特許拒絶査定不服審判
2020-004240
グレースケール調整方法及び装置
- 審判番号
- 2020-004240
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-510960
- 請求日
- 2020年03月31日
- 審決日
- 2020年12月24日
- 公報発行日
- 2021年07月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
- 【請求人代理人】SK特許業務法人
- 【請求人代理人】奥野 彰彦
- 【請求人代理人】伊藤 寛之
- 【請求人】武漢華星光電技術有限公司
- 【請求人代理人】SK特許業務法人
- 【請求人代理人】奥野 彰彦
- 【請求人代理人】伊藤 寛之
- 審判長/審判官
- 審判長 岡田 吉美
- 審判官 濱本 禎広
- 審判官 濱野 隆
- 分類
- P18 .113-Z (G09G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2018-510960「グレースケール調整方法及び装置」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 3月 2日国際公開、WO2017/031787、平成30年10月18日国内公表、特表2018-530776〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、2015年(平成27年)9月8日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2015年8月27日、中華人民共和国)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 4月 5日 :翻訳文の提出
平成31年 2月27日付け:拒絶理由通知書
令和 元年 6月 3日 :意見書、手続補正書の提出
令和 元年11月27日付け:拒絶査定(令和元年12月3日送達、以下「原査定」という。)
令和 2年 3月31日 :審判請求書、誤訳訂正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、令和2年3月31日にされた誤訳訂正書により補正された特許請求の範囲及び明細書並びに図面の記載からみて、その請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものと認める。
「【請求項1】
グレースケール調整方法であって、
液晶表示パネルに入力された原画像の全部の画素グレースケール値の平均値を取得して画像グレースケール値とするステップと、
複数の予め設定されたグレースケール補正区間から前記画像グレースケール値に対応する予め設定されたグレースケール補正区間を選択して待機グレースケール補正区間とし、前記予め設定されたグレースケール補正区間にグレースケール補正値が設定されているステップと、
前記待機グレースケール補正区間に対応する前記グレースケール補正値を取得するステップと、
前記グレースケール補正値に応じて前記原画像の画素グレースケール値を補正するステップと、
を含むグレースケール調整方法。」
第3 原査定における拒絶の理由
原査定の拒絶の理由2は、この出願の請求項1-2、10-12に係る発明は、本願の優先日前に日本国内において頒布された下記の引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない、というものである。
記
引用文献1.特開2007-322901号公報
第4 引用文献に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前の平成19年12月13日に頒布された刊行物である特開2007-322901号公報(以下「引用文献1」という。)には、「表示装置及びその駆動方法」(発明の名称)に関して、図面とともに以下の事項が記載されている。
<記載事項1>
「【0011】
上記の第1の目的を達成するための本発明の第1の態様に係る表示装置、あるいは、本発明の第1の態様に係る表示装置の駆動方法における表示装置は、(a)マトリクス状に配列された画素から構成された表示領域を有する透過型の液晶表示装置から成る表示部、(b)表示部の背面を照明するバックライト、並びに、(c)外部からの入力信号に基づき、表示部及びバックライトを制御、駆動する駆動部、を備えた表示装置である。
【0012】
そして、本発明の第1の態様に係る表示装置にあっては、駆動部は、全入力信号の平均値が、所定の値以上であるか否かを調べ、全入力信号の平均値が所定の値以上である場合、入力信号のγ補正における冪指数をγ11とし、且つ、バックライトの輝度をY11に制御し、全入力信号の平均値が所定の値未満である場合、入力信号のγ補正における冪指数をγ12(但し、γ12>γ11)とし、且つ、バックライトの輝度をY12(但し、Y12>Y11)に制御することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第1の態様に係る表示装置の駆動方法にあっては、全入力信号の平均値が、所定の値以上であるか駆動部において否かを調べ、全入力信号の平均値が所定の値以上である場合、駆動部において、入力信号のγ補正における冪指数をγ11とし、且つ、バックライトの輝度をY11に制御し、全入力信号の平均値が所定の値未満である場合、駆動部において、入力信号のγ補正における冪指数をγ12(但し、γ12>γ11)とし、且つ、バックライトの輝度をY12(但し、Y12>Y11)に制御することを特徴とする。」
<記載事項2>
「【0055】
各画素は、副画素[R](赤色発光サブピクセル)、副画素[G](緑色発光サブピクセル)、及び、副画素[B](青色発光サブピクセル)の3つの副画素(サブピクセル)を1組として構成されているが、以下の実施例の説明においては、副画素[R,G,B]のそれぞれの輝度の制御(階調制御)を8ビット制御とし、0~255の28段階にて行うとする。従って、各表示領域ユニット12を構成する各画素における副画素[R,G,B]のそれぞれを駆動するために液晶表示装置駆動回路90に入力される入力信号[R,G,B]の値xR,xG,xBのそれぞれは、28段階の値をとる。また、各光源ユニットを構成する赤色発光ダイオード41R、緑色発光ダイオード41G及び青色発光ダイオード41Bのそれぞれの発光時間を制御するためのパルス幅変調出力信号の値SR,SG,SBも、0~255の28段階の値をとる。但し、これに限定するものではなく、例えば、10ビット制御とし、0~1023の210段階にて行うこともでき、この場合には、8ビットの数値での表現を、例えば4倍すればよい。
【0056】
画素のそれぞれに、画素のそれぞれの光透過率Ltを制御する制御信号が駆動部から供給される。具体的には、副画素[R,G,B]のそれぞれに、副画素[R,G,B]のそれぞれの光透過率Ltを制御する制御信号[R,G,B]が液晶表示装置駆動回路90から供給される。即ち、液晶表示装置駆動回路90においては、入力された入力信号[R,G,B]から制御信号[R,G,B]が生成され、この制御信号[R,G,B]が副画素[R,G,B]に供給(出力)される。尚、バックライトあるいは光源ユニット42の光源輝度Yを1画像表示フレーム毎に変化させるので、制御信号[R,G,B]は、基本的に、入力信号[R,G,B]の値をγ補正した値に対して、光源輝度Yの変化に基づく補正(補償)を行った値を有する。そして、液晶表示装置駆動回路90を構成するタイミングコントローラ91から、カラー液晶表示装置10のゲート・ドライバ及びソース・ドライバに、制御信号[R,G,B]が周知の方法で送出され、制御信号[R,G,B]に基づき各副画素を構成するスイッチング素子32が駆動され、液晶セルを構成する透明第1電極24及び透明第2電極34に所望の電圧が印加されることで、各副画素の光透過率(開口率)Ltが制御される。ここで、制御信号[R,G,B]の値が大きいほど、副画素[R,G,B]の光透過率(副画素の開口率)Ltが高くなり、副画素[R,G,B]の輝度(表示輝度y)の値が高くなる。即ち、副画素[R,G,B]を通過する光によって構成される画像(通常、一種、点状である)は明るい。
【0057】
表示輝度y及び光源輝度Yの制御は、カラー液晶表示装置10の画像表示における1画像表示フレーム毎、表示領域ユニット毎、光源ユニット毎に行われる。また、1画像表示フレーム内におけるカラー液晶表示装置10の動作とバックライト40の動作とは同期させられる。」
<記載事項3>
「【実施例1】【0058】
実施例1は、本発明の第1の態様に係る表示装置及びその駆動方法に関する。実施例1の表示装置は、上述したとおり、 (a)マトリクス状に配列された画素から構成された表示領域11を有する透過型のカラー液晶表示装置10から成る表示部、 (b)表示部(カラー液晶表示装置10)の背面を照明するバックライト40、並びに、 (c)外部からの入力信号[R,G,B]に基づき、表示部(カラー液晶表示装置10)及びバックライト40を制御、駆動する駆動部70,80,90、を備えている。
【0059】
そして、駆動部は、全入力信号[R,G,B]の平均値xaveが、所定の値PD1以上であるか否かを調べ、全入力信号[R,G,B]の平均値xaveが所定の値PD1以上である場合、入力信号[R,G,B]のγ補正における冪指数をγ11とし、且つ、バックライト40の輝度を光源輝度Y11に制御し、全入力信号[R,G,B]の平均値xaveが所定の値PD1未満である場合、入力信号[R,G,B]のγ補正における冪指数をγ12(但し、γ12>γ11)とし、且つ、バックライト40の輝度を光源輝度Y12(但し、Y12>Y11)に制御する。即ち、実施例1においては、バックライト40は分割駆動されるのではなく、バックライト40全体としての光源輝度の制御が行われる。
【0060】
実施例1、あるいは、後述する実施例2において、所定の値PD1は、表示装置において種々の表示試験を行い、決定すればよい。また、γ11の値を2.2とした。
【0061】
以下、実施例1における表示装置の駆動方法を、図1、図4及び図5を参照して説明する。
【0062】
[ステップ-100] スキャンコンバータ等の周知のディスプレイ回路から送出された1画像表示フレーム分の入力信号[R,G,B]及びクロック信号CLKは、バックライト制御回路70及び液晶表示装置駆動回路90に入力される(図4参照)。尚、入力信号[R,G,B]は、例えば撮像管への入力光量をyinとしたとき、撮像管からの出力信号であり、例えば放送局等から出力され、画素の光透過率Ltを制御するために液晶表示装置駆動回路90にも入力される入力信号であり、入力光量yinの0.45乗の関数で表すことができる。そして、バックライト制御回路70に入力された1画像表示フレーム分の入力信号[R,G,B]の値xR,xG,xBは、バックライト制御回路70を構成する記憶装置(メモリ)72に、一旦、記憶される。また、液晶表示装置駆動回路90に入力された1画像表示フレーム分の入力信号[R,G,B]の値xR,xG,xBも、液晶表示装置駆動回路90を構成する記憶装置(図示せず)に、一旦、記憶される。
【0063】
[ステップ-110] 次いで、バックライト制御回路70を構成する演算回路71においては、記憶装置72に記憶された全ての入力信号[R,G,B]の値を読み出し、入力信号[R,G,B]の平均値xaveを求める。そして、平均値xaveが所定の値PD1以上であるか否かを調べる。平均値xaveが所定の値PD1未満である場合には、平均値フラグを、既にリセットされている初期の値「0」から「1」に変更する。
【0064】
[ステップ-120] そして、全入力信号の平均値xaveが所定の値PD1以上である場合、即ち、
xave≧PD1
平均値フラグ=0
である場合、入力信号のγ補正における冪指数をγ11(=2.2)とするために、既にリセットされているγ値フラグの値を初期の値「0」のままとし、且つ、バックライト40の輝度を光源輝度Y11(=Y1)とする。
【0065】
一方、全入力信号の平均値xaveが所定の値PD1未満である場合、即ち、
xave<PD1
平均値フラグ=1
である場合、入力信号のγ補正における冪指数をγ12(但し、γ12>γ11)とするために、既にリセットされているγ値フラグの値を初期の値「0」から「1」に変更し、且つ、バックライトの輝度を光源輝度Y12(但し、Y12>Y11=Y1)とする。尚、γ11,γ12は、予め、液晶表示装置駆動回路90を構成する記憶装置に記憶されている。
【0066】
以上に説明した[ステップ-120]における処理にあっては、更には、より具体的には、バックライト40における赤色発光ダイオード41Rの発光時間を制御するためのパルス幅変調出力信号の値SR(Y11),SR(Y12)、緑色発光ダイオード41Gの発光時間を制御するためのパルス幅変調出力信号の値SG(Y11),SG(Y12)、青色発光ダイオード41Bの発光時間を制御するためのパルス幅変調出力信号の値SB(Y11),SB(Y12)が、記憶装置72に記憶されており、平均値フラグの値に応じて、演算回路71によってこれらの値が読み出される。尚、「SR(Y11)」とは、バックライト40の輝度を光源輝度Y11とするために必要とされるパルス幅変調出力信号の値SRを意味する。
【0067】
[ステップ-130] 次に、バックライト制御回路70を構成する演算回路71において得られたパルス幅変調出力信号の値は、光源ユニット駆動回路80の記憶装置82に送出され、記憶装置82において記憶される。また、クロック信号CLKも光源ユニット駆動回路80に送出される(図5参照)。
【0068】
そして、パルス幅変調出力信号の値[SR(Y11),SG(Y11),SB(Y11)]又は[SR(Y12),SG(Y12),SB(Y12)]に基づき、バックライト40を構成する赤色発光ダイオード41Rのオン時間tR-ON及びオフ時間tR-OFF、緑色発光ダイオード41Gのオン時間tG-ON及びオフ時間tG-OFF、青色発光ダイオード41Bのオン時間tB-ON及びオフ時間tB-OFFを演算回路81は決定する。尚、
tR-ON+tR-OFF=tG-ON+tG-OFF=tB-ON+tB-OFF=一定値tConst
である。また、発光ダイオードのパルス幅変調に基づく駆動におけるデューティ比は、
tON/(tON+tOFF)=tON/tConst
で表すことができる。
【0069】
そして、バックライト40を構成する赤色発光ダイオード41R,緑色発光ダイオード41G、青色発光ダイオード41Bのオン時間tR-ON,tG-ON,tB-ONに相当する信号が、LED駆動回路83に送られ、このLED駆動回路83から、オン時間tR-ON,tG-ON,tB-ONに相当する信号の値に基づき、スイッチング素子85R,85G,85Bが、オン時間tR-ON,tG-ON,tB-ONだけオン状態となり、発光ダイオード駆動電源86からのLED駆動電流が、各発光ダイオード41R,41G,41Bに流される。その結果、各発光ダイオード41R,41G,41Bは、1画像表示フレームにおいて、オン時間tR-ON,tG-ON,tB-ONだけ発光する。こうして、表示領域11を、所定の照度において照明する。
【0070】
[ステップ-140] 一方、液晶表示装置駆動回路90に入力された入力信号[R,G,B]の値xR,xG,xB及びγ値フラグがタイミングコントローラ91へ送られ、タイミングコントローラ91にあっては、入力された入力信号[R,G,B]に相当する制御信号[R,G,B]を、副画素[R,G,B]に供給(出力)する。液晶表示装置駆動回路90のタイミングコントローラ91において生成され、液晶表示装置駆動回路90から副画素[R,G,B]に供給される制御信号[R,G,B]の値XR,XG,XBと、入力信号[R,G,B]の値xR,xG,xBとは、γ値フラグが「0」の場合には、以下の式(1-1)、式(1-2)、式(1-3)の関係にあるし、γ値フラグが「1」の場合には、以下の式(2-1)、式(2-2)、式(2-3)の関係にある。尚、例えば、f(xR(γ11))の意味は、底がxR、冪指数がγ11であることを意味し、より具体的には、xRをγ11乗することを意味する。
【0071】
XR=f(xR(γ11)) (1-1)
XG=f(xG(γ11)) (1-2)
XB=f(xB(γ11)) (1-3)
【0072】
XR=f(xR(γ12)) (2-1)
XG=f(xG(γ12)) (2-2)
XB=f(xB(γ12)) (2-3)
【0073】
こうして、1画像表示フレームにおける画像表示動作が完了する。
【0074】
γ11の値を2.2とし、γ12=2.4とし、Y12/Y11=2.0としたときの、正規化された入力信号の値と、表示輝度との関係を図3に示す。尚、図3の横軸は、正規化された入力信号(x)の値であり、縦軸は、正規化された表示輝度(y)の値である。また、図3において、曲線「a」は、バックライト40が通常の明るさ(即ち、正規化された表示輝度の値として1.0)であって、γ11=2.2の場合を示し、曲線「b」は、γ11=2.2の状態で、バックライト40の明るさが2倍に増加した場合(正規化された表示輝度の値として2.0)を示す。これらの曲線「a」,「b」を比較すると、入力信号(x)の値が大きい場合(即ち、正規化された入力信号のレベルが1.0に近い場合)に所望の高い表示輝度が得られる一方で、入力信号(x)の値が小さい場合(正規化された入力信号のレベルが0に近い場合)にも同様に表示輝度が高くなるため、本来再現したい階調レベル、即ち、入力信号(x)が小さい場合における曲線「a」のカーブからずれてしまう。曲線「c」は、バックライト40の明るさが2倍に増加され、γ12=2.4とした場合の状態を示す。曲線「c」から、正規化された入力信号(x)の値が小さい場合、正規化された表示輝度(y)の値の曲線「a」から得られる値に対する差異が小さいことが判る。即ち、表示画面全体の明るさが比較的暗い場合、バックライト40の輝度を増加させる一方、入力信号のγ補正における冪指数を増加させるので、明るく表示すべき表示画面の部分を一層明るく表示することができ、しかも、黒表示部分の明るさの増加を抑制することができ、γ補正のパラメータを変更する簡単な制御によって、画像表示の品質が低下してしまうといった問題の発生を確実に回避することができる。」
【図1】
【図3】
以上を総合すると、上記記載事項1~3及び上記図1、3の記載からみて、引用文献1には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「28段階の階調制御を行うための入力信号[R,G,B]から生成された制御信号[R,G,B]によって、画素のそれぞれの光透過率Ltを制御する方法であって(【0055】、【0056】)、
液晶表示装置駆動回路90に入力された1画像表示フレーム分の入力信号[R,G,B]の平均値xaveを求めるステップと(【0062】、【0063】、【図1】)、
上記平均値xaveが所定の値PD1以上であるか否かを調べ、所定の値PD1以上である場合、入力信号[R,G,B]のγ補正における冪指数をγ11とし、且つバックライト40の輝度を光源輝度Y11とし、所定の値PD1未満である場合、入力信号[R,G,B]のγ補正における冪指数をγ12(但し、γ12>γ11)とし、且つバックライト40の輝度を光源輝度Y12(但し、Y12>Y11)とし、当該γ11、γ12は、予め、液晶表示装置駆動回路90を構成する記憶装置に記憶されているステップと(【0059】、【0064】、【0065】、【図1】)、
上記入力信号[R,G,B]の値を、上記γ11又はγ12でγ補正した値に対して、光源輝度Yの変化に基づく補正(補償)を行った値を有する制御信号[R,G,B]を生成するステップと(【0056】、【0064】、【0065】、【図1】)、
を含む、28段階の階調制御を行うための入力信号[R,G,B]から生成された制御信号[R,G,B]によって、画素のそれぞれの光透過率Ltを制御する方法(【0055】、【0056】)。」
第5 対比・判断
本願発明と引用発明を対比する。
ア 液晶表示装置において、画素の透過率を制御することでグレースケール調整が行われることは技術常識であるから、引用発明の「28段階の階調制御を行うための入力信号[R,G,B]から生成された制御信号[R,G,B]によって、画素のそれぞれの光透過率Ltを制御する方法」は、本願発明の「グレースケール調整方法」に相当する。
イ 引用発明の「液晶表示装置駆動回路90に入力された」は、本願発明の「液晶表示パネルに入力された」に相当する。
引用発明の「入力信号[R,G,B]」は、本願発明の「原画像の画素グレースケール値」に相当し、引用発明の「1画像表示フレーム分の入力信号[R,G,B]」は、本願発明の「原画像の全部の画素グレースケール値」に相当する。したがって、引用発明の「1画像表示フレーム分の入力信号[R,G,B]の平均値xaveを求める」は、本願発明の「原画像の全部の画素グレースケール値の平均値を取得して画像グレースケール値とする」に相当する。
よって、引用発明の「液晶表示装置駆動回路90に入力された1画像表示フレーム分の入力信号[R,G,B]の平均値xaveを求めるステップ」は、本願発明の「液晶表示パネルに入力された原画像の全部の画素グレースケール値の平均値を取得して画像グレースケール値とするステップ」に相当する。
ウ 引用発明において、入力信号[R,G,B]は28段階の階調(0~255)を示し、1画像表示フレーム分の平均値も0~255の範囲内にあることになるから、平均値が所定の値PD1以上であるか否かを調べるとは、平均値が、0~PD1、PD1~255のいずれの範囲に含まれるのかを調べることと等価であり、さらに、PD1は予め設定された値であり、当該PD1によって画定される上記2つの範囲も予め設定された区間であるといえることを踏まえれば、引用発明の「上記平均値xaveが所定の値PD1以上であるか否かを調べ」ることは、本願発明の「複数の予め設定されたグレースケール補正区間から前記画像グレースケール値に対応する予め設定されたグレースケール補正区間を選択」することに相当する。そして、後述のとおり、引用発明では、選択された区間に対応する冪指数でγ補正を行っていることから、当該選択された区間は、γ補正の準備のための待機された区間といえる。
そして、引用発明の「所定の値PD1以上である場合、入力信号[R,G,B]のγ補正における冪指数をγ11とし」、「所定の値PD1未満である場合、入力信号[R,G,B]のγ補正における冪指数をγ12(但し、γ12>γ11)とし」、「当該γ11、γ12は、予め、液晶表示装置駆動回路90を構成する記憶装置に記憶されている」ことは、γ11、γ12が、0~PD1、PD1~255の各範囲に紐付けられた状態で記憶装置に記憶されているとともに、1画像表示フレーム分の平均値がいずれの範囲に含まれるかに応じて、当該範囲に紐付けられたγ11、γ12のいずれかが読み出されることを意味するから、本願発明の「予め設定されたグレースケール補正区間にグレースケール補正値が設定されている」、「待機グレースケール補正区間に対応する前記グレースケール補正値を取得する」ことに相当する。
よって、引用発明の「上記平均値xaveが所定の値PD1以上であるか否かを調べ、所定の値PD1以上である場合、入力信号[R,G,B]のγ補正における冪指数をγ11とし、且つバックライト40の輝度を光源輝度Y11とし、所定の値PD1未満である場合、入力信号[R,G,B]のγ補正における冪指数をγ12(但し、γ12>γ11)とし、且つバックライト40の輝度を光源輝度Y12(但し、Y12>Y11)とし、当該γ11、γ12は、予め、液晶表示装置駆動回路90を構成する記憶装置に記憶されているステップ」は、本願発明の「複数の予め設定されたグレースケール補正区間から前記画像グレースケール値に対応する予め設定されたグレースケール補正区間を選択して待機グレースケール補正区間とし、前記予め設定されたグレースケール補正区間にグレースケール補正値が設定されているステップ」及び「前記待機グレースケール補正区間に対応する前記グレースケール補正値を取得するステップ」に相当する。
エ 引用発明の「γ11又はγ12」及び「入力信号[R,G,B]の値」を「γ補正」することは、それぞれ本願発明の「グレースケール補正値」及び「原画像の画素グレースケール値を補正する」ことに相当する。
そして、引用発明では、「所定の値PD1以上である場合、入力信号[R,G,B]のγ補正における冪指数をγ11とし」、「所定の値PD1未満である場合、入力信号[R,G,B]のγ補正における冪指数をγ12(但し、γ12>γ11)とし」ており、「冪指数」の値を場合に応じて変えているから、「γ11又はγ12」に応じて「γ補正」を行っているといえる。
よって、引用発明の「上記入力信号[R,G,B]の値を、上記γ11又はγ12でγ補正」することは、本願発明の「前記グレースケール補正値に応じて前記原画像の画素グレースケール値を補正するステップ」に相当する。
オ したがって、本願発明と引用発明の両者は、全ての点で一致することから、本願発明は引用文献1に記載された発明である
第6 請求人の主張について
(1)請求人の主張
請求人は、審判請求の理由において、以下の主張をしている。
(主張1)
引用文献1は、バックライトの明るさを制御する方法(引用文献1の請求項1を参照)であり、より具体的には、引用文献1の段落0010に記載するように、表示画面全体において、黒表示部分が明るくなると、画像表示の品質が低下してしまうといった問題を回避するために、引用文献1の請求項1に係る方法を提案しています。
また、引用文献1の「発明の効果」に記載されるように、引用文献1は、請求項1に係る発明によって、バックライトの輝度を高め、明るい表示画面を表示すべき部分の輝度をさらに高めることができ、また、黒で表示されるべき部分の明るさの増加が抑制されることができます。すなわち、引用文献1の内容によれば、引用文献1のバックライト輝度の制御方法は、本願発明のグレースケー調整方法とは全く異なることが分かります。
(主張2)
引用文献1の請求項1の技術内容では、輝度に関するすべての入力信号の平均値が所定値以上であるかどうかを確認することを特徴としています。所定値よりも大きい場合、入力信号をγ11に補正し、且つバックライト輝度をY11に制御し、所定値よりも小さい場合、入力信号をγ12に補正し、バックライト輝度をY12に制御します。すなわち、引用文献1の信号の補正は、バックライト輝度の制御と同期しており、補正後の信号γ11およびγ12に基づいてバックライト輝度は制御されていません。これは、本願発明の「グレースケール補正値に応じて前記原画像の画素グレースケール値を補正する」との技術的特徴とはまったく異なります。
実際、引用文献1のバックライト輝度の制御では、引用文献1の請求項2に記載されているとおりです。表示領域の最大入力信号の値に基づいて制御を行うことです。この記載より、補正信号γ11およびγ12に応じて輝度を制御しないことが明確に示されています。したがって、本願発明のグレースケール値を補正する方法は、引用文献1とは全く異なることは分かります。
(主張3)
独立請求項1および独立請求項5のグレースケール調整方法、および独立請求項9のグレースケール調整装置は、引用文献1のバックライト輝度制御装置および方法(すなわち、表示装置およびその駆動方法)と実質的に異なり、且つ、引用文献1には、「画像グレースケールの平均値を取得し、画像のグレースケール平均値に応じて対応する補正値を取得し、その補正値を使用して、前記原画像の画素グレースケール値を補正すること」が開示または教示されていません。
(2)請求人の主張についての検討
上記主張1について検討すると、引用文献1の【0056】には、「尚、バックライトあるいは光源ユニット42の光源輝度Yを1画像表示フレーム毎に変化させるので、制御信号[R,G,B]は、基本的に、入力信号[R,G,B]の値をγ補正した値に対して、光源輝度Yの変化に基づく補正(補償)を行った値を有する。」と記載されているように、引用発明は、単に、バックライトの輝度だけでなく、入力信号であるグレースケール値に対して、γ補正及び光源輝度の変化に基づく補正を行っており、当該補正が輝度向上だけでなく、グレースケールの調整を併せて行っていることは明らかである。なお、本願の請求項1には、光源輝度を調整することの有無について特定されておらず、グレースケール調整に加えて、光源輝度調整を併せて行うものを排除していない。したがって、主張1は採用できない。
次に上記主張2について検討すると、請求人は、引用文献1の信号の補正は、バックライト輝度の制御と同期しており、補正後の信号γ11およびγ12に基づいてバックライト輝度は制御されていないから、本願発明の「グレースケール補正値に応じて前記原画像の画素グレースケール値を補正する」との技術的特徴とはまったく異なることを主張しているが、請求項1には、グレースケール補正値に応じて、原画像の画素グレースケール値を補正することが記載されているのであって、グレースケール補正値に応じて、バックライトの輝度を制御することは記載されていないから、当該主張は、請求項1の記載に基づくものではない。したがって、主張2は採用できない
最後に、上記主張3について検討すると、引用文献1には、「画像グレースケールの平均値を取得し、画像のグレースケール平均値に応じて対応する補正値を取得し、その補正値を使用して、前記原画像の画素グレースケール値を補正すること」が開示または教示されていないとのことであるが、引用発明が上記構成を有していることは、前記第4、第5で示したとおりである。したがって、主張3は採用できない。
以上検討のとおり、請求人の上記主張1~3はいずれも採用することができないものであり、請求人の主張を参酌しても、前記第5のオの結論は変わらない。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、上記引用文献1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2020-004240