特許拒絶査定不服審判
2019-005698
樹脂成形品の製造方法
- 審判番号
- 2019-005698
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-255992外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年04月26日
- 審決日
- 2020年07月13日
- 公報発行日
- 2020年10月30日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-Z (B29C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-255992「樹脂成形品の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月23日出願公開、特開2016-112867〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成26年12月18日の出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
平成30年 7月31日付け:拒絶理由通知
平成30年10月 5日 :意見書及び手続補正書の提出
平成31年 1月24日付け:拒絶査定
平成31年 4月26日 :審判請求書の提出
第2 本願発明について
1 本願発明
本願の請求項1ないし4に係る発明は、平成30年10月 5日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし4に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「射出ユニットと、
金型内の樹脂のみを圧縮し得る圧縮用突出しピンを備える、前記射出ユニットに接続された金型と、
を有する射出成形機を用いて、脂環式構造を有する樹脂を射出成形して樹脂成形品を製造する方法であって、
前記金型が、射出ユニットとの接続部を有する固定側型板と、可動側型板と、を有するものであり、
溶融状態の樹脂を、射出ユニットの先端のノズルから、20~150tの型締力で型締めを行った金型内に射出注入する工程(工程I)、及び、
工程Iの後、射出ユニット側から金型内の樹脂に保圧をかけるとともに、圧縮用突出しピンを金型内に押し込み、金型内の樹脂に200~1,500kgf/cm2の圧縮力を加える工程(工程II)、
を有することを特徴とする、樹脂成形品の製造方法。」
2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、要するに、この出願の請求項1に係る発明は、本願の出願前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである、との理由を含むものである。
(引用文献)
引用文献1:特開2000-6216号公報
引用文献2:特開2008-119890号公報
引用文献3:特開2007-15312号公報
引用文献4:特開2006-2024号公報
3 引用文献の記載事項等
(1) 引用文献1の記載事項等
ア 引用文献1の記載事項
引用文献1には、「光学成形品の射出圧縮成形方法」に関し、図面とともに次の記載がある。(なお、下線は合議体が付したものである。以下、同様 。)
「【請求項1】 熱可塑性樹脂からなる光学成形品を射出圧縮成形する方法において、(1)目的とする光学成形品の容積よりもキャビティの容積を拡大させ、(2)そのキャビティ内に溶融熱可塑性樹脂を射出シリンダーを通じて射出させ、(3)次いで拡大されたキャビティを成形品の規定の厚み、またはその厚みより200μm小さい厚みまで圧縮させ、(4)射出シリンダーにおける樹脂圧とキャビティにおける圧縮圧とを、最終的に成形品の規定の厚みとなるように、成形品の規定の厚みよりも変動幅が100μmを越えない範囲で調整するか変動させ、(5)溶融熱可塑性樹脂がキャビティ内で目的とする成形品が形成するまで保持し、次いで、(6)得られた成形品をキャビティから取り出す、ことを特徴とする光学成形品の射出圧縮成形方法。
・・・
【請求項3】 前記工程(4)において、射出シリンダーにおける樹脂圧とキャビティにおける圧縮圧とを、最終的に成形品の規定の厚みとなるように、成形品の規定の厚みよりも変動幅が100μmを越えない範囲で変動させる請求項1又は請求項2記載の光学成形品の射出圧縮成形方法。
【請求項4】 光学成形品がレンズである請求項1~3のいずれか1項記載の光学成形品の射出圧縮成形方法。」
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は射出成形方法において光学成形品を得る場合に適用する。更に詳しくはポリカーボネート樹脂製の眼鏡レンズ等の熱可塑性樹脂製レンズを射出圧縮成形方法で製造する方法において、面精度に優れ光学特性のよい射出圧縮成形方法に関する。」
「【0020】型締め圧縮法とは、固定側可動側それぞれの金型パーティング面を所定の間隔だけ開いた状態にし、樹脂を射出し、その後型締め力によりパーティング面を接触させ圧縮する手法をさす。コア圧縮法とは、射出前の型締めでは金型のそれぞれのパーティング面を接触させ、所定の型締め力をかけて樹脂を射出する。射出後圧縮工程では、成型機、金型等に設置され圧縮機構により鏡面をキャビティーの容積が縮小される方向に前進させ圧縮させる。ここでいう圧縮機構とは、油圧シリンダー、ボールネジ等をさす。」
「【0032】本発明の射出圧縮成形法の概念を図2に示す。本発明では圧縮力10への反力を金型構造部品から発生させるのでなく、射出シリンダーよりの樹脂圧13によって発生させる。そのため、圧縮圧10が充分にキャビティーに伝わり、また圧縮圧10を増減させ制御すると圧縮圧10が直接キャビティーの圧力として反映される。圧縮工程では、樹脂圧13を圧縮圧10より低く設定し、キャビティーの圧縮をおこなう。その後、キャビティーの代表厚みが光学成形品の所定の厚みに達した後、樹脂圧と圧縮圧を調整もしくは変動させキャビティーの代表厚みを、最終的には光学成形品の所定の厚みの規格内に制御する。従来の技術ではできなかった保圧工程中の圧縮圧10によるキャビティー3内の圧力コントロールが本発明では可能であり十分な圧縮圧力を確保することができる。
【0033】ここで述べる圧縮工程とは、拡大されたキャビティーの代表厚みが所定の厚みまでもしくはその厚みより更に200μm小さい厚みまで、好ましくは20~200μm、さらに好ましくは20~180μm少ない厚みまで圧縮されるまでの工程を指す。ここで述べる保圧工程とは、圧縮工程完了してから射出成型機が計量にはいるまでの工程を指す。」
「【0063】[実施例4]ビスフェノールAとホスゲンから合成された粘度平均分子量22500のポリカーボネート樹脂100重量部に紫外線吸収剤2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチル)-ベンゾトリアゾール0.3重量部、熱安定剤トリス(ノニルフェニル)ホスファイト0.03重量部および離型剤ステアリン酸モノグリセライド0.2重量部を配合し、住友重機(株)製の射出成形機(SYCAPSG220)にコア圧縮金型を用いて下記仕様の眼鏡用凸レンズの射出圧縮成形を行った。
前面曲率半径 97.67mm
後面曲率半径 -146.50mm
中心厚み 3.7mm
コバ厚み 1.0mm
レンズ外径 77.5mm
後面頂点焦点距離 500.0mm
圧縮前射出樹脂圧 56.8MPa
【0064】可動側レンズモールドを後退させ、射出前にキャビティをレンズ中心厚み5.1mm(拡大容積率約160%)まで拡大し、次いでキャビティに樹脂を充填したのち、樹脂圧が56.8MPaになった時、図3に示す方法によって成形した。圧縮工程では、可動側レンズモールドをレンズ中心厚3.7mmになるまで圧縮し、余剰の樹脂は射出シリンダーに返した。この時、圧縮量調整ロッドとダイセットは接触していない。このことは、圧縮ロッド先端に赤色のチョークをつけ、ダイセットに赤色のチョークが付着していないことにより確認した。余剰の樹脂がシリンダーに戻ったことは、射出ストローク測定機器の測定値が射出時と反対方向に増加することにより確認した。圧縮工程における樹脂圧は18.6MPaで掛けた時間は0.42秒、圧縮圧は102.56MPaで掛けた時間は0.42秒とした。その後保圧工程では樹脂圧を63.3MPa、圧縮圧を64.1MPaに設定しバランスを取った。この後、冷却が完了後にポリカーボネート樹脂製のプラス眼鏡レンズ(凸レンズ)を取り出した。圧縮量が保圧工程で135μm(圧縮量の変動幅)光学成形品が薄くなる方向に変動した。得られたポリカーボネート樹脂製のプラス眼鏡レンズの評価結果を表1に示す。」
「【図2】
」
「【図3】
」
イ 引用文献1に記載された発明
上記の記載、特に段落【0020】、【0032】及び実施例4の記載を中心にまとめると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「ビスフェノールAとホスゲンから合成された粘度平均分子量22500のポリカーボネート樹脂100重量部に紫外線吸収剤2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチル)-ベンゾトリアゾール0.3重量部、熱安定剤トリス(ノニルフェニル)ホスファイト0.03重量部および離型剤ステアリン酸モノグリセライド0.2重量部を配合し、住友重機(株)製の射出成形機(SYCAPSG220)に、図2で示されるコア圧縮金型を用い、射出前の型締めでは金型のそれぞれのパーティング面を接触させ、所定の型締め力をかけて樹脂を射出後、さらに圧縮することで射出圧縮成形を行う、眼鏡用凸レンズの製造方法であって、
可動側レンズモールドを後退させ、射出前にキャビティをレンズ中心厚み5.1mm(拡大容積率約160%)まで拡大し、次いでキャビティに樹脂を充填したのち、樹脂圧が56.8MPaになった時、図3に示す方法によって成形し、圧縮工程では、可動側レンズモールドをレンズ中心厚3.7mmになるまで圧縮するものであって、圧縮工程における樹脂圧は18.6MPaで掛けた時間は0.42秒、圧縮圧は102.56MPaで掛けた時間は0.42秒であり、その後保圧工程では樹脂圧を63.3MPa、圧縮圧を64.1MPaに設定した後、冷却が完了後にポリカーボネート樹脂製のプラス眼鏡レンズ(凸レンズ)を取り出すものである、
眼鏡用凸レンズの製造方法。」
(2) 引用文献2の記載事項
引用文献2には、「薄型の光学レンズ成形体の製造方法」に関し、次の記載がある。
「【0013】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る光学レンズ成形体の製造方法は、特定のゲートを有する金型装置により、環状オレフィン系樹脂を射出成形して、特定の形状を有する光学レンズ成形体を製造する方法である。
【0014】
1.環状オレフィン系樹脂
本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂としては、下記式(I)で表される環状オレフィン化合物から導かれる単位を有する(共)重合体が挙げられる。この(共)重合体は、上記環状オレフィン化合物を含む単量体を重合して得られる。
【0015】
【化1】
【0016】
(式中、R1~R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、1価の炭化水素基または極性基を示し、R1およびR2、またはR3およびR4は、一体化して2価の有機基を形成してもよく、R1またはR2と、R3またはR4とで互いに結合して単環構造または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数を示し、pは0または正の整数を示す。)
上記式(I)において、R1およびR3がそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数が好ましくは1~10、より好ましくは1~4、特に好ましくは1もしくは2の炭化水素基であり;R2およびR4のうちの一方が水素原子であり、他方が上記1価の極性基であることがより好ましい。この場合、R1またはR3で表される上記炭化水素基としては、アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。さらに、R2およびR4のうちの一方が、下記式(II)で表される極性基である環状オレフィンを用いると、さらに、高いガラス転移温度および低い吸湿性を有するとともに、各種材料との密着性に優れた環状オレフィン系樹脂が得られる点で好ましい。」
【0077】
3.金型装置
本発明において、上記環状オレフィン系樹脂を射出成形する際に用いる金型装置では、図1(a)に示すように、キャビティーとゲートとが、ゲート開口部を介して結合している。上記キャビティーは、光学レンズ成形体に対応する形状を有しており、光学レンズ成形体の鍔部、凹部およびレンズ部それぞれに対応する空間部を有する。また、上記金型装置において、上記ゲートは、キャビティーとランナー(図示せず)とを接合している。」
「【0087】
4.射出成形
本発明では、上記ゲートを有する金型装置により、上記環状オレフィン系樹脂を射出成形して、上記形状を有する光学レンズ成形体を製造する。
【0088】
射出成形に用いられる射出成形機は、上記金型装置を使用できれば特に限定されないが、たとえば、シリンダーの方式としてはインライン方式、プリプラ方式;駆動方式としては油圧式、電動式、ハイブリッド式;型締め方式としては直圧式、トグル式;射出方向としては横型、縦型などが挙げられる。また、型締め方式は射出圧縮できるものでもよい。シリンダー径および型締め力は目的の成形品の形状により決まるが、一般に成形品の投影面積が大きい場合は型締め力を大きくすることが好ましく、成形品の容量が大きい場合はシリンダー径の大きくすることが好ましい。」
(3) 引用文献3の記載事項
引用文献3には、「樹脂成形体の製造方法」に関し、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、樹脂成形体の製造方法に関し、さらに詳しくは低複屈折性に優れ、高精度の形状均一性が求められる光学素子を連続的に安定して得ることができる樹脂成形体の製造方法に関する。」
「【0014】
本発明の樹脂成形体の製造方法は、ガラス転移温度Tg(℃)の樹脂材料を高さ5mm以上40mm以下の成形体を得ることができる金型に充填し、充填した樹脂材料を固化させて樹脂成形体を形成し、これを、該樹脂材料のガラス転移温度よりも3~25℃低い温度α(℃)の金型から、式(1)の関係を満たす突き出し速度S(mm/s)で突き出して取り出すことを含むものである。
(α-Tg)×0.18+5.5≦S≦(Tg-α)×0.6+18.3 式(1)
【0015】
本発明に用いる樹脂材料は、光学素子の材料として使用されている樹脂材料であれば特に制限されず、例えば、(メタ)アクリレ-ト、ポリカ-ボネ-ト、ジエチレングリコ-ルビスアリルカ-ボネ-ト、ポリ4-メチルペンテン、脂環構造含有重合体などが挙げられる。これらのうち、光学特性の良好さと耐熱性の高さと低吸湿性とを兼ね備えた脂環式構造含有重合体が好適である。
【0016】
本発明で好適に用いられる脂環式構造含有重合体は、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有する重合体である。脂環式構造含有重合体中の脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。脂環式構造は主鎖にあっても良いし、側鎖にあっても良いが、機械強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4~30個、好ましくは5~20個、より好ましくは5~15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされる。
【0017】
本発明に使用される脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択されればよいが、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合がこの範囲にあるとフィルムの透明性及び耐熱性の観点から好ましい。
【0018】
この脂環式構造含有重合体の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び(1)~(4)の水素化物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体水素化物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素化物が好ましい。」
「【0035】
図1は本発明で用いる金型で得られる樹脂成形体1、ゲート2、ランナー3の形状の一例を示す斜視図である。
本発明の製法に用いる金型は、5mm以上40mm以下、好ましくは8mm以上30mm以下の高さhを有する成形体を得ることができるものである。高さhは突き出し方向6の成形体の最大長さを指す。突き出し方向は、通常、金型転写面の法線方向になるので、高さhは、通常、キャビティーの厚さ方向に相当する長さになる。例えば、fθレンズや台形プリズムのような台形状の成形体ではその台形の高さを、凸レンズでは凸部の厚さを指す。」
「【0039】
充填した樹脂材料は通常保圧を加えながら金型内で固化されて、樹脂成形体となる。保圧は、通常50~300MPa、好ましくは800~200MPaである。なお、樹脂材料に加わる圧力によって、通常の射出成形と射出圧縮成形とに分類されることもあるが、本発明においては、そのどちらでも構わない。」
(4) 引用文献4の記載事項
引用文献4には、「光拡散性樹脂組成物および拡散板」に関して、次の記載がある。
「【0001】
本発明は、殻構造を有する粒子を含有してなる光拡散性樹脂組成物、それを成形してなる光拡散性の板状の成形品、および液晶表示装置のバックライト、特に直下型のバックライトに好適に用いられる光拡散板に関するものである。」
「【0006】
本発明の光拡散性樹脂組成物には、環状オレフィン系樹脂を使用するが、係る環状オレフィン系樹脂としては、次のような(共)重合体が挙げられる。
(1)下記一般式(I)で表される特定単量体の開環重合体。
(2)下記一般式(I)で表される特定単量体と共重合性単量体との開環共重合体。
(3)上記(1)または(2)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体。
(4)上記(1)または(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体。
(5)下記一般式(I)で表される特定単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和共重合体。
(6)下記一般式(I)で表される特定単量体、ビニル系環状炭化水素系単量体およびシクロペンタジエン系単量体から選ばれる1種以上の単量体の付加型(共)重合体およびその水素添加(共)重合体。
(7)下記一般式(I)で表される特定単量体とアクリレートとの交互共重合体。
【0007】
【化1】
【0008】
〔式中、R1~R4 は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~30の炭化水素基、またはその他の1価の有機基であり、それぞれ同一または異なっていてもよい。R1とR2またはR3とR4は、一体化して2価の炭化水素基を形成しても良く、R1またはR2とR3またはR4とは互いに結合して、単環または多環構造を形成してもよい。mは0または正の整数であり、pは0または正の整数である。〕」
「【0075】
射出成形方法-(1)
下記の試験で使用するサンプルを射出成形にて行った。なお、射出成形速度は、100mm/sec、シリンダー温度は、樹脂のTg+140~160℃、金型温度は樹脂のTg-10~-20℃である。
※成形機
住友重機社製 SG75M-S(シリンダー径28mm、型締め75ton)
射出成形方法-(2):キャビティー減圧方法
キャビティー周囲に設けた10/1,000mmのクリアランスから減圧のための圧抜き孔を設け、外部より真空ポンプ[真空機工製社製G-50S(オイルロータリー真空ポンプ、吸引能50L/min)]を用いてキャビティを減圧にして射出成形を行った。射出開始時のキャビーティーの減圧度は、ゲージ圧で-0.08MPaであった。なお、射出成形速度は、100mm/sec、シリンダー温度は、樹脂のTg+140~160℃、金型温度は樹脂のTg-10~-20℃である。
※成形機
住友重機社製 SG75M-S(シリンダー径28mm、型締め75ton)
射出成形方法-(3):型締め圧縮成形
金型のキャビティーを5mmに広げた状態で、溶融樹脂を射出し、シリンダー側で測った樹脂圧を一定に保ちつつ、金型を3秒間押すことでキャビティーの間隔を1mmになるまで圧縮し、20秒間冷却後、金型を開き、成形品を得た。なお、射出成形速度は、100mm/sec、シリンダー温度は、樹脂のTg+140~160℃、金型温度は樹脂のTg-10~-20℃である。
※成形機
ソディック社製 TR80S2W(シリンダー径32mm、型締め100ton)
射出成形方法-(4):コア圧縮成形
金型の可動側コアを1.5mmに後退した状態で、溶融樹脂を射出し、充填完了時点より可動側コアを平均速度0.05mm/secで圧縮し、20秒間冷却後、金型を開き、成形品を得た。なお、射出成形速度は、100mm/sec、シリンダー温度は、樹脂のTg+140~160℃、金型温度は樹脂のTg-10~-20℃である。
※成形機
住友重機社製 SG75M-S(シリンダー径28mm、型締め75ton)
射出成形方法-(5):キャビティー減圧方法とコア圧縮成形の組み合わせ
金型の可動側コアを1.5mmに後退した状態で、キャビティー周囲に設けた10/1,000mmのクリアランスから減圧のための設けた圧抜き孔より真空ポンプ[真空機工製社製G-50S(オイルロータリー真空ポンプ、吸引能50L/min)]を用いてキャビティを減圧にした後、溶融樹脂を射出し、充填完了時点より可動側コアを平均速度0.05mm/secで圧縮し、20秒間冷却後、金型を開き、成形品を得た。
射出開始時のキャビーティーの減圧度は、ゲージ圧で-0.08MPaであった。なお、射出成形速度は、100mm/sec、シリンダー温度は、樹脂のTg+140~160℃、金型温度は樹脂のTg-10~-20℃である。
※成形機
住友重機社製 SG75M-S(シリンダー径28mm、型締め75ton)」
4 対比・判断
(1) 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の図2で示されるコア圧縮金型において、「台座8」と連結され「可動側鏡面2」を形成する部分は、圧縮工程において「キャビティ3」内の樹脂のみを圧縮しうるものであるから、本願発明の「圧縮用突出しピン」に相当する。
また、引用発明の図2からは、「固定側ダイセット5」が、本願発明の「固定側型板」に相当するとともに、射出ユニットとの接続部(ノズルタッチ部)を有すること、図2のパーティング面を挟んで「固定側ダイセット5」と対向する部分(図2では符号が振られていないが、符号2、4、7~9の圧縮工程時に移動可能な部分も含めた全体(パーティング面を示す線より左側で、図面でハッチングの付されている部分以外の白抜きで示されている部分(キャビティ3の部分を除く)全体)が、本願発明の「可動側型板」にあたることが看取できる。
さらに、引用発明はその材料が樹脂であること、工程上、射出シリンダー(「射出ユニット」に相当)より樹脂圧がかけられていること(段落【0032】)、圧縮圧の102.56MPaは概ね1046kgf/cm2に相当することも明らかである。
してみると、本願発明と引用発明は、
「射出ユニットと、
金型内の樹脂のみを圧縮し得る圧縮用突出しピンを備える、前記射出ユニットに接続された金型と、
を有する射出成形機を用いて、樹脂を射出成形して樹脂成形品を製造する方法であって、
前記金型が、射出ユニットとの接続部を有する固定側型板と、可動側型板と、を有するものであり、
溶融状態の樹脂を、射出ユニットの先端のノズルから、型締めを行った金型内に射出注入する工程(工程I)、及び、
工程Iの後、射出ユニット側から金型内の樹脂に保圧をかけるとともに、圧縮用突出しピンを金型内に押し込み、金型内の樹脂に200~1,500kgf/cm2の圧縮力を加える工程(工程II)、
を有する、樹脂成形品の製造方法。」
で一致し、次の点で相違する。
・相違点1
樹脂について、本願発明は「脂環式構造を有する」ものであるのに対して、引用発明は「ビスフェノールAとホスゲンから合成された粘度平均分子量22500のポリカーボネート樹脂」である点。
・相違点2
型締力について、本願発明は「20~150t」であるのに対して、引用発明には特定がない点。
(2) 判断
上記相違点について順次検討する。
・相違点1について
眼鏡用凸レンズなどの光学レンズを射出圧縮成形法により製造するにあたり、その材料として脂環式構造の樹脂を用いることは、引用文献2(段落【0014】~【0016】、【0077】、【0087】~【0088】)、引用文献3(段落【0016】~【0018】、【0035】、【0039】)に示されるように周知技術である。
したがって、引用発明において、光学レンズ用材料としてポリカーボネート樹脂に代えて周知技術である脂環式構造を有する樹脂を採用することは、当業者が適宜なしうることである。
・相違点2について
引用発明の眼鏡用凸レンズを製造するにあたり、その型締力を「20~150t」とすることは、引用発明における樹脂圧や圧縮圧及び技術常識を勘案し当業者が適宜設定しうる設計的事項にすぎず、かつ、その型締力の範囲も格別のものではない(必要ならば、引用文献4(段落【0075】)のほか、特開2007-107007号公報(段落【0139】。プラスチックレンズの成形において型締力30tの条件で実施)、特開平7-186291号公報(段落【0012】。レンズの成形において型締力50tの条件で実施)、特開2010-208105号公報(段落【0032】。ノルボルネン系ポリマーを用いたレンズの成形において、型締力50tonの条件で実施)を参照できる)。
(3) 審判請求人の主張について
審判請求人は、概ね次の主張をしている。
(主張1)
引用文献1においては、段落【0020】にコア圧縮金型を用いたことは記載されているが、実施例4は、射出前の型締めにおいて、「金型のそれぞれのパーティング面を接触させておらず」、コア圧縮法を行っているとはいえない。
(主張2)
「型締力20~150tで型締めを行った金型内に、樹脂を射出注入すること」は、技術常識ではない。
上記主張について検討する。
(主張1について)
上記(1)で検討のとおり、図2には、固定型ダイセット5と、パーティング面を接触している相手方が示されており、この「相手方」部分が本願発明の「可動側型板」にあたるものである。そして、可動側鏡面2を含む部分は、本願発明の「可動側型板」ではなく「圧縮用突出しピン」に相当すると解するのが合理的である。また、図2の可動側鏡面2だけでは、レンズ側面部を成形することができないことからも、可動側鏡面2を含むハッチング部分を「可動側型板」と認定することはできない。
そうすると、引用発明の「固定型ダイセット5」と上記相手方は、型締めされパーティング面を接触させたものであるといえる。
よって、主張1は採用できない。
(主張2について)
相違点2について検討したとおり、「型締力20~150tで型締めを行った金型内に、樹脂を射出注入すること」は、技術常識であるといえる。
よって、主張2も採用できない。
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第3 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-005698