特許拒絶査定不服審判
2019-010000
静電荷像現像用二成分トナー
- 審判番号
- 2019-010000
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2015-048897外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年07月30日
- 審決日
- 2020年07月31日
- 公報発行日
- 2020年09月25日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】サカタインクス株式会社
- 【請求人代理人】前田 伸哉
- 分類
- P18 .121-WY (G03G)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2015- 48897「静電荷像現像用二成分トナー」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 9月23日出願公開、特開2016-170234、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は、特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 事案の概要
1 手続等の経緯
特願2015-48897号(以下「本件出願」という。)は、平成27年3月11日の出願であって、その後の手続等の経緯の概要は、以下のとおりである。
平成30年 9月10日付け:拒絶理由通知書
平成31年 1月15日付け:意見書
平成31年 4月22日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
令和 元年 7月30日付け:審判請求書
2 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、本件出願の請求項1~請求項3に係る発明は、本件出願前に日本国内又は外国において、頒布された以下の刊行物に記載された発明に基づいて、本件出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない、というものである。
引用文献1:特開2010-243693号公報
引用文献2:特開2011-128406号公報
引用文献3:特開2012-58551号公報
なお、主引用例は引用文献1又は2であり、引用文献3は引用文献2に対する副引用例として引用されたものである。
3 本願発明
本件出願の請求項1~請求項3に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1~請求項3に記載された事項によって特定されるとおりの、以下のものである。
「【請求項1】
トナー母粒子及び外添剤を含んでなる静電荷像現像用トナーであって、
前記外添剤が、平均一次粒子径300nm以上1000nm未満の窒化ホウ素粒子、及び平均一次粒子径が80~500nmの樹脂微粒子を含み、前記窒化ホウ素粒子の含有量が前記トナー母粒子100質量部に対して0.01質量部~0.60質量部である静電荷像現像用二成分トナー。
【請求項2】
前記窒化ホウ素粒子の含有量が、前記トナー母粒子100質量部に対して0.15質量部~0.50質量部である請求項1記載の静電荷像現像用二成分トナー。
【請求項3】
前記樹脂微粒子が、スチレンと、(メタ)アクリル酸又はそのエステルと、の共重合体である請求項1又は2記載の静電荷像現像用二成分トナー。」
第2 当合議体の判断
1 引用文献の記載及び引用発明
(1)引用文献1について
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用され、本件出願前に、日本国内又は外国において、頒布された刊行物である、特開2010-243693号(以下、同じく「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定及び判断等に活用した箇所を示す。
ア 「【請求項1】
少なくとも、結着樹脂、着色剤及び荷電制御剤を含有するトナー粒子とその表面を外添剤で被覆処理してなるトナーであって、該荷電制御剤が下記一般式(1)で示されるチアカリックスアレーン、スルフィニル化チアカリックスアレーンおよびスルホニル化チアカリックスアレーンから選ばれる環状フェノール硫化物であり、該外添剤が数平均1次粒径5nm以上50未満の無機粒子と数平均1次粒径50nm以上300nm以下の無機粒子を少なくとも2種類以上含有してなることを特徴とするトナー。
【化1】
(式中、XはS、SOまたはSO2を表し、Zは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を表す。nは3~9の整数であり、Yは炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ハロゲン原子、-SO4R1または、-SO3R2であり、R1及びR2は水素原子、炭化水素基または金属元素を表し、複数のYは同一であっても異なっていてもよい。)」
イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成方法に用いられるトナーおよびその製造方法に関するものである。
…(省略)…
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、トナー飛散やカブリが抑制され、耐久時や各種環境での安定した耐電性付与ならびに高品位な画像を得ることのできるトナーおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては、トナー粒子中に特定の構造よりなる帯電制御剤を含有させてなることと合わせて特定の粒径を有する少なくとも2種の外添剤を用いることにより、上記課題に対し、大幅な改善を図るものである。」
ウ 「【0029】
上記荷電制御剤は、体積平均粒径を0.05~5μmに調整して使用することが好ましい。
【0030】
特に懸濁重合や乳化重合凝集法等の湿式造粒法において使用する場合は、0.05~1μmさらに好ましくは、0.05~0.5μmで使用する。
【0031】
なお、添加量は、トナー粒子に対して、0.05~5質量部、好ましくは、0.1~2質量部、さらに好ましくは、0.2~1質量部である。トナー粒子全体に含有させても良く、また、表面に局在化させても良い。
…(省略)…
【0033】
(外添剤粒子)
本発明は数平均1次粒径5nm以上50nm未満の無機微粒子と数平均1次粒径50nm以上300nm以下の無機微粒子を少なくとも含有してなることを特徴とする。
【0034】
本発明で使用可能な外添剤として数平均1次粒径5nm以上50nm未満の無機微粒子としては、各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物などを好適に用いることができる。具体的には、無機酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素等がある。また、炭化物としては、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン等があり、窒化物には、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等がある。特に好適に使用できるものとして気相法により製造されてなる数平均1次粒径5nm以上50nm未満の超微粒子のシリカ、アルミナ、チタニアならびに複合酸化物粒子が使用できる。複合酸化物粒子は、ケイ素原子を含有するとともに、チタン原子、アルミニウム原子、ジルコニウム原子、カルシウム原子のうちの少なくとも1つの原子を含有するものであることが好ましい。また、硫酸法等で製造されてなるアナターゼ型、ルチル型、アモルファスのチタニア粒子も好適に使用できる。なお、添加量は、トナーに対して0.1~5.0質量部、好ましくは0.5~3質量部である。
【0035】
一方、数平均1次粒径5nm以上50nm未満の無機微粒子(合議体注:【0033】に「数平均1次粒径5nm以上50nm未満の無機微粒子」と「数平均1次粒径50nm以上300nm以下の無機微粒子」の2つの粒径の記載、【0034】の「数平均1次粒径5nm以上50nm未満の無機微粒子」の記載、及び、数平均1次粒径50nm以上300nm以下の無機微粒子の例示がないことからみて、「数平均1次粒径50nm以上300nm以下の無機微粒子」の誤記と解される。)としては、合成シリカ微粒子が好ましい。合成シリカは、その製法によって、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法シリカ(即ち、ヒュームドシリカ)、金属珪素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法シリカ、珪酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式シリカ(このうちアルカリ条件で合成したものを沈降法シリカ、酸性条件で合成したものをゲル法シリカという)、ヒドロカルビルオキシシランの加水分解によって得られるゾルゲル法シリカ(いわゆるStoeber法)に大別される。本発明においては、どのタイプも使用できるが特に粒径ならびに形状が揃ったゾルゲル法で製造されてなるシリカが好適に使用できる。なお、添加量は、トナーに対して0.1~8.0質量部、好ましくは0.5~5質量部である。」
エ 「【0061】
本発明で使用されるトナーは、少なくとも樹脂と着色剤を含有してなる粒子(以下、着色粒子ともいう)より構成されるものである。本発明で使用されるトナーを構成する着色粒子(外添処理を行う前の母体粒子のこと)は、特に限定されるものではなく、従来のトナー製造方法で作製することが可能なものである。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナーを作製するいわゆる粉砕法によるトナー製造方法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法によるトナー製造方法がある。重合法によるトナー製造方法には、たとえば、乳化重合法、懸濁重合法、ポリエステル伸長法等がある。重合法によるトナー製造方法は、前述した様に、形状や大きさの制御を粒子形成工程で行うことができる。また、該帯電制御剤は、トナー粒子内部に含有させても良く、表面に局在化しても良い。表面に局在化する場合は、湿式法においては、トナー粒子を形成した後に表面層に(1)帯電制御剤のみ、(2)樹脂成分と一緒に(3)該帯電制御剤を内包した樹脂微粒子を付着あるいは固着させることが好ましい。」
オ 「【0077】
…(省略)…
<現像剤>
本発明のトナーは、例えば磁性体を含有させて一成分磁性トナーとして使用する場合、いわゆるキャリアと混合して二成分現像剤として使用する場合、非磁性トナーを単独で使用する場合などが考えられ、いずれも好適に使用することができる。
【0078】
本発明のトナーにおいては、キャリアと混合する二成分現像剤として使用する場合は、キャリアに対するトナーフィルミング(キャリア汚染)の発生を抑制することができ、一成分現像剤として使用する場合は、現像装置の摩擦帯電部材に対するトナーフィルミングの発生を抑制することができる。」
カ 上記ア~オに基づけば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。
「少なくとも、結着樹脂、着色剤及び荷電制御剤を含有するトナー粒子とその表面を外添剤で被覆処理してなるトナーであって、該荷電制御剤が下記一般式(1)で示されるチアカリックスアレーン、スルフィニル化チアカリックスアレーンおよびスルホニル化チアカリックスアレーンから選ばれる環状フェノール硫化物であり、該外添剤が数平均1次粒径5nm以上50未満の無機粒子と数平均1次粒径50nm以上300nm以下の無機粒子を少なくとも2種類以上含有してなるトナーであり、荷電制御剤は、体積平均粒径を0.05~5μmに調整して使用することが好ましく、トナー表面に局在化させても良く、使用可能な外添剤として数平均1次粒径5nm以上50nm未満の無機微粒子として、窒化ホウ素を含有し、その添加量は、トナーに対して0.1~5.0質量部であり、キャリアと混合して二成分現像剤として好適に使用することができ、電子写真方式の画像形成方法に用いられるトナー。
【化1】
(式中、XはS、SOまたはSO2を表し、Zは水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基、アシル基、又はアルコキシカルボニル基を表す。nは3~9の整数であり、Yは炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ハロゲン原子、-SO4R1または、-SO3R2であり、R1及びR2は水素原子、炭化水素基または金属元素を表し、複数のYは同一であっても異なっていてもよい。)」
(2)引用文献2について
原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用され、本件出願前に、日本国内又は外国において頒布された刊行物である、特開2011-128406号公報(以下、同じく「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、引用発明の認定及び判断等に活用した箇所を示す。
ア 「【請求項1】
結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子と外添剤とを含有する静電潜像現像用トナーであって、前記外添剤が数平均一次粒径10~500nmの窒化ホウ素を含有することを特徴とする静電潜像現像用トナー。」
イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像現像用トナー及び該トナーを用いる画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の高性能化が指向され、特にその画像形成においては高画質でありながら極めて長期間安定した性能を維持し得ること、省資源かつ環境に悪影響を与えないことが重要ポイントと見なされている。
…(省略)…
【0005】
即ち、トナー転写の高効率化を達成するためには、トナーの物理的付着力を低減させる必要があり、且つ上記のような帯電量の変化を防ぐ必要がある。
【0006】
そこで外添剤としては、従来電気絶縁性が高く(電荷交換性が低い)ゾルゲル法シリカが用いられてきたが(例えば、特許文献1)、この場合、初期の転写性は十分確保できるが、ゾルゲル法シリカのトナーへの固定化が不十分であり、長期的に高転写性を維持することが出来なかった。
…(省略)…
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記問題点を解決することであり、高画質かつ高耐久性で、それ故省資源、環境汚染対策も採りやすい静電潜像現像用トナー及び画像形成方法を提供することである。」
ウ 「【0019】
〔窒化ホウ素〕
窒化ホウ素は窒素とホウ素の化合物であり、天然には存在しないセラミックスである。
…(省略)…
【0024】
しかしながら、一般的に板状の窒化ホウ素は粒子径が大きく1.0μmを超えるため、外添剤としては大き過ぎる。このたび、窒化ホウ素はモース硬度が約2であることから湿式の粉砕機を用いることで粉砕可能であることを見いだした。粉砕した窒化ホウ素は通常のヘンシェルミキサーにて着色粒子に外添処理することが出来る。
【0025】
本発明の効果を得るためには、窒化ホウ素の数平均一次粒径が10~500nm、好ましくは50~250nm、さらに好ましくは50~150nmであることが判明した。上記粒径範囲とすることで、着色粒子にしっかり固定化することができ、転写性を向上させることができる。
…(省略)…
【0031】
又、窒化ホウ素の添加量は、トナー100質量部に対して、0.5~5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは1.0~4.0質量部である。」
エ 「【0062】
次に、トナーに使用可能な窒化ホウ素以外の外添剤(以下、他の外添剤ともいう)としては、たとえば、以下のものがある。具体的な他の外添剤を以下に示す。
【0063】
トナーに添加する他の外添剤としては、特に限定されず、公知の種々の外添剤を用いることができる。例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸カルシウムなどよりなる無機酸化物や、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛などの脂肪酸金属塩などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。」
オ 「【0067】
〔本発明に係わる現像剤〕
本発明に係るトナーは、一成分系現像剤、あるいは二成分系現像剤として使用することが可能である。
【0068】
本発明に係るトナーを二成分系現像剤として使用する場合、使用可能なキャリアとしては、たとえば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料が挙げられる。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの体積平均粒径としては15~100μmのものが好ましく、25~80μmのものがより好ましい。」
カ 上記ア~オに基づけば、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。
「結着樹脂、着色剤及び離型剤を含有する着色粒子と外添剤とを含有する静電潜像現像用トナーであって、前記外添剤が数平均一次粒径10~500nmの窒化ホウ素を含有する静電潜像現像用トナーであって、窒化ホウ素の添加量は、トナー100質量部に対して、0.5~5.0質量部であり、トナーに添加する他の外添剤としては、公知の種々の外添剤を用いることができる、二成分系現像剤として使用することが可能であるトナー。」
(3)引用文献3について
原査定の拒絶の理由で引用文献3として引用され、本件出願前に、日本国内又は外国において頒布された刊行物である、特開2012-58551号公報(以下、同じく「引用文献3」という。)には、
「【0042】
本発明の現像剤は、本発明のキャリアと、トナーを含む。
トナーは、結着樹脂と着色剤を含有し、モノクロトナー及びカラートナーのいずれであってもよい。
…省略…
【0043】
…省略… 次に、転写性、耐久性をさらに向上させるために、母体粒子に外添剤を添加し、トナーを作製する。
…省略…
【0049】
外添剤としては、特に限定されないが、シリカ、酸化チタン、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素等の無機粒子;ソープフリー乳化重合法により得られる平均粒径が0.05~1μmのポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子等の樹脂粒子が挙げられる。これらは、二種以上を併用してもよい。中でも、表面が疎水化処理されているシリカ、酸化チタン等の金属酸化物粒子が好ましい。さらに、疎水化処理されているシリカ及び疎水化処理されている酸化チタンを併用し、疎水化処理されているシリカよりも疎水化処理されている酸化チタンの添加量を多くすることにより、湿度に対する帯電安定性に優れるトナーが得られる。」と記載されている。
以上の記載に基づけば、引用文献3には、現像剤はキャリアとトナーを含み、トナーは母体粒子に外添剤を添加し作製し、外添剤としては窒化ホウ素等の無機粒子や平均粒径が0.05~1μmの樹脂粒子が挙げられ、これらは、二種以上を併用してもよいという技術的事項が記載されていると認められる。
2 対比及び判断
(1)引用文献1を主引用例とした場合
ア 対比
本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)と引用発明1を対比すると、以下のとおりとなる。
(ア)トナー母粒子
引用発明1における「トナー粒子」は、技術的にみて、本願発明1の「トナー母粒子」に相当する。
(イ)外添剤
引用発明1の「外添剤」は、その文言の意味するとおり、本願発明1の「外添剤」に相当する。
(ウ)窒化ホウ素粒子
引用発明1の「窒化ホウ素」は、「無機微粒子」であるから、本願発明1の「窒化ホウ素粒子」に相当する。
(エ)静電荷像現像用二成分トナー
引用発明1の「トナー」は、「キャリアと混合して二成分現像剤として好適に使用することができ、電子写真方式の画像形成方法に用いられる」ものであるから、技術的にみて、本願発明1の「静電荷像現像用二成分トナー」に相当する。
イ 一致点及び相違点
(ア)一致点
本願発明1と引用発明1は、次の構成で一致する。
「トナー母粒子及び外添剤を含んでなる静電荷像現像用トナーであって、前記外添剤が窒化ホウ素粒子を含む静電荷像現像用二成分トナー。」
(イ)相違点
本願発明1と引用発明1は、次の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1は、「外添剤が、平均一次粒子径300nm以上1000nm未満の窒化ホウ素粒子、及び平均一次粒子径が80~500nmの樹脂微粒子を含」むのに対し、引用発明1は、「外添剤として数平均1次粒径5nm以上50nm未満の窒化ホウ素を含有する点。
(相違点2)
窒化ホウ素粒子の含有量が、本願発明1では、「トナー母粒子100質量部に対して0.01質量部~0.60質量部である」と特定されているのに対し、引用発明1では、「添加量はトナーに対して0.1~5.0質量部であり」と特定されている点。
ウ 判断
上記相違点1について検討する。
(ア)引用文献1には、「数平均1次粒径5nm以上50nm未満の無機微粒子と数平均1次粒径50nm以上300nm以下の無機微粒子を少なくとも含有してなる」こと(【0033】)、「使用可能な外添剤として数平均1次粒径5nm以上50nm未満の無機微粒子としては、…(省略)…窒化ホウ素等がある。」(【0034】)の記載は存在するものの、窒化ホウ素は数平均1次粒径5nm以上50nm未満の無機微粒子として記載されており、また、樹脂微粒子の記載はない。そうすると、引用文献1には、窒化ホウ素粒子を平均一次粒子径300nm以上1000nm未満のものとし、平均一次粒子径が80~500nmの樹脂微粒子を併用するという技術思想は開示されているとはいえない。
また、そのような技術思想が当業者における本件出願時における技術常識であったことを示す証拠もない。
以上によれば、引用発明1において、当業者が、「外添剤が、平均一次粒子径300nm以上1000nm未満の窒化ホウ素粒子、及び平均一次粒子径が80~500nmの樹脂微粒子を含む」という相違点1に係る構成に容易に想到し得たということはできない。
(イ)さらに、本願発明1の効果として、本件出願の明細書の【0057】-【0059】【表1】【表2】には、窒化ホウ素粒子を平均一次粒子径及び樹脂微粒子の平均一時粒子径が相違点1の数値範囲内であれば、「カブリ」及び「汚れ・フィルミング」が良好であることが記載されている。ここで、窒化ホウ素粒子を平均一次粒子径を特定の範囲内に調整し、平均一次粒子径が80~500nmの樹脂微粒子を併用するという技術思想が引用文献1に開示されていないことは前記(ア)のとおりであるから、上記効果は、引用発明1から当業者が予測できない効果であると認められる。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明1に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
エ 請求項2~請求項3に係る発明について
本件出願の請求項2~3に係る発明は、いずれも、本願発明1に対してさらに他の発明特定事項を付加してなる静電荷像現像用二成分トナーの発明であるから、本願発明1の全ての発明特定事項を具備するものである。
そうしてみると、前記ウで述べたのと同じ理由により、これらの発明も、引用文献1に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
(2)引用文献2を主引用例とした場合
ア 対比
本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明1」という。)と引用発明2を対比すると、以下のとおりとなる。
(ア)トナー母粒子
引用発明2における「着色粒子」は、技術的にみて、本願発明1の「トナー母粒子」に相当する。
(イ)外添剤
引用発明2の「外添剤」は、その文言の意味するとおり、本願発明1の「外添剤」に相当する。
(ウ)窒化ホウ素粒子
引用発明2の「窒化ホウ素」は、「無機微粒子」であるから、本願発明1の「窒化ホウ素粒子」に相当する。
(エ)静電荷像現像用二成分トナー
引用発明2の「二成分系現像剤として使用することが可能であるトナー」は、技術的にみて、本願発明1の「静電荷像現像用二成分トナー」に相当する。
イ 一致点及び相違点
(ア)一致点
本願発明1と引用発明2は、次の構成で一致する。
「トナー母粒子及び外添剤を含んでなる静電荷像現像用トナーであって、前記外添剤が窒化ホウ素粒子を含む静電荷像現像用二成分トナー。」
(イ)相違点
本願発明1と引用発明2は、次の点で相違する。
(相違点1)
本願発明1は、「外添剤が、平均一次粒子径300nm以上1000nm未満の窒化ホウ素粒子、及び平均一次粒子径が80~500nmの樹脂微粒子を含」むのに対し、引用発明2は、「外添剤が数平均一次粒径10~500nmの窒化ホウ素を含有」し、樹脂微粒子そのものを含んでいない点。
(相違点2)
窒化ホウ素粒子の含有量が、本願発明1では、「窒化ホウ素粒子の含有量が前記トナー母粒子100質量部に対して0.01質量部~0.60質量部である」と特定されているのに対し、引用発明2では、「トナー100質量部に対して、0.5~5.0質量部」と特定されている点。
ウ 判断
上記相違点1について検討する。
(ア)引用文献2には、「トナーに添加する他の外添剤としては、特に限定されず、公知の種々の外添剤を用いることができる」との記載はあるものの(【0063】参照)、外添剤としての樹脂微粒子そのものが開示されておらず、ましてや、特定の粒子径の樹脂微粒子を用いるという技術思想は開示されていない。
また、原査定で引用した、引用文献3には、外添剤として窒化ホウ素や平均粒径が0.05~1μmの樹脂粒子を用いるという技術的事項は記載されているが、平均一次粒子径300nm以上1000nm未満の窒化ホウ素粒子、及び平均一次粒子径が80~500nmの樹脂微粒子を併用するという技術思想について開示はなく、また、そのような技術思想が当業者における本件出願時における技術常識であったことを示す証拠もない。
以上によれば、引用発明2において、当業者が、「外添剤が、平均一次粒子径300nm以上1000nm未満の窒化ホウ素粒子、及び平均一次粒子径が80~500nmの樹脂微粒子を含む」という相違点2に係る構成に容易に想到し得たということはできない。
(イ)本願発明1の効果として、本件出願の明細書の【0057】-【0059】【表1】【表2】には、窒化ホウ素粒子を平均一次粒子径及び樹脂微粒子の平均一時粒子径が相違点1の数値範囲内であれば、「カブリ」及び「汚れ・フィルミング」が良好であることが記載されている。そして、窒化ホウ素粒子を平均一次粒子径を特定の範囲内に調整し、平均一次粒子径が80~500nmの樹脂微粒子を併用するという技術思想が引用文献2及び3並びに引用文献1に開示されていないことは既述のとおりである。
よって、上記効果は、引用発明2から当業者が予測できない効果であると認められる。
したがって、上記相違点2について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明2及び引用文献3並びに引用文献1に記載された技術的事項に基づいて、容易に発明できたものであるとはいえない。
エ 請求項2~請求項3に係る発明について
本件出願の請求項2~3に係る発明は、いずれも、本願発明1に対してさらに他の発明特定事項を付加してなる静電荷像現像用二成分トナーの発明であるから、同じ前記発明特定事項を具備するものである。
そうしてみると、前記ウで述べたのと同じ理由により、これらの発明も、引用文献2に記載された発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであるとはいえない。
第3 むすび
以上のとおり、本願発明1~3は、引用文献1または2に記載された発明及び引用文献3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本件出願を拒絶することはできない。
また、他に本件出願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-010000