2019-017808
端末装置、基地局装置および集積回路
- 審判番号
- 2019-017808
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-558757外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年12月27日
- 審決日
- 2021年01月06日
- 公報発行日
- 2021年02月26日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】シャープ株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
- 分類
- P18 .113-WY (H04W) / P18 .121-WY (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 14項目
第1 手続の経緯
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本願は、2014年(平成26年)12月18日(優先権主張 平成26年1月24日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 1月23日 上申書、手続補正書の提出
平成31年 2月13付け 拒絶理由通知書
平成31年 4月19日 意見書、手続補正書の提出
令和 元年 9月27日付け 拒絶査定
令和 元年12月27日 拒絶査定不服審判の請求、手続補正書の提
出
令和 2年 9月16日付け 拒絶理由通知書(当審)
令和 2年10月29日 意見書、手続補正書の提出
第2 原査定の概要
原査定(令和元年9月27日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
この出願の請求項1ないし4に係る発明は、その出願前日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
1.BlackBerry UK Limited,RRC Signaling with Bearer Splitting Potential[online],3GPP TSG RAN WG2 Meeting#84 R2-134108,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_84/Docs/R2-134108.zip>,2013年11月1日アップロード
3.NTT DOCOMO, INC.,Necessity of C-plane architecture enhancements for dual connectivity[online], 3GPP TSG-RAN2#81 R2-130488,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_81/Docs/R2-130488.zip>,2013年 1月18日アップロード
第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次の通りである。
1.(新規性)この出願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
2.(進歩性)この出願の請求項2に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
4.特開2014-7499号公報
なお、令和2年10月29日にされた手続補正により、当審拒絶理由の対象であった請求項2は削除された。
第4 本願発明について
本願請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、令和2年10月29日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1ないし3は以下のとおりの発明である。
「【請求項1】第一の基地局装置および前記第一の基地局装置とは異なる第二の基地局装置と通信を行う端末装置であって、前記第一の基地局装置から、前記端末装置のデータ送受信に関するデータ制御情報、および、データの送信先となる基地局装置として前記第二の基地局装置を示す指示情報を受信する手段と、前記データ制御情報でベアラ分割が設定されたデータについて、前記指示情報に基づいて、前記第二の基地局装置を前記データの送信先として選択的に決定する手段と、を備え、続きを表示(全18行)前記第一の基地局装置には、PCellが割り当てられる、端末装置。【請求項2】第一の基地局装置とは異なる第二の基地局装置と接続して、端末装置と通信を行う前記第一の基地局装置であって、前記端末装置のデータ送受信に関するデータ制御情報、および、データの送信先となる基地局装置を示す指示情報を、前記端末装置に送信する手段と、前記データ制御情報でベアラ分割が設定されたデータの送信先を示す前記指示情報として、前記第二の基地局装置を示す前記指示情報を選択的に決定する手段と、を備え、当該第一の基地局装置には、PCellが割り当てられる、基地局装置。【請求項3】第一の基地局装置および前記第一の基地局装置とは異なる第二の基地局装置と通信を行う端末装置に適用される集積回路であって、前記第一の基地局装置から、前記端末装置のデータ送受信に関するデータ制御情報、および、データの送信先となる基地局装置として前記第二の基地局装置を示す指示情報を受信する手段と、前記データ制御情報でベアラ分割が設定されたデータについて、前記指示情報に基づいて、前記第二の基地局装置を前記データの送信先として選択的に決定する手段と、を有し、前記第一の基地局装置には、PCellが割り当てられる、集積回路。」
第5 引用発明について
1.引用例1について
原査定の拒絶の理由に引用されたBlackBerry UK Limited,RRC Signaling with Bearer Splitting Potential[online],3GPP TSG RAN WG2 Meeting#84 R2-134108,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_84/Docs/R2-134108.zip>,2013年11月1日アップロード(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)
(1)「1. IntroductionIt was agreed in RAN2#83bis meeting that both U-plane architecture 1A (without bearer split) and 3C (with bearer split) will be progressed in the SCE SI. 」(1頁)
(当審訳:
1.導入
RAN#83bis会議で、Uプレーンアーキテクチャ1A(ベアラ分割なし)と3C(ベアラ分割あり)の両方がSCS SIで進行されることが合意された。)
(2)「2.2. L2 Transport under UP Alternative 3CDownlink(略)For RRC messages related to SeNB radio configuration, while the RRC message of the SeNB is sent from the RRC entity in the MeNB, the messages are identified as applicable to the small cell, so when they are received by the UE, the UE knows that the information is about the small cell configuration. The RRC messages pertinent to the small cell can be identified by either defining a new IE, or defining a new SRB. The UE monitors only the macro-cell for any RRC messages, where in addition to macro-cell-specific messages, the RRC message supporting small cell radio configuration or reconfiguration are received over the link between UE and macro-cell as well.続きを表示(全12行)(略)UplinkFor the uplink, the UE can (a) send UL message to MeNB only, (b) send UL message to SeNB only, or (c) send UL message for reception at both the MeNB and SeNB.(略)While the three possible configurations exist for the UL, it is desirable that the SRB UL configuration matches the DL configuration in terms of bearer split. This simplifies the configuration and maintenance of the SRB. When bearer split is configured for the SRB, transmission flexibility exists between uplink and downlink. The SRB message can be carried via MeB→UE on the downlink path, while carried via UE→SeNB→MeNB path on the uplink, when there is a need to manage the uplink-downlink imbalance for UEs at the cell edge of SeNB.It is proposed that:・For the uplink, a SRB is configurable as a single SRB split over MeNB and SeNB.・The SRB UL configuration matches the SRB DL configuration in terms of bearer split.」(2~4頁)
(当審訳:
2.2. UP代替案3CでのL2トランスポート
(図略)
ダウンリンク
(略)
SeNB無線構成に関連するRRCメッセージの場合、SeNBのRRCメッセージはMeNBのRRCエンティティから送信され、メッセージはスモールセルに適用可能であると識別され、UEがそれらを受信すると、UEはスモールセル構成に関する情報を知る。スモールセルに関係するRRCメッセージは、新しいIEを定義するか、新しいSRBを定義することによって識別される。UEは、マクロセルのみを監視してRRCメッセージを検出し、マクロセル固有のメッセージに加えて、スモールセルの無線構成又は再構成をサポートするRRCメッセージが、UEとマクロセルの間のリンクを介して受信される。
(略)
(図略)
(略)
アックリンク
アップリンクの場合、UEは(a)ULメッセージをMeNBのみに送信する、(b)ULメッセージをSeNBのみに送信する、又は(c)ULメッセージをMeNBとSeNBの両方で受信するために送信する。
(略)
ULには3つの可能な構成が存在するが、SRB UL構成は、ベアラ分割に関してDL構成と一致することが望ましい。これにより、SRBの構成と保守が簡素化される。SRBにベアラスプリットが設定されている場合、アップリンクとダウンリンクの間に伝送の柔軟性が存在する。SeNBのセルエッジでUEのアップリンクとダウンリンクの不均衡を管理する必要がある場合、SRBメッセージはダウンリンクパスでMeB→UEを介して伝送され、アップリンクではUE→SeNB→MeNBパスを介して伝送される。
次のことが提案される。
?アップリンクの場合、SRBは、MeNBとSeNBで分割された単一のSRBとして構成できる。
?SRB UL構成は、ベアラ分割に関してSRB DL構成と一致する。)
上記記載及び当業者における技術常識からみて、
a.上記(2)のFigure4に、「To/from dual connection UE」と記載され、Macro-eNBとSmall cell eNBと接続されていることが読み取れることから、UEはMeNBとSeNBと接続されているUEといえる。
b.上記(2)のダウンリンクでは「SeNB無線構成に関連するRRCメッセージの場合、SeNBのRRCメッセージはMeNBのRRCエンティティから送信され、メッセージはスモールセルに適用可能であると識別され、UEがそれらを受信すると、UEはスモールセル構成に関する情報を知る。」と記載されていることから、SeNBのRRCメッセージはMeNBのRRCエンティティから送信され、UEはMeNBからSeNBのRRCメッセージを受信しているといえる。
c.上記(3)のアップリンクでは「アップリンクの場合、UEは(a)ULメッセージをMeNBのみに送信する、(b)ULメッセージをSeNBのみに送信する、又は(c)ULメッセージをMeNBとSeNBの両方で受信するために送信する。」、及び、「ULには3つの可能な構成が存在するが、SRB UL構成は、ベアラ分割に関してDL構成と一致することが望ましい」と記載されていることから、アップリンク通信では、(a)ULメッセージをMeNBのみに送信する、(b)ULメッセージをSeNBのみに送信する、又は(c)ULメッセージをMeNBとSeNBの両方で受信するために送信するという3つの可能な構成が存在し、SRB UL構成は、ベアラ分割に関してDL構成と一致させるといえる。
以上を総合すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「 MeNBとSeNBと接続されているUEであって、MeNBからSeNBのRRCメッセージを受信し、アップリンク通信では(a)ULメッセージをMeNBのみに送信する、(b)ULメッセージをSeNBのみに送信する、又は(c)ULメッセージをMeNBとSeNBの両方で受信するために送信するという3つの可能な構成が存在し、SRB UL構成は、ベアラ分割に関してDL構成と一致させる、UE。」
2.引用例3について
原査定の拒絶の理由に引用されたNTT DOCOMO, INC.,Necessity of C-plane architecture enhancements for dual connectivity[online](当審訳:デュアル接続のためのCプレーンアーキテクチャの強化の必要性), 3GPP TSG-RAN2#81 R2-130488,インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_81/Docs/R2-130488.zip>,2013年 1月18日アップロード(以下、「引用例3」という。)には、図面とともに次の記載がある。(下線は当審が付与。)
「However, when Rel-10 CA architecture is applied, since PUCCH is supported only for PCell, macro-eNB should deliver the information to the Small cell eNB via non-ideal backhaul, which causes degradation of HARQ performance (ACK/NACK delay), non-optimal link adaptation (CQI reflecting delay). 」(1頁)
(当審訳:
ただし、Rel-10 CAアーキテクチャが適用される場合、PUCCHはPCellでのみサポートされるため、macro-eNBは非理想的なバックホールを介して情報をスモールセルeNBに配信する必要があり、HARQパフォーマンスの低下(ACK/NACK遅延)、非最適なリンク適応(遅延を反映するCQI)が発生する。)
したがって、上記引用例3には、「デュアル接続のマクロセルをPCellとする。」という技術的事項が記載されていると認められる。
第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
a.引用発明の「UE」、「MeNB」、「SeNB」は、それぞれ本願発明1の「端末装置」、「第一の基地局装置」、「第一の基地局装置とは異なる第二の基地局装置」に相当する。
また、引用発明の「UE」はMeNBとSeNBと接続されることで通信を行っていることは明らかであるから、引用発明の「MeNBとSeNBと接続されているUE」は本願発明1の「第一の基地局装置および前記第一の基地局装置とは異なる第二の基地局装置と通信を行う端末装置」に相当する。
b.引用発明のUEでは「MeNBからSeNBのRRCメッセージを受信」していることから、UEが受信手段を有していることは明らかであり、本願発明1の「前記端末装置のデータ送受信に関するデータ制御情報、および、データの送信先となる基地局装置として前記第二の基地局装置を示す指示情報」も引用発明の「RRCメッセージ」も制御情報といえる。
よって、本願発明1の「前記第一の基地局装置から、前記端末装置のデータ送受信に関するデータ制御情報、および、データの送信先となる基地局装置として前記第二の基地局装置を示す指示情報を受信する手段」と、引用発明の「MeNBからSeNBのRRCメッセージを受信」することとは、「第一の基地局装置から制御情報を受信する手段」である点で共通し、受信する手段で第一の基地局装置から受信する制御情報が、本願発明1では「端末装置のデータ送受信に関するデータ制御情報、および、データの送信先となる基地局装置として前記第二の基地局装置を示す指示情報」であるのに対し、引用発明では「SeNBのRRCメッセージ」である点で相違する。
以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「 第一の基地局装置および前記第一の基地局装置とは異なる第二の基地局装置と通信を行う端末装置であって、第一の基地局装置から制御情報を受信する手段を備える、端末装置。」
(相違点)
1.第一の基地局装置から受信する制御情報に関して、本願発明1では「端末装置のデータ送受信に関するデータ制御情報、および、データの送信先となる基地局装置として前記第二の基地局装置を示す指示情報」であるのに対し、引用発明では「SeNBのRRCメッセージ」である点。
2.本願発明1では「前記データ制御情報でベアラ分割が設定されたデータについて、前記指示情報に基づいて、前記第二の基地局装置を前記データの送信先として選択的に決定する手段」を備えるのに対し、引用発明ではアップリンク通信のSRBについては特定しているが、アップリンクのデータの通信については特定されていない点。
3.本願発明1では「前記第一の基地局装置には、PCellが割り当てられる」のに対し、引用発明では当該発明特定事項が特定されていない点。
(2)相違点についての判断
事案に鑑みて、上記相違点2について先に検討する。
まず、引用発明ではアップリンク通信のSRBについて特定されている。ここで、SRBはシグナリングリソースベアラであり、データリソースベアラ(DBR)ではないことから、SRBで通信される情報は制御情報であり、データではないことは技術常識である。よって、引用発明では「データ制御情報でベアラ分割が設定されたデータ」の通信については特定されていない。そして、「データ制御情報でベアラ分割が設定されたデータについて、指示情報に基づいて、第二の基地局装置をデータの送信先として選択的に決定する」ことは、引用例3にも記載されておらず、本願優先日前において周知技術であるともいえない。
したがって、上記相違点1及び3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明及び、引用例3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2.本願発明2及び3について
本願発明2及び3も、本願発明1の「データ制御情報でベアラ分割が設定されたデータについて、指示情報に基づいて、第二の基地局装置をデータの送信先として選択的に決定する」ことと同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明及び引用例3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
第7 原査定についての判断
令和2年10月29日にされた手続補正により、補正後の請求項1ないし3には、「データ制御情報でベアラ分割が設定されたデータについて、指示情報に基づいて、第二の基地局装置をデータの送信先として選択的に決定する」ことと同一の構成を備えるものであるが、当該構成は原査定における引用例1及び3には記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1ないし3は当業者であっても、原査定における引用例1及び3に記載された発明に基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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