2019-012407
電線の製造方法
- 審判番号
- 2019-012407
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-177637外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年09月18日
- 審決日
- 2020年11月09日
- 公報発行日
- 2021年02月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】ダイキン工業株式会社
- 【請求人代理人】福井 宏司
- 分類
- P18 .121-WZ (B29C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
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結論
理由
目次 ▾ 11項目
第1 手続の経緯
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本願は、平成29年 9月15日を出願日とする出願であって、その後の手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
第2 本願発明
本願の請求項1ないし7に係る発明は、令和 2年 9月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「シリンダ(12)と、前記シリンダ(12)内に収容されたスクリュー(13)と、前記シリンダ(12)の先端に取り付けられたダイ(15)と、熱可塑性樹脂ペレット(1)を前記シリンダ(12)内に供給するホッパー(11)とを備える成形機(10)を用いて、直径が0.02mm以上かつ3mm以下である芯線(21)と、前記芯線(21)の周囲に設けられる被覆層(22)とを備える電線(20)を製造する電線(20)の製造方法であって、前記熱可塑性樹脂ペレット(1)を前記ホッパー(11)に供給する工程と、前記シリンダ(12)内で前記熱可塑性樹脂ペレット(1)を溶融して溶融樹脂(1A)を前記ダイ(15)に供給する工程と、前記溶融樹脂(1A)を前記ダイ(15)から押し出して前記芯線(21)上に前記被覆層(22)を形成する工程とを含み、前記ホッパー(11)に供給される前記熱可塑性樹脂ペレット(1)は、当該熱可塑性樹脂ペレット(1)の高さ方向と直交する平面で切った断面形状の長径をaとし、短径をbとし、高さをtとしたときに前記長径a及び前記短径bがそれぞれ1.1mm以上かつ3.5mm以下であり、前記高さtは0.5mm以上かつ3.5mm以下であり、かつ、0.6≦√ab/t≦3.0を満たし、前記熱可塑性樹脂ペレット(1)の体積に対する、前記ホッパー(11)の出口開口部(11B)の単位高さ体積の比αが17.9以上となるように前記熱可塑性樹脂ペレットの体積および前記出口開口部(11B)の単位高さ体積の少なくとも一方が設定されていることを特徴とする電線の製造方法。」
第3 令和 2年 7月10日付け拒絶理由通知における拒絶の理由
当審より通知した、令和 2年 7月10日付け拒絶理由通知における拒絶の理由は、本願発明は、本願の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献3.国際公開第2017/126499号
第4 引用文献の記載
1 引用文献3の記載事項
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引用文献3には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付したものである。)
「[請求項1] フッ素樹脂のペレットであって、水平面に置いた前記ペレットについて、水平面に対する法線方向から観察した外形形状が、略円形状又は略楕円形状であって、長径D1が3.1mm以下、かつ、短径D2が3.1mm以下であり、長径D1、短径D2及び水平面から最も高い部位までの高さLが式(1):(D1+D2)/2L=1.8~2.6を満足する続きを表示(全22行)ことを特徴とするペレット。[請求項2] 長径D1が1.6mm以上であり、短径D2が1.6mm以上である請求項1記載のペレット。[請求項3] 高さLの標準偏差が0.3mm以下である請求項1又は2記載のペレット。[請求項4] ペレット100g当たり100個以下の、異常な形状を有するペレットを含む請求項1、2又は3記載のペレット。[請求項5] ペレット100g当たり10質量%以下の、内部に気泡を有するペレットを含む請求項1、2、3又は4記載のペレット。[請求項6] ペレット流動性試験において、300gのペレットが排出される時間が9.2秒以下である請求項1、2、3、4又は5記載のペレット。[請求項7] 略回転楕円体状、略円柱状又は略楕円柱状である請求項1、2、3、4、5又は6記載のペレット。[請求項8] 前記フッ素樹脂は、-COOH、-COOCH3、-CH2OH、-COF、-CONH2、及び、-CF2Hの合計数が炭素数1×106個あたり120個以下である請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のペレット。[請求項9] 芯線と、前記芯線の周囲に設けられており、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のペレットから得られる被覆層と、を備えることを特徴とする電線。[請求項10] シリンダーと、前記シリンダー内に収容されたスクリューと、前記シリンダーの先端に取り付けられたダイと、前記シリンダーにペレットを供給するためのホッパーとを備える押出機を使用して、芯線と被覆層とを備える電線を製造する製造方法であって、請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載のペレットを作製する工程、前記ペレットを前記ホッパーに投入する工程、前記ホッパーから前記シリンダーに前記ペレットを供給する工程、前記シリンダー内で前記ペレットを溶融させて溶融フッ素樹脂を作製する工程、及び、前記溶融フッ素樹脂を前記ダイから押し出して前記芯線上に前記被覆層を形成する工程を含むことを特徴とする電線の製造方法。」
「[0001]本発明は、フッ素樹脂のペレットに関する。また、本発明は、上記ペレットから得られる電線、及び、上記ペレットを使用した電線の製造方法に関する。」
「[0007]近年、電子機器類の小型化に伴い、電線の細線化が進んでおり、電線被覆材料において、細線成形性、薄肉成形性が求められるようになってきた。薄肉の電線成形においては、成形中に生じる電線の線径の微小なゆらぎが電線の最終的な物性に与える影響が無視できず、これまで以上に安定した成形が求められる。電線被覆材料においても、これまでの材料よりも線径安定性およびキャパシタンス安定性を高めた材料が求められている。[0008]フッ素樹脂の被覆層を備える電線の製造では、フッ素樹脂のペレットを、ホッパーから押出機のシリンダー内に供給し、シリンダー内で溶融させ、溶融したフッ素樹脂を、ダイの後部から送り込まれた芯線上に、ダイを通して押し出して、被覆層を形成する。[0009]しかしながら、従来のペレットではホッパーでの流動性に改善の余地があった。また、従来のペレットを使用して、高速で送り出した芯線上に被覆層を形成させると、得られる被覆層の線径安定性及びキャパシタンス安定性が充分ではないことが判明した。[0010]本発明は、上記現状に鑑み、押出機のホッパーにおける流動性が高く、高速電線被覆成形に供した場合でも、高い線径安定性及びキャパシタンス安定性を有する被覆層を形成することができる新規なペレットを提供することを課題とする。」
「[0028]図1に、水平面に置いた上記ペレットを、水平面に対する法線方向から観察した場合の模式図を示す。また、図4及び図6は、水平面に置いた本発明のペレットを、水平面に対する法線方向から撮影した写真である。図1に示すように、上記ペレットとしては、外形形状が略円形状のペレット11、外形形状が略楕円形状のペレット12が挙げられる。[0029]長径D1及び短径D2は図1に示すとおりであり、ペレット11のように外形形状が略円形状である場合、長径D1と短径D2とは同じ長さである。本発明では、便宜上、長さが同じ場合でも長径及び短径という用語を使用する。[0030]長径D1及び短径D2は、20gのペレットを任意に抽出し、それらを水平面に置き、長径及び短径を1個ずつ測定し、それらの平均値から求めることができる。上記測定は、固く滑らかな水平面上でも、転がったり、倒れたりしない方法で上記ペレットを置いてから行う。例えば、ペレット全体の形状が略円柱状である場合、その側面を水平面に接地させるように置くと動きが止まることがあるが、弱い振動を与えると転がるか、倒れる。このような置き方は適切でなく、上記ペレットを安定した状態になるように置いてから、上記測定を実施する。例えば、形状が略円柱状である場合、上記ペレットをステンレス製のバット等に投入し、上記バットに強い振動を与え、全てのペレットの底面を接地させ、安定した状態を実現した後、測定することができる。このようなペレットの置き方は、後述する高さLの測定にも適用される。[0031]上記ペレットは、長径D1が3.1mm以下、かつ、短径D2が3.1mm以下である。長径D1としては、3.1mm未満が好ましく、3.0mm以下がより好ましく、1.6mm以上が好ましく、1.7mm以上がより好ましい。短径D2としては、3.1mm未満が好ましく、3.0mm以下がより好ましく、1.6mm以上が好ましく、1.7mm以上がより好ましい。長径D1及び短径D2が上記の数値範囲にあると、流動性に一層優れ、一層高い線径安定性及びキャパシタンス安定性を有する被覆層を備える電線を、一層高い生産性で製造できる。」
「[0079]実施例1原料としては重合開始剤として過硫酸アンモニウムを用いて乳化重合して得られたディスパージョンを用いた。フッ素樹脂の組成はテトラフルオロエチレン[TFE]単位、ヘキサフロプロピレン[HFP]単位、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)[CF2=CFOC3F7(PPVE)]単位を含み、融点は260℃であった。このフッ素樹脂を硝酸により凝析、圧搾により脱水し、170℃にて4時間乾燥した。[0080]次いで、このフッ素樹脂の白色粉末を二軸スクリュー型押出機(日本製鋼所社製)にて溶融ペレット化した。本押出機は、軸径32mm、L/D=52.5、原料投入側より供給部、可塑化部、ベント部、定量部各部位から構成されており、ダイは、口径2.5mm、4穴を用いた。15kg/時間の速度で原料を供給し、スクリュー回転数200rpmとし、ダイから出る重合体温度を375℃に調整し、2枚刃を有するカッターの回転数は2270rpmで重合体ペレットを得た。更に、窒素ガスで希釈した20容量%フッ素ガスと180℃の温度下で24時間接触させて重合体ペレットを得た。」
「[0090]電線被覆成形電線の線径安定性およびキャパシタンス安定性を評価した。具体的には、三葉製作所社製、シリンダー径20mm、L/D=24の単軸押出成形機、クロスヘッドには内径3.8mmのダイと外径2.3mmのチップを装着した。外径0.192mmの芯線(直径0.064mmの錫メッキ銅線を7本より合わせたもの)を用い、電線仕上がり外径を0.312mmとした。温度条件はシリンダー部C1(270℃)、シリンダー部C2(325℃)、シリンダー部C3(365℃)、ネック部(375℃)、ヘッド部(385℃)、ダイ部(390℃)に、芯線予備加熱を200℃に設定した。成形時の溶融メルトコーン長を20mmとして、電線を製造して、電線の線径安定性およびキャパシタンス安定性を評価した。」
「[0103][表1]」
「[図1]」
2 引用文献3に記載された発明
上記1の記載事項、特に、実施例1を中心に整理すると、引用文献3には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「クロスヘッドに内径3.8mmのダイと外径2.3mmのチップを装着した、シリンダー径20mm、L/D=24の単軸押出成形機を用いて、外径0.192mmの芯線(直径0.064mmの錫メッキ銅線を7本より合わせたもの)とフッ素樹脂の被覆層を備えた電線を製造する方法において、前記単軸押出成形機の温度条件は、シリンダー部C1(270℃)、シリンダー部C2(325℃)、シリンダー部C3(365℃)、ネック部(375℃)、ヘッド部(385℃)、ダイ部(390℃)、芯線予備加熱が200℃であり、前記単軸押出成形機に供給するフッ素樹脂のペレットとして、長径D1が2.9mm、短径D2が2.9mm、高さ(厚み)Lが1.3mmのものを用いた、電線の製造方法。」
第5 対比・判断
1 対比
本願発明と引用発明を対比する。
引用発明の「ダイ」は、クロスヘッドに装着されたものであるから、本願発明の「シリンダ(12)の先端に取り付けられたダイ」に相当する。
また、引用発明の「フッ素樹脂の被覆層を備える電線」は、本願発明の「芯線(21)の周囲に設けられる被覆層(22)とを備える電線(20)」に相当する。
そして、引用発明の電線に用いられる芯線の径は外径0.192mmであるから、本願発明における芯線の直径が「0.02mm以上かつ3mm以下」との特定事項を満たす。
引用発明の「フッ素樹脂ペレット」は、単軸押出成形機を用いて、加熱押出により、フッ素樹脂の被覆層を備える電線の「フッ素樹脂の被覆層」を形成するためのものであるから、本願発明の「熱可塑性樹脂ペレット」に相当することは明らかであり、かつ、引用発明の「フッ素樹脂ペレット」は、「長径D1が2.9mm、短径D2が2.9mm、高さ(厚み)Lが1.3mmのもの」であるから、本願発明の「熱可塑性樹脂ペレット(1)は、当該熱可塑性樹脂ペレット(1)の高さ方向と直交する平面で切った断面形状の長径をaとし、短径をbとし、高さをtとしたときに前記長径a及び前記短径bがそれぞれ1.1mm以上かつ3.5mm以下であり、前記高さtは0.5mm以上かつ3.5mm以下であり、かつ、0.6≦√ab/t≦3.0を満たし」との特定事項を満たすことも明らかである。
さらに、引用発明のフッ素樹脂の被覆層を備える電線の製造方法では、単軸押出機を用いて、加熱しつつ押出成形により、フッ素樹脂ペレットを原料とし、フッ素樹脂被覆層を備える電線を製造するものであるから、単軸押出機に「ホッパー」、「シリンダー内に収容されたスクリュー」を有することは自明であり、かつ、製造工程として、「前記シリンダ(12)内で前記熱可塑性樹脂ペレット(1)を溶融して溶融樹脂(1A)を前記ダイ(15)に供給する工程」と、「前記溶融樹脂(1A)を前記ダイ(15)から押し出して前記芯線(21)上に前記被覆層(22)を形成する工程」を有することも明らかである。
してみると、本願発明と引用発明は、
「シリンダ(12)と、前記シリンダ(12)内に収容されたスクリュー(13)と、前記シリンダ(12)の先端に取り付けられたダイ(15)と、熱可塑性樹脂ペレット(1)を前記シリンダ(12)内に供給するホッパー(11)とを備える成形機(10)を用いて、直径が0.02mm以上かつ3mm以下である芯線(21)と、前記芯線(21)の周囲に設けられる被覆層(22)とを備える電線(20)を製造する電線(20)の製造方法であって、前記熱可塑性樹脂ペレット(1)を前記ホッパー(11)に供給する工程と、前記シリンダ(12)内で前記熱可塑性樹脂ペレット(1)を溶融して溶融樹脂(1A)を前記ダイ(15)に供給する工程と、前記溶融樹脂(1A)を前記ダイ(15)から押し出して前記芯線(21)上に前記被覆層(22)を形成する工程とを含み、前記ホッパー(11)に供給される前記熱可塑性樹脂ペレット(1)は、当該熱可塑性樹脂ペレット(1)の高さ方向と直交する平面で切った断面形状の長径をaとし、短径をbとし、高さをtとしたときに前記長径a及び前記短径bがそれぞれ1.1mm以上かつ3.5mm以下であり、前記高さtは0.5mm以上かつ3.5mm以下であり、かつ、0.6≦√ab/t≦3.0を満たす、電線の製造方法。」
である点で一致し、次の点で相違する。
<相違点>
「熱可塑性樹脂ペレット(1)の体積」に対する、「ホッパー(11)の出口開口部(11B)の単位高さ体積の比α」について、本願発明は、「αが17.9以上となるように前記熱可塑性樹脂ペレットの体積および前記出口開口部(11B)の単位高さ体積の少なくとも一方が設定されている」ものであるのに対し、引用発明にはそのような特定がない点。
2 判断
上記相違点について検討する。
「ホッパーの出口開口部の単位高さ体積」とは、ホッパーの出口開口部の断面積にのみ依存するものであるから、結局のところ、ホッパーの出口開口部の断面積の大きさについての指標であるといえる。
そして、熱可塑性樹脂ペレットをホッパーからシリンダに供給するにあたり、ホッパーの出口開口部は熱可塑性樹脂ペレットの大きさに比して相当程度大きな断面積を有さなければ、熱可塑性樹脂ペレットの流れを阻害するであろうことは当業者において自明のことであり、その断面積については、熱可塑性樹脂ペレットを供給すべきシリンダの容量等に応じて調整されるべきものであることからすれば、比αの値は、当業者が実施にあたり適宜調整しうる程度のことであるといえる。
さらに、本願明細書及び図面全体を通じてみても、相違点に係る特定事項を満たすことによる効果は、熱可塑性樹脂ペレットの体積に対する、前記ホッパーの出口開口部の単位高さ体積の比αが大きくなれば、熱可塑性樹脂ペレットが十分かつスムーズに供給がされるようになりバラツキが押さえられるという程度のことであり、比αを17.9よりも大きい関係となるようにしたことにより、当業者が予期できないような格別の効果を奏するものであるということもできない。
したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易になし得たものである。
3 請求人の主張について
(1) 請求人は、令和 2年 9月14日に提出した意見書の「(4)拒絶理由3について」において、本願発明と引用発明とを対比し、概略、次のように主張している。
本願発明は、「熱可塑性樹脂ペレットの高さtに対する長径a(短径b)の比としての熱可塑性樹脂ペレットの形状が吐出時間のバラツキに影響を与えていることを考慮して、ホッパーからシリンダに流出する熱可塑性樹脂ペレットの流動性に影響を与えるパラメータとして熱可塑性樹脂ペレットの高さtに対する長径a(短径b)の比である上記関係式を満たした上で、比αを吐出時間が短くなる17.9以上に設定し」、「これにより、「高さtに対する長径a(短径b)の比」が変更された時の吐出時間のバラツキを制御できるとともに、吐出時間自体を短くすることができる効果が得られ」ること
(2) 上記主張について検討する。
上記1のとおり、本願発明と引用発明との間では、芯線の径、熱可塑性樹脂ペレットの長径a、短径b、高さtとの関係においては何ら相違しない。
してみると、上記1で検討したとおり、相違点は比αに関する点のみとなるが、引用発明においても、芯線の径、熱可塑性樹脂ペレットの形状に関するパラメータも満たしている以上、結局のところ、ホッパーの単位高さ体積の大きさ、換言すれば、ホッパーの出口開口部の断面積の大きさのみが検討すべき点であると言える。
そして、上記2でも検討したとおり、熱可塑性樹脂ペレットの大きさに比して、ホッパーの出口開口部の断面積が大きい方が、熱可塑性ペレットの流出時の抵抗が小さくなり、流出量がより安定するであろうことは明らかである。
してみれば、請求人が主張する効果は、当業者が予期し得ない、格別の効果であるとは言えない。
したがって、請求人の主張は採用することができない。
第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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