特許拒絶査定不服審判
2020-012144
可搬型の測定器
- 審判番号
- 2020-012144
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-195394
- 請求日
- 2020年08月28日
- 審決日
- 2022年01月06日
- 公報発行日
- 2022年03月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】テンパール工業株式会社
- 審判長/審判官
- 審判長 角田 慎治
- 審判官 稲葉 和生
- 審判官 ▲高▼瀬 健太郎
- 分類
- P18 .113-WY (G06F) / P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2015-195394「可搬型の測定器」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 4月 6日出願公開、特開2017- 68716、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は,平成27年9月30日の出願であって、平成31年3月19日付けで拒絶理由が通知され、令和元年8月22日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、令和元年10月1日付けで拒絶理由(最後)が通知されたが、指定した期間内に応答がなかったため令和2年4月24日付けで拒絶査定がされ、これに対し、令和2年8月28日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ、その後、令和3年7月27日付けで当審より拒絶理由が通知され(以下、「当審拒絶理由」という。)、令和3年10月18日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。
第2 原査定の概要
原査定(令和2年4月24日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
1(新規性) 本願請求項1に係る発明は、引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2(進歩性) 本願請求項1-2に係る発明は、以下の引用文献A-Bに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
A.特開2012-145478号公報
B.特開平11-203025号公報
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。
1(進歩性) 本願請求項1に係る発明は、引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.特開2013-211000号公報(当審において新たに引用した文献)
2.特開2010-176299号公報(当審において新たに引用した文献)
3.特開平11-203025号公報(原査定の引用文献B)
4.特開2009-211918号公報(当審において新たに引用した文献)
第4 本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、令和3年10月18日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であって、本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
測定条件を表示および設定する測定条件設定操作部と、
該測定条件設定操作部により設定された条件の測定を開始操作する測定開始操作部と、を備えた可搬型の測定器であって、
前記測定条件設定操作部は、測定条件を表示するとともに、表示部分で使用者の操作を受けるタッチパネルで構成される一方、
前記測定開始操作部は、測定開始操作待ちになったときにタッチパネルの表面に凹凸を形成させることによって構成される押釦スイッチであり、
測定開始操作待ちになったときに、前記タッチパネルの表面には、前記測定開始操作部の凹凸のみが形成され、
前記押釦スイッチを押圧したときにのみ測定を開始することを特徴とする可搬型の測定器。」
第5 引用文献、引用発明等
1 引用文献1及び引用発明
(1) 引用文献1
当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面と共に、下記の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。
ア 段落【0036】-【0042】
「【0036】
<実施形態1>
図1は、本実施形態の携帯型端末装置におけるブロック図である。また、図3および図4は、本携帯型端末装置における表示画面の一表示例を示す図である。
【0037】
本携帯型端末装置は、生産ラインの各工程の作業時間を測定するものである。 具体的には、インストールされたアプリケーションを用いて、測定者が生産ラインを移動しながら各工程での作業時間を測定するものである。
【0038】
ここで、本実施の形態における携帯型端末装置は、組立工程や検査工程等の複数個の工程からなる生産ラインに適用される。また、上記生産ラインで生産される製品の種類や上記生産ラインの構成には関係なく適応可能である。例えば、半導体チップの製造ライン、電子部品の製造ライン、電気製品の製造ライン、電子機器の筺体を製造するための製造ライン等の生産ラインに適用できる。
【0039】
図1において、工程番号入力部1から工程番号が入力されると、工程名・作業者名設定部2によって、工程名・作業者名登録部3に工程番号と対応付けられて予め登録されている工程名と作業者名とが読み出されて、入力工程番号に対応する工程名と作業者名とが設定される。こうして設定された工程名と作業者名とが上記工程番号と関連付けられて工程名・作業者名記憶部4に記憶される。
【0040】
そして、上記作業測定開始部としての通常作業測定開始ボタン5が操作されると、作業時間測定部6によって、計時部7による計時情報に基づいて、当該工程(作業者)での作業時間(以下、通常作業時間と言う場合もある)が計測される。こうして計測された作業時間は、測定作業時間記憶部8に工程(作業者)別に記憶される。さらに、作業時間測定部6によって作業時間が計測される毎に、測定回数計測部9の計測値が更新される。
【0041】
一方、上記付帯作業測定開始部の一例としての付帯作業測定開始ボタン10が操作されると、上記計時部7による計時情報に基づいて、付帯作業時間測定部11によって、当該工程(作業者)での付帯作業時間が計測される。こうして計測された付帯作業時間は、測定付帯作業時間記憶部12に工程(作業者)別に記憶される。さらに、付帯作業時間測定部11によって付帯作業時間が計測される毎に、付帯作業測定回数計測部13の計測値が更新される。
【0042】
こうして、上記測定回数計測部9の計測値が予め設定された設定値に至ると、平均作業時間算出部14によって、測定作業時間記憶部8に記憶されている測定作業時間と、測定回数計測部9の計測値と、並列作業数登録部15に予め登録されている並列作業数とに基づいて、後に詳述するようにして当該工程(作業者)での平均作業時間が算出される。そして、算出された平均作業時間が工程(作業者)別に表示データ記憶部16に記憶される。」
イ 段落【0051】-【0053】
「【0051】
以下、図3および図4に従って、本携帯型端末装置における表示画面26の表示例について説明する。
【0052】
図3に示す表示例は、作業時間を測定する際における表示画面26の表示例である。図3の全体は表示画面26を示している。操作ボタン1aおよび操作ボタン1bは、図1における工程番号入力部1を構成している。また、操作ボタン5は、図1における通常作業測定開始ボタン5である。また、操作ボタン10は、図1における付帯作業測定開始ボタン10である。また、操作ボタン27および操作ボタン28は、図1における表示切替ボタン24を構成している。
【0053】
上記各操作ボタン1a,1b,5,10,27,28は、ソフトウェアボタンで形成されている。ここで、ソフトウェアボタンとは、使用者が操作することができる入力機能を有するグラフィカルユーザーインターフェースのことであり、例えば、タッチパネルによる操作やマウスを用いた操作によって、対応付けられている設定処理や測定処理や演算処理を行わせることができる。」
ウ 【図3】
「
[図:0001382004000001.jpg]
」
(2) 引用発明
よって、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が開示されているものと認められる。
「携帯型端末装置は、生産ラインの各工程の作業時間を測定するものであり、
工程番号入力部1から工程番号が入力されると、入力工程番号に対応する工程名と作業者名とが設定され、
通常作業測定開始ボタン5が操作されると、当該工程(作業者)での作業時間(以下、通常作業時間と言う場合もある)が計測され、さらに、作業時間測定部6によって作業時間が計測される毎に、測定回数計測部9の計測値が更新され、
こうして、上記測定回数計測部9の計測値が予め設定された設定値に至ると、当該工程(作業者)での平均作業時間が算出され、
作業時間を測定する際における表示画面26において、
操作ボタン1aおよび操作ボタン1bは、工程番号入力部1を構成し、
操作ボタン5は、通常作業測定開始ボタン5であり、
上記各操作ボタン1a,1b,5は、ソフトウェアボタンで形成され、ここで、ソフトウェアボタンとは、使用者が操作することができる入力機能を有するグラフィカルユーザーインターフェースのことであり、例えば、タッチパネルによる操作やマウスを用いた操作によって、対応付けられている設定処理や測定処理や演算処理を行わせることができる、
携帯型端末装置。」
2 引用文献2-4について
(1) 「引用文献2」について
当審拒絶理由に引用した引用文献2には、図面と共に、下記の記載がある。
ア 段落【0001】-【0006】
「【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを利用している電子機器の入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
前記タッチパネルを利用している電子機器とは、具体的には、携帯電話機のタッチパネル、パーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という。)のタッチパネル、ノート型パソコンのタッチパネル、PDA(Personal Digital Assistant)のタッチパネル、ゲーム機のタッチパネル、カメラ機のタッチパネル、テレビジョン(以下、「テレビ」という。)のタッチパネル、各種測定器のタッチパネル、公共施設等に設置されている案内用の機器のタッチパネル、等をいう。
・・・(中略)・・・
【0006】
本発明の目的は、タッチパネルの境界を動的に変化させることができる入力装置を提供することである。」
イ 段落【0030】-【0033】
「【0030】
表示部48と操作部47との関係において、制御部46は表示部48に表示する入力キーを決定する。具体的には、どの入力キーを表示させるか、表示させる場合にはその入力キーの大きさを決定する。
また、制御部46は、表示している入力キーに対応する部分の押圧があったことをタッチパネル9が検出した場合に表示している入力キーの入力があったものと判断する。
さらに、制御部46は複数の入力キーの境界部分を突起させるように、表面形状形成部51に指示を発行する機能を有している。これによって、ユーザは視覚的のみならず、触覚的にも入力キーの形状を認識することができ、入力間違いを防ぐことができる。
【0031】
図3~図5はタッチパネル式ディスプレイ8の表示部48が表示する内容の一例である。
【0032】
図3の(a)及び(b)のように、通常のボタン式の携帯電話機1が有するボタンと同様の内容、つまり「あいうえお入力」及び「テンキー入力」、を表示することも可能である。
また、図4のように、単純に「はい(Yes)」と「いいえ(No)」を表示することも可能である。
さらに、図5のように、パソコンのキーボードと同様の内容を表示(以下、「フルキーボード表示」という。)することも可能である。
【0033】
表示部48に表示される内容は、上記図3~図5に記載された内容にとどまるものではなく、様々な内容を表示可能である。そして、表示部48に表示される内容に応じてタッチパネル9によって検出するキー入力の内容も変化する。」
ウ 段落【0051】
「【0051】
図13は、入力キーの境界を突起部分38によって形成する方法を説明する説明図である。」
エ 【図13】
「
[図:0001382004000002.jpg]
」
オ 段落【0085】
「【0085】
「変形例その6」
本発明の技術的思想の本質は、タッチパネル式ディスプレイ8の表面に凹凸を生じさせて、ユーザにこの凹凸を認識させることである。
そうすると、タッチパネル式ディスプレイ8の表面に凹凸を形成する方法は、バイオメタルファイバー28に電圧を印加するという方法にとどまるものではなく他の方法によることもできる。」
(2) 「引用文献3」について
当審拒絶理由に引用した引用文献3には、図面と共に、下記の記載がある。
ア 段落【0005】
「【0005】【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、指で触れることでキー位置を確認出来るような凹凸形状により、通常のキーボードと同様に触覚によって入力感が得られるようにして、入力者の入力感覚を向上し適確な入力操作を行うことができること、および前記凹凸形状が可逆的に所望の形状に変化し、任意の表示画像に対応した凹凸形状を形成できるような情報入力装置を提供することである。また、本発明の別な目的は、従来のタッチパネルの機能を有し且つ凹凸形状が変化する凹凸形成パネルを提供することである。」
イ 段落【0047】-【0048】
「【0047】信号制御装置C1から、前記液晶駆動回路Dbに液晶表示信号C1aが出力されると、液晶駆動回路Dbは所定の入力情報(図4参照)を液晶パネルDaに表示する。これと同時に、信号制御装置C1からは、凹凸形成パネル制御信号C1bが凹凸形成パネル駆動回路C2に出力され、凹凸形成パネル駆動回路C2は、前記図4に示す各キーD1~D10の表示領域を突出させるように、前記凹凸形成用X軸方向電極2および凹凸形成兼検出用Y軸電極7に電圧を印加する。前記電圧の印加により電気的刺激を受けた領域の高分子ゲル層5の高分子ゲルは体積変化して、周囲の変化していない領域に対して突出する。このような凹凸パターンの形成により、必要な情報の入力作業において、入力キーに位置を容易にかつ触感で感じることができる。
【0048】前記凹凸形成パネルPの所望の入力情報(入力キー)が表示されている領域を押下すると、凹凸形成パネルPにおいて入力された位置情報(選択された入力情報)に対応する電気信号(電位の変化)が発生し、検出用X軸方向電極4および凹凸形成兼検出用Y軸方向電極7に接続された選択情報検出部C3に入力される。選択情報検出部C3は選択された入力情報に関する信号を信号処理部C1に出力する。信号処理部C1は、選択された入力情報に基づいて次の新たな入力情報の表示を行ったり、または所定の処理を行う。次に、新たな情報が表示されると、再度、表示された情報に応じて凹凸形状が変化し、前回とは異なる入力情報に応じた配置のキー(突出)が形成されて入力待ちの状態となる。」
ウ 【図4】
「
[図:0001382004000003.jpg]
」
(3) 「引用文献4」について
当審拒絶理由に引用した引用文献4には、図面と共に、下記の記載がある。
ア 段落【0017】
「【0017】
上記第1の局面による凹凸形成装置において、好ましくは、表示装置に入力用
ボタン画像が表示され、入力用ボタン画像が表示される領域に対応するように凹
凸形成部材が配置され、入力用ボタン画像に対応する領域において、表示装置か
ら発せられた光によって、凹凸形成部材が凸状のボタン形状を形成するように構
成されている。このように構成すれば、表示装置に表示された入力用ボタン画像
に対応するように凸状のボタンを形成することができるので、表示装置の入力用
ボタン画像が表示されるのと連動して、表示装置の入力用ボタン画像に対応する
位置の凹凸形成部材に凸状の入力用ボタンを形成させることができる。」
イ 【図1】
「
[図:0001382004000004.jpg]
」
(4) まとめ
引用文献2-4の上記記載から、誤操作を防ぐために、表示面の操作ボタン等の形に合わせて凹凸を形成することは、周知技術であったと認められる。
3 引用文献Aについて
(1) 原査定における引用文献Aには、図面と共に、下記の記載がある。
ア 段落【0062】-【0064】
「【0062】
測定装置の外観図を図8に示し説明する。
【0063】
測定装置51は直方体の形状で,実施例2のセンサモジュールと同じ大きさ,同じ構造,同じ取付方で非検出部位付き針電極10と非検出部位のない針電極11の合計2本を具備している。表示装置52はタッチパネル機能を有しており,測定結果を表示するほか,時間設定や測定条件など,測定装置51の各種設定を行うことが可能である。SDカード53はFATファイルシステムにより,パソコンで閲覧や処理が可能な形で測定データが記録される。
【0064】
電源アダプタ58を電源コネクタ54に接続して,商用電源での駆動を可能にしている。内部電源として,電池57を実装できるようにしている。電源スイッチ55により,本体の電源をオンオフする。測定ボタン56は,測定装置51を片手で持ったとき,ちょうど親指がおかれる位置付近に配置した。これにより片手でサツマイモを持ち,もう一方の手で測定器を持ち測定した場合,自然に測定ボタンを押すことができ,持ち直しなどが発生せず,測定がスムーズに進む。装置未使用時における針電極の保護と,使用者の受傷防止のために電極キャップ59を用意した。」
イ 【図8】
「
[図:0001382004000005.jpg]
」
(2) したがって、引用文献Aには、「表示装置52はタッチパネル機能を有しており、測定結果を表示するほか、時間設定や測定条件など、測定装置51の各種設定を行うことが可能であり、測定ボタン56は、測定装置51を片手で持ったとき、ちょうど親指がおかれる位置付近に配置した、測定装置51」という技術的事項が記載されていると認められる。
第6 対比・判断
1 対比
本願発明1と、引用発明とを対比すると、以下のことがいえる。
ア 引用発明の「工程番号入力部1」は、「工程番号入力部1から工程番号が入力されると、入力工程番号に対応する工程名と作業者名とが設定され」るから、本願発明1の「測定条件を表示および設定する測定条件設定操作部」に相当する。
イ 引用発明の「通常作業測定開始ボタン5」は、本願発明1の「該測定条件設定操作部により設定された条件の測定を開始操作する測定開始操作部」に相当する。
ウ 引用発明の「携帯型端末装置」は、本願発明1の「可搬型の測定器」に相当する。
エ 引用発明の「通常作業測定開始ボタン5」が、「ソフトウェアボタンで形成され、ここで、ソフトウェアボタンとは、使用者が操作することができる入力機能を有するグラフィカルユーザーインターフェースのことであり、例えば、タッチパネルによる操作やマウスを用いた操作によって、対応付けられている設定処理や測定処理や演算処理を行わせることができる」ことは、本願発明1の「前記測定条件設定操作部は、測定条件を表示するとともに、表示部分で使用者の操作を受けるタッチパネルで構成される」を備えることに相当する。
オ 引用発明が、「通常作業測定開始ボタン5が操作されると、当該工程(作業者)での作業時間(以下、通常作業時間と言う場合もある)が計測され」ることは、これ以外に、通常作業時間の測定を指示する手段が特定されていないから、本願発明1の「前記押釦スイッチを押圧したときにのみ測定を開始すること」に相当するといえる。
よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。
[一致点]
「測定条件を表示および設定する測定条件設定操作部と、
該測定条件設定操作部により設定された条件の測定を開始操作する測定開始操作部と、を備えた可搬型の測定器であって、
前記測定条件設定操作部は、測定条件を表示するとともに、表示部分で使用者の操作を受けるタッチパネルで構成される一方、
前記押釦スイッチを押圧したときにのみ測定を開始することを特徴とする可搬型の測定器。」
[相違点1]
本願発明1では、「前記測定開始操作部は、測定開始操作待ちになったときにタッチパネルの表面に凹凸を形成させることによって構成される押釦スイッチであり、測定開始操作待ちになったときに、前記タッチパネルの表面には、前記測定開始操作部の凹凸のみが形成される」のに対して、引用発明では、「通常作業測定開始ボタン5」は、「測定開始操作待ちになったときにタッチパネルの表面に凹凸を形成させることによって構成され」、「測定開始操作待ちになったときに、前記タッチパネルの表面には、前記測定開始操作部の凹凸のみが形成される」ことが特定されていない点。
2 当審の判断
本願発明1の上記[相違点1]に係る、「前記測定開始操作部は、測定開始操作待ちになったときにタッチパネルの表面に凹凸を形成させることによって構成される押釦スイッチであり、測定開始操作待ちになったときに、前記タッチパネルの表面には、前記測定開始操作部の凹凸のみが形成される」構成は、上記引用文献1-4には記載されておらず、周知技術であるともいえない。
特に、引用文献2-4(上記第5の2を参照。)には、誤操作を防ぐために、表示面の操作ボタン等の形に合わせて凹凸を形成する周知技術が開示されている。しかしながら、たとえ引用発明に、上記周知技術を適用することが想定できたとしても、さらに、「測定開始操作待ちになったときに、前記タッチパネルの表面には、前記測定開始操作部の凹凸のみが形成される」構成とすることまでは開示されておらず、また、そのように構成する起因も見出し難い。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
第7 原査定についての判断
令和3年10月18日付けの補正により、補正後の請求項1は、本願発明1の上記[相違点1]に係る、「前記測定開始操作部は、測定開始操作待ちになったときにタッチパネルの表面に凹凸を形成させることによって構成される押釦スイッチであり、測定開始操作待ちになったときに、前記タッチパネルの表面には、前記測定開始操作部の凹凸のみが形成される」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A-Bには記載されておらず、周知技術でもないので、本願発明1は、原査定における引用文献Aに記載された発明ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用文献A-Bに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2020-012144