2020-012096
Low Shoe
- 審判番号
- 2020-012096
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-501716外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年08月28日
- 審決日
- 2021年03月17日
- 公報発行日
- 2021年05月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】オン クローズ ゲーエムベーハー
- 【請求人代理人】特許業務法人 英知国際特許事務所
- 分類
- D18 .113-WY (B5-1)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第7条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
本願は、2018年(平成30年)11月14日(パリ条約による優先権主張 2018年(平成30年)5月14日、スイス)の国際意匠登録出願であって、令和1年(2019年)12月3日付けの拒絶の通報に対し、令和2年(2020年)5月22日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年8月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとするもので、その意匠は、意匠に係る物品を「Low Shoe(参考訳:「短靴」。以下日本語訳で示す。)」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。)、物品の部分として意匠登録を受けようとする部分を、「The broken lines in the figures are for the pupose of illustrating portions of the shoe that are not part of the claimed design(参考訳:図中の破線は、この靴の権利を求める意匠の部分ではない部分を示す為のものである。)」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由
1 拒絶の理由1
原査定における拒絶の理由1は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
そして、その引用意匠は、日本国特許庁発行の意匠公報(公報発行日2017年10月2日)に掲載された、意匠登録第1587383号(意匠に係る物品、短靴)に表された意匠(靴底の部分)としたものである(以下「引用部分」という。別紙第2参照。)。
2 拒絶の理由2
原査定における拒絶の理由2は、本願意匠が、経済産業省令で定める物品の区分又はそれと同程度の区分により意匠ごとにされているものとは認められず、意匠法第7条に規定する要件を満たしていないというものである。
具体的には、この意匠登録出願の願書の意匠に係る物品の欄によると「Shoe sole」と記載されているところ、本願の意匠に係る物品は、その他の願書の記載及び添付図面等を総合して判断すると、経済産業省令で定められている物品の区分又はそれと同程度の区分である「Low shoe」と認められるとしたものである。
第4 当審の判断
1 拒絶の理由1について
以下において、本願意匠の意匠法第3条第1項第3号の該当性、すなわち、本願意匠が引用意匠に類似する意匠であるか否かについて検討し、判断する。
(1)対比
ア 意匠に係る物品の対比
本願意匠及び引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、共に「短靴」であり、共通する。
イ 本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれも「短靴」のソール部に係る用途及び機能を構成するものであり、共通する。
ウ 両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分は、いずれも「短靴」のソール部であるから位置、大きさ及び範囲が共通する。
エ 両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると、その形態には、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
なお、本願意匠の図面が右足用の「短靴」を、引用意匠の図面が左足用の「短靴」を表している点に留意し、つま先側を前方、かかと側を後方として認定し、対比する。
(ア)共通点
(a)ソール部の全体構成
地面に接するアウトソール及びその上部のミッドソールによる二層の構成としている点。
(b)アウトソールの態様
(b-1)底面視、短手方向に略直線状の溝を平行に設けるとともに、かかと側の端部(以下「後端部」という。)からつま先側の端部(以下「先端部」という。)に向かって略弓状に1本の大きな溝(以下「底部中央溝」という。)を設け、その底部中央溝を軸として両サイドに小ブロックを構成し、その小ブロックは、先端部と後端部の小ブロックを除き、略長方形状とする点。
(b-2)アウトソールの各小ブロックは、短靴の内側、外側の両側面のミッドソール寄りに、請求人の記載によるところの小穴(図面上は穴が貫通しているか等、穴の奥側の具体的態様は明確ではないが、以下「小穴」という。)を有している点。
(イ)相違点
(a)ソール部の全体構成
本願部分は、側面視において、つま先側に加え、かかと側の端部も上方に反り返った態様となっており、長手方向の中央は水平状の態様としているのに対し、引用部分は、つま先側のみ上方に反り返り、長手方向中央は土踏まずにあわせアーチ状に盛り上がった態様としている点。
(b)ミッドソールの態様
本願部分のミッドソールは、側面視においてつま先側約1/3のところから後端に向かって漸次肉厚に形成され、その厚み(縦幅)は、つま先側約1/3の位置の縦幅の約3倍となっているのに対し、引用部分の同箇所のミッドソールは、前後の厚み(縦幅)がほぼ同厚の薄いものとしている点。
(c)アウトソールの態様
(c-1)本願部分の各小ブロックは、側面視、接地面に直線部を有し、短手方向の溝部間に角部を有する略倒台形状とし、各小ブロックに有する小穴も同様に角部を有する略倒台形状としているのに対し、引用部分の各小ブロックは、接地面の直線部が弱い略扁平U字状とし、小穴も同様略扁平U字状としている点。
(c-2)底部中央溝について、本願部分は、後端部から長手方向中央よりやや先端部寄りまでの太溝部と、そこから先端部に向かって幅が先細りとなって貫通する細溝部の2段構成としているのに対し、引用部分は、後端部から中央へ向かって漸次太くなるかかと側溝部と、最も太い底面視略扁平八角形状の中央溝部、そして先端部へ向かって漸次細くなっていくつま先側溝部の3段構成とし、つま先側溝部は、先端から2番目の小ブロックで止まり、貫通していない点。
(2)類否判断
ア 両意匠の意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。
イ 両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、同一である。
ウ 両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置、大きさ及び範囲は同一である。
エ 両部分の形態の類否判断
(ア)共通点及び相違点の評価
両意匠は、いずれも「短靴」のソール部に係るものであり、需要者は、ファッションとしてその外観に着目するのみならず、ランニング等のスポーツギアとしての観点からもその態様について着目するものということができる。
A 共通点の評価
共通点(a)は、当該物品分野において、従来からよく採用されてきた態様にすぎず、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さい。
一方、アウトソールの態様における共通点(b)は、(b-1)及び(b-2)のいずれも両部分の骨格を成すもので、需要者も着目する部分であると認められるところであるが、共通点(b-1)は、底部中央溝を有する態様が参考意匠1(別紙第3参照)などにも見られるため、両部分の類否判断に及ぼす影響は、限定的である。また、共通点(b-2)も、同様の態様が参考意匠2(別紙第4参照)及び参考意匠3(別紙第5参照)にも表れており、既に公然知られた態様であることから、両部分独自の形態ということはできず、類否判断に及ぼす影響は限定的なものといわざるを得ない。
参考意匠1(別紙第3)
特許庁意匠課が2011年12月26日に受け入れたインターネット掲載「短靴」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ23057985号)
参考意匠2(別紙第4)
特許庁意匠課が2011年3月4日に受け入れたインターネット掲載「短靴」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HJ22075841号)
参考意匠3(別紙第5)
国際事務局意匠公報 意匠登録番号:DM/083010 意匠番号:1に表されている「短靴」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HH26507896号)
B 相違点の評価
相違点(a)及び相違点(b)は、いずれの態様も当該物品分野においてはよく見られる態様ではあるが、ソールのそり具合や厚みについては、需要者の着目する部分でもあり、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は、一定程度有するものと認められる。
一方、アウトソールの態様における相違点(c)のうち、(c-1)は、本願部分に角張った印象を与え、相違点(a)及び相違点(b)と相まって、全体的に分厚くがっしりとした印象を与えているのに対し、引用部分は柔らかく、軽快な印象を与えるもので、需要者に与える印象に違いがあることから、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は大きい。
相違点(c-2)は、後端部から先端部に向かって設けられた一本の大きな溝について、2段構成とするか3段構成とするかといった具体的態様における相違点を軽視することはできず、両部分の形態の類否判断に一定の影響を及ぼすものと認められる。
(イ)総合評価に基づく両部分の形態の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、両部分の形態全体を総合的に観察し、判断する。
前記(ア)Bに示したとおり、相違点(a)及び(b)は、いずれも類否判断に及ぼす影響を一定程度有しており、相違点(c-1)と相まって、需要者に両部分の形態が与える印象を異なるものとしている。
一方、前記(ア)Aに示したとおり、共通点(a)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は小さく、共通点(b-1)及び共通点(b-2)は、いずれも既に公然知られた態様であり、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は限定的なものである。
そこで、両部分の形態全体を総合的に観察した場合、両部分の形態は、共通点よりも相違点の及ぼす影響の方が大きく、両部分の形態は類似しない。
(ウ)小括
両意匠は、意匠に係る物品は同一で、両部分の用途及び機能、並びに位置、大きさ及び範囲も同一であるが、両部分の形態は類似しない。
したがって、両意匠は類似しない。
2 拒絶の理由2について
本願は、審判請求と同時に提出した手続補正書により、願書の意匠に係る物品の欄を「Shoe sole」から「Low shoe」に変更する補正を行った。この結果、意匠法第7条に規定する要件を満たしていないとする拒絶の理由2は解消され、原審の拒絶の理由2によって、本願を拒絶すべきものとすることはできない。
なお、この手続補正は、出願当初の願書の記載の要旨を変更するものではないと認められる。
第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。また、本願は、同法第7条に規定する要件を満たすものである。したがって、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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