特許拒絶査定不服審判
2019-004125
画像符号化方法、画像復号方法、画像符号化装置、画像復号装置および画像符号化復号装置
- 審判番号
- 2019-004125
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2014-502001
- 請求日
- 2019年03月29日
- 審決日
- 2021年05月24日
- 公報発行日
- 2021年11月26日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】サン パテント トラスト
- 【請求人代理人】新居 広守
- 【請求人代理人】寺谷 英作
- 【請求人代理人】道坂 伸一
- 審判長/審判官
- 審判長 清水 正一
- 審判官 川崎 優
- 審判官 千葉 輝久
- 分類
- P18 .121-WZ (H04N) / P18 .561-WZ (H04N)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第3項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2014-502001「画像符号化方法、画像復号方法、画像符号化装置、画像復号装置および画像符号化復号装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 6日国際公開、WO2013/128832〕について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成25年2月15日(パリ条約による優先権主張 2012年3月2日、米国)を国際出願日とするものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 1月22日 :手続補正
平成29年 3月 8日付け:拒絶理由通知
平成29年 6月22日 :意見書提出および手続補正
平成29年12月20日付 :最後の拒絶理由通知
平成30年 6月26日 :意見書提出および手続補正
平成30年11月29日付け:補正の却下の決定および拒絶査定
平成31年 3月29日 :拒絶査定不服審判請求および手続補正
令和 1年 6月18日 :前置報告
令和 2年 6月19日付け:当審において最後の拒絶理由通知
令和 2年 9月23日 :意見書提出および手続補正
令和 2年11月17日付け:当審において最後の拒絶理由通知
令和 3年 2月22日 :意見書提出および手続補正
第2 令和3年2月22日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
令和3年2月22日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1 本件補正の内容
令和3年2月22日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)は、令和2年9月23日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1ないし9に補正するものであり、本件補正は、補正前の請求項4を補正後の請求項4とする補正事項を含むものである(下線は補正箇所を示す。)。
(補正前の請求項4)
【請求項4】
現ピクチャをブロック毎に復号する画像復号方法であって、
前記現ピクチャの復号において参照可能な参照ピクチャに参照ピクチャインデックスを割り当てて、前記参照ピクチャインデックスが割り当てられた前記参照ピクチャを含む参照ピクチャリストを生成する生成ステップと、
前記現ピクチャに含まれる現ブロックの復号において参照される参照ピクチャを前記参照ピクチャリストから特定し、特定された前記参照ピクチャを参照して、前記現ブロックを復号する復号ステップとを含み、
前記生成ステップでは、
前記現ピクチャが属する現レイヤとは異なる参照レイヤに属する参照ピクチャが前記現ピクチャの復号において参照される可能性がある場合、(1)前記現レイヤに属する参照ピクチャと、(2)前記参照レイヤに属する参照ピクチャとを前記参照ピクチャリストに追加し、
前記参照ピクチャリストにおける前記参照ピクチャインデックスそれぞれの修正後のインデックスを示す修正リストを用いて、前記参照ピクチャインデックスを修正し、
前記修正リストに含まれる前記修正後のインデックスは、前記現ピクチャの復号において参照可能な参照ピクチャの数であって、前記現レイヤに属する参照ピクチャの数と前記参照レイヤに属する参照ピクチャの数の和より1少ない値以下の値である、
画像復号方法。
(補正後の請求項4)
現ピクチャをブロック毎に復号する画像復号方法であって、
前記現ピクチャの復号において参照可能な参照ピクチャに参照ピクチャインデックスを割り当てて、前記参照ピクチャインデックスが割り当てられた前記参照ピクチャを含む第1参照ピクチャリストを生成する第1生成ステップと、
前記第1参照ピクチャリストにおける前記参照ピクチャインデックスそれぞれの修正後のインデックスを示す修正リストを用いて前記第1参照ピクチャリストを修正した、第2参照ピクチャリストを生成する第2生成ステップと、
前記現ピクチャに含まれる現ブロックの復号において参照される参照ピクチャを前記第2参照ピクチャリストから特定し、特定された前記参照ピクチャを参照して、前記現ブロックを復号する復号ステップとを含み、
前記現ピクチャが属する現レイヤとは異なる参照レイヤに属する参照ピクチャが前記現ピクチャの復号において参照される可能性がある場合、
前記第1生成ステップでは、(1)前記現レイヤに属する参照ピクチャと、(2)前記参照レイヤに属する参照ピクチャとを前記第1参照ピクチャリストに追加し、
前記参照レイヤに属する参照ピクチャが参照される可能性がある場合の前記修正リストで修正する参照ピクチャインデックスの個数は、前記参照レイヤに属する参照ピクチャが参照される可能性がない場合の前記修正リストで修正する参照ピクチャインデックスの個数と等しく、
前記修正リストに含まれる前記修正後のインデックスは、前記現ピクチャの復号において参照可能な参照ピクチャの数であって、前記現レイヤに属する参照ピクチャの数と前記参照レイヤに属する参照ピクチャの数の和より1少ない値以下の値である、
画像復号方法。
2 補正の適合性
(1)補正の内容について
請求項4に係る補正は、
(ア)「参照ピクチャインデックスが割り当てられた」「参照ピクチャを含む」「参照ピクチャリストを生成」する「生成ステップ」について、生成される「参照ピクチャリスト」を「第1参照ピクチャリスト」とし、「生成ステップ」を「第1生成ステップ」とする補正、
(イ)「前記参照ピクチャリストにおける前記参照ピクチャインデックスそれぞれの修正後のインデックスを示す修正リストを用いて、前記参照ピクチャインデックスを修正し、」を「前記第1参照ピクチャリストにおける前記参照ピクチャインデックスそれぞれの修正後のインデックスを示す修正リストを用いて第1参照ピクチャを修正した、第2参照ピクチャリストを生成する処理を第2生成ステップ」とする補正、
(ウ)「参照ピクチャを参照して」「現ブロックを符号化する」にあたり、「現ピクチャに含まれる現ブロックの符号化において参照される参照ピクチャ」を特定する「参照ピクチャリスト」を、「前記第2参照ピクチャリスト」とする補正、
(エ)(ア)の補正に伴い、「前記生成ステップでは」、「(1)前記現レイヤに属する参照ピクチャと、(2)前記参照レイヤに属する参照ピクチャとを前記第1参照ピクチャリストに追加」するものにおいて、「生成ステップ」を「第1の生成ステップ」とし、「参照ピクチャリスト」を「第1参照ピクチャリスト」とする補正、
(オ)(イ)の「参照ピクチャインデックスそれぞれの修正後のインデックスを示す修正リストを用いて前記(第1)参照ピクチャリストを修正」することに関して、「参照レイヤに属する参照ピクチャ」が参照される可能性の有無に応じた、修正リストを用いて修正される参照ピクチャインデックスの個数を特定するために、「前記参照レイヤに属する参照ピクチャが参照される可能性がある場合の前記修正リストで修正する参照ピクチャインデックスの個数は、前記参照レイヤに属する参照ピクチャが参照される可能性がない場合の前記修正リストで修正する参照ピクチャインデックスの個数と等しく」という記載を追加する補正、
である。
(2)補正の範囲について
(2-1) 本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、及び図面(以下、明細書等という)には、以下の記載がある。(下線は、強調のため当審で付したものである。)
(ア)「【0065】
図7は、図3のS101の詳細な処理フローであり、別のビューのピクチャが参照されない場合の参照ピクチャリストの算出方法を表す。以下、図7について説明する。
・・・
【0071】
図8は、図7のS305の詳細な処理フローであり、第1予測方向の参照ピクチャリストRefPicList0を算出する方法を表す。以下、図8について説明する。
【0072】
まず、参照ピクチャリスト算出部115は、図7のS301で算出された表示順に該当する参照ピクチャを、算出されたNumPocStCurrBefore枚分、参照ピクチャリストRefPicListTemp0に追加する(S401)。次に、参照ピクチャリスト算出部115は、図7のS302で算出された表示順に該当する参照ピクチャを、算出されたNumPocStCurrAfter枚分、参照ピクチャリストRefPicListTemp0に追加する(S402)。
【0073】
次に、参照ピクチャリスト算出部115は、図7のS303で算出された表示順に該当する参照ピクチャを、算出されたNumPocLtCurr枚分、参照ピクチャリストRefPicListTemp0に追加する(S403)。
【0074】
次に、参照ピクチャリスト算出部115は、S401からS403で得られた参照ピクチャリストRefPicListTemp0を用いて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出する。算出される参照ピクチャリストRefPicList0の参照ピクチャの枚数は、符号化対象ピクチャ(または、スライス)から第1予測方向において参照可能な参照ピクチャの枚数(num_ref_l0_active_minus1+1)に等しい。
【0075】
参照ピクチャリスト算出部115は、参照ピクチャリストRefPicList0をフラグの値に応じて算出する。具体的には、参照ピクチャリスト算出部115は、第1予測方向の参照ピクチャリストを修正するか否かを表すフラグref_pic_list_modification_flag_l0が1であるか否かを判定する(S404)。
【0076】
そして、真ならば(S404でYes)、参照ピクチャリスト算出部115は、参照ピクチャリストRefPicListTemp0と、list_entry_l0[cIdx](cIdxは0からnum_ref_l0_active_minus1)の値とに応じて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出する(S405)。
【0077】
具体的には、参照ピクチャリスト算出部115は、RefPicList0[cIdx]にRefPicListTemp0[list_entry_l0[cIdx]]を割り当てて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出する。
【0078】
ここで、list_entry_l0[cIdx]は、第1予測方向の参照ピクチャリストを修正するために用いられるパラメータ(修正リスト)である。このパラメータは、cIdx番目の参照ピクチャインデックスを、list_entry_l0[cIdx]番目の参照ピクチャインデックスに割り当てるために用いられ、スライスヘッダ等に付加される。
【0079】
なお、list_entry_l0[cIdx]の値の範囲は、NumPocTotalCurrの値に基づいており、0以上、かつ、(NumPocTotalCurr-1)以下に限定される。
【0080】
偽の場合(S404でNo)、参照ピクチャリスト算出部115は、参照ピクチャリストRefPicListTemp0を用いて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出する(S406)。具体的には、参照ピクチャリスト算出部115は、RefPicList0[cIdx]にRefPicListTemp0[cIdx]を割り当てて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出する。」
(イ)「【0111】
図13は、図3のS101の詳細な処理フローであり、符号化対象ピクチャから別のビューのピクチャが参照される可能性がある場合の参照ピクチャリストの算出方法を表す。以下、図13について説明する。
・・・
【0121】
図14は、図13のS607の詳細な処理フローであり、第1予測方向の参照ピクチャリストRefPicList0を算出する方法を表す。以下、図14について説明する。
【0122】
まず、参照ピクチャリスト算出部115は、図13のS601で算出された表示順に該当する参照ピクチャを、算出されたNumPocStCurrBefore枚分、参照ピクチャリストRefPicListTemp0に追加する(S701)。次に、参照ピクチャリスト算出部115は、図13のS602で算出された表示順に該当する参照ピクチャを、算出されたNumPocStCurrAfter枚分、参照ピクチャリストRefPicListTemp0に追加する(S702)。
【0123】
次に、参照ピクチャリスト算出部115は、図13のS603で算出された表示順に該当する参照ピクチャを、算出されたNumPocLtCurr枚分、参照ピクチャリストRefPicListTemp0に追加する(S703)。
【0124】
次に、参照ピクチャリスト算出部115は、符号化対象ピクチャがノンベースビューに含まれるか否かを判定する(S704)。なお、この判定は、例えば、各ビューの符号化(復号)順に割り当てられたVOIdx(View Order Index)、特定のnal_type、または、各ビューに割り振られたview_id等に基づいて行われてもよい。判定の方法は、どのような方法でも構わない。
【0125】
本実施の形態の例では、VOIdxが用いられる。VOIdxが0である場合、参照ピクチャリスト算出部115は、符号化対象ピクチャがベースビューに含まれると判定する。一方、VOIdxが0でない場合、参照ピクチャリスト算出部115は、符号化対象ピクチャがノンベースビューに含まれると判定する。
【0126】
判定結果が真である場合(S704でYes)、つまり、符号化対象ピクチャがノンベースビューに含まれる場合、参照ピクチャリスト算出部115は、参照ピクチャを参照ピクチャリストRefPicListTemp0に追加する(S705)。具体的には、この場合、参照ピクチャリスト算出部115は、符号化対象ピクチャからビュー間予測を用いて参照可能な参照ピクチャを、num_inter-view_reference[VOIdx]枚分、参照ピクチャリストRefPicListTemp0に追加する。
【0127】
次に、参照ピクチャリスト算出部115は、S701からS705で得られた参照ピクチャリストRefPicListTemp0を用いて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出する。算出される参照ピクチャリストRefPicList0の参照ピクチャの枚数は、符号化対象ピクチャ(または、スライス)から第1予測方向において参照可能な参照ピクチャの枚数(num_ref_l0_active_minus1+1)に等しい。
【0128】
参照ピクチャリスト算出部115は、参照ピクチャリストRefPicList0をフラグの値に応じて算出する。具体的には、参照ピクチャリスト算出部115は、第1予測方向の参照ピクチャリストを修正するか否かを表すフラグref_pic_list_modification_flag_l0が1であるか否かを判定する(S706)。
【0129】
そして、真ならば(S706でYes)、参照ピクチャリスト算出部115は、参照ピクチャリストRefPicListTemp0と、list_entry_l0[cIdx](cIdxは0からnum_ref_l0_active_minus1)の値とに応じて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出する(S707)。
【0130】
具体的には、参照ピクチャリスト算出部115は、RefPicList0[cIdx]にRefPicListTemp0[list_entry_l0[cIdx]]を割り当てて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出する。
【0131】
ここで、list_entry_l0[cIdx]は、第1予測方向の参照ピクチャリストを修正するために用いられるパラメータ(修正リスト)である。このパラメータは、cIdx番目の参照ピクチャインデックスを、list_entry_l0[cIdx]番目の参照ピクチャインデックスに割り当てるために用いられ、スライスヘッダ等に付加される。
【0132】
なお、list_entry_l0[cIdx]の値の範囲は、NumPocTotalCurrの値に基づいており、0以上、かつ、(NumPocTotalCurr-1)以下に限定される。
【0133】
偽の場合(S706でNo)、参照ピクチャリスト算出部115は、参照ピクチャリストRefPicListTemp0を用いて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出する(S708)。具体的には、参照ピクチャリスト算出部115は、RefPicList0[cIdx]にRefPicListTemp0[cIdx]を割り当てて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出する。」
(ウ)「【0166】
なお、本実施の形態では、符号化対象ピクチャから別のビューのピクチャが参照される場合、例えば、ノンベースビューに含まれるピクチャが符号化される場合が例として示されている。しかし、適用範囲はこれには限られない。例えば、符号化対象ピクチャから別のレイヤのピクチャが参照される場合に、本実施の形態で示された方法が適用されてもよい。
【0167】
例えば、本実施の形態で示された方法が、SVC(Scalable Video Coding)等に適用されてもよい。この場合、例えば、インター予測で参照可能な枚数NumPocTotalCurrに、NumPocStCurrBefore、NumPocStCurrAfterおよびNumPocLtCurrの総和が設定される。さらに、NumPocTotalCurrに別のレイヤに含まれる参照可能な参照ピクチャの枚数が加算されてもよい。」
(2-2) 上記の明細書等の記載によれば、参照ピクチャインデックスの個数について、以下のことが言える。
(ア)まず、(2-1)(ア)の【0078】の記載から、list_entry_l0[cIdx]は、第1予測方向の参照ピクチャリストを修正するために用いられるパラメータ(修正リスト)であり、cIdx番目の参照ピクチャインデックスを、list_entry_l0[cIdx]番目の参照インデックスに割り当てるために用いられることがいえる。
ここで、【0076】の記載から、cIdxは0からnum_ref_l0_active_minus1の値をとることがいえる。
(イ)次に、【0074】の記載から、num_ref_l0_active_minus1は、参照ピクチャリストRefPicList0の参照ピクチャの枚数、すなわち符号化対象ピクチャから第1予測方向において参照可能な参照ピクチャの枚数、から1を引いた数に等しいといえる。
ここで、【0072】~【0073】を踏まえると、参照ピクチャリストRefPicListTemp0の参照ピクチャの枚数は、NumPocLtCurrとNumPocStCurrBeforeとNumPocStCurrAfterの和に等しいことがいえる。
(ウ)さらに、【0074】の記載から、参照ピクチャリストRefPicListTemp0を用いて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出することがいえる。
ここで、【0075】の記載から、参照ピクチャリスト算出部115は、第1予測方向の参照ピクチャリストを修正するか否かを表すフラグref_pic_list_modification_flag_l0が1であるか否かを判定すること(S404)、【0076】、【0077】の記載から、真ならば(S404でYes)、RefPicList0[cIdx]にRefPicListTemp0[list_entry_l0[cIdx]]を割り当てて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出することがいえる。
また、【0080】の記載から、偽の場合(S404でNo)、参照ピクチャリスト算出部115は、RefPicList0[cIdx]にRefPicListTemp0[cIdx]を割り当てて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出することがいえる。
(エ)そうすると、S404の判定結果が真であるか偽であるかによらず、参照ピクチャリストRefPicListTemp0と参照ピクチャリストRefPicList0の各要素は一対一に対応しているといえる。
(オ)(ウ)(エ)から、RefPicListTemp0の参照ピクチャの枚数とRefPicList0の参照ピクチャの枚数は等しいことがいえる。
そうすると、(イ)と合わせると、RefPicList0の参照ピクチャの枚数はNumPocLtCurrとNumPocStCurrBeforeとNumPocStCurrAfterの和に等しいことがいえる。
(カ)以上のことから、【0065】に記載される、別のビューのピクチャが参照されない場合の参照ピクチャリストについて、修正リストlist_entry_l0で修正する参照ピクチャインデックスcIdxは0からnum_ref_l0_active_minus1の値をとり、参照ピクチャインデックスの個数はnum_ref_l0_active_minus1+1であって、RefPicList0の参照ピクチャの枚数と等しく、かつ、NumPocLtCurrとNumPocStCurrBeforeとNumPocStCurrAfterの和に等しいことがいえる。
(キ)一方、(2-1)(イ)の【0131】の記載から、list_entry_l0[cIdx]は、第1予測方向の参照ピクチャリストを修正するために用いられるパラメータ(修正リスト)であり、cIdx番目の参照ピクチャインデックスを、list_entry_l0[cIdx]番目の参照インデックスに割り当てるために用いられることがいえる。
ここで、【0129】の記載から、cIdxは0からnum_ref_l0_active_minus1の値をとることがいえる。
(ク)次に、【0127】の記載から、num_ref_l0_active_minus1は、参照ピクチャリストRefPicList0の参照ピクチャの枚数、すなわち符号化対象ピクチャから第1予測方向において参照可能な参照ピクチャの枚数、から1を引いた数に等しいといえる。
ここで、【0122】~【0123】、【0124】~【0127】を踏まえると、参照ピクチャリストRefPicListTemp0の参照ピクチャの枚数は、NumPocLtCurrとNumPocStCurrBeforeとNumPocStCurrAfterの和に加えて、符号化対象ピクチャがノンベースビューに含まれる場合にはさらにビュー間予測を用いて参照可能な参照ピクチャの枚数num_inter-view_reference[VOIdx]の和をとった値に等しいことがいえる。
(ケ)さらに、【0127】の記載から、参照ピクチャリストRefPicListTemp0を用いて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出することがいえる。
ここで、【0128】の記載から、参照ピクチャリスト算出部115は、第1予測方向の参照ピクチャリストを修正するか否かを表すフラグref_pic_list_modification_flag_l0が1であるか否かを判定すること(S706)、【0129】、【0130】の記載から、真ならば(S706でYes)、RefPicList0[cIdx]にRefPicListTemp0[list_entry_l0[cIdx]]を割り当てて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出することがいえる。
また、【0133】の記載から、偽の場合(S706でNo)、参照ピクチャリスト算出部115は、RefPicList0[cIdx]にRefPicListTemp0[cIdx]を割り当てて、参照ピクチャリストRefPicList0を算出することがいえる。
(コ)そうすると、S706の判定結果が真であるか偽であるかによらず、参照ピクチャリストRefPicListTemp0と参照ピクチャリストRefPicList0の各要素は一対一に対応しているといえる。
(サ)(ケ)(コ)から、RefPicListTemp0の参照ピクチャの枚数とRefPicList0の参照ピクチャの枚数は等しいことがいえる。
そうすると、(ク)と合わせると、RefPicList0の参照ピクチャの枚数はNumPocLtCurrとNumPocStCurrBeforeとNumPocStCurrAfterとnum_inter-view_reference[VOIdx]の和に等しいことがいえる。
(シ)以上のことから、【0111】に記載される、別のビューのピクチャが参照される可能性がある場合の参照ピクチャリストについて、修正リストlist_entry_l0で修正する参照ピクチャインデックスcIdxは0からnum_ref_l0_active_minus1の値をとり、参照ピクチャインデックスの個数はnum_ref_l0_active_minus1+1であって、RefPicList0の参照ピクチャの枚数と等しく、かつ、NumPocLtCurrとNumPocStCurrBeforeとNumPocStCurrAfterとnum_inter-view_reference[VOIdx]の和に等しいことがいえる。
(ス)さらに【0166】、【0167】の記載から、別のビューではなく別のレイヤに属する参照ピクチャが参照される可能性がある場合と、別のレイヤに属する参照ピクチャが参照される可能性がない場合についても、上記(カ)(シ)と同様の事項が成り立つことがいえる。
(2-3)当該補正が明細書等に記載した事項の範囲内かどうかについての判断
(2-2)の(カ)、(シ)及び(ス)から、本件出願時の明細書には、別のレイヤすなわち参照レイヤのピクチャが参照される可能性がある場合の修正リストで修正する参照ピクチャインデックスの個数と、別のレイヤすなわち参照レイヤのピクチャが参照される可能性がない場合の修正リストで修正する参照ピクチャインデックスの個数は、同じ変数名num_ref_l0_active_minus1+1であるが、参照レイヤのピクチャが参照される可能性がある場合の方が常にnum_inter-view_reference[VOIdx]だけ大きくなることが記載されているといえる。
一方、参照ピクチャインデックスの個数を示す変数num_ref_l0_active_minus1+1について、参照レイヤが参照される可能性がある場合とない場合で等しくなることは記載されておらず、かつ明細書の記載事項から自明の事項であるということもできない。
そうすると、請求項4に係る上記(1)(オ)の補正の内容は、本件出願時の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではない。
(3) 小括
以上のとおり、請求項4に係る補正は、本件出願時の明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第17条の2第3項の規定に反するものである。
3 むすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項に反するものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。
第3 本件発明について
1 本件発明
令和3年2月22日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、令和2年9月23日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定されるものであり、そのうち、請求項4に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記第2の1に示した(補正前の請求項4)に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。(符号A~Cは合議体が付した。以下、構成A~C等という。)
「【請求項4】
A 現ピクチャをブロック毎に復号する画像復号方法であって、
B 前記現ピクチャの復号において参照可能な参照ピクチャに参照ピクチャインデックスを割り当てて、前記参照ピクチャインデックスが割り当てられた前記参照ピクチャを含む参照ピクチャリストを生成する生成ステップと、
C 前記現ピクチャに含まれる現ブロックの復号において参照される参照ピクチャを前記参照ピクチャリストから特定し、特定された前記参照ピクチャを参照して、前記現ブロックを復号する復号ステップとを含み、
B 前記生成ステップでは、
B1 前記現ピクチャが属する現レイヤとは異なる参照レイヤに属する参照ピクチャが前記現ピクチャの復号において参照される可能性がある場合、(1)前記現レイヤに属する参照ピクチャと、(2)前記参照レイヤに属する参照ピクチャとを前記参照ピクチャリストに追加し、
B2 前記参照ピクチャリストにおける前記参照ピクチャインデックスそれぞれの修正後のインデックスを示す修正リストを用いて、前記参照ピクチャインデックスを修正し、
B3 前記修正リストに含まれる前記修正後のインデックスは、前記現ピクチャの復号において参照可能な参照ピクチャの数であって、前記現レイヤに属する参照ピクチャの数と前記参照レイヤに属する参照ピクチャの数の和より1少ない値以下の値である、
A 画像復号方法。
2 当審の拒絶の理由
当審の拒絶の理由である令和2年11月17日付け拒絶理由の内容は、概略、以下のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1-9に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
記
1.欧州特許出願公開2424240号明細書
2.Marek Domanski, et al., "Multiview HEVC-experimental results", Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 7th Meeting:Geneva,CH,21-30 November,2011, Document:JCTVC-G582, ITU-T, 2011.11.18, p.1-6
3.Benjamin Bross et al., High efficiency video coding (HEVC) text specification draft 6, Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 8th Meeting: San Jose, CA, USA, 1-10 February 2012,Document:JCTVC-H1003(v20), ITU-T, 2012.02.17, p.37,76,79,92-97
請求項1-9に係る発明は、引用文献1に記載された発明(引用発明1)および引用文献3記載事項に基づいて、または、引用文献2に記載された発明(引用発明2)および引用文献3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
3 検討
(1)引用文献及び引用発明
(1-1) 当審の拒絶の理由において引用された、欧州特許出願公開2424240号明細書(以下、引用文献1という)には以下の記載がある。(仮訳は当審で付した。なお、原文に明らかな誤りがある箇所について、仮訳において原文が誤記であることを示すと共に、誤りを訂正した訳を付した。)
(ア)「[0004] The present invention is to provide a method and apparatus for decoding a multiview video signal, by which the multiview video signal may be more efficiently decoded by checking inter-view dependency based on profile information indicating a multiview video stream.」
(仮訳:
[0004]本発明は、多視点映像ストリームを示すプロファイル情報に基づいて、視点間の依存性をチェックすることにより、多視点映像信号をより効率的に復号することができる多視点映像信号の復号方法および装置を提供することを目的とする。)
(イ)「[0013] To achieve these and other advantages and in accordance with the purpose of the present invention, as embodied and broadly described, a method of changing a reference picture list according to the present invention may include the steps of parsing a profile identifier and a slice type from a multiview video bitstream, obtaining inter-view reference information based on the profile identifier, initializing a reference picture list using the inter-view reference information, and modifying the reference picture list in consideration of the slice type.」
(仮訳:
[0013]これらの利点および他の利点を達成するために、また、具体化して大まかに説明した本発明の目的に従って、本発明による参照ピクチャリストを変更する方法は、多視点映像ビットストリームからプロファイル識別子およびスライスタイプを解析するステップと、プロファイル識別子に基づいて視点間参照情報を取得するステップと、視点間参照情報を用いて参照ピクチャリストを初期化するステップと、スライスタイプを考慮して参照ピクチャリストを修正するステップとを含むことができる。)
(ウ)「[0061] FIG. 11 is a schematic block diagram of an apparatus for decoding a multiview video signal according to the present invention.
[0062] Referring to FIG. 1, the decoding apparatus may include an entropy decoding unit 100, a dequantizing unit 200, an inverse transform unit 300, an intra-prediction unit 400, a deblocking filter unit 500, a decoded picture buffer unit 600, an inter-prediction unit 700, and the like. And, the decoded picture buffer unit 600 may include a reference picture list initializing unit 610 and a reference picture list modifying unit 620.
[0063] The entropy decoding unit 200 performs entropy decoding on a parsed bitstream and a coefficient of each macroblock, a motion vector and the like are then extracted. The dequantizing unit 200 obtains a coefficient value transformed by multiplying a received quantized value by a predetermined constant and the inverse transform unit 300 then transforms the coefficient value inversely to reconstruct a pixel value. Using the reconstructed pixel value, the intra-prediction unit 400 performs intra-picture prediction from a decoded sample within a current picture. Meanwhile, the deblocking filter unit 500 is applied to each coded macroblock to reduce block distortion. A filter may smooth a block edge to enhance an image quality of a decoded frame. Selection of a filtering process depends on a boundary strength and a gradient of an image sample around a boundary. Pictures through filtering are outputted or saved in the decoded picture buffer unit 600 to be used as reference pictures.」
(仮訳:
[0061]図11は、本発明による多視点映像信号を復号する装置の概略ブロック図である。
[0062]図1(訳注:図11の誤記)を参照すると、復号装置は、エントロピー復号ユニット100、逆量子化ユニット200、逆変換ユニット300、イントラ予測ユニット400、デブロッキングフィルタユニット500、復号ピクチャバッファユニット600、インター予測ユニット700などを含んでもよい。そして、復号ピクチャバッファユニット600は、参照ピクチャリスト初期化ユニット610と、参照ピクチャリスト修正ユニット620とを含んでもよい。
[0063]エントロピー復号ユニット200(訳注:100の誤記)は、解析されたビットストリームに対してエントロピー復号を行い、その後、各マクロブロックの係数や動きベクトル等を抽出する。そして、逆量子化ユニット200は、受信した量子化値に所定の定数を乗じて変換した係数値を取得し、逆変換ユニット300は、その係数値を逆変換して画素値を再構成する。再構成された画素値を用いて、イントラ予測ユニット400は、現在のピクチャ内の復号されたサンプルからイントラピクチャ予測を行う。一方、デブロッキングフィルタユニット500は、ブロックの歪みを減らすために、各符号化マクロブロックに適用される。フィルタは、復号されたフレームの画質を向上させるために、ブロックのエッジを平滑化してもよい。フィルタリング処理の選択は、境界の強さと、境界付近の画像サンプルの勾配に依存する。フィルタリング処理された画像は、復号ピクチャバッファユニット600に出力または保存され、参照画像として使用される。)
(エ)「[0064] FIG. 12 is a flowchart for creating a reference picture list according to an embodiment of the present invention.
[0065] The decoded picture buffer unit 600 plays a role in storing or opening the previously coded pictures to perform inter-picture prediction. In doing so, a picture may be identified using a frame number and POC (picture order count) of the picture. In MVC, since pictures in a view different from that of a current picture exists among the previously coded pictures, in order to use these pictures as reference pictures, view information for identifying a picture may be usable together with the frame number and the POC. Yet, a reference picture used for the inter-view prediction only may be identified using the view identification information and the POC. The decoded picture buffer unit 600 stores pictures that will be referred to for the coding of the current picture [S1210]. And, the decoded picture buffer unit 600 constructs a list of reference pictures that will be referred to for the interpicture prediction. In multiview video coding, since interview prediction may be performed, if a current picture refers to a picture in another view, it may be able to construct a reference picture list for the inter-view prediction. Moreover, it may be able to construct a reference picture list for performing both temporal prediction and inter-view prediction.
(仮訳:
[0064]図12は、本発明の一実施形態による参照ピクチャリストを作成するためのフローチャートである。
[0065]復号ピクチャバッファユニット600は、画面間予測を実行するために、以前に符号化されたピクチャを格納または開く役割を果たす。その際、ピクチャのフレーム番号とPOC(Picture Order Count)を用いてピクチャを識別することができる。MVCでは、過去に符号化されたピクチャの中に、現在のピクチャとは異なるビューのピクチャが存在するため、これらのピクチャを参照ピクチャとして使用するために、ピクチャを識別するためのビュー情報を、フレーム番号とPOCとともに使用することができる。ただし、視点間予測のみに用いる参照ピクチャは、ビュー識別情報とPOCを用いて識別してもよい。復号化ピクチャバッファユニット600は、カレントピクチャの符号化のために参照されるピクチャを格納する[S1210]。そして、復号ピクチャバッファユニット600は、画面間予測の際に参照される参照ピクチャリストを構築する。多視点映像符号化では、視点間予測が行われる場合があるので、カレントピクチャが他のビューのピクチャを参照する場合には、視点間予測のための参照ピクチャリストを構築することができる場合がある。さらに、時間的予測と視点間予測の両方を行うための参照ピクチャリストを構築できるようにしてもよい。)
(オ)「[0077] First of all, it may be able to obtain inter-view prediction flag information for a picture of a base view. In case that the picture of the base view is used as an inter-view reference picture of a non-base view in accordance with the inter-view prediction flag information, a reference index for an inter-view prediction may be assigned to the picture of the base view and may be added to a reference picture list for a temporal prediction of the picture of the non-base view. Meanwhile, the picture of the base view may be added to the reference picture list for the temporal prediction based on a random access flag.」
(仮訳:
[0077]まず、ベースビューのピクチャの視点間予測フラグ情報を取得できるようにしてもよい。視点間予測フラグ情報に従って、ベースビューのピクチャが非ベースビューの視点間参照ピクチャとして使用される場合、視点間予測のための参照インデックスがベースビューのピクチャに割り当てられ、非ベースビューのピクチャの時間的予測のための参照ピクチャリストに追加されてもよい。一方、ベースビューのピクチャが、ランダムアクセスフラグに基づいて、時間的予測のための参照ピクチャリストに追加されてもよい。)
(カ)「[0079] FIG.13 is a diagram for a method of assigning a reference index to a picture in a base view, if the picture in the base view is coded into a field, according to an embodiment of the present invention.
・・・
[0082] The reference picture list modifying unit 620 plays a role in improving a compression ratio by assigning a smaller index to a picture frequently referred to in the initialized reference picture list [S1250]. Since a reference index for designating a reference picture may be coded by a unit of block, as the reference index gets smaller, a code amounting to a smaller number of bits may be assigned.
[0083] FIG. 14 is an internal block diagram of a reference picture list modifying unit 620 according to an embodiment of the present invention. FIG. 16 is an internal block diagram of a reference index changing unit 623B/625B according to an embodiment of the present invention.
[0084] Referring to FIG. 14, the reference picture list modifying unit 620 includes a slice type checking unit 621, a reference picture list-0 modifying unit 623 and a reference picture list-1 modifying unit 625. If an initialized reference picture list is inputted, the slice type checking unit 621 checks a type of slice to be decoded and then determines whether to modify a reference picture list 0 or a reference picture list 1. For instance, if the slice type is either an I slice nor an SI slice, the reference picture list-0 modifying unit 623 may be able to modify the reference picture list 0. If the slice type is a B slice, the reference picture list-1 modifying unit 625 may be able to modify the reference picture list 1. The reference picture list-0 modifying unit 623 may include a reference picture modification information obtaining unit 623A and a reference index changing unit 623B. The reference picture list-1 modifying unit 625 may include a reference picture modification information obtaining unit 625A and a reference index changing unit 625B.
・・・
[0087] The reference index changing unit 623B/625B may be able to modify a reference picture list by changing a reference index of a reference picture using the reference picture modification information, a difference value of a picture number and a long-term picture number.」
(仮訳:
[0079]図13は、本発明の一実施形態による、ベースビューのピクチャがフィールドに符号化されている場合に、ベースビューのピクチャに参照インデックスを割り当てる方法を示す図である。
・・・
[0082]参照ピクチャリスト修正ユニット620は、初期化された参照ピクチャリストの中で頻繁に参照されるピクチャに、より小さなインデックスを割り当てることで、圧縮率を向上させる役割を果たす[S1250]。参照ピクチャを指定するための参照インデックスは、ブロック単位で符号化することができるので、参照インデックスが小さくなればなるほど、より少ないビット数の符号を割り当てることができる。
[0083]図14は、本発明の一実施形態による参照ピクチャリスト修正ユニット620の内部ブロック図である。図16は、本発明の実施形態による参照インデックス修正ユニット623B/625Bの内部ブロック図である。
[0084]図14を参照すると、参照ピクチャリスト修正ユニット620は、スライスタイプチェックユニット621と、参照ピクチャリスト-0修正ユニット623と、参照ピクチャリスト-1修正ユニット625とを含む。初期化された参照ピクチャリストが入力されると、スライスタイプチェックユニット621は、復号化するスライスのタイプをチェックした後、参照ピクチャリスト0を修正するか、参照ピクチャリスト1を修正するかを判断する。例えば、スライスタイプがIスライスでもSIスライスでもない場合には、参照ピクチャリスト-0修正ユニット623が参照ピクチャリスト0を修正できるようにし、スライスタイプがBスライスである場合には、参照ピクチャリスト-1修正ユニット625が参照ピクチャリスト1を修正できるようにしてもよい。 参照ピクチャリスト-0修正ユニット623は、参照ピクチャ修正情報取得ユニット623Aと、参照インデックス修正ユニット623Bを含んでいてもよい。参照ピクチャリスト-1修正ユニット625は、参照ピクチャ修正情報取得ユニット625Aと、参照インデックス修正ユニット625Bを含んでいてもよい。
・・・
[0087]参照インデックス修正ユニット623B/625Bは、参照ピクチャ修正情報、ピクチャ番号と長期ピクチャ番号の差分値を用いて、参照ピクチャの参照インデックスを変更することで、参照ピクチャリストを修正できるようにしてもよい。
(キ)「[0099] The inter-prediction unit 700 may perform inter-picture prediction using a reference picture saved in the decoded picture buffer unit 600 or an inter-view reference picture. An inter-mode coded macroblock may be divided into macroblock partitions. Each of the macroblock partitions may be predicted from one or two reference pictures or an inter-view reference picture. The inter-prediction unit 700 compensates for a motion of a current block using informations transferred from the entropy decoding unit 100.」
(仮訳:
[0099]インター予測ユニット700は、復号ピクチャバッファユニット600に保存されている参照ピクチャや、視点間参照ピクチャを用いて、画面間予測を行ってもよい。インターモードで符号化されたマクロブロックは、マクロブロックパーティションに分割されてもよい。マクロブロックパーティションのそれぞれは、1つまたは2つの参照ピクチャまたは視点間参照ピクチャから予測されてもよい。インター予測ユニット700は、エントロピー復号ユニット100から転送された情報を用いて、現在のブロックの動きを補償する。)
以上の記載から、引用文献1には、以下のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。引用発明の構成を、符号a~jを用いて構成a~構成jと称する。
(引用発明)
a 多視点映像ストリームを示すプロファイル情報に基づいて、視点間の依存性をチェックすることにより、多視点映像信号をより効率的に復号することができる多視点映像信号の復号方法であって([0004])、
a1 多視点映像ビットストリームからプロファイル識別子を解析するステップと、プロファイル識別子に基づいて視点間参照情報を取得するステップと、視点間参照情報を用いて参照ピクチャリストを初期化するステップと、参照ピクチャリストを修正するステップとを含むものであり、([0013])
b 多視点映像信号を復号する装置は、エントロピー復号ユニット100、逆量子化ユニット200、逆変換ユニット300、イントラ予測ユニット400、デブロッキングフィルタユニット500、復号ピクチャバッファユニット600、インター予測ユニット700などを含み、([0061][0062])
b1 エントロピー復号ユニット100は、解析されたビットストリームに対してエントロピー復号を行い、各マクロブロックの係数や動きベクトル等を抽出し、逆量子化ユニット200は、受信した量子化値に所定の定数を乗じて変換した係数値を取得し、逆変換ユニット300は、その係数値を逆変換して画素値を再構成し、デブロッキングフィルタユニット500は、ブロックの歪みを減らすために、各符号化マクロブロックに適用され、フィルタは、復号されたフレームの画質を向上させ、フィルタリング処理された画像は、復号ピクチャバッファユニット600に出力または保存されるものであり、([0063])
b2 復号ピクチャバッファユニット600は、画面間予測の際に参照される参照ピクチャリストを構築するものであり、([0065])
c 復号ピクチャバッファユニット600は、参照ピクチャリスト初期化ユニット610と、参照ピクチャリスト修正ユニット620とを含み、([0062])
d 参照ピクチャリスト修正ユニット620は、参照ピクチャリスト-0修正ユニット623と、参照ピクチャリスト-1修正ユニット625とを含み、([0084])
e 参照ピクチャリスト-0修正ユニット623は、参照インデックス修正ユニット623Bを含み、参照ピクチャリスト-1修正ユニット625は、参照インデックス修正ユニット625Bを含み、([0084])
f 参照ピクチャリスト修正ユニット620は、参照されるピクチャにインデックスを割り当てるものであり、参照ピクチャを指定するための参照インデックスがあり、([0082])
g 復号ピクチャバッファユニット600は、さらに、時間的予測と視点間予測の両方を行うための参照ピクチャリストを構築できるようにしてもよく、([0065])
h インター予測ユニット700は、復号ピクチャバッファユニット600に保存されている参照ピクチャを用いて、画面間予測を行うものであり、エントロピー復号ユニット100から転送された情報を用いて、現在のブロックの動きを補償するものであり、([0099])
i1 視点間予測フラグ情報に従って、ベースビューのピクチャが非ベースビューの視点間参照ピクチャとして使用される場合、視点間予測のための参照インデックスがベースビューのピクチャに割り当てられ、非ベースビューのピクチャの時間的予測のための参照ピクチャリストに追加され、([0077])
i2 ベースビューのピクチャが、時間的予測のための参照ピクチャリストに追加されるものであり、([0077])
j 参照インデックス修正ユニット623B/625Bは、参照ピクチャ修正情報を用いて、参照ピクチャの参照インデックスを変更することで、参照ピクチャリストを修正できる、([0087])
a 方法。
(1-2)引用文献3
また、当審の拒絶の理由において引用された、
Benjamin Bross et al., High efficiency video coding (HEVC) text specification draft 6, Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 8th Meeting: San Jose, CA, USA, 1-10 February 2012,Document:JCTVC-H1003(v20), ITU-T, 2012.02.17, p.37,76,79,92-97
(以下、引用文献3という)には以下の記載がある。
(ア) P.37の7.3.3.2 Reference picture list modification syntaxには参照ピクチャリストの修正シンタックスref_pic_list_modeificationとして、本件図面の図11Dと同じ記載、すなわち、
ref_pic_list_modification( ) {
if( slice_type = = P | | slice_type = = B ) {
ref_pic_list_modification_flag_l0
if( ref_pic_list_modification_flag_l0 && NumPocTotalCurr > 1 )
for( i = 0; i <= num_ref_idx_l0_active_minus1; i++ )
list_entry_l0[ i ]
}
if( slice_type = = B ) {
ref_pic_list_modification_flag_l1
if( ref_pic_list_modification_flag_l1 && NumPocTotalCurr > 1 )
for( i = 0; i <= num_ref_idx_l1_active_minus1; i++ )
list_entry_l1[ i ]
}
}
という記載がある。
(イ) P.96の8.3.4 Decoding process for reference picture lists constructionにおける8.3.4.2 Initialization process for reference picture listには、参照ピクチャリストRefPicList0やRefPicList1が構築される手順として、(8-9)や(8-11)には、本件図12B、図12Dと同様の式、すなわち、
for( cIdx = 0; cIdX ≦ num_ref_idx_l0_active_minus1; cIdx++)
RefPicList0[ cIdx ] = ref_pic_list_modification_flag_l0 ? RefPicListTemp0[ list_entry_l0[ cIdx ] ] :
RefPicListTemp0[ cIdx ] (8-9)
for( cIdx = 0; cIdX ≦ num_ref_idx_l1_active_minus1; cIdx++)
RefPicList0[ cIdx ] = ref_pic_list_modification_flag_l1 ? RefPicListTemp1[ list_entry_l1[ cIdx ] ] :
RefPicListTemp1[ cIdx ] (8-11)
という記載がある。
ここで、(8-11)に記載されているのは、RefPicList1を構築するための手順であることから、RefPicList0[ cIdx ]は、RefPicList1[ cIdx ]の誤記であることは明らかである。
(ウ) P.79の7.4.3.2 Reference picture list modification semanticsにおけるlist_entry_lX[i]のセマンティックスとして、以下の記載がある。
list_entry_lX[i] (with X equal to 0 or 1) specifies the index of the reference picture in RefPicSetCurrTempListX to be placed at the current position of reference picture list LX (with X being 0 or 1). The length of the list_entry_lX[i] syntax element is Ceil( Log2( NumPocTotalCurr) ) bits. The value of list_entry_lX[i] shall be in the range of 0 to NumPocTotalCurr - 1, inclusive.
(仮訳:
list_entry_lX[i](Xは0または1)は参照ピクチャリストLX(Xは0または1)の現在位置に置かれるRefPicSetCurrTempListXの参照ピクチャのインデックスを特定する。
list_entry_lX[i]シンタックス要素の長さはCeil( Log2( NumPocTotalCurr) )ビットである。list_entry_lX[i]の値は0以上NumPocTotalCurr - 1以下の範囲に含まれるようにするべきである。)
(エ) P.92以降の8.3.2 Decoding process for reference picture setにおいて、P.92には以下の記載がある。
Five lists of picture order count values are constructed to derive the reference picture set; PocStCurrBefore,PocStCurrAfter, PocStFoll, PocLtCurr, and PocLtFoll with NumPocStCurrBefore, NumPocStCurrAfter, NumPocStFoll,NumPocLtCurr, and NumPocLtFoll number of elements, respectively.
(仮訳:
参照ピクチャセットを導出するために5つのピクチャオーダカウント(PoC)値のリストが構築される;それらのリストはPocStCurrBefore,PocStCurrAfter, PocStFoll, PocLtCurr, PocLtFollであり、各リストの要素の数はそれぞれNumPocStCurrBefore, NumPocStCurrAfter, NumPocStFoll,NumPocLtCurr, NumPocLtFoll である。)
(オ)さらに、上記(エ)の8.3.2において、P.93の参照ピクチャリストに含まれる変数NumPocTotalCurrと、NumPocStCurrBefore, NumPocStCurrAfter,NumPocLtCurrとの関係を示すものに関して以下の記載がある。
The reference picture set consists of five lists of reference pictures; RefPicSetStCurrBefore, RefPicSetStCurrAfter, RefPicSetStFoll, RefPicSetLtCurr and RefPicSetLtFoll. The variable NumPocTotalCurr is set equal to NumPocStCurrBefore + NumPocStCurrAfter + NumPocLtCurr.
(仮訳:
参照ピクチャセットは5つの参照ピクチャリストを含む;それらはRefPicSetStCurrBefore, RefPicSetStCurrAfter, RefPicSetStFoll, RefPicSetLtCurr and RefPicSetLtFollである。変数NumPocTotalCurrの値はNumPocStCurrBefore + NumPocStCurrAfter + NumPocLtCurrに等しい。)
という記載がある。
(カ)さらに、上記(エ)の8.3.2において、P.93の上記(オ)の記載の後に、以下の記載がある。
NOTE 3 - RefPicSetStCurrBefore, RefPicSetStCurrAfter and RefPicSetLtCurr contains all reference pictures that may be used in inter prediction of the current picture and that may be used in inter prediction of one or more of the pictures following the current picture in decoding order. RefPicSetStFoll and RefPicSetLtFoll consists of all reference pictures that are not used in inter prediction of the current picture but may be used in inter prediction of one or more of the pictures following the current picture in decoding order.
(仮訳:
注3 - RefPicSetStCurrBefore, RefPicSetStCurrAfterとRefPicSetLtCurrは、現在ピクチャのインター予測に用いられうるものであって、復号順序において現在ピクチャの後方にある、1または複数のピクチャのインター予測に用いられうる、すべての参照ピクチャを含む。RefPicSetStFollとRefPicSetLtFollは、現在ピクチャのインター予測には用いられないが、復号順序において現在ピクチャの後方にある、1または複数のピクチャのインター予測には用いられうる、すべての参照ピクチャを含む。)
(キ)上記(ウ)から、list_entry_lX[i](X=0または1)の値は、0からNumPocTotalCurrより1小さい値のいずれかをとることが、上記(オ)から、変数NumPocTotalCurrの値はNumPocStCurrBefore + NumPocStCurrAfter + NumPocLtCurrに等しいことが、
上記(エ)から、NumPocStCurrBefore, NumPocStCurrAfter, NumPocLtCurrは参照ピクチャセットを導出するためのリストのうちの3つのリストRefPicSetStCurrBefore, RefPicSetStCurrAfter, RefPicSetLtCurrの要素の数であることが、
上記(カ)から、RefPicSetStCurrBefore, RefPicSetStCurrAfter, RefPicSetLtCurrは、現在ピクチャのインター予測に用いられうるものであって、復号順序において現在ピクチャの後方にある、1または複数のピクチャのインター予測に用いられうる、すべての参照ピクチャを含むことが、
それぞれいえる。
(ク)そうすると、引用文献3には、上記(ア)(イ)(ウ)から、以下の(1)の事項が、また、上記(キ)から、以下の(2)の事項が、それぞれ記載されているといえる(以下、引用文献3記載事項(1)(2)という。)。
(引用文献3記載事項)
(1)参照ピクチャリストRefPicList0,RefPicList1を、それぞれの修正後のインデックスを示すリストであって、参照ピクチャのインデックスを特定するlist_entry_l0[i]とリストlist_entry_l1[i]を用いて修正すること。
(2)リストlist_entry_lX[i](X=0または1)の値は、0からNumPocTotalCurrより1小さい値のいずれかをとることであり、NumPocTotalCurrの値は、参照ピクチャセットを導出するためのリストの要素であって、現在ピクチャのインター予測に用いられうるものであって、復号順序において現在ピクチャの後方にある、1または複数のピクチャのインター予測に用いられうる、すべての参照ピクチャの要素の和である、NumPocStCurrBefore + NumPocStCurrAfter + NumPocLtCurrであること。
(2)対比
本件発明と引用発明とを対比する。
(ア) 引用発明の構成aの「多視点映像ストリームを示すプロファイル情報に基づいて、視点間の依存性をチェックすることにより、多視点映像信号をより効率的に復号することができる多視点映像信号の復号方法」について、構成bの「多視点映像信号を復号する装置は、エントロピー復号ユニット100、逆量子化ユニット200、逆変換ユニット300、イントラ予測ユニット400、デブロッキングフィルタユニット500、復号ピクチャバッファユニット600、インター予測ユニット700などを含み」、構成b1の「エントロピー復号ユニット100は、解析されたビットストリームに対してエントロピー復号を行い、各マクロブロックの係数や動きベクトル等を抽出し、逆量子化ユニット200は、受信した量子化値に所定の定数を乗じて変換した係数値を取得し、逆変換ユニット300は、その係数値を逆変換して画素値を再構成」するものである。
そうすると、構成aは、各マクロブロックの係数を逆量子化して逆変換して画素値を再構成するものであり、現在のピクチャをマクロブロックというブロック単位に復号を行う方法ということができる。
したがって、引用発明は本件発明同様に「現ピクチャをブロック毎に復号する画像復号方法」ということができ、本件発明の構成Aを有するといえる。
(イ) 次に、引用発明の「復号ピクチャバッファユニット600」が、「参照ピクチャリストを構築する」(構成b2)、「参照ピクチャリストを構築できるようにしてもよ」い(構成g)ことについて検討する。
構成fの「参照インデックス」は、参照ピクチャを指定するために割り当てられたものであるといえるから、本件発明の構成Bの「参照ピクチャインデックス」に相当する。
構成b2,gの「参照ピクチャリスト」は、復号装置で「画面間予測の際に参照される」(構成b2)ものであって、画面間予測を用いる符号化や復号において「時間的予測及び視点間予測の両方を行うため」のものであり(構成g)、参照ピクチャを指定する参照ピクチャインデックスを含むリストであるから、本件発明の構成Bの「参照ピクチャリスト」に相当するといえる。
また、構成fの「参照ピクチャを指定するための参照インデックス」は、画面間予測を用いる符号化や復号において「参照されるピクチャを指定する」ために割り当てられるものであるから、構成fの「参照されるピクチャにインデックスを割り当てる」とは、画面間予測を用いる符号化や復号において参照ピクチャを指定するために参照インデックスを割り当てるといえる。
そうすると、構成b2の「参照ピクチャリストを構築する」、構成gの「参照ピクチャリストを構築できるようにしてもよ」いことは、ピクチャの復号において参照可能な参照ピクチャに参照ピクチャインデックスを割り当てて、参照ピクチャインデックスが割り当てられた参照ピクチャを含む参照ピクチャリストを生成することであるといえる。
したがって、引用発明は本件発明の構成Bに相当する構成を有する。
(ウ) 次に、引用発明の「復号ピクチャバッファユニット600に保存されている参照ピクチャを用いて、画面間予測を行うものであり」「現在のブロックの動きを補償する」(構成h)ことについて検討する。
構成hの「画面間予測を行うものであり」「動きを補償する」ことは、ピクチャの復号処理のステップの一つであって、「復号ピクチャバッファユニット600は、画面間予測の際に参照される参照ピクチャリストを構築する」(構成b2、構成g)ことと合わせると、構成hの「復号ピクチャバッファユニット600に保存されている参照ピクチャ」は、参照ピクチャリストから特定されるものであって、画面間予測を実行するために用いられるものであるといえる。
そうすると、構成hの「復号ピクチャバッファユニット600に保存されている参照ピクチャを用いて、画面間予測を行うものであり」「現在のブロックの動きを補償する」ことは、現ピクチャに含まれる現ブロックの復号において参照される参照ピクチャを参照ピクチャリストから特定し、特定された参照ピクチャを参照して、現ブロックを復号することであるといえる。
したがって、引用発明は本件発明の構成Cに相当する構成を有する。
(エ) 次に、引用発明において、「視点間予測フラグ情報に従って、ベースビューのピクチャが非ベースビューの視点間参照ピクチャとして使用される場合、視点間予測のための参照インデックスがベースビューのピクチャに割り当てられ、非ベースビューのピクチャの時間的予測のための参照ピクチャリストに追加され」(構成i1)および「ベースビューのピクチャが、時間的予測のための参照ピクチャリストに追加される」(構成i2)ことについて検討する。
構成i1の「ベースビューのピクチャが非ベースビューの視点間参照ピクチャとして使用される」ことは、復号する方法において、復号するピクチャ(現ピクチャ)が非ベースビューに属する場合、これとは異なるビューであるベースピクチャに属する参照ピクチャが非ベースビューのピクチャの復号において参照されるということであり、「現ピクチャが属する現レイヤとは異なる参照レイヤに属する参照ピクチャが現ピクチャの復号において参照される可能性がある」ことに含まれるといえる。
また、構成i1の「視点間予測のための参照インデックスがベースビューのピクチャに割り当てられ、非ベースビューの時間的予測のための参照ピクチャリストに追加され」ることと、構成i2の「ベースビューのピクチャが、時間的予測のための参照ピクチャリストに追加される」ことについて、視点間予測のための参照ピクチャリストと時間的予測のための参照ピクチャリストは、構成gの「時間的予測及び視点間予測の両方を行うための参照ピクチャリスト」、すなわち1つの参照ピクチャリストとして構成できることを踏まえると、「(1)前記現レイヤに属する参照ピクチャと、(2)前記参照レイヤに属する参照ピクチャとを前記参照ピクチャリストに追加」することといえる。
したがって、引用発明は本件発明の構成B1に相当する構成を有する。
(オ) さらに、引用発明において、「参照インデックス修正ユニット623B/625Bは、参照ピクチャ修正情報を用いて参照ピクチャの参照インデックスを変更することで、参照ピクチャリストを修正する」(構成j)ことについて検討する。
引用発明の構成jは、本件発明の構成B2と「参照ピクチャリストにおける参照ピクチャインデックスを修正する」点で共通している。
以上の(ア)~(オ)の対比に基づいて、本件発明と、引用発明とを比較すると、両者の一致点、相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
A 現ピクチャをブロック毎に復号する画像復号方法であって、
B 前記現ピクチャの復号において参照可能な参照ピクチャに参照ピクチャインデックスを割り当てて、前記参照ピクチャインデックスが割り当てられた前記参照ピクチャを含む参照ピクチャリストを生成する生成ステップと、
C 前記現ピクチャに含まれる現ブロックの復号において参照される参照ピクチャを前記参照ピクチャリストから特定し、特定された前記参照ピクチャを参照して、前記現ブロックを復号する復号ステップとを含み、
B 前記生成ステップでは、
B1 前記現ピクチャが属する現レイヤとは異なる参照レイヤに属する参照ピクチャが前記現ピクチャの符号化において参照される可能性がある場合、(1)前記現レイヤに属する参照ピクチャと、(2)前記参照レイヤに属する参照ピクチャとを前記参照ピクチャリストに追加し、
B2’ 前記参照ピクチャリストにおける前記参照ピクチャインデックスを修正する、
A 画像復号方法。
[相違点1]
参照ピクチャリストにおける参照ピクチャインデックスを修正する方法として、本件発明は、前記参照ピクチャリストにおける前記参照ピクチャインデックスそれぞれの修正後のインデックスを示す修正リストを用いるのに対して、引用発明はそのようなものではない点。
[相違点2]
本件発明は、修正リストに含まれる修正後のインデックスは、現ピクチャの復号において参照可能な参照ピクチャの数であって、現レイヤに属する参照ピクチャの数と参照レイヤに属する参照ピクチャの数の和より1少ない値以下の値であるのに対して、引用発明は修正後のインデックスのとる値については不明な点。
(3)判断
上記相違点1、2についてまとめて検討する。
(ア) 引用発明は、参照ピクチャ修正情報を用いて、参照ピクチャの参照インデックスを変更することで、参照ピクチャリストを修正するものであるところ、参照ピクチャ修正情報の具体的構成は特定されていないものである。
一方、引用文献3記載事項(1)(2)は、修正後のインデックスを示すリストであって、参照ピクチャのインデックスを特定するリストを用いて参照ピクチャリストを修正することから、特定された参照ピクチャのインデックスを変更して参照ピクチャリストを修正するものといえる。
そうすると、両者は参照ピクチャのインデックスを変更して参照ピクチャリストを修正するという点で共通の事項を有するといえる。
そして、引用発明の参照インデックス修正ユニット623B/625Bにおける参照ピクチャ修正情報の具体的構成として、引用文献3記載事項(1)(2)における、修正後のインデックスを示すリストlist_entry_l0[i]とlist_entry_l1[i]を採用することは、当業者が何らの困難なく想到し得たものである。
(イ) ここで、引用発明は時間的予測及び視点間予測の両方を行うための参照ピクチャリストを具備する(すなわち、現レイヤに属する参照ピクチャと参照レイヤに属する参照ピクチャを1つの参照ピクチャリストで管理する)以上、引用発明に引用文献3記載事項(1)(2)を適用する場合において、引用文献3記載事項における、修正リストlist_entry_lX[i](X=0または1)における、NumPocTotalCurr(現在ピクチャのインター予測に用いられうるものであり、復号順序において現在ピクチャの後方にある、1または複数のピクチャのインター予測に用いられうる、すべての参照ピクチャの要素の和)、すなわち、参照リスト内に含まれる参照ピクチャの総数、を、時間的予測を行うために用いられる現レイヤに属する参照ピクチャと視点間予想を行うために用いられる参照レイヤに属する参照ピクチャの両者の和になるように構成することは、上記の適用に付随して当業者がなすべき変更にすぎない。
このとき、修正リストに含まれる修正後のインデックスがとる値は、0からNumPocTotalCurr-1の範囲の値であるが、これは、0から現レイヤに属する参照ピクチャの数と参照レイヤに属する参照ピクチャの数の和より1少ない値以下の値となる。
(ウ) よって、引用発明において、引用文献3記載事項を適用するにあたり、修正リストに含まれる修正後のインデックスを、0から現レイヤに属する参照ピクチャの数と参照レイヤに属する参照ピクチャの数の和より1少ない値以下の値として、相違点1,2に関する構成をとることは、当業者が容易に想到し得たものである。
(4)まとめ
したがって、本件発明は、引用発明および引用文献3記載事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
第4 むすび
以上のとおり、本件発明は、引用発明および引用文献3記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2019-004125