2020-002294
流量計用の衛生的なマニホールド
- 審判番号
- 2020-002294
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2018-513665外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2020年02月19日
- 審決日
- 2020年12月14日
- 公報発行日
- 2021年06月25日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】マイクロ モーション インコーポレイテッド
- 【請求人代理人】特許業務法人 有古特許事務所
- 分類
- P18 .113-Z (G01F) / P18 .121-Z (G01F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 7項目
第1 手続の経緯
折りたたみ中(クリックで表示)
本願は、平成27年9月15日にされた外国語特許出願であって、平成30年4月18日に翻訳文が提出され、平成31年2月28日付けの拒絶理由通知に対し、令和元年5月30日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年10月31日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ(原査定の謄本の送達日:同年11月5日)、これに対して、令和2年2月19日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に特許請求の範囲についての補正がされたものである。
第2 本願発明
本願の請求項1~10に係る発明は、令和2年2月19日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次に特定されるとおりである。
なお、請求項1については、令和2年2月19日付けの補正の前後でその記載に変更箇所はない。
「【請求項1】流量計(5)のマニホールド(100)であって、第1のオリフィス(108)及び第2のオリフィス(110)を備えた第1の面(104)と、第3のオリフィス(114)及び第4のオリフィス(116)を備えた対向する第2の面(204)とを有する本体(120)であって、第1のオリフィス(108)と第3のオリフィス(114)は夫々、本体(120)内に延びて、合わさって本体(120)を横切る第1の流路(170)を規定し、第2のオリフィス(110)と第4のオリフィス(116)は夫々、本体(120)内に延びて、合わさって本体(120)を横切る第2の流路(180)を規定し、第3のオリフィス(114)と第4のオリフィス(116)は夫々、流量計(5)の第1及び第2の流れチューブ(13,13')と流体が行き来するように構成された本体(120)と、第1の面(104)から突出して第1のオリフィス(108)と第2のオリフィス(110)を囲む非円形の壁部(106,106')を含む非円形の分岐した流れ開口(112)を備え、非円形の壁部(106,106')は第1のオリフィス(108)及び第2のオリフィス(110)を出る流体流路の断面を変えるように構成されている、マニホールド(100)。」
第3 原査定の概要
原査定の拒絶の理由のうち、本願発明についての理由は、次の理由1及び理由2である。
理由1(新規性)
本願発明は、下記の引用文献に記載された発明であるから、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
理由2(進歩性)
本願発明は、下記の引用文献に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
記
第4 当審の判断
1 引用文献等
(1)引用文献の記載
上記引用文献には、図面とともに次の事項が記載されている。下線は当審が付した。
ア 4頁右上欄24行~同頁左下欄8行
「第1図は本発明の特徴を備えた平行流路形コリオリ質量流量計10を示している。図示のように、流量計10は1対のマニホルド100及び100′、管状部材150,1対の平行な流管130及び130′、駆動機構180、1対のコイル160及び160’、1対の永久磁石161及び161′を含む。従来技術の限界を克服するためにマニホルド100及び100′はそれぞれ遷移部110及び110′と管装着ブロック130及び130′とを含む。流管130及び130′はほぼU字形で、その端部が管装着ブロック120及び120′に取付けられている。両方の流管には感圧性の接合部がない。」
イ 4頁左下欄9行~同頁右下欄4行
「第1図に示されるように流管130及び130′の側方脚部が管装着ブロック120及び120′に固定保持されまたこれらのブロックの方は遷移部110及び110′に固定保持されていて、流量計l0にわたって連続的な閉じた流体流路が形成されている。特に流量計10が貫流する流体の質量流量を決定すべき管路系(図示せず)に流入端部101及び排出端部101′を介して連結されると、管路系の流体が遷移部110の流入端部101におけるオリフィスを通って流量計に入り、漸次変化する断面積を有する流路を通じて管装着ブロック120に近接した第二の端部におけるオリフィスに導かれる。それから流体は管装着ブロック120を通って流れ、ここで均等に分割されて流管130及び130′に導かれる。流管130及び130′を出てから流体は管装着ブロック120′内で1本の流れに合流し、その後に開口を通じて遷移部110′に導かれる。遷移部110′内で流体は漸次変化する断面積を有する流路を通って排出端部101′におけるオリフィスに流れる。端部101′で流体は管路系に再び入る。管状部材150は流体を導くものではない。その代りにこの部材はマニホルド100及び100′を軸方向に揃えその間に所定の大きさだけの間隔を維持してこれらのマニホルドが装着ブロック120及び120′と流管130及び130′とを容易に受入れるようにする。」
ウ 5頁右下欄20行~6頁左上欄5行
「第3~6図は本発明で用いられ第1図に示されている遷移部110及び110′の詳細図である。各遷移部は一体的な鋳造構造体として形成されており、通路303′を通じて流体を端部101または101′におけるオリフィス301と端部401におけるオリフィス302との間に導く。オリフィス301及び302は異なる断面積を有するのがよい。図示のように、オリフィス302はオリフィス301よりかなり大きい断面積を有している。これらのオリフィスのそれぞれの形状は異なっており、オリフィス301は円形の形状であり、またオリフィス302は長円の形状を有している。さらに通路303はオリフィス301の円形断面からオリフィス302の長円形断面に漸次変化する断面を有している。」
エ 6頁左上欄20行~同頁右上欄3行
「第7~10図は管装着ブロック120及び120’の種々の詳細図である。各装着ブロックは端部702における開口701から端部704における1対の開口703まで延びる流体の通路を有している。開口701の断面積は遷移部のオリフィス302の断面積にほぼ等しく、また開口703の断面積はこの開口が流管130または130′の端部を滑り込ませて受入れることができるような大きさである。さらに各装着ブロックをそれぞれの遷移部に溶接し易くするために、開口701を取囲む壁部の厚さはオリフィス302を取囲む壁部の厚さとほぼ同じである。」
オ 6頁右上欄4~13行
「各装着ブロックはまた流れの分割手段として作用し特に開口701を2つの円形開口703に分割する内壁706を含む。壁部706は端部704から出ていて、下方に滑らかな楔形の端部710となるテーパ状になっている。端部710は端部702から引込んでいて装着ブロック120及び120′をそれぞれの遷移部に周辺溶接する前に装着ブロック組立体に各流管の端部を周辺溶接できるようにする。一方の装着ブロック、例えばブロック120において、端部710が流管130と130′との間で流体を均等に分割する。他方の装着ブロック、例えばブロック120′にある端部710は両方の流管から流れる流体を合流させる。」
カ 6頁右上欄14~21行
「各装着ブロックはまた各開口703内の肩部707を備えている。この肩部は壁部710に近接してその後方に後退した位置にあってそれによって与えられる流れの分割及び合流の作用を妨げないようにする。この肩部は開口703内への挿入の際の流管130の端部の位置合せ基準点として作用するだけでなく、流管を所定位置に周辺溶接し流管と装着ブロックとの間に流体密封性の連結を行う際の捨て部材となり得るようにブロックより低い溶接温度で融解するものでもある。」
キ 6頁左下欄15~25行
「第11A図は流管130及び130′の端部において周辺溶接を用いて装着ブロックに装着された流管の一端の組立体を示している。各流管の一端が肩部707と同一面になる位置まで挿入された後にブロックに熱が加えられてこの肩部を溶解させる。この肩部が溶解すると流管の端部とブロックとの間に周辺溶接部が形成される。それから流管を位置決めして保持し流体密封性の連結部を形成するこの溶接部はこのとき装着ブロックと流管との間に残存するいかなる間隙も充填するはんだ付け材料1100によって補強する。この部分組立体が完成した後に各装着ブロックの端面702が1回だけの周辺溶接を用いて端面401に溶接される。」
「第1図」
「第3~6図」
「第7~11図」
(2)引用発明
上記記載内容及び図示内容を総合すれば、引用文献には、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
[引用発明]
「流量計10に含まれる1対のマニホルド100及び100′であって、マニホルド100及び100′はそれぞれ遷移部110及び110′と管装着ブロック120及び120′とを含み、(上記ア及び第1図)流管130及び130′の側方脚部が管装着ブロック120及び120′に固定保持され、管装着ブロック120及び120′は遷移部110及び110′に固定保持されて、流量計l0にわたって連続的な閉じた流体流路が形成されており、(上記イ及び第1図)流量計10が貫流する流体の質量流量を決定すべき管路系に流入端部101及び排出端部101′を介して連結されると、管路系の流体が遷移部110の流入端部101におけるオリフィスを通って流量計に入り、漸次変化する断面積を有する流路を通じて管装着ブロック120に近接した第二の端部におけるオリフィスに導かれ、それから流体は管装着ブロック120を通って流れ、ここで均等に分割されて流管130及び130′に導かれ、流管130及び130′を出てから流体は管装着ブロック120′内で1本の流れに合流し、その後に開口を通じて遷移部110′に導かれ、遷移部110′内で流体は漸次変化する断面積を有する流路を通って排出端部101′におけるオリフィスに流れ、端部101′で流体は管路系に再び入るようにされており、(上記イ)続きを表示(全19行)遷移部110及び110′の端部401におけるオリフィス302は長円の形状を有しており、(上記ウ及び第3図)管装着ブロック120及び120’は、端部702における開口701から端部704における1対の開口703まで延びる流体の通路を有しており、開口701の断面積は遷移部のオリフィス302の断面積にほぼ等しく、開口703の断面積はこの開口が流管130または130′の端部を滑り込ませて受入れることができるような大きさであり、(上記エ及び第7、10図)各装着ブロックは、流れの分割手段として作用し開口701を2つの円形開口703に分割する内壁706を含み、壁部706は端部704から出ていて、下方に滑らかな楔形の端部710となるテーパ状になっており、端部710は端部702から引込んでいて装着ブロック120及び120′をそれぞれの遷移部に周辺溶接する前に装着ブロック組立体に各流管の端部を周辺溶接できるようにしてあり、一方の装着ブロック120において、端部710が流管130と130′との間で流体を均等に分割し、他方の装着ブロック120′にある端部710は両方の流管から流れる流体を合流させるものであり、(上記オ及び第10図)各装着ブロックは、各開口703内の肩部707を備えており、肩部707は壁部710に近接してその後方に後退した位置にあってそれによって与えられる流れの分割及び合流の作用を妨げないようにしてあり、(上記カ及び第10図)肩部707は開口703内への挿入の際の流管130の端部の位置合せ基準点として作用するだけでなく、流管を所定位置に周辺溶接し流管と装着ブロックとの間に流体密封性の連結を行う際の捨て部材となり得るようにブロックより低い溶接温度で融解するものでもあり、各流管の一端が肩部707と同一面になる位置まで挿入された後にブロックに熱が加えられて肩部707を溶解させ、肩部707が溶解すると流管の端部とブロックとの間に周辺溶接部が形成される、(上記カ、キ及び第10、11A図)流量計10に含まれる1対のマニホルド100及び100′。」
2 対比・判断
(1)対比
本願発明と引用発明を対比する。
ア 引用発明の「流量計10」は本願発明の「流量計(5)」に相当し、引用発明の「流管130及び130′」は、本願発明の「流量計(5)の第1及び第2の流れチューブ(13,13')」に相当する。
イ 引用発明の「流量計10に含まれる1対のマニホルド100及び100′」は、「それぞれ遷移部110及び110′と管装着ブロック120及び120′とを含み」、「流管130及び130′の側方脚部が管装着ブロック120及び120′に固定保持され、管装着ブロック120及び120′は遷移部110及び110′に固定保持されて、流量計l0にわたって連続的な閉じた流体流路が形成されて」いるから、本願発明の「流量計(5)のマニホールド(100)」と引用発明の「流量計10に含まれる1対のマニホルド100及び100′」は、「流量計のマニホールドを構成する部材」を含む点で共通する。
ウ 引用発明の「管装着ブロック」は、「端部702における開口701から端部704における1対の開口703まで延びる流体の通路を有しており」、「開口703の断面積はこの開口が流管130または130′の端部を滑り込ませて受入れることができるような大きさ」とされているから、「流管130」を「滑り込ませ」る方の「端部704」における「開口703」は、本願発明の「第3のオリフィス(114)」に相当し、「流管130′」を「滑り込ませ」る方の「端部704」における「開口703」は、本願発明の「第4のオリフィス(116)」に相当する。
そして、引用発明の「端部704における1対の開口703」は、「流管130または130′の端部を滑り込ませて受入れることができる」から、このことは、本願発明の「第3のオリフィス(114)と第4のオリフィス(116)は夫々、流量計(5)の第1及び第2の流れチューブ(13,13')と流体が行き来するように構成された」ことに相当する。
エ 引用発明の「管装着ブロック」は、「流れの分割手段として作用し開口701を2つの円形開口703に分割する内壁706を含み」、「各開口703内の肩部707を備えて」いるから、「内壁706」により「分割」された「開口701」は、「肩部707」において「2つの円形開口」を有しているといえる。
そして、「流管130」に対応する「肩部707」における「円形開口」は、本願発明の「第1のオリフィス(108)」に相当し、「流管130′」に対応する「肩部707」における「円形開口」は、本願発明の「第2のオリフィス(110)」に相当する。
オ 上記ウ及びエを踏まえると、引用発明の「管装着ブロック」のうち、図10において、肩部707と同一面より右側の部分は、本願発明の「第1のオリフィス(108)及び第2のオリフィス(110)」と「第3のオリフィス(114)及び第4のオリフィス(116)」を有する「本体(120)」に相当する。
カ 引用発明の「管装着ブロック」は「端部702における開口701から端部704における1対の開口703まで延びる流体の通路を有しており」、「流体は管装着ブロック120を通って流れ、ここで均等に分割されて流管130及び130′に導かれ」るから、引用発明の「流管130」に対応する「肩部707」における「円形開口」から「端部704」における「開口703」まで延びる「流体の通路」は、本願発明の「本体(120)内に延びて、合わさって本体(120)を横切る第1の流路(170)」に相当し、引用発明の「流管130′」に対応する「肩部707」における「円形開口」から「端部704」における「開口703」まで延びる「流体の通路」は、本願発明の「本体(120)内に延びて、合わさって本体(120)を横切る第2の流路(180)」に相当する。
キ 上記ウ及びカを踏まえると、引用発明の「管装着ブロック」のうち、図10において、肩部707と同一面より右側の部分は、本願発明の「第1のオリフィス(108)と第3のオリフィス(114)は夫々、本体(120)内に延びて、合わさって本体(120)を横切る第1の流路(170)を規定し、第2のオリフィス(110)と第4のオリフィス(116)は夫々、本体(120)内に延びて、合わさって本体(120)を横切る第2の流路(180)を規定し、第3のオリフィス(114)と第4のオリフィス(116)は夫々、流量計(5)の第1及び第2の流れチューブ(13,13')と流体が行き来するように構成された本体(120)」に相当する。
ク 引用発明の「管装着ブロック」の「端部702における開口701」は、その「断面積は遷移部のオリフィス302の断面積にほぼ等しく」、「遷移部110及び110′の端部401におけるオリフィス302は長円の形状を有して」いるから、「端部702における開口701」の断面は「長円の形状」を有しており、「内壁706」により「分割」されている。
また、引用発明の「端部702」は、「開口701」を形成する「長円の形状」の壁部として、「肩部707」における「2つの円形開口」を囲んでいるといえる。
そうすると、引用発明の「管装着ブロック」の「開口701」は、本願発明の「第1のオリフィス(108)と第2のオリフィス(110)を囲む非円形の壁部(106,106')を含む非円形の分岐した流れ開口(112)」に相当する。
ケ 引用発明の「開口701」は、「内壁706」の「肩部707」では「2つの円形開口」を有しており、「端部702」では「長円の形状」を有しているから、このような「開口701」を形成する「長円の形状」の壁部は、「肩部707」での「2つの円形開口」を出る流体の流路の断面を「円形」から「長円の形状」に変えるものである。このことは、本願発明の「非円形の壁部(106,106')は第1のオリフィス(108)及び第2のオリフィス(110)を出る流体流路の断面を変えるように構成されている」ことに相当する。
上記対比内容を踏まえると、本願発明と引用発明は、以下の一致点で一致し、以下の相違点1及び2で一応相違する。
[一致点]
「流量計のマニホールドを構成する部材であって、第1のオリフィス及び第2のオリフィスと、第3のオリフィス及び第4のオリフィスを有する本体であって、第1のオリフィスと第3のオリフィスは夫々、本体内に延びて、合わさって本体を横切る第1の流路を規定し、第2のオリフィスと第4のオリフィスは夫々、本体内に延びて、合わさって本体を横切る第2の流路を規定し、第3のオリフィスと第4のオリフィスは夫々、流量計の第1及び第2の流れチューブと流体が行き来するように構成された本体と、第1のオリフィスと第2のオリフィスを囲む非円形の壁部を含む非円形の分岐した流れ開口を備え、非円形の壁部は第1のオリフィス及び第2のオリフィスを出る流体流路の断面を変えるように構成されている、マニホールドを構成する部材。」
[相違点1]
「マニホールドを構成する部材」について、本願発明では「マニホールド」そのものであるとしているのに対して、引用発明では「マニホルド」に含まれる「管装着ブロック」としている点。
[相違点2]
「本体」について、本願発明では、「第1の面(104)」と「対向する第2の面(204)とを有する」とし、「第1の面(104)」が「第1のオリフィス(108)及び第2のオリフィス(110)を備え」、「第2の面(204)」が「、第3のオリフィス(114)及び第4のオリフィス(116)を備え」ており、「非円形の分岐した流れ開口(112)」に含まれる「第1のオリフィス(108)と第2のオリフィス(110)を囲む非円形の壁部(106,106')」が、「第1の面(104)から突出して」いるのに対して、引用発明では、そのような面が明示されておらず、「開口701」の壁部がそのような面から突出していることも明示されていない点。
(2)判断
ア 相違点1について検討する。
引用発明の「マニホルド100及び100′」は、「それぞれ遷移部110及び110′と管装着ブロック120及び120′とを含」むものであるから、「管装着ブロック」は「マニホルド」そのものではないものの、本願の明細書及び図面に開示された「マニホールド100」及び「アダプタ要素160」と対応づけて検討すると、引用発明の「管装着ブロック」及び「遷移部」は、それぞれ、本願発明における「マニホールド100」及び「アダプタ要素160」に対応すると考えるのが適当であるから、「管装着ブロック」を本願発明のごとく「マニホルド」そのものと称するか、「管装着ブロック」及び「遷移部」を含めたものを引用発明のとおり「マニホルド」と称するかは、単なる呼び方の問題にすぎず、技術上の差異が存するものではない。
よって、相違点1は、表現上の相違にすぎないものであり、実質的な相違点ではない。
イ 相違点2について検討する。
(ア)引用発明の「内壁706」の「肩部707」は、「開口703内への挿入の際の流管130の端部の位置合せ基準点として作用する」ものであり、「各流管の一端が肩部707と同一面になる位置まで挿入」されるものであるから、このような「位置合せ基準点」に「位置合せ」された「各流管の一端」と「肩部707」が「同一面」に存在するような平面を引用発明の「管装着ブロック」において観念することができる。
(イ)また、引用発明では、「各流管の一端が肩部707と同一面になる位置まで挿入された後にブロックに熱が加えられて肩部707を溶解させ、肩部707が溶解すると流管の端部とブロックとの間に周辺溶接部が形成される」ところ、このような「肩部707」が「溶解」して「形成」された「周辺溶接部」は、「肩部707と同一面になる位置」に「位置合せ」された「各流管の一端」が存在する平面の形成にも寄与していると考えられるから、上記(ア)において検討した「管装着ブロック」の平面は、単に観念的に設定したものではなく、実際に形成されたものということができる。
(ウ)このような「管装着ブロック」の平面には、「肩部707」における「2つの円形開口」(本願発明の「第1のオリフィス(108)」及び「第2のオリフィス(110)」に相当する。)が存在しているから、この平面は、本願発明の「第1のオリフィス(108)及び第2のオリフィス(110)を備えた第1の面(104)」に相当する。
そして、引用発明の「長円の形状」の「開口701」の壁部が、そのような平面から突出していることは、引用文献の第10図や第11A図からみて明らかである。
(エ)引用発明の「流管130または130′の端部を滑り込ませ」る「管装着ブロック」の「端部704」は、引用文献の第10図からみて、「開口703」を備えた平面であるといえるから、この平面は、本願発明の「第3のオリフィス(114)及び第4のオリフィス(116)を備えた対向する第2の面(204)」に相当する。
(オ)そうすると、引用発明の「管装着ブロック」は、本願発明の「第1のオリフィス(108)及び第2のオリフィス(110)を備えた第1の面(104)」及び「第3のオリフィス(114)及び第4のオリフィス(116)を備えた対向する第2の面(204)」に相当する2つの対向する面を有しているといえるから、上記相違点2は、実質的な相違点ではない。
ウ 小括
上記ア及びイの検討内容をまとめると、上記相違点1及び2は実質的には解消され、引用発明は本願発明の構成をすべて含むことになるから、本願発明は引用文献に記載された発明である。
(3)請求人の主張について
ア 審判請求書において、請求人は次のとおり主張している。
「(3)引用文献1について請求項1に係る発明は引用文献1に比して、新規性及び進歩性が無いと判断された。引用文献1の明細書5頁上段右欄に『この肩部は開口703内への…捨て部材となり得るようにブロックより低い溶接温度で融解するものである。』と記載されているが、肩部707は全ては融解するとは限らず、融解後も一部が残存している可能性がある。引用文献1の流管130では、流体は流管130の端部または残存した肩部707に当たる。この流体が当たることによる衝撃は、流動エネルギーの損失を引き起こし、内部にテーパ状の壁があることによるメリットはない。これは本願の請求項1に係る発明が引用文献1よりも優れた進歩性をもたらすことを意味する。少なくともこの理由から、審判請求人の請求項1に係る発明は引用文献1に対して新規性及び進歩性がある。」
イ しかしながら、肩部707の全てが融解せずに、融解後も一部が残存したとしても、融解した部分は「周辺溶接部」として、「肩部707と同一面になる位置」に「位置合せ」された「各流管の一端」が存在する平面の形成に寄与していると考えられるから、前記(2)イ(イ)において検討した内容に変わるところはない。
また、引用発明では、流体が流管130の端部または残存した肩部707に当たることになり、その衝撃は流動エネルギーの損失を引き起こし、内部にテーパ状の壁があることによるメリットはないとの主張についても、かかる主張が本願発明のいかなる構成に基づくものであるのか不明であって、本願発明と引用発明の構成上の差異を認めることはできない。
したがって、請求人の上記アの主張を採用することはできない。
第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法29条1項3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
2020-002294