意匠拒絶査定不服審判
2020-012194
Underwear
- 審判番号
- 2020-012194
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-501956外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年08月07日
- 審決日
- 2021年03月31日
- 公報発行日
- 2021年05月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】エイチビーアイ ブランデッド アパレル エンタープライゼズ,エルエルシー
- 【請求人代理人】特許業務法人 信栄特許事務所
- 分類
- D18 .113-WY (B1-6)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2018-501956「Underwear」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)12月19日(パリ条約による優先権主張2018年6月21日、アメリカ合衆国)の国際意匠登録出願であって、令和1年(2019年)11月11日付けの拒絶の通報に対し、令和2年(2020年)2月28日に意見書が提出されたが、同年5月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年8月7日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願の意匠(願書及び添付図面の記載)
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとするもので、その意匠は、意匠に係る物品を「Underwear(参考訳:「下着」。以下日本語訳で示す。)」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。)、図面は、意匠登録を受けようとする部分を実線で、その他の部分を破線によって描かれたものである(以下、実線によって描かれた部分を「本願部分」という。別紙第1参照。)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
そして、その引用意匠は、大韓民国特許庁発行の大韓民国意匠公報(公報発行日2013年7月11日)に掲載された、意匠登録番号第30-0700574号(意匠に係る物品「男性用機能性パンツ」)の意匠の本願意匠に相当するステッチの部分としたものである(以下「引用部分」という。別紙第2参照。)。
第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第1項第3号の該当性、すなわち、本願意匠が引用意匠に類似する意匠であるか否かについて検討し、判断する。
1 本願意匠と引用意匠の対比
(1)本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品の対比
本願意匠は、意匠に係る物品を「下着」とし、引用意匠は、「男性用機能性パンツ」とするものであるが、本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)のいずれも下半身用の下着に係るものであり、共通する。
(2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも前身頃における各布の連結部に係る用途及び機能を構成するものであり、共通する。
(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分は、いずれも上端のバンド部より下側の、前身頃における局部当て布と左右の布の連結部及び当該連結部の下方から左右の股下部端部にわたる連結部であるから、位置、大きさ及び範囲が共通する。
(4)両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると、その形態には、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
なお、本願意匠の前身頃が表れている側(図1.2)を正面図、引用意匠の前身頃が表れている側を正面図として、以下対比する。
ア 共通点
全体を、正面視中央の局部当て布と前身頃左右の布との連結部を上側が僅かにすぼまった略U字状のライン模様(以下、「略U字状連結部」という。)と、その略U字状連結部の高さの約1/4のところから左右の股下部端部にわたる、股部の布と前身頃左右の布との連結部によるライン模様(以下、「股下連結部」という。)とによって構成する点。
イ 相違点
(ア)股下部連結部について
本願部分の股下部連結部は、略U字状連結部の高さの約7/8の長さとするのに対し、引用部分は、同約3/5の長さとする点。
(イ)連結部における縫い目について
本願部分は、略U字状連結部及び股下部連結部のいずれも細長泪状の縫い目を等間隔に配することによってライン模様を構成し、その細長涙目状の縫い目は、細い先端側を各連結部の内側へ向けたものとしているのに対し、引用部分の各連結部は、いずれも縫い目を有していない、2本の線で構成している点。
2 類否判断
(1)両意匠の意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。
(2)両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、同一である。
(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置、大きさ及び範囲は、同一である。
(4)両部分の形態の類否判断
ア 共通点及び相違点の評価
両意匠は、いずれも下半身用の下着に係るものであり、当該物品分野における需要者は、ファッション性に加え、伸縮性等の履き心地についても着目するものということができる。
したがって、ライン模様として表れた連結部については、その態様によっては、外観のみならず伸縮性等の観点からも需要者の注意を惹く部分となり得るものということができる。
(ア)共通点の評価
上側が僅かにすぼまった略U字状連結部と、その略U字状連結部から左右の股下部端部にわたる股下部連結部による構成は、全体の構成に係るものであるが、このような態様は、出願前より公然知られた態様となっており(参考意匠1、参考意匠2等)、両部分独自の態様とするものではないことから、類否判断に及ぼす影響は限定的なものといわざるを得ない。
参考意匠1(別紙第3参照)
特許庁意匠課公知資料番号HJ29045075号の「パンツ」の意匠
参考意匠2(別紙第4参照)
公開特許公報 特開2008-196078号 第6図に表された「男性用下半身衣類」の意匠
(イ)相違点の評価
相違点(ア)は、いわゆるボクサーブリーフタイプの下着において、股下を長くするタイプは、よく見られるものであることから、股下部連結部の長さにおける相違点は、その股下の長さによるものに過ぎず、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。
一方、相違点(イ)は、本願部分の各連結部のライン模様を構成する縫い目に係るもので、一般的な環縫い系の縫い目や、破線状の縫い目等であれば、需要者も着目することはないが、本願部分における細長涙目状の縫い目は独特なもので、また、需要者が十分視認できる大きさに表れているものであり、両部分の形態の類否判断に決定的な影響を及ぼすものと認められる。
イ 総合評価に基づく両部分の形態の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、両部分の形態全体を総合的に観察し、判断する。
前記ア(ア)に説示したとおり、共通点は、両部分独自の態様とするものではないことから、類否判断に及ぼす影響は限定的なものである。
また、前記ア(イ)に説示したとおり、相違点(ア)も、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。
しかしながら、相違点(イ)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は決定的なものであり、需要者に両部分の形態から受ける印象を異なるものとしている。
したがって、両部分の形態全体を総合的に観察した場合、両部分の形態は、共通点よりも相違点の及ぼす影響の方が大きく、両部分の形態は類似しない。
(5)小括
両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲も同一であるが、両部分の形態は類似しない。
したがって、両意匠は類似しない。
第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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