特許拒絶査定不服審判
2020-005758
放射線治療処置の超音波画像ガイダンス
- 審判番号
- 2020-005758
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-516890外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年04月28日
- 審決日
- 2021年01月20日
- 公報発行日
- 2021年07月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
- 【請求人代理人】特許業務法人M&Sパートナーズ
- 分類
- P18 .121-Z (A61B) / P18 .575-Z (A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-516890「放射線治療処置の超音波画像ガイダンス」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月 7日国際公開、WO2016/050709、平成29年10月19日国内公表、特表2017-530780〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)9月28日(パリ条約による優先権主張 2014年9月30日 欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、令和元年5月20日付けで拒絶理由が通知され、同年12月3日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年12月24日付けで拒絶査定されたところ、令和2年4月28日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされたものである。
第2 令和2年4月28日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年4月28日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 本件補正について
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「 【請求項1】
2次元アレイトランスデューサと、前記2次元アレイトランスデューサに結合されたプローブケーブルとを含み、標的領域を含む容積領域内の超音波ビームを電子的に操縦する超音波プローブであって、幅及び長さの寸法を有する患者接触面を有し、前記幅及び長さの寸法よりも小さい前記患者接触面に垂直な厚さを有する1つの超音波プローブと、
前記超音波プローブから離れて配置され、前記プローブケーブルによって前記超音波プローブに接続された超音波システムであって、前記超音波システムは、患者の前記標的領域の3次元画像の生成のために前記超音波プローブによって生成された超音波信号を処理する、超音波システムと、
前記患者に音響結合された前記患者接触面で前記患者への前記1つの超音波プローブの取り付けを可能にするベルト又は粘着バンドと、
前記2次元アレイトランスデューサから離れた前記プローブケーブルの端部に配置されたプローブコネクタと
を含む、放射線療法治療を受けている患者を撮像するための超音波診断撮像システムであって、
前記超音波プローブは、前記2次元アレイトランスデューサに結合されたマイクロビーム形成器をさらに含み、前記プローブケーブルは前記マイクロビーム形成器に結合され、 前記プローブケーブル又は前記プローブコネクタは前記超音波プローブの電子部品を含み、
前記超音波プローブは、前記患者が放射線療法治療を受けている間、前記患者に取り付け可能であり、前記超音波システムは、治療中又は治療区分の間の何れかに、前記標的領域の画像を生成する、
超音波診断撮像システム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和元年12月3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~14の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
2次元アレイトランスデューサと、前記2次元アレイトランスデューサに結合されたプローブケーブルとを含み、標的領域を含む容積領域内の超音波ビームを電子的に操縦する超音波プローブであって、幅及び長さの寸法を有する患者接触面を有し、前記幅及び長さの寸法よりも小さい前記患者接触面に垂直な厚さを有する1つの超音波プローブと、
前記超音波プローブから離れて配置され、前記プローブケーブルによって前記超音波プローブに接続された超音波システムであって、前記超音波システムは、患者の前記標的領域の3次元画像の生成のために前記超音波プローブによって生成された超音波信号を処理する、超音波システムと、
前記患者に音響結合された前記患者接触面で前記患者への前記1つの超音波プローブの取り付けを可能にするベルト又は粘着バンドと
を含む、放射線療法治療を受けている患者を撮像するための超音波診断撮像システムであって、
前記超音波プローブは、前記患者が放射線療法治療を受けている間、前記患者に取り付け可能であり、前記超音波システムは、治療中又は治療区分の間の何れかに、前記標的領域の画像を生成する、
超音波診断撮像システム。」
2 補正の適否
本件補正は、「超音波診断撮像システム」が、「前記2次元アレイトランスデューサから離れた前記プローブケーブルの端部に配置されたプローブコネクタ」を含み、「前記超音波プローブは、前記2次元アレイトランスデューサに結合されたマイクロビーム形成器をさらに含み、前記プローブケーブルは前記マイクロビーム形成器に結合され、 前記プローブケーブル又は前記プローブコネクタは前記超音波プローブの電子部品を含」む旨の限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法17条の2第5項2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記1(1)に記載したとおりのものである。
(2)引用文献の記載事項
ア 引用文献1について
(ア)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特表2008-538716号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、当審で付した。以下、同様。)
(引1a)「【0001】
本発明は、超音波トランスデューサシステムによる連続撮像を提供する方法及び装置に関する。特に、本発明は、手動でトランスデューサを操作することを必要とせずに、アレイにより生じた走査線の調整及び位置決めを制御する超音波撮像をするための方法及び装置に関する。」
(引1b)「【0006】
図1から図8の図面をここで参照すると、フェーズドアレイ超音波撮像システムにより制御される薄型の大口径マトリックスアレイセンサ組立体が図1に示される。このアレイは、薄型の硬質ハウジングに収納され、(無線接続は、例えばBluetooth(登録商標)技術に限定されないが、何れかの商業的に知られる無線技術とすることが可能であったとしても)従来のトランスデューサ配線により前記撮像システムに接続される。マトリックスパッチ10は、使い捨てパッドとして形成され、例えばシリコン又は同等物がトランスデューサハウジングに取り付けられ、超音波ゲルを用いて前記アレイに音響的に結合されるような適切に低い音響損失の材料から作成される。図5A及び図5Bに詳細に説明される使い捨てパッドは、次にそのパッドの周辺部にある接着剤を用いて、関心領域にある人間の身体に取り付けられ、超音波ゲルを用いて前記身体と音響的に結合される。
【0007】
前記マトリックスアレイから得ることができる画像は、米国特許番号US 667849号に記載の3Dリアルタイムボリューム撮像と同じく、標準の2Dフェーズドアレイ又はリニアアレイ方式の両方も含んでいる。これら画像は、超音波撮像システムから電子的に調整及び操作される。キーホール撮像は、例えば前記アレイパッドが心臓撮像中に間違えて肋骨の上に置かれた場合、肋骨間において撮像するのに使用される。当面の臨床画像要件に応じて同じシステム上で動作する複数のトランスデューサが考えられている。
【0008】
薄型のマトリックスアレイは、容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)(米国特許番号US 6,585,653号参照)、圧電型マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)(米国特許番号US 6,659,954号参照)、マイクロマシン超音波トランスデューサ構造、又は米国特許番号US 6,679,849号に記載の圧電ベース構造から形成されてもよい。CMUTは、容量結合型マイクロマシンドラムが音響ビームを作成する標準の集積回路処理を用いて製造される。ASICはCMUTの一部として一体形成される。PMUTは、圧電素子が音響ビームを作成する集積回路処理を用いて製造される。ASICが最初に形成され、圧電材料はその後ドープされる。
【0009】
マトリックスアレイ組立体は、標準の技術を用いて、硬質トランデューサハウジング及び好ましくは薄型の硬質ハウジングに取り付けられる。音響インターフェース材料が従来知られている。その厚さが人間の身体の外形に関する僅かな変化を吸収するのに十分な厚さである低損失パッドは、そのパッドが前記トランスデューサハウジングに取り付けられ、後でそのトランスデューサハウジングから取り外されるように使い捨て可能であるように製造されると共に、トランスデューサとパッドとの間に非常に良好な音響結合を約束するために、音響ゲルを塗布される。剥離フィルムは、人間とパッドとの接着面の周辺部に適用される。関心のあるトランスデューサ位置が一度決められると、音響ゲルが前記パッドに塗布され、剥離フィルムが取り除かれ、トランスデューサパッドが患者の撮像領域に付けられる。一度良好な音響的接触が得られたら、全ての撮像制御は、トランスデューサアレイを操作する必要無く、撮像システムに入力される。
【0010】
撮像システム5は、前記アレイ10からの画像が米国特許番号US 6,679,849号に記載される3Dリアルタイム撮像と同じく、標準の2Dフェーズドアレイ及びリニアアレイ方式の両方を含むように、前記アレイ10を制御するためのフェーズドアレイ超音波撮像システム5とすることができる。超音波撮像システム5は、例えばフィリップス社のSonos 7500に限定されないが、何れかの適当な商業的に知られる超音波撮像システムとすることができる。前記画像は、超音波撮像システム5から電子的に調整及び操作される。このシステムはモニタ6及びコンソールコントロール7を含んでいる。超音波撮像システム5は、図1に示されるような有線8により又は無線で超音波トランスデューサ10に接続されている。
【0011】
マトリックス超音波トランスデューサは、例えば図2に示されるような心臓撮像のような、撮像する患者の一部に接着するパッチとして形成されることができる。ワイヤ8は、画像をモニタ6で視聴するための超音波撮像システム5に送る。」
(引1c)「【0015】
図5A及び5Bは、薄型の組立体用のデマッチング層を使用して、米国特許番号US 6,685,647号に記載されているマトリックスアレイ10用の使い捨てパッチを説明する。図5Aは、前記使い捨てパッチ10の上面図を示す。図5Bは、マトリックスアレイの使い捨てパッチ10の構造を説明する断面図を示す。図5Bに見られるように、音響ウィンドウ21a、一体化するように取り付けられるアクティブCMUT又はPMUTの音響マトリックスアレイを備えるマイクロビーム形成ASIC30a、プラスチックハウジング内に取り付けられる半永久の両面医療グレードテープ32a、プラスチックハウジング22a、ASIC及びフレキシブル回路に接合されるヒートシンク23a、ASICとフレキシブル回路とに相互接続するワイヤバンド24a、フレキシブル回路28a、音響デマッチング層35、マイクロビーム形成シリコンASIC36、並びにマイクロフラットリボン形ケーブル組立体29aが存在している。前記パッチは、そのパッチの周辺部にある接着剤を用いて、超音波ゲルを用いて関心領域にある患者の身体と音響的に結合されるシリコン又は同等物から作成される。
【0016】
図6A及び6Bは、撮像標的の上に位置決めされたマトリックスパッチを用いた、撮像モードでの超音波撮像及び3D超音波撮像が持つ問題を説明している。本発明は、撮像することに提供され、これは2D又は3D撮像を含んでいる。本発明は、マトリックスパッチの如何なる機械的調節も必要としないが、超音波撮像システム5に対する制御を遠隔操作することにより、妨害物を持つ1つ以上の撮像標的を撮像するシステム及び方法を最初に提供することにより上記問題に対する新規解法を提供する。示される実施例において、肋骨の陰影は1つ以上の肋骨により生じるが、本発明がこの1つの妨害物又はここに説明される撮像する理由に限定されないと理解される。第2に、本発明は、超音波撮像システム5に対する制御を用いて、前記セクタ走査を再位置決めすることにより、少なくとも1つ以上の標的を映像化するために、1つ以上の標的の上にマトリックスパッチ10を位置決めすることを提供する。超音波撮像システム5を用いて離れて複数の標的を映像化することが可能である。」
(引1d)「
」
(引1e)「
」
(引1f)「
」
(イ)引用文献1に記載された発明
a 上記(引1a)~(引1c)において、「マトリックスアレイ」、「アレイ10」、「マトリックスパッチ10」、「マトリックスアレイの使い捨てパッチ10」及び「超音波トランスデューサ10」は、いずれも同じものを指していることから、「超音波トランスデューサ10」として整理した。また、「フェーズドアレイ超音波撮像システム」、「撮像システム5」及び「超音波撮像システム5」は、いずれも同じものを指していることから、「超音波撮像システム5」として整理した。そして、「有線8」及び「ワイヤ8」は、いずれも同じものを指していることから、「有線8」として整理した。
b 上記(引1e)及び(引f)より、「超音波トランスデューサ10」は、幅及び長さの寸法よりも小さい厚さを有している点が見て取れる。また、上記(引1d)より、「超音波撮像システム5」は、「超音波トランスデューサ10」及び「有線8」から離れて配置されている点及び「超音波トランスデューサ10」から離れた「有線8」の端部にプローブコネクタを配置した点が見て取れる。
c 上記a及びbを踏まえると、上記(引1a)~(引1f)より、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「連続撮像を提供する超音波トランスデューサシステムにおいて、
超音波撮像システム5により制御される薄型の大口径マトリックスアレイセンサ組立体である超音波トランスデューサ10は、
使い捨てパッドとして形成され、
そのパッドの周辺部にある接着剤を用いて、関心領域にある人間の身体に取り付けられ、超音波ゲルを用いて前記身体と音響的に結合され、
容量型マイクロマシン超音波トランスデューサ(CMUT)、圧電型マイクロマシン超音波トランスデューサ(PMUT)から形成され、
幅及び長さの寸法よりも小さい厚さを有し、
超音波撮像システム5は、
超音波トランスデューサ10からの3Dリアルタイム撮像を含み、
超音波トランスデューサ10を制御することができ、
有線8により超音波トランスデューサ10に接続され、
有線8は、画像をモニタ6で視聴するために超音波撮像システム5に送り、
超音波トランスデューサ10及び有線8から離れて配置され、
超音波トランスデューサ10から離れた有線8の端部にプローブコネクタを配置し、
超音波トランスデューサ10の構造は、
音響ウィンドウ21a、一体化するように取り付けられるアクティブCMUT又はPMUTの音響マトリックスアレイを備えるマイクロビーム形成ASIC30a、プラスチックハウジング内に取り付けられる半永久の両面医療グレードテープ32a、プラスチックハウジング22a、ASIC及びフレキシブル回路に接合されるヒートシンク23a、ASICとフレキシブル回路とに相互接続するワイヤバンド24a、フレキシブル回路28a、音響デマッチング層35、マイクロビーム形成シリコンASIC36、並びにマイクロフラットリボン形ケーブル組立体29aからなり、
標的の上に位置決めされた超音波トランスデューサ10は、超音波撮像システム5に対する制御を用いて、標的を映像化する
超音波トランスデューサシステム。」
イ 引用文献2
(ア)引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、米国特許出願公開第2013/0237822号明細書(以下「引用文献2」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(引2a)「 [0021] The particle therapy system 100 also includes an ultrasound device 120. During the radiation therapy for the tumor (e.g., the target volume 106) in the lung of the patient, for example, the lung moves as the patient breathes. In order to track the movement of the target volume 106 during the radiation therapy, the ultrasound device 120 generates data (e.g., ultrasound data) representing the target volume 106 and a region outside of the target volume 106 during the radiation therapy. The ultrasound device 120 may be opbigerated at a frame rate of, for example, 10 or more frames per second to provide a temporal resolution sufficient to stabilize the particle beam 104 in the target object 108. Other frame rates, however, may be used.」(当審訳:「[0021] 粒子治療システム100はさらに、超音波デバイス120を備えている。患者の肺の中の腫瘍(例えば、標的ボリューム106) のための放射線治療の間に、例えば、患者が呼吸すると、肺が動く。放射線療法中の標的ボリューム106の移動を追跡するために、超音波デバイス120は、放射線治療中に標的ボリューム106と標的ボリューム106の外の領域を表すデータ(例えば超音波データ)を生成する。超音波デバイス120は、対象物体108に粒子ビーム104を安定化するのに十分な時間分解能を提供するために、例えば、毎秒10フレーム以上のフレームレートで動作してもよい。他のフレームレートも使用することができる。」)
(引2b)「[0026] FIG. 2 shows a cross-sectional view of one embodiment of the ultrasound device 120. The ultrasound device 120 includes a first ultrasound assembly 200 and a second ultrasound assembly 202. The first ultrasound assembly 200 includes a first support structure 204 and at least one first transducer 206. The second ultrasound assembly 202 includes a second support structure 208 and at last one second transducer 210. The first support structure 204 and the second support structure 208 may be used to position the at least one first transducer 206 and the at least one second transducer 210, such that the at least one first transducer 206 and/or the at least one second transducer 210 are in physical contact with, abut, or are adjacent to an external surface 212 of the target object 108 (e.g., an external surface of the chest of the patient). The first ultrasound assembly 200 and/or the second ultrasound assembly 202 may be belts, blankets or cuffs. The ultrasound device 120 may include more or fewer ultrasound assemblies.」(当審訳:「[0026] 図2は、超音波デバイス120の一実施形態の断面図を示している。超音波デバイス120は第一の超音波組立体200及び第2の超音波組立体202を含む。第1の超音波組立体200は、第1の支持構造体204と、少なくとも1つの第1のトランスデューサ206を含む。第2の超音波組立体202は、第2の支持構造体208及び少なくとも1つの第2のトランスデューサ210を含む。第1の支持構造体204および第2支持構造208は、少なくとも1つの第1のトランスデューサ206と少なくとも第2のトランスデューサ210を位置決めするために使用することができ、少なくとも1つの第1のトランスデューサ206及び/又は少なくとも1つの第2のトランスデューサ210は、対象物体108の外表面212(例えば、患者の胸部の外部表面)に物理的に接触しているか、隣接しているか又は近接している。第1の超音波組立体200及び/又は第2の超音波組立体202は、ベルト、ブランケットまたはカフであってもよい。超音波デバイス120は、より多くの、またはより少ない超音波組立体を含むことができる。」)
(イ)引用文献2に記載された技術事項
上記(引2a)より、引用文献2には、以下の技術事項(以下「技術事項2」という。)が記載されている。
「超音波デバイス120を備えた粒子治療システム100において、
患者の肺の中の腫瘍のための放射線治療の間に、放射線療法中の標的ボリューム106の移動を追跡するために、
超音波デバイス120は、放射線治療中に標的ボリューム106と標的ボリューム106の外の領域を表す超音波データを生成する
粒子治療システム100。」
ウ 引用文献3及び4について
(ア)引用文献3に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2013-078570号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(引3a)「【0017】
図3に示した例では、超音波プローブ101は、被検体Pの胸部近傍の体表に装着され、被検体Pの腰部近傍に装着された装置本体100とケーブル102を介して接続される。かかる超音波プローブ101は、固定用ベルトや粘着パッド等によって被検体Pに固定される。例えば、図1に例示した被検体Pのように、超音波プローブ101は、体表に密着する弾性体である固定用ベルトにより被検体Pに固定される。また、例えば、超音波プローブ101は、粘着性を有する粘着パッドが塗布されることで、かかる粘着パッドを介して被検体Pに固定される。このような超音波プローブ101は、被検体Pに固定された状態であっても被検体Pの動きを妨害しにくい形状となるように、医師等が超音波プローブ101を保持するための凸状のグリップを有しない。この点について図4及び図5を用いて説明する。」
(イ)引用文献4に記載された事項
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2014-100590号公報(以下「引用文献4」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(引4a)「【0032】
〔1.生体検査装置の全体構成〕
図1は、第一実施形態の生体検査装置の概略を示す斜視図であり、(A)は、生体検査装置の表面側、(B)は生体検査装置の裏面側を示す図である。
図1において、生体検査装置1は、超音波により、血流や血圧、脈拍などの血管の状態を測定する装置である。具体的には、生体検査装置1は、図1に示すように、装置本体2と、装置本体2に接続されるバンド3を備えている。そして、このような生体検査装置1は、裏面を生体に密着させた状態でバンド3を締めることで生体に装着され、例えば24時間血管の状態を監視、測定することが可能となる。
【0033】
〔2.装置本体の構成〕
この生体検査装置1の装置本体2の表面側には、図1(A)に示すように、測定結果を示す表示部4や、生体検査装置1を操作するための操作部5などが設けられている。また、装置本体2の裏面側には、プローブ窓6が形成され、このプローブ窓6に本発明の超音波センサーを備えたプローブ10が設けられている。このプローブ10は、生体検査装置1により生体内の血管状態を測定する際に、生体に密着される。」
(ウ)周知の構成について
a 引用文献2に「第1の超音波組立体200は、・・・第1のトランスデューサ206を含む。・・・第1のトランスデューサ206・・・は、対象物体108の外表面212・・・に物理的に接触し・・・第1の超音波組立体200・・・は、ベルト・・・であってもよい。・・・」と記載されている(上記イ(引2b)参照)ことから、引用文献2には、「第1のトランスデューサ206」を「ベルト」にて「対象物体108の外表面212」「に物理的に接触」させる「第1の超音波組立体200」が記載されているといえる。
b 上記(ア)より、引用文献3には、「超音波プローブ101は、固定用ベルト・・・によって被検体Pに固定される」旨記載されている。
c 上記(イ)より、引用文献4には、「生体検査装置1は、裏面を生体に密着させた状態でバンド3を締めることで生体に装着され」と記載され、「生体検査装置1の・・・装置本体2の裏面側には、プローブ窓6が形成され、このプローブ窓6に本発明の超音波センサーを備えたプローブ10が設けられ」と記載されていることから、引用文献4の「生体検査装置1」は、超音波プローブであって、「バンド3」「で生体に装着され」ているものである。
d 引用文献2の「対象物体108」、引用文献3の「被検体P」及び引用文献4の「生体」は、いずれも本件補正発明の「患者」に相当し、また、引用文献2の「第1のトランスデューサ206」、引用文献3の「超音波プローブ101」及び引用文献4の「生体検査装置1」は、いずれも本件補正発明の「超音波プローブ」に相当し、そして、引用文献2の「ベルト」、引用文献3の「固定用ベルト」及び引用文献4の「バンド3」は、いずれも本件補正発明の「ベルト」に相当する。
そうすると、上記a~cより、引用文献2~4には、いずれも「超音波プローブの取り付けを、ベルトにより可能とする構成」が記載されているから、該構成は周知の構成であるといえる。
エ 参考文献について
(ア)特表2014-518124号公報(以下「参考文献1」という。)について
参考文献1には、以下の事項が記載されている。
(参1a)「【0011】
図4は、標準的なマイクロビーム形成器ASICがシステムメインフレームにケーブルを接続するプローブコネクタに配置される2D撮像プローブに関する本発明の別の実現を示す。この例では、プローブ30は、128のトランスデューサ要素のリニアアレイトランスデューサ32を持つ従来のレガシープローブである。アレイの各要素は、128の導電体ケーブル34のそれ自身の導体に結合される。プローブケーブル34は、超音波システムメインフレーム上の嵌合コネクタに接続するプローブコネクタ36でターミネートする。プローブ及びケーブルは、これまでに記載されたように、長年にわたり超音波システムにとって一般に利用可能だった。本発明の原理によれば、プローブ及びケーブルの128の信号経路を8の部分的にビーム形成された出力信号経路へと減らすため、上述の標準的なマイクロビーム形成器ASIC10が、プローブコネクタ36において使用される。128のケーブル信号経路の半分は、1つのマイクロビーム形成器ASICに結合され、他の半分は、他のASICに結合される。システムビーム形成器に結合される合計8つの部分的にビーム形成された信号経路が存在する。ビーム形成処理を完了し、画像を形成するのに適したコヒーレントなエコー信号を生成するため、図4のレガシープローブ構成が、図2のミニビーム形成器12又は図3のミニビーム形成器12'のいずれかと共に使用されることができる。64要素の1Dアレイトランスデューサを用いるレガシープローブは、図1の1つのマイクロビーム形成器10だけを必要とする。ケーブルは、マイクロビーム形成器から受信される部分的にビーム形成された信号に関する4つの信号経路だけを必要とする。」
(イ)特開2008-154710号公報(以下「参考文献2」という。)について
参考文献2には、以下の事項が記載されている。
(参2a)「【0013】
超音波プローブ14は、装置本体16に着脱可能なプローブコネクタ18を有し、これには接続ピン20を備えたプラグ22が設けられている。接続ピン20と、プローブヘッド12の各振動子とは、プローブケーブル24によって接続されている。また、プローブコネクタ18には、プローブヘッド12からの超音波の送受信の制御や、超音波振動子の駆動、受信された信号に対し所定の処理を行うコネクタ側送受信回路装置26が収容されている。」
(ウ)特開2014-097157号公報(以下「参考文献3」という。)について
参考文献3には、以下の事項が記載されている。
(参3a)「【0023】
一方、図3(b)では、周波数調整回路10がコネクタ105に内蔵されている。トランスデューサ素子Trで受信した超音波エコー信号は、ケーブル103を介してコネクタ105に送られる。そして、コネクタ105内の周波数調整回路10で、超音波エコーがSN比を向上させる。超音波プローブ20は、インダクタ16及び電流制限回路18を有さないので、さらに超音波プローブ20が小型化される。」
(エ)周知の構成について
参考文献1の「128のトランスデューサ要素のリニアアレイトランスデューサ32を持つ従来のレガシープローブ」である「プローブ30」、参考文献2の「超音波プローブ14」及び参考文献3の「超音波プローブ20」は、いずれも本件補正発明の「超音波プローブ」に相当する。また、参考文献1の「マイクロビーム形成器ASIC10」、参考文献2の「コネクタ側送受信回路装置26」及び参考文献3の「周波数調整回路10」は、いずれも、本件補正発明の「超音波プローブに使用する電子部品」に相当する。そして、参考文献1の「プローブコネクタ36」、参考文献2の「プローブコネクタ18」及び参考文献3の「コネクタ105」は、いずれも本件補正発明の「プローブコネクタ」に相当する。
そうすると参考文献1~3には、いずれも「プローブコネクタに超音波プローブに使用する電子部品を配置する構成」が記載されているから、該構成は、周知の構成であるといえる。
(3)引用発明との対比
ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「超音波トランスデューサ10」は、「大口径マトリックスアレイセンサ組立体である」から、本件補正発明の「2次元アレイトランスデューサ」に相当する。 また、引用発明の「超音波トランスデューサ10に接続され」た「有線8」は、本件補正発明の「前記2次元アレイトランスデューサに結合されたプローブケーブル」に相当する。
(イ)引用発明の「超音波撮像システム5」は、本件補正発明の「超音波システム」に相当する。そして、引用発明の「超音波トランスデューサ10」は、「標的の上に位置決めされ」て「超音波撮像システム5に対する制御を用いて、標的を映像化する」ものであるから、引用発明の「標的の上に位置決めされ」て「超音波撮像システム5に対する制御を用いて、標的を映像化する」、「大口径マトリックスアレイセンサ組立体である」「超音波トランスデューサ10」と、「超音波トランスデューサ10に接続され」た「有線8」とは、本件補正発明の「2次元アレイトランスデューサと、前記2次元アレイトランスデューサに結合されたプローブケーブルとを含み、標的領域を含む容積領域内の超音波ビームを電子的に操縦する超音波プローブ」に相当する。
(ウ)引用発明の「超音波トランスデューサ10は、使い捨てパッドとして形成され、そのパッドの周辺部にある接着剤を用いて、関心領域にある人間の身体に取り付けられ、超音波ゲルを用いて前記身体と音響的に結合され」るから、「超音波トランスデューサ10」の「パッドの周辺部にある接着剤を用いて、関心領域にある人間の身体に取り付けられ」る面は、、幅及び長さの寸法を有していることは明らかであるから、本件補正発明の「幅及び長さの寸法を有する患者接触面」に相当する。そして、引用発明の「超音波トランスデューサ10」は、「幅及び長さの寸法よりも小さい厚さを有し」ているから、引用発明の「パッドの周辺部にある接着剤を用いて、関心領域にある人間の身体に取り付けられ」る面を有し、「幅及び長さの寸法よりも小さい厚さを有し」ている「超音波トランスデューサ10」と、「超音波トランスデューサ10に接続され」た「有線8」とは、本件補正発明の「幅及び長さの寸法を有する患者接触面を有し、前記幅及び長さの寸法よりも小さい前記患者接触面に垂直な厚さを有する1つの超音波プローブ」に相当する。
(ウ)引用発明の「超音波撮像システム5」は、「超音波トランスデューサ10及び有線8から離れて配置され」、「有線8により超音波トランスデューサ10に接続され」ているから、本件補正発明の「超音波システム」と、「前記超音波プローブから離れて配置され、前記プローブケーブルによって前記超音波プローブに接続され」ている点で一致する。
(エ)引用発明の「超音波撮像システム5」は、「超音波トランスデューサ10からの3Dリアルタイム撮像を含み」、「有線8により超音波トランスデューサ10に接続され、有線8は、画像をモニタ6で視聴するために超音波撮像システム5に送」っており、「モニタ6で視聴」される「画像」は、「標的の上に位置決めされた超音波トランスデューサ10」が、「超音波撮像システム5に対する制御を用いて、標的を映像化」したものであるから、「標的」の「3Dリアルタイム」「画像」であるといえ、「超音波撮像システム5」は、この「画像」を生成するために「超音波トランスデューサ10からの3Dリアルタイム撮像」信号を処理しているものである。
そうすると、引用発明の「標的」の「3Dリアルタイム」「画像」を生成するために「超音波トランスデューサ10からの3Dリアルタイム撮像」信号を処理する「超音波撮像システム5」は、本件補正発明の「患者の前記標的領域の3次元画像の生成のために前記超音波プローブによって生成された超音波信号を処理する、超音波システム」に相当する。
(オ)引用発明の「超音波トランスデューサ10」は、「使い捨てパッドとして形成され、そのパッドの周辺部にある接着剤を用いて、関心領域にある人間の身体に取り付けられ、超音波ゲルを用いて前記身体と音響的に結合され」、一つの「超音波トランスデューサ10」を、「パッドの周辺部にある接着剤を用いて」「取り付け」ているから、本件補正発明の「ベルト又は粘着バンド」により「前記患者に音響結合された前記患者接触面で前記患者への」「取り付けを可能」である「前記1つの超音波プローブ」とは、「前記患者に音響結合された前記患者接触面で前記患者への」「取り付けを可能」である点で共通する。
(カ)引用発明の「超音波トランスデューサ10から離れた有線8の端部に」「配置され」た「プローブコネクタ」は、本件補正発明の「前記2次元アレイトランスデューサから離れた前記プローブケーブルの端部に配置されたプローブコネクタ」に相当する。
(キ)引用発明の「超音波トランスデューサシステム」は、本件補正発明の「超音波診断撮像システム」に相当する。そして、引用発明の「超音波トランスデューサシステム」が「提供する」「連続撮像」は、「関心領域にある人間の身体に取り付けられ」た「超音波トランスデューサ10」からの「連続撮像」であるから、引用発明の「連続撮像を提供する超音波トランスデューサシステム」と、本件補正発明の「放射線療法治療を受けている患者を撮像するための超音波診断撮像システム」とは、「患者を撮像するための超音波診断撮像システム」である点で共通する。
(ク)引用発明の「マイクロビーム形成シリコンASIC36」は、本件補正発明の「マイクロビーム形成器」に相当し、引用発明の「マイクロビーム形成シリコンASIC36」は、「一体化するように取り付けられるアクティブCMUT又はPMUTの音響マトリックスアレイを備えるマイクロビーム形成ASIC30a」とともに「超音波トランスデューサ10の構造」をなし、「超音波トランスデューサ10」は「有線8」に接続されていることから「マイクロビーム形成シリコンASIC36」も「有線8」に接続されているといえる。
そうすると、引用発明の「一体化するように取り付けられるアクティブCMUT又はPMUTの音響マトリックスアレイを備えるマイクロビーム形成ASIC30a」とともに「超音波トランスデューサ10の構造」をなし、「有線8」に接続されている「マイクロビーム形成シリコンASIC36」は、本件補正発明の「前記2次元アレイトランスデューサに結合され」、「前記プローブケーブル」「に結合され」た「マイクロビーム形成器」に相当し、引用発明の「超音波トランスデューサ10」と、「超音波トランスデューサ10に接続され」た「有線8」と、本件補正発明の「超音波プローブ」とは、「マイクロビーム形成器をさらに含」む点で一致する。
(ケ)上記(オ)で検討したとおり、引用発明の「超音波トランスデューサ10」は、「使い捨てパッドとして形成され、そのパッドの周辺部にある接着剤を用いて、関心領域にある人間の身体に取り付けられ」、また、上記(エ)で検討したとおり、引用発明の「超音波撮像システム5」は、「標的」の「3Dリアルタイム」「画像」を生成するものであるから、引用発明の「超音波トランスデューサ10」は、「使い捨てパッドとして形成され、そのパッドの周辺部にある接着剤を用いて、関心領域にある人間の身体に取り付けられ」、「超音波撮像システム5」は、「標的」の「3Dリアルタイム」「画像」を生成する「超音波トランスデューサシステム」と、本件補正発明の「前記超音波プローブは、前記患者が放射線療法治療を受けている間、前記患者に取り付け可能であり、前記超音波システムは、治療中又は治療区分の間の何れかに、前記標的領域の画像を生成する、超音波診断撮像システム」とは、「前記超音波プローブは、前記患者に取り付け可能であり、前記超音波システムは、前記標的領域の画像を生成する、超音波診断撮像システム」である点で共通する。
イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)「2次元アレイトランスデューサと、前記2次元アレイトランスデューサに結合されたプローブケーブルとを含み、標的領域を含む容積領域内の超音波ビームを電子的に操縦する超音波プローブであって、幅及び長さの寸法を有する患者接触面を有し、前記幅及び長さの寸法よりも小さい前記患者接触面に垂直な厚さを有する1つの超音波プローブと、
前記超音波プローブから離れて配置され、前記プローブケーブルによって前記超音波プローブに接続された超音波システムであって、前記超音波システムは、患者の前記標的領域の3次元画像の生成のために前記超音波プローブによって生成された超音波信号を処理する、超音波システムと、
前記患者に音響結合された前記患者接触面で前記患者への前記1つの超音波プローブの取り付けが可能にであり、
前記2次元アレイトランスデューサから離れた前記プローブケーブルの端部に配置されたプローブコネクタと
を含む、患者を撮像するための超音波診断撮像システムであって、
前記超音波プローブは、前記2次元アレイトランスデューサに結合されたマイクロビーム形成器をさらに含み、前記プローブケーブルは前記マイクロビーム形成器に結合され、
前記超音波プローブは、前記患者に取り付け可能であり、前記超音波システムは、前記標的領域の画像を生成する、
超音波診断撮像システム。」
(相違点1)前記1つの超音波プローブの取り付けを、本件補正発明は、「ベルト又は粘着バンド」により可能としているのに対し、引用発明は「接着剤を用いて」いる点。
(相違点2)超音波診断撮像システムが、本件補正発明は「放射線療法治療を受けている患者を撮像するための」ものであって、「前記超音波プローブは、前記患者が放射線療法治療を受けている間、前記患者に取り付け可能であり、前記超音波システムは、治療中又は治療区分の間の何れかに、前記標的領域の画像を生成する」ものであるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。
(相違点3)前記プローブケーブル又は前記プローブコネクタが、本件補正発明は「前記超音波プローブの電子部品を含」んでいるのに対し、引用発明は、そのような特定がない点。
(4)判断
ア 相違点について
以下、相違点について検討する。
(ア)相違点1について
上記(2)ウで検討したとおり、「超音波プローブの取り付けを、ベルトにより可能とする構成」は周知の構成であるから、引用発明に該周知の構成を適用し、上記相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到できたことであるといえる。
(イ)相違点2について
技術事項2の「超音波トランスデューサ10」及び「標的ボリューム106」は、それぞれ、引用発明の「超音波トランスデューサシステム」及び「標的」に相当する。そして、技術事項2の「標的ボリューム106と標的ボリューム106の外の領域を表す超音波データを生成する」ことは、引用発明の「標的を映像化する」ことに相当する。そうすると、引用発明に技術事項2を適用し、「標的の上に位置決めされた超音波トランスデューサ10」による「標的の映像化」を「放射線治療中に」行うとすることは、当業者が容易に想到できたことであるといえるから、上記相違点2に係る構成は、引用発明及び技術事項2から、当業者が容易に想到できたことであるといえる。
(ウ)相違点3について
「超音波トランスデューサ10」に使用する電子部品をどこに配置するかは、超音波プローブの種類や使用状況により適宜設定されるものであって、プローブコネクタに超音波プローブに使用する電子部品を配置する構成は、上記(2)エで検討したとおり周知の構成であるから、引用発明に該周知の構成を適用し、「プローブコネクタ」に「超音波トランスデューサ10」に使用する電子部品を含ませる構成とすることは、当業者が容易に想到できたことであるといえる。
イ 効果について
本件補正発明の効果は、引用文献1及び2に記載された技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
ウ 小括
したがって、本件補正発明は、引用発明、技術事項2及び周知の構成に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
3 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので、同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年4月28日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和元年12月3日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1~14に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された事項及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特表2008-538716号公報
引用文献2:米国特許出願公開第2013/0237822号明細書
引用文献3:特開2013-78570号公報
引用文献4:特開2014-100590号公報
3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1~4及びその記載事項は、前記第2の[理由]2(2)ア~ウに記載したとおりである。
4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本件補正発明から、「超音波診断撮像システム」が、「前記2次元アレイトランスデューサから離れた前記プローブケーブルの端部に配置されたプローブコネクタ」を含み、「前記超音波プローブは、前記2次元アレイトランスデューサに結合されたマイクロビーム形成器をさらに含み、前記プローブケーブルは前記マイクロビーム形成器に結合され、前記プローブケーブル又は前記プローブコネクタは前記超音波プローブの電子部品を含」む旨の限定事項を削除したものである。
してみると、本願発明と引用発明と対比において、相違点は、相違点1及び2である。そして、相違点1及び2についての判断は、前記第2の[理由]2(4)ア(ア)及び(イ)に記載したとおりであるから、本願発明も、引用発明、技術事項2及び周知の構成に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2020-005758