特許拒絶査定不服審判
2020-000400
ストレージシステム及びストレージコントローラの動作方法
- 審判番号
- 2020-000400
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-086522
- 請求日
- 2020年01月10日
- 審決日
- 2020年10月14日
- 公報発行日
- 2021年05月28日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】三星電子株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人共生国際特許事務所
- 審判長/審判官
- 審判長 田中 秀人
- 審判官 須田 勝巳
- 審判官 小林 秀和
- 分類
- P18 .561-Z (G06F) / P18 .57 -Z (G06F) / P18 .113-Z (G06F) / P18 .121-Z (G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第17条の2第3項、特許法第17条の2第5項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 86522「ストレージシステム及びストレージコントローラの動作方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月19日出願公開、特開2015-207289〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成27年4月21日(パリ条約による優先権主張2014年4月21日(以下,「優先日」という。),大韓民国)の出願であって,平成31年1月18日付けで拒絶理由通知がなされ,同年4月23日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,令和1年9月3日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,令和2年1月10日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされ,同年3月10日に前置報告がなされ,同年6月15日に上申書が提出されたものである。
第2 令和2年1月10日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和2年1月10日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
(1)本件補正後の特許請求の範囲の記載
本件補正により,特許請求の範囲の請求項1の記載は,次のとおり補正された。(下線は,補正箇所を示すために請求人が付したものである。)
「 【請求項1】
RAIDマスターコントローラから割り当てられた第1RAID作業とは異なる第2RAID作業の分配が必要かを決定し,前記第2RAID作業の分配が必要でないとの決定に基づき直接前記第1RAID作業を推進し,第1ストレージ装置を制御するRAID作業分配ユニットと,
前記第1RAID作業に関連する前記第2RAID作業を第2ストレージ装置を含む1つ以上のストレージ装置に直接分配するRAIDコントローラと,を備え,
前記第1ストレージ装置と前記第2ストレージ装置は,一対一のネットワークの直接接続を確立し,前記第2RAID作業は,前記一対一のネットワークの直接接続により,前記第2RAID作業の分配が必要との決定に基づき,分配されることを特徴とするストレージシステム。」
(2)本件補正前の特許請求の範囲
本件補正前の,平成31年4月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
第1ストレージ装置に第1RAID作業を割り当てるRAIDマスターコントローラと,
前記第1RAID作業を処理して前記第1ストレージ装置を制御し,前記第1RAID作業に関連する第2RAID作業を第2ストレージ装置に分配する第1RAIDコントローラと,
前記第2RAID作業を処理して前記第2ストレージ装置を制御する第2RAIDコントローラと,を備え,
前記第1ストレージ装置と前記第2ストレージ装置は,一対一のネットワークの直接接続を確立し,前記第2RAID作業は,前記一対一のネットワークの直接接続により分配されることを特徴とするストレージシステム。」
(3)補正事項
本件補正は以下の補正事項を含むものである。
ア 補正事項1
本件補正前の請求項1の
「第1ストレージ装置に第1RAID作業を割り当てるRAIDマスターコントローラと,
前記第1RAID作業を処理して前記第1ストレージ装置を制御し,前記第1RAID作業に関連する第2RAID作業を第2ストレージ装置に分配する第1RAIDコントローラと,
前記第2RAID作業を処理して前記第2ストレージ装置を制御する第2RAIDコントローラと,を備え」
を,本件補正後の請求項1の
「RAIDマスターコントローラから割り当てられた第1RAID作業とは異なる第2RAID作業の分配が必要かを決定し,前記第2RAID作業の分配が必要でないとの決定に基づき直接前記第1RAID作業を推進し,第1ストレージ装置を制御するRAID作業分配ユニットと,
前記第1RAID作業に関連する前記第2RAID作業を第2ストレージ装置を含む1つ以上のストレージ装置に直接分配するRAIDコントローラと,を備え」
とする補正。(当審注:下線部は,当審で付与したものである。以下同様。)
イ 補正事項2
本件補正前の請求項1の
「前記第2RAID作業は,前記一対一のネットワークの直接接続により分配される」
を,本件補正後の請求項1の
「前記第2RAID作業は,前記一対一のネットワークの直接接続により,前記第2RAID作業の分配が必要との決定に基づき,分配される」
とする補正。
2 補正の適否
(1)新規事項について
ア 上記補正事項1では,「RAID作業分配ユニット」が「分配が必要かを決定」する動作,「直接前記第1RAID作業を推進」する動作,及び「第1ストレージ装置を制御する」動作を実行することが追加されているところ,「RAID作業分配ユニット」が実行する動作に関連して,本願の願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲又は図面(以下,「当初明細書等」という。)には,以下のとおり記載されている。なお,下線部は当審で付与した。
(ア)「【0005】
本発明の一態様によるストレージコントローラは,RAIDマスターコントローラから割当てられた第1RAID作業を直接処理して第1ストレージ装置を制御するRAID作業処理ユニットと,前記第1RAID作業に関連する第2RAID作業を,第2ストレージ装置を含む一つ以上のストレージ装置に分配するRAID作業分配ユニットと,を備える。」
(イ)「【0049】
図7を参照すると,RAIDマスターコントローラ110は,RAID作業分配ユニット130及びRAID復旧ユニット140を含む。RAID作業分配ユニット130は,RAIDシステムを運用するためのRAID作業をRAIDコントローラ(210,212)に割り当てる。RAID復旧ユニット140は,RAIDコントローラ(210,212)が制御するストレージ装置のうち,故障が発生したストレージに格納されたデータを復旧する。
【0050】
RAIDコントローラ210は,RAID作業処理ユニット230,RAID復旧ユニット240,RAID作業分配ユニット250を含む。RAID作業処理ユニット230は,RAIDマスターコントローラ110から割当てられた第1RAID作業を直接処理し,RAIDコントローラ210を含むストレージ装置を制御する。RAID復旧ユニット240は,RAIDコントローラ210を含むストレージ装置に故障が発生した場合,他のストレージ装置に格納されたパリティを利用してデータを復旧する。
【0051】
RAID作業分配ユニット250は,第1RAID作業に関連する第2RAID作業を一つ以上の他のストレージ装置に分配する。例えば,RAIDコントローラ210のRAID作業分配ユニット250は,第2RAID作業をRAIDコントローラ212が制御する他のストレージ装置に分配し,RAIDコントローラ212に含まれるRAID作業処理ユニット232は,分配された第2RAID作業を処理する。一実施形態で,第2RAID作業は第1RAID作業の一部を含み,例えば第1RAID作業がストレージ装置(200,202,204)に格納されたデータをリードする作業である場合,第2RAID作業はストレージ装置204に格納されたデータをリードする作業である。一方,一実施形態で,第2RAID作業は第1RAID作業に基づいて生成された新たな作業を含み,例えば第1RAID作業がストレージ装置200に格納されたデータをアップデートする作業である場合,第2RAID作業はストレージ装置208に格納されたパリティをアップデートする作業である。」
(ウ)「【0055】
RAIDコントローラ210のRAID作業処理ユニット230は,第1RAID作業により既存データを新規データにアップデートする(ステップS604)。具体的には,新規データの物理的ブロックアドレス(「NewPBA」)に新規データ(「NewData」)を格納し,その後に論理ブロックアドレス(「DataLBA」)と新規データの物理的ブロックアドレス(「NewPBA」)との間のマッピングを格納する(ステップS612)。一方,RAIDコントローラ210のRAID作業分配ユニット250は,ストレージ装置202のパリティをアップデートする第2RAID作業を,既存データ(「OldData」)及び新規データ(「NewData」)と共にストレージ装置202に伝送する(ステップS606)。本実施形態で,ストレージ装置200とストレージ装置202とはネットワークを介して一対一で接続され,RAIDコントローラ230は第2RAID作業をストレージ装置202に直接伝送する。即ち,RAIDコントローラ210は,第2RAID作業をRAIDマスターコントローラ110の干渉を受けずにストレージ装置202に伝送する。」
(エ)「【0059】
図9を参照すると,図8に示す実施形態と違う点は,RAIDコントローラ210が既存データ(「OldData」)と新規データ(「NewData」)に対してXOR演算を行い,XORデータ(「XORData」)を生成する点である。即ち,RAIDコントローラ210のXOR演算ユニット260は,既存データ(「OldData」)と新規データ(「NewData」)に対してXOR演算を行い,XORデータ(「XORData」)を生成する(ステップS605)。またRAIDコントローラ210のRAID作業分配ユニット250は,ストレージ装置202のパリティをアップデートする第2RAID作業を,XORデータ(「XORData」)と共にストレージ装置202に伝送する(ステップS607)。この場合も,RAIDコントローラ210は,第2RAID作業をRAIDマスターコントローラ110の干渉を受けずにストレージ装置202に伝送する。」
(オ)「【0062】
図10を参照すると,図7に示す実施形態と違う点は,RAIDコントローラ212の作業分配ユニット252は,RAIDコントローラ210のRAID作業分配ユニット250が分配した第2RAID作業に関連する第3RAID作業を,RAIDコントローラ214が制御する他のストレージ装置に分配するという点である。RAIDコントローラ214に含まれるRAID作業処理ユニット234は,分配された第3RAID作業を処理する。本実施形態で,第3RAID作業は第2RAID作業の一部を含み,第3RAID作業は第2RAID作業に基づいて生成された新たな作業を含む。」
上記(ア)~(オ)の記載から,当初明細書等には,RAIDマスターコントローラ110の「RAID作業分配ユニット130」は,RAIDシステムを運用するためのRAID作業をRAIDコントローラ(210,212)に割り当てること,RAIDコントローラ210の「RAID作業分配ユニット250」は,第1RAID作業に関連する第2RAID作業を,他のストレージ装置に分配することは記載されているものの,上記補正事項1で追加されたような,「分配が必要かを決定」する動作,「直接前記第1RAID作業を推進」する動作,及び「第1ストレージ装置を制御する」動作を「RAID作業分配ユニット」が実行することについては記載も示唆もされていない。
そうすると,上記補正事項1において,「RAIDマスターコントローラから割り当てられた第1RAID作業とは異なる第2RAID作業の分配が必要かを決定し,前記第2RAID作業の分配が必要でないとの決定に基づき直接前記第1RAID作業を推進し,第1ストレージ装置を制御するRAID作業分配ユニット」との構成を追加する補正は,当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において,新たな技術的事項を導入するものであるから,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。
イ 上記アのとおり,上記補正事項1は,当初明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものではないから,上記補正事項1を含む本件補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。
(2)補正の目的について
ア 上記補正事項1は,本件補正前の請求項1のストレージシステムが,「RAIDマスターコントローラ」と,「第1RAIDコントローラ」と,「第2RAIDコントローラ」と,を備える構成から,本件補正後の請求項1のストレージシステムが,「RAID作業分配ユニット」と,「RAIDコントローラ」と,を備える構成に変更しており,当該ストレージシステムが備える構成を変更する補正は,本件補正前の請求項1の発明特定事項のいずれかを限定的に減縮するものではないから,特許請求の範囲の減縮を目的とする補正とはいえない。
また,上記のようにストレージシステムが備える構成を変更する補正が,請求項の削除,誤記の訂正,または明瞭でない記載の釈明のいずれかを目的とするものでないことは明らかである。
イ したがって,上記補正事項1は,特許法第17条の2第5項各号に掲げる事項を目的とするものではないから,上記補正事項1を含む本件補正は,特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていない。
3 補正却下の決定についてのむすび
上記2のとおり,本件補正は,特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしておらず,かつ,同法第17条の2第5項に規定する要件を満たしていないから,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
第3 本願発明について
1 本願発明
令和2年1月10日にされた手続補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項に係る発明は,平成31年4月23日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし13に記載された事項により特定されるものであるところ,その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は,以下のとおりのものである。
「【請求項1】
第1ストレージ装置に第1RAID作業を割り当てるRAIDマスターコントローラと,
前記第1RAID作業を処理して前記第1ストレージ装置を制御し,前記第1RAID作業に関連する第2RAID作業を第2ストレージ装置に分配する第1RAIDコントローラと,
前記第2RAID作業を処理して前記第2ストレージ装置を制御する第2RAIDコントローラと,を備え,
前記第1ストレージ装置と前記第2ストレージ装置は,一対一のネットワークの直接接続を確立し,前記第2RAID作業は,前記一対一のネットワークの直接接続により分配されることを特徴とするストレージシステム。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,この出願の請求項1に係る発明は,その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない,また,この出願の請求項1に係る発明は,その出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。
引用文献1:特開2003-345513号公報
3 引用文献及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には,図面とともに,次の記載がある。なお,下線部は当審で付与した。
ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,複数の記憶装置から構成され,冗長データを保持する記憶装置サブシステムに関し,特に,上位装置からのファイル単位でのアクセス制御技術,並びに,冗長データ制御技術に関する。
【0002】
【従来の技術】複数のディスク装置から構成され,冗長データを保持する記憶装置サブシステムに関しては,“A Case for Redundant Array of Inexpensive Disks (RAID)”(Proceedings of ACM SIGMOD, 1988)に,ユーザデータ及び冗長データの格納(配置)に関する制御技術が開示されている。」
イ 「【0008】上記RAID技術を採用する記憶装置サブシステムにおける高性能化技術としては,ユーザデータ書込み時の性能低下(即ち,前記ディスク制御装置において,冗長データの生成/更新に係る処理等が,オーバヘッドとして発生)を軽減する技術として,以下のような技術が開示されている。
【0009】特開平7-261946号で開示される技術は,データ更新時,データ更新対象ディスク装置が,新旧データから中間値を生成し,生成した中間値を冗長データ更新対象ディスク装置が直接(前記ディスク制御装置の介在なく)読み出すことによって,前記ディスク制御装置の負荷軽減と,前記ディスク制御装置と各ディスク装置との間で実施されるデータ転送処理効率を改善するというものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】特開平7-261946号で開示される技術は,前記ディスク制御装置における冗長データの生成/更新に係る処理(例えば,冗長データ更新対象ディスク装置を検出し,当該冗長データ更新対象のディスク装置との間での新/旧冗長データ転送処理,新冗長データ生成処理等に対する処理)を削減するものであるが,依然,上位装置とデータ更新対象ディスク装置との間での処理(例えば,上位装置からの更新対象のユーザデータを前記ストライプサイズに分割し,前記複数のディスク装置からデータ更新対象のディスク装置を検出し,当該データ更新対象のディスク装置と上位装置との間でのデータ転送処理等)について充分考慮しているとは言えない。
【0011】一方,前記記憶装置サブシステムを構成するディスク装置台数は増々増加する傾向にあり,前記複数のディスク装置からデータアクセス(リード/ライト)対象のディスク装置を検出する処理,或いは,当該データアクセス(リード/ライト)対象のディスク装置とのデータ転送処理等が,新たなオーバヘッドとして顕在化し性能低下の要因となる可能性が高い。
【0012】また,前記複数のディスク装置からデータアクセス(リード/ライト)対象のディスク装置を検出する処理を,前記ディスク制御装置において実施する上記従来技術では,前記ディスク制御装置が連続領域として指定した領域が,個々のディスク装置におけるフラグメント処理等によって,実際には不連続な領域となる場合がある。
【0013】この様な場合,前記ディスク制御装置が連続した領域を指定したアクセス要求を発行しても,実際のディスク装置のアクセスは不連続な領域へのアクセスとなる為,シーク/回転待ち等のオーバヘッド発生によるアクセス性能低下となる。
【0014】ここで,上記ディスク制御装置が,前記記憶装置サブシステムを構成する個々のディスク装置をブロック単位で管理するすることは現実的ではなく,更に,上記ディスク制御装置からのブロック単位でのアクセス要求を,個々のディスク装置で関連付けたり,上記ディスク制御装置が指定するブロック情報を再度実際に格納するブロック情報にマッピングすることは,とても現実的な解ではない。
【0015】このため,上位装置が指定するブロック単位でのディスクアクセスでは,実際にディスク装置にデータを格納する際の最適配置が困難になり,ディスク装置の性能を有効に活用できないという問題もある。
【0016】更に,上記従来技術による記憶装置サブシステムでは,記憶装置サブシステムを構成する際,前記ディスク制御装置が必須であり,記憶装置サブシステムの構成の簡易性/低価格化に対して充分考慮されていないといえる。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明では,複数の記憶装置から構成される記憶装置サブシステムにおいて,上位装置からのアクセス(リード/ライト)要求を,記憶装置サブシステムを構成する複数の記憶装置間で協調して処理する制御方式を提供することである。特に,前記ディスク制御装置の負荷削減による性能向上と前記ディスク制御装置の構成の簡易化/低価格化,或いは,前記ディスク制御装置を不要とすることによる記憶装置サブシステムの構成の簡易化/低価格化を実現することである。」
ウ 「【0023】
【発明の実施の形態】以下,本発明に係る実施形態を,図を用いて説明する。尚,これにより本発明が限定されるものではない。
[第一の実施形態] (ディスク制御装置によるコマンド振り分け)
以下,本発明に係る第一の実施形態を,図1~8を用いて説明する。図1は,複数(N, N>1)台の記憶装置1とディスク制御装置2とから構成される記憶装置サブシステム3と,上位装置5とから構成される情報処理システムの一例を示す図であり,同図において,記憶装置サブシステム3を構成する前記記憶装置1と前記ディスク制御装置2とは,サブシステム内インタフェース4を介して接続され,また,前記上位装置2と前記記憶装置サブシステム3を構成する前記ディスク制御装置2とはホストインタフェース6を介して接続されている。
【0024】同図において,記憶装置1としては,ディスク装置を例に示しており,該ディスク装置1は,前記上位装置5がアクセスするデータ,或いは,該データに対する冗長データを保持する記憶媒体であるメディア部11と,該メディア部11と前記上位装置2との間で転送されるデータを一時保持するバッファ部12と,前記ディスク制御装置2との間のインタフェースプロトコル制御を実行するインタフェース制御部13と,前記メディア部11に対する記録再生処理を実行するメディア制御部14と,前記バッファ部12に対するアクセスを制御するバッファ制御部15と,上位装置5から受信したライトデータ(新データ)と,前記メディア部11に格納済みの更新対象データ(旧データ)とから排他的論理和演算による更新情報を生成する更新情報生成部16と,上記各部位を統括制御するメイン制御部10とを具備する。
【0025】更に,前記ディスク制御装置2は,前記上位装置5から前記ディスク装置1に格納されたデータに対するファイル単位でのアクセス要求情報と,特定のディスク装置を選択する為のディスク装置選択管理情報21とに基づき,上記上位装置5からのアクセス要求を特定のディスク装置1に対して転送するディスク装置選択部20とを具備する構成である。
【0026】図2は,前記記憶装置サブシステム3を構成するディスク装置1の一構成例を示す図である。
【0027】同図において,前記メイン制御部10は,後述のファイル管理情報31,サブシステム管理情報32,メディア管理情報33とを保持し,前記ディスク制御装置2を介して転送された上位装置5からのファイル単位でのアクセス要求情報と上記各管理情報とに基づき,前記アクセス要求に対する処理を制御するコマンド処理制御部30と,前記メディア部11に上位装置から受信したライトデータを格納する際の最適なブロックの検出/割当て処理を制御する格納ブロック制御部34とを具備する。
【0028】また,前記バッファ部12は,上位装置5から受信したアクセス要求を保持する受信コマンド格納部35と,上位装置5との間で送受信されるデータを保持する送受信データ格納部36と,前記更新情報生成部16にて生成された更新情報を保持する更新情報格納部37とを具備する。」
エ 「図1
」
オ 「図2
」
カ 「【0042】(2) ファイルライト(生成)アクセス要求処理
図6は,上位装置5から記憶装置サブシステム3に対しファイルライト(生成)要求が発行された場合の処理例を示すものであり,後述の処理によって,ライト(生成)要求対象の新規ファイルを格納する記憶装置としてディスク装置1-1を選択するものとする。
【0043】上位装置5から発行されたファイルアクセス要求は,前述と同様にホストインタフェース6を介して前記記憶装置サブシステム3を構成するディスク制御装置2で受信される。
【0044】ディスク制御装置2は,前記ディスク装置選択部20において,受信した上記ファイルアクセス要求を構成する各種情報(アクセス種,ファイル識別情報等)と,前記ディスク装置選択管理情報21とに基づき,新規ファイルのライト(生成)要求であること,並びに,当該ファイルを格納する最適なディスク装置としてディスク装置1-1を検出し,該検出されたディスク装置1-1に対して上記アクセス要求を転送する。
【0045】ディスク装置1-1は,上記ディスク制御装置から転送されたアクセス要求を,インタフェース制御部13-1,バッファ制御部14-1(当審注:「バッファ制御部14-1」は「バッファ制御部15-1」の誤記と認められる。)を介して,バッファ部12-1の受信コマンド格納部35-1に格納した後,前記コマンド処理制御部30-1において,受信した上記ファイルアクセス要求を構成する各種情報(アクセス種,ファイル識別情報等)と,前記ファイル管理情報31とに基づき,アクセス種がライト(生成)であることを検出し,更に,前記格納ブロック制御部34において,前記メディア部11に格納するのに最適なアクセス対象のブロックのアドレス情報と連続するブロック数の情報とを検出し,当該情報を前記ファイル管理情報31の前記メディア格納位置情報として新規に登録し,更に,前記メディア管理情報33の連続領域の使用状況も併せて変更(更新)する。
【0046】上記コマンド処理制御部30-1は,前記上位装置5から受信したバイト単位でのファイルデータを任意の数のブロックに整形した新ブロックデータを生成し,該新ブロックデータとアクセス対象のブロックデータとから,例えば,排他的論理和演算結果等による更新情報(差分ブロックデータ)を前記更新情報生成部16-1で生成し,冗長データを格納するディスク装置1-4に対して冗長データ更新要求を発行し,更に,当該ファイルデータに関連する前記ファイル管理情報31の更新要求を発行する。
【0047】更に,上記新ブロックデータを,前記メディア制御部14-1を介して前記メディア部11-1に格納することによって,データ更新処理を実現する。
【0048】一方,上記ディスク装置1-1からの冗長データ更新要求を,インタフェース制御部13-4,バッファ制御部14-4(当審注:「バッファ制御部14-4」は「バッファ制御部15-4」の誤記と認められる。)を介して,バッファ部12-4の受信コマンド格納部35-4に格納したディスク装置1-4は,前記コマンド処理制御部30-4において,受信した上記冗長データ更新要求を構成する各種情報に基づき,前記メディア部11-4に格納したアクセス対象のブロックのアドレス情報と連続するブロック数の情報とを検出する。
【0049】更に,上記コマンド処理制御部30-4は,メディア制御部14-4を介してメディア部11-4から上記アクセス対象として検出したブロック(旧冗長ブロックデータ)を,前記バッファ部12-4の前記送受信データ格納部36-4に読み出す(ディスクリード)処理を開始する。
【0050】更に,前記ディスク装置1-1から受信した差分ブロックデータと上記旧冗長ブロックデータとから,例えば,排他的論理和演算結果等による新冗長ブロックデータを前記更新情報生成部16-4で生成し,該新冗長ブロックデータを,前記メディア制御部14-4を介して前記メディア部11-4に格納する(冗長ブロックデータ更新処理を実施する)し,当該冗長ブロックデータ更新処理に関連する前記ファイル管理情報31を更新することによって,一連のファイルライト(生成)要求を処理することが実現される。」
キ 「図6
」
(2)引用発明
引用文献1に記載されている事項について検討する。
ア 上記(1)のア,イによれば,引用文献1の発明は,複数の記憶装置から構成され,冗長データを保持する記憶装置サブシステムに関するものであり(【0001】,【発明の属する技術分野】),複数のディスク装置から構成され,冗長データを保持する記憶装置サブシステムに関しては,“A Case for Redundant Array of Inexpensive Disks (RAID)”(Proceedings of ACM SIGMOD,1988)に,ユーザデータ及び冗長データの格納(配置)に関する制御技術が開示されており(【0002】,【従来の技術】),上記RAID技術を採用する記憶装置サブシステムにおける高性能化技術としては,ユーザデータ書込み時の性能低下(即ち,前記ディスク制御装置において,冗長データの生成/更新に係る処理等が,オーバヘッドとして発生)を軽減する技術として,特開平7-261946号で開示されているところ(【0008】,【0009】),特開平7-261946号で開示される技術は,依然,上位装置とデータ更新対象ディスク装置との間での処理(例えば,上位装置からの更新対象のユーザデータを前記ストライプサイズに分割し,前記複数のディスク装置からデータ更新対象のディスク装置を検出し,当該データ更新対象のディスク装置と上位装置との間でのデータ転送処理等)について充分考慮しているとは言えないことを課題としてなされたものであり(【0010】,【発明が解決しようとする課題】),複数の記憶装置から構成される記憶装置サブシステムにおいて,上位装置からのアクセス(リード/ライト)要求を,記憶装置サブシステムを構成する複数の記憶装置間で協調して処理する制御方式を提供すること,特に,前記ディスク制御装置の負荷削減による性能向上を実現することを課題解決手段とするものである(【0017】,【課題を解決するための手段】)。
以上のことから,引用文献1の「記憶装置サブシステム3」は,「RAID技術を採用する記憶装置サブシステム3」であるといえる。
イ まとめ
上記アを踏まえ,上記(1)のア~キの記載及び図面の記載を総合勘案すると,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
なお,引用発明の各構成を,それぞれに付した符号(a)~(d-8)により,以下,構成a~構成d-8と称する。
(引用発明)
(a)複数(N, N>1)台の記憶装置1とディスク制御装置2とから構成されるRAID技術を採用する記憶装置サブシステム3であって,
(b)前記記憶装置サブシステム3を構成する前記記憶装置1と前記ディスク制御装置2とは,サブシステム内インタフェース4を介して接続され,
(c)前記記憶装置1は,ディスク装置であり,
(c-1)該ディスク装置1は,上位装置5がアクセスするデータ,或いは,該データに対する冗長データを保持する記憶媒体であるメディア部11と,該メディア部11と前記上位装置2との間で転送されるデータを一時保持するバッファ部12と,前記ディスク制御装置2との間のインタフェースプロトコル制御を実行するインタフェース制御部13と,前記メディア部11に対する記録再生処理を実行するメディア制御部14と,前記バッファ部12に対するアクセスを制御するバッファ制御部15と,前記上位装置5から受信したライトデータ(新データ)と,前記メディア部11に格納済みの更新対象データ(旧データ)とから排他的論理和演算による更新情報を生成する更新情報生成部16と,上記各部位を統括制御するメイン制御部10とを具備し,
(c-2)前記メイン制御部10は,ファイル管理情報31,サブシステム管理情報32,メディア管理情報33とを保持し,前記ディスク制御装置2を介して転送された前記上位装置5からのファイル単位でのアクセス要求情報と上記各管理情報とに基づき,前記アクセス要求に対する処理を制御するコマンド処理制御部30と,前記メディア部11に前記上位装置から受信したライトデータを格納する際の最適なブロックの検出/割当て処理を制御する格納ブロック制御部34とを具備し,
(d)ファイルライト(生成)アクセス要求処理において,
(d-1)前記上位装置5から発行されたファイルアクセス要求は,ホストインタフェース6を介して前記記憶装置サブシステム3を構成する前記ディスク制御装置2で受信され,
(d-2)前記ディスク制御装置2は,前記ディスク装置選択部20において,受信した上記ファイルアクセス要求を構成する各種情報(アクセス種,ファイル識別情報等)と,前記ディスク装置選択管理情報21とに基づき,新規ファイルのライト(生成)要求であること,並びに,当該ファイルを格納する最適なディスク装置としてディスク装置1-1を検出し,該検出されたディスク装置1-1に対して上記アクセス要求を転送し,
(d-3)前記ディスク装置1-1は,上記ディスク制御装置から転送された前記アクセス要求を,インタフェース制御部13-1,バッファ制御部15-1を介して,バッファ部12-1の受信コマンド格納部35-1に格納した後,前記コマンド処理制御部30-1において,受信した上記ファイルアクセス要求を構成する各種情報(アクセス種,ファイル識別情報等)と,前記ファイル管理情報31とに基づき,アクセス種がライト(生成)であることを検出し,更に,前記格納ブロック制御部34において,前記メディア部11に格納するのに最適なアクセス対象のブロックのアドレス情報と連続するブロック数の情報とを検出し,当該情報を前記ファイル管理情報31の前記メディア格納位置情報として新規に登録し,更に,前記メディア管理情報33の連続領域の使用状況も併せて変更(更新)し,
(d-4)上記コマンド処理制御部30-1は,前記上位装置5から受信したバイト単位でのファイルデータを任意の数のブロックに整形した新ブロックデータを生成し,該新ブロックデータとアクセス対象のブロックデータとから,排他的論理和演算結果等による更新情報(差分ブロックデータ)を前記更新情報生成部16-1で生成し,冗長データを格納するディスク装置1-4に対して冗長データ更新要求を発行し,更に,当該ファイルデータに関連する前記ファイル管理情報31の更新要求を発行し,
(d-5)更に,上記新ブロックデータを,前記メディア制御部14-1を介して前記メディア部11-1に格納することによって,データ更新処理を実現し,
(d-6)一方,上記ディスク装置1-1からの前記冗長データ更新要求を,インタフェース制御部13-4,バッファ制御部15-4を介して,バッファ部12-4の受信コマンド格納部35-4に格納した前記ディスク装置1-4は,前記コマンド処理制御部30-4において,受信した上記冗長データ更新要求を構成する各種情報に基づき,前記メディア部11-4に格納したアクセス対象のブロックのアドレス情報と連続するブロック数の情報とを検出し,
(d-7)更に,上記コマンド処理制御部30-4は,メディア制御部14-4を介して前記メディア部11-4から上記アクセス対象として検出したブロック(旧冗長ブロックデータ)を,前記バッファ部12-4の前記送受信データ格納部36-4に読み出す(ディスクリード)処理を開始し,
(d-8)更に,前記ディスク装置1-1から受信した差分ブロックデータと上記旧冗長ブロックデータとから,排他的論理和演算結果等による新冗長ブロックデータを前記更新情報生成部16-4で生成し,該新冗長ブロックデータを,前記メディア制御部14-4を介して前記メディア部11-4に格納する冗長ブロックデータ更新処理を実施し,当該冗長ブロックデータ更新処理に関連する前記ファイル管理情報31を更新することによって,一連のファイルライト(生成)要求を処理する,
記憶装置サブシステム3。
4 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「ディスク制御装置2」は,「複数(N, N>1)台の記憶装置1」と「サブシステム内インタフェース4を介して接続され」,前記「複数(N, N>1)台の記憶装置1」とともに「RAID技術を採用する記憶装置サブシステム3」を構成するものである(構成a,構成b)から,本願発明の「RAIDマスターコントローラ」に相当する。
引用発明の「ファイルライト(生成)アクセス要求処理」(構成d)では,「前記ディスク制御装置2」が「上位装置5から発行されたファイルアクセス要求」を,「当該ファイルを格納する最適なディスク装置として」「検出し」た「ディスク装置1-1に対して」「転送し」ている(構成d-1,構成d-2)から,構成d-2の「ディスク装置1-1」,「ファイルアクセス要求」は,本願発明の「第1ストレージ装置」,「第1RAID作業」にそれぞれ相当し,また,構成d-2の「ディスク装置1-1に対して上記アクセス要求を転送」することは,本願発明の「第1ストレージ装置に第1RAID作業を割り当てる」ことに相当する。
上記のことから,引用発明の「記憶装置サブシステム3」は,「ストレージ装置」を備える「システム」であるから,本願発明の「ストレージシステム」に相当する。
してみれば,引用発明と本願発明とは,「第1ストレージ装置に第1RAID作業を割り当てるRAIDマスターコントローラ」を「備え」る「ストレージシステム」である点で一致する。
(2)引用発明の「コマンド処理制御部30-1」が実行する,「受信した上記ファイルアクセス要求を構成する各種情報(アクセス種,ファイル識別情報等)と,前記ファイル管理情報31とに基づき,アクセス種がライト(生成)であることを検出」する処理(構成d-3),「前記格納ブロック制御部34において」検出された「前記メディア部11に格納するのに最適なアクセス対象のブロックのアドレス情報と連続するブロック数の情報」を「前記ファイル管理情報31の前記メディア格納位置情報として新規に登録し,更に,前記メディア管理情報33の連続領域の使用状況も併せて変更(更新)」する処理(構成d-3),「前記上位装置5から受信したバイト単位でのファイルデータを任意の数のブロックに整形した新ブロックデータを生成し,該新ブロックデータとアクセス対象のブロックデータとから,排他的論理和演算結果等による更新情報(差分ブロックデータ)を前記更新情報生成部16-1で生成」する処理(構成d-4),及び「上記新ブロックデータを,前記メディア制御部14-1を介して前記メディア部11-1に格納する」処理(構成d-5)は,いずれも,「ファイルアクセス要求」(本願発明の「第1RAID作業」に相当する。)を受信した際に実行される“処理”であり,当該“処理”は,「ディスク装置1-1」内の「更新情報生成部16-1」,「前記メディア制御部14-1」及び「メディア部11-1」)を“制御”して実行されるものであるから,「ディスク装置1-1」を“制御”して実行されるものである。
してみれば,引用発明において,上記の“処理”及び“制御”を実行するコマンド処理制御部30-1を具備する「メイン制御部」(構成c-2)は,本願発明の「前記第1RAID作業を処理して前記第1ストレージ装置を制御」する「第1RAIDコントローラ」に相当する。
引用発明の「コマンド処理制御部30-1」から「冗長データを格納するディスク装置1-4に対して」「冗長データ更新要求」を「発行」する“作業”(構成d-4)は,ディスク装置1-1が受信した「ファイルアクセス要求」に関連して実行される“作業”であるから,本願発明の「前記第1RAID作業に関連する第2RAID作業」に相当する。
また,引用発明の前記「冗長データ更新要求」の発行先である「ディスク装置1-4」は本願発明の「第2ストレージ装置」に相当し,また,引用発明の「冗長データ更新要求」を「ディスク装置1-4」に対して「発行」することは,本願発明の「第2RAID作業を第2ストレージ装置に分配する」ことに相当する。
したがって,引用発明のd-4の「冗長データを格納するディスク装置1-4に対して冗長データ更新要求を発行」する「コマンド処理制御部30-1」を具備する「メイン制御部」(構成c-2)は,本願発明の「前記第1RAID作業に関連する第2RAID作業を第2ストレージ装置に分配する第1RAIDコントローラ」に相当する。
以上の検討から,引用発明と本願発明とは,「前記第1RAID作業を処理して前記第1ストレージ装置を制御し,前記第1RAID作業に関連する第2RAID作業を第2ストレージ装置に分配する第1RAIDコントローラ」を「備え」る「ストレージシステム」である点で一致する。
(3)引用発明の「コマンド処理制御部30-4」が実行する,「受信した上記冗長データ更新要求を構成する各種情報に基づき,前記メディア部11-4に格納したアクセス対象のブロックのアドレス情報と連続するブロック数の情報とを検出」する処理(構成d-6),「メディア制御部14-4を介して前記メディア部11-4から上記アクセス対象として検出したブロック(旧冗長ブロックデータ)を,前記バッファ部12-4の前記送受信データ格納部36-4に読み出す(ディスクリード)処理」(構成d-7),「前記ディスク装置1-1から受信した差分ブロックデータと上記旧冗長ブロックデータとから,排他的論理和演算結果等による新冗長ブロックデータを前記更新情報生成部16-4で生成し,該新冗長ブロックデータを,前記メディア制御部14-4を介して前記メディア部11-4に格納する冗長ブロックデータ更新処理」(構成d-8),及び「当該冗長ブロックデータ更新処理に関連する前記ファイル管理情報31を更新する」処理(構成d-8)は,いずれも,「前記冗長データ更新要求」(本願発明の「第2RAID作業」に相当する。)を受信した際に実行される“処理”であり,当該“処理”は,「ディスク装置1-4」内の「メディア部11-4」,「メディア制御部14-4」,「バッファ部12-4の前記送受信データ格納部36-4」及び「更新情報生成部16-4」を“制御”して実行されるものであるから,「ディスク装置1-4」を“制御”して実行されるものである。
してみれば,引用発明において,上記の“処理”及び“制御”を実行するコマンド処理制御部30-4を具備する「メイン制御部」(構成c-2)は,本願発明の「前記第2RAID作業を処理して前記第2ストレージ装置を制御する第2RAIDコントローラ」に相当する。
したがって,引用発明と本願発明とは,「前記第2RAID作業を処理して前記第2ストレージ装置を制御する第2RAIDコントローラ」を「備え」る「ストレージシステム」である点で一致する。
(4)引用発明の「ディスク装置1-1」が具備する「コマンド処理制御部30-1」は,「冗長データを格納するディスク装置1-4」に対して「冗長データ更新要求」を発行し(構成d-4),「前記ディスク装置1-4」は,「上記ディスク装置1-1」からの「前記冗長データ更新要求」を,「インタフェース制御部13-4,バッファ制御部15-4を介して,バッファ部12-4の受信コマンド格納部35-4に格納」することで「受信」しており(構成d-6),また,「ディスク装置1-4」の「コマンド処理制御部30-4」は,「前記ディスク装置1-1」から「受信した」「差分ブロックデータ」を用いて「新冗長ブロックデータ」を生成している(d-8)から,引用発明の「冗長データ更新要求」及び「差分ブロックデータ」は,「ディスク装置1-1」から「ディスク装置1-4」に対して,“他の装置を介在せずに直接”送信されているものである。
ここで,本願明細書の記載を参酌すると,段落0012には,「第1素子が第2素子に「直接連結」又は「直接接続」するということは,第1素子と第2素子との間に他の素子が介在しないことを示す。」と記載され,また,同じく段落0021には,「ここで,ネットワークは,例えばLAN(Local Area Network),WIFIネットワーク,又はセルラーネットワーク等の有線無線ネットワークである。」と記載されていることから,本願発明における「一対一のネットワークの直接接続」との発明特定事項は,物理的な線によって一対一で繋がれることを特定しているのではなく,「素子」から「素子」に他の「素子」を介在せずに直接命令やデータを送受信できるように接続されることを特定していると解される。
そうすると,引用発明も,「ディスク装置1-1」と「ディスク装置1-4」とが,他の装置を介在せずに直接要求を送信できるように接続されているから,「一対一のネットワークの直接接続」を“確立”しているといえる。
したがって,引用発明と本願発明とは,「前記第1ストレージ装置と前記第2ストレージ装置は,一対一のネットワークの直接接続を確立し,前記第2RAID作業は,前記一対一のネットワークの直接接続により分配される」点で一致する。
(5)上記(1)~(4)の検討によれば,本願発明と引用発明との間に相違点は無いから,本願発明は,引用文献1に記載された発明である。
(6)なお,仮に,本願発明の「前記第1ストレージ装置と前記第2ストレージ装置」が,「一対一のネットワークの直接接続を確立」するとの記載が,第1ストレージ装置と第2ストレージ装置との間の「物理的な接続」を意味すると解した場合でも,例えば,特開2005-316762号公報(原査定の引用文献3)の段落0016には,「相互通信用バス102は,各ディスクドライブ103~106が相互に協調して,RAIDを構成するための各ドライブ間の通信を行うためのインターフェースである」と記載されているように,RAIDを構成する各ディスクドライブ間に相互通信用バス(物理的な接続)を設けることは,本願の優先日前に当該技術分野における周知技術であったと認められることから,引用発明に当該周知技術を適用して本願発明の構成とすることは,当業者が容易に想到し得たことである。
第4 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用文献1に記載された発明であるから,特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
また,本願発明は,引用文献1に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
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2020-000400