2019-014506
包装用容器
- 審判番号
- 2019-014506
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2019-000370外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年10月30日
- 審決日
- 2020年03月31日
- 公報発行日
- 2020年05月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】フマキラー株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人前田特許事務所
- 分類
- D18 .113-WY (F4-7)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号、意匠法第4条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
結論
理由
目次 ▾ 9項目
第1 手続の経緯
本願は,意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする,平成31年(2019年)1月10日の意匠登録出願であって,令和1年(2019年)5月30日付けの拒絶理由の通知に対し,同年7月17日に意見書が提出されたが,同月23日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年10月30日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。
引用意匠
特許庁総合情報館が2000年12月 5日に受け入れた
第2358頁所載
包装用瓶の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH12031178号)
第4 当審の判断
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」である。
(2)本願意匠の形状
ア.本願意匠は,正面視で縦長長方形の本体部に,本体部の上面中央に鉛直に上方へ突出する円筒状の口部を設けたものである。
イ.本体部の側面は,鉛直面であって,当該側面の側面視における形状は,極めて細長い縦長の略等脚台形状であって,その脚は,外向きに緩やかに湾曲している。
ウ.正面及び背面は,外向きに緩やかに湾曲した弧状面からなる。
エ.本体部の形状は,底面から上面にかけて,水平断面形状が常に縦に細長い樽型(本審決においては,ビール樽のように中胴の膨らんだ形のもの。洋樽型。以下同じ。)であって,正面及び背面の弧状面の曲率は常に一定のものでありつつ,本体部の奥行き長さ(側面の幅)に合わせて上へ行くほど互いに近づくように緩やかに傾斜している。
オ.正面及び背面と側面の接する箇所は角となっている。
カ.側面と上面の接する箇所(台形状の側面の上底の部分のこと。以下「肩部」ということもある。)及び側面と底面の接する箇所(台形状の側面の下底の部分のこと。)はやや大きな湾曲面となっている。
キ.正面及び背面と上面の接する箇所,並びに正面及び背面と底面の接する箇所はごく小さな湾曲面となっている。
ク.円筒状の口部の側面には,雄ネジを形成している。
2 引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「包装用瓶」である。
(2)引用意匠の形状
ア.引用意匠は,正面視で縦長長方形の本体部に,本体部の上面中央に鉛直に上方へ突出する円筒状の口部を設けたものである。
イ.本体部の側面は,鉛直面であって,当該側面の側面視における形状は,極めて細長い縦長の二等辺三角形状であって,その等辺は直線である。
ウ.正面及び背面は,外向きに緩やかに湾曲した弧状面からなる。
エ.本体部の形状は,底面から上面にかけて,正面及び背面の弧状面の曲率が徐々に小さくなりつつ,本体部の奥行き長さ(側面の幅)に合わせて,水平断面形状が縦に細長い樽型から紡錘形(ぼうすいがた)に漸次変化している。
オ.正面及び背面と側面の接する箇所は角となっている。
カ.側面と上面の接する箇所(以下「肩部」ということもある。)は点であり,側面と底面の接する箇所(二等辺三角形状の側面の底辺の部分のこと。)は角となっている。
キ.正面及び背面と上面の接する箇所,並びに正面及び背面と底面の接する箇所は角となっている。
ク.円筒状の口部の側面には,フタを勘合させるための環状突部を形成している。
3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「包装用容器」であり,引用意匠に係る物品は「包装用瓶」である。
(2)両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)両意匠は共に,正面視で縦長長方形の本体部に,本体部の上面中央に鉛直に上方へ突出する円筒状の口部を設けた点。
(イ)本体部の側面は,鉛直面である点。
(ウ)正面及び背面は,外向きに緩やかに湾曲した弧状面からなる点。
(エ)正面及び背面と側面の接する箇所は角となっている点。
イ.相違点について
(ア)本体部の側面の側面視における形状につき,本願意匠は,脚が外向きに緩やかに湾曲している略等脚台形状であるのに対して,引用意匠は,等辺が直線の二等辺三角形状である点。
(イ)本体部の形状につき,本願意匠は,底面から上面にかけて,水平断面形状が常に縦に細長い樽型であって,正面及び背面の弧状面の曲率は常に一定のものでありつつ,本体部の奥行き長さに合わせて上へ行くほど互いに近づくように緩やかに傾斜しているのに対して,引用意匠は,底面から上面にかけて,正面及び背面の弧状面の曲率が徐々に小さくなりつつ,本体部の奥行き長さに合わせて,水平断面形状が縦に細長い樽型から紡錘形に漸次変化するものである点。
(ウ)側面と上面の接する箇所につき,本願意匠は,やや大きな湾曲面となっているのに対して,引用意匠は,点である点。
(エ)側面と底面の接する箇所につき,本願意匠は,やや大きな湾曲面となっているのに対して,引用意匠は,角となっている点。
(オ)正面及び背面と上面の接する箇所につき,本願意匠は,ごく小さな湾曲面となっているのに対して,引用意匠は,角となっている点。
(カ)正面及び背面と底面の接する箇所につき,本願意匠は,ごく小さな湾曲面となっているのに対して,引用意匠は,角となっている点。
(キ)円筒状の口部の側面の態様につき,本願意匠は,雄ネジを形成しているのに対して,引用意匠は,フタを勘合させるための環状突部を形成している点。
4 判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「包装用瓶」であって,共に包装の用に供する器であるから,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
(2)両意匠における形状の評価
ア.共通点について
共通点(ア)ないし(エ)は,両意匠の全体形状に関わる根幹的な形状であって,一定の共通感を生じさせているが,この種物品においては,ごくありふれた形状と認められ,両意匠のみの特徴とは認められないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
イ.相違点について
(ア)相違点(ア)及び(ウ)によって,本願意匠においては,観者が,やや大きな湾曲面を介して側面から上面にかけてつながっていると認識する形状となっているのに対して,引用意匠は,二等辺三角形の頂点と紡錘形の先端が突き合って尖って(とがって)点となっており,この形状の相違は大きく,両意匠において別異の印象を与えるものであり,本体部の肩部という通常の観察において目に付きやすい部分の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
(イ)相違点(イ)については,共に緩やかに湾曲した弧状面であるが,その面構成は異なるものであり,本体部の正面及び背面という大きな面積を占める部分の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度認められる。
(ウ)相違点(エ)及び(カ)については,正面,背面及び側面と底面の接する箇所における相違であるから,見えにくい部分での相違であり,両意匠の類否判断に与える影響は,ほとんどない。
(エ)相違点(オ)については,ごく小さな相違であるが,通常の観察において目に付きやすい部分の相違であるから,両意匠の類否判断に与える影響は若干認められる。
(オ)相違点(キ)については,通常の観察において目に付きやすい部分であり,フタを装着する際に目に付く部分であるが,本願意匠の形状も,引用意匠の形状も,この種物品分野においてごく普通に見受けられる形状であるから,両意匠の類否判断に与える影響は,ほとんどない。
(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響は,小さいものであり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点(ア)及び(ウ)によっては,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,相違点(イ)を加えて,両意匠の類否判断を決するものといえる。
そうすると,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似するとは認められない。
(4)両意匠における類否判断
よって,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。
5 結び
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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