特許訂正審判
2019-390060
電子マネーシステム及びその処理方法
- 審判番号
- 2019-390060
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2014-189545
- 登録番号
- 特許第6508695号(P6508695)
- 請求日
- 2019年05月21日
- 審決日
- 2019年08月02日
- 公報発行日
- 2019年10月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】株式会社 日本総合研究所
- 【請求人代理人】坂本 智弘
- 審判長/審判官
- 審判長 渡邊 聡
- 審判官 石川 正二
- 審判官 田中 秀樹
- 分類
- P141 .856-Y (G06Q) / P141 .841-Y (G06Q) / P141 .854-Y (G06Q) / P141 .855-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6508695号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6508695号の明細書、特許請求の範囲請求項1を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本件特許第6508695号(以下、「本件特許」という。)に係る出願は、平成26年9月18日付けの出願であって、平成31年4月12日に特許権の設定登録がなされたものであって、令和元年5月21日付けで本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2 本件審判請求の内容
特許第6508695号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。
第3 本件審判請求に対する当審の判断
1.訂正の内容
本件訂正の内容は審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲に記載されたとおりのものである。
(1)訂正事項1
請求項1に「前記支払者又は前記支払者が前記履歴情報に自らの宣伝となる情報を付加する手段」とあるのを「前記支払者又は前記受取者が前記履歴情報に自らの宣伝となる情報を付加する手段」に訂正する。(下線は補正箇所を表す。)
(2)訂正事項2
明細書段落番号0012に「前記支払者又は前記支払者が前記履歴情報に自らの宣伝となる情報を付加する手段」とあるのを「前記支払者又は前記受取者が前記履歴情報に自らの宣伝となる情報を付加する手段」に訂正する。(下線は補正箇所を表す。)
2.訂正の適否
(1)訂正事項1について
ア.訂正の目的について
訂正前の請求項1の、「前記支払者又は前記支払者が前記履歴情報に自らの宣伝となる情報を付加する手段」という記載では、「前記支払者又は前記支払者」となっていて、択一的に選ばれるべき「者」が同じ「者」となっている。二者択一において、選択される候補が同じ「者」ということは、普通に考えてあり得ないことであるから、「前記支払者又は前記支払者」という記載は誤記である。
ここで、履歴情報について、「 前記電子マネーを使った取引の際に、当該電子マネーの支払者の識別子及び受取者の識別子を前記履歴情報に記録する手段」という記載があり、履歴情報は、「電子マネーの支払者」「電子マネーの受取者」という「者」の履歴情報に対して保存していること、及び「支払者」「受取者」以外に取引を行うものがいないことからみて、二者択一する候補としては、「支払者」「受取者」のみが存在すると考えることが自然である。
そうすると、「前記支払者又は前記支払者」という記載において、一方の「支払者」が「受取者」であることは自明である。
したがって、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
イ.新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
訂正事項1によって訂正された「前記支払者又は前記受取者が前記履歴情報に自らの宣伝となる情報を付加する手段」は、明細書段落番号0046の「個人であっても、芸能人等の有名人のような場合、自身の名前を宣伝するために、電子マネーの履歴情報を公開とすることにメリットを感じる場合もある。すなわち、前述したように、利用者の求めに応じて履歴情報の開示条件を設定可能とする。法人においても同様で、広告等のために電子マネーの履歴情報の中の自社に関する情報を積極的に開示することが可能である。」、段落番号0047には、「、図4の例では、個人Cは、芸能人であるため、自らの意志で氏名(芸名)を公表したことを示している。また、自己の情報を公開する場合であっても、公開する情報は、フルネームでなくともよく、例えば「駄菓子屋」等、業種だけを公開してもよい。また、ロゴマーク等の簡易図形を宣伝のために付加してもよいものとする。」と記載されていて、段落番号0047の「利用者」は、図4の記載も併せると、「受取者」「支払者」双方を表しており、「利用者」にロゴマーク等の宣伝となる情報を付加することが記載されているから、「前記支払者又は前記受取者が前記履歴情報に自らの宣伝となる情報を付加する手段」は、明細書段落番号0046,0047及び図4に基づくものである。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であり、特許法第126条第5項に適合するものである。
また、上記ア.で検討したとおり、訂正前の「前記支払者又は前記支払者」の記載の一方の「支払者」は、「受取者」の誤記であることが自明であるから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当せず、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ.独立特許要件について
訂正事項1に係る補正が、誤記の訂正を目的とするものであるところ、訂正後の特許請求の範囲請求項1に係る発明について、独立して特許を受けることができないとする理由はない。
したがって、訂正後における特許請求の範囲請求項1係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであり、特許法第126条第7項に適合する。
(2)訂正事項2について
ア.訂正の目的について
訂正事項2は、訂正事項1に係る訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載の整合を図るために、願書に添付した明細書の段落番号0012の「前記支払者又は前記支払者」を「前記支払者又は前記受取者」に訂正するものである。
(1)ア.で述べたように、この訂正は誤記の訂正を目的とするものであり、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
イ.新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張又は変更の有無について
願書に添付した明細書の段落番号0012の「前記支払者又は前記支払者」を「前記支払者又は前記受取者」に訂正する誤記の訂正であり、新規事項の追加に当たらないことは(1)イ.のとおりであるから、当該訂正事項2は、特許法第126条第5項に適合するものである。
また、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものには該当しないことは、(1)イ.のとおりであるから、特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ.独立特許要件について
訂正事項2に係る補正が、誤記の訂正を目的とするものであるところ、訂正後の特許請求の範囲請求項1に係る発明について、独立して特許を受けることができないとする理由はない。
第4 むすび
以上のとおりであるから、本件審判請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第5項ないし第7項の規定に適合するものである。
よって、結論のとおり審決する。
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