2020-005023
カバーキャップ付き容器
- 審判番号
- 2020-005023
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-034018外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年04月14日
- 審決日
- 2020年11月10日
- 公報発行日
- 2020年12月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】東洋製罐株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人 英知国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WY (B65D)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
本件出願は、平成28年 2月25日の出願であって、令和元年 9月25日付けで拒絶理由通知がされ、令和元年12月19日に手続補正がされ、令和2年 1月 8日付けで拒絶査定(以下、「原査定」という。)がされ、これに対し、令和2年 4月14日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。
第2 原査定の概要
原査定の概要は、次のとおりである。
本件出願の請求項1に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明(以下、「引用発明」という。)であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
本件出願の請求項1-7に係る発明は、引用発明及び以下の引用文献2-5に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献一覧>
引用文献1.実公昭46-009517号公報
引用文献2.実願昭58-035614号(実開昭59-141056号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
引用文献3.米国特許第04181232号明細書(周知技術を示す文献)
引用文献4.特開2013-203449号公報(周知技術を示す文献)
引用文献5.特開2007-238140号公報(周知技術を示す文献)
第3 本願発明
本件出願の請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、令和元年12月19日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される発明であり、そのうち本願発明1は、以下のとおりである。
「【請求項1】注出口が設けられた容器と、前記注出口を密封する密封部を備える密封栓体と、前記密封栓体の外周部に嵌合する嵌合部が天面に設けられ、前記容器に着脱自在に装着されたカバーキャップとを備え、前記密封栓体は、前記密封部と前記外周部との間で前記密封部から離間した位置に、緩衝部を備えることを特徴とするカバーキャップ付き容器。」
第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
ア 「本考案は振出口を有する壜の中栓とその外蓋に係り、中栓Aは、壜口Pに嵌挿される筒部1と、該筒部1の上端のフランジ2と、該フランジ2の下面にある2条の凸条3,3と、筒部1の内側に於てこれの下端より上方に突出する振出口4とから形成すると共に、これを軟質合成樹脂により一体に成形し、また外蓋Bは、硬質合成樹脂により壜口Pに螺合されるように形成すると共に、その雌ネジ部の奥に凸条5を形成して、該部にパツキングCを、これに設けられた多数の突片6を以て係合してあり、パツキングCは、中栓Aの筒部1と突出する振出口4との間の空隙aに周縁が挿入されて振出口4を閉ざすキヤツプ状部分7と、その中途より張出し、端が外蓋内面で支えられる断面L字状の押圧部8と、該押圧部8の側面に突出する前記多数の突片6からなる軟質合成樹脂製一体成型品である。斯る構成によれば、壜口Pに嵌挿された中栓Aは、そのフランジ2の部分が、外蓋Bの螺着に伴ないパツキングCの押圧部8によつて壜口Pの端面に圧着され、同時にそのキヤツプ状部7によつて振出口4が閉口される。而してこの閉口状態では、中栓A及びパツキングCの軟質合成樹脂製による適度が弾性と自在性により、中栓Aと壜口Pとの間はそのフランジ2がパツキングCの押圧部8により壜口端に押圧されるので、壜口Pに中栓Aの筒部1が嵌挿されることと相俟つて極めて水密となり、また中栓Aの振出口4はパツキングCのキャップ状部分7で閉口されると共に、パツキングCの押圧部8が中栓Aのフランジ2に圧接するので、2重に水密に閉口される。而もパツキングCの押圧部8はキヤツプ状部7の中途より張出しているので、そのキヤツプ状部7に於ける下方へ突出する筒部によつて、押圧部8は力学的に腰が強く、甚だ有効に強力に作用する。従つて極簡単な構成で極めて水密に閉口でき、実用上頗る有益な考案である。」(第1欄第19行~第2欄第19行)
イ 「」
ウ 第1図及び第2図からみて、パツキングCに設けられた突片6は、パツキングCの外周に設けられているとともに、外蓋に設けられた雌ネジ部の奥の凸条5と係合している。また、外蓋に設けられた雌ネジ部と凸条5は、外蓋の天面に設けられていることが看取できるから、パツキングCの外周部が係合する係合部が天面に設けられているものといえる。
してみると、引用文献1には、次の引用発明が記載されている。
【引用発明】
壜口Pに嵌挿された中栓Aに設けられた振出口4が設けられた壜と、振出口4を密封するキヤツプ状部分7を備えるパツキングCと、パツキングCの外周部に係合する凸条5が天面に設けられ、前記壜に着脱自在に装着された外蓋とを備えた、外蓋付き壜。
第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、本願発明1の「注出口」、「容器」、「密封部」、「密封栓体」、「外周部」、「カバーキャップ」は、引用発明の「振出口4」、「壜」、「キヤツプ状部分7」、「パツキングC」、「外周部」、「外蓋」にそれぞれ相当する。
また、引用発明の「パツキング」の外周部は、凸条5に係合しているから、引用発明の「凸条5」は、本願発明1の嵌合部に相当する。
してみると、本願発明1と引用発明とは、両者が
「注出口が設けられた容器と、前記注出口を密封する密封部を備える密封栓体と、前記密封栓体の外周部に嵌合する嵌合部が天面に設けられ、前記容器に着脱自在に装着されたカバーキャップとを備えた、カバーキャップ付き容器。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点)
本願発明1では、「前記密封栓体は、前記密封部と前記外周部との間で前記密封部から離間した位置に、緩衝部を備える」のに対して、引用発明では、そのような構成がない点。
(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
本願明細書の発明の詳細な説明の段落[0005]~[0006]の「落下衝撃などでカバーキャップに衝撃が加わった場合には、カバーキャップに嵌合されている栓体に衝撃力が伝わることになり、栓体の外れや変形によって、栓体による注出口の密封が確保できなくなる」という記載から、本願発明の課題は、「カバーキャップ付き容器において、カバーキャップに衝撃力が加わった場合にも、栓体による注出口の密封を確保すること」である。
一方、引用発明の凸条5は、外蓋の天面から垂下した位置に設けられ、パツキングCの外周部に嵌合するものであり、かつ、その下方の雌ネジ部により壜口Pに螺合している。
そして仮に外蓋に何らかの衝撃が加わったとしても、凸条5は、その直下の雌ネジ部が壜口Pに螺合しているから、凸条5と係合する突片が設けられたパツキングの外周は、壜口Pに対してズレが生じることは考えられず、パツキングの外れや変形によって、パツキングによる注出口の密封が確保できなくなるという課題自体が生じ得ないと考えるのが相当である。
してみると、引用発明には、そもそも本願発明のような「カバーキャップに衝撃力が加わった場合にも、栓体による注出口の密封を確保する」という課題が生じ得ないものであるから、「前記密封部と前記外周部との間で前記密封部から離間した位置に、緩衝部を備える」という構成を採用することの動機付けは存在しない。
審判請求人は、審判請求書の第2(2)アに引用文献1の第1図を以下のように示した上で、審判請求書の第2(2)イにおいて「・・・引用文献1には「空隙a」について、「パツキングCは、中栓Aの筒部1と突出する振出口4との間の空隙aに周縁が挿入されて振出口4を閉ざすキヤツプ状部分7」があると記載されており、「空隙a」は振出口4を閉ざすキヤツプ状部分7を挿入するためのものです。緩衝作用を「空隙a」が有することについては一切記載がありません。・・・引用文献1の「また中栓Aの振出口4はパツキングCのキヤツプ状部分7で閉口されると共に、パツキングCの押圧部8が中栓Aのフランジ2に圧接する」という2つの水密閉口される部分が緩衝を持つと理解されます。
パツキングCは、外蓋Bが壜口Pに螺合されることによって圧接されているため、外蓋Bに衝撃が加わってもパツキングCが動くことはあり得ません。
さらに、外蓋Bに側方から衝撃がかかったとしても、外蓋Bの修正第1図に示した外蓋Bに設けられた空隙が衝撃を吸収しパツキングCに吸収すべき衝撃が伝わらず、パツキングCに緩衝部を設ける動機がそもそも生じません。」と主張しているが、審判請求人の当該主張は、的を射た主張である。
「」
したがって、上記相違点は実質的な相違点であるから、本願発明1は、引用発明ではないので、特許法第29条第1項第3号に規定する発明に該当せず、また、そもそも引用発明には、緩衝部を設けるような課題が存在せず、そのようにすることの動機付けがないことから、当業者であっても、引用発明に基いて容易に発明できたものとはいえないので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるとはいえない。
2.本願発明2-8について
本願発明2-8は、本願発明1を直接的あるいは間接的に引用する発明であるから、本願発明1の「前記密封栓体は、前記密封部と前記外周部との間で前記密封部から離間した位置に、緩衝部を備える」ことを発明特定事項に含むものであるので、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基いて容易に発明できたものとはいえない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明1は、引用発明ではないから特許法第29条第1項第3号の発明に該当しないし、本願発明1-8は、当業者が引用発明及び引用文献2-5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるとはいえない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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