意匠拒絶査定不服審判
2020-007293
化粧用コンパクト
- 審判番号
- 2020-007293
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2019-013813外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年05月29日
- 審決日
- 2020年11月30日
- 公報発行日
- 2021年01月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】株式会社タイキ
- 【請求人代理人】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
- 分類
- D18 .113-WY (B7-0)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2019- 13813「化粧用コンパクト」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、令和1年6月21日の意匠登録出願であって、同年10月29日付けの拒絶理由の通知に対し、同年12月10日に意見書が提出されたが、令和2年3月2日付けで拒絶査定がなされ、これに対して同年5月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願の意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとするもので、その意匠は、意匠に係る物品を「化粧用コンパクト」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであり(以下「本願意匠」という。)、物品の部分として意匠登録を受けようとする部分を、「実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」(以下「本願部分」という。)としたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
そして、拒絶理由通知において引用された意匠は、特許庁発行の意匠公報(公報発行日:2002年10月28日)に掲載された、意匠登録第第1156509号(意匠に係る物品、コンパクト)の意匠(以下「引用意匠」という。別紙第2参照。)の本願部分に相当する部分(以下「引用部分」という。)である。
第4 当審の判断
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の類否について、以下検討する。
1 両意匠の対比
(1)両意匠の意匠に係る物品の対比
両意匠は、共に化粧用の「コンパクト」に係るものであり、両意匠の意匠に係る物品は、共通する。
(2)本願部分と引用部分の用途及び機能の対比
本願部分と引用部分(以下「両部分」という。)は、いずれもファンデーション等の化粧品を収容する携帯用容器の外側の面のうち、底部の一部を除くものであり、両部分の用途及び機能は、共通する。
(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の対比
両部分の位置、大きさ及び範囲は、いずれも外側の面のうち底部の一部を除くものであり、共通する。
(4)両部分の形態の対比
両部分の形態を対比すると、その形態には、以下のとおりの共通点及び相違点が認められる。
なお、本願意匠の向きに合わせて引用意匠の向きを認定(引用意匠における「正面図」を「平面図」と認定)して対比する。
ア 形態の共通点
(ア)全体構成
平面視、左右及び上下の辺が曲線状に膨出した横幅対縦幅(奥行き)を約5:3とする略小判状とするもので、正面視、横幅対縦幅(高さ)を約6:1とする扁平な蓋付き容器とするもので、
(イ)正面視における態様
左右方向中央に、横長長方形の開蓋用のボタン部を有し、その上辺より上側を蓋部、下側を容器部とするもので、左右両端部はアール状曲面とし、
(ウ)背面視における態様等
背面視において、蓋部の左右方向中央が下方に延出して横長長方形のヒンジ部を形成して容器部側に組み込まれ、ヒンジの軸方向に横長の小楕円部が2つ容器部側に表れ、底面は平板状とする点。
イ 形態の相違点
(ア)蓋部の態様
(ア-1)本願部分の蓋部は、無模様でレリーフ状の凹凸等も有していないが、引用部分の蓋部は、その端部全周にわたって段状に見える模様が表れている点。
(ア-2)本願部分の蓋部は、中央をほぼ平坦状とし、端部側のみ緩やかな凸曲面とするのに対し、引用部分の蓋部は、全体にわたって緩やかな凸曲面とする点。
(イ)蓋部と容器部の接合態様
本願部分は、正面視において蓋部と容器部の比率は約1対1で構成され、蓋部と容器部の接合部は端部のアール状曲面の頂点とするのに対し、引用部分は、蓋部対容器部が約5:8で構成され、蓋部の方が薄い構成となっており、蓋部と容器部の接合部は、容器部に形成されたアール状曲面の頂点よりも高い位置にある点。
2 類否判断
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し、両意匠の類否を意匠全体として検討し、総合して判断する。
(1)意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、同一である。
(2)両部分の用途及び機能の類否判断
両部分の用途及び機能は、同一である。
(3)両部分の位置、大きさ及び範囲の評価
両部分の位置、大きさ及び範囲は、同一である。
(4)両部分の形態の類否判断
ア 共通点及び相違点の評価
両意匠の需要者は、化粧品を使用する購入者であり、手に持ったり、かばんに収納したり、台等に置いて使用する等の観点から、両意匠を観察するものということができる。
したがって、平面視における蓋部の態様について注視するものといえ、また、その開けやすさや持ちやすさといった観点についても注視するものということができる。
(ア)共通点の評価
共通点(ア)の、平面視略小判状とする偏平な蓋付き容器とする態様は、両意匠の基本構成を形成するものではあるが、本願意匠の出願前より既に公知となっている点を考慮すると(参考意匠1及び2参照)、この共通点が類否判断に及ぼす影響は、一定程度のものにとどまる。
共通点(イ)及び共通点(ウ)は、当該物品分野において従来から見られる態様であり(参考意匠2参照)、類否判断に及ぼす影響は小さい。
参考意匠1(別紙第3参照)
特許庁意匠課公知資料番号HC2800618400号の「化粧品入れ」の意匠
参考意匠2(別紙第4参照)
特許庁発行の意匠公報に掲載された意匠登録第1217177号の「コンパクト」の意匠
(イ)相違点の評価
相違点(ア-1)及び(ア-2)は、需要者が注視する平面視における蓋部の態様における相違点に係り、特に(ア-1)は両部分の印象を大きく異ならせるものであり、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は大きい。
また、相違点(イ)は、蓋の開けやすさにも影響を及ぼすものであり、需要者が注視する点でもあることから、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は一定程度有するものと認められる。
イ 評価に基づく両部分の形態の類否判断
両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、両部分の形態全体を観察し、判断する。
両部分は、基本構成を形成する共通点(ア)が、両部分の形態の類否判断に及ぼす影響を一定程度有するものではあるが、共通点(イ)及び共通点(ウ)は、いずれも類否判断に及ぼす影響が小さい。
一方、相違点(ア-1)及び(ア-2)は、いずれも需要者が注視する平面視における蓋部の態様に係り、特に相違点(ア-1)が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は大きい。そして、相違点(イ)は、これも需要者が注視する蓋の開けやすさにつながる態様に係り、両部分の形態の類否判断に一定の影響を及ぼすものである。
そこで、両部分の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、両部分の形態全体として観察すると、相違点が両部分の形態の類否判断に及ぼす影響は、共通点が及ぼす影響よりも大きなものといわざるを得ない。
したがって、両部分の形態は、類似しない。
(5)小括
両意匠は、意匠に係る物品が同一で、両部分の用途及び機能、さらには位置、大きさ及び範囲も同一であるが、両部分の形態は類似しない。
これらを総合して判断すると、両意匠は類似しない。
第5 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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