特許拒絶査定不服審判
2019-000952
電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器
- 審判番号
- 2019-000952
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2017-534574外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年01月24日
- 審決日
- 2019年12月24日
- 公報発行日
- 2020年02月28日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ユニスト(ウルサン ナショナル インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー)
- 【請求人代理人】恩田 誠
- 【請求人代理人】恩田 博宣
- 【請求人代理人】本田 淳
- 分類
- P18 .121-WY (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第17条の2第5項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特願2017-534574「電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 7月28日国際公開,WO2016/117724,平成30年 1月11日国内公表,特表2018-500772,請求項の数(2)〕について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の発明は,特許すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,2015年(平成27年)1月23日を国際出願日とする出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年 6月26日:上申書・手続補正書
平成30年 5月28日:拒絶理由通知(起案日)
平成30年 8月27日:意見書・手続補正書
平成30年 9月14日:拒絶査定(起案日)(以下,「原査定」という。)
平成31年 1月24日:審判請求
平成31年 1月24日:手続補正書(以下,この手続補正書による手続補正を「本件補正」という。)
第2 原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1ないし3に係る発明は,本願出願前に頒布された以下の引用文献1ないし5に基づいて,本願出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
引用文献等一覧
1.韓国公開特許第10-2013-0133368号公報
2.特表2014-517621号公報
3.国際公開第2014/204394号
4.特開2008-026028号公報
5.米国特許出願公開第2005/0199917号明細書
第3 本件補正について
(1)本件補正の内容
ア 平成30年8月27日提出の手続補正書により補正された(以下「本件補正前」という。)特許請求の範囲の請求項1ないし3は,以下のとおりである。
「【請求項1】
電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器において,
前記電界効果トランジスタは,
シリコンベースの一部にドーピングによって形成されるソースと,
平面上で前記ソースを取り囲む形態に形成されるチャネルと,
前記チャネル外部に形成されるドレインと,
前記ソース,チャネル,及びドレインの上段に形成される誘電層と,
前記誘電層の上段に位置するゲートと,
を含んで構成され,
前記ゲートを通じてテラヘルツ電磁波が印加される場合,前記ソースとドレインから出力される電流/電圧で電磁波の程度を感知し,
前記チャネルは,一定の幅に形成され,
前記ゲートは前記チャネルと同じ形状であり,前記ソース及びドレインの少なくとも一方と一部オーバーラップされることを特徴とする電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器。
【請求項2】
前記ゲートは,前記チャネルと同一の大きさに形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器。
【請求項3】
前記ソースの平面形状は円形又は多角形であることを特徴とする請求項1または2に記載の電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器。」
イ 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1,2は,以下のとおりである。(下線は,補正箇所である。)
「【請求項1】
電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器において,
前記電界効果トランジスタは,
シリコンベースの一部にドーピングによって形成されるソースと,
平面上で前記ソースを取り囲む形態に形成されるチャネルと,
前記チャネル外部に形成されるドレインと,
前記ソース,チャネル,及びドレインの上段に形成される誘電層と,
前記誘電層の上段に位置するゲートと,
を含んで構成され,
前記ゲートを通じてテラヘルツ電磁波が印加される場合,前記ソースとドレインから出力される電流/電圧で電磁波の程度を感知し,
前記チャネルは,一定の幅に形成され,
前記ゲートは前記チャネルと同じ形状であり,前記ソース及びドレインの少なくとも一方と一部オーバーラップされることを特徴とする電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器。
【請求項2】
前記ソースの平面形状は円形又は多角形であることを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器。」
(2)補正の適否について
本件補正は,本件補正前の請求項2を削除するとともに,本件補正前の請求項3の項番号を繰り上げて,本件補正後の請求項2とする補正であるから,特許法第17条の2第5項第1号に掲げる請求項の削除,及び同項第4号に掲げる明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当する。
したがって,本件補正は適法になされたものである 。
第4 本願発明
1 本願の請求項1,2に係る発明(以下,それぞれ「本願発明1」,「本願発明2」という。)は,平成31年1月24日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1,2に記載された事項により特定される発明であり,以下のとおりの発明である。(以下、再掲。)
「【請求項1】
電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器において,
前記電界効果トランジスタは,
シリコンベースの一部にドーピングによって形成されるソースと,
平面上で前記ソースを取り囲む形態に形成されるチャネルと,
前記チャネル外部に形成されるドレインと,
前記ソース,チャネル,及びドレインの上段に形成される誘電層と,
前記誘電層の上段に位置するゲートと,
を含んで構成され,
前記ゲートを通じてテラヘルツ電磁波が印加される場合,前記ソースとドレインから出力される電流/電圧で電磁波の程度を感知し,
前記チャネルは,一定の幅に形成され,
前記ゲートは前記チャネルと同じ形状であり,前記ソース及びドレインの少なくとも一方と一部オーバーラップされることを特徴とする電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器。
【請求項2】
前記ソースの平面形状は円形又は多角形であることを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器。」
第5 引用文献,引用発明等
1 引用文献1について
(1)引用文献1の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には,図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付加した。以下同じ。)(日本語訳は,当審で作成した。)
「
」
(日本語訳:[0001]本発明は,テラヘルツ(THz)波を検出するテラヘルツ検出器に関するものであり,特に,THz検出器の反応度を根本的に向上させるために,低価格のシリコン・プロセス技術をベースに集積可能な非対称的なソース及びドレイン構造のFETを有するテラヘルツ検出器に関するものである。)
「
」
(日本語訳:[0004]このようなFETをシリコン・プロセスの利点である自己整合ゲート構造(self-aligned gate structure)に製作する場合にも,ゲートがすでに形成された後にソース/ドレイン領域を非対称にする必要があり,ゲートとオーバーラップ(overlap)するソース/ドレイン領域のいずれか一方のみを変化させるために,主に超微細高性能素子の目的のオーバーラップのためのイオン注入工程等の複雑な追加によるマスク工程が必要になるのみならず,そのような非対称性のために注入されたイオンの等方性拡散により,THz波が入射する端子であるゲートが向かっているソース/ドレイン非対称の比率が減り,電荷非対称効果が大きくなくなる。又,高電圧電力素子の目的のアンダーラップ(underlap)のためのゲート側壁工程(ゲートが下部チャネルと重なる)も側壁の厚さの調節を通じて効果的に非対称効果を制御することができるが,アンダーラップ構造の場合,すでにアンダーラップが生じた後のゲートが向かっている非対称効果はわずかであり,素子の抵抗を増加させ,雑音等価電力が増加するという問題がある。)
「
」
(日本語訳:[0015]図1は,本発明の一実施例によるFET(Field-effect transistor, 電界効果トランジスタ)の製造方法を説明するためのフローチャートである。
[0016]まず,FETの非対称効果を最大化させるために,自己整合方式とは異なり,FETのソース(電極)(S)とドレイン(電極)(D)の物理的な領域をまず定義するが,これをソース(S)又はドレイン(D)の幅(W1 or W2)に調節することができる方法で,非対称のソース(S)とドレイン(D)領域を定義する。例えば,シリコンベース(例えば,低濃度の不純物をドープしたN-又はP-ベース)の上にフォトレジストを塗布した後,所定のフォトマスクを用いてソース(S)とドレイン(D)領域になる部分を除去することにより,ソース(S)とドレイン(D)領域に対するフォトレジストパターンを形成し,その後の工程でソース(S)とドレイン(D)領域に不純物(例えば,高濃度N型不純物N+)を注入し,所定の拡散工程等を通じてシリコン基板のソース(S)とドレイン(D)領域が一定以上の伝導度を持つようにする(S10)。例えば,長方形の形のドレイン(D)領域の長さ方向の幅(W2)と長方形の形のいずれか一辺で突出領域(20)を有する形のソース(S)領域の該当突出領域(20)の幅(W1)(チャネルに垂直な方向の長さ)との間の比率がテラヘルツ波検出に適切な反応度(図4参照)を有するように設計することができる。残っているフォトレジストは除去される。突出領域(20)は,ソース(S)領域の該当辺の突出していない部分からチャネル方向に適切な長さを持つようにするが,例えば,その長さは,その幅(W1)によって異なり,約10nm~100μmである。
[0017]次に,上記のようにソース(S)とドレイン(D)領域が形成された後,その上に全面に所定の絶縁膜(例えば,SiO2等)を蒸着あるいは成長させてゲート(電極)(G)絶縁膜(21)が形成されるようにする(S20)。図面には,ゲート(G)金属電極(23)(S40参照)が形成される部分のゲート(G)絶縁膜(21)を表示した。
[0018]次に,フォトリソグラフィ工程とエッチング工程を通じてソース(S)とドレイン(D)領域にそれぞれのビアホール(via hole)形態のコンタクトホール(contact hole)(22)を形成する(S30)。ソース(S)とドレイン(D)領域の上に絶縁膜(例えば,SiO2等)が蒸着あるいは成長しているので,ソース(S)とドレイン(D)領域にソース(S)金属電極とドレイン(D)金属電極(24)(S40参照)とコンタクトするためのコンタクトホール(22)をエッチングする。
[0019]次に,その上にAl,Cu等の金属を蒸着し,フォトリソグラフィ工程とエッチング工程を通じて,突出領域(20)とドレイン(D)領域との間のチャネル領域上にゲート(G)金属電極(23)のパターンが形成されるようにし,同時にコンタクトホール(22)を介してソース(S)とドレイン(D)領域にそれぞれコンタクトされるソース(S)金属電極とドレイン(D)金属電極(24)のパターンが形成されるようにする(S40)。その後,全面に絶縁膜(例えば,SiO2等)等の保護膜を一定の厚さ(例えば,500nm)以上で蒸着するパッシベーション(passivation)工程を行い,このとき,ゲート(G)金属電極(23),ソース(S)金属電極とドレイン(D)金属電極(24)等の該当電極と接続された金属パターン(例えば,入出力パッドやピン等)の位置に対するフォトリソグラフィ工程とエッチング工程を通じて各金属電極を露出させて,テラヘルツ検出器(100)で使用するときに各電極に電圧印加が可能になるようにすることができる。
[0020]上記のS10段階のように,物理的にソース(S)とドレイン(D)の領域を先に定義した場合,不純物拡散工程を通じてソース(S)とドレイン(D)を形成するための不純物が等方拡散しても非対称効果は2次元的に制御が可能であり,非対称効果を向上させることができ,THz検出器(図2の100)の反応度を効果的に制御することができる。又,最初のマスクである非対称のソース(S)とドレイン(D)の配置(layout)のほか,様々なデザインのゲート(G)金属電極(23)に対するオープン配置(open layout)を介してゲート(G)金属電極(23)がソース(S)/ドレイン(D)領域とオーバーラップされる領域も調節でき(S40段階を参照),対称素子から非対称素子まで同じレイアウト上でさらに微細な非対称の比率のデザイン及び反応度の制御が可能になる。)
「
」
(日本語訳:[0023]FETのゲート(G)金属電極とソース(S)金属電極との間に直流電源(Vg)の電圧が印加された状態で,外部から交流(AC)信号形態(Vacosωt)のTHz波信号を受信し,ゲート(G)金属電極とソース(S)金属電極の間に入射することができる。例えば,食品異物や有害物質等の有無を判別するために,所定の試験片を通過した交流(AC)信号形態(Vacosωt)のTHz波信号が所定のアンテナを介して受信された後,直流電源(Vg)の電圧と合成されて(110),ゲート(G)金属電極とソース(S)金属電極の間に印加されるものと解釈することができる。
[0024]これにより,図1のように製造されたFETで,突出領域(20)によってソース(S)領域とドレイン(D)領域との間の非対称的形状に応じて,チャネル領域での電荷量の非対称性が誘導され,このような非対称的電荷分布によって測定器(120)で測定されるソース(S)金属電極とドレイン(D)金属電極との間の出力電圧/電流(Vout)を検出して光反応性(Photoresponse)を分析することができる。)
「
」
(2)上記記載から,引用文献1には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 本発明は,テラヘルツ(THz)波を検出するテラヘルツ検出器に関するものであり,特に,THz検出器の反応度を向上させるために,非対称的なソース及びドレイン構造を備えるようにしたこと。
イ FETに長さ方向の幅(W2)を有する長方形の形のドレイン(D)領域と,長方形の形のいずれか一辺で幅(W1)の突出領域(20)を有するソース(S)領域を形成すること。
ウ ソース(S)とドレイン(D)領域が形成された後,その上に全面に所定の絶縁膜(例えば,SiO2等)を蒸着あるいは成長させてゲート(電極)(G)絶縁膜(21)を形成すること。
エ フォトリソグラフィ工程とエッチング工程を通じてソース(S)とドレイン(D)領域にそれぞれのビアホール形態のコンタクトホール(22)を形成すること。
オ コンタクトホール(22)の上にAl,Cu等の金属を蒸着し,フォトリソグラフィ工程とエッチング工程を通じて,突出領域(20)とドレイン(D)領域との間のチャネル領域上にゲート(G)金属電極(23)のパターンが形成されるようにし,同時にコンタクトホール(22)を介してソース(S)とドレイン(D)領域にそれぞれコンタクトされるソース(S)金属電極とドレイン(D)金属電極(24)のパターンが形成されるようにすること。
カ FETのゲート(G)金属電極とソース(S)金属電極との間に直流電源(Vg)の電圧が印加された状態で,外部から交流信号のTHz波信号を受信し,ゲート(G)金属電極とソース(S)金属電極の間に入射した状態で,ソース(S)金属電極とドレイン(D)金属電極との間の出力電圧/電流(Vout)を検出することでテラヘルツ波を検出することができること。
(3)上記(1),(2)から,引用文献1には,次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
「テラヘルツ(THz)波を検出するテラヘルツ検出器のためのFETを形成する方法であって,
FETに長さ方向の幅(W2:チャネルに垂直な方向の長さ)を有する長方形の形のドレイン(D)領域と,長方形の形のいずれか一辺で幅(W1:チャネルに垂直な方向の長さ)の突出領域(20)を有するソース(S)領域を,シリコンベースの上に形成し,
ソース(S)とドレイン(D)領域が形成された後,その上に全面に所定の絶縁膜(例えば,SiO2等)を蒸着あるいは成長させてゲート(電極)(G)絶縁膜(21)を形成し,
フォトリソグラフィ工程とエッチング工程を通じてソース(S)とドレイン(D)領域にそれぞれのビアホール形態のコンタクトホール(22)を形成し,
コンタクトホール(22)の上にAl,Cu等の金属を蒸着し,フォトリソグラフィ工程とエッチング工程を通じて,突出領域(20)とドレイン(D)領域との間のチャネル領域上にゲート(G)金属電極(23)のパターンが形成されるようにし,同時にコンタクトホール(22)を介してソース(S)とドレイン(D)領域にそれぞれコンタクトされるソース(S)金属電極とドレイン(D)金属電極(24)のパターンを形成し,
FETのゲート(G)金属電極とソース(S)金属電極との間に直流電源(Vg)の電圧が印加された状態で,外部から交流信号のTHz波信号を受信し,ゲート(G)金属電極とソース(S)金属電極の間に入射した状態で,ソース(S)金属電極とドレイン(D)金属電極との間の出力電圧/電流(Vout)を検出することでテラヘルツ波を検出することができる,
テラヘルツ(THz)波を検出するテラヘルツ検出器のためのFETを形成する方法。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモノリシック集積されたアンテナ及び受信機回路に関し,更に詳しくは,第1電極,第2電極,制御電極,及び第1電極と第2電極との間のチャネルを有する少なくとも1つのトランジスタと,アンテナ構造とを備えるTHz周波数範囲の電磁放射線の検出装置に関する。」
「【0068】
図1の装置は,2つの電界効果トランジスタFET1,FET2を有している。それぞれの電界効果トランジスタFET1,FET2は,ゲートG,ドレインD及びソースSを有する。図1では概略的に示すアンテナ構造1は,パッチアンテナを有している。パッチアンテナの2つの足点2,3は,インピーダンス整合用の伝送線TLを介して電界効果トランジスタFET1,FET2のドレインにそれぞれ接続されている。
【0069】
電界効果トランジスタFET1,FET2のゲートGのバイアス電圧は,電界効果トランジスタFET1,FET2のゲートGに接続されているDCソースVGSを通じて生じている。
【0070】
図示の実施形態では,装置の全部品,即ちアンテナ構造1,伝送線TL及び2つの電界効果トランジスタFET1,FET2が1つのチップに集積されている。
【0071】
パッチアンテナの接地板4が,アンテナ構造1と電界効果トランジスタFET1,FET2との間に配置されている。これは,アンテナ構造1をトランジスタからシールドする役割も果たす。アンテナ構造1は,酸化ケイ素層によって接地板4に対して絶縁されている。アンテナ構造1の足点2,3と電界効果トランジスタFET1,FET2のドレインDとの間の接続部と,電界効果トランジスタFET1,FET2のゲートGとバイアス電圧ソースVGSとの間の接続部は,接地板4の孔に通されている。図1に示す検出器回路の実施形態では,2つの電界効果トランジスタFET1,FET2は差動配線で使用され,2つのFET1,FET2のソースS同士が接続されて接地板4上に回路の第1出力を形成する。両ドレインは,対応するリード線TLとアンテナ構造1を介して,回路の第2出力5に接続されている。被検出信号は,接地板4と回路の出力5との間の評価回路によって取り出される。換言すると,被検出信号はアンテナを介して取り出される。アンテナは,配置が対称であるため,ローパスフィルタとしての機能を引き継ぐ。
【0072】
各トランジスタFET1,FET2のゲートGとソースSとは,固有キャパシタンスを介して互いに結合されている。これにより,ソースへの印加電圧は,トランジスタFET1,FET2のゲートGへの印加電圧を直接従う。図示の実施形態では,2つの固有キャパシタンスは,それぞれ150fFの静電容量を有する。この配線によって,FET1,FET2を抵抗ミキサとして動作させることができる。
【0073】
各電界効果トランジスタFET1,FET2のゲート‐ソース間の接続部の固有キャパシタンスを調整可能とするために,図2に概略的に示すように,ゲート接続部6は,酸化層7によって,基板8,ソース接続部10及びドレイン接続部9に対して絶縁されている。図2の点線と矢印で示されているように,ゲート接続部6をソース接続部10上に延在するように延長することによって,ゲート‐ソース間の接続部の固有キャパシタンスを増加させることができ,それによりゲートGとソースSの電圧の結合度が著しく高まる。」
「【図1】
」
(2)上記記載から,引用文献2には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 本発明はモノリシック集積されたアンテナ及び受信機回路に関し,更に詳しくは,第1電極,第2電極,制御電極,及び第1電極と第2電極との間のチャネルを有する少なくとも1つのトランジスタと,アンテナ構造とを備えるTHz周波数範囲の電磁放射線の検出装置に関すること。
イ アンテナ構造1は,パッチアンテナを有しており,パッチアンテナの2つの足点2,3は,インピーダンス整合用の伝送線TLを介して電界効果トランジスタFET1,FET2のドレインにそれぞれ接続されていること。
ウ 電界効果トランジスタFET1,FET2のゲートGのバイアス電圧は,電界効果トランジスタFET1,FET2のゲートGに接続されているDCソースVGSを通じて生じていること。
エ パッチアンテナの接地板4が,アンテナ構造1と電界効果トランジスタFET1,FET2との間に配置されており,アンテナ構造1は,酸化ケイ素層によって接地板4に対して絶縁されていること。
オ アンテナ構造1の足点2,3と電界効果トランジスタFET1,FET2のドレインDとの間の接続部と,電界効果トランジスタFET1,FET2のゲートGとバイアス電圧ソースVGSとの間の接続部は,接地板4の孔に通されていること。
カ 電界効果トランジスタFET1,FET2は差動配線で使用され,電界効果トランジスタFET1,FET2のソースS同士が接続されて接地板4上に回路の第1出力を形成し,両ドレインは,対応するリード線TLとアンテナ構造1を介して,回路の第2出力5に接続されており,被検出信号は,接地板4と回路の出力5との間の評価回路によって取り出されること。
キ ゲート接続部6は,酸化層7によって,基板8,ソース接続部10及びドレイン接続部9に対して絶縁されていること。
(3)上記(1),(2)から,引用文献2には,次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。
「パッチアンテナを有するアンテナ構造1と,
2つの電界効果トランジスタFET1,FET2と,
インピーダンス整合用の伝送線TLを介してパッチアンテナの2つの足点2,3と接続される電界効果トランジスタFET1,FET2のドレインと,
ソースSとドレインDとの間に形成されるチャネルと,
電界効果トランジスタFET1,FET2のゲートGに接続され,バイアス電圧を生じさせるDCソースVGSと,
基板8,ソース接続部10及びドレイン接続部9に対して,ゲートGを絶縁するための酸化層7と,
アンテナ構造1と電界効果トランジスタFET1,FET2との間に配置されており,アンテナ構造1が酸化ケイ素層によって絶縁されている接地板4と,
アンテナ構造1の足点2,3と電界効果トランジスタFET1,FET2のドレインDとの間の接続部と,電界効果トランジスタFET1,FET2のゲートGとバイアス電圧ソースVGSとの間の接続部を通すための,接地板4の孔と,
を備えるTHz周波数範囲の電磁放射線の検出装置であって,
電界効果トランジスタFET1,FET2のソースS同士が接続されて接地板4上に回路の第1出力を形成し,電界効果トランジスタFET1,FET2のドレインは,対応するリード線TLとアンテナ構造1を介して,回路の第2出力5に接続され,接地板4と回路の出力5との間の評価回路によって被検出信号を取り出すことで,THz周波数範囲の電磁放射線を検出する,
THz周波数範囲の電磁放射線の検出装置。」
3 引用文献3について
(1)引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献3には,図面とともに次の事項が記載されている。(日本語訳は,対応する日本語公報である特表2016-530490号に基づいて当審で作成した。)
「The present invention relates to an integrated sensor device. In particular, the present invention relates to a hybrid form of semiconductor devices combining a field effect transistor with a bipolar junction transistor, the field effect transistor being connected to a sensing electrode by a plurality of contacts/vias and metal layers.
Background of the invention
Over the recent years a growing interest has been seen in the area of highly sensitive semiconductor devices that can be used for charge detection in liquids (e.g. ion sensitive field-effect transistor (ISFET) -type for hydrogen ions, as applied in the determination of pH-concentrations , detection of biomolecules , studies of DNA replication and genome sequences, etc.), or for the detection of ions or polarisable molecules in gaseous mixtures. Hybrid forms of such semicon- ductor devices have previously been proposed and demonstrated (S-R. Chang et al . Sensors 9, 2009, pp. 8336-8348 and H. Yuan et al . Biosensors and Bioelectronics 28, 2011, pp. 434-437), Ref. 1-2. These hybrids combine in a single integrated circuit an ISFET charge-sensitive device in parallel with a lateral bipolar junction transistor (LBJT) . Such hybrid devices beneficially combine the high sensitivity of the ISFET with the additional amplification provided by the LBJT. 」(1頁4行~27行)
(日本語訳:本発明は,集積センサデバイスに関する。具体的には,本発明は,複数の接点/ビアおよび金属層によって感応性電極に接続される電界効果トランジスタをバイポーラ接合トランジスタと組み合わせる半導体デバイスのハイブリッド形態に関する。
ここ数年にわたって,液体の電荷検出に使用され得る高感度半導体デバイス(例えば,pH濃度の決定,生体分子の検出,DNA複製およびゲノム配列の研究などで適用される水素イオンのイオン感応性電界効果トランジスタ(ISFET)型),またはガス状混合物中のイオンまたは分極性分子の検出に使用され得る高感度半導体デバイスの技術分野への関心の高まりが見られている。このような半導体デバイスのハイブリッド形態は,以前に提案され,実証されている(非特許文献1及び2)。これらのハイブリッドは,単一集積回路内に,横型バイポーラ接合トランジスタ(LBJT)と並列にISFET電荷感応性デバイスを組み合わせる。このようなハイブリッドデバイスは,高感度のISFETと,LBJTによって提供された追加の増幅器を有益に組み合わせる。)
「A prior-art ISFET-gated LBJT is described with reference to FIGS. 1A and IB. Referring first to FIG. 1A, there is depicted a side view of the prior art device 10 representative of a device disclosed in the above cited U.S. Patent No. 8283736. As shown in the Figure, the gated LBJT 10 is constructed by forming an n-well 12 in a p-type substrate 11, forming p+- doped regions in the n-well 12 and forming a lateral collector ring 15 around an emitter 13 in the p+-doped regions, respectively .
The gated LBJT 10 has an enclosed gate electrode 18, between p+-doped regions, on top of a gate dielectric layer 17. In addition, a base contact 14 is formed in an n+-doped region in the n-well 12. Likewise, a p+-doped region 16, outside the n-we11 is provided as substrate contact.
The gate electrode 18 and the p+-doped regions on adjacent sides, which function as source/drain contacts, constitute a p-type MOSFET device.
The floating gate electrode 18 is electrically connected by a plurality of contacts/vias and metal layers 21 to a hydrogen ion sensing electrode 19 above the gated LBJT. The surface of the sensing electrode 19 is in contact with an ion-containing solution 22 to which a reference gate-electrode 20 is attached .」(4頁14行~5頁6行)
(日本語訳:先行技術のISFETゲート型LBJTは,図1Aおよび1Bを参照して記載される。最初に図1Aを参照して,上記の特許文献1に開示されるデバイスを表す先行技術のデバイス10の側面図が示される。図に示されるように,ゲート型LBJT10は,それぞれ,p型基板11内にnウェル12を形成すること,nウェル12内にp+ドープ領域を形成すること,p+ドープ領域内のエミッタ13の周囲に横型コレクタリング15を形成することによって構築される。
ゲート型LBJT10は,p+ドープ領域の間,ゲート誘電体層17の上に,囲繞されたゲート電極18を有する。加えて,ベース接点14は,nウェル12内のn+ドープ領域内に形成される。同様に,nウェルの外側のp+ドープ領域16は,基板接点として提供される。
ソース/ドレイン接点として機能するゲート電極18および隣接した側面上のp+ドープ領域は,p型MOSFETデバイスを構成する。
フローティングゲート電極18は,複数の接点/ビアおよび金属層21によってゲート型LBJT上の水素イオン感応性電極19に電気的に接続される。感応性電極19の表面は,基準ゲート電極20が取り付けられるイオン含有溶液22と接触する。)
「FIG. 1A
」
(2)上記記載から,引用文献3には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 液体の電荷検出に使用され得る高感度半導体デバイスは,
p型基板11内に形成されたnウェル12と,nウェル12内に形成されたp+ドープ領域と,p+ドープ領域内のエミッタ13の周囲に形成された横型コレクタリング15とによって構築されるゲート型LBJT10と,
ゲート型LBJT10上のp+ドープ領域の間であって,ゲート誘電体層17の上に囲繞されたゲート電極18と,
nウェル12内のn+ドープ領域内に形成されたベース接点14と,
基板接点として提供されるnウェルの外側のp+ドープ領域16と,
複数の接点/ビアおよび金属層21によってゲート型LBJT上の水素イオン感応性電極19に電気的に接続されたフローティングゲート電極18と,
感応性電極19上にあって,基準ゲート電極20が取り付けられるイオン含有溶液22と,
を有する液体の電荷検出に使用され得る高感度半導体デバイスであること。
イ 横型コレクタリング15は,リングという用語から円形状を想起させるものであること。すなわち,当該横型コレクタリング15に接するチャネルは,円形状を想起させるものであること。
4 引用文献4について
(1)引用文献4の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4には,図面とともに次の事項が記載されている。
「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,MIS(Metal-Insulator(Oxide)-Semiconductor)型トランジスタのチャネル領域のキャリア密度,及び移動度を測定するための半導体装置の特性評価方法と,この特性評価方法に用いられる試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,相補型MOS(CMOS)素子として使われるMIS型トランジスタのゲート絶縁膜として,従来のシリコン酸化膜及びシリコン酸窒化膜に代えて,高誘電率(high-k)絶縁膜材料の導入が検討されている。その中で最も懸念される点の一つは,high-k 絶縁膜を用いたMIS型トランジスタの駆動力であり,駆動力の指標となる移動度を正確に測定することが必須となっている。」
「【0048】
(第6の実施形態)試験素子構造に関する実施の形態
図9は,本発明の第6の実施形態に係わる試験素子構造を示す平面図である。
【0049】
本実施形態の構造は,p型シリコン基板上に形成された三重リングの構造をしている。同心円の中心に最も近いn+ 多結晶シリコン・ゲート104のリングがMIS型トランジスタ12のゲートに相当する。また,同心円の中心から見て第2番目のn+ 多結晶シリコン・ゲート104のリングが被測定MIS型トランジスタ11に相当する。また,最も外周のn+ 多結晶シリコン・ゲート104のリングがMIS型トランジスタ13に相当する。これら3つのリング間の領域はn+ 拡散層102になっており,ソース・ドレイン電極として機能する。
【0050】
これらのMIS型トランジスタ11,12,13の寸法は,次の通りである。MIS型トランジスタ12のゲート・リングの動径方向の幅(ゲート長に相当)は40μm,MIS型トランジスタ11のゲート・リングの動径方向の幅は200μm,MIS型トランジスタ13のゲート・リングの動径方向の幅は80μmである。また,中央のn+ 拡散層102の直径は80μm,MIS型トランジスタ12及びMIS型トランジスタ11の間のn+ 拡散層102の幅は80μm,また,MIS型トランジスタ11及びMIS型トランジスタ13の間のn+ 拡散層102の幅は80μmである。
【0051】
これらのトランジスタの断面構造(不図示)は,n+ 拡散層で形成されたソース・ドレイン電極,その間のシリコン基板上に形成されたゲート絶縁膜としてのシリコン熱酸化膜(厚さ6nm),及びその上に形成されたゲート電極としてのn+ 多結晶シリコン層から成り立っている。
【0052】
この3重リングのMIS型トランジスタ11,12,13の面積をそれぞれS1 ,S2 ,S3 ,また,MIS型トランジスタ11 ,12 ,13 のリング幅をそれぞれL1 ,L2 ,L3 とすれば,これらの量は以下のように計算される。
【0053】
S1 =104000π(μm2 )
S2 =76800π(μm2 )
S3 =4800π(μm2 )
S1 /L1 2 = 2.6π
S2 /L2 2 = 3π
S3 /L3 2 = 12π
従って,被測定MIS型トランジスタ11が最も大きいゲート・チャネル間容量を有し,且つ最も小さいソース・ドレイン間コンダクタンスを有する。」
「【図9】
」
(2)上記記載から,引用文献4には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア MIS(Metal-Insulator(Oxide)-Semiconductor)型トランジスタのチャネル領域のキャリア密度,及び移動度を測定するための半導体装置の特性評価に用いられる試験装置は,
p型シリコン基板上に形成された三重リングの構造をしており,
同心円の中心に最も近いn+ 多結晶シリコン・ゲート104のリングと,
被測定MIS型トランジスタ11に相当し,同心円の中心から見て第2番目のn+ 多結晶シリコン・ゲート104のリングと,
最も外周のn+ 多結晶シリコン・ゲート104のリングと,
これら3つのリング間の領域であって,ソース・ドレイン電極として機能するn+ 拡散層102と,
を備える試験装置であること。
イ 多結晶シリコン・ゲート104のリング間には,円形状のチャネルが形成されること。
5 引用文献5について
(1)引用文献5の記載
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5には,図面とともに次の事項が記載されている。(日本語訳は,当審で作成した。)
「[0003] The present invention relates to a sensitivity enhanced biomolecule field effect transistor (FET), and more particularly, to a biomolecule FET enhancing sensitivity when detecting a biomolecule by improving a structure of a transistor-based biomolecule FET. 」
(日本語訳:[0003] 本発明は,感度が向上した生体分子電界効果トランジスタ(FET)についてであり,より具体的には,生体分子の検出感度を向上させる生体分子FETについてである。この感度の向上は,トランジスタをベースとした生体分子FETの構造を改善することにより得られた。)
「[0030] FIG. 2 is a view illustrating the biomolecule FET according to the present invention. The biomolecule FET is characterized in that a region where a first impurity region 22 a (source) is in contact with a gate 23 is wider than a region where a second impurity region 22 b (drain) is in contact with the gate 23 . Preferably, the biomolecule FET has a circular construction in which the gate 23 and the first impurity region 22 a enclose the second impurity region 22 b.
[0031] Referring to FIG. 2 , the first impurity region 22 a and the second impurity region 22 b are formed on a substrate 21 . If the substrate 21 is doped in an n-type, the first impurity region 22 a and the second impurity region 22 b are doped in a p-type. The gate 23 is formed on the substrate 21 in a center of the first impurity region 22 a and the second impurity region 22 b. At this time, the biomolecule FET has a circular construction in which the gate 23 and the first impurity region 22 a enclose the second impurity region 22 b. Seeing a top view of the biomolecule FET according to the present invention, it can be seen that the gate 23 and the first impurity region 22 a enclose the second impurity region 22 b.
[0032] In the case where the gate 23 and the first impurity region 22 a are adapted to enclose the second impurity region 22 b, the first impurity region 22 a is formed on both sides of the second impurity region 22 b, with a channel having a desired width formed between the regions 22 a and 22 b, as shown in FIG. 2 . It will be noted that the first impurity region 22 a formed on both sides of the second impurity region 22 b is a unitary region with an electrical connection to each other. An upper portion of the second impurity region 22 b is in contact with the gate 23 , while an outer, lower portion of the gate 23 is in contact with the first impurity region 22 a, so that its cross section is a structure of a typical transistor.
[0033] The structure shown in FIG. 2 assists in solving a drawback of the transistor-type biomolecule FET employing the reference electrode 27 in an electrolyte solution. 」
(日本語訳:[0030] 図2は,本発明による生体分子FETを描写している。生体分子FETの特徴は,第1不純物領域22a(ソース)とゲート23の接触部の幅が,第2不純物領域22b(ドレイン)とゲート23の接触部の幅よりも広いことである。生体分子FETのゲート23および第1不純物領域22aは,第2不純物領域22bを取り囲む円形構造であることが好ましい。
[0031] 図2の中で,第1不純物領域22aと第2不純物領域22bは,基板21の上に形成されている。基板21がn型にドープされている場合,第1不純物領域22aおよび第2不純物領域22bはp型にドープされる。基板21の上に形成されるゲート23は,第1不純物領域22aと第2不純物領域22bの間に位置する。生体分子FETは,ゲート23と第1不純物領域22aとが第2不純物領域22bを取り囲む円形構造を有する。本発明による生体分子FETの上面図は,ゲート23と第1不純物領域22aとが,第2不純物領域22bを取り囲んでいることを示している。
[0032] ゲート23および第1不純物領域22aが,第2不純物領域22bを取り囲む構造になっている場合,第1不純物領域22aは,第2不純物領域22bの両側に形成され,領域22aと22bの間に延びる所望の幅のチャネルが形成される(図2)。なお,第2不純物領域22bの両側に形成された第1不純物領域22aは,電気的に接続している単一の領域である。第2不純物領域22bの上部はゲート23に接しており,ゲート23の外側下部は第1不純物領域22aに接している。そのため,この生体分子FETの断面は一般的なトランジスタの断面と構造が同じである。
[0033] 図2に示された構造は,電解質溶液中に参照電極27を配備するトランジスタ型生体分子FETの欠点の解決に役立つ。)
「Fig 2.
」
(2)上記記載から,引用文献5には,次の技術的事項が記載されているものと認められる。
ア 生体分子の検出感度を向上させる生体分子FETであって,
基板21の上に形成されている第1不純物領域22aと第2不純物領域22bと,
第1不純物領域22aと第2不純物領域22bの間に位置するゲート23と,
を有し,
第1不純物領域22a(ソース)とゲート23の接触部の幅が,第2不純物領域22b(ドレイン)とゲート23の接触部の幅よりも広く,
生体分子FETのゲート23および第1不純物領域22aは,第2不純物領域22bを取り囲む円形構造であり,
第1不純物領域22aは,第2不純物領域22bの間に延びる所望の幅のチャネルが形成される,
生体分子FET。
イ 第1不純物領域22aと第2不純物領域22bの間に延びるチャネルは,円形状をしていること。
第6 対比・判断
1 本願発明1について
(1)引用発明1を主引用発明とした検討
ア 対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると,次のことがいえる。
(ア)引用発明1における「テラヘルツ検出器」,「FET」,「シリコンベース」,「ソース(S)」,「ドレイン(D)」,「チャネル」,「絶縁膜(例えば,SiO2等)」,「ゲート(電極)(G)絶縁膜(21)」,「ゲート(G)金属電極(23)」は,それぞれ本願発明1の「テラヘルツ検出器」,「電界効果トランジスタ」,「シリコンベース」,「ソース」,「ドレイン」,「チャネル」,「誘電層」,「ゲート」に相当する。
(イ)引用発明1の「テラヘルツ検出器」は,ゲート(G)金属電極(23)を通じてテラヘルツ電磁波が印加されると,ソース(S)金属電極とドレイン(D)金属電極との間の出力電圧/電流(Vout)を検出することでテラヘルツ電磁波を検出できるので,この点で,本願発明1の「前記ゲートを通じてテラヘルツ電磁波が印加される場合,前記ソースとドレインから出力される電流/電圧で電磁波の程度を感知」する「テラヘルツ検出器」に相当する。
したがって,本願発明1と引用発明1との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器において,
前記電界効果トランジスタは,
シリコンベースの一部にドーピングによって形成されるソースと,
チャネルと,
前記チャネル外部に形成されるドレインと,
前記ソース,チャネル,及びドレインの上段に形成される誘電層と,
前記誘電層の上段に位置するゲートと,
を含んで構成され,
前記ゲートを通じてテラヘルツ電磁波が印加される場合,前記ソースとドレインから出力される電流/電圧で電磁波の程度を感知する,
テラヘルツ検出器。」
(相違点)
(相違点1)チャネルの形状が,本願発明1においては,「平面上で前記ソースを取り囲む形態」であって,「一定の幅に形成」されるのに対して,引用発明1においては,平面上で前記ソースを取り囲む形態とはなっておらず,一定の幅でもない点。
(相違点2)ゲートの形状について,本願発明1においては,「ゲートは前記チャネルと同じ形状であり,前記ソース及びドレインの少なくとも一方と一部オーバーラップされる」のに対して,引用発明1では,その点について特定されていない点。
イ 相違点についての判断
以下,相違点1について検討する。
引用発明1の技術分野はFETを用いたテラヘルツ検出器である一方,引用文献3の技術的事項から理解される技術分野は,液体の電荷検出に使用され得る半導体デバイスであり,引用文献4の技術的事項から理解される技術分野は,半導体装置の特性を評価するための試験装置であり,引用文献5の技術的事項から理解される技術分野は,生体分子の検出感度を向上させる生体分子FETであるから,その試験対象,検出対象が異なるために,技術分野の関連性が高いとはいうことはできない。
したがって,引用文献3ないし5に記載された技術を,引用発明1に適用する動機を見いだすことができない。
したがって,引用発明1において,相違点1について,本願発明1の構成を採用することは,当業者が容易になし得たこととは認められない。
ウ 小括
したがって,他の相違点については検討するまでもなく,本願発明1は当業者であっても引用発明1,および引用文献3ないし5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
(2)引用発明2を主引用発明とした検討
ア 対比
本願発明1と引用発明2とを対比すると,次のことがいえる。
(ア)引用発明2における「THz周波数範囲の電磁放射線の検出装置」,「FET1」,「ソースS」,「ドレインD」,「チャネル」,「酸化層7」,「ゲートG」,は,それぞれ本願発明1の「テラヘルツ検出器」,「電界効果トランジスタ」,「ソース」,「ドレイン」,「チャネル」,「誘電層」,「ゲート」に相当する。
(イ)引用発明2の「THz周波数範囲の電磁放射線の検出装置」は,「電界効果トランジスタFET1,FET2のソースS同士が接続されて接地板4上に回路の第1出力を形成し,電界効果トランジスタFET1,FET2のドレインは,対応するリード線TLとアンテナ構造1を介して,回路の第2出力5に接続され,接地板4と回路の出力5との間の評価回路によって被検出信号を取り出すことで,THz周波数範囲の電磁放射線の検出する」ことから,ソースSの第1出力とドレインDの第2出力から,THz周波数範囲の電磁放射線を検知するものであると理解できるため,この点で,「ソースとドレインから出力される電流/電圧で電磁波の程度を感知」する「テラヘルツ検出器」に相当する。
したがって,本願発明1と引用発明2との間には,次の一致点,相違点があるといえる。
(一致点)
「電界効果トランジスタを用いたテラヘルツ検出器において,
前記電界効果トランジスタは,
ソースと,
チャネルと,
前記チャネル外部に形成されるドレインと,
前記ソース,チャネル,及びドレインの上段に形成される誘電層と,
前記誘電層の上段に位置するゲートと,
を含んで構成され,
テラヘルツ電磁波が印加される場合,前記ソースとドレインから出力される電流/電圧で電磁波の程度を感知する,
テラヘルツ検出器。」
(相違点)
(相違点3)チャネルの形状が,本願発明1においては,「平面上で前記ソースを取り囲む形態」であって,「一定の幅に形成」されるのに対して,引用発明2では,その点について特定されていない点。
(相違点4)ゲートの形状について,本願発明1においては,「ゲートは前記チャネルと同じ形状であり,前記ソース及びドレインの少なくとも一方と一部オーバーラップされる」のに対して,引用発明2では,その点について特定されていない点。
(相違点5)本願発明1におけるソースは,シリコンベースの一部にドーピングによって形成されるのに対して,引用発明2では,その点について特定されていない点。
(相違点6)本願発明1におけるテラヘルツ電磁波はゲートを通じて印加されるのに対して,引用発明2では,アンテナ構造1はドレインに接続されているから,テラヘルツ電磁波はドレインを通じて印加される点。
イ 相違点についての判断
以下,相違点3について検討する。引用発明2の技術分野はTHz周波数範囲の電磁放射線の検出装置である一方,引用文献3の技術的事項から理解される技術分野は,液体の電荷検出に使用され得る半導体デバイスであり,引用文献4の技術的事項から理解される技術分野は,半導体装置の特性を評価するための試験装置であり,引用文献5の技術的事項から理解される技術分野は,生体分子の検出感度を向上させる生体分子FETであるから,その試験対象,検出対象が異なるために,技術分野の関連性が高いとはいうことはできない。
したがって,引用文献3ないし5に記載された技術を,引用発明2に適用する動機を見いだすことができない。
したがって,引用発明2において,相違点3について,本願発明1の構成を採用することは,当業者が容易になし得たこととは認められない。
ウ 小括
したがって,他の相違点については検討するまでもなく,本願発明1は当業者であっても引用発明2と引用文献3ないし5に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。
2 本願発明2について
本願発明2は,本願発明1の発明特定事項を全て含み,さらに限定したものであるから,本願発明1が,引用発明1,2および引用文献3ないし5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえないことから,本願発明2も,引用発明1,2および引用文献3ないし5に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定について
1 理由(特許法第29条第2項)について
上記第6で検討したように、本願発明1および2は,当業者であっても,拒絶査定において引用された引用文献1ないし5に基づいて,容易に発明できたものとはいえない。したがって,原査定の理由を維持することはできない。
第8 むすび
以上のとおり,原査定の理由によっては,本願を拒絶することはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2019-000952