2020-003567
出力装置、プログラム、出力システム及び出力方法
- 審判番号
- 2020-003567
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-057336外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年03月16日
- 審決日
- 2021年01月22日
- 公報発行日
- 2021年05月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (G06F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 10項目
第1 手続きの経緯
本願は,平成27年3月20日の出願であって,平成31年4月25日付けで拒絶理由通知がされ,令和1年7月10日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされ,令和1年12月12日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がなされたが,これに対し,令和2年3月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正がなされたものである。
第2 令和2年3月16日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年3月16日にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について
(1)本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。(当審注:下線部は,補正箇所である。)
「【請求項1】端末装置及び認証装置と通信を行う出力装置であって、前記認証装置に対してユーザの認証要求を行い、前記ユーザの認証が成功した場合に前記認証装置から認証に成功した前記ユーザに対応付いた端末装置情報を取得する認証要求手段と、取得した前記ユーザに対応付いた端末装置情報を蓄積する端末装置情報蓄積手段と、取得した前記ユーザに対応付いた端末装置情報により特定される前記端末装置から前記端末装置に蓄積されている出力データを取得する出力データ取得手段と、前記出力データの出力処理を行う出力処理手段と、を有し、前記認証要求手段が前記認証装置から前記ユーザの認証要求に対する応答を取得できなかった場合に、前記出力データ取得手段は、前記端末装置情報蓄積手段が前記ユーザの認証が成功した場合に蓄積した、前記ユーザに対応付いた端末装置情報から前記端末装置を特定し、特定した前記端末装置に蓄積されている出力データを取得することを特徴とする出力装置。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,令和1年7月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「【請求項1】端末装置及び認証装置と通信を行う出力装置であって、前記認証装置に対してユーザの認証要求を行い、前記ユーザの認証が成功した場合に前記認証装置から認証に成功した前記ユーザに対応付いた端末装置情報を取得する認証要求手段と、取得した前記ユーザに対応付いた端末装置情報を蓄積する端末装置情報蓄積手段と、取得した前記ユーザに対応付いた端末装置情報により特定される前記端末装置から前記端末装置に蓄積されている出力データを取得する出力データ取得手段と、前記出力データの出力処理を行う出力処理手段と、を有し、前記出力データ取得手段は、前記認証装置から前記ユーザの認証要求に対する応答を取得できなかった場合に、前記端末装置情報蓄積手段に前記ユーザの認証が成功した場合に蓄積された、前記ユーザに対応付いた端末装置情報により特定される前記端末装置から前記端末装置に蓄積されている出力データを取得することを特徴とする出力装置。」
2.補正の適否
本件補正後の請求項1の「前記認証要求手段が」を追加する補正は,「認証要求に対する応答を取得」する主体を限定するものである。
また,本件補正後の請求項1の「前記出力データ取得手段は、」を追加する補正は,「認証要求に対する応答を取得」する主体を限定するに際して,記載箇所が変更されたものである。
また,本件補正前の請求項1の「前記ユーザに対応付いた端末装置情報により特定される前記端末装置から前記端末装置に蓄積されている出力データを取得すること」を,本件補正後の請求項1の「前記ユーザに対応付いた端末装置情報から前記端末装置を特定し、特定した前記端末装置に蓄積されている出力データを取得すること」とする補正は,「出力データを取得する」という処理を行う際に,「端末装置を特定」するという処理を行うよう限定するものである。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで,本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第5項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか (特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について , 以下, 検討する。
(1)本件補正発明
本件補正発明は,上記「1.(1)」に記載したとおりのものであり,以下に再掲する。
なお,符号A-Eは,説明のために当審で付与したものであり,以下「構成A」-「構成E」という。
「【請求項1】
A 端末装置及び認証装置と通信を行う出力装置であって、
B 前記認証装置に対してユーザの認証要求を行い、前記ユーザの認証が成功した場合に前記認証装置から認証に成功した前記ユーザに対応付いた端末装置情報を取得する認証要求手段と、
C 取得した前記ユーザに対応付いた端末装置情報を蓄積する端末装置情報蓄積手段と、
D1 取得した前記ユーザに対応付いた端末装置情報により特定される前記端末装置から前記端末装置に蓄積されている出力データを取得する出力データ取得手段と、
E 前記出力データの出力処理を行う出力処理手段と、
を有し、
D2 前記認証要求手段が前記認証装置から前記ユーザの認証要求に対する応答を取得できなかった場合に、前記出力データ取得手段は、前記端末装置情報蓄積手段が前記ユーザの認証が成功した場合に蓄積した、前記ユーザに対応付いた端末装置情報から前記端末装置を特定し、特定した前記端末装置に蓄積されている出力データを取得すること
A を特徴とする出力装置。
(2)引用文献等の記載事項
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ア 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1(特開2006-303805号公報)には,以下の記載がある。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。以下同様。)
「【0028】図1を参照して、本実施の形態にかかる画像処理装置を含む画像処理システムは、インターネット等の広域ネットワーク70に接続された複数のサイトを含んで構成される。【0029】さらに、第1のサイトは、ファイアウォール60aおよびルータ50aを介して広域ネットワーク70に接続されたメールサーバ30aと、さらにLAN(Local Area Network)40aを介して接続された、パーソナルコンピュータ等であるユーザ端末20aとを含んで構成され、第2のサイトは、ファイアウォール60bおよびルータ50bを介して広域ネットワーク70に接続されたメールサーバ30bと、さらにLAN40bを介して接続された、パーソナルコンピュータ等であるユーザ端末20bとを含んで構成され、第3のサイトは、ファイアウォール60cおよびルータ50cを介して広域ネットワーク70に接続されたメールサーバ30cと、さらにLAN40cを介して接続された、本実施の形態にかかる画像処理装置であるMFP(Multi Function Peripherals)10とを含んで構成され、第4のサイトは、ファイアウォール60dおよびルータ50dを介して広域ネットワーク70に接続された、ユーザ情報を格納する認証用のサーバであるLDAP(Lightweight Directory Access Service)サーバ80を含んで構成される。」
「【0033】図2を参照して、MFP10は、CPU(Central Processing Unit)114と、記憶装置であるROM(Read Only Memory)107およびRAM(Random Access Memory)113と、CPU114に制御される、後述する連携処理キーを生成する連携処理キー生成部101、ユーザ操作を受付ける操作パネル部102、画像処理部103、スキャナ部104、プリント部105、ファクシミリ部109、ユーザ認証部106、LAN40c等を介して広域ネットワーク70に接続する通信部108、画像データを記録する画像記録部110、ユーザ端末探索部111、および起動アプリ識別部112とを含んで構成される。」
「【0037】ユーザ認証部106は、CPU114から入力される制御信号に応じて、操作パネル部102から入力されるユーザのログイン情報に基づいて当該ユーザを認証する。」
「【0039】プリント部105は、CPU114から入力される制御信号に応じて、画像処理部103から入力された画像データまたは画像記録部110から読出した画像データを用紙に印刷する。また、ファクシミリ部109は、CPU114から入力される制御信号に応じて、画像処理部103から入力された画像データまたは画像記録部110から読出した画像データを指定された宛先にファクシミリ送信する。また、通信部108は、CPU114から入力される制御信号に応じて、画像処理部103から入力された電子メールデータに添付された画像データを電子メールで指定された宛先に送信する。」
「【0052】そして、ユーザ端末探索部111において、ステップS02で取得されたユーザのログイン情報に基づいて、画像処理システムにおいて同じログイン情報でログインしているユーザ端末20が探索される(ステップS03)。【0053】ステップS03でのユーザ端末探索処理は、図8を参照して、始めに、通信部108を介してLDAPサーバ80に同じログイン情報でログインしているユーザ端末20を特定する情報を問合わせ(ステップS41)、LDAPサーバ80から該当するユーザ端末20を特定する情報が返信されてきた場合には(ステップS42でYES)、受信した情報に基づいて該当するユーザ端末20を探索して特定する(ステップS43)。」
「【0058】引き続いて、CPU114においてジョブ開始の操作が監視されて(ステップS19)、いずれかの連携処理キーが押されてジョブ開始の操作が検出されると(ステップS19でYES)、CPU114において上記選択された基本機能(たとえばスキャン機能、プリント機能、またはファクシミリ機能)に応じた処理が実行される(ステップS21~S27)。【0059】すなわち、ステップS08で選択された基本機能がスキャン機能であってスキャン機能連携キーが押されてジョブが開始した場合(ステップS20でYES)、スキャナ部104において原稿画像が読取られ(ステップS21)、通信部108を介してユーザ端末20に対して画像データと共に、連携するアプリでの処理要求が送信される(ステップS22)。また、ステップS08で選択された基本機能がプリント機能であってプリント機能連携キーが押されてジョブが開始した場合(ステップS20でNO、かつS23でYES)、通信部108を介してユーザ端末20に対して連携するアプリのファイルの送信要求が送信される(ステップS24)。また、ステップS08で選択された基本機能がファクシミリ機能であってファクシミリ機能連携キーが押されてジョブが開始した場合(ステップS20,S23でNO、かつS25でYES)、通信部108を介してユーザ端末20に対して連携するアプリのファイルの送信要求が送信される(ステップS25)。なお、ステップS19で基本機能が上記いずれの基本機能でもないジョブが開始した場合には(ステップS20,S23,S25でNO)、スキャナ部104およびプリント部105においてコピー処理が実行される(ステップS27)。【0060】そして、ユーザ端末20から該当するファイルを受信すると(ステップS28でYES)、すなわち、ステップS20~S22でスキャン機能のジョブが実行された場合にはユーザ端末20のアプリで処理された画像データのファイル、ステップS23,24でプリント機能のジョブが実行された場合、およびステップS25,S26でファクシミリ機能のジョブが実行された場合にはユーザ端末20の該当するアプリのファイルを受信すると、当該ジョブが実行され(ステップS29)、一連の処理が終了する。」
「【図1】」
「【図5】」
「【図6】」
イ 上記引用文献1の記載(特に下線部の記載)より,上記引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお,符号a-jは,説明のために当審で付与したものである。(以下,「構成a」-「構成j」という。)
「a 画像処理システムは,b ユーザ端末と,MFPと,認証用のサーバであるLDAPサーバを含んで構成され,c MFPは,CPU,プリント部,ユーザ認証部,通信部,ユーザ端末探索部を含んで構成され,d ユーザ認証部は,ユーザを認証し,続きを表示(全11行)e プリント部は,印刷し,f ユーザ端末探索部は,ユーザのログイン情報に基づいて,g 通信部を介してLDAPサーバに同じログイン情報でログインしているユーザ端末を特定する情報を問合わせ,LDAPサーバから該当するユーザ端末を特定する情報が返信され,受信した情報に基づいて該当するユーザ端末を特定し,h CPUは,i 選択された機能がプリント機能で,ジョブが開始した場合,通信部を介してユーザ端末にファイルの送信要求が送信され,j ユーザ端末から該当するファイルを受信すると,プリント機能のジョブが実行されるc MFP。」
ウ 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献2(特開2011-35850号公報)には,以下の記載がある。
「【0028】<ログイン時における各ブロックの動作>次に、図4乃至図8を参照して、情報処理システム100におけるログイン時の動作に関する各機能ブロックの処理について説明する。まず、図4を参照して、本実施形態におけるログインアプリケーション430の動作について説明する。以下で説明する処理は、MFP101のCPU211が制御プログラムを実行することにより実現される。なお、フローチャートには示していないが、ログインアプリケーション430は、各ステップの処理に関する情報をログ記録部460に記録する。また、以下で説明するSに続く番号は、各処理のステップ番号を示す。」
「【0031】続いて、S503において、認証処理部432は、ユーザによって入力されたユーザID及びパスワードを用いてログイン判定処理を行う。このとき、認証処理部432は、LDAPサーバ103に、ユーザによって入力されたユーザID及びパスワードを送信し、ログイン判定(ユーザ認証)の結果を要求する。なお、要求先であるLDAPサーバ103のアドレスは事前に設定されている。LDAPサーバ103は、認証情報管理部470によって認証処理部432からの要求を受け取る。その後、認証情報管理部470は、受け取ったユーザIDに基づいて、認証情報記憶部480に予め登録されているパスワードと受け取ったパスワードとを照合し、一致すればログインOKを、不一致であればログインNGを認証処理部432に返す。また、受け取ったユーザIDが認証情報記憶部480に登録されていない場合もログインNGを認証処理部432に返す。なお、LDAPサーバ103は、この動作以外に、ユーザ毎の固有の設定情報や権限の情報などを保持していて、ログインOKを返す際にそれらの情報を合わせて認証処理部432に返してもよい。このようなLDAPサーバ103の一連の動作は、LDAPサーバ103のCPU311が制御プログラムを実行することにより実現される。」
「【図1】」
エ 上記引用文献2の記載(特に下線部の記載)より,上記引用文献2には,次の技術的事項が記載されていると認められる。
なお,符号k-lは,説明のために当審で付与したものである。(以下,「構成k」-「構成l」という。)
「k MFPであって,l LDAPサーバに,ログイン判定(ユーザ認証)の結果を要求し,LDAPサーバから,ログインOKを,ユーザの情報と合わせて返されるk MFP。」
オ 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献3(特表2013-525920号公報)には,以下の記載がある。
「【0036】いくつかの実施形態によれば、ネットワーク180は、インターネットを表し得る。そしてネットワークデバイス170は、企業WANまたはLANであり得るネットワーク150とネットワーク180との間の多量のデータトラフィックを扱うデバイスであり得る。例えば、ネットワークデバイス170のうちの1つまたはそれ以上は、メールゲートウェイ、ウェブゲートウェイ、あるいは、ユーザー認証および/または認可、識別情報管理、受信者の妥当性検証、アドレス解決、メッセージルーティング、アクセス制御、または他のアプリケーション挙動のためにディレクトリデータサービスを使用する別の機器またはアプリケーションであり得る。非制限的な例として、ネットワークデバイス170のうちの1つまたはそれ以上が、Symantec(登録商標)Brightmail(登録商標)Gateway、Symantec(登録商標)WebGateway、Symantec(登録商標)DataLossPreventionHost、Symantec(登録商標)EndpointProtectionApplication、またはBrightmail(登録商標)MessageFilterであり得る。ネットワークデバイス170のうちの1つまたはそれ以上は、ディレクトリデータサービス154を使用して、1つまたはそれ以上のディレクトリサーバーからのキャッシュデータを管理する。いくつかの実施形態によれば、各ネットワークデバイス170は、自身のデータをキャッシュし得る。1つまたはそれ以上の実施形態によれば、キャッシュデータは、ネットワークデバイス170のうちの2つまたはそれ以上の間で共有され得る。例えば、ネットワークデバイス170(1)は、複数のBrightmailGatewayスキャナのコントロールセンターホストであり得る。コントロールセンターホストは、BrightmailGatewayスキャナであり得る複数の他のネットワークデバイス170間で共有されるキャッシュディレクトリサービスデータを含み得る。キャッシュデータは、ネットワークデバイス170に記憶され得るか、あるいはネットワークデバイス170に通信可能に連結された電子記憶装置に記憶され得る。」
「【0100】ブロック414で、ディレクトリサーバーにアクセス可能かどうかが判断され得る。ディレクトリサーバーにアクセス可能である場合、方法はブロック416で続行し得る。ディレクトリサーバーにアクセス可能でない場合、方法はブロック424で終了し得る。いくつかの実施形態(点線によって明示)によれば、ディレクトリサーバーにアクセス可能でない場合には、キャッシュされたエントリ情報がブロック412で提供され得る。例えば、図1に関して上記のとおり、いくつかのデータアクセスの失敗が短時間で検出された場合に開始し得る高速フェイルオーバーモードが存在し得る。このモードでは、キャッシュデータが利用可能であれば、期限が切れているかどうかに関係なく、データソースに直ちにキャッシュデータにサービスし得るか、あるいは、データアクセスコールのオーバーヘッドを受けることなく、直ちに失敗させて例外処理(例えばDataAccessUnavailableException)を実行し得る。【0101】ブロック416で、ディレクトリサーバーまたはソースからディレクトリエントリが取り出され、キャッシュディレクトリエントリが作成され得る。」
「【図1】」
「【図4】」
カ 上記引用文献3の記載(特に下線部の記載)より,上記引用文献3には,次の周知技術が記載されていると認められる。
なお,符号m-oは,説明のために当審で付与したものである。(以下,「構成m」-「構成o」という。)
「m ネットワークデバイスであって,ディレクトリデータサービスを使用して,ディレクトリサーバーからのキャッシュデータを管理し,n ディレクトリサーバーにアクセス可能である場合,ブロック416で続行し,ディレクトリサーバーにアクセス可能でない場合には,キャッシュされたエントリ情報が提供され,o ブロック416で,ディレクトリサーバーからディレクトリエントリが取り出され,キャッシュディレクトリエントリが作成されるm ネットワークデバイス。」
キ 参考文献(特開2014-48755号公報)には,以下の記載がある。
「【0024】図2に示すように、MFP20は、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部21と、種々の情報を表示するLCD(LiquidCrystalDisplay)などの表示デバイスである表示部22と、用紙に印刷を実行する印刷デバイスであるプリンター23と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー24と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部25と、ネットワーク11(図1参照。)経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部26と、各種のデータを記憶しているEEPROM(ElectricallyErasableProgrammableReadOnlyMemory)、HDD(HardDiskDrive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部27と、MFP20全体を制御する制御部28とを備えている。」
「【0068】次いで、機能許可手段28cは、認証結果の一部として管理サーバー30から送信されてきた認可情報を記憶部27上の利用者情報27bに記憶させる(S111)。ここで、機能許可手段28cは、利用者情報27bに書き込む予定の認可情報の対象である利用者の認可情報が既に利用者情報27bに記憶されている場合、既に利用者情報27bに記憶されている認可情報を、新たな認可情報で上書きする。」
「【0073】一方、装置側認証実行手段28bは、管理サーバー30との通信が失敗したとS114において判断すると、S101において受け付けた認証情報と、記憶部27上の利用者情報27bに記憶されている認証情報とに基づいて認証を実行する(S115)。ここで、装置側認証実行手段28bは、S101において受け付けた認証情報が利用者に対応付けて記憶部27上の利用者情報27bに登録されている場合、この利用者の認証が成功したと判断する。例えば、S101において受け付けた認証情報の利用者ID、パスワードがそれぞれ「USER001」、「1234」であって、記憶部27上の利用者情報27bが図3に示す情報である場合、S101において受け付けた認証情報が、利用者IDが「USER001」である利用者に対応付けて記憶部27上の利用者情報27bに登録されているので、装置側認証実行手段28bは、この利用者の認証が成功したと判断する。一方、装置側認証実行手段28bは、S101において受け付けた認証情報が利用者に対応付けて利用者情報27bに登録されていない場合、この利用者の認証が失敗したと判断する。」
「【0075】制御部28の機能許可手段28cは、利用者の認証が成功したとS116において判断されると、この利用者によるMFP20の機能の実行を、記憶部27上の利用者情報27bに記憶されている認可情報に基づいて許可する(S117)。」
「【図6】」
ク 上記参考文献の記載(特に下線部の記載)より,上記参考文献には,次の周知技術が記載されていると認められる。
なお,符号p-sは,説明のために当審で付与したものである。(以下,「構成p」-「構成s」という。)
「p MFPであって,q 管理サーバーから送信されてきた情報を記憶部に記憶させ,r 管理サーバーとの通信が失敗したと判断すると,s 機能の実行を記憶部に記憶されている情報に基づいて許可するp MFP。」
(3)対比・判断
ア 構成Aについて
引用発明の「ユーザ端末」及び「認証用のサーバであるLDAPサーバ」は,それぞれ本件補正発明の「端末装置」及び「認証装置」に相当する。
また,構成g,iによれば,引用発明の「MFP」は,「ユーザ端末に」「送信」し,「ユーザ端末から」「受信」し,また,「LDAPサーバに」「問合わせ」し,「LDAPサーバから」「返信され」ているから,引用発明の「MFP」は,「ユーザ端末」及び「LDAPサーバ」と通信を行っている。
したがって,引用発明の,「ユーザ端末に」「送信」し,「ユーザ端末から」「受信」し,また,「LDAPサーバに」「問合わせ」し,「LDAPサーバから」「返信され」る「MFP」は,本件補正発明の「端末装置及び認証装置と通信を行う出力装置」に対応する。
イ 構成Bについて
構成b,c,dによれば,引用発明の「ユーザ認証部」は,「認証用のサーバであるLDAPサーバ」に対して「ユーザ」の「認証」要求を行うものであることは明らかである。
また,構成f,gによれば,引用発明の「ユーザ端末探索部」は,「LDAPサーバから」「ユーザ」に対応付いた「ユーザ端末を特定する情報」を「受信」,つまり,取得している。
したがって,上記アの検討結果を踏まえると,引用発明の,「認証用のサーバであるLDAPサーバ」に対して「ユーザ」の「認証」要求を行う「ユーザ認証部」,及び,「LDAPサーバから」「ユーザ」に対応付いた「ユーザ端末を特定する情報」を「受信」する「ユーザ端末探索部」と,本件補正発明の「認証要求手段」とは,下記の点(相違点1)で相違するものの,“前記認証装置に対してユーザの認証要求を行い,前記認証装置から前記ユーザに対応付いた端末装置情報を取得する認証要求手段”である点で共通する。
ウ 構成Cについて
引用発明の「MFP」と,本件補正発明の「出力装置」とは,下記の点(相違点2)で相違する。
エ 構成D1,D2について
構成jによれば,引用発明の「ファイル」は,「プリント」されるデータ,つまり,紙によって出力されるデータであるので,本件補正発明の「出力データ」に相当する。
また,構成jによれば,引用発明の「ファイル」は,「MFP」が「ユーザ端末から」「受信」しているので,それまでに「ユーザ端末」に蓄積されているものであることは明らかである。
したがって,構成h,i,j,及び,上記ア及びイの検討結果を踏まえると,引用発明の,「受信した」「ユーザ」に対応付いた「ユーザ端末を特定する情報」「に基づいて」「特定」される「ユーザ端末」から,「ユーザ端末」に蓄積されている「ファイルを受信する」「CPU」と,本件補正発明の「出力データ取得手段」は,下記の点(相違点3)で相違するものの,“取得した前記ユーザに対応付いた端末装置情報により特定される前記端末装置から前記端末装置に蓄積されている出力データを取得する出力データ取得手段”である点で共通する。
オ 構成Eについて
構成e,jによれば,引用発明の,「ファイル」の「印刷」又は「プリント」を行う「プリント部」は,本件補正発明の「前記出力データの出力処理を行う出力処理手段」に相当する。
したがって,本件補正発明と引用発明との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「端末装置及び認証装置と通信を行う出力装置であって、前記認証装置に対してユーザの認証要求を行い、前記認証装置から前記ユーザに対応付いた端末装置情報を取得する認証要求手段と、取得した前記ユーザに対応付いた端末装置情報により特定される前記端末装置から前記端末装置に蓄積されている出力データを取得する出力データ取得手段と、前記出力データの出力処理を行う出力処理手段と、を有することを特徴とする出力装置。」
(相違点)
(相違点1)
本件補正発明の「認証要求手段」は,「ユーザの認証が成功した場合に」「認証に成功した前記ユーザに対応付いた端末装置情報を取得する」ものであるのに対して,引用発明の「ユーザ認証部」及び「ユーザ端末探索部」は,そのようなものであることは明らかではない点。
(相違点2)
本件補正発明は,「取得した前記ユーザに対応付いた端末装置情報を蓄積する端末装置情報蓄積手段」を有するのに対して,引用発明は,そのようなものを有しない点。
(相違点3)
本件補正発明の「出力データ取得手段」は,「前記認証要求手段が前記認証装置から前記ユーザの認証要求に対する応答を取得できなかった場合に、」「前記端末装置情報蓄積手段が前記ユーザの認証が成功した場合に蓄積した、前記ユーザに対応付いた端末装置情報から前記端末装置を特定し、特定した前記端末装置に蓄積されている出力データを取得する」ものであるのに対して,引用発明の「CPU」は,そのようなものではない点。
カ 相違点についての判断
(ア)相違点1について
構成lによれば,引用文献2の,「ユーザの情報」を保護するため,「ユーザ」が「ログインOK」の場合に「ログインOK」の「ユーザの情報」を「返される」ことは,本件補正発明の,「ユーザの認証が成功した場合に」「認証に成功した前記ユーザに対応付いた」「情報を取得する」ことに相当する。
構成bによれば,引用発明は「認証用のサーバであるLDAPサーバ」を含み,構成dによれば,引用発明の「MFP」は「ユーザを認証」する「ユーザ認証部」を含み,また,構成gによれば,引用発明の「MFP」は「ユーザ端末を特定する情報」というユーザに対応付いた情報を「受信」しているが,引用発明の「MFP」が,「ユーザ」の「認証」が成功した場合に,「認証」が成功した「ユーザ」に対応付いた「ユーザ端末を特定する情報」を「受信」していることは明らかではない。
しかし,ユーザの情報の保護というのは一般的な課題であり,引用発明も当該課題を有しているのは明らかであるから,当該課題を解決するために,引用発明に引用文献2に記載された技術的事項を適用し,引用発明の「ユーザ端末探索部」を,「ユーザ」が「ログインOK」の場合に「ログインOK」の「ユーザ」に対応付いた「ユーザ端末を特定する情報」を「受信」するものに構成することは,当業者が適宜なし得る事項である。
(イ)相違点2及び相違点3について
構成n,oによれば,引用文献3の,「ディレクトリサーバーにアクセス可能でない場合」のために,「ディレクトリサーバーから」「取り出され」た「ディレクトリエントリ」の「エントリ情報」を「キャッシュ」する「キャッシュディレクトリエントリ」は,本件補正発明の「取得した」「情報を蓄積する端末装置情報蓄積手段」に相当する。
また,構成q,rによれば,参考文献の,「管理サーバーとの通信が失敗した」場合のために,「管理サーバーから送信されてきた情報を」「記憶」する「記憶部」は,本件補正発明の「取得した」「情報を蓄積する端末装置情報蓄積手段」に相当する。
ここで,サーバーにアクセス可能でない場合に備えることは一般的な課題であり,引用発明も当該課題を有しているのは明らかであるから,当該課題を解決するために,引用発明に引用文献3や参考文献等に記載の周知技術を採用することは,当業者が適宜なし得る事項である。
そして,上記(ア)での検討結果も踏まえ,引用発明に,引用文献2に記載された技術的事項,及び引用文献3や参考文献等に記載の周知技術を適用し,引用発明の「MFP」を,「受信」した「ユーザ」に対応付いた「ユーザ端末を特定する情報」を「キャッシュ」(記憶)する「キャッシュディレクトリエントリ」(記憶部)を備えるように構成し,また,引用発明の「CPU」を,「LDAPサーバ」「にアクセス可能でない場合」(との通信が失敗した場合),前記「キャッシュディレクトリエントリ」(記憶部)が「ユーザ」が「ログインOK」の場合に「キャッシュ」(記憶)した,前記「ユーザ端末を特定する情報」から前記「ユーザ端末を特定し」,「特定し」た前記「ユーザ端末から」「ファイル」を「受信する」ものに構成することは,当業者が容易になし得る事項である。
したがって,本件補正発明は,引用発明,引用文献2に記載された技術的事項,及び引用文献3や参考文献等に記載の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
(ウ)そして,これらの相違点を総合的に勘案しても,本件補正発明の奏する作用効果は,引用発明,引用文献2に記載された技術的事項,及び引用文献3や参考文献等に記載の周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず,格別顕著なものということはできない。
(エ)したがって,本件補正発明は,引用発明,引用文献2に記載された技術的事項,及び引用文献3や参考文献等に記載の周知技術に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであり,特許法29条2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(4)本件補正についてのむすび
よって,本件補正は,特許法17条の2第6項において準用する同法126条7項の規定に違反するので,同法159条1項の規定において読み替えて準用する同法53条1項の規定により却下すべきものである。
よって,上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1.本願発明
令和2年3月16日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,令和1年7月10日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,その請求項1に記載された事項により特定される,上記「第2 1.(2)」に記載のとおりのものである。
2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1-11に係る発明は,本願出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明,及び,引用文献2ないし引用文献7に記載された技術的事項に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
引用文献1.特開2006-303805号公報
引用文献2.特開2011-35850号公報
引用文献3.特表2013-525920号公報
引用文献4.特開2012-113384号公報
引用文献5.特開2009-193118号公報
引用文献6.特開2014-52843号公報
引用文献7.特開2012-39527号公報
3.引用文献の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1ないし引用文献3には,上記「第2 2.(2)」に記載したとおりの事項が記載されている。
4 対比・判断
(1)本願発明
本願発明は,上記「第2 1.(1)」で検討した本件補正発明から,補正事項に対応する限定事項を省いたものである。
(2)引用発明との対比・判断
そうすると,本願発明の構成要件をすべて含み,さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が,上記「第2 2.(3)」に記載したとおり,引用文献1に記載された発明,引用文献2に記載された技術的事項,及び引用文献3や参考文献等に記載の周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用文献1に記載された発明,引用文献2に記載された技術的事項,及び引用文献3や参考文献等に記載の周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。
そして,本願発明の構成により奏する効果も,引用文献1に記載された発明,引用文献2に記載された技術的事項,及び引用文献3や参考文献等に記載の周知技術から当然予測される範囲内のもので,格別顕著なものとは認められない。
第4 むすび
以上のとおり,本願発明は,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2020-003567