特許拒絶査定不服審判
2020-010107
操作受付装置、プログラム、および操作受付方法
- 審判番号
- 2020-010107
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-105627
- 請求日
- 2020年07月20日
- 審決日
- 2021年07月13日
- 公報発行日
- 2021年09月24日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社アイ・オー・データ機器
- 【請求人代理人】特許業務法人 楓国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 稲葉 和生
- 審判官 ▲吉▼田 耕一
- 審判官 富澤 哲生
- 分類
- P18 .121-WY (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-105627「操作受付装置、プログラム、および操作受付方法」拒絶査定不服審判事件〔平成29年11月30日出願公開、特開2017-211883、請求項の数(7)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年5月26日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
令和 元年12月20日付け:拒絶理由通知書
令和 2年 3月 2日 :意見書、手続補正書の提出
令和 2年 4月23日付け:拒絶査定(原査定)
令和 2年 7月20日 :審判請求書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和2年4月23日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-7に係る発明は、以下の引用文献1-6に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2013-134546号公報
2.特開2013-69137号公報
3.米国特許出願公開第2011/0296334号明細書
4.特開2015-197822号公報
5.特開2015-35092号公報
6.国際公開第2015/034960号
第3 本願発明
本願請求項1-7に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明7」という。)は、令和2年7月20日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-7に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
制御の方向を示す第1の操作と、前記第1の操作を行う操作部への長押しによる第2の操作と、を利用者から受け付ける受付部と、
所定の状態から前記第1の操作で指示された方向に状態を変化させる指示情報を生成する制御部と、
を備えた操作受付装置であって、
前記制御部は、前記第2の操作の前に受け付けた前記第1の操作の回数に応じて、前記第1の操作で受け付けた方向への変化度合いを前記第1の操作の回数が大きいほど大きくなる値になるように決定し、
前記第1の操作で前記変化度合いが決定してから前記第2の操作を受け付けた後に、前記第2の操作による前記操作部への長押しの間前記第1の操作の回数により決定した変化度合いに対応する指示情報を出力する、
操作受付装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記変化度合いを前記利用者に報知する、
請求項1に記載の操作受付装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2の操作の受付が停止した場合に、
現在の変化度合いよりも小さい変化度合いに対応する指示情報を出力し、
その後、前記第1の操作または前記第2の操作を受け付けた場合に、前記指示情報の出力を停止する、
請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の操作受付装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第2の操作の受付が停止した場合に、
前記指示情報の出力を停止する、
請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の操作受付装置。
【請求項5】
前記制御部は、状態変化の制限値に達した場合に、逆方向に状態を変化させる指示情報を生成する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の操作受付装置。
【請求項6】
制御の方向を示す第1の操作と、前記第1の操作を行う操作部への長押しによる第2の操作と、を利用者から受け付ける受付処理と、
所定の状態から前記第1の操作で指示された方向に状態を変化させる指示情報を生成する制御処理と、
を情報処理装置に実行させるプログラムであって、
前記制御処理は、前記第2の操作の前に受け付けた前記第1の操作の回数に応じて、前記第1の操作で受け付けた方向への変化度合いを前記第1の操作の回数が大きいほど大きくなる値になるように決定し、
前記第1の操作で前記変化度合いが決定してから前記第2の操作を受け付けた後に、前記第2の操作による前記操作部への長押しの間前記第1の操作の回数により決定した変化度合いに対応する指示情報を出力する、
プログラム。
【請求項7】
制御の方向を示す第1の操作と、前記第1の操作を行う操作部への長押しによる第2の操作と、方向を指示する方向操作と、を利用者から受け付ける受付処理と、
所定の状態から前記第1の操作で指示された方向に状態を変化させる指示情報を生成する制御処理と、
を実行さする操作受付方法であって、
前記制御処理は、前記第2の操作の前に受け付けた前記第1の操作の回数に応じて、前記第1の操作で受け付けた方向への変化度合いを前記第1の操作の回数が大きいほど大きくなる値になるように決定し、
前記第1の操作で前記変化度合いが決定してから前記第2の操作を受け付けた後に、前記第2の操作による前記操作部への長押しの間前記第1の操作の回数により決定した変化度合いに対応する指示情報を出力する、
操作受付方法。」
第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
(ア)原査定の拒絶理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。(当審注:下線は、参考のために当審で付与したものである。)
「【請求項1】
なぞり操作を検出する検出部と、
前記なぞり操作の速度を算出する算出部と、
前記なぞり操作の速度、及び前記なぞり操作後の停止時間に基づいて設定値を変更する設定部と、
を備えた操作入力装置。
・・・中略・・・
【請求項3】
前記設定部は、設定値が変化する変化幅を変更する請求項1に記載の操作入力装置。」
「【0018】
検出部12は、例えば、図1(a)に示すように、逆三角マーク12aと、三角マーク12bと、が表面に印刷されている。操作者は、逆三角マーク12a近傍に長押操作又は短押操作を行うことにより、設定温度を下降させることができる。また、操作者は、三角マーク12b近傍に長押操作又は短押操作を行うことにより、設定温度を上昇させることができる。
【0019】
具体的には、第1の電極121~第3の電極123は、例えば、DOWNエリアを構成し、第7の電極127~第9の電極129は、UPエリアを構成する。従って、操作入力装置1は、UPエリア内で長押操作又は短押操作がなされた場合は、設定温度が上昇し、DOWNエリア内で長押操作又は短押操作がなされた場合は、設定温度が下降するように構成されている。
【0020】
また、操作者が、検出部12の上部(三角マーク12bがある場所)に向けてなぞり操作すると、設定温度を上昇させることができる。また、操作者が、検出部12の下部(逆三角マーク12aがある場所)に向けてなぞり操作すると、設定温度を下降させることができる。この設定温度の上昇及び下降の幅は、一例として、なぞり操作の距離に比例する。
【0021】
操作入力装置1は、例えば、操作者がUPエリア、つまり、第7の電極127~第9の電極129の少なくとも1つの電極に対して長押操作を行うと、予め定められた時間間隔(以下に、変化時間と記載する。)で現在の設定温度から変化ステップ数である0.5℃ずつ上昇するように設定温度表示領域100に表示された表示が変わると共に、制御部14から空調装置へ制御信号が出力されるように構成されている。ここで、変化ステップ数とは、設定温度を上昇又は下降させるときの変化幅である。本実施の形態に係る変化ステップ数は、一例として、0.5℃であり、速度等によらず一定である。
【0022】
また、操作入力装置1は、例えば、操作者がDOWNエリア、つまり、第1の電極121~第3の電極123の少なくとも1つの電極に対して長押操作を行うと、予め定められた変化時間で現在の設定温度から0.5℃ずつ下降するように設定温度表示領域100に表示された表示が変わると共に、制御部14から空調装置へ制御信号が出力される。ここで、長押操作とは、例えば、予め決められた時間以上、検出部12を指で触れて移動させない操作を示す。」
「【0046】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、変化時間ではなく、速度に応じて設定値が変化する変化幅が変更される点で、第1の実施の形態と異なっている。なお、以下の実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0047】
本実施の形態では、例えば、速度に応じて、設定値が変化する変化幅としての変化ステップ数が変更される。
【0048】
以下に、本実施の形態に係る操作入力装置1のなぞり操作後に長押操作が行われる動作を、各図を参照しながら図4のフローチャートに従って説明する。
【0049】
(動作)
操作入力装置1の算出部13は、電源が投入されると、予め定められた周期に従って検出部12が検出した静電容量を読み出す(S21)。
【0050】
次に、算出部13は、読み出した静電容量に基づいてなぞり操作が検出されたか否かを判定する。算出部13は、なぞり操作が検出されたと判定すると(S22:Yes)、長押操作が検出されたか否かを判定する。
【0051】
次に、算出部13は、長押操作が検出されたと判定すると(S23:Yes)、なぞり操作と長押操作とに基づいてなぞり操作の時間と距離を算出する(S24)。
【0052】
次に、算出部13は、検出されたなぞり操作の時間と距離とに基づいて速度を算出する(S25)。続いて、算出部13は、操作情報を制御部14に出力する。
【0053】
次に、制御部14は、取得した操作情報に基づいて算出された速度と、速度しきい値150と、を比較する。制御部14は、算出された速度が、速度しきい値150の上限値より大きいとき(S26:Yes)、長押操作が終了するまで、変化ステップ数を増加させて設定温度を設定する(S27)。制御部14は、例えば、図2(a)及び(b)に示すように、なぞり操作が設定温度を下降させるように行われているので、長押操作が終了するまで設定温度を下降させる。なお、通常の変化ステップ数は、一例として、0.5℃である。なぞり操作の速度が大きい場合の変化ステップ数は、一例として、1.0℃である。なぞり操作の速度が小さい場合の変化時間は、一例として、0.2℃である。この速度の判定は、第1の実施の形態における判定と同方法で行われる。
【0054】
ここで、ステップ22において、制御部14は、読み出した静電容量に基づいて、なぞ
り操作が検出されない場合(S22:No)、ステップ21に戻る。
【0055】
また、ステップ23において、なぞり操作後に長押操作が検出されない場合(S23:No)、なぞり操作の距離に基づいて設定温度を設定する(S31)。
【0056】
さらに、ステップ26において、制御部14は、なぞり操作の速度が速度しきい値150の上限値以下であり(S26:No)、さらに、速度しきい値150の下限値より小さいとき(S28:Yes)、長押操作が終了するまでの変化ステップ数を減少させて設定温度を設定する(S29)。
【0057】
また、ステップ28において、制御部14は、なぞり操作の速度が速度しきい値150の範囲内であるとき(S28:No)、長押操作が終了するまでの変化ステップ数を通常の変化ステップ数として設定温度を設定する(S30)。ここで、制御部14は、例えば、図2(c)及び(d)に示すように、ステップ29及びステップ30において、なぞり操作が設定温度を下降させるように行われているので、長押操作が終了するまで設定温度を下降させる。」
「【0059】
なお、上記の実施の形態に係る操作入力装置1は、速度に応じて三種類の変化ステップ数を切り替えていたが、これに限定されず、さらに複数のしきい値を設け、速度に応じて三種類以上の変化ステップ数を切り替える構成であっても良い。例えば、操作入力装置1が複数のしきい値を有し、そのしきい値に応じて通常の変化時間数又は変化ステップ数を基準として、1/2倍、1倍、2倍、3倍等に切り替える構成であっても良い。」
(イ)上記記載事項(特に下線部)によれば、引用文献1には、次の技術的事項が記載されているものと認められる。
「なぞり操作を検出する検出部と、前記なぞり操作の速度を算出する算出部と、前記なぞり操作の速度、及び前記なぞり操作後の停止時間に基づいて設定値を変更する設定部とを備え、前記設定部は、設定値が変化する変化幅を変更する操作入力装置であり(【請求項1】、【請求項3】)、
操作者は、逆三角マーク12a近傍に長押操作又は短押操作を行うことにより、設定温度を下降させることができる。また、操作者は、三角マーク12b近傍に長押操作又は短押操作を行うことにより、設定温度を上昇させることができ(【0018】)、
操作者が、検出部12の上部(三角マーク12bがある場所)に向けてなぞり操作すると、設定温度を上昇させることができ、また、操作者が、検出部12の下部(逆三角マーク12aがある場所)に向けてなぞり操作すると、設定温度を下降させることができ(【0020】)、
操作入力装置1は、例えば、操作者がUPエリア、つまり、第7の電極127~第9の電極129の少なくとも1つの電極に対して長押操作を行うと、予め定められた時間間隔(以下に、変化時間と記載する。)で現在の設定温度から変化ステップ数である0.5℃ずつ上昇するように設定温度表示領域100に表示された表示が変わると共に、制御部14から空調装置へ制御信号が出力されるように構成され、ここで、変化ステップ数とは、設定温度を上昇又は下降させるときの変化幅であり(【0021】)、
操作入力装置1は、例えば、操作者がDOWNエリア、つまり、第1の電極121~第3の電極123の少なくとも1つの電極に対して長押操作を行うと、予め定められた変化時間で現在の設定温度から0.5℃ずつ下降するように設定温度表示領域100に表示された表示が変わると共に、制御部14から空調装置へ制御信号が出力され(【0022】)、
操作入力装置1のなぞり操作後に長押操作が行われる動作は、以下のとおり。
算出部13は、読み出した静電容量に基づいてなぞり操作が検出されたか否かを判定し、算出部13は、なぞり操作が検出されたと判定すると(S22:Yes)、長押操作が検出されたか否かを判定する(【0050】)、
次に、算出部13は、長押操作が検出されたと判定すると(S23:Yes)、なぞり操作と長押操作とに基づいてなぞり操作の時間と距離を算出する(S24)(【0051】)、
次に、算出部13は、検出されたなぞり操作の時間と距離とに基づいて速度を算出する(S25)(【0052】)、
次に、制御部14は、取得した操作情報に基づいて算出された速度と、速度しきい値150と、を比較し、制御部14は、算出された速度が、速度しきい値150の上限値より大きいとき(S26:Yes)、長押操作が終了するまで、変化ステップ数を増加させて設定温度を設定し(S27)、制御部14は、なぞり操作が設定温度を下降させるように行われているので、長押操作が終了するまで設定温度を下降させる(【0053】)、
制御部14は、なぞり操作の速度が速度しきい値150の上限値以下であり(S26:No)、さらに、速度しきい値150の下限値より小さいとき(S28:Yes)、長押操作が終了するまでの変化ステップ数を減少させて設定温度を設定する(S29)(【0056】)、
制御部14は、ステップ29及びステップ30において、なぞり操作が設定温度を下降させるように行われているので、長押操作が終了するまで設定温度を下降させる(【0057】)、
なお、操作入力装置1は、速度に応じて三種類の変化ステップ数を切り替えていたが、これに限定されず、さらに複数のしきい値を設け、速度に応じて三種類以上の変化ステップ数を切り替える構成であっても良く、例えば、操作入力装置1が複数のしきい値を有し、そのしきい値に応じて通常の変化時間数又は変化ステップ数を基準として、1/2倍、1倍、2倍、3倍等に切り替える構成であっても良い(【0059】)。」
(ウ)上記(ア)、(イ)から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〈引用発明〉
「操作者が行う長押操作又は短押操作、三角マーク12bがある場所に向けたなぞり操作、逆三角マーク12aがある場所に向けたなぞり操作を検出する検出部と、
なぞり操作が検出されたと判定すると、長押操作が検出されたか否かを判定し、長押操作が検出されたと判定すると、検出されたなぞり操作の時間と距離とに基づいて前記なぞり操作の速度を算出する算出部と、
前記算出された速度が、速度しきい値の上限値より大きいとき、長押操作が終了するまで、変化ステップ数を増加させて設定温度を設定し、なぞり操作が設定温度を下降させるように行われている場合、長押操作が終了するまで設定温度を下降させ、
操作入力装置1が複数のしきい値を有し、そのしきい値に応じて通常の変化ステップ数を基準として、1/2倍、1倍、2倍、3倍等に切り替える構成であっても良い制御部と、を備えた操作入力装置。」
2 引用文献2について
原査定の拒絶理由に引用された引用文献2には,次の事項が記載されている。
「【0007】
従来技術2では、ドラッグ操作のスピードに応じて、表示画面の表示対象物のスクロール速度を変更させることができる利点がある。ところで、従来技術2のドラッグ操作では、操作途中でそのドラッグ速度を変更することによって表示画面のスクロール速度の変更を行うことができるようにしている。すなわちドラッグ速度の変化で、スクロール量を変更させている。ドラッグ速度を検出するためには、携帯型端末装置の表示画面上のスタイラスペンの移動距離を長めにする必要があり、そのためには、スタイラスペンによりタッチ操作可能な領域を長くとる必要がある。従って、従来技術2を従来技術1に組み込みして、オーディオ装置のボリュームや、或いは空調装置の温度設定の設定値の変更をする場合、検出する領域を長くとる必要がある。
【0008】
本発明の目的は、簡単な構成により、設定項目の設定値の変更のための入力操作性を向上できるとともに検出する領域を長くとる必要がない入力装置を提供することにある。」
「【0010】
本明細書でのタッチ操作とは、タッチパネルに対して指でたたく(タップ)操作、タッチパネルに対して指で払う操作(フリップ)、タッチパネルに対して指で押さえたまま移動する操作を含む趣旨である。」
「【0074】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態の入力装置10は、表示デバイス20(表示手段)と、表示デバイス20の表示画面上に配置されてタッチ操作を検出するタッチパネル30を備え、タッチパネル30で検出したタッチ操作毎に表示デバイス20で表示されている室内空間温度、音のボリューム(設定項目)の設定値を更新するとともに、室内空間温度、音のボリュームを制御する装置に対して更新後の設定値とするための信号を出力する。
【0075】
そして、入力装置10は、複数回連続操作された際のタッチ操作の時間間隔を計測するタイマカウンタC(計測手段)を備える。入力装置10のCPU(制御手段)は、前記時間間隔が閾値A未満のときと、閾値A以上のときとでは、室内空間温度、音のボリュームの設定値の変化量が異なるように表示変更する。
【0076】
この結果、本実施形態の入力装置10によれば、簡単な構成により、室内空間温度、音のボリュームの設定値の変更のための入力操作性を向上できるとともにタッチパネル30を長くとる必要がない。また、連続操作するタッチ操作の時間間隔を、閾値A未満の時間間隔から閾値A以上の時間間隔に変更する、或いは閾値A以上の時間間隔から閾値A未満未満の時間間隔に変更するだけで、室内空間温度、音のボリュームの設定値の変化量を変えることができる。
【0077】
(2) 本実施形態の入力装置10は、時間間隔が閾値A未満のときは、時間間隔が閾値A以上のときの設定値が変化する変化量よりも大なる変化量で設定値を増大するため、室内空間温度、音のボリューム(設定項目)の設定値の増大を早期に行うことができる。」
「【0084】
・ 第1実施形態では、3回以上のタッチ操作が連続して行われて、その時間間隔がいずれも閾値A未満であった場合でも、その変化量は同じとしている(図5(a)の実線参照)。
【0085】
この構成に代えて、S80で「YES」と判定した回数の履歴をとり、S80で「YES」の判定が連続した場合、その連続した回数が大きくなる毎に、変化量を徐々に増大させてもよい。
【0086】
例えば、空調コントロール表示モードのとき、S80で「YES」と判定した回数が初めての場合(初回)、2回連続した場合(2回連続)、3回連続した場合(3回連続)、…N回連続としたとき、初回の変化量Dとしたとき、2回連続したときの場合は、変化量D+d1とし、3回連続したときの変化量D+d2、N回連続したときの変化量D+dnとしてもよい。なお、dnは、正の整数でも、正の少数値でもよい。
【0087】
この場合、dnの値をnが大きくなるほど値を大きくすると、図5(b)のL1の曲線に沿った設定値が得られる。
また、dnの値を、nが小さいときは、大きくしておき、nが大きくなるほど値を小さくすると、図5(b)のL2の曲線に沿った設定値が得られる。
【0088】
なお、オーディオコントロール表示モードの場合も同様にすることが可能である。
・ 第2実施形態では、3回以上のタッチ操作が連続して行われて、その時間間隔がいずれも閾値A未満であった場合でも、その変化量は同じとしている。
【0089】
この構成に代えて、S80で「YES」と判定した回数の履歴をとり、S80で「YES」の判定が連続した場合、その連続した回数が大きくなる毎に、変化量を徐々に減少させてもよい。
【0090】
例えば、空調コントロール表示モードのとき、S80で「YES」と判定した回数が初めての場合(初回)、2回連続した場合(2回連続)、3回連続した場合(3回連続)、…N回連続としたとき、初回の変化量Dとしたとき、2回連続したときの場合は、変化量D+d1とし、3回連続したときの変化量D+d2、N回連続したときの変化量D+dnとしてもよい。なお、dnは、正の整数でも、正の少数値でもよい。
【0091】
なお、オーディオコントロール表示モードの場合も同様にすることが可能である。」
上記記載事項(特に下線部)によれば、引用文献2には、次の技術的事項が記載されている。
「表示デバイス20の表示画面上に配置されてタッチ操作を検出するタッチパネル30を備え、タッチパネル30で検出したタッチ操作毎に表示デバイス20で表示されている室内空間温度、音のボリューム(設定項目)の設定値を更新するとともに、室内空間温度、音のボリュームを制御する装置に対して更新後の設定値とするための信号を出力する入力装置において、CPU(制御手段)は、前記タッチ操作の時間間隔が閾値A未満のときと、閾値A以上のときとでは、室内空間温度、音のボリュームの設定値の変化量が異なるようにし、さらにタッチ操作が連続して行われて、その時間間隔が閾値A未満であった判定が連続した場合、その連続した回数が大きくなる毎に、変化量を徐々に増大させてもよいこと。」
第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
ア 本願発明1と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「なぞり操作」は、「なぞり操作が設定温度を下降させるように行われている場合、長押操作が終了するまで設定温度を下降させる」ものであるから、本願発明1の「制御の方向を示す第1の操作」に相当するといえる。
(イ)引用発明の「長押操作」は、本願発明1の「前記第1の操作を行う操作部への長押しによる第2の操作」に相当するといえる。
(ウ)引用発明の「操作者が行う長押操作又は短押操作、三角マーク12bがある場所に向けたなぞり操作、逆三角マーク12aがある場所に向けたなぞり操作を検出する検出部」は、本願発明1の「制御の方向を示す第1の操作と、前記第1の操作を行う操作部への長押しによる第2の操作と、を利用者から受け付ける受付部」に相当するといえる。
(エ)引用発明の「制御部」は、「なぞり操作が設定温度を下降させるように行われている場合、長押操作が終了するまで設定温度を下降させる」から、本願発明1の「所定の状態から前記第1の操作で指示された方向に状態を変化させる指示情報を生成する制御部」である点では共通するといえる。
(オ)引用発明の「算出部」は、「なぞり操作が検出されたと判定すると、長押操作が検出されたか否かを判定し、長押操作が検出されたと判定すると、検出されたなぞり操作の時間と距離とに基づいて前記なぞり操作の速度を算出」し、「制御部」は、「算出された速度が、速度しきい値150の上限値より大きいとき、長押操作が終了するまで、変化ステップ数を増加させて設定温度を設定」し、「複数のしきい値を有し、そのしきい値に応じて通常の変化ステップ数を基準として、1/2倍、1倍、2倍、3倍等に切り替える構成であっても良い」から、本願発明1の「前記第2の操作の前に受け付けた前記第1の操作の回数に応じて、前記第1の操作で受け付けた方向への変化度合いを前記第1の操作の回数が大きいほど大きくなる値になるように決定し、前記第1の操作で前記変化度合いが決定してから前記第2の操作を受け付けた後に、前記第2の操作による前記操作部への長押しの間前記第1の操作の回数により決定した変化度合いに対応する指示情報を出力する」制御部と「前記第2の操作の前に受け付けた前記第1の操作の態様に応じて、前記第1の操作で受け付けた方向への変化度合いを大きくなる値になるように決定し、前記第2の操作を受け付けた後に、前記第2の操作による前記操作部への長押しの間前記第1の操作の態様により決定した変化度合いに対応する指示情報を出力する」制御部である点では共通するといえる。
(カ)引用発明の「操作入力装置」は、後述する相違点を除き、本願発明1の「操作受付装置」に相当するといえる。
イ したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。
(一致点)
「制御の方向を示す第1の操作と、前記第1の操作を行う操作部への長押しによる第2の操作と、を利用者から受け付ける受付部と、
所定の状態から前記第1の操作で指示された方向に状態を変化させる指示情報を生成する制御部と、
を備えた操作受付装置であって、
前記制御部は、前記第2の操作の前に受け付けた前記第1の操作の態様に応じて、前記第1の操作で受け付けた方向への変化度合いを大きくなる値になるように決定し、
前記第2の操作を受け付けた後に、前記第2の操作による前記操作部への長押しの間前記第1の操作の態様により決定した変化度合いに対応する指示情報を出力する、
操作受付装置。」
(相違点)
本願発明1の制御部では、「前記第2の操作の前に受け付けた前記第1の操作の回数に応じて、前記第1の操作で受け付けた方向への変化度合いを前記第1の操作の回数が大きいほど大きくなる値になるように決定し、前記第1の操作で前記変化度合いが決定してから前記第2の操作を受け付けた後に、前記第2の操作による前記操作部への長押しの間前記第1の操作の回数により決定した変化度合いに対応する指示情報を出力する」のに対し、引用発明の制御部では、長押操作(「第2の操作」)の前に検出された(「受け付けた」)なぞり操作(「第1の操作」)の速度が複数のしきい値のより大きいとき(「大きいほど」)、前記なぞり操作(「第1の操作」)の方向への変化ステップ数(「変化度合い」)を1倍、2倍、3倍等に切り替えるものではあるものの、長押操作(「第2の操作」)の前に検出された(「受け付けた」)なぞり操作(「第1の操作」)の回数が大きいほど、前記なぞり操作(「第1の操作」)の方向への変化ステップ数(「変化度合い」)を大きくするものではなく、また、長押操作(「第2の操作」)が検出されると、なぞり操作(「第1の操作」)の速度を算出し、当該速度に応じて変化ステップ数(「変化度合い」)を1倍、2倍、3倍等に切り替えるものであるものの、なぞり操作(「第1の操作」)で変化ステップ数(「変化度合い」)が決定してから長押し操作(「第2の操作」)を受け付けた後に、変化ステップ数(「変化度合い」)に対応する指示情報を出力するものではない点。
(2)相違点についての判断
引用文献2には、「タッチ操作の回数が大きくなる毎に、室内空間温度、音のボリュームの変化量を徐々に増大させること」が示されているものの、「タッチ操作」毎に、増大させた変化量で室内空間温度、音のボリューム(設定項目)の設定値を更新するものであり、長押操作が終了するまで、なぞり操作の速度に応じて変化ステップ数を増加させて設定温度を設定する引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用する動機付けはない。
また、引用文献2に記載された「タッチ操作の回数」は「タッチ操作の時間間隔が閾値A未満であった判定が連続した場合、その連続した回数」であり、引用文献2には、タッチ操作で変化量が決定してから長押操作を受け付けた後に、長押操作の間前記変化量に対応する指示情報を出力することは記載されておらず、示唆されてもいないから、仮に、引用発明に引用文献2に記載された技術的事項が適用できたとしても上記相違点に係る本願発明1の構成となるものではない。
また、上記相違点に係る本願発明1の構成は、引用文献3-6にも記載されておらず、示唆されてもいない。
上記相違点に係る本願発明1の構成は、本願の出願前に当該技術分野における周知技術とあったともいえない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2-5について
本願発明2-5は、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明1と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3 本願発明6、7について
本願発明6、7は、それぞれ本願発明1に対応するプログラム及び方法の発明であり、上記相違点に係る本願発明1の構成と同様の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-010107