意匠拒絶査定不服審判
2020-013968
建築用壁板
- 審判番号
- 2020-013968
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2019-010692外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年10月05日
- 審決日
- 2021年03月31日
- 公報発行日
- 2021年06月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ニチハ株式会社
- 分類
- D18 .113-WY (L6-1)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2019- 10692「建築用壁板」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
令和1年 5月17日 意匠登録出願
令和2年 1月31日付け 拒絶理由通知書
同年 4月 2日 意見書提出
同年 6月18日付け 拒絶査定
同年10月 5日 拒絶査定不服審判請求書提出
第2 本願の意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「建築用壁板」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した写真に現されたとおりとしたものである。(別紙第1参照)
第3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法3条1項3号に掲げる意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠(別紙第2参照)
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2008年 7月14日
受入日 特許庁意匠課受入2008年 7月18日
掲載者 ニチハ株式会社
表題 商品詳細
掲載ページのアドレス
http://www.5.mediagalaxy.co.jp/CGI/nichiha/wallstreet/search/search.cgi?mode=detail&materials=wall&item_code=LF332
に掲載された「建築用装飾板」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ20016737号)
第4 当審の判断
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は、「建築用壁板」であり、引用意匠の意匠に係る物品は、「建築用装飾板」であって、表記は異なるが、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも、家屋等の建築物の壁面に用いられる壁板であるから、その用途及び機能は一致するものである。
(2)両意匠の形態
両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び相違点がある。
ア 共通点
(共通点1)両意匠は、正面を化粧面とする略横長長方形板であって、正面全体に略横長細帯状の低い突条を上下に近接して多数配置している点において共通する。
(共通点2)両意匠は、化粧面の突条の数を、23本とし、その表面を、風化して一部欠けたような石積み様に形成し、各突条ごとに縦の切り込みを複数本設けている点において共通する。
イ 相違点
(相違点1)正面の縦横の長さの比率において、本願意匠は、約1:4であるのに対し、引用意匠は、約1:6.7で、引用意匠の方が、本願意匠より横長で、奥行き(厚み)は、本願意匠は、縦の長さの約1/20であるのに対し、引用意匠は、約1/28で、本願意匠の方が、引用意匠より厚みがある点で、両意匠は相違する。
(相違点2)化粧面の突条について、本願意匠は、縦の切り込みの位置を揃えた突条を断続的に多数設けているのに対し、引用意匠は、縦の切り込みの位置に規則性はみられない点で、両意匠は相違する。
(相違点3)化粧面の色彩において、本願意匠は、灰色であるのに対し、引用意匠は、黄土色である点で、両意匠は相違する。
(相違点4)周縁の接合箇所について、本願意匠は、周縁を段差状に形成しているのに対し、引用意匠は、周縁の開示がなく不明である点で、両意匠は相違する。
2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に与える影響を評価・総合して、両意匠の類否を意匠全体として検討し、判断する。
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は一致するから、同一である。
(2)形態の共通点及び相違点の評価
両意匠は、家屋等の建築物の壁面に取り付けられる化粧用の壁板であるから、需要者は、主に外観に注目する住宅等購入者のほか、壁板材の取り付けや施工を行う取引業者や施工業者が含まれる。
したがって、まず、需要者が最も注意を払う部位である正面部の化粧面の態様について評価し、かつそれ以外の形態も併せて、各部を総合して意匠全体として形態を評価することとする。
ア 共通点の評価
(共通点1)この種物品の分野において、本願の出願前から、ごく普通にみられる態様であることから、需要者が特段注目するものではなく、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(共通点2)この種物品の分野において、突条の数を両意匠と同じとしたものや、多少増減したものがごく普通にみられ、また、突条の表面を、風化して一部欠けたような石積み様とし、各突条ごとに縦の切り込みを複数本ずつ設けている点においても、当該物品の分野において、一般に見られる態様であるから、この点に、需要者が特段注目するものではなく、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
イ 相違点の評価
(相違点1)正面の縦横の長さの比率は、壁板の構成単位としては、常套的になされる改変の範囲内のものといえ、奥行きについても、この種物品の分野における一般的な厚みとする中における部分的な相違であるから、両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
(相違点2)縦の切り込みの位置を揃えた突条を断続的に多数設けることによって、全体としてみると、化粧面を横に約8等分しているようにみえる本願意匠の態様は、自然石を模して石積み様に表した化粧面のなかに規則性を表出しており、ランダムに縦の切り込みを設けた引用意匠の態様と比較すると、需要者に異なる美感を起こさせるものといえ、また、このような態様のものは、本願意匠の他にはみられず、本願意匠独自の態様といえるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(相違点3)は、同系色で、多少色相を変化させた程度の相違であるから、両意匠の類否判断に与える影響はほとんどない。
(相違点4)は、本願意匠の態様は当該物品の分野においてごく普通にみられる態様であるから、両意匠の類否判断に与える影響はほとんどない。
ウ 形態の類否判断
両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、両意匠を全体として総合的に観察し、判断した場合、両意匠は、(共通点1)及び(共通点2)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいのに対して、(相違点1)、(相違点3)及び(相違点4)が、両意匠の類否判断に与える影響は小さいものの、(相違点2)が、両意匠の類否判断に与える影響は大きいものであるから、相違点全体が相まって両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
したがって、両意匠の形態全体を総合的に観察した場合、両意匠の形態は、共通点に比べて、相違点が与える影響の方が大きいものであるから、両意匠の形態は類似しない。
(3)小括
そうすると、両意匠は、意匠に係る物品は同一であるが、その形態において類似しないから、本願意匠は引用意匠に類似しない。
第5 むすび
以上のとおりであって、原査定の引用意匠をもって、本願意匠は、意匠法3条1項3号に掲げる意匠に該当するものとすることはできないから、原査定の拒絶の理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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