for use in such a transmission, that is, the unlicensed radio frequency spectrum band is not already in use by one or more other devices. Thus, prior to transmitting using the unlicensed radio frequency spectrum band, a device may perform a contention-based channel access procedure, also referred to as a listen before talk (LBT) procedure, in order to gain channel access.(後略)」
([当審訳]
[0055]多くの展開では、上述のように、無認可無線周波数スペクトル帯域を使用して送信することを求めるデバイスは、無認可無線周波数スペクトル帯域がそのような送信において使用するのに利用可能であること、すなわち、無認可無線周波数スペクトル帯域が1または複数の他のデバイスによってすでに使用中ではないことを検証する必要があり得る。したがって、無認可無線周波数スペクトル帯域を使用して送信するより前に、デバイスは、チャネルアクセスを獲得する(gain)ために、リッスンビフォアトーク(LBT)手順とも呼ばれる競合ベースのチャネルアクセス手順を実施し得る。(後略))
引用文献3の記載によれば、「無認可無線周波数スペクトル帯域を使用して送信することを求めるデバイスは、無認可無線周波数スペクトル帯域がそのような送信において使用するのに利用可能であること、すなわち、無認可無線周波数スペクトル帯域が1または複数の他のデバイスによってすでに使用中ではないことを検証する必要があり得る。したがって、無認可無線周波数スペクトル帯域を使用して送信するより前に、デバイスは、チャネルアクセスを獲得する(gain)ために、リッスンビフォアトーク(LBT)手順とも呼ばれる競合ベースのチャネルアクセス手順を実施し得る。」ものである。
そうすると、引用文献3には、「無認可無線周波数スペクトル帯域を使用して送信することを求めるデバイスはチャネルアクセスを獲得するために、リッスンビフォアトーク(LBT)手順とも呼ばれる競合ベースのチャネルアクセス手順を実施する。」という技術事項が記載されている。
第7 対比・判断
1 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
(1)引用発明は「移動端末」は、本願発明1の「ユーザ機器(UE)」に含まれる。そして、引用発明の「LTEシステム」は、ワイヤレス通信システムの一種であるといえるから、引用発明の「LTEシステムにおける、移動端末のDTX動作期間中の送信動作方法」は、ワイヤレス通信システムにおけるユーザ機器の送信動作方法、すなわち、ユーザ機器におけるワイヤレス通信の方法であるといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明は、「ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信の方法」という点で共通する。
(2)引用発明の「DTX動作」とは、移動端末から、ある一定時間の送信動作と、ある一定時間の送信を行わない動作をDTX周期にて繰り返すことであり、ある一定時間の送信動作とは、ある一定時間の移動端末からのアップリンク通信を送信する動作、ある一定時間の送信を行わない動作とは、ある一定時間の移動端末からのアップリンク通信を送信することを控える動作であるから、送信動作のある一定時間は、本願発明1の「オン期間」及び「オン期間の間」、送信を行わない動作のある一定時間は、本願発明1の「オフ期間」及び「オフ期間の間」に相当するといえる。
そして、DTX周期とは、ある一定時間の移動端末からのアップリンク通信を送信する動作、及びある一定時間の移動端末からのアップリンク通信を送信することを控える動作を含む周期、すなわちDTX周期には、オン期間、オフ期間が含まれるものであるから、引用発明の「DTX周期」は、本願発明1の「送信単位」に相当するといえる。
さらに、DTX動作期間には、DTX周期が複数含まれる、すなわち複数の送信単位が含まれるから、引用発明の「DTX動作期間」は、本願発明1の「アップリンク持続時間」に相当するといえ、DTX動作期間に各送信単位に送信を行うのは移動端末であるから、移動端末は、DTX動作期間を複数の送信単位に分割(セグメント化)するものといえる。
そうすると、本願発明1と引用発明は、「UEにおいて、アップリンク持続時間を複数の送信単位にセグメント化するステップであって、各送信単位が、少なくとも1つのオン期間および少なくとも1つのオフ期間を備える、ステップと、送信単位の少なくとも1つの間に、アップリンク通信を送信するステップとを備え、複数の送信単位のうちの所与の送信単位ごとに、送信単位のオン期間の間、UEが、アップリンク通信を送信し、送信単位のオフ期間の間、UEが、アップリンク通信を送信することを控える」点で共通する。
以上を総合すると、本願発明1と引用発明とは、以下の点で一致し、また、相違している。
(一致点)
「 ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信の方法であって、前記UEにおいて、アップリンク持続時間を複数の送信単位にセグメント化するステップであって、各送信単位が、少なくとも1つのオン期間および少なくとも1つのオフ期間を備える、ステップと、前記送信単位の少なくとも1つの間に、アップリンク通信を送信するステップとを備え、前記複数の送信単位のうちの所与の送信単位ごとに、送信単位のオン期間の間、UEが、アップリンク通信を送信し、送信単位のオフ期間の間、UEが、アップリンク通信を送信することを控える方法。」
(相違点1)
本願発明1の「ユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信の方法」は「免許不要周波数帯域において動作する」のに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。
(相違点2)
本願発明1の「アップリンク持続時間を複数の送信単位にセグメント化するステップ」は「UEのために前記免許不要周波数帯域における各フレームの中のアップリンク持続時間を複数の送信単位にセグメント化する」ものであって、「各送信単位が複数の免許不要周波数のうち単一の周波数で」少なくとも1つのオン期間および少なくとも1つのオフ期間を備え、「フレームが整数個の送信単位を備える」ものであるのに対し、引用発明では、「アップリンク持続時間を複数の送信単位にセグメント化するステップ」が「UEのために前記免許不要周波数帯域における各フレームの中のアップリンク持続時間を複数の送信単位にセグメント化する」ものであって、「各送信単位が複数の免許不要周波数のうち単一の周波数で」少なくとも1つのオン期間および少なくとも1つのオフ期間を備え、「フレームが整数個の送信単位を備える」ことが特定されていない点。
(相違点3)
本願発明1の「送信単位の少なくとも1つの間に、アップリンク通信を送信するステップ」は、「リッスンビフォアトーク(LBT)プロシージャを実行することなく、複数の送信単位の少なくとも1つの間に、免許不要周波数帯域上でアップリンク通信を送信する」のに対し、引用発明では、当該発明特定事項が特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑み、まず、相違点3について検討する。
相違点3に係る本願発明1の「送信単位の少なくとも1つの間に、アップリンク通信を送信するステップ」において、「リッスンビフォアトーク(LBT)プロシージャを実行することなく、複数の送信単位の少なくとも1つの間に、免許不要周波数帯域上でアップリンク通信を送信する」という発明特定事項は、引用文献1には記載も示唆もされていない。また、原査定において他の請求項に係る発明に対して引用された引用文献2及び引用文献3にも記載も示唆もされておらず、さらに、当該技術分野において周知技術であるともいえない。
よって、当業者といえども、引用発明において、上記相違点3に係る本願発明1の「送信単位の少なくとも1つの間に、アップリンク通信を送信するステップ」において、「リッスンビフォアトーク(LBT)プロシージャを実行することなく、複数の送信単位の少なくとも1つの間に、免許不要周波数帯域上でアップリンク通信を送信する」ものとすることは、容易に想到し得たとはいえない。
したがって、上記相違点1及び相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本願発明2ないし11について
本願発明2ないし11は、本願発明1の発明特定事項を全て含むから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本願発明12ないし22について
本願発明12ないし22は、本願発明1ないし11の方法を各手段を備えるユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための装置としたものであって、上記1 で説示した相違点3に係る本願発明1の発明特定事項を少なくとも備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
4 本願発明23ないし33について
本願発明23ないし33は、本願発明1ないし11の方法をメモリ及びプロセッサを備えるユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のための装置としたものであって、上記1.で説示した相違点に係る本願発明1の発明特定事項を少なくとも備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
5 本願発明34ないし44について
本願発明34ないし44は、本願発明1ないし11の方法をユーザ機器(UE)におけるワイヤレス通信のためのコンピュータ実行可能コードを記憶するコンピュータ可読記憶媒体としたものであって、上記1.で説示した相違点に係る本願発明1の発明特定事項を少なくとも備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても引用発明並びに引用文献2及び引用文献3に記載の技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第8 原査定の理由についての判断
令和3年8月25日に提出された手続補正により、本願発明1ないし44は「送信単位の少なくとも1つの間に、アップリンク通信を送信するステップ」において、「リッスンビフォアトーク(LBT)プロシージャを実行することなく、複数の送信単位の少なくとも1つの間に、免許不要周波数帯域上でアップリンク通信を送信する」という発明特定事項を備えており、当該発明特定事項は、上記第7で説示したとおり、原査定において引用された引用文献1ないし3には記載も示唆もされておらず、当該技術分野における周知技術であるともいえず、当業者であっても容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
第9 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-014070