意匠拒絶査定不服審判
2019-001340
自動車用タイヤ
- 審判番号
- 2019-001340
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-000997外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年01月31日
- 審決日
- 2019年08月06日
- 公報発行日
- 2019年11月29日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】青島森麒麟輪胎股▲フン▼有限公司
- 【請求人代理人】▲吉▼川 俊雄
- 分類
- D18 .113-WY (G2-9)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2018- 997「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は、平成30年(2018年)1月19日の意匠登録出願であって、同年4月24日付けの拒絶理由の通知に対し、同年8月9日に意見書が提出されたが、同年10月26日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成31年1月31日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠
原査定の拒絶の理由は、本願意匠が、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠(以下「引用意匠」という。)に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることのできない意匠)に該当する、というものである。
引用意匠は、日本国特許庁が平成27年(2015年)11月16日に発行した意匠公報に記載された、意匠登録第1537727号(意匠に係る物品、自動車用タイヤ)の意匠であり、その形態を、同公報に記載されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠と引用意匠(以下「両意匠」という。)の意匠に係る物品は、いずれも「自動車用タイヤ」であるから、一致するものである。
2 形態の対比
両意匠の形態を対比すると、その形態には、主として以下の共通点及び相違点が認められる。
なお、両意匠におけるトレッド部は、周方向に施した4本の断面視略逆等脚台形状の幅広な縦溝(以下「凹溝」という。)で5つの帯状区画に分割されているものとし、この分割されている各区画について、トレッド部の左右両端の区画を「左右ショルダー区画」、その内側の左右の区画を「左右内側区画」、中央の区画を「中央区画」として以下表記することとする。
(1)形態の共通点
(共通点1)両意匠は、全体の態様が、横向き短円筒形状のタイヤの外周面に、略凸状に突出したトレッド部を設け、タイヤの左右側面に、略中空円板状のサイドウォール部を形成し、このサイドウォール部の内周側に、断面視略円弧状に切り欠いたような形態のやや肉厚なビード部を一体的に形成した構成とした点で共通する。
(共通点2)両意匠は、トレッド部の構成態様が、トレッド面に外側の2本の凹溝とそれよりやや太い幅の内側の2本の凹溝を形成し、正面左から左ショルダー区画、左ショルダー区画よりやや横幅の狭い左内側区画、最も横幅の狭い中央区画、左内側区画と同じ横幅の右内側区画、左ショルダー区画と同じ横幅の右ショルダー区画といった5つの区画からなる構成とした点で共通する。
(共通点3)両意匠は、左内側区画の溝部の形態が、傾斜して配置した大概略U字状に表れる細溝を、上下に略等間隔になるように形成したものとし、右内側区画の溝部の形態が、左内側区画のものと左右対称となるように形成したものであって、それら左右の溝部の配置態様が、左右内側区画において上下に約1/2ピッチずらした配置態様で形成している点で共通する。
(共通点4)両意匠は、左ショルダー区画の溝部の形態が、内側に向かって下方に傾斜した細溝を、上下に略等間隔になるように形成したものとし、右ショルダー区画の溝部の形態が、左ショルダー区画のものと左右対称となるように形成したものであって、それら左右の溝部の配置態様が、左右ショルダー区画において上下に約1/2ピッチずらした配置態様で形成している点で共通する。
(2)形態の相違点
(相違点1)本願意匠の左右内側区画における溝部の具体的な形態が、左内側区画においては、区画の左側から右下に大きく傾斜した略大円弧状の細溝の下端部付近と、区画の左側から右下に小さく傾斜した略小円弧状の細溝の下端部を、僅かに右下に傾斜した直線状のサイピングで接合した略斜めU字状になるように形成した溝部を形成し、略大円弧状の細溝の略中央部分から区画の右側に向かって僅かに右下に傾斜した直線状のサイピングを形成したものであって、右内側区画においても、左内側区画のものと左右対称の形態となるように形成しているのに対し、引用意匠の左右内側区画における溝部の具体的な形態が、左内側区画においては、区画の左側から右下に大きく傾斜した略大円弧状の細溝の下端部を鋭角状に折返した略「つ」の字状の細溝と、その端部付近から左上に向かって形成した略直線状のサイピングによって略U字状になるように形成した溝部を形成し、区画の右側から左上に向かって略直線状のサイピングを略U字状の溝部の約1/2のピッチ幅で上下に形成したものであって、右内側区画においても、左内側区画のものと左右対称の形態となるように形成している点で、両意匠は相違する。
(相違点2)本願意匠の左右ショルダー区画における溝部の具体的な形態が、左ショルダー区画においては、僅かに湾曲した略細長平行四辺形状の略水平な横溝を、区画の左右に余地を設けて形成し、その横溝の中間には、僅かに湾曲した横溝とほぼ同じ長さで略水平なサイピングを形成したものであって、右ショルダー区画においても、左ショルダー区画のものと左右対称の形態となるように形成しているのに対し、引用意匠の左右ショルダー区画における溝部の具体的な形態が、左ショルダー区画においては、区画の左側から右下に傾斜した略直線状の細溝の左端部付近に、ほぼ垂直な略大円弧状の細溝を交差するように形成してなる略変形十字状の細溝を形成し、その横溝の中間には、右下に傾斜した略直線状の細溝を、区画の左右に余地を設けて上下に略等間隔になるように形成したものであって、右ショルダー区画においても、左ショルダー区画のものと左右対称の形態となるように形成している点で、両意匠は相違する。
(相違点3)本願意匠の中央区画の形態が、平坦な面にサイピングを周方向に1条施しているのに対し、引用意匠の中央区画の形態が、溝部等のない平坦な面としている点で、両意匠は相違する。
第5 判断
1 意匠に係る物品の類否判断
両意匠の意匠に係る物品は、一致するものであるから同一である。
2 形態の共通点及び相違点の評価
以上の共通点及び相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価し、本願意匠と引用意匠が類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について考察する。
(1)形態の共通点
(共通点1)の全体の態様、及び(共通点2)のトレッド部を5つの区画からなる構成とする態様は、自動車用タイヤの基本的な構成態様といえるものであり、ごく一般的なものにすぎず、両意匠のみに認められる格別の特徴であるとはいえないから、この(共通点1)及び(共通点2)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
(共通点3)の左右内側区画の溝部の形態、及び(共通点4)の左右ショルダー区画の溝部の形態は、両意匠の該部位の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであるから、自動車の走行性能に関わるトレッド部の溝部について注視する需要者にとって見れば、これらの共通性のみを重視して類否判断をするとはいえないから、この(共通点3)及び(共通点4)が意匠全体の美感に与える影響は小さいといえる。
(2)形態の相違点
(相違点1)は、左右内側区画における溝部の形態に係るものであって、本願意匠が、大小の円弧状の細溝と直線状のサイピングからなる2つの折曲部を有する略U字状の形態であって、先端部分が欠けた角のような印象を与えるのに対し、引用意匠は、略「つ」の字状の細溝と略直線状のサイピングからなる尖った折曲部を有する略U字状の形態であって、先の尖った細長い葉のような印象を与えるから、両意匠は左右内側区画における溝部の美感に大きな差異がある。
(相違点2)は、左右ショルダー区画における溝部の形態に係るものであって、本願意匠が、細溝とサイピングを交互に配したにすぎない単調な印象を与えるのに対し、引用意匠は、略変形十字状の細線の間に直線状の細線を交互に配した複雑で特異な印象を与えるから、両意匠は左右ショルダー区画における溝部の美感に大きな差異がある。
(相違点3)は、中央区画のサイピングの有無についての相違点であって、該部位に周方向のサイピングを施した本願意匠の形態は、この種物品の先行意匠に照らして、既に見られるものであって、特段特徴のなるものとはいえないから、この(相違点3)が意匠全体の美感に与える影響は小さい。
3 両意匠の類否判断
両部分の形態における各共通点及び相違点についての個別評価に基づき、意匠全体として全ての共通点及び相違点を総合的に観察した場合、両意匠は、需要者が注視するといえる自動車の走行性能に関わるトレッドに形成された溝部の具体的な形態の美感に大きな差異があり、左右内側区画及び左右ショルダー区画において溝部が左右対称であること、及び上下に約1/2ピッチずらした配置態様であることが共通することを考慮しても、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が同一であるが、その形態においては、共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱であるのに対して、相違点が類否判断に及ぼす影響はそれぞれ大きく、意匠全体として見た場合には、これらの相違点が相まって生じる視覚的効果は、共通点のそれを凌駕して看者に別異の印象を与え、両意匠に異なる美感を起こさせるものであるから、本願意匠が引用意匠に類似するということはできない。
第6 むすび
以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
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