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特許拒絶査定不服審判

2019-011832

衝突緩和システムにおけるマルチモーダル切り替え

審判番号
2019-011832
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-144800外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年09月09日
審決日
2020年07月21日
公報発行日
2021年01月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-Z (B60W) / P18 .121-Z (B60W)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第29条第1項第3号、特許法第17条の2第5項第2号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2018-144800「衝突緩和システムにおけるマルチモーダル切り替え」拒絶査定不服審判事件〔平成31年2月21日出願公開、特開2019-26261〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。

理由

目次 ▾ 13項目
【理 由】

第1 手続の経緯

折りたたみ中(クリックで表示)

本願は、平成30年8月1日(パリ条約による優先権主張2017年(平成29年)8月3日(US)アメリカ合衆国)の出願であって、平成30年11月22日付け(発送日:同年11月28日)で拒絶理由が通知され、平成31年2月28日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成31年4月24日付け(発送日:令和元年5月9日)で拒絶査定がされ、これに対して令和元年9月9日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がされたものである。

第2 令和元年9月9日にされた手続補正についての補正の却下の決定

〔補正の却下の決定の結論〕

令和元年9月9日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕

1 本件補正発明

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1について、本件補正前(平成31年2月28日の手続補正書)の請求項1として、

「【請求項1】
自律乗物を制御するためのコンピュータ実装方法であって、該自律乗物は、複数の所定の動作モードで動作可能であり、該自律乗物は、1つ以上のコンピューティングデバイスを備えているコンピューティングシステムによって、該自律乗物の1つ以上の応答特性に少なくとも部分的に基づいて制御され、該自律乗物の該1つ以上の応答特性の各々は、該自律乗物に搭載されている衝突緩和システムが潜在的衝突に対してどのように応答するかを示し、該複数の所定の動作モードの各々は、1つ以上の応答特性に関連付けられており、
該方法は、
該コンピューティングシステムによって、該複数の所定の動作モードのうちの所定の動作モードを示すデータを受信することと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードで動作するように該自律乗物を構成することと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードに少なくとも部分的に基づいて該所定の動作モードに関連付けられた1つ以上の応答特性を決定することであって、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性は、該複数の所定の動作モードのうちの他のものに関連付けられた1つ以上の応答特性とは異なる、ことと、
該コンピューティングシステムによって、該自律乗物の該1つ以上の応答特性を該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性に調整することと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性に少なくとも部分的に基づいて、該自律乗物に搭載されている自律性コンピューティングシステムまたは1つ以上の他のシステムに1つ以上の制御信号を送信することであって、該1つ以上の制御信号は、該潜在的衝突の検出を示す、ことと、
該コンピューティングシステムによって、該1つ以上の制御信号に少なくとも部分的に基づいて該自律乗物を制御することと
を含む、コンピュータ実装方法。」

とあったものを、

「【請求項1】
自律乗物を制御するためのコンピュータ実装方法であって、該自律乗物は、複数の所定の動作モードで動作可能であり、該自律乗物は、1つ以上のコンピューティングデバイスを備えているコンピューティングシステムによって、該自律乗物の1つ以上の応答特性に少なくとも部分的に基づいて制御され、該自律乗物の該1つ以上の応答特性の各々は、該自律乗物に搭載されている衝突緩和システムが潜在的衝突に対してどのように応答するかを示し、該複数の所定の動作モードの各々は、1つ以上の応答特性に関連付けられており、
該方法は、
該コンピューティングシステムによって、該複数の所定の動作モードのうちの所定の動作モードを示すデータを受信することであって、該所定の動作モードは、完全自律動作モードである、ことと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードで動作するように該自律乗物を構成することと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードに少なくとも部分的に基づいて該所定の動作モードに関連付けられた1つ以上の応答特性を決定することであって、該完全自律動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つが、該複数の所定の動作モードのうちの他のものに関連付けられた1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つの対応する値とは異なる、対応する値を有しているという点で、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性は、該複数の所定の動作モードのうちの該他のものに関連付けられた該1つ以上の応答特性とは異なる、ことと、
該コンピューティングシステムによって、該自律乗物の該1つ以上の応答特性を該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性に調整することと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性に少なくとも部分的に基づいて、該自律乗物に搭載されている自律性コンピューティングシステムまたは1つ以上の他のシステムに1つ以上の制御信号を送信することであって、該1つ以上の制御信号は、該潜在的衝突の検出を示す、ことと、
該コンピューティングシステムによって、該1つ以上の制御信号に少なくとも部分的に基づいて該自律乗物を制御することと
を含む、コンピュータ実装方法。」

と補正することを含むものである(下線は、補正箇所を示すために請求人が付したものである。)

上記補正は、本件補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「複数の所定の動作モードのうちの所定の動作モード」について、「該所定の動作モードは、完全自律動作モードである、こと」との限定を付加するとともに、「該所定の動作モードに関連付けられた1つ以上の応答特性を決定することであって、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性は、該複数の所定の動作モードのうちの他のものに関連付けられた1つ以上の応答特性とは異なる、こと」について、「該完全自律動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つが、該複数の所定の動作モードのうちの他のものに関連付けられた1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つの対応する値とは異なる、対応する値を有しているという点で、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性は、該複数の所定の動作モードのうちの該他のものに関連付けられた該1つ以上の応答特性とは異なる、こと」との限定を付加するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載される発明(以下「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)否かについて、検討する。

2 引用文献、引用発明

(1)引用文献1

原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった引用文献である、特開2015-217762号公報(以下「引用文献1」という。)には、「疲労度推定装置」に関して、図面(特に、図1ないし図2を参照。)と共に次の記載がされている(下線は、当審が付与したものである。以下同様。)。

ア「【0004】

近年、車両には、ACC(Adaptive Cruise Control)、CACC(Cooperative Adaptive Cruise Control)、LKAS(Lane Keeping Assist System)、衝突被害軽減ブレーキ等に代表されるさまざまな運転支援システムが搭載されるようになってきた。このため、車両には、運転支援システムの稼働、非稼働に応じた複数の走行モードが用意されるようになってきた。運転支援システムが全く動作していない完全手動の走行モードと、運転支援システムを動作させた走行モードとでは、ドライバの疲労度が異なることになる。しかしながら、特許文献1及び2には、車両の走行モードを考慮してドライバの疲労度を算出する技術については開示されていない。」

イ「【0009】

以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。まず、図1を参照しながら本実施形態の運転支援システム1の構成について説明する。運転支援システム1は、車両に搭載された複数のECU(Electronic Control Unit)を備えている。各ECUは、CAN(Controller Area Network)バス150等のネットワーク規格を介して相互に接続されている。各ECUは、CPU(Central Processing Unit)、CPUの実行する制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)、演算結果等を格納する読書き可能なRAM(Random Access Memory)、タイマ、カウンタ、入力インターフェース、出力インターフェース等を有している。以下、運転支援システム1の備える複数のECUについて説明する。なお、本実施形態では、ネットワーク規格としてCANバス150を用いる場合を例に説明するが、LIN(Local Interconnect Network)、Flex Ray、IEEE1394、車載Ethernet(登録商標)等の他の通信バスであってもよい。」

ウ「【0012】

運転支援システム1は、ブレーキを制御するブレーキECU30を備えている。ブレーキECU30は、ブレーキ装置31に接続している。ブレーキECU30は、ブレーキの制御を行うECUであって、車両制御ECU100から受信した制御信号に基づき、車両の各車輪に設けられたブレーキ装置31を制御して車両の制動を行う。」

エ「【0016】

運転支援システム1は、ナビECU70を備えている。ナビECU70は、GPSユニット712(図2参照)により受信するGPS信号により自車位置を検出して、地図データベース741(図2参照)から読み出した地図データを表示パネル764(図2参照)に表示して、目的地までの経路を案内する。ナビECU70の詳細については、図2を参照しながら後述する。なお、ナビECU70による自車位置の特定は、GPS信号だけではなく、車両から入力する車速パルスに基づいて特定するものであってもよいし、GPS信号と車速パルスとの両方に基づいて特定するものであってもよい。また、GPS信号の代わりにGLONASS、Galileo、Beidou、QZSS(みちびき)などの測位衛星システムの信号を利用してもよい。

【0017】

運転支援システム1は、車両制御ECU100を備えている。車両制御ECU100は、エンジンECU10、トランスミッションECU20、ブレーキECU30、ステアリングECU40を統括制御して、車両の自動運転を実現する。

車両制御ECU100は、運転支援ECU200から送信される、車線維持、定速走行、前方車両の追従走行等のような走行指示信号を受信する。車両制御ECU100は、運転支援ECU200から受信した走行指示信号に基づいてエンジンECU10、トランスミッションECU20、ブレーキECU30及びステアリングECU40を制御する。これにより、ドライバの運転をACC、CACC、LKAS、衝突被害軽減ブレーキシステム等の運転支援システムにより支援する。

【0018】

運転支援システム1は、運転支援ECU200を備えている。運転支援ECU200は、車々間通信装置210と、レーダ装置230と、カメラ装置240と、車速センサ250と、操舵角センサ260と、ブレーキセンサ270と、ヨーレートセンサ280とに接続している。

【0019】

車車間通信装置210は、車両情報を自車両の周囲に位置する周辺車両との間で無線通信により相互に伝達する、いわゆる車車間通信を行う。車両情報には、例えば、車両を識別する識別情報、GPSにより検出された車両の位置情報、車両の速度(車速)、車両の進行方向等の情報が含まれる。車車間通信装置210は、車車間通信で受信した周辺車両の車両情報を運転支援ECU200に出力する。

【0020】

路車間通信装置220は、交差点等の路側に設置された路側機(不図示)から、電波ビーコンや、光ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communications)などの狭域無線通信によって送信される情報を受信する受信機である。路側機から路車間通信装置220に送信される情報には、例えば、渋滞情報等を含む道路情報や、信号機の情報、歩行者の情報等が含まれる。

【0021】

レーダ装置230は、例えば、ミリ波レーダ、レーザーレーダ等の電波や、超音波レーダ等の音波を自車両前方の所定範囲に照射する。レーダ装置230は、所定範囲内に存在する対象物(例えば、先行車両等)により反射された反射波を受信することで、自車両の前方を走行する先行車両の情報(以下、先行車両情報という)を検出する。ここで検出される先行車両情報には、例えば、先行車両の有無情報や、先行車両までの距離(車間距離)、角度(相対位置)、速度(相対速度)、加速度等の情報が含まれる。レーダ装置230は、検出した先行車両情報を運転支援ECU200に出力する。」

オ「【0024】

運転支援システム1は、運転支援ECU200を備えている。運転支援ECU200は、白線認識部201と、第1追従走行制御部202と、第2追従走行制御部203と、衝突判断制御部204と、自動運転制御部205とを備えている。」

カ「【0028】

衝突判断制御部204は、衝突被害軽減ブレーキシステムのための制御を行う制御部として機能する。衝突判断制御部204は、先行車両等を含む障害物(以下、単に障害物という)の自車両への衝突を予測して、乗員の衝突被害を軽減する。衝突判断制御部204は、レーダ装置230やカメラ装置240からの情報に基づいて、自車両の前方における障害物の位置、距離及び速度等の情報を検出する。衝突判断制御部204は、検出した情報と、自車両の速度、加速度等の情報とに基づいて衝突が不可避であると判断した場合に、運転席・助手席のシートベルトを衝突前に巻き取るように指示する指示信号を車両制御ECU100に送信する。車両制御ECU100は、衝突判断制御部204から受信した指示信号に従ってシートベルトECU50を制御し、プリテンショナ51を動作させて、シートベルトのたるみをとり除く。これにより、乗員を確実に座席に固定させて、衝突時の乗員の安全性を高める。また、衝突判断制御部204は、障害物への衝突が不可避であると判断した場合には、エアバッグを展開させるように指示する指示信号を車両制御ECU100に送信する。車両制御ECU100は、衝突判断制御部204から受信した指示信号に従ってエアバッグECU60にインフレータ61を作動させ、エアバッグを展開させる。

【0029】

自動運転制御部205は、車両を制御して目的地までの車両の走行を制御する。自動運転制御部205は、ナビECU70から送信された目的地の情報を受信する。ナビECU70は、ナビゲーション装置(図2参照)700の操作部750により目的地の入力を受け付けると、受け付けた目的地の情報を、CANバス150を介して運転支援ECU200の自動運転制御部205に送信する。自動運転制御部205は、ナビECU70から目的地の情報を受信すると、自動運転を支援するための種々の情報を入力して、スタート地点から目的地まで車両の走行を制御する。なお、自動運転制御部205による車両の走行中においては、ドライバは運転に関する一切の操作を行う必要がない。すなわち、ドライバが、ナビゲーション装置700に目的地を入力すれば、自動運転制御部205の制御によって車両が目的地に到達する。

【0030】

自動運転制御部205は、運転者の運転操作なしに予め設定された走行計画に従って車両が自動運転走行を行うように、図1に示す各ECUを制御する。自動運転制御部205は、例えば目標速度パターン及び目標走行軌跡を生成する。車両制御ECU100は、自動運転制御部205により生成された目標速度パターン及び目標走行軌跡に従って各ECUを制御し、加減速制御及び操舵制御を実行する。目標速度パターンは、時刻に応じて目標車両位置又は目標車速を設定したパターンであり、目標位置パターンとして設定してもよい。この目標速度パターンは、車両情報、道路情報などに基づいて設定される。車両情報としては、例えば、車両加速性能、車両減速性能、車重、許容最大加速度、許容最大減速度、許容最大ジャーク、最高速度、最大横加速度、最大ハンドル角速度、最小定常速度、最小定常加速度、最小定常ジャーク、加減速時の加減速変化回数、緊急ブレーキ性能、故障判定時間、速度制御誤差情報、位置制御誤差情報が用いられる。また、道路情報は、目標速度パターンを生成するために用いられる外部環境情報であり、例えば、道路勾配、道路カーブが用いられる。目標走行軌跡は、地図上の車両の目標走行経路及び走行レーン内における走行軌跡を設定したものである。

なお、上述したACC、CACC、LKAS、衝突被害軽減ブレーキシステムは、自動運転のための機能の例であるが、車両に搭載される機能は、これらに限定されない。これら以外の自動運転のための機能を搭載することも可能であり、また、ACC又はCACCと、LKASと、衝突被害軽減ブレーキシステムとを組み合わせたシステムであってもよい。」

キ「【0033】

ナビゲーション装置700は、インターフェース部(以下、I/F部と略記する)720を備えている。I/F部720は、CANバス150に接続している。I/F部720は、例えば、運転支援ECU200から送信される車両の走行モードを示す情報(以下、走行モード情報(モード情報))や、車両の走行状態を示す情報(以下、走行状態情報)を受信する。I/F部720は、受信した情報をナビECU70に出力する。走行モードには、後述する完全手動モードと、特定機能自動モードと、複合機能自動モードと、完全自動モードとが含まれる。走行状態情報には、例えば、車両の車速や加速度等の情報が含まれる。」

ク「【0035】

ナビゲーション装置700は、記憶部740を備えている。記憶部740には、経路案内のための制御プログラムのほかに、地図データや経路案内に供される表示画像データ等の各種データを格納した地図データベース741が記憶されている。

なお、記憶部740には、ハードディスク装置、コンピュータで読み込み可能なフレキシブルディスク(FD)、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM等の可搬記憶媒体でもよい。また、記憶部740は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(Rewritable)、光磁気ディスク、ICカード、SDカードなどの可搬記憶媒体であってもよい。」

ケ「【0041】

次に、ナビECU70の備える機能ブロックについて図4を参照しながら説明する。ナビECU70は、機能ブロックとして取得部701と、推定部702と、出力制御部(出力部)703とを備えている。なお、図4は、本願発明を理解容易にするために、ナビECU70の機能構成を主な処理内容に応じて分類して示した概略図であり、ナビECU70の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように構成することもできる。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。また、各構成要素の処理は、1つのプログラムで実現されてもよいし、複数のプログラムで実現されてもよい。

【0042】

取得部701は、I/F部720に接続され、所定時間ごとに、運転支援ECU200に、車両の走行モード情報の取得要求を送信する。取得部701は、運転支援ECU200から走行モード情報を受信すると、受信した走行モード情報を推定部702に渡す。運転支援ECU200が、ナビECU70からの取得要求に従ってナビECU70に送信する走行モード情報には、完全手動モードと、特定機能自動モード(第1モード)と、複合機能自動モード(第2モード)と、完全自動モード(第3モード)とが含まれる。なお、以下では、特定機能自動モードと、複合機能自動モードと、完全自動モードとを総称して呼ぶ場合に走行支援モードと呼ぶ。また、本実施形態では、車両に特定機能自動モードと、複合機能自動モードと、完全自動モードとのすべてが搭載されている場合について説明する。しかしながら、車両には、完全手動モードの他に、特定機能自動モードと、複合機能自動モードと、完全自動モードとのうちの少なくとも1つが搭載されていればよい。

【0043】

完全手動モードは、加速・制動操作と、制動操作と、操舵操作とを含むすべての運転操作をドライバが行うモードである。特定機能自動モードは、加速・制動操作と、制動操作と、操舵操作とのうちのいずれか1つを運転支援システム1により支援するモードである。特定機能自動モードは、白線認識部201と、第1追従走行制御部202と、第2追従走行制御部203と、衝突判断制御部204とのうちのいずれか1つの制御により実行される。複合機能自動モードは、加速・制動操作と、制動操作と、操舵操作とのうちの少なくとも2つの運転操作を運転支援システム1により支援するモードである。複合機能自動モードは、白線認識部201と、第1追従走行制御部202と、第2追従走行制御部203と、衝突判断制御部204とのうちの少なくとも2つの制御により実行される。完全自動モードは、加速・制動操作と、制動操作と、操舵操作とを含むすべての運転操作や、車両の周辺監視等を運転支援システム1により行うモードである。完全自動モードでは、自動運転制御部205が動作する。

【0044】

ドライバの加速・制動操作を支援する機能には、ACCとCACCとが含まれる。ACCは、車両の前方に搭載されたレーダ装置230を用いて、前方を走行する先行車両との車間距離を一定に保ち、必要に応じてドライバへの警告を行うシステムである。また、CACCは、ACCの機能に加え、車車間通信によって先行車両の加減速情報を共有することで、より精密な車間距離制御を行うシステムである。また、ドライバの操舵操作を支援する機能には、LKASが含まれる。LKASは、車両前方のカメラ装置240を利用して白線を検知し、車両が走行車線を維持するようにハンドル操作を支援するシステムである。また、ドライバの制動操作を支援する機能には、衝突被害軽減ブレーキシステムが含まれる。衝突被害軽減ブレーキシステムとは、カメラ装置240やレーダ装置230等を用いて車両前方の障害物等を検知して運転者に警告し、また、衝突が避けられない場合には、ブレーキの補助操作を行うシステムである。

【0045】

ここで、複合機能自動モードと、完全自動モードとの相違点について説明する。走行モードが複合機能自動モードの場合、運転支援システム1は、設定された運転条件下において、加速・制動操作と、制動操作と、操舵操作とのうちの少なくとも2つの運転操作を支援する。例えば、設定された運転条件が、「車速が30km以下である場合に制動操作を補助する」である場合には、運転支援システム1は、車速が30km以下の条件で、衝突被害軽減ブレーキシステムを動作させる。完全自動モードの場合、運転支援システムが動作する運転条件の設定はなく、例えば、ドライバが、ナビゲーション装置に目的地を入力すれば、ドライバが運転操作を行うことなく目的地まで到達することができるモードである。」

コ 上記キの記載事項からみて、引用文献1記載の運転支援システム1においては、完全手動モード、特定機能自動モード、複合機能自動モード、完全自動モードという、予め定められた複数の走行モード、すなわち、「複数の所定の走行モード」を備えているといえる。そして、このうちの1つの所定モードが、完全自動モードである。

サ 上記イ及びクの記載事項及び出願時の技術常識からみて、引用文献1記載の運転支援システム1における車両制御ECU100、運転支援ECU200等の複数のECUが備える、CPUや、CPUの実行する制御プログラムを格納するROM、演算結果等を格納する読み書き可能なRAMは、コンピューティングデバイスであるといえ、当該コンピューティングデバイスを備える複数のECU及び運転支援システム1は、コンピューティングシステムであるといえる。そして、引用文献1記載の運転支援システム1にはコンピュータが実装されているといえる。

シ 上記オないしキ及びケの記載事項及び出願時の技術常識からみて、引用文献1記載の運転支援システム1の自動運転制御部205により走行が制御される車両は、加速・制動操作、操舵操作及び制動操作に少なくとも部分的に基づいて制御されるものといえる。

ス 上記ケの記載事項及び出願時の技術常識からみて、引用文献1記載の運転支援システム1は、走行モードによって、加速・制動操作、操舵操舵及び制動操作のいずれかの運転操作を支援するように構成されている。すなわち、走行モードと「加速・制動操作、操舵操舵及び制動操作のいずれかの運転操作」とは関連付けられているものといえるから、複数の所定の走行モードの各々は、1つ以上の加速・制動操作、操舵操作及び制動操作に関連付けられているといえる。

セ 上記オ、カ及びケの記載事項及び出願時の技術常識からみて、引用文献1記載の運転支援システム1における衝突判断制御部204及び自動運転制御部205は、先行車両等を含む障害物の自車両への予測される衝突に対して、車両の制御を行うものであるといえる。そして、該車両の制御において、加速・制動操作、操舵操作、制動操作が行われていることから、引用文献1記載の加速・制動操作、操舵操作、制動操作は、車両の運転支援システム1における衝突判断制御部204及び自動運転制御部205が障害物の自車両への予測される衝突に対してどのように制御されるかを示すものといえる。

ソ 上記ケの記載事項及び出願時の技術常識からみて、引用文献1記載の「複合機能自動モード」と「完全自動モード」とは、制動操作に関して、複合機能自動モードが「車速が30km以下の条件で、衝突被害軽減ブレーキシステムを動作させる」ように運転条件が設定されるのに対して、完全自動モードが「運転支援システムが動作する運転条件の設定はない」モードであり、すなわち、車速に関する条件が設定されずに完全に自動運転が行われ、衝突被害軽減ブレーキシステムが動作するように制動操作について調整がされているものであるといえる。

タ 上記オ、カ及びサの記載事項及び出願時の技術常識からみて、引用文献1記載のコンピューティングシステムの1つである運転支援ECU200は、衝突判断制御部204によって、コンピューティングシステムの1つである車両制御ECU100に、障害物の自車両への衝突の予測を判断した情報を送信しているといえる。

チ 上記エ、オないしキの記載事項及び出願時の技術常識からみて、引用文献1記載のコンピューティングシステムの1つである車両制御ECU100は、衝突判断制御部204からの障害物の自車両への衝突の予測を判断した情報に少なくとも部分的に基づいて、車両の自動運転を実現するために車両を制御しているといえる。

上記記載事項アないしチ及び図面の図示内容を総合し、本件補正発明の記載ぶりに則って整理すると、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

〔引用発明〕

「運転支援システム1の自動運転制御部205により走行が制御される車両を制御するための運転支援システム1のコンピュータを実装する方法であって、該車両は、完全手動モード、特定機能自動モード、複合機能自動モード及び完全自動モードからなる複数の所定の走行モードで動作可能であり、該車両は、1つ以上のCPU、ROM及びRAM等のコンピューティングデバイスを備えている複数のECU及び該複数のECUを備える運転支援システム1を含むコンピューティングシステムによって、該車両の1つ以上の加速・制動操作、操舵操作及び制動操作に少なくとも部分的に基づいて制御され、該車両の該1つ以上の加速・制動操作、操舵操作及び制動操作の各々は、該車両に搭載されている運転支援システム1における衝突判断制御部204及び自動運転制御部205が先行車両等を含む障害物の自車両への予測される衝突に対してどのように制御されるかを示し、該複数の所定の走行モードの各々は、1つ以上の加速・制動操作、操舵操作及び制動操作に関連付けられており、
該方法は、
該コンピューティングシステムによって、該複数の所定の走行モードのうちの所定の走行モードである完全自動モードを示す走行モード情報を受信することと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の走行モードで動作するように該車両を構成することと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の走行モードに少なくとも部分的に基づいて該所定の走行モードに関連づけられた1つ以上の加速・制動操作、操舵操作及び制動操作のうちの少なくとも制動操作を決定することであって、該完全自動モードに関連付けられた該制動操作が、該複数の所定の走行モードのうちの複合機能自動モードに関連付けられた制動操作について設定される、車速が30km以下の条件で衝突被害軽減ブレーキを動作させるという運転条件とは異なる、車速に関する運転条件の設定なしに制動操作が行われるよう完全に自動運転が行われるという点で、該所定の動作モードに関連付けられた制動操作は、該複数の所定の走行モードのうちの該複合機能自動モードに関連付けられた該制動操作とは異なる、ことと、
該コンピューティングシステムによって、該車両の該制動操作を該所定の走行モードに関連付けられた該制動操作に調整することと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の走行モードに関連付けられた制動操作に少なくとも部分的に基づいて、該車両に搭載されているコンピューティングシステムの1つである車両制御ECU100に、情報を送信することであって、該情報は、障害物の自車両への衝突の予測を判断したものである、ことと、
該コンピューティングシステムによって、該情報に少なくとも部分的に基づいて該車両を制御することと
を含む、コンピュータの実装方法。」

3 対比・判断

本件補正発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「運転支援システム1の自動運転制御部205により走行が制御される車両」はその機能、構成及び技術的意義からみて本件補正発明の「自律乗物」に相当し、以下同様に、「運転支援システム1のコンピュータを実装する方法」は「コンピュータ実装方法」に、「完全手動モード、特定機能自動モード、複合機能自動モード、完全自動モードからなる複数の所定の走行モード」は「複数の所定の動作モード」に、「CPU、ROM及びRAM等のコンピューティングデバイス」は「1つ以上のコンピューティングデバイス」に、「複数のECU及び該複数のECUを備える運転支援システム1を含むコンピューティングシステム」は「コンピューティングシステム」に、「先行車両等を含む障害物の自車両への予測される衝突」は「潜在的衝突」に、「複数の所定の走行モードのうちの所定の走行モード」は「複数の所定の動作モードのうちの所定の動作モード」に、「所定の走行モードを示す走行モード情報」は「所定の動作モードを示すデータ」に、「完全自動モード」は「完全自律動作モード」に、「複合機能自動モード」は「複数の所定の動作モードのうちの他のもの」に、それぞれ相当する。

上記ウ、エ、カ及びケの記載事項及び出願時の技術常識からみて、引用文献1記載の車両における運転支援システム1によって実施される「加速・制動操作」、「操舵操作」及び「制動操作」は、車両の応答の特性の一種であるといえるから、引用発明の「加速・制動操作、操舵操作及び制動操作」は、本件補正発明の「応答特性」に相当する。

引用発明の「完全自動モード」は「複数の所定の走行モード」のうちの1つの「所定の走行モード」であるから、引用発明の「該コンピューティングシステムによって、該複数の所定の走行モードのうちの所定の走行モードである完全自動モードを示す走行モード情報を受信すること」は、「該コンピューティングシステムによって、該複数の所定の走行モードのうちの所定の走行モードを示す走行モード情報を受信することであって、該所定の走行モードは、完全自動モードである、こと」と言い換えることができる。

引用発明の「複合機能自動モード」に関連付けられた「制動操作」についての運転条件は「車速が30km以下の条件で衝突被害軽減ブレーキを動作させる」ものであり、引用発明の「完全自動モード」に関連付けられた「制動操作」についての運転条件は「車速に関する条件の設定なしに制動操作が行われるよう完全に自動運転が行われる」ものであり、「制動操作」についての対応する値が異なっている。そうすると、引用発明の「該完全自動モードに関連付けられた該制動操作が、該複数の所定の走行モードのうちの複合機能自動モードに関連付けられた制動操作について設定される、車速が30km以下の条件で衝突被害軽減ブレーキを動作させるという運転条件とは異なる、運転条件の設定なしに制動操作が行われるよう完全に自動運転が行われるという点で、該所定の動作モードに関連付けられた制動操作は、該複数の所定の走行モードのうちの該複合機能自動モードに関連付けられた該制動操作とは異なる、こと」は、本件補正発明の「該完全自律動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つが、該複数の所定の動作モードのうちの他のものに関連付けられた1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つの対応する値とは異なる、対応する値を有しているという点で、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上応答特性とは異なる、こと」に相当する。

引用発明において「障害物の自車両への衝突の予測を判断したものである」「情報」は、「衝突の予測を判断した」こと、すなわち、潜在的衝突を検出したことと等価の情報であるといえる。したがって、引用発明における「該コンピューティングシステムによって、該所定の走行モードに関連付けられた制動操作に少なくとも部分的に基づいて、該車両に搭載されているコンピューティングシステムの1つである車両制御ECU100に、情報を送信することであって、該情報は、障害物の自車両への衝突の予測を判断したものである、こと」と、本件補正発明における「該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性に少なくとも部分的に基づいて、該自律乗物に搭載されている自律性コンピューティングシステムまたは1つ以上の他のシステムに1つ以上の制御信号を送信することであって、該1つ以上の制御信号は、該潜在的衝突の検出を示す、こと」とは、「該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性に少なくとも部分的に基づいて、該自律乗物に搭載されているコンピューティングシステムに1つ以上の情報を送信することであって、該1つ以上の情報は、該潜在的衝突の検出を示す、こと」という限りにおいて一致している。

そうすると、本件補正発明と引用発明との間には、次の一致点及び相違点がある。

〔一致点〕

「自律乗物を制御するためのコンピュータ実装方法であって、該自律乗物は、複数の所定の動作モードで動作可能であり、該自律乗物は、1つ以上のコンピューティングデバイスを備えているコンピューティングシステムによって、該自律乗物の1つ以上の応答特性に少なくとも部分的に基づいて制御され、該自律乗物の該1つ以上の応答特性の各々は、該自律乗物に搭載されている衝突緩和システムが潜在的衝突に対してどのように応答するかを示し、該複数の所定の動作モードの各々は、1つ以上の応答特性に関連付けられており、
該方法は、
該コンピューティングシステムによって、該複数の所定の動作モードのうちの所定の動作モードを示すデータを受信することであって、該所定の動作モードは、完全自律動作モードである、ことと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードで動作するように該自律乗物を構成することと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードに少なくとも部分的に基づいて該所定の動作モードに関連付けられた1つ以上の応答特性を決定することであって、該完全自律動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つが、該複数の所定の動作モードのうちの他のものに関連付けられた1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つの対応する値とは異なる、対応する値を有しているという点で、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性は、該複数の所定の動作モードのうちの該他のものに関連付けられた該1つ以上の応答特性とは異なる、ことと、
該コンピューティングシステムによって、該自律乗物の該1つ以上の応答特性を該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性に調整することと、
該コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性に少なくとも部分的に基づいて、該自律乗物に搭載されているコンピューティングシステムに1つ以上の情報を送信することであって、該1つ以上の情報は、該潜在的衝突の検出を示す、ことと、
該コンピューティングシステムによって、該1つ以上の情報に少なくとも部分的に基づいて該自律乗物を制御することと
を含む、コンピュータ実装方法。」

〔相違点1〕

本件補正発明においては、「コンピューティングシステムによって、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性に少なくとも部分的に基づいて、該自律乗物に搭載されている自律性コンピューティングシステムまたは1つ以上の他のシステムに1つ以上の制御信号を送信することであって、該1つ以上の制御信号は、該潜在的衝突の検出を示す、こと」を備えるのに対し、引用発明においては、送信する「情報」が「制御信号」であるか否か不明であるとともに、当該情報の送信先が「コンピューティングシステム」であるものの、「自律性コンピューティングシステムまたは1つ以上の他のシステム」であるか否か不明である点。

上記相違点1について検討する。

引用発明においてコンピューティングシステムによって送信される「情報」は、車両制御ECU100における車両の「制御」に用いられる「情報」であるから、当該「情報」を「制御信号」として送信することは、当業者が適宜なし得たことである。

また、引用発明のコンピューティングシステムは、「完全自動モード」で完全な自動運転を実現することが可能なコンピューティングシステムであるから、「自律性」のある「コンピューティングシステム」であるといえ、自動運転を安全に行うために、衝突の予測を判断した情報を「自律性」のある「コンピューティングシステム」に送信することは当業者が当然に実施することである。また、車両の自動運転において、「衝突の予測を判断した情報」は極めて重要な情報であるから、当該情報を他のシステムにも送信して、当該情報を活用することによって、より安全な自動運転を実現することは、当業者の通常の創作能力の発揮の範囲内である。

したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得たことである。

そして、本件補正発明が奏する効果は、全体としてみても、引用発明から当業者が予測できる範囲内のものであって、格別なものでない。

したがって、本件補正発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

なお、審判請求人は、令和2年1月22日の審判請求書において、「3.3 平成30年11月22日付け拒絶理由通知書に記載した理由1(新規性)、理由2(進歩性)について」として、以下の主張をしている。

(主張)

「引用例1は、せいぜい、(拒絶理由通知書において補正前の請求項1の「複数の所定の動作モード」に相当するとされている)引用例1の「特定機能自動モード」、「複合機能自動モード」、「完全自動モード」のそれぞれが、異なる量の動作を実行する(例えば、「特定機能自動モード」が、加速・制動操作、制動操作、操舵操作のうちの1つをサポートし、「複合機能自動モード」が、加速・制動操作、制動操作、操舵操作のうちの少なくとも2つをサポートし、「完全自動モード」が、加速・制動操作、制動操作、操舵操作のうちのすべてをサポートする)ことができることを記載しているにすぎません。
引用例1は、「完全自動モード」に関連付けられた加速・制動操作、制動操作、操舵操作のうちの少なくとも1つが、他の動作モードに関連付けられた加速・制動操作、制動操作、操舵操作のうちの少なくとも1つの対応する値とは異なる、対応する値を有しているという点で、「完全自動モード」に関連付けられた加速・制動操作、制動操作、操舵操作が、他の動作モードに関連付けられた加速・制動操作、制動操作、操舵操作とは異なることを教示も示唆もしていません。」

(下線は、請求人による。)

以下、上記主張について検討する。

上記引用発明と本件補正発明との対比・判断において述べたように、引用文献1には、引用発明の「該完全自動モードに関連付けられた該制動操作が、該複数の所定の走行モードのうちの複合機能自動モードに関連付けられた制動操作について設定される、車速が30km以下の条件で衝突被害軽減ブレーキを動作させるという運転条件とは異なる、運転条件の設定なしに制動操作が行われるよう完全に自動運転が行われるという点で、該所定の動作モードに関連付けられた制動操作は、該複数の所定の走行モードのうちの該複合機能自動モードに関連付けられた該制動操作とは異なる、こと」が記載されており、これは、本件補正発明の「該完全自律動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つが、該複数の所定の動作モードのうちの他のものに関連付けられた1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つの対応する値とは異なる、対応する値を有しているという点で、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上応答特性とは異なる、こと」に相当する。

したがって、出願人の上記主張は採用できない。

4 むすび

以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明について

1 本願発明

本件補正(令和元年9月9日にされた手続補正)は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし20に係る発明は、平成31年2月28日の手続補正により補正がされた請求項1ないし20に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2〔理由〕1」に補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 原査定における拒絶の理由の概要

原査定における拒絶の理由の概要は、次のとおりである。

「この出願については、平成30年11月22日付け拒絶理由通知書に記載した理由1(新規性)、理由2(進歩性)によって、拒絶をすべきものです。
備考
●理由1(特許法第29条第1項第3号)、理由2(特許法第29条第2項)について
・請求項 1-20
・引用文献等 1、2
本願の請求項1-20に係る発明は、前記拒絶理由通知書において提示した引用例1又は2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
また、本願の請求項1-20に係る発明は、前記拒絶理由通知書において提示した引用例1又は2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
1.特開2015-217762号公報
2.特開2015-72611号公報」

3 引用文献、引用発明

原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特開2015-217762号公報)並びにその記載事項及び引用発明は、上記「第2〔理由〕2」に記載したとおりである。

4 当審の判断

本件補正発明は、上記「第2〔理由〕1」で述べたように、本願発明における「複数の所定の動作モードのうちの所定の動作モード」について、「該所定の動作モードは、完全自律動作モードである、こと」との限定を付加するとともに、「該所定の動作モードに関連付けられた1つ以上の応答特性を決定することであって、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性は、該複数の所定の動作モードのうちの他のものに関連付けられた1つ以上の応答特性とは異なる、こと」について、「該完全自律動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つが、該複数の所定の動作モードのうちの他のものに関連付けられた1つ以上の応答特性のうちの少なくとも1つの対応する値とは異なる、対応する値を有しているという点で、該所定の動作モードに関連付けられた該1つ以上の応答特性は、該複数の所定の動作モードのうちの該他のものに関連付けられた該1つ以上の応答特性とは異なる、こと」との限定を付加したものであるから、本願発明の発明特定事項をすべて含んでいる。

そして、本願発明の発明特定事項をすべて含んでいる本件補正発明が、上記「第2〔理由〕3」に記載したとおり、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 まとめ

したがって、本願発明は、引用発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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2019-011832

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