意匠拒絶査定不服審判
2019-005288
Air freshener devices
- 審判番号
- 2019-005288
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2016-500492外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年04月22日
- 審決日
- 2019年12月20日
- 公報発行日
- 2020年02月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
- 【請求人代理人】特許業務法人東京アルパ特許事務所
- 分類
- D18 .4 -WY (C4-3)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第9条第1項、意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2016-500492「Air freshener devices」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成28年3月23日の国際意匠登録出願であって,その後の主な手続の経緯は以下のとおりである。
平成30年 8月24日付け 拒絶の通報
平成30年11月20日 意見書の提出
平成31年 1月30日付け 拒絶査定
平成31年 4月22日 審判請求書の提出
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,意匠に係る物品を「Air freshener devices」(参考訳:「芳香器」。以下,日本語訳で示す。)とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,意匠法第9条第1項の規定する最先の意匠登録出願人に係る意匠に該当しないとしたものである。
拒絶の理由に引用された意匠は,平成27年(2015年)5月15日の世界知的所有権機関への出願に基づくパリ条約による優先権の主張を伴う,平成27年11月12日の国際意匠登録出願であって,その後,平成29年6月2日に設定登録された,意匠登録第1580067号(意願2015-500632)の意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)であって,意匠に係る物品を「Air freshener devices」(参考訳:「芳香器」。以下,日本語訳で示す。)とし,その形態を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
第4 両意匠の対比
1 意匠に係る物品
意匠に係る物品は,両意匠共に「芳香器」である。
2 形態
(1)共通点
共通点1:全体は,正面視で略縦長楕円形の盤状体の本体を斜めに立たせたものであって,本体は,前カバーと,設置部を設けた後カバーから成り,前カバーと後カバーは,共に,外周面が傾斜した偏平な略楕円錐台形である。
共通点2:前カバーは,中央を,大きな浅いすり鉢状とし,その内壁部分が,前カバー外周面とほぼ同幅で傾斜した縦長楕円形の環状斜面(以下「すり鉢状部環状斜面」という。)となっており,すり鉢状部環状斜面の内側の縦長楕円形の部分は,すり鉢状部環状斜面の外周縁よりも少し突出するように曲面状に膨出している。
共通点3:本体の下側を水平にカットして底辺を形作り,そこから後カバーの底面を半円形状に後方に突出させて設置部としているものである。
(2)相違点
相違点1:すり鉢状部環状斜面について,本願意匠は,平滑面であって,何も設けていないのに対して,引用意匠は,多数の孔を放射状に設けたものである。
相違点2:前カバーの外周面とすり鉢状部環状斜面との境界について,本願意匠は,隙間を設け,左右両側の隙間を正面視三日月形状としたのに対して,引用意匠は,隙間を設けていないものである。
相違点3:すり鉢状部環状斜面の外周縁について,本願意匠は,側面視や平面視において凹凸の無い直線状であるのに対して,引用意匠は,側面視においては緩やかな凸弧状,平面視においては緩やかな凹弧状に表れる凹凸湾曲状としたものである。
相違点4:前カバーの底辺寄りの切り欠き部について,本願意匠は,設けていないのに対して,引用意匠は,設けたものである。
第5 類否判断
1 意匠に係る物品について
意匠に係る物品については,両意匠共に「芳香器」であり,その使用目的及び使用状態が一致するから,同一である。
2 形態について
(1)共通点の評価
共通点1ないし3から成る形状は,両意匠に一定の共通感をもたらしているが,全体の形状を概括したまでのものであるから,両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きいとはいえない。
(2)相違点の評価
相違点1及び相違点2は,本願意匠における前カバーの外周面とすり鉢状部環状斜面との境界に設けた隙間と,引用意匠におけるすり鉢状部環状斜面に設けた孔が,芳香を放つ部分であって,意匠の要部と認められ,目に付きやすい正面における相違であるから,相違点1及び相違点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
相違点3は,引用意匠におけるすり鉢状部環状斜面の外周縁の凹凸湾曲の程度は大きなものではないが,目に付きやすい正面における相違であるから,相違点3が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。
相違点4は,底辺寄りの相違であり,目立たないものであるから,相違点4が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
(3)形態の類否判断
上述の両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づけば,共通点1ないし3を備えた形状は,両意匠に一定の共通感をもたらしているとしても,芳香を放つ部分の相違(相違点1及び相違点2)が,すり鉢状部環状斜面の外周縁を凹凸湾曲状としたか否かの相違(相違点3)と合わさって,異なる美感を起こさせるから,両意匠の形態は類似するものではない。
3 両意匠の類否判断
以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品は同一であるが,その形態において,類似せず,本願意匠は,引用意匠に類似する意匠ではない。
第6 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできないから,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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