特許拒絶査定不服審判
2020-002059
耐火樹脂成形体およびそれを備えた建具
- 審判番号
- 2020-002059
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2016-121082
- 請求日
- 2020年02月14日
- 審決日
- 2020年12月24日
- 公報発行日
- 2021年04月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】積水化学工業株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人三枝国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 井上 茂夫
- 審判官 久保 克彦
- 審判官 藤井 眞吾
- 分類
- P18 .113-Z (B32B) / P18 .121-Z (B32B) / P18 .575-Z (B32B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第17条の2第6項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2016-121082「耐火樹脂成形体およびそれを備えた建具」拒絶査定不服審判事件〔平成29年1月12日出願公開、特開2017- 7333〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成28年6月17日に出願された特願2016-121082号であり、その手続の経緯は、概略、以下のとおりである。
令和元年9月11日付け 拒絶理由通知
令和元年11月12日 意見書及び手続補正書の提出
令和元年12月2日付け 拒絶査定
令和2年2月14日 本件審判請求、同時に手続補正書の提出(以下、この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)
第2 本件補正の補正の却下の決定の越論
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。
[理由]
1. 本件補正について(補正の内容)
(1) 本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線部は、補正箇所である。)
「樹脂成分とポリリン酸塩と熱膨張性黒鉛とを含む第1層と、
前記第1層の少なくとも一方の面側に配置され、樹脂成分を含むがポリリン酸塩を実質的に含まない第2層とを備え、
前記第1層の樹脂成分と前記第2層の樹脂成分が同じ樹脂成分であり、前記第1層の樹脂成分と前記第2層の樹脂成分がポリ塩化ビニルであることを特徴とする建具用耐火樹脂成型体。」
(2) 本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の、令和元年11月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「樹脂成分とポリリン酸塩と熱膨張性黒鉛とを含む第1層と、
前記第1層の少なくとも一方の面側に配置され、樹脂成分を含むがポリリン酸塩を実質的に含まない第2層とを備え、
前記第1層の樹脂成分と前記第2層の樹脂成分が同じ樹脂成分を含むことを特徴とする耐火樹脂成型体。」
2. 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「第1層」と「第2層」の「樹脂成分」を「ポリ塩化ビニル」に限定し、「耐火樹脂成型体体」を「建具用」に限定するものであって、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に規定される特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か)について、以下、検討する。
(1) 本件補正発明
本件補正発明は、上記1.(1)に記載したとおりのものである。
(2) 引用文献の記載事項
ア. 原査定の拒絶の理由に引用文献4として引用され、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2000-159903号公報(平成12年6月13日出願公開。以下「引用文献」という。)には、図面とともに、次の記載がある。
(ア) 「【0002】【従来の技術】建築物に耐火性を付与するために、建築物に被覆あるいは塗布される材料を耐火材料と呼んでいる。このような耐火材料が燃焼中に耐火性能を保持するためには、燃焼中に灰化するだけでなく炭化物(燃焼残渣)を形成し、しかも、燃焼中に燃焼残渣が崩れ落ちることなく保持されることが要求されるため、燃焼残渣の形状保持性が重要になる。
【0003】上記耐火材料に使用される組成物が、例えば、特公昭63-7238号公報に開示されている。しかしながら、この組成物を垂直部分に使用した場合には、燃焼後に残存する燃焼残渣の形状が脆くなるため、十分な耐火性能が発揮されないことがあった。
【0004】一方で、燃焼残渣の形状保持性を重視して組成物の配合を決定すると、耐水性が悪く、長期的な性能が悪くなるという問題点があった。
【0005】このような配合物の例として、例えば、耐火性塗料に炭化促進剤として汎用されている多価アルコールが挙げられる。この多価アルコールは、一般に水に対する溶解度が非常に高いため、耐火性塗料の耐水性を低下させることがあり、表面に露出する用途に供することは困難であった。
【0006】建築物に用いられる耐火塗料の場合には、一般に、耐火塗料上に耐水性を付与するための表面コートを施しているが、現場での二度塗り作業となり、一層塗るごとに風乾、養生させる必要があるため、作業工程に長時間を要し施工性が悪いという問題点があった。
【0007】【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記に鑑み、耐火性(特に燃焼残渣の形状保持性)、耐水性及び施工性に優れた耐火性樹脂シート、ならびにその積層体を提供することにある。」
(イ) 「【0008】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1記載の発明(以下、第1発明という)である耐火性樹脂シートは、熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、含水無機物、ならびに、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、周期表IIa族に属する金属の金属塩及び周期表III 族に属する金属の金属塩から選ばれる少なくとも1種を含有する耐火性樹脂組成物よりなる樹脂シートであって、該樹脂シートを50kW/m2の加熱条件下で完全燃焼させた際に、加熱前の厚み(D0)と加熱後の厚み(D1)との比(D1/D0)が1.1~20であり、かつ、完全燃焼後の燃焼残渣に直径0.25cm2の円形圧子を接触させて0.1cm/秒の速度で荷重をかけた際の変位荷重曲線において、連続した最大荷重と最小荷重との差が0.01kg/cm2以上であることを特徴とする。
【0009】本願の請求項2記載の発明(以下、第2発明という)である耐火性樹脂シート積層体は、第1発明の耐火性樹脂シート(A)層と、JIS Z0208に準拠して40℃、90%RHで測定される透湿度が10g/m2・24h未満である樹脂シート(B)層とが積層されてなる耐火性樹脂シート積層体であって、該樹脂シート(A)層の厚みが0.5~10mm、該樹脂シート(B)層の厚みが0.01~2mmであり、かつ、該樹脂シート(A)層の厚みと該樹脂シート(B)層の厚みとの比〔樹脂シート(A)層/樹脂シート(B)層〕が1~1,000であることを特徴とする。」
(ウ) 「【0010】本発明で用いられる耐火性樹脂シート(A)は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、含水無機物、ならびに、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、周期表IIa族に属する金属塩及び周期表III族に属する金属塩から選ばれる少なくとも1種を含有する耐火性樹脂組成物から形成される。
【0011】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂としては、特に限定されず、例えば、・・・ポリ塩化ビニル系樹脂、・・・等が挙げられ、これらは、単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。さらに、樹脂の溶融粘度、柔軟性、粘着性等の調整のため、2種以上の樹脂をブレンドしたものをベース樹脂として用いてもよい。」
(エ) 「【0014】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂には、耐火性能を阻害しない範囲で、架橋や変性が施されてもよい。上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂の架橋や変性を行う時期については特に限定されず、予め架橋、変性した熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂を用いてもよく、後述のリン化合物や他の成分を配合する際同時に架橋や変性してもよいし、熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂にリン化合物や他の成分を配合した後で架橋や変性を行ってもよく、いずれの段階で行ってもよい。
【0015】上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂の架橋方法については、特に限定されず、熱可塑性樹脂又はゴム系樹脂について通常行われる架橋方法、例えば、各種架橋剤、過酸化物等を使用する架橋;電子線照射による架橋方法等が挙げられる。また、非加硫ゴムに関しては、リン化合物、中和処理された熱膨張性黒鉛、その他の成分を配合した後で加硫を行ってもよい。」
(オ) 「【0017】上記リン化合物としては特に限定されず、例えば、・・・ポリリン酸アンモニウム類・・・等が挙げられる。これらのうち、耐火性の観点から、赤リン、ポリリン酸アンモニウム類、及び、下記一般式(1)で表される化合物が好ましく、さらに、性能、安全性、コスト等の面から、ポリリン酸アンモニウム類がより好ましい。」
(カ) 「【0024】上記中和処理された熱膨張性黒鉛とは、従来公知の物質である熱膨張性黒鉛を中和処理したものである。上記熱膨張性黒鉛は、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイト等の粉末を、濃硫酸、硝酸、セレン酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、過塩素酸塩、過マンガン酸塩、重クロム酸塩、過酸化水素等の強酸化剤とで処理することにより生成するグラファイト層間化合物であり、炭素の層状構造を維持したままの結晶化合物である。」
(キ) 「【0037】上記耐火性樹脂組成物において、上記リン化合物及び中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂(以下、樹脂分という)100重量部に対して、2成分の合計量として20~300重量部が好ましい。配合量が、20重量部未満では、加熱後の残渣量が不十分であるため十分な耐火性能が得られず、300重量部を超えると機械的物性の低下が大きく、使用に耐えられなくなる。」
(ク) 「【0046】上記樹脂シート(B)としては、JIS Z0208に準拠して40℃、90%RHで測定される透湿度が10g/m2・24h未満であれば、特に制限されない。透湿度が10g/m2・24h以上では、十分な耐水性が得られず、樹脂シート(B)の長期性能が悪化するおそれがある。
【0047】上記樹脂シート(B)としては、例えば、紙、織布、不織布、フィルム、金属箔、金属薄板、蒸着フィルム、金属箔と樹脂フィルムの複合シート、上記樹脂分からなる樹脂シート、上記樹脂分に無機充填剤が添加された樹脂シート;無機繊維シート等が用いられる。」
(ケ) 「【0058】本発明の耐火性樹脂シート積層体は、樹脂シート(A)層と樹脂シート(B)層とが積層されたものである。耐火性樹脂シート積層体の構成は、A/Bの二層積層体、B/A/B、 A/B /Aの三層積層体のいずれであってもよく、これらのA/B、B/A/B、A/B/A積層体の界面や外側に、保持材として、上記無機繊維シート、金属板、金網等が積層されたものであってもよい。また、樹脂シート(A)層側に、膨張しろ確保のために燃焼時に収縮する樹脂発泡体等が積層されていてもよい。」
(コ) 「【0067】(実施例5~8)表2に示した配合量の、樹脂分、水添石油樹脂、リン化合物(ポリリン酸アンモニウム)、中和処理された熱膨張性黒鉛、含水無機物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)及び無機炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム)を、二軸押出機に供給して混練、押出し成形を行い、樹脂シート(A)、(B)をそれぞれ得た。得られた樹脂シート(A)、(B)を、熱プレスによって圧着、積層して、耐火性樹脂シート積層体を得た。」
(サ) 「【0077】【表2】
(シ) 引用文献には、耐火性樹脂シート(B)層に対して、「ポリリン酸アンモニウム」等をポリリン酸塩として添加することの記載はないし、【0077】の【表2】記載の実施例においては、「樹脂シート(A)」に「ポリリン酸アンモニウム」が含まれている一方、「樹脂シート(B)」に含まれていることの記載はない。そうすると、引用文献には、ポリリン酸アンモニウムを実質的に含まない「樹脂シート(B)」が記載されていることが理解できる。
イ. 上記摘記事項(ア)~(サ)、及び上記認定事項(シ)を総合すると、引用文献には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂と、ポリリン酸アンモニウムと、中和処理された熱膨張性黒鉛とを含む耐火性樹脂シート(A)層と、
前記耐火性樹脂シート(A)層の少なくとも一方の面側に配置され、熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂を含むがポリリン酸アンモニウムを含まない耐火性樹脂シート(B)層を備え、
建築物に耐火性を付与するための耐火性樹脂シート積層体。」
(3) 引用発明との対比
ア. 本件補正発明と引用発明を対比する。
引用発明の耐火性樹脂シート(A)層と耐火性樹脂シート(B)層の「熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂」は、本件補正発明の第1層と第2層の「樹脂成分」と、「樹脂」という限りにおいて一致する。
また、引用発明の「ポリリン酸アンモニウム」、「中和処理された熱膨張性黒鉛」は、それぞれ、本件補正発明の「ポリリン酸塩」、「熱膨張性黒鉛」に相当する。
さらに、引用発明の「熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂と、ポリリン酸アンモニウムと、中和処理された熱膨張性黒鉛とを含む耐火性樹脂シート(A)層」は、本件補正発明の「樹脂成分とポリリン酸塩と熱膨張性黒鉛とを含む第1層」と、「樹脂とポリリン酸塩と熱膨張性黒鉛とを含む層」という限りにおいて一致し、また、引用発明の「熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂を含むがポリリン酸アンモニウムを含まない耐火性樹脂シート(B)層」は、本件補正発明の「樹脂成分を含むがポリリン酸塩を実質的に含まない第2層」と、「樹脂を含むがポリリン酸塩を実質的に含まない層」という限りにおいて一致する。
引用発明の「建築物に耐火性を付与するための耐火性樹脂シート積層体」と、本件補正発明の「建具用耐火樹脂成型体」は、樹脂をシート状とするのも「成型」といえるから、両者は、「耐火樹脂成型体」という限りにおいて一致する。
イ. そうすると、本件補正発明と引用発明の一致点及び相違点は、次のとおりである。
<一致点>
「樹脂とポリリン酸塩と熱膨張性黒鉛とを含む層と、
この樹脂とポリリン酸塩と熱膨張性黒鉛とを含む層の、少なくとも一方の面側に配置され、樹脂を含むがポリリン酸塩を実質的に含まない層とを備えた、
耐火樹脂成型体。」
<相違点1>
樹脂について、本件補正発明の「第1層の樹脂成分」と「第2層の樹脂成分」が、同じ樹脂成分であり、ともに「ポリ塩化ビニル」であるのに対し、引用発明の「耐火性樹脂シート(A)層」と「耐火性樹脂シート(B)層」は、「熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂」である点。
<相違点2>
本件補正発明の「耐火樹脂成形体」は、「建具用」であるのに対し、引用発明の「耐火性樹脂シート」は、「建築物に耐火性を付与するため」のものである点。
(4) 判断
以下、上記相違点について検討する。
ア.<相違点1>について
引用文献には、「上記樹脂シート(B)としては、例えば、・・・上記樹脂分からなる樹脂シート、・・・が用いられる、」(【0047】、下線は当審が付した)という記載があり、また、「上記耐火性樹脂組成物において、上記リン化合物及び中和処理された熱膨張性黒鉛の配合量は、熱可塑性樹脂及び/又はゴム樹脂(以下、樹脂分という)100重量部に対して、2成分の合計量として200~300の重量部が好ましい。」(【0037】、下線は同様)という記載がある。そうすると【0047】記載の「樹脂シート(B)」の「上記樹脂分」とは、【0037】に記載された「樹脂シート(A)」の「樹脂分」のことであると理解できる。さらに、【0077】の【表2】に記載された実施例には、「樹脂シート(A)」及び「樹脂シート(B)」のそれぞれが、同じ「樹脂」である「メタロセンPE」、「ブチルゴム」及び「ポリブテン」を含んでいることが示されている。そして、積層体を構成する各層の樹脂が同じである方が、接着性やコスト等の観点からも好ましく、あえて異ならせる必要がなければ、同じ「樹脂」で構成することを選択し得るものといえる。
また、引用文献には、引用発明の「熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂」について、「上記熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂としては、特に限定されず、例えば、・・・ポリ塩化ビニル系樹脂、・・・等が挙げられ、これらは、単独で使用されてもよく、2種以上が併用されてもよい。」(【0011】)と記載されている。
そうすると、引用発明の「耐火性樹脂シート(A)層」と「耐火性樹脂シート(B)層」に用いられる「熱可塑性樹脂及び/又はゴム系樹脂」として、同じ、ポリ塩化ビニルとすることは、当業者が容易に想到し得たものといえる。
イ. <相違点2>について
建築物に建具が含まれていること、そして、建築物の火災により建具も燃える可能性が高く、建具の火災から建築物の火災となる危険性が高いことは明らかであるから、引用発明の「建築物に耐火性を付与するための耐火性樹脂シート」を「建具用」とすることは、当業者にとって容易である。
そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、引用発明の奏する作用効果から予測される範囲内のものであるにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許受けることができないものである。
3. 本件補正についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本願発明について
1. 本願発明
令和2年2月14日にされた手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1~5に係る発明は、令和元年11月12日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、前記第2[理由]1(2)に記載のとおりのものである。
2. 原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願出願日前に頒布された下記の引用文献4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許受けることができない、というものである。
引用文献4:特開2000-159903号公報
3. 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献4の記載事項は、前記第2の[理由]2(2)に記載したとおりである。
4. 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2」で検討した本件補正発明から、「樹脂」及び「用途」に係る限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記第2の[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明に基いて、当業者が容易に発明することができたものである。
第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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