2020-007467
情報提供システム
- 審判番号
- 2020-007467
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-011396外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年06月02日
- 審決日
- 2021年03月12日
- 公報発行日
- 2021年04月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】サーモス株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 志賀国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (G06K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
本願は,平成28年1月25日の出願であって,令和1年6月19日付けで拒絶理由通知がされ,令和1年10月24日付けで手続補正がされ,令和2年2月27日付けで拒絶査定(原査定)がされ,これに対し,令和2年6月2日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされ,令和2年12月2日付けで当審より拒絶理由通知がされ,令和3年1月29日付けで手続補正がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~5に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」~「本願発明5」という。)は,令和3年1月29日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】飲食料保存用又は調理用に使用される容器であって,少なくとも前記容器の有効な使用方法を公開する特定のサイトにアクセスするためのアクセス情報又は前記特定のサイトを識別するための識別情報であるアクセス情報が記憶された無線タグが蓋に備えられ,前記無線タグには使用時に取り外し可能な遮断フィルムであって,電磁波を遮断する遮断フィルムが貼り付けられている容器と,前記特定のサイトのデータを記憶するサーバと,前記特定のサイトを識別するための識別情報と,前記識別情報で識別される特定のサイトにアクセスするための情報とを対応付けたテーブルを予め保持し,前記無線タグから取得される前記アクセス情報に基づいて,前記サーバから前記特定のサイトのデータを取得し,取得した前記特定のサイトのデータを表示する通信装置と,を備え,前記無線タグから取得される前記アクセス情報は,前記識別情報であり,前記通信装置は,前記無線タグから取得された前記アクセス情報に基づいて前記テーブルから前記特定のサイトにアクセスするための情報を取得し,取得した前記特定のサイトにアクセスするための情報に基づいて前記サーバから前記特定のサイトのデータを取得する情報提供システム。」
なお,本願発明2~5の概要は以下のとおりである。
本願発明2は,本願発明1における「容器」を「前記蓋の少なくとも一部が樹脂製で構成され,本体が樹脂製で構成され,前記本体の下端から前記無線タグまでの距離が前記無線タグの通信可能範囲よりも長い容器」であると減縮した発明である。
本願発明3は,本願発明1における「飲食料保存用又は調理用に使用される容器であって,少なくとも前記容器の有効な使用方法を公開する特定のサイトにアクセスするためのアクセス情報又は前記特定のサイトを識別するための識別情報であるアクセス情報が記憶された無線タグが蓋に備えられ,前記無線タグには使用時に取り外し可能な遮断フィルムであって,電磁波を遮断する遮断フィルムが貼り付けられている容器」を「飲食料保存用又は調理用に使用される容器であって,少なくとも前記容器の有効な使用方法を公開する特定のサイトにアクセスするためのアクセス情報又は前記特定のサイトを識別するための識別情報であるアクセス情報が記憶された無線タグが蓋に備えられ,前記無線タグには使用時に取り外し可能な遮断フィルムであって,電磁波を遮断する遮断フィルムが貼り付けられており,前記蓋の少なくとも一部が樹脂製で構成され,本体が樹脂製で構成され,前記本体の下端から前記無線タグまでの距離が前記無線タグの通信可能範囲よりも長い容器」に変更した発明である。
本願発明4は,本願発明1~3を減縮した発明である。
本願発明5は,本願発明1~2を減縮した発明である。
第3 引用文献,引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2009-234599号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審で付したものである。)
「【背景技術】【0002】 近年,孔版印刷機等で使用されるインク等の消耗品を供給する開口容器において,RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の記録媒体が利用されている。これらの記録媒体には,消耗品の種類,適合性等が記録されている。【0003】 記録媒体に記録された情報は,品質管理,新製品開発の観点からも第三者による不正な,記録媒体からの情報の読み出しを防止する必要がある。また,RFIDタグには,ユニークIDが付与されており,近年,このユニークIDを不正に読み出し,蓄積及び解析することで,個人の行動が特定される虞が指摘されており,プライバシー保護の観点からも第三者による不正な,記録媒体からの情報の読み出しを防止する必要がある。」
「【0017】本発明の第1の開口容器によれば,工場出荷時から使用時までの間は,シールの読出阻止部が第三者による不正な,記録媒体からの情報の読み出しを防止すると共に,シールの延長部が開口を封止しているため,使用時のシールの剥離行為が,容器の開口行為と記録媒体からの情報の読み出しを可能にさせる行為とを含み,使用者は,記録媒体を読み出し可能な状態にすることを失念することなく,開口容器を外部装置に装着できる。」
「【0021】開口容器1は,図1A乃至1Cに示すように,円筒状の樹脂からなる容器本体10,記録媒体20,及びシール30から構成されている。容器本体10の上端面10a側には,容器本体10内に充填されたインクが吐出される開口部11が設けられている。また,この上端面10aには,所定の情報を記録する記録媒体の一例であるRFIDタグ20が接着材等により固定されている。さらに,容器本体10及びRFIDタグ20にはシール30が貼付されている。【0022】図2は,シール30の概略構成を示す図である。シール30は,図2に示すように,シール本体34と該シール本体34に設けられた読出阻止部31とシール本体34及び読出阻止部31の表面に設けられた接着層とで構成されており,シール本体34は,読出阻止部31が設けられている基部31aと,該基部31aから連続的に延出した延長部32と,基部31aから延長部32とは反対側に連続して延出した剥離部33とで構成されている。このシール30は,読出阻止部31がRFIDタグ20を覆うように該RFIDタグ20に貼付され,さらに,剥離部33がその先端を残してその他の部分を容器本体10に貼付されている。読出阻止部31,延長部32並びに剥離部33は,何れも接着層を介して容器本体10やRFIDタグ20に対してそれから剥離可能に貼付されている。使用時に,使用者が剥離部33の非貼付部を持って剥離を開始することにより,シール30は,剥離部33,読出阻止部31及び延長部32の順に,容器本体10から剥離され,開口容器1の開口部11が露出することにより,開口容器1は,外部装置に装着可能な状態となる。続きを表示(全16行)【0023】図3A及び図3Bは,開口容器1の第2の実施形態を示すものである。図3Aは,シールが貼付される前の開口容器,図3Bは,シールが貼付された開口容器を示すものである。ここで,第1の実施形態と同一の部位には,同一番号を付し,説明は省略する。第2の実施形態では,開口容器1は,蓋体12を備え,この蓋体12により容器本体1の開口部11を封止するものであり,シールの延長部32が蓋体12に貼付される点においてのみ第1の実施形態と相違する。【0024】第2の実施形態においては,使用時に,使用者がシール30を容器本体10から剥離した後,蓋体12を開封することにより,開口容器1が外部装置に装着可能な状態となる。【0025】次に,記録媒体であるRFIDタグ20について詳細に説明する。なお,本発明における記録媒体は,RFIDタグに限定されるものではなく,外部装置と通信することにより情報の読み出しが可能である記録媒体をも含むものである。【0026】図4は,容器本体10に固定されたRFIDタグ20の概略構成図である。RFIDタグ20は,図4に示すように,180度を超える円弧と該円弧の弦から構成される,過半円形の誘電体基材からなるTAG基材21の上に,電波通信用のコイルパターンアンテナ22とICチップ(LSI)23を搭載して構成されるものである。コイルパターンアンテナ22は,導体(たとえば,銅等の金属導体)をエッチングやメッキ等することにより,コイルパターンアンテナ22の両端部に形成された,一対の電極パッド22aと共に形成される。この一対の電極パッド22aは,ICチップ23をコイルパターンアンテナ22に電気的に接続させるための,図示しない一対の実装パッドを有している。また,図示しない実装パッドとコイルパターンアンテナ22の交差する部分には,その間に絶縁シート24を貼付し,短絡を防止している。【0027】RFIDタグ20は,外部装置の発生する磁界の中に,RFIDタグ20を置くことで,磁束がコイルパターンアンテナ22を通過することにより,起電力が発生すると共に,変調されることにより,外部装置との通信を行うものである。なお,本実施形態においては,変調する際の搬送波(キャリア)は,13.56MHzであるが,これに限定されるものではない。【0028】次に,読出阻止部31について詳細に説明する。読出阻止部31は,RFIDタグ20のコイルパターンアンテナ22を覆うことで,電波を遮断し,外部装置とRFIDタグ20との間の通信を不可能とするものである。具体的には,読出阻止部31に電波を遮断する材料,すなわち,アルミや銅等の導電性材料,もしくは,これらの金属を蒸着等した材料を使用し,RFIDタグ20を読出阻止部31で被覆することにより,RFIDタグ20と外部装置との間の通信を防止することができる。また,シール本体34の基部31aが導電性材料等で形成されて該基部31aが読出阻止部31を兼ねるものであってもよい。さらに,読出阻止部31は,シール30の接着面側,表面側のいずれに形成されていてもよい。」
「図1A」
「図1B」
「図1C」
「図2」
「図3A」
「図3B」
「図4」
したがって,上記引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「円筒状の樹脂からなる容器本体10,記録媒体20,及びシール30から構成されている開口容器1であって,前記容器本体10の上端面10a側に,容器本体10内に充填されたインクが吐出される開口部11が設けられており,この上端面10aには,所定の情報を記録する記録媒体の一例であるRFIDタグ20が接着材等により固定されており,さらに,容器本体10及びRFIDタグ20にはシール30が貼付されており,前記シール30は,シール本体34と該シール本体34に設けられた読出阻止部31とシール本体34及び読出阻止部31の表面に設けられた接着層とで構成されており,シール本体34は,読出阻止部31が設けられている基部31aと,該基部31aから連続的に延出した延長部32と,基部31aから延長部32とは反対側に連続して延出した剥離部33とで構成されており,続きを表示(全12行)前記シール30は,読出阻止部31がRFIDタグ20を覆うように該RFIDタグ20に貼付され,前記読出阻止部31,延長部32並びに剥離部33は,何れも接着層を介して容器本体10やRFIDタグ20に対してそれから剥離可能に貼付されており,使用時に,使用者が剥離部33の非貼付部を持って剥離を開始することにより,シール30は,剥離部33,読出阻止部31及び延長部32の順に,容器本体10から剥離され,開口容器1の開口部11が露出することにより,開口容器1は,外部装置に装着可能な状態となるものであり,ここで,開口容器1は,蓋体12を備え,この蓋体12により容器本体1の開口部11を封止するものであってもよく,この場合,シールの延長部32が蓋体12に貼付され,使用時に,使用者がシール30を容器本体10から剥離した後,蓋体12を開封することにより使用可能な状態となり,前記読出阻止部31に電波を遮断する材料,すなわち,アルミや銅等の導電性材料,もしくは,これらの金属を蒸着等した材料を使用し,RFIDタグ20を読出阻止部31で被覆することにより,RFIDタグ20と外部装置との間の通信を防止することができ,前記記録媒体に記録される情報は,品質管理,新製品開発の観点から,第三者による不正な読み出しを防止する必要がある情報であり,使用時のシールの剥離行為が,容器の開口行為と記録媒体からの情報の読み出しを可能にさせる行為とを含み,使用者は,記録媒体を読み出し可能な状態にすることを失念することなく,開口容器を外部装置に装着できる,開口容器1。」
2.引用文献2について
また,原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(特開2003-022391号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審で付したものである。)
「【0012】前記キャンペーン用ラベル5は,図2に示す如く例えば,インスタントコーヒーやその他の清涼飲料が充填された缶(容器)4の表面に貼着される一枚のシートからなるもので,RFID(Radio Frequency Identification:電波方式認識)を用いた通信機能付きのタグ8を備えたRFIDラベルである。タグ8は,ICチップ等の記録手段とアンテナ等の通信手段を有し,非接触で且つ電気的に任意の情報を書き込んだり,読み取ったりすることが可能であり,商品の出荷前に応募情報が予め書き込まれている。応募情報は,例えば顧客端末から入力され且つ前記データベースサーバ7にアクセス可能なインターネットのURL(UniformResouceLocator)情報や,個々の応募資格及び応募結果を確認するためのID情報等である。【0013】ID情報は,商品毎に付与される異なった情報を暗号化したもので,そのID情報により,応募資格及び応募結果(例えば当選の有無及び/または当選時や購入時のポイント)が判明するようになっている。」
「【0019】需要者は,顧客端末2を使用して商品供給業者のHPを開く。即ち,パソコン17には,応募情報を読み取り,URLやID等に変換する為の手段としてキャンペーン用ソフトウエアがインストールされており,このキャンペーン用ソフトウエアを起動18させた後,リーダー15でRFID情報を読み取る19と,キャンペーンを開催している商品供給業者のインターネットのURLへジャンプし,商品供給業者のHPのキャンペーン案内20が表示される。」
したがって,上記引用文献2には,以下の技術(以下,「引用文献2記載技術」という。)が記載されていると認められる。
「インスタントコーヒーやその他の清涼飲料が充填された缶(容器)4の表面に貼着されるキャンペーン用ラベル5は,RFID(Radio Frequency Identification:電波方式認識)を用いた通信機能付きのタグ8を備えたRFIDラベルであり,ID情報は,商品毎に付与される異なった情報を暗号化したもので,そのID情報により,応募資格及び応募結果(例えば当選の有無及び/または当選時や購入時のポイント)が判明するようになっており,タグ8は,商品の出荷前に応募情報が予め書き込まれており,応募情報は,顧客端末から入力され且つ前記データベースサーバ7にアクセス可能なインターネットのURL(UniformResouceLocator)情報や,個々の応募資格及び応募結果を確認するためのID情報等であり,パソコン17には,応募情報を読み取り,URLやID等に変換する為の手段としてキャンペーン用ソフトウエアがインストールされており,このキャンペーン用ソフトウエアを起動18させた後,リーダー15でRFID情報を読み取る19と,キャンペーンを開催している商品供給業者のインターネットのURLへジャンプし,商品供給業者のHPのキャンペーン案内20が表示される技術。」
3.引用文献3について
また,原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3(特表2008-518342号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審で付したものである。)
「【0026】第1の実施形態を図4A及び図4Bに示す。ボックス401は適切な厚さ(構造的な安定性及びボックスの強度を確保するために,関連の金属の表皮深さの5倍を超えるがおそらくはこの何倍もの厚さ)の金属シートから構成される。また,ボックスは完全に金属ではないが十分な厚さの金属層を含む層状のシートから構成されてもよい。ボックスはいくつかの方法で構成されてもよいが,適当な低コストの選択肢は,ダイを用いて金属シートをスタンピングすると共にスタンピングされた部片を折り畳んで本体部403及び蓋部402を形成することである。製品410(トランスポンダ装置が動作する用意ができているもの)が挿入されると,本体部403と蓋部402とがシール404を用いて封止される。製品の購入にあたり,ユーザがシール404を破ると,ボックス401を開けて製品410(この場合にはカード)を取り出すことができる。閉じたボックス401はファラデーケージを形成する。ボックス401が開くとすぐに,製品410のトランスポンダ装置411に電力供給することが可能になる。」
したがって,上記引用文献3には,「適切な厚さの金属シートから構成されるボックス401に,製品410(トランスポンダ装置が動作する用意ができているもの)が挿入され,閉じたボックス401はファラデーケージを形成し,ボックス401が開くとすぐに,製品410のトランスポンダ装置411に電力供給することが可能になる技術。」が記載されていると認められる。
4.引用文献4について
また,原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4(特開2008-287566号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審で付したものである。)
「【0010】本願発明では,上記課題を解決するための第1の手段として,飲料容器,調理保管容器等の個人用容器において,容器本体に,ICタグを装着するとともに,該ICタグに,現金決済を可能ならしめる決済手段を付設している。」
したがって,上記引用文献4には,「飲料容器,調理保管容器等の個人用容器の容器本体に,ICタグを装着する技術。」が記載されていると認められる。
5.引用文献Aについて
また,当審の拒絶の理由に引用された引用文献A(特開2005-354340号公報)には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は,当審で付したものである。)
「【0022】6は,家電製品である。RFIDタグ7は,通常目立つ位置にあるメーカロゴマークの中に埋め込んで家電製品6に付与する。RFIDタグ7の故障時の交換を考慮して,RFIDタグ7を埋め込んだメーカロゴマークは取り外しが可能な形状にするか,ロゴマークからRFIDタグ7のみを交換可能な組み込み方法が望ましい。【0023】また,リモコン付の製品の場合,通常使いやすい位置におかれやすいリモコンにRFIDタグ7を付与しておくと,ユーザは離れた場所に設置された本体のRFIDタグを読み取るためにリーダを近づける必要がなくなり,さらに利便性が高くなる。続きを表示(全22行)【0024】製品搭載のRFIDタグ(各製品のリモコンに搭載のRFIDタグも含む)内には,RFIDを個別認識するためのユニークなタグIDが付与されている。【0025】またユーザ領域に,製品に関する情報(製品の型番,製造番号,所定のインターネットアドレス,サービスセンターの電話番号)が記録されている。【0026】(中略)【0031】次にシステム利用時の動作について詳細に説明する。【0032】製品(ここでは,家電製品6とする)を購入したユーザは,機器の設置方法や,操作方法を知りたいとき,RFIDリーダ5を使って情報端末4で,該当製品のRFIDタグ7を読み取ると,RFIDタグ7のユーザ領域に記録してある所定のURLに接続し,製品情報を送信する旨のメッセージと,サービスセンターへ音声回線を接続する旨のメッセージを表示しユーザの確認を促すOKボタンが情報端末4の画面に表示される。【0033】ユーザがOKボタンをクリックするとデータ通信手段9によって,サービスセンターのサーバに接続する(第1の通信回線)。サーバは正常な接続完了すると,サーバは端末に受付番号を返信する。【0034】(中略)【0036】オペレータは,音声による会話と,オペレータ端末10に表示された,製品情報やユーザ情報から,あらかじめ整理され格納されているコンテンツライブラリ管理装置からユーザの年齢や性別に適切なコンテンツを容易に取り出してユーザに提示することができる。【0037】たとえば,年配のユーザ向けには,マニュアルを大きな文字で表示するように制御したり,実写やCGによる実物の操作動画をユーザの端末に送信することである。」
したがって,上記引用文献Aには,以下の発明が記載されていると認められる。
「RFIDタグ7が付与された家電製品6であって,製品搭載のRFIDタグ内には,ユーザ領域に,製品に関する情報(製品の型番,製造番号,所定のインターネットアドレス,サービスセンターの電話番号)が記録されており,前記家電製品6を購入したユーザが,機器の設置方法や,操作方法を知りたいとき,RFIDリーダ5を使って情報端末4で,該当製品のRFIDタグ7を読み取ると,前記RFIDタグ7のユーザ領域に記録してある所定のURLに接続し,製品情報を送信する旨のメッセージと,サービスセンターへ音声回線を接続する旨のメッセージを表示し,ユーザの確認を促すOKボタンが情報端末4の画面に表示され,ユーザがOKボタンをクリックするとデータ通信手段9によって,サービスセンターのサーバに接続し,オペレータは,コンテンツライブラリ管理装置からコンテンツ,たとえば,マニュアルや実物の操作動画を取り出してユーザに提示する,家電製品6。」
第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると,次のことがいえる。
ア 引用発明の「開口容器1」及び「所定の情報を記録する記録媒体の一例であるRFIDタグ20」は,それぞれ,本願発明1の「容器」及び「情報が記憶された無線タグ」に対応する。
イ 引用発明の「開口容器1」の「上端面10a」には,「所定の情報を記録する記録媒体の一例であるRFIDタグ20」が接着材等により固定されているから,上記アの検討も踏まえると,引用発明の「開口容器1」と本願発明1の「容器」とは,“情報が記憶された無線タグが備えられ”た“容器”である点で共通する。
ウ 引用発明の「シール30」は,「シール本体34」と「該シール本体34に設けられた読出阻止部31」とで構成されており,「シール本体34」は,「読出阻止部31が設けられている基部31a」と,「該基部31aから連続的に延出した延長部32」と,「基部31aから延長部32とは反対側に連続して延出した剥離部33」とで構成されており,「前記読出阻止部31」に「電波を遮断する材料」を使用し,「RFIDタグ20」を「読出阻止部31」で被覆することにより,「RFIDタグ20」と外部装置との間の通信を防止することができるものであるから,本願発明1の「電磁波を遮断する遮断フィルム」に相当する。
そして,引用発明の「シール30」は,「RFIDタグ20」を覆うように「該RFIDタグ20」に貼付されており,「使用時」には,使用者が剥離部33の非貼付部を持って剥離を開始することにより,「シール30」の「読出阻止部31」が「容器本体10」から剥離され,「記録媒体からの情報の読み出しを可能にさせる」ようになるものであるから,上記の検討も踏まえると,引用発明と本願発明1とは,“前記無線タグには使用時に取り外し可能な遮断フィルムであって,電磁波を遮断する遮断フィルムが貼り付けられている”点で共通する。
したがって,本願発明1と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「容器であって,情報が記憶された無線タグが備えられ,前記無線タグには使用時に取り外し可能な遮断フィルムであって,電磁波を遮断する遮断フィルムが貼り付けられている容器。」
(相違点)
(相違点1)本願発明1の容器は,「飲食料保存用又は調理用に使用される容器」であるのに対して,引用発明の容器は,容器本体10内にインクが充填された容器である点。
(相違点2)無線タグに記憶される情報が,本願発明1では「少なくとも前記容器の有効な使用方法を公開する特定のサイトにアクセスするためのアクセス情報又は前記特定のサイトを識別するための識別情報であるアクセス情報」であるのに対して,引用発明では,品質管理,新製品開発の観点から,第三者による不正な読み出しを防止する必要がある情報である点。
(相違点3)無線タグが備えられる場所が,本願発明1では,容器の「蓋」であるのに対して,引用発明では,容器の上端面である点。
(相違点4)本願発明1は,「容器と,
前記特定のサイトのデータを記憶するサーバと,
前記特定のサイトを識別するための識別情報と,前記識別情報で識別される特定のサイトにアクセスするための情報とを対応付けたテーブルを予め保持し,前記無線タグから取得される前記アクセス情報に基づいて,前記サーバから前記特定のサイトのデータを取得し,取得した前記特定のサイトのデータを表示する通信装置と,
を備え,
前記無線タグから取得される前記アクセス情報は,前記識別情報であり,
前記通信装置は,前記無線タグから取得された前記アクセス情報に基づいて前記テーブルから前記特定のサイトにアクセスするための情報を取得し,取得した前記特定のサイトにアクセスするための情報に基づいて前記サーバから前記特定のサイトのデータを取得する情報提供システム。」であるのに対して,引用発明は,そのようなものではない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて,上記相違点4について先に検討する。
引用文献2には,「インスタントコーヒーやその他の清涼飲料が充填された缶(容器)4の表面に貼着されるキャンペーン用ラベル5は,RFID(Radio Frequency Identification:電波方式認識)を用いた通信機能付きのタグ8を備えたRFIDラベルであり,
ID情報は,商品毎に付与される異なった情報を暗号化したもので,そのID情報により,応募資格及び応募結果(例えば当選の有無及び/または当選時や購入時のポイント)が判明するようになっており,
タグ8は,商品の出荷前に応募情報が予め書き込まれており,応募情報は,顧客端末から入力され且つ前記データベースサーバ7にアクセス可能なインターネットのURL(UniformResouceLocator)情報や,個々の応募資格及び応募結果を確認するためのID情報等であり,
パソコン17には,応募情報を読み取り,URLやID等に変換する為の手段としてキャンペーン用ソフトウエアがインストールされており,このキャンペーン用ソフトウエアを起動18させた後,リーダー15でRFID情報を読み取る19と,キャンペーンを開催している商品供給業者のインターネットのURLへジャンプし,商品供給業者のHPのキャンペーン案内20が表示される技術。」が記載されていることから,容器の表面にRFIDラベルを貼着し,当該RFIDラベルに予め書き込まれているインターネットのURLをリーダーで読み取ることで,商品供給業者のインターネットのURLへジャンプして,商品供給業者のHPのキャンペーン案内を表示するように構成されたシステムは,本願出願前に当該技術分野における周知技術であったと認められる。
しかしながら,引用文献2記載技術において,RFIDに書き込まれているのは,インターネットのURLの情報そのものであって,当該URLに対応したID情報ではなく,したがって,引用文献2には,相違点4に係る構成である,RFIDにインターネットのURLに対応するIDを書き込んでおき,当該IDとURLを対応づけたテーブルをユーザが利用する通信装置に予め保持させ,RFIDから読み取ったIDとテーブルとを用いてURLを取得し,このURLでサーバにアクセスするという構成は記載されていない。また,原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3,4及び当審の拒絶の理由に引用された引用文献Aにも,上記相違点4に係る構成は記載されていない。
そして,本願発明1は,上記相違点4に係る構成を備えることによって,テーブルを保持していない通信装置は,サーバにアクセスできないように制御できるという効果を奏するものと認められる。
したがって,当業者であっても,引用発明の容器と引用文献2~4,及び引用文献Aに記載の技術的事項を組み合わせて,上記相違点4に係る構成,すなわち,「容器と,
前記特定のサイトのデータを記憶するサーバと,
前記特定のサイトを識別するための識別情報と,前記識別情報で識別される特定のサイトにアクセスするための情報とを対応付けたテーブルを予め保持し,前記無線タグから取得される前記アクセス情報に基づいて,前記サーバから前記特定のサイトのデータを取得し,取得した前記特定のサイトのデータを表示する通信装置と,
を備え,
前記無線タグから取得される前記アクセス情報は,前記識別情報であり,
前記通信装置は,前記無線タグから取得された前記アクセス情報に基づいて前記テーブルから前記特定のサイトにアクセスするための情報を取得し,取得した前記特定のサイトにアクセスするための情報に基づいて前記サーバから前記特定のサイトのデータを取得する情報提供システム。」を容易に想到し得たということはできない。
したがって,上記相違点1~3について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明,引用文献2~4に記載された技術的事項,及び引用文献Aに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2について
本願発明2は,本願発明1における「容器」を「前記蓋の少なくとも一部が樹脂製で構成され,本体が樹脂製で構成され,前記本体の下端から前記無線タグまでの距離が前記無線タグの通信可能範囲よりも長い容器」であると減縮した発明であって,本願発明1の上記相違点4に係る構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2~4に記載された技術的事項,及び引用文献Aに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
3.本願発明3について
本願発明3は,本願発明1における「飲食料保存用又は調理用に使用される容器であって,少なくとも前記容器の有効な使用方法を公開する特定のサイトにアクセスするためのアクセス情報又は前記特定のサイトを識別するための識別情報であるアクセス情報が記憶された無線タグが蓋に備えられ,前記無線タグには使用時に取り外し可能な遮断フィルムであって,電磁波を遮断する遮断フィルムが貼り付けられている容器」を「飲食料保存用又は調理用に使用される容器であって,少なくとも前記容器の有効な使用方法を公開する特定のサイトにアクセスするためのアクセス情報又は前記特定のサイトを識別するための識別情報であるアクセス情報が記憶された無線タグが蓋に備えられ,前記無線タグには使用時に取り外し可能な遮断フィルムであって,電磁波を遮断する遮断フィルムが貼り付けられており,前記蓋の少なくとも一部が樹脂製で構成され,本体が樹脂製で構成され,前記本体の下端から前記無線タグまでの距離が前記無線タグの通信可能範囲よりも長い容器」に変更した発明であって,本願発明1の上記相違点4に係る構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2~4に記載された技術的事項,及び引用文献Aに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
4.本願発明4について
本願発明4は,本願発明1~3を減縮した発明であって,本願発明1の上記相違点4に係る構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2~4に記載された技術的事項,及び引用文献Aに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
5.本願発明5について
本願発明5は,本願発明1~2を減縮した発明であって,本願発明1の上記相違点4に係る構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明,引用文献2~4に記載された技術的事項,及び引用文献Aに記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は,請求項1~6について上記引用文献1~4に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら,令和3年1月29日付けの手続補正により補正された請求項1~5は,上記相違点4に係る構成を有するものとなっており,上記のとおり,本願発明1~5は,引用発明,引用文献2~4に記載された技術的事項,及び引用文献Aに記載された技術的事項に基づいて,当業者が容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。
第6 当審拒絶理由について
1.特許法第29条第2項について
当審では,請求項1~5に係る発明は,上記引用文献Aに記載された発明及び上記引用文献1,3に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるという拒絶の理由を通知しているが,令和3年1月29日付けの補正において,拒絶の理由が通知されていない請求項6の構成に限定された結果,この拒絶の理由は解消した。
第7 むすび
以上のとおり,本願発明1~5は,当業者が引用発明,引用文献2~4に記載された技術的事項,及び引用文献Aに記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-007467