意匠拒絶査定不服審判
2019-000572
包装用缶
- 審判番号
- 2019-000572
- 法域
- 意匠
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 意願2018-005784外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2019年01月16日
- 審決日
- 2019年06月18日
- 公報発行日
- 2019年08月30日
- 結論
- 原査定取消(特許/登録すべき)
- 当事者
- 【請求人】ユニバーサル製缶株式会社
- 【請求人代理人】特許業務法人ドライト国際特許事務所
- 分類
- D18 .113-WY (F4-7)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 意匠法3条1項3号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 意匠法第3条第1項第3号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
意願2018-5784「包装用缶」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。
結論
【結 論】
原査定を取り消す。
本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
本願は,平成30年(2018年)3月19日の意匠登録出願であって,同年7月17日付けの拒絶理由の通知に対し,同年8月31日に意見書が提出されたが,同年10月15日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,平成31年1月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用缶」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。
第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。
引用意匠
独立行政法人工業所有権情報・研修館が2009年11月26日に受け入れた
coiffure de paris
第77頁所載
包装用容器の意匠の,模様および蓋を除く容器本体の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HB21008371号)
第4 対比
1 意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「包装用缶」であり,引用意匠に係る物品は「包装用容器」である。
2 両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
(1)共通点について
ア 全体を細口の有底略円筒状とした点。
イ 口部の下端に接続したへこみR(曲線)状の首部とした点。
ウ 首部の下端に接続したR状のなだらかに傾斜する肩部とした点。
エ 肩部の下端に接続した,下端を先窄まり状とした胴部とした点。
オ 胴部の直径と全体の高さの比率を約1:3とした点。
カ 胴部の直径と肩部下端までの高さ(以下「胴部の高さ」という。)の比率を約1:2とした点。
(2)相違点について
ア 首部の高さと肩部の高さの比率につき,本願意匠は,約3:2であるのに対して,引用意匠は,約1:3である点。
イ 首部のへこみRと肩部のRの曲率につき,本願意匠は,首部の曲率は小さく,肩部の曲率は大きいのに対して,引用意匠は,首部の曲率は大きく,肩部の曲率は小さい点。
ウ 口部の形状につき,本願意匠は,P.P.キャップ(Pilfer Proof Cap)用に,口部周面にネジ山を形成し,併せて,口部周面下端に(開栓時に,キャップの,ブリッジ部分で破断したリングが保持される)水平方向の溝を設けてあるのに対して,引用意匠は,キャップに覆われているから観察できず,その形状が不明である点。
第5 判断
1 意匠に係る物品に対する判断
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用缶」であり,引用意匠の意匠に係る物品は「包装用容器」であり,表記は異なるが,共に,その形状から液体物を収容する包装用の器と認められ,両意匠の意匠に係る物品は共通する。
2 両意匠における形状の評価
両意匠は,共に手に持って使用するものと認められ,その使用状況と両意匠の大きさから,一目で全体の形状が観察できると認められることから,意匠全体の形状をもって類否判断するのが相当と考えられる。
(1)共通点について
包装用缶の分野においては,細口の有底略円筒状としたものであって,口部の下端から胴部にかけて,へこみR状の首部と,R状のなだらかに傾斜する肩部とすること,及び胴部の下端を先窄まり状とすることは,数多く見られ,共通点アないしエは,両意匠のみの特徴ある共通点とはいえず,両意匠の類否判断に与える影響は一定程度にとどまる。
この種物品分野においては,以前より様々な比率のものが数多く存在する中,共通点オ及びカによって,胴部の直径に対する全体の高さ及び胴部の高さが共通し,若干の共通感を生じさせているが,両意匠の類否判断に与える影響は,いまだ限定的である。
(2)相違点について
共通点アないしエで挙げた形状は,この種物品分野においてよくある形状であり,また,両意匠共にシンプルな形状であることから,両意匠の観察時に需要者は,形状変化が認められる首及び肩部に目が行くものと考えられるところ,相違点ア及びイによって,本願意匠は,長い首部に小さな肩部という印象であるに対して,引用意匠は,短い首部に大きな肩部で,口部下端直下まで膨出した容器本体が大きく迫るという印象であるから,その印象は大きく異なり,両意匠の類否判断に与える影響は大きい。
相違点ウについては,本願意匠の形状は,P.P.キャップ用の口部としては,ごく普通の形状であって,何ら本願意匠独自の特徴とは認められず,この種物品分野において,よく見られる形状であるから,引用意匠の形状が不明であるとしても,両意匠の類否判断に与える影響は微弱なものと認められる。
(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり,共通点アないしカは,両意匠の類否判断に与える影響は,一定程度にとどまるか,または限定的であり,これらの共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点ア及びイは,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。
よって,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似しないと認められる。
3 両意匠における類否判断
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似しない。
第6 結び
以上のとおりであって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
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