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特許拒絶査定不服審判

2019-009434

カード読取システム

審判番号
2019-009434
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2015-161881外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2019年07月16日
審決日
2020年09月09日
公報発行日
2020年10月30日
結論
原査定取消(特許/登録すべき)
審判長/審判官
分類
P18 .121-WY (G06K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2015-161881「カード読取システム」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 2月23日出願公開,特開2017- 41059,請求項の数(6)〕について,次のとおり審決する。

結論

【結 論】 原査定を取り消す。 本願の発明は,特許すべきものとする。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は,平成27年8月19日の出願であって,平成30年12月25日付けで拒絶理由通知がされ,その指定期間内である平成31年3月7日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが,平成31年4月9日付けで拒絶査定(以下,「原査定」という。)がなされ,これに対し,令和1年7月16日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ,令和2年5月25日付けで拒絶理由通知(以下,「当審拒絶理由通知」という。)がされ,同年7月22日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。 第2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由の概要は,次のとおりである。 本願請求項1-5,7に係る発明は,以下の引用文献1-5に基づいて,その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下,「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2003-122283号公報 2.特開2001-147755号公報 3.特開2012-002957号公報 4.特開昭62-198846号公報(周知技術を示す文献) 5.実願平02-042130号(実開平04-002181号)のマイクロフィルム 第3 当審拒絶理由通知の拒絶の理由 当審拒絶理由通知の拒絶の理由の概要は次のとおりである。 1 理由1 本願は,請求項6,8に関し,発明の詳細な説明の記載が不備のため,特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。 2 理由2 本願請求項1-5,7に係る発明は,以下の引用文献1-6に基づいて,当業者が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2006-235373号公報 2.特開2001-147755号公報 3.特開昭62-198846号公報 4.実願平2-42130号(実開平4-2181号)のマイクロフィルム 5.特開2003-122283号公報 6.特開2012-2957号公報 第4 本願発明について 本願請求項1-6に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は, 令和2年7月22日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり,本願発明1は以下のとおりのものである。 「  【請求項1】 入退出におけるセキュリティカードを読み取るカード読取システムであって、 磁界を発生させるコイルが組み込まれた、全体が半透明の板状部材を有し、前記板状部材は水平方向から傾いた状態で壁に取り付けられるとともに前記板状部材における前記壁の側を向いた面とは反対側である正面側の前記板状部材の面において前記セキュリティカードに記録された認証に関する情報を読み取ることができるカード読取部と、 前記コイルから隔離された位置であって前記板状部材のうち前記壁の側を向いた面に投射可能な位置に配され、前記情報に応じた認証の可否を示す画像を投射することができる投射部と、を備え、 前記投射部は、前記板状部材に画像を投射することができる位置に配され、 前記コイルは、前記カード読取部のうち前記画像が投射される領域を取り囲むように配されており、 前記板状部材は、前記投射部による前記画像の投影が行なわれている状態では、前記板状部材の表面に前記画像が視認可能に形成される程度に半透明であり、かつ前記投射部による前記画像の投射が行なわれていない状態では、前記板状部材の背後に存在する前記壁を視認可能な透明度を有する、カード読取システム。」 なお,本願発明2-6の概要は以下のとおりである。 本願発明2-6は,本願発明1を減縮した発明である。 第5 引用文献,引用発明等 1 引用文献1 (1)当審拒絶理由通知において引用文献1として引用された特開2006-235373号公報(平成18年9月7日出願公開。以下,「引用文献1」という。)には,図面とともに次の記載がある。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) 「【0004】 本発明の課題は、観察者に強い印象を与えることが可能なスクリーン及びスクリーンシステムを提供することである。」 「【0017】 以下、図面などを参照して、本発明の実施例をあげて、さらに詳しく説明する。 図1は、本発明によるスクリーン及びスクリーンシステムの実施例における構成を示すブロック図である。 図1に示すように、スクリーンシステム1は、スクリーン10、プロジェクタ20、リーダ30、出力リレ40、PC50、ICタグ60などを備え、スクリーン10の近傍にICタグ60を携帯する利用者が来た場合に、プロジェクタ20からスクリーン10へ画像を投射し、表示するシステムである。 スクリーン10は、街角、イベント会場、駅構内、コンビニエンスストア、ショッピングセンタ、ホテルなどの人目に付きやすい場所に設置されている。スクリーン10は、平行光線の透過度などの透明度を調節することができる板状の調光ガラスを基材とし、アンテナ11、電源端子12などを備えている。スクリーン10は、電源端子12に外部から電力が供給されている電源ONの場合には、調光ガラスが透明となり、透明な窓のような状態となる。一方、電源OFFの場合には、スクリーン10は、調光ガラスが不透明な白濁状態となり、投影によって画像を表示するスクリーンとして機能する。 【0018】 図2は、スクリーン10の構成を説明するための概略断面図である。 図2に示すように、スクリーン10は、調光ガラスの内部にアンテナ11が設けられた構造を有している。スクリーン10は、液晶などの調光材料からなる液晶層13の両面を透明導電層14A,14Bで挟み、透明導電層14A,14Bの外側を透明なポリマーシート15A,15Bで挟みこんだ調光フィルム13,14A,14B,15A,15B(例えば、日本板硝子(株)製UMUフィルム(「UMU」は登録商標))と、アンテナ11とを2枚のガラス板16A,16B間に挟み込んで接着一体化して構成される。スクリーン10の観察側(観察者がいる側)の最表面は、板ガラス16Aであり、反対側の最表面は、板ガラス16Bとなっている。スクリーンとして機能する調光ガラスとしては、日本板硝子(株)製のウムスマートスクリーン(登録商標)などがある。」 「【0020】 アンテナ11は、リーダ30に接続され、リーダ30からの信号を電磁波に変えて送出し、ICタグ60から反射された電磁波を受けとる電磁誘導方式による無線通信を行う通信インターフェイスであって、表示面と対向するように板ガラス16A及びポリマーシート15A間に挟み込まれて設けられている。アンテナ11は、電磁波を送受することによって、スクリーン10の近傍のアンテナ11の通信範囲内に来たICタグ60を携帯する利用者を検出するためのセンサである。アンテナ11は、コイル型でも、ダイポール型でもよく、その形状は限定されないが、スクリーン10の表示の邪魔とならないよう、ダイポール型など、表示面に対して占有面積の小さいものが望ましい。 【0021】 図1に示すように、プロジェクタ20は、PC50に接続され、PC50の制御に応じて光をスクリーン10に投射し、画像をスクリーン10に対して拡大投影する投影機である。 リーダ30は、PC50及びICタグ60間の通信を媒介する通信インターフェイスであって、アンテナ11を介してICタグ60と電磁誘導方式の通信を行う。リーダ30は、アンテナ11によって電磁波の送受を行うことによって、無線信号を送出し、ICタグ60からの応答信号を受信する。 出力リレ40は、電源70及びスクリーン10の電源端子12に接続され、PC50の制御に応じて、電源70からスクリーン10への電力供給のON/OFFを切り替えるスイッチである。」 「【0025】 図3は、本発明によるスクリーン及びスクリーンシステムの実施例における動作を示すフローチャートである。以下、PC50による処理を中心に説明する。 ステップ100(以下、「ステップ」を「S」という。)において、スクリーン10は、電源がONに切り替えられており、利用者が透明なスクリーン10を通してその背景を見ることができる状態にある。また、リーダ30は、アンテナ11から応答要求信号を繰り返し放出している。 【0026】 S110において、ICタグ60を携帯する利用者がスクリーン10へ近づき、ICタグ60がアンテナ11の通信範囲内に入ると、PC50は、ICタグ60からの応答に基づいて、ICタグ60を検出する。PC50は、ICタグ60に記憶されている個別情報を読み出し(S120)、対応するコンテンツを選択し、そのデータを読み出す(S130)。PC50は、出力リレ40によってスクリーン10の電源をOFFに切り替え、スクリーン10を不透明な状態とする(S140)。PC50は、読み出したコンテンツのデータをディスプレイへ出力して表示するとともに、コンテンツのデータをプロジェクタ20へ送信してコンテンツをスクリーン10に表示する(S150)。 PC50は、コンテンツ再生中に同一のICタグ60を検出し続けることができなくなるなど、終了指示があった場合(S160)には、PC50のディスプレイ及びスクリーン10におけるコンテンツの表示を終了し(S180)、スクリーン10の電源をONに切り替え(S190)、処理を終了する(S200)。また、コンテンツが終了した場合(S170)には、同様に、スクリーン10の電源をONに切り替え(S190)、処理を終了する(S200)。PC50は、待機状態(S100)となり、再びICタグ60を検出した場合には、同様の処理を繰り返す(S110からS180まで)。」 「【0034】 スクリーンシステム1は、プロジェクタ20側と、観察側が異なる背面投射式(リア式)で画像をスクリーン10に表示しているが、観察側から投射する正面投射式(フロント式)で画像をスクリーン10に表示してもよく、スクリーン10への光の投射方向などの投射方法は限定されない。 また、スクリーンシステム1は、スクリーン10の両面を観察側とし、双方の面からICタグ60を検出してもよい。」 「【0037】 スクリーンシステム1は、スクリーン10の近傍にICタグ60を携帯する利用者が来た場合に、スクリーン10にコンテンツを表示するが、通常、コンテンツを表示しておき、利用者が来た場合にスクリーン10を透明に切り替えてもよい。また、スクリーンシステム1は、スクリーン10の状態を透明、不透明の二つのパターンの透明度の状態だけでなく、半透明など、より多くの透明度の状態を切り替えてもよい。更に、スクリーンシステム1は、コンテンツを表示するタイミングをICタグ60から読み出した情報に応じて変えてもよい。ICタグ60の接近や、ICタグ60から読み出した情報に応じて、スクリーン10の透明度をどう調節するか、また、どのようなコンテンツをどのようなタイミングで表示するかは任意に設定することが可能である。」 「図2 」 図2には,アンテナ11が,スクリーン10の観察側(観察者がいる側)の面において,ICタグ60と通信を行うことが記載されている。 (2)上記記載から,引用文献1には,次の発明(以下,「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 「 スクリーンシステム1であって, スクリーンシステム1は,スクリーン10,プロジェクタ20,リーダ30,出力リレ40,PC50,ICタグ60などを備え,スクリーン10の近傍にICタグ60を携帯する利用者が来た場合に,プロジェクタ20からスクリーン10へ画像を投射し,表示するシステムであり, スクリーン10は,平行光線の透過度などの透明度を調節することができる板状の調光ガラスを基材とし,アンテナ11,電源端子12などを備えており,電源端子12に外部から電力が供給されている電源ONの場合には,調光ガラスが透明となり,透明な窓のような状態となり,一方,電源OFFの場合には,スクリーン10は,調光ガラスが不透明な白濁状態となり,投影によって画像を表示するスクリーンとして機能するものであり, スクリーン10は,調光ガラスの内部にアンテナ11が設けられた構造を有しており,アンテナ11を2枚のガラス板16A,16B間に挟み込んで接着一体化して構成され, アンテナ11は,リーダ30に接続され,表示面と対向するように設けられており,電磁波を送受することによって,スクリーン10の近傍のアンテナ11の通信範囲内に来たICタグ60を携帯する利用者を検出するためのセンサであり,コイル型でもよいものであり, プロジェクタ20は,PC50に接続され,PC50の制御に応じて光をスクリーン10に投射し,画像をスクリーン10に対して拡大投影する投影機であり, スクリーン10は,電源がONに切り替えられているときは,利用者が透明なスクリーン10を通してその背景を見ることができる状態にあり, PC50は,ICタグ60を携帯する利用者がスクリーン10へ近づき,ICタグ60がアンテナ11の通信範囲内に入ると,ICタグ60に記憶されている個別情報を読み出し,対応するコンテンツを選択し,そのデータを読み出し,出力リレ40によってスクリーン10の電源をOFFに切り替え,スクリーン10を不透明な状態とし,読み出したコンテンツのデータをプロジェクタ20へ送信してコンテンツをスクリーン10に表示し, PC50は、スクリーン10におけるコンテンツの表示が終了した場合には、スクリーン10の電源をONに切り替え、 アンテナ11は,スクリーン10の観察者がいる側である観察側の面において,ICタグ60と通信を行い, スクリーンシステム1は,プロジェクタ20側と,観察側が異なる背面投射式(リア式)で画像をスクリーン10に表示しており, スクリーン10の状態は,透明,不透明の二つのパターンの透明度の状態だけでなく,半透明など,より多くの透明度の状態を切り替えてもよく,スクリーン10の透明度をどう調節するかは任意に設定することが可能である スクリーンシステム1。」 2 引用文献2 (1)当審拒絶理由通知において引用文献2として引用された特開2001-147755号公報(平成13年5月29日出願公開。以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに次の記載がある。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) 「【0032】クロスプラットフォームのRFID標準はまだ開発されていないが、当発明者は特に、1999年3月にモトローラ社によってその子会社であるインダーラ・コーポレーションを通して発表されたバイタティックス(BiStatix)技術を実施するRFIDタグが好ましいと考える。バイタティックス、モトローラ、及びインダーラ社という名称はすべて商標である。 【0033】バイタティックス技術に関する完全な詳細はインダーラ社のウェブサイトから入手できる。そのホームページは http://129.188.106.11/LMPS1Indaialindex.html. である。簡単に言うと、通常のRFIDシステムが誘導結合の原理で働くのに対して、バイタティックスは容量結合の原理で働く。バイタティックスタグは、表面積3mm2未満で厚みが250ミクロン未満の小さな薄いシリコンチップで、カーボンインクなどのプリント電極に装着され、カーボンインクはチップと適当な読み取り機との間の無線通信用アンテナとして働く。 ・・・(中略)・・・ 【0035】もちろん、バイタティックスタグ コンポーネントを、薄板状IDカードのような比較的に剛い基板に適用することも可能である。」 「【0056】本実施例では、タグ28内に格納されている同定データにはウェブアドレス38及びアプリケーションアドレス40が含まれており、したがって読み取り機18から再構築されたデータを受信すると、パソコン20はアプリケーションアドレス40に適したプラウザアプリケーション42を起動し、モデム46を介してインターネット44から特定されたウェブアドレスのウェブページを探索しロードするようにプラウザ42に指令を出す。一旦そのウェブページがロードされると、パソコン20内に装備されているディスプレイドライバ48が液晶プロジェクタ22にそのウェブページをガラスの頂部14の下面に投影させてユーザーが見えるようにし、オプションとしてたとえばタッチスクリーンオーバーレイ(図示せず)等の手段で利用できるようにする。」 3 引用文献3 (1)当審拒絶理由通知において引用文献3として引用された特開昭62-198846号公報(昭和62年9月2日出願公開。以下,「引用文献3」という。)には,図面とともに次の記載がある。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) 「 天井12に固定されたプロジェクター11の投写画像は、壁13の上部に固定された透過型表示装置の投写口4より入り、反射ミラー5により反射して透過型スクリーン2に至り表示される。」(第2頁左下欄第9~12行) 「第3図 」 第3図には,透過型スクリーン2の背面に投写されること,及び,透過型スクリーン2が水平方向から傾いた状態、特に,その上端が下端より壁から遠い状態で壁13に固定されていることが記載されている。 4 引用文献4 (1)当審拒絶理由通知において引用文献4として引用された実願平2-42130号(実開平4-2181号)のマイクロフィルム(平成4年1月9日出願公開。以下,「引用文献4」という。)には,図面とともに次の記載がある。 「第1図 」 第1図には,スクリーン4の背面に投写がなされること,スクリーン4が水平方向から傾いた状態、特に,その上端が下端より壁から遠い状態で壁に取り付けられていること,及び,その一端が壁に取り付けられ,壁から水平方向に突出した部分(図中,ミラー8の下方にある斜線の部分)に,スクリーン4の一部が取り付けられていることが記載されている。 5 引用文献5 (1)当審拒絶理由通知において引用文献5として引用された特開2003-122283号公報(平成15年4月25日出願公開。以下,「引用文献5」という。)には,図面とともに次の記載がある。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) 「【0010】画像表示部11は、動画や静止画を表示するディスプレイである。本実施形態では、画像表示部11は、ディスプレイ面に金属を含まないタイプのものであり、例えば、プロジェクションスクリーンに画像を投影するプロジェクションディスプレイなどである。画像表示部11の周囲には、ベゼル部11aが設けられている。 【0011】アンテナ12は、ベゼル部11aの全周に形成されたループコイルである。アンテナ12は、商品に貼付された非接触ICタグに記録されているタグ情報を読み出す。電磁誘導方式の非接触ICタグを使用する場合、アンテナ12は、例えば、13.56MHzの質問電波を一定間隔で送出している。このとき、非接触ICタグが近づくと、非接触ICタグのループアンテナに電磁誘導が生じ、電力が生じる。非接触ICタグは、この電力を利用して、メモリに記録されているタグ情報を含む応答電波を送信する。アンテナ12は、この応答電波を受信して、非接触ICタグのタグ情報を読み出す。また、アンテナ12は、タグ情報を受信すると、そのタグ情報をコントローラ20に出力する。タグ情報は、例えば、商品のメーカ名、銘柄等の情報を含んでいる。 ・・・(中略)・・・ 【0013】図3は、コントローラの動作を中心として、第1実施形態の画像表示装置の動作を説明するフローチャートである。画像表示装置10に商品60が翳され、アンテナ12で非接触ICタグ50のタグ情報を受信したら、コントローラ20は、処理を開始する(S101)。そして、コントローラ20は、このタグ情報に関連する画像を画像表示部11に表示する(S102)。」 6 引用文献6 (1)当審拒絶理由通知において引用文献6として引用された特開2012-2957号公報(平成24年1月5日出願公開。以下,「引用文献6」という。)には,図面とともに次の記載がある。(当審注:下線は,参考のために当審で付与したものである。) 「【0054】 また、図9に示す変形形態のインタラクティブボード90-2,90-3は、スクリーン10の四辺を保持する枠状の支持部材94と、支持部材94と連結され、これを壁面Hへ固定する固定部材95とを有している。このインタラクティブボード90-2,90-3は、支持部材94及び固定部材95により、投影機の投射距離に応じて所定の間隔をあけた状態で壁面Hに固定されている。 図9に示す固定部材95は、スクリーン10の下方側が開口となった略矩形の筒状の部材であり、スクリーン10の上辺側及び左右両辺の支持部材94と連結されており、壁面Hにスクリーン10及び支持部材94を固定しており、スクリーン10と壁面Hとの間の空間のうち、スクリーン10の上側の面及び左右の側面を覆うように設けられている。この固定部材95は、例えば、略矩形のスクリーン10の上辺側の支持部材94と固定され、壁面Hに固定されるものとしてもよいし、固定部材95の形状は使用環境や壁面の状況等に応じて自由に設計してよい。 【0055】 このように、壁面Hに固定されて設置されるインタラクティブボード90-2,90-3の場合、例えば、図9(a)に示すように、ミラー部621を備える投影機62をスクリーン10の下方に配置し、映像光Lをミラー部621で反射してスクリーン10の背面に投影してもよいし、図9(b)に示すように、壁面Hにミラー部96を配置し、スクリーン10の下方に配置された投影機60からの映像光Lをミラー部96で反射させてスクリーン10の背面側へ投影してもよい。 このような構成とすることにより、スクリーン10が壁面に固定されるので、使用者Sがスクリーン10の表面に筆記する際にスクリーン10の観察面にかかる力によって、スクリーン10が揺れて映像が見にくくなるという問題を低減できる。また、壁面Hに固定されるので、背面側からスクリーン10に入射する不要な光を低減でき、コントラストの低下を低減できる。」 「図9 」 図9(a)には,スクリーン10を固定部材95及び支持部材94により壁面Hに固定すること,及び,壁面Hに固定されたスクリーン10の背面側から投影を行う投影機62を,スクリーン10と壁面Hの間に配置することが記載されている。 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明1とを対比する。 ア 引用発明1の「アンテナ11」は,「電磁波を送受することによって,通信範囲内に来たICタグ60を携帯する利用者を検出する」ものであるから,磁界を発生させるものであることが明らかである。 また,引用発明1の「アンテナ11」は,「コイル型」でもよいものである。 したがって,本願発明1の「コイル」と引用発明1の「アンテナ11」とは,後記する点で相違するものの,「磁界を発生させるコイル」である点において一致する。 イ 引用発明1の「スクリーン10」は,「板状の調光ガラスを基材とし,」「調光ガラスの内部にアンテナ11が設けられた構造を有して」いることから,アンテナ11「が組み込まれた」ものであるといえる。 また,引用発明1の「スクリーン10」が板状部材により構成されていることは,図2の記載から明らかである。 よって,本願発明1の「板状部材」と引用発明1の「スクリーン10」とは,上記アでの検討も踏まえると,後記する点で相違するものの,「磁界を発生させるコイルが組み込まれた板状部材」である点において一致する。 ウ 引用発明1のICタグ60に記憶されている「個別情報」は,記録された情報であることが明らかである。 また,本願発明1の「セキュリティカード」と引用発明の「ICタグ60」とは,情報を記録する「情報記録媒体」である点において共通するといえる。 よって,本願発明1のセキュリティカードに記録された「認証に関する情報」と引用発明1のICタグ60に記憶されている「個別情報」とは,「情報記録媒体に記録された情報」である点において共通する。 エ 引用発明1は,「ICタグ60を携帯する利用者がスクリーン10へ近づき,ICタグ60がアンテナ11の通信範囲内に入ると,ICタグ60に記憶されている個別情報を読み出」すものであり,また,上記ウでの検討から,ICタグ60は情報記録媒体であるといえるから,引用発明1の,内部にアンテナ11が設けられた「スクリーン10」は,ICタグ60に記憶されている「個別情報」を読み出すことができる情報記録媒体読取部であるといえる。 また,引用発明1の「アンテナ11」は,「スクリーン10の観察者がいる側である観察側の面において,ICタグ60と通信を行」うものであり,引用発明1は,「プロジェクタ20側と,観察側が異なる背面投射式(リア式)で画像をスクリーン10に表示」するものであるところ,上記「観察側」が,いわゆる正面側であることが明らかであるから,引用発明1の,内部にアンテナ11が設けられた「スクリーン10」は,正面側のスクリーン10の面において,上記「個別情報」を読み出すことができるといえる。 よって,本願発明1の「カード読取部」と引用発明1の「スクリーン10」とは,上記ア~ウでの検討も踏まえると,後記する点で相違するものの,「磁界を発生させるコイルが組み込まれた板状部材を有し、前記板状部材における正面側の前記板状部材の面において情報記録媒体に記録された情報を読み取ることができる情報記録媒体読取部」である点において一致する。 オ 引用発明1の「スクリーンシステム1」は,「スクリーン10」を備えるものであるから,上記エでの検討を踏まえると,スクリーン10と同様に,ICタグ60に記憶されている個別情報を「読み出す」ことができる読取システムであるといえる。 そして,上記ウで検討したとおり,本願発明1の「セキュリティカード」と引用発明の「ICタグ60」とは,情報を記録する「情報記録媒体」である点において共通するといえる。 してみると,引用発明1の「スクリーンシステム1」と本願発明1の「カード読取システム」とは,「情報記録媒体を読み取る情報記録媒体読取システム」である点において共通する。 カ 引用発明1の「プロジェクタ20」は,「光をスクリーン10に投射し,画像をスクリーン10に対して拡大投影する投影機であ」るから,本願発明1の「投射部」に相当する。 また,引用発明1は,「ICタグ60に記憶されている個別情報を読み出し,対応するコンテンツを選択し,そのデータを読み出し,」「読み出したコンテンツのデータをプロジェクタ20へ送信してコンテンツをスクリーン10に表示」するものであるところ,引用発明1の「プロジェクタ20」は,上記「個別情報」に対応するコンテンツの画像をスクリーン10に表示」するものであるといえる。 さらに,引用発明1の「スクリーンシステム1」は,「プロジェクタ20側と,観察側が異なる背面投射式(リア式)で画像をスクリーン10に表示して」いることから,「スクリーン10」の観察側と反対側の面に画像を表示しているといえる。 そして,引用発明1の「プロジェクタ10」は,スクリーン10から隔離された位置であって,「スクリーン10」に画像を表示することができる位置に配置されていることが明らかであり,また,このことから,スクリーン10の内部に設けられた「アンテナ11」から隔離された位置に配置されているともいえる。 したがって,本願発明1の「投射部」と引用発明1の「プロジェクタ20」とは,上記ア~ウでの検討も踏まえると,後記する点で相違するものの,「前記コイルから隔離された位置であって前記板状部材の面に投射可能な位置に配され、前記情報に応じた画像を投射することができる投射部」である点,及び,「前記板状部材に画像を投射することができる位置に配され」る点において一致する。 キ 引用発明1の「スクリーン10」は,「電源ONの場合には,調光ガラスが透明となり,透明な窓のような状態となり,一方,電源OFFの場合には,スクリーン10は,調光ガラスが不透明な白濁状態となり,投影によって画像を表示するスクリーンとして機能するものであり」,また,「電源がONに切り替えられているときは,利用者が透明なスクリーン10を通してその背景を見ることができる状態にあ」り,さらに,「コンテンツの表示が終了した場合には、スクリーン10の電源をONに切り替え」るものである。 してみると,引用発明1の「スクリーン10」は,投影によって画像を表示する際には「不透明な白濁状態となり」,また,コンテンツの表示が終了し,表示を行わない場合には,「透明となり」「利用者が透明なスクリーン10を通してその背景を見ることができる状態にあ」るものといえる。 よって,本願発明1の「板状部材」と引用発明1の「スクリーン10」とは,上記ア~ウ,カでの検討も踏まえると,後記する点で相違するものの,「前記投射部による前記画像の投影が行なわれている状態では、前記板状部材の表面に前記画像が視認可能に形成され」「、かつ前記投射部による前記画像の投射が行なわれていない状態では、前記板状部材の背後」「を視認可能な透明度を有する」ものである点において,さらに一致する。 ク 以上から,本願発明1と引用発明1とは,以下の点で一致し,また,相違する。 (一致点) 「 情報記録媒体を読み取る情報記録媒体読取システムであって、 磁界を発生させるコイルが組み込まれた、板状部材を有し、前記板状部材における正面側の前記板状部材の面において前記情報記録媒体に記録された情報を読み取ることができる情報記録媒体読取部と、 前記コイルから隔離された位置であって前記板状部材の面に投射可能な位置に配され、前記情報に応じた画像を投射することができる投射部と、を備え、 前記投射部は、前記板状部材に画像を投射することができる位置に配され、 前記板状部材は、前記投射部による前記画像の投影が行なわれている状態では、前記板状部材の表面に前記画像が視認可能に形成され、かつ前記投射部による前記画像の投射が行なわれていない状態では、前記板状部材の背後を視認可能な透明度を有する、情報記録媒体読取システム。」 (相違点1) 本願発明1は,「入退出におけるセキュリティカード」に記録された「認証に関する情報」を読み取る「カード読取システム」であるのに対し,引用発明1は,「ICタグ60」に記録された「個別情報」を読み取る「スクリーンシステム1」である点。 (相違点2) 本願発明1の「板状部材」は,「全体が半透明」であり,また,画像の投影が行われている状態では「前記板状部材の表面に前記画像が視認可能に形成される程度に半透明であ」り,さらに,画像の投影が行われていない状態では「前記板状部材の背後に存在する壁」「を視認可能な透明度を有する」のに対し,引用発明1の「スクリーン10」は,「全体が半透明」であることは特定されておらず,また,画像の投影が行われている状態では「前記板状部材の表面に前記画像が視認可能に形成され」るものではあるものの,これが「半透明であ」ることについては特定されておらず,さらに,前記画像の投射が行なわれていない状態では「前記板状部材の背後」「を視認可能な透明度を有する」ものの,当該透明度が半透明であることは特定されていない点。 (相違点3) 本願発明1の「板状部材」は,「水平方向から傾いた状態で壁に取り付けられ」るものであって,その「正面側」は「前記壁の側を向いた面とは反対側であ」り,さらに,その「前記壁の側を向いた面」に投射可能であるのに対し,引用発明1の「スクリーン10」は,そのような特定がなされていない点。 (相違点4) 本願発明1の「コイル」は,「前記カード読取部のうち前記画像が投射される領域を取り囲むように配されて」いるのに対し,引用発明1の「アンテナ11」は,そのような特定がなされていない点。 (相違点5) 本願発明1の「投射部」は,セキュリティカードに記録された認証に関する情報に応じた「認証の可否を示す画像」を板状部材に投射することができるものであるのに対し,引用発明1の「プロジェクタ20」は,そのような特定がなされていない点。 (2)判断 事案に鑑み,相違点1及び5について,先に検討する。 上記「第5 1(1)」における引用文献1からの引用記載にあるように,引用発明1は,「観察者に強い印象を与えることが可能なスクリーン及びスクリーンシステムを提供すること」(【0004】)を解決すべき課題とするものであり,当該課題に鑑みた具体的な実施の態様として,「スクリーン10は、街角、イベント会場、駅構内、コンビニエンスストア、ショッピングセンタ、ホテルなどの人目に付きやすい場所に設置され」(【0017】)ることを想定しているものであると認められる。 他方,本願発明1は,「入退出におけるセキュリティカードを読み取るカード読取システム」であって,「前記セキュリティカードに記録された認証に関する情報を読み取」り,当該認証に関する「情報に応じた認証の可否を示す画像を投射する」ものであるが,一般に,かような入退出における認証においては,認証に関する情報は他者には秘匿されるべきものであり,認証のためのシステムも目立たないほうがより望ましいことが,本願出願前において社会通念上広く認識されていたものである。 してみると,観察者に強い印象を与えることが可能なスクリーンの提供を目的とし,人目に付きやすい場所に設置されることがその実施態様として想定されている引用発明1を,本願発明1のような,入退出における認証の用途に供すること,すなわち,ICタグ60に入退出における認証に関する情報を記録しておき,これをスクリーンシステム1が読み取り(相違点1に係る構成),かつ,読み取った認証に関する情報に応じた認証の可否を示す画像をスクリーン10に投射する(相違点5に係る構成)ように構成することは,本願出願時の社会通念に照らし,これを行う動機は存在せず,むしろ阻害事由が存在するというべきものである。 そして,上述のような,引用発明1を入退出における認証の用途に供することは,引用文献2-6のいずれにも記載されておらず,また,これを示唆する記載も認められず,さらに,当該事項は,本願出願前において周知の事項でもない。 かかる事情に照らせば,当業者といえども,引用発明1及び引用文献2-6に記載された技術的事項から相違点1及び5に係る本願発明1の上記構成を容易に想到することは,到底行い得ないものというべきである。 よって,相違点2-4について判断するまでもなく,本願発明1は,当業者であっても,引用発明1及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2 本願発明2-6について 本願発明2-6は,相違点1及び5に係る本願発明1の構成と同一の構成を備えるものであるから,本願発明1と同じ理由により,当業者であっても,引用発明1及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 令和2年7月22日付けの補正により,補正後の請求項1-6は,「入退出におけるセキュリティカードに記録された認証に関する情報を読み取」り,当該認証に関する「情報に応じた認証の可否を示す画像を投射する」という技術的事項を有するものとなった。当該技術的事項は,上記「第6 1」で検討したとおり,原査定における引用文献1-5(当審拒絶理由通知における引用文献5,2,6,3,4)には記載されておらず,本願出願前における周知技術でもないので,本願発明1-6は,当業者であっても,原査定における引用文献1-5に基づいて容易に発明できたものではない。したがって,原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり,本願発明1-6は,当業者が引用発明1及び引用文献2-6に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。 また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。

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2019-009434

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