意匠補正却下不服審判
2017-500003
Floor lamps
- 審判番号
- 2017-500003
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 補正却下不服審判(補正却下不服の審決)
- 出願番号
- 意願2015-500793外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2017年08月09日
- 審決日
- 2018年01月05日
- 公報発行日
- 2018年05月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【請求人】フロス エス.ピー.エー.
- 【請求人代理人】蔵田 昌俊
- 【請求人代理人】小出 俊實
- 【請求人代理人】幡 茂良
- 分類
- D17 .7 -W (D3-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法17条の2第1項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第17条の2第1項、意匠法第3条第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2015-500793「Floor lamps」において、平成28年10月6日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原決定を取り消す。
理由
【理 由】
1.本願の手続の経緯
(1)本願は,2015年(平成27年)4月7日のイタリア共和国への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,物品の部分について意匠登録を受けようとする2015年(平成27年)10月5日の国際意匠登録出願であって,その意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書および願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は,「Floor lamps」(参考訳,「フロアランプ」,以下,日本語で示す。)であり,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形態」という。)は,願書および願書に添付した図面に表されたとおりのものであって,「図に実線で描かれた意匠の部分は意匠登録を求める部分である。図に破線で描かれた意匠の部分は意匠登録を求めない部分である。」としたものである(以下,本願について意匠登録を受けようとする部分の意匠を「本願部分」という。)。
(2)特許庁審査官は,平成28年(2016年)7月8日付の拒絶通報によって,本願意匠は,
ア 笠で覆われた箇所(以下「笠内部」という。)が十分に開示されていないため,当該内部の態様が不明確である。
イ 発光部分の具体的な開示がないため,どの部分が発光するか不明確である。
したがって,本願意匠は,意匠法第3条第1項柱書に規定する工業上利用することができる意匠に該当しない旨の拒絶の理由を通知した。
(3)出願人代理人は,平成28年(2016年)10月6日付で,意見書および手続補正書を提出し,手続補正書において,アについては,「下方から見た状態の斜視図」を示す「9.8」を追加し,イについては,願書の「意匠の説明」を変更し,発光部分は,略円錐台状の笠の内側の支柱の上方から笠部の裏側にある旨の説明を追加した。
(4)特許庁審査官は,平成29年(2017年)5月12日付で,平成28年10月6日付手続補正書に対して,次の理由で,意匠法第17条の2第1項の規定により,補正の却下の決定をした。
すなわち,「当該手続補正書により,願書の「意匠の説明」の欄の記載および添付図面の9.8(下方から見た状態の斜視図)について補正されましたが,願書の「意匠の説明」における発光部についての記載および添付図面における笠内部を開示する下方から見た状態の斜視図につき,これらの補正は,この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて出願当初の願書の記載及び添付図面から総合的に判断しても導き出すことができず,また,当該欄の記載は,本願意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼすものであることから,結果,上記手続補正書による補正は,出願当初の願書の記載の要旨を変更するものと認められます。」との理由により,補正の却下の決定をした。
これに対して,請求人は,これを不服として,審判を請求した。
2.請求人の主張
請求人は,平成29年(2017年)5月12日付の補正の却下の決定を取り消すべき事由として,要旨以下のように主張した。
本願意匠の「意匠に係る物品」は,願書に記載の「フロアランプ」であり,願書に添付の図面から,その形態は,全体が,円盤状の台座に,中央部から垂直に細長い円筒形状の支柱を設け,径の大きい扁平状の円錐台形状の笠部を上部に取付けている態様であるが,不透明材質の笠部によって明確にされていなかった照明部の部位を,手続補正書によって明確にした。
このように,不明確な部位を明確にすることが,構成要素の追加となり,意匠の同一性を損なうものがあるとするならば,日本の運用上,不明確な図面を審査によって提出を求められ,その図面を提出することが要旨の変更と判断され,最終的に拒絶される,という選択肢しかないということになり,国際ハーモナイゼーションの観点からも日本の意匠制度が国際的な対応をしていないということになる。
付言すれば,意匠は,外形状,すなわち,フォルムが重要な要素であって,機能上に特徴がある場合は兎も角,通常の知識を有する者が当然に判断できる場合は明確に開示されていない場合もあると思料する。
一般に,フロアランプにおいて,発光部である照明部が笠内部に位置するということは通常の形態であって,且つ,その照明部の形態が本願意匠の場合,細長い円筒形状の支柱の上部に光源を内蔵する形態であることから,配置も含めてそれほど特徴的とはいえないので,「下方から見た状態の斜視図」を出願図面として提出しなかったものである。
そして,出願当初から,照明部の存在は容易に想定しうる範囲であるので,当該図面を追加する補正は,出願当初に不明であった意匠の要旨を明確なものとする補正であるので,要旨の変更とはなり得ないものであると思料する。
3.当審の判断
まず,1.(2)アの笠内部が十分に開示されていないため,当該内部の態様が不明確であるとする拒絶の理由に対して行った手続補正書による補正(図9.8の追加)が,この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて出願当初の願書の記載および添付図面から総合的に判断しても導き出すことができないとして,補正の却下の決定がされた点であるが,この種,フロアランプは,大まかに,基台部,支柱部,笠部によって構成されるものであるところ,本願部分は,略細長円柱形状の支柱部の先端部中央に略扁平円錐台形状の笠部を上から支柱部を覆うように取り付けたものであるから,その態様に何ら特殊性はない。
その上で,本願部分の笠内部の態様についてみると,たしかに,特許庁審査官の指摘のとおり,笠内部の態様は,出願当初から願書に添付された基本6図(図9.2ないし図9.7)および「上方から見た状態の斜視図」(図9.1)のみでは明確に表されていない。しかしながら,これらフロアランプにおいては,笠内部に光源が形成され,笠部の内側を照射することによって得られる反射光が明かりの役割を果たすものであることから,笠内部の態様については,一般に,光源のほかは,支柱部に笠部を保持する構造が存在する程度で,それ以外は想定できないものである。また,一般に,使用時に目にすることのない部位は,外観形状と比較して意匠的特徴にならないものであることを考慮すると,本願部分は,笠内部の態様の開示がなくとも外観形状のみで一の意匠に特定しているというべきであって,手続補正書により追加された「下方から見た状態の斜視図」(図9.8)は,笠内部の態様を開示するものではあるものの,当該補正の内容がありふれた態様であって,その意匠の属する通常の知識を有する者が見た場合,同一性の範囲を超えるものではないから,要旨の変更には該当しないものである。
次に,1.(2)イの発光部分の具体的な開示がないため,どの部分が発光するか不明確であるとする拒絶の理由に対して行った手続補正書による補正(願書の「意匠の説明」における発光部についての記載の追加)が,この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて出願当初の願書の記載および添付図面から総合的に判断しても導き出すことができないとして,補正の却下の決定がされた点であるが,この種フロアランプにおいて,光源が,支柱部の内部に格納され,支柱部自体が発光する仕組みのものは,例を挙げるまでもなく普通に見受けられるものであるところ,本願部分の態様も,手続補正書により追加された願書の「意匠の説明」および「下方から見た状態の斜視図」(図9.8)により,光源が支柱上端部に格納されたものであるから,前記の1.(2)アと同様,笠内部の態様を開示するものではあるものの,当該補正の内容がありふれた態様であって,その意匠の属する通常の知識を有する者が見た場合,同一性の範囲を超えるものではないから,これまた要旨の変更には該当しないものである。
4.結び
以上のとおりであって,本補正によっては,意匠の要旨を変更したとすることができないものであるから,この補正を意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものとした決定は,取消しを免れない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2017-500003