特許無効審判
2018-800125
発光装置、樹脂パッケージ、樹脂成形体並びにこれらの製造方法
- 審判番号
- 2018-800125
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 無効審判(無効の審決)
- 出願番号
- 特願2015-200794
- 登録番号
- 特許第6056934号(P6056934)
- 請求日
- 2018年10月19日
- 審決日
- 2020年01月15日
- 公報発行日
- 2021年04月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】東芝映像ソリューション 株式会社
- 【請求人代理人】上山 浩
- 【請求人代理人】片山 健一
- 【被請求人】日亜化学工業 株式会社
- 【被請求人代理人】田村 啓
- 【被請求人代理人】山尾 憲人
- 【被請求人代理人】玄番 佐奈恵
- 【被請求人代理人】奥西 祐之
- 【被請求人代理人】牧野 知彦
- 【被請求人代理人】加治 梓子
- 審判長/審判官
- 審判長 瀬川 勝久
- 審判官 森 竜介
- 審判官 近藤 幸浩
- 分類
- P1113.121-YAA(H01L) / P1113.536-YAA(H01L) / P1113.537-YAA(H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第134条の2第9項、特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第134条の2第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項、特許法第123条第1項第2号、特許法第44条第1項、特許法第134条の2第3項、特許法第36条第4項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
上記当事者間の特許第6056934号発明「発光装置、樹脂パッケージ、樹脂成形体並びにこれらの製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6056934号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-12〕、〔13-22〕について訂正することを認める。
特許第6056934号の請求項1-12に係る発明についての本件審判の請求は、成り立たない。
特許第6056934号の請求項13-22についての本件審判の請求を却下する。
審判費用は、請求人の負担とする。
理由
【理 由】
第1 本件の概要および経緯
1 事案の概要
本件は、請求人が、被請求人が特許権者である特許特許第6056934号(以下「本件特許」という。)の請求項1~22に係る発明についての特許を無効とすることを求める事案である。
2 本件の経緯
本件特許の請求項1-12、13-22に係る特許についての主な手続の経緯は、以下のとおりである。
平成27年10月 9日 特許出願
(本件特許に係る出願は、平成20年9月3日に出願された特許出願(特願2008-225408号)の一部を、特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願(特願2015-200794号)としたものである。)
平成27年11月 9日 :審査請求
平成28年11月 4日 :特許査定(起案日)
平成28年12月16日 :特許権の設定登録
(特許第6056934号)
平成29年 1月11日 :特許掲載公報発行
平成30年 4月 3日付け:訂正審判請求
(訂正2018-390066号)
平成30年 8月30日 :訂正審判請求成立審決
平成30年 9月 7日 :訂正審判請求成立審決の確定
平成30年10月19日 :本件審判請求
平成31年 1月18日付け:答弁書・訂正請求書
平成31年 4月 5日 :審理事項通知書
令和 元年 5月 9日付け:口頭審理陳述要領書(請求人)
令和 元年 5月 9日付け:口頭審理陳述要領書(被請求人)
令和 元年 5月23日 :口頭審理期日(調書)
令和 元年 8月 1日 :審決の予告
令和 元年10月 7日付け:訂正請求書、上申書
令和 元年11月21日付け:弁駁書
第2 訂正の適否についての当審の判断
1 訂正の趣旨および内容
被請求人が令和元年10月7日付け(同月8日特許庁受入れ)で行った訂正請求は、特許第6056934号に係る願書に添付した特許請求の範囲を訂正請求書に添付した特許請求の範囲のとおり訂正しようとするものであり(以下「本件訂正」という。)、その訂正の内容は、次のとおりである。
なお、平成31年1月18日付けで行った訂正請求は、みなし取下げとなった。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1において、「樹脂部」とあるのを、「熱硬化性樹脂である樹脂部」と訂正する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1において、「光反射性物質を含有する樹脂成形体」とあるのを、「光反射性物質を含有する熱硬化性樹脂である樹脂成形体」と訂正する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6において、「光反射性物質が含有される樹脂」とあるのを、「光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂」と訂正する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7において、「光反射性物質が含有される樹脂」とあるのを、「光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂」と訂正する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項13を削除する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項14を削除する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項15を削除する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項16を削除する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項17を削除する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項18を削除する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項19を削除する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項20を削除する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項21を削除する。
(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項22を削除する。
2 訂正の適否の検討
(1)訂正事項1~4について
ア 訂正事項1について
(ア) 訂正の目的について
訂正事項1は、請求項1において、「樹脂部」に「熱硬化性樹脂である」との限定を付したものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ) 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正か否かについて
本件明細書には、「樹脂パッケージは、熱硬化性樹脂からなる樹脂部とリードとを有し、一体成形している。」(【0041】)および「発光装置100は、発光素子10と、光反射物質26を含有する樹脂部25とリード22とが一体成形された樹脂パッケージ20と、を有する。・・・樹脂部25には熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂を用いる。」(【0104】)との記載がある。(下線は当審が付与した。)
これらの記載から、本件明細書には、「熱硬化性樹脂からなる樹脂部」が記載されているといえる。
以上のとおりであるから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
訂正事項1は、「樹脂部」という発明特定事項に「熱硬化性樹脂である」との限定を付すことにより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができるかについて
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項について無効審判の請求の対象とされているので、訂正事項1に関して、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
イ 訂正事項2について
(ア) 訂正の目的について
訂正事項2は、請求項1において、「光反射性物質を含有する樹脂成形体」の「樹脂」に「熱硬化性」であるとの限定をしたものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ) 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正か否かについて
本件明細書には、 「樹脂部及び樹脂成形体の材質は熱硬化性樹脂であるトリアジン誘導体エポキシ樹脂を用いることが好ましい。また、熱硬化性樹脂は、酸無水物、酸化防止剤、離型材、光反射部材、無機充填材、硬化触媒、光安定剤、滑剤を含有できる。光反射部材は二酸化チタンを用い、10~60wt%充填されている。」(【0045】)、「樹脂パッケージは、上述の形態に限らず、熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましい。」(【0046】)、「これによりリードフレーム21と熱硬化性樹脂23とが一体成形された樹脂成形体24が製造される。」(【0108】)との記載がある。(下線は当審が付与した。)
これらの記載から、本件明細書には、「光反射性物質を含有する熱硬化性樹脂である樹脂成形体」が記載されているといえる。
以上のとおりであるから、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
訂正事項2は、「光反射性物質を含有する樹脂成形体」の「樹脂」に「熱硬化性」であるとの限定をすることにより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができるかについて
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項について無効審判の請求の対象とされているので、訂正事項2に関して、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
ウ 訂正事項3、4について
(ア) 訂正の目的について
訂正事項3、4は、請求項6および7において、「光反射性物質が含有される樹脂」の「樹脂」に「熱硬化性」であるとの限定をしたものである。
したがって、訂正事項3、4は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ) 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正か否かについて
本件明細書には、 「第1の実施の形態に係る発光装置の製造方法は、切り欠き部21aを設けたリードフレーム21を上金型61と下金型62とで挟み込む工程と、上金型61と下金型62とで挟み込まれた金型60内に、光反射性物質26が含有される熱硬化性樹脂23をトランスファ・モールドして、リードフレーム21に樹脂成形体24を形成する工程と、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する工程と、を有する。」(【0063】)、「次に、上金型61と下金型62とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質26が含有される熱硬化性樹脂23をトランスファ・モールドして、リードフレーム21に樹脂成形体24を形成する」(【0075】)との記載がある。(下線は当審が付与した。)
これらの記載から、本件明細書には、「光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂」が記載されているといえる。
以上のとおりであるから、訂正事項3、4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(ウ) 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
訂正事項3、4は、「光反射性物質が含有される樹脂」の「樹脂」に「熱硬化性」であるとの限定をすることにより下位概念にするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。
したがって、訂正事項3、4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(エ) 特許出願の際に独立して特許を受けることができるかについて
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項について無効審判の請求の対象とされているので、訂正事項3、4に関して、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
エ 訂正事項1~4についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項1~4は、訂正要件に適合する。
(2)訂正事項5~14について
ア 訂正の目的について
訂正事項5~14は、訂正前の請求項13~22を削除するものである。
したがって、訂正事項5~14は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正か否かについて
訂正事項5~14は、訂正前の請求項13~22を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正か否かについて
訂正事項5~14は、訂正前の請求項13~22を削除するのみであるから、訂正前の請求項13~22の記載について、訂正前の請求項13~22に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項13~22に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。
したがって、訂正事項5~14は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第134条の2第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができるかについて
本件特許無効審判事件においては、全ての請求項について無効審判の請求の対象とされているので、訂正事項5~14に関して、特許法第134条の2第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
オ 訂正事項5~14についてのまとめ
以上のとおりであるから、訂正事項5~14は、訂正要件に適合する。
(3)一群の請求項について
ア 訂正前の特許請求の範囲において、請求項2~12はそれぞれ請求項1の記載を引用しているものであって、訂正事項1、2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、請求項1~12は、特許法第134条の2第3項に規定する一群の請求項である。
イ 請求項13~22は一群の請求項であるところ、訂正事項5~14に係る本件訂正は、一群の請求項に対して請求されたものである。
3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は適法である。よって、訂正後の請求項〔1-12〕、〔13-22〕について訂正を認める。
第3 本件発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められたので、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~22に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明22」といい、これらをまとめて「本件発明」という。)は、以下のとおりのものと認められる。なお、下線は、訂正箇所を示すものであり、被請求人が付与したものである。
「【請求項1】
リード及び熱硬化性樹脂である樹脂部を有し、上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有する発光装置の製造方法であって、
リードフレームと、光反射性物質を含有する熱硬化性樹脂である樹脂成形体と、を有する樹脂成形体付リードフレームを準備する工程であって、前記樹脂成形体付リードフレームの上側には凹部が複数設けられ、前記凹部の底面には前記リードフレームが前記樹脂成形体で分割されて露出されており、前記リードフレームには前記外側面となる4つの位置のいずれにも前記樹脂成形体の一部が入り込んだ切り欠き部が設けられ、且つ前記樹脂成形体付リードフレームの底面にて前記リードフレームが露出している、樹脂成形体付リードフレームを準備する工程と、
前記凹部の底面に発光素子を載置する工程と、
前記凹部内に、前記発光素子を被覆する封止部材を配置する工程と、
分離後の各発光装置の前記4つの外側面のいずれにおいても前記リードと前記切り欠き部に入り込んだ前記樹脂部とが略同一面となるように、前記リードフレームと前記樹脂成形体とを切断することにより、複数の発光装置に分離する工程と、を有することを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記切り欠き部は、製造される前記発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられている、請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記樹脂成形体付リードフレームを準備する工程において、
前記複数の発光装置に分離する工程において、分離後の発光装置が、前記リードとして正リード及び負リードを有し、前記正リードの一部が対向する2つの外側面のうち一方の外側面の少なくとも2か所にて露出し、前記負リードの一部が前記対向する2つの外側面のうち他方の外側面の少なくとも2か所にて露出するように、前記切り欠き部を設けておくことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記樹脂成形体付リードフレームを準備する工程において、
前記複数の発光装置に分離する工程において、分離後の発光装置が、前記リードとして正リード及び負リードを有し、前記正リードの一部が少なくとも2つの外側面に露出し、且つ前記負リードの一部が少なくとも2つの外側面に露出するように、前記切り欠き部を設けておくことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記樹脂成形体付リードフレームを準備する工程において、
前記複数の発光装置に分離する工程において、分離後の発光装置が、前記リードとして正リード及び負リードを有し、前記正リードの一部が3つの外側面に露出し、前記負リードの一部が3つの外側面に露出するように、前記切り欠き部を設けておくことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記樹脂成形体付リードフレームを準備する工程は、
前記切り欠き部が設けられたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記リードフレームを前記上金型と前記下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂を入り込ませた後、前記リードフレームが底面に露出した複数の凹部が形成され、且つ前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成して樹脂成形体付リードフレームを得る工程と、
を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項7】
前記樹脂成形体付リードフレームは、
前記切り欠き部が設けられたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、
前記リードフレームを前記上金型と前記下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂を入り込ませた後、前記リードフレームが底面に露出した複数の凹部が形成され、且つ前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成して樹脂成形体付リードフレームを得る工程と、
を経て製造されたものである、請求項1~5のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂成形体付リードフレームを準備する工程において、前記リードフレームは、全面に銀メッキ処理が施されている、請求項1~7のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記樹脂成形体付リードフレームを準備する工程において、前記リードフレームは、前記切り欠き部を画定する部分すべてに、段差又は凹凸を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記樹脂成形体付リードフレームを準備する工程において、前記リードフレームは、前記リードフレームを貫通しないように片面からエッチングされた部分を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記樹脂成形体は、トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記封止部材を配置する工程において、前記封止部材として蛍光物質を含有する封止部材を用いる、請求項1~11のいずれか1項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】(削除)
【請求項14】(削除)
【請求項15】(削除)
【請求項16】(削除)
【請求項17】(削除)
【請求項18】(削除)
【請求項19】(削除)
【請求項20】(削除)
【請求項21】(削除)
【請求項22】(削除)」
第4 請求人の主張の概要
1 請求の趣旨
請求人の主張する請求の趣旨は、「特許第6056934号の請求項1~22に係る発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めるというものである。
2 請求人が主張する無効理由
(1)無効理由1(サポート要件違反)
外側面に露出するリードの一部に関し、特許請求の範囲には「前記4つの外側面それぞれにおいて、前記樹脂部から前記リードの一部が露出し」とされているところ、本件明細書等には四隅においてリードが露出する態様以外のものは一切開示されていない。
したがって、本件発明1~22は何れも、発明の詳細な説明に記載されていない態様を包含するものであるから、本件発明1~22に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであり、その特許は同法第123条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。
(2)無効理由2(サポート要件違反)
特許請求の範囲には、「樹脂成形体」ないし「樹脂部」と記載されているところ、本件明細書等には「樹脂成形体」ないし「樹脂部」が熱硬化性樹脂ではない態様の開示はない。
したがって、本件発明1~22は何れも、発明の詳細な説明に記載されていない態様を包含するものであるから、本件発明1~22に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであり、その特許は同法第123条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。
(3)無効理由3(サポート要件違反)
本件発明は、「廃棄されるランナーを低減する」ことを目的のひとつとするものであって、特許請求の範囲には、本件発明1~12の「分離する工程」が、「前記リードと前記切り欠き部に入り込んだ前記樹脂部とが略同一面となるように、前記リードフレームと前記樹脂成形体とを切断すること」により実行されると記載とされており、本件発明は、切断時に切断手段の幅の分以上のリードフレームの無駄が生じたりする態様も包含し得るところ、本件明細書等にはそのような態様の開示はない。
したがって、本件発明1~12は何れも、発明の詳細な説明に記載されていない態様を包含するものであるから、本件発明1~12に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであり、その特許は同法第123条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。
(4)無効理由4(実施可能要件違反若しくは明確性要件違反)
本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12が備えるリードフレーム並びに本件発明19およびこれに従属する関係にある本件発明21、22が備えるリードが有するとされる「凹凸」に関し、単に、「凹凸を有する」とされているところ、本件明細書を参照しても、当該凹凸がどの程度であるのかについて言及はない。
したがって、本件発明9、11、12および本件発明19、21、22は、何れも、発明の効果を奏するために如何なる凹凸を形成するのかが不明である結果、いわゆる当業者がその実施をすることができないものであるか、若しくは、特許を受けようとする発明が明確とはいえないから、本件発明9、11、12および本件発明19、21、22に係る特許は、発明の詳細な説明又は特許請求の範囲の記載が特許法第36条第4項第1項若しくは同法同条第6項第2号の規定を満たしていない特許出願に対してされたものであり、その特許は同法第123条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。
(5)無効理由5(明確性要件違反)
本件発明8~12および本件発明18~22は、何れも、「全面に銀メッキ処理が施されている」部分が、リードフレームないしリードの「底面及び上面」の双方であるのか、それともこれに加えて切り欠き部の内側面をも含む「全面」の意味であるのかが不明である結果、特許を受けようとする発明が明確とはいえないから、特許法第36条第6項第2号の規定に反して特許されたものであり、その特許は同法第123条第1項第4号の規定により、無効とすべきである。
また仮に、リードフレームの「底面及び上面」の双方に加えて切り欠き部の内側面をも含む「全面」の意味であるとすれば、本件発明8~12は、本件発明の効果を奏しない態様のものを包含する。
(6)無効理由6(新規性、進歩性の欠如)
本件発明1~22は何れも、本件特許の遡及出願(出願日:平成20年9月3日)の出願前(以下、単に「本件特許の出願前」という。)に頒布された刊行物である甲第2号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、若しくは、本件特許の出願前に当業者が、甲第2号証と甲第1~15号証に記載された発明や周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~22に係る特許は、特許法第29条第1項若しくは同法同条第2項の規定に反してされたものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
(7)無効理由7(新規性、進歩性の欠如)
本件発明1~22は何れも、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第16号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、若しくは、本件特許の出願前に当業者が、甲第16号証と甲第1~15号証に記載された発明や周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~22に係る特許は、特許法第29条第1項若しくは同法同条第2項の規定に反してされたものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
(8)無効理由8(新規性、進歩性の欠如)
本件発明1~22は何れも、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第17号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、若しくは、本件特許の出願前に当業者が、甲第17号証と甲第1、3、14~15号証に記載された発明や周知技術に基づいて、容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~22に係る特許は、特許法第29条第1項若しくは同法同条第2項の規定に反してされたものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
(9)無効理由9(新規性、進歩性の欠如)
本件発明1~2、6~14、18~22は何れも、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第18号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するか、若しくは、本件特許の出願前に当業者が、甲第18号証と甲第1、3、14~15、17号証に記載された発明や周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1~2、6~14、18~22に係る特許は、特許法第29条第1項若しくは同法同条第2項の規定に反してされたものであり、その特許は特許法第123条第1項第2号の規定により、無効とすべきである。
3 請求人が提出した証拠方法
以下、証拠番号における「第」および「号証」は略して表記する。
甲1:特開2007-235085号公報 平成19年9月13日公開
甲2:米国特許出願公開第2007/0126020号明細書
2007年6月7日公開
甲3:特開2006-156704号公報 平成18年6月15日公開
甲4:特開2003-218398号公報 平成15年7月31日公開
甲5:特開2003-174200号公報 平成15年6月20日公開
甲6:特開2006-140265号公報 平成18年6月1日公開
甲7:特開2006-310397号公報 平成18年11月9日公開
甲8:特開2008-187045号公報 平成20年8月14日公開
甲9:国際公開第2008/081794号 平成20年7月10日公開
甲10:国際公開第2008/078791号 平成20年7月3日公開
甲11:特開2008-108958号公報 平成20年5月8日公開
甲12:特開2008-130735号公報 平成20年6月5日公開
甲13:特開2008-140944号公報 平成20年6月19日公開
甲14:特開2005-306952号公報 平成17年11月4日公開
甲15:特開2008-192880号公報 平成20年8月21日公開
甲16:特開2001-36154号公報 平成13年2月9日公開
甲17:特開2004-128424号公報 平成16年4月22日公開
甲18:特開2004-111964号公報 平成16年4月8日公開
(以上、審判請求書に添付して提出)
甲19:「半導体パッケージのモールド欠陥防止設計ルール」と題する論文、田中徹、甚目靖明、東芝レビュー、Vol.64,No.5,p30-33、平成21年
甲20:広辞苑 第7版 抜粋(「成形・成型」)、岩波書店、編者新村出、平成30年1月12日
甲21:特開2018-157180号公報 平成30年10月4日公開
甲22:特開2016-94000号公報 平成28年5月26日公開
(以上、弁駁書に添付して提出)
4 審判請求書における請求人の主張
審判請求書における請求人の主張は、概ね以下のとおりである。
(1)無効理由1(サポート要件違反)
発光装置の外側面に露出するリードの態様に関し、本件特許明細書等に開示されているのは、裏面視(下面視)で、発光装置の四隅においてリードが露出した態様のみである。
しかし、本件発明1においては、発光装置の外側面のどの位置においてリードが露出しているのかは何ら特定されていないから、リードは単に外側面において露出してさえすれば良いこととなり、発光装置の四隅においてリードが露出していない態様も包含されることとなる。
なお、本件特許明細書の段落【0022】には、「樹脂パッケージは、四隅からリードが露出されていることが好ましい。」とあり、当該記載部分だけに着目すれば、あたかも、リードが樹脂パッケージの四隅から露出していない態様であってもよいかのようにも読める。
しかし、上記記載の後には、「樹脂パッケージの一側面全体にリードを設けるよりも、リードの露出部分を低減するができるため、樹脂部とリードとの密着性の向上を図ることができる。」と記載されているから、「四隅からリードが露出されていること」はあくまでも「一側面全体にリードを設ける」こと、つまり、当該側面には切り欠き部を設けない態様との対比において好ましいとされているに過ぎず、切り欠き部を設けたうえで四隅からリードが露出しないこととした態様との比較において好ましいとされているわけではないから、段落【0022】の上記記載部分は、本件特許明細書等においてリードが樹脂パッケージの四隅から露出していない態様が黙示的に開示乃至教示するものではない。
したがって、本件発明1~22は何れも、発明の詳細な説明に記載されていない態様を包含するものである。
(2)無効理由2(サポート要件違反)
本件明細書の段落【0011】には、「本発明は上述した問題に鑑みて、リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供することを目的とする。」との記載があり、特許請求の範囲に記載の「樹脂成形体」乃至「樹脂部」は熱硬化性樹脂であるとされている。
そして、本件特許明細書を参酌する限り、「樹脂成形体」乃至「樹脂部」が熱硬化性樹脂ではない態様の開示はない。
然るところ、特許請求の範囲には、単に「樹脂成形体」乃至「樹脂部」と記載されているのみであるから、これらの「樹脂」には、熱硬化性樹脂以外の樹脂(例えば、熱可塑性樹脂)も包含されることとなる。
したがって、本件発明1~22は何れも、発明の詳細な説明に記載されていない態様を包含するものである。
(3)無効理由3(サポート要件違反)
本件発明では、切断前には、個片化後の発光装置において凹部を形成する樹脂成形体部分(切り欠き部に入り込んだ樹脂部以外の部分)の何れの外側面も存在し得ないはずであるし、また、発光装置として個片化した後には、リードフレームはすべて、個片化後の発光装置が備えるリードとなり、その結果、「廃棄されるランナーを低減する」という本件発明の効果を奏すると解される。
然るに、本件発明1~12においては、例えば、下図に示すような、個片化後の発光装置において凹部を形成する上側樹脂部は切断前に既に外側面を有している状態にある一方、個片化後の発光装置の下側樹脂部に相当する部分は隣接する発光素子領域と一体化されており、切断によりはじめて外側面を有することとなるような態様も、文言上は包含されることとなる。
また本件発明1~12においては、例えば、「金型加工」の場合、下図のように、リードフレームのすべて(外枠に相当するリードフレームの最外周部分を除く)が、個片化後の発光装置若しくは樹脂パッケージが備えるリードとはならず、その結果、「廃棄されるランナーを低減する」という本件発明の効果を奏しない態様をも包含することとなる。
したがって、本件発明1~12は何れも、発明の詳細な説明に記載されていない態様を包含するものである。
(4)無効理由4(実施可能要件違反若しくは明確性要件違反)
本件特許明細書には、リードフレームやリードが有するとされる「凹凸」に関し、段落【0047】に、「エッチング加工されたリードフレームは断面形状において凹凸が形成されており、樹脂成形体との密着性を向上することができる。」との記載があるものの、「樹脂成形体との密着性を向上すること」のために求められる凹凸レベルについての言及も、それを実現するためのエッチング条件についての言及が一切ない。
然るところ、本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12および本件発明19およびこれに従属する本件発明21、22においては、「凹凸」が、「エッチング加工」により形成されたものである旨の限定がない。
そうすると、本件特許明細書に触れた当業者にとって、従来から行われていたリードフレーム形成時のエッチング加工で形成される凹凸のレベルとどのように相違するのかを理解することができないという意味において不明確であるし、「樹脂成形体との密着性を向上すること」という本件発明の効果を奏するために求められる凹凸を形成するために、如何なる条件でエッチング加工を行う必要があるのかを理解できないという意味において、当業者は本件発明を実施することができない。
したがって、本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12および本件発明19およびこれに従属する本件発明21、22は、何れも、発明の効果を奏するために如何なる凹凸を形成するのかが不明である結果、いわゆる当業者がその実施をすることができないものであるか、若しくは、特許を受けようとする発明が明確とはいえない。
(5)無効理由5(明確性要件違反)
本件特許明細書には、リードの主面へ施すメッキ処理に関し、段落【0021】に「リードは底面及び上面の少なくともいずれか一面にメッキ処理が施されており」、段落【0027】に「リードは底面及び上面の少なくともいずれか一面にメッキ処理が施されており」および段落【0033】に「リード22は底面(樹脂パッケージ20の外底面20a)及び上面(凹部27の内底面27a)の少なくともいずれか一面にメッキ処理を施している。」との記載がある。一方、リード22の側面(樹脂パッケージ20の外側面20b)はメッキ処理が施されていない。樹脂パッケージ20の外側面20bは、樹脂部25が大面積を占めており、リード22が隅部から露出している。
然るところ、本件発明8およびこれに従属する関係にある本件発明9~12、ならびに、本件発明18およびこれに従属する関係にある本件発明19~22には、それぞれ、「前記リードフレームは、全面に銀メッキ処理が施されている」および「前記リードは、前記外側面を除く全面に銀メッキ処理が施されている」と特定されているに過ぎないから、「全面に銀メッキ処理が施されている」部分が、リードフレーム乃至リードの「底面及び上面」の双方であるのか、それともこれに加えて切り欠き部の内側面をも含む「全面」の意味であるのかが不明である。
したがって、本件発明8およびこれに従属する関係にある本件発明9~12、ならびに、本件発明18およびこれに従属する関係にある本件発明19~22は、特許を受けようとする発明が明確とはいえない。
なお、仮に、「全面に銀メッキ処理が施されている」の意味するところが、リードフレーム乃至リードの「底面及び上面」の双方に加えて切り欠き部の内側面をも含む「全面」であるとすれば、樹脂成形体付リードフレームを準備する工程において、樹脂を加熱した後の冷却時には、下図Aの赤矢印に向かう「強い収縮力」が作用するはずであるところ、下図Cに示すように、銀メッキが施された切り欠き部の内部に充填された樹脂部分はその内壁面(内側面)から容易に剥離し、切り欠き部とそこに充填された樹脂部分との間には「隙間」が生じ、このような「隙間」が生じた状態では、切断時の振動や応力などの機械的ストレスを低減することもかなわないから、本件発明の効果(リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供すること)を奏しない態様のものを包含することとなる。
図A:樹脂加熱後の冷却時
図C:樹脂加熱後の冷却時
(6)無効理由6(新規性、進歩性の欠如)
ア 本件発明1について
例えば甲1や甲3に記載されているように、反射板を樹脂成形体で構成するに際し、当該反射板のLEDチップからの光の反射率を高めるために、当該樹脂成形体を、白色顔料等の光反射性物質を含有する樹脂成形体とする程度のことは、当業者にとって周知・慣用な事項でしかなく、当業者であれば必要に応じてなし得る事項である。
本件発明1は、甲2発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲2発明と甲第1号証や甲第3号証に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明6について
甲2発明に触れた当業者が、甲4発明のような従来技術が抱える問題点を解決するための発明である甲1発明に触れれば、「使用する部材や工程の低減による生産性の向上、低コスト化が可能な光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法およびこれを用いた光半導体装置の製造方法を提供する」べく、甲2発明が採用する接着工程に代えて、トランスファ・モールド工程を採用することは、当業者であれば容易に想到し得る事項でしかないし、両発明が志向する目的が同一である以上、その動機付けも十分である。また、阻害要因もない。
したがって、本件発明6は、甲2発明と甲第1号証や甲第3号証に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明7について
本件発明7は、甲2発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明8について
例えば甲4~13に記載されているように、リードフレームの全面に銀メッキ等の処理を施すことは、本件特許の出願前において周知・慣用の技術であり、当業者が適宜選択しうる程度のものでしかない。
本件発明8は、甲2発明と甲1や甲3ならびに甲4~13に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 本件発明9について
甲2発明において、リードフレームはエッチングにより形成されるものなのであるから、当該リードフレームは、必然的に「凹凸」を有しており、当該「凹凸」は、切り欠き部を画定する部分すべてに形成されていることは、自明である。
本件発明9は、甲2発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
キ 本件発明10について
本件発明10は、甲2発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ク 本件発明11について
例えば甲14~15に記載されているように、「トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含む」樹脂は発光装置の樹脂部材として広く用いられているのであって、当該樹脂を「樹脂成形体」に用いることに特段の阻害要因もないのであるから、「樹脂成形体」に「トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含む」樹脂を用いる程度のことは、本件特許の出願当時の周知・慣用技術であって、当業者であれば適宜適用する程度の事項に過ぎない。
本件発明11は、甲2発明と甲1や甲3ならびに甲14~15に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ケ 本件発明12について
例えば甲1や甲3に記載されているように、「封止部材として蛍光物質を含有する封止部材を用いる」程度のことは、本件特許の出願当時の周知・慣用技術であって、当業者であれば適宜適用する程度の事項に過ぎない。
本件発明12は、甲2発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
コ 本件発明13~22について
本件特許の請求項13~22は、本件訂正により削除されたため、本件発明13~22に係る無効理由6についての摘記は省略する。
(7)無効理由7(新規性、進歩性の欠如)
ア 本件発明1について
例えば甲1や甲3に記載されているように、貫通孔(凹部)を備えた絶縁基板を樹脂成形体で構成するに際し、貫通孔(凹部)のLEDチップからの光の反射率を高めるために、当該樹脂成形体を、白色顔料等の光反射性物質を含有する樹脂成形体とする程度のことは、当業者にとって周知・慣用な事項でしかなく、当業者であれば必要に応じてなし得る事項である。
本件発明1は、甲16発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明2について
甲16発明において、例えば甲2発明のように、「切り欠き部」を、製造される発光装置の全包囲周の1/2以上にわたって設けられている態様とすることに特段の困難性もないし、阻害要因もない。
本件発明2は、甲16発明と甲1や甲3並びに甲2に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明3について
甲16発明において、例えば甲2発明のように、「正リードの一部が対向する2つの外側面のうち一方の外側面の少なくとも2か所にて露出し」、「負リードの一部が前記対向する2つの外側面のうち他方の外側面の少なくとも2か所にて露出する」態様とすることに特段の困難性もないし、阻害要因もない。
本件発明3は、甲16発明と甲1や甲3並びに甲2に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明4および5について
本件発明4および5は、甲16発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明6について
甲16発明に触れた当業者が、甲4発明のような従来技術が抱える問題点を解決するための発明である甲1発明に触れれば、「使用する部材や工程の低減による生産性の向上、低コスト化が可能な光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法およびこれを用いた光半導体装置の製造方法を提供する」べく、甲16発明が採用する接着工程に代えて、トランスファ・モールド工程を採用することは、当業者であれば容易に想到し得る事項でしかない。また、阻害要因もない。
したがって、本件発明6は、甲16発明と甲第1号証や甲第3号証に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 本件発明7について
本件発明7は、甲16発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
キ 本件発明8について
例えば甲4~13に記載されているように、金属薄板(リードフレーム)の「全面に銀メッキ処理を施す」程度のことは、本件特許の出願当時の周知・慣用技術であって、当業者であれば適宜適用する程度の事項に過ぎない。
本件発明8は、甲16発明と甲1や甲3ならびに甲4~13に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ク 本件発明9について
甲16発明において、「薄板平板13の接着側上面をケミカルエッチング法あるいはブラスト法により粗面化しておくこと」とした場合には、「前記リードフレームは、前記切り欠き部を画定する部分すべてに、凹凸を有する、」こととなる。
本件発明9は、甲16発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ケ 本件発明10について
本件発明10は、甲16発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
コ 本件発明11について
例えば甲14~15に記載されているように、発光装置の樹脂成形体として「トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含む」樹脂を用いる程度のことは、本件特許の出願当時の周知・慣用技術であって、当業者であれば適宜適用する程度の事項に過ぎない。
本件発明11は、甲16発明と甲1や甲3ならびに甲14~15に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
サ 本件発明12について
例えば甲1や甲3に記載されているように「封止部材として蛍光物質を含有する封止部材を用いる」程度のことは、本件特許の出願当時の周知・慣用技術であって、当業者であれば適宜適用する程度の事項に過ぎない。
本件発明12は、甲16発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
シ 本件発明13~22について
本件特許の請求項13~22は、本件訂正により削除されたため、本件発明13~22に係る無効理由7についての摘記は省略する。
(8)無効理由8(新規性、進歩性の欠如)
ア 本件発明1について
例えば甲1や甲3に記載されているように、凹部を構成する樹脂に、白色顔料等の光反射性物質を含有させて反射率を向上させる程度のことは当業者にとって周知・慣用の技術でしかなく、当業者であれば必要に応じてなし得る事項である。
本件発明1は、甲17発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明2について
甲17発明において、どのように(第1および第2の)メタルコアを外側面に露出させるか、換言すれば、スリット(切り欠き部)をどのように設けるかは設計事項でしかない。
本件発明2は、甲17発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明3~5について
本件発明3は、甲17発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明6について
リードフレームが底面に露出した複数の凹部が形成された樹脂成形体付リードフレームを得るに際し、トランスファ・モールド工程を採用することは、当業者であれば容易に想到し得る事項でしかない。
本件発明6は、甲17発明と甲第1号証や甲第3号証に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明7および8について
本件発明7は、甲17発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 本件発明9について
甲17に開示のメタルコアは、「射出成形が可能な熱伝導性の高いマグネシウム(Mg)合金系のメタルコア材料から成る一対のメタルコア」(段落【0035】)であるところ、そもそも、完全に平坦な面でない以上は多かれ少なかれ凹凸を有しているのであって、斯かるメタルコア材料から成るメタルコアの表面が完全に平坦であろうはずはなく、何らかの凹凸を有していることは明らかである。
本件発明9は、甲17発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
キ 本件発明10について
射出成形が可能な熱伝導性の高いマグネシウム(Mg)合金系のメタルコア材料をメタルコアとして用いるに際し、表面の平坦性や形状を整える等の目的で、その表面に何らかのエッチングを施す程度のことは、文献を示すまでもなく、当業者にとって周知・慣用な技術でしかなく、当業者が必要に応じて適宜なす程度の事項でしかない。
本件発明10は、甲17発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ク 本件発明11について
例えば甲14~15に記載されているように、発光装置の樹脂成形体として「トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含む」樹脂を用いる程度のことは、本件特許の出願当時の周知・慣用技術であって、当業者であれば適宜適用する程度の事項に過ぎない。
本件発明11は、甲17発明と甲1や甲3ならびに甲14~15に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ケ 本件発明12について
本件発明12は、甲17発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
コ 本件発明13~22について
本件特許の請求項13~22は、本件訂正により削除されたため、本件発明13~22に係る無効理由8についての摘記は省略する。
(9)無効理由9(新規性、進歩性の欠如)
ア 本件発明1について
甲1や甲3に記載されているように、凹部を構成する樹脂に、白色顔料等の光反射性物質を含有させて反射率を向上させる程度のことは当業者にとって周知・慣用の技術でしかなく、当業者であれば必要に応じてなし得る事項である。
本件発明1は、甲18発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
イ 本件発明2について
本件発明2は、甲18発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ウ 本件発明6について
無効理由6に関連して述べたとおり、リードフレームが底面に露出した複数の凹部が形成された樹脂成形体付リードフレームを得るに際し、甲1に開示されているようなトランスファ・モールド工程を採用することは、当業者であれば容易に想到し得る事項でしかない。
本件発明6は、甲18発明と甲第1号証や甲第3号証に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
エ 本件発明7について
本件発明7は、甲18発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
オ 本件発明8について
例えば甲17に記載されているように、腐食防止等の目的でリード(フレーム)の全面に銀メッキを施す程度のことは、当業者であれば必要に応じて適宜なす事項でしかない。
本件発明8は、甲18発明と甲1や甲3ならびに甲17に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
カ 本件発明9について
甲18発明においてリード(フレーム)として機能する電気接触部材の表面が完全に平坦であろうはずはなく、何らかの凹凸を有していることは明らかである。
本件発明9は、甲18発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
キ 本件発明10について
甲18発明においてリード(フレーム)として機能する電気接触部材の表面に何らかのエッチングを施す程度のことは、文献を示すまでもなく、当業者にとって周知・慣用な技術でしかなく、当業者が必要に応じて適宜なす程度の事項でしかない。
本件発明10は、甲18発明と甲1や甲3に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ク 本件発明11について
例えば甲14~15に記載されているように、発光装置の樹脂成形体として「トリアジン誘導体エポキシ樹脂を含む」樹脂を用いる程度のことは、本件特許の出願当時の周知・慣用技術であって、当業者であれば適宜適用する程度の事項に過ぎない。
本件発明11は、甲18発明と甲1や甲3ならびに甲14~15に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
ケ 本件発明12について
例えば甲1や甲3に記載されているように、「封止部材として蛍光物質を含有する封止部材を用いる」程度のことは、本件特許の出願当時の周知・慣用技術であって、当業者であれば適宜適用する程度の事項に過ぎない。
本件発明11は、甲18発明と甲1や甲3ならびに甲14~15に記載されているような周知・慣用技術に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
コ 本件発明13~22について
本件特許の請求項13~22は、本件訂正により削除されたため、本件発明13~22に係る無効理由9についての摘記は省略する。
5 口頭陳述要領書における請求人の主張
請求人の口頭陳述要領書における主張は、概ね以下のとおりである。
(1)平成31年1月18日付け訂正請求について
特に意見はない。
(2)無効理由の確認について
本件訂正(特許請求の範囲の請求項13~22の削除)が訂正要件を満たしており、当該訂正が認められることを前提として、無効理由6~9における新規性欠如(特許法第29条第1項第3号)についての主張は取り下げる。
(3)無効理由1(サポート要件違反)について
本件明細書の発明の詳細な説明および図面で具体的に開示されている態様は何れも、発光装置の四隅においてリードが露出しているものであって、リードの露出位置が発光装置の四隅以外の部分に設けられている態様の具体的な開示はない。
本件明細書の段落【0022】、【0042】および【0050】の記載を理由として、本件明細書の発明の詳細な説明に、リードの露出位置を発光装置の四隅であることに限定していない態様の開示があると認定することはできない。
(4)無効理由2(サポート要件違反)について
特許請求の範囲には、単に「樹脂成形体」乃至「樹脂部」と記載されているのみであり、これらの「樹脂」には、熱硬化性樹脂以外の、熱可塑性樹脂等も包含されることとなるから、本件発明は本件明細書等に開示されていない態様までをも包含することは明らかである。
(5)無効理由3(サポート要件違反)について
合議体の暫定的な見解のように、「『廃棄されるランナー』とは、『リード』ないし『リードフレーム』をトランスファ・モールドする際に、金型の樹脂注入口経路等に生じ、離型後に廃棄される樹脂を意味するものであることは明らかである」とすれば、特許請求の範囲には、本件発明にはトランスファ・モールドにより樹脂成形される旨の特定が求められる。
然るところ、本件発明1~5およびこれらに従属する関係にある本件発明8~12には、そのような特定はなく、文言上、トランスファ・モールドにより樹脂成形されない態様を包含するから、本件発明1~12が何れも、発明の詳細な説明に記載されていない態様を包含するものであることに変わりはない。
(6)無効理由4(実施可能要件違反若しくは明確性要件違反)について
本件明細書には、本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12および本件発明19およびこれに従属する本件発明21、22がその効果を奏するためには、「凹凸」がどの程度の大きさのものである必要があるのかを理解する手掛かりとなる記載は一切なく、その「凹凸」の程度が従来から行われていたリードフレーム形成時のエッチング加工で形成される凹凸の程度とどのように相違するのかを理解することができない。
本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12および本件発明19およびこれに従属する本件発明21、22の「凹凸」はエッチングで形成されるものと解されるが、本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12および本件発明19およびこれに従属する本件発明21、22にはその旨の限定はないから、その意味においても不明確である。
したがって、本件発明の効果を奏するために如何なる凹凸を形成するのかが不明であると言わざるを得ないから、当業者は本件発明の実施をすることができないし、本件発明は明確とはいえない。
(7)無効理由5(明確性要件違反)について
本件発明8およびこれに従属する関係にある本件発明9~12における「全面」が、リードフレームのすべての面を意味し、切り欠き部の内側面を含むということであれば、特に意見はない。
(8)無効理由6(新規性・進歩性の欠如)について
ア 審理事項通知書に示された「相違点甲2-1」について
甲2においては、符号106と符号110が付された部位はともに樹脂であり得るとされているのであって、これらを一体としてみれば、文言上、本件発明1の樹脂成形体に該当し、特許請求の範囲の記載および甲2の開示するところに照らせば、甲2に開示されている製造方法ではプレート部材210が別途接着されているとしても、図4dに示されている態様(ベース100と反射板110を備えたプレート部材210から成る部材)が本件発明1の「樹脂成形体付リードフレーム」の構成を文言上充足する以上、「相違点甲2-1」は相違点ではない。
仮に「相違点甲2-1」が相違点であるとしても、審判請求書の「第6 無効理由6(特許法第29条第1項若しくは第2項)-その1」の「7 本件発明6について」で主張したのと同様の理由により、当該相違点は当業者が容易に想到し得たものである。
イ 審理事項通知書に示された「相違点甲2-2」について
審判請求書71~74頁において主張したのと同様の理由により、「相違点甲2-2」の構成とすることは、当業者であれば適宜なし得る事項に過ぎない。
ウ 本件発明2~12について
本件発明2~12が何れも特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない点については、審判請求書において主張したとおりである。
(9)無効理由7(新規性・進歩性の欠如)について
ア 審理事項通知書に示された「相違点甲16-1」について
特許請求の範囲の記載および甲16の開示するところに照らせば、甲16に開示されている製造方法では「絶縁基板」が別途接着されているとしても、上述した樹脂を一体としてみたものと金属薄板母材の組み合わせが、本件発明1の「樹脂成形体付リードフレーム」の構成を文言上充足する以上、甲16には、本件発明1が備える「樹脂成形体付リードフレームを準備する工程」の開示があると認定すべきであり、「相違点16-1」は相違点ではない。
仮に「相違点甲16-1」が相違点であるとしても、審判請求書の「第7 無効理由7(特許法第29条第1項若しくは第2項)-その2」の「7 本件発明6について」で主張したのと同様の理由により、当該相違点は当業者が容易に想到し得たものである。
イ 審理事項通知書に示された「相違点甲16-2」について
審判請求書136~137頁において主張したのと同様の理由により、「相違点甲16-2」の構成とすることは、当業者であれば適宜なし得る事項に過ぎない。
ウ 本件発明2~12について
審判請求書で主張したとおりである。
(10)無効理由8(新規性・進歩性の欠如)について
ア 審理事項通知書に示された「相違点甲17-1」について
「相違点甲17-1」は相違点ではない。
イ 審理事項通知書に示された「相違点甲17-2」について
請求人は、「リード」は電極となる金属体であればその厚みに特段の制限はないものと理解しており、「リード」や「リードフレーム」は、折り曲げることが困難なほどに肉厚のものであり得るのであって、「メタルコア」は「リード」の一態様であり、その結果、「集合メタルコア」および「集合ケース体」はそれぞれ、「リードフレーム」および「樹脂成形体付リードフレーム」の一態様である。
したがって、「相違点甲17-2」は相違点ではない。
ウ 審理事項通知書に示された「相違点甲17-3」について
審判請求書179~180頁において主張したのと同様の理由により、「相違点甲17-3」の構成とすることは、当業者であれば適宜なし得る事項に過ぎない。
エ 本件発明2~12について
審判請求書で主張したとおりである。
(11)無効理由9(新規性・進歩性の欠如)について
ア 審理事項通知書に示された相違点について
請求人は、甲18発明を実施するに際しては、リードフレームと樹脂成形体とを有する樹脂成形体付リードフレームを準備する工程は必須のものであり、発光装置が凹部の底面に載置されること、凹部内に発光素子を被覆する封止部材を配置すること、切断工程が求められること、は何れも自明であると考えている。
したがって、審判請求書で述べた相違点(本件発明1では「樹脂成形体」が「光反射性物質を含有する樹脂成形体」であるのに対し、甲18発明では、樹脂成形部が「樹脂成形体」であるものの、当該樹脂成形体に光反射性物質を含有させることとはされていない点)以外は、実質的な相違点ではない。
イ 本件発明2~12について
審判請求書において主張したとおりである。
6 口頭審理における請求人の主張
(1)訂正請求については訂正要件を満たしていると認める。(調書 請求人項番4)
(2)無効理由6ないし9のうち、新規性欠如(特許法第29条第1項第3号)の無効理由については、取り下げる(調書 請求人項番5)。
(3)本件発明1について、明細書等には、トランスファ・モールドによるものしか記載されていない(調書 請求人項番6)。
(4)無効理由1ないし5について、これ以上の主張・立証はない(調書 請求人項番7)。
(5)無効理由6について
口頭審理で示された合議体の一致点については、意見はない。相違点甲2-1については、樹脂成形体は、別のものとして理解すべきものでなく、相違点ではない(調書 請求人項番8)。
(6)無効理由7について
口頭審理で示された合議体の一致点については、意見はない。相違点甲16-1については、樹脂成形体は、別のものとして理解すべきものでなく、相違点ではない(調書 請求人項番9)。
(7)無効理由8について
口頭審理で示された相違点甲17-2については一致点である(調書 請求人項番10)。
(8)無効理由9について
これ以上の主張・立証はない(調書 請求人項番11)。
7 弁駁書における請求人の主張
本件訂正発明1~5および8~12に係る特許は無効理由3を解消しておらず、本件訂正発明6、7も同様であるから、審決の予告の結論に記載のとおり、特許第6056934号の請求項1~12に記載された発明についての特許は無効とされるべきである。(3頁「6.弁駁の趣旨」)
第5 被請求人の主張の概要
1 答弁の趣旨
被請求人の主張する答弁の趣旨は、「訂正を認める。本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めるというものである。
2 答弁書における被請求人の主張
答弁書における被請求人の主張は、概ね以下のとおりである。
(1)無効理由1(サポート要件違反)について
本件明細書の段落【0022】、【0042】および【0050】の記載によれば、本件明細書には、個片化後の発光装置において四隅からリードが露出する態様に限定されない構成が開示されている。また、本件発明の課題を解決するためにリードの露出位置を発光装置の四隅とすることが必須でないことも明らかである。
したがって、特許法第36条第6項第1号の違反はない。
(2)無効理由2(サポート要件違反)について
本件明細書では、リードフレームと樹脂との剥離が本件発明の課題とされているところ、本件発明の上記有利な効果は、リードフレームと樹脂との密着性に問題があれば、樹脂の種類を問わず得られるものであることは自明である。したがって、本件発明を熱硬化性樹脂のみならず熱可塑性樹脂等の他の樹脂に適用できるということは、当業者にとって明らかである。
したがって、特許法第36条第6項第1号の違反はない。
(3)無効理由3(サポート要件違反)について
ア 本件明細書に記載された「廃棄されるランナーを低減する」における「ランナー」とは、前記11頁で説明したとおり、従来の個別封止型で発光装置の樹脂部全体を規定する個別に分離した樹脂注入空間それぞれに樹脂を注入する経路となる「ランナー」のことであり、上記記載は本件発明のような「トランスファーモールド型」では、このようなランナーが不要になり、そこに残存して廃棄される樹脂を低減させることを述べたものである(段落【0007】、【0014】)。
したがって、本件明細書に言及のある「ランナー」は、樹脂の形成過程で問題となる「ランナー」にかかる効果であるから、請求人が指摘するような、これを形成した後の切断方法がダイシングであるかスタンピング金型であるかとは無関係である。
イ 請求人の主張は、ダイシングの場合はリードフレームの「すべて」がリードとなり、スタンピング金型の場合はリードフレームの「すべて」がリードとならないことを前提にしたものであるから、請求人主張はその前提に誤りがある。
ウ このリードフレームと樹脂の剥離を抑制するとの作用効果は、前述のとおり、樹脂が充填された切り欠き部をリードフレームの切断部分に沿って設けることにより奏するものであるから、本件請求項1に特定された発光装置の製造方法であれば、必然的に奏するものである。したがって、仮に本件発明に「廃棄されるランナーが低減される」という効果を奏しない態様が含まれ得るとしても、それは単に副次的な効果は奏しない態様があり得る、というだけに過ぎず、そのような態様でも主たる効果は奏する以上、特許法第36条6項第1号違反となるものではない。
エ 請求人は、審判請求書42頁において、「個片化後の発光装置において凹部を形成する上側樹脂部は切断前に既に外側面を有している状態にある一方、個片化後の発光装置の下側樹脂部に相当する部分は隣接する発光素子領域と一体化されており、切断によりはじめて外側面を有することになるような態様も、文言上は包含されることとなる」とも主張しているが(審判請求書42頁1行~下4行)、具体的にいかなる構造の発光装置を想定しているのか明らかではないし、この点を措いたとしても、請求人主張は、結局のところ、クレームの文言上は本件明細書等に具体的に記載された構造以外の構造も考えられる、というものでしかない。
したがって、特許法第36条第6項第1号の違反はない。
(4)無効理由4(実施可能要件違反若しくは明確性要件違反)について
ア 段落【0047】の記載および図11から、リードフレームの断面形状において凹凸を形成することにより、リードフレームと樹脂成形体との密着性が向上することが示されている。したがって、当業者にとって、凹凸レベルが理解できないという請求人の主張は失当であり、本件発明9の「凹凸」は、リードフレームと樹脂成形体との密着性を向上させる凹凸レベルの凹凸を意味することは、明白である。
イ そして、密着性向上のための凹凸を形成するための加工条件等は当業者が適宜選択することができるものであるから、本件明細書に接した当業者が本件発明9を実施できないということはない。
ウ 本件明細書の段落【0047】には「特に、薄いリードフレームを用いた場合、打ち抜き加工ではリードフレームと樹脂成形体と密着性を上げるため、段差や凹凸形状を形成させるが、その段差、凹凸形状は小さくなるので、密着性向上の効果は小さい」という記載があり、打ち抜き加工によっても密着性向上の効果は小さくなるものの密着性向上に寄与する凹凸を形成できることが記載されているから、本件発明9において、凹凸をエッチング加工により形成されたものに限定する必要はない。
したがって、特許法第36条第4項第1号若しくは同法同条第6項第2号の違反はない。
(5)無効理由5(明確性要件違反)について
ア 本件発明8の「全面」がリードフレームの切り欠き部の内側面を含む全面を意味することは、特許請求の範囲自体からも、本件明細書の段落【0015】の記載からも明らかであり、本件発明8が不明瞭であるとの請求人主張は誤りである。
イ 請求人による、リードフレームの切り欠き部の内側面を含む全面にメッキ処理を施すと本件発明の効果を奏しない、との主張は本件明細書の記載と明らかに矛盾しており、誤りである。
したがって、特許法第6項第2号の違反はない。
(6)無効理由6(新規性、進歩性の欠如)について
本件発明1~12はいずれも、甲2を主引例とする無効理由6によって無効とされるものではなく、請求人の主張は成り立たない。
ア 本件発明1について
甲2発明において、貫通孔(凹部)を有する板部材201(反射板110の集合体)をベース100に貼り合わせる構成に代えて、ベース100の一部として1回の樹脂成形で形成する動機付けはない。
イ 本件発明6および7について
甲2発明の接着工程をトランスファーモールド工程に置き換えることは、甲2発明の基本構成を変更することにほかならず、当業者であっても容易に想到し得ない。
本件発明7もまた同じ理由により容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件発明8について
請求人が提出する甲4~甲13のうち、リードフレームの全面に銀メッキ処理を施すことが記載されたものは、わずか二つ(甲5および甲10)に過ぎず、リードフレームの全面に銀メッキ処理を施すことが周知・慣用技術であったとはいえない。
エ 本件発明9について
甲2において、エッチングによってベース100が形成されるという記載があるからといって、そのベース100(リードフレーム)において、切り欠き部を画定する部分すべてに「凹凸」が形成されているということはできない。
(7)無効理由7(新規性、進歩性の欠如)について
本件発明1~12はいずれも、甲16を主引例とする無効理由7によって無効とされるものではなく、請求人の主張は成り立たない。
ア 本件発明1について
甲16発明において、凹部を備えた樹脂成形体(絶縁基板15)を薄型平板13に貼り合わせる構成に代えて、薄型平板13と一体的に形成する動機付けはない。
イ 本件発明2および3について
設計変更等に関して、審査基準「第III部 第2章 第2節 進歩性 3.1.2(1)」に照らすと、本件発明2および3に関する請求人の主張に理由はない。
ウ 本件発明5について
甲16の図1、図11および図12は、本件発明5の構成をすべて開示するものではない。
エ 本件発明6および7について
甲16発明においては、接着工程が必須の構成とされており、甲16発明のバリエーションも接着工程の存在を前提として記載されているから、甲16発明の接着工程をトランスファーモールド工程に置き換えることは甲16発明の基本構成を変更することにほかならず、容易に想到し得えない。
本件発明7もまた同じ理由により容易に発明をすることができたものではない。
オ 本件発明8について
請求人が提出する甲4~甲13のうち、リードフレームの全面に銀メッキ処理を施すことが記載されたものは、わずか二つ(甲5および甲10)に過ぎず、リードフレームの全面に銀メッキ処理を施すことが周知・慣用技術であったとはいえない。
カ 本件発明9について
甲16には、スリット(切り欠き部)の内側面に凹凸を形成することは記載されていない。また、甲16の段落【0033】は、分離スリットに樹脂13aが既に位置していて、スリットの内側面が露出していない、薄型平板13の接着側上面を粗面化することを説明するだけであり、そのような粗面化によって、スリットの内側面に凹凸が形成されるということもない。
(8)無効理由8(新規性、進歩性の欠如)について
本件発明1~12はいずれも、甲17を主引例とする無効理由8によって無効とされるものではなく、請求人の主張は成り立たない。
ア 本件発明1について
本件発明1の「リードフレーム」は、ロール状に巻き取れるほど薄く平坦な金属板であり(段落【0046】、【0104】)、打ち抜き加工やエッチング加工等の簡易単純な方法で製造され(段落【0047】)、鉄、リン青銅、銅合金等の安価な材料で形成され(段落【0051】)、安価な発光装置の大量生産のために頻用される部材である。(なお、リードフレームが簡易な製法で製造されることは、乙1に「リードフレームの製法はエッチング法、スタンピング法の2通りがあり」と記載され、さらに、乙2に「リードフレームの製作方法としてはエッチング加工とスタンピング加工があり」と記載されているとおりである。)
これに対し、甲17発明の集合メタルコア123は、高価なマグネシウム合金系のメタルコア材料を用い、金型を使用する射出成形という手の込んだ製法で形成され、凹部21cを内面に有する円筒部123bを備えた極めて特殊な形状をしている部材であって、このような部材が「リードフレーム」といえないことは明らかである。したがって、甲17発明は「リードフレーム」を有しない。
したがって、甲17(メタルコア)と本件発明1(リードフレーム)とは、発明の思想が根本的に異なっているから、そもそも甲17発明は、本件発明1の進歩性を否定するための証拠たり得ないといえる。
また、甲17の段落【0046】の記載によれば、甲17発明の集合メタルコア123は「強固なケース体」を形成するための根幹となる部材であるから、甲17発明において、その集合メタルコア123をリードフレームに変更する動機付けはない。
イ 本件発明2について
甲17には、スリット幅を広くすることについて何らの教示も示唆もない。むしろ、甲17の段落【0040】の記載によれば、スリット幅を大きくすると、その分、メタルコア材料が減り、メタルコアによる放熱性が得られなくなると考えるのが自然であり、甲17発明において、スリット幅を大きくする動機はない。
ウ 本件発明6および7について
「集合メタルコア123」はそもそも「リードフレーム」ではないから、本件発明6の「前記切り欠き部が設けられたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程」、および「前記リードフレームを前記上金型と前記下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に光反射性物質が含有される樹脂を入り込ませた後、前記リードフレームが底面に露出した複数の凹部が形成され、且つ前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成して樹脂成形体付リードフレームを得る工程」に相当する構成は得られない。
本件発明7もまた同じ理由により容易に発明をすることができたものではない。
エ 本件発明8について
甲17の段落【0036】の記載は、集合メタルコア123(請求人によればリードフレームに相当)の状態で銀メッキ処理を施すことよりは、むしろ個片化後に銀メッキ処理を施すことを示唆するものである。
したがって、本件発明8の構成は、甲17に開示されていない。
(9)無効理由9(新規性、進歩性の欠如)について
甲18には、具体的な製造方法の開示がないだけでなく、本件発明の製造方法の各工程に至る示唆等も存在しない。したがって、このような甲18に基づいて、発光装置の製造方法の発明である本件発明1が新規性を有しない、又は、進歩性を有しないという主張は認められるものではなく、請求人の無効理由9に基づく主張は失当である。
3 口頭陳述要領書における被請求人の主張
請求人の口頭陳述要領書における主張は、概ね以下のとおりである。
(1)無効理由の確認について
無効理由6~9における新規性欠如についての主張は取り下げられるべきものと思料する。
(2)無効理由1(サポート要件違反)について
特に意見はない。
(3)無効理由2(サポート要件違反)について
本件明細書の段落【0008】や【0009】の記載は、背景技術にかかる記載の流れを受けたものに過ぎず、平板状のリードフレームを用いた場合に、密着性の課題が樹脂の種類を問わず生じることは自明である。まして、本件明細書の段落【0005】および【0006】には、熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂よりも密着性が乏しいことが記載されているのであるから、ここに開示された課題が熱可塑性樹脂にはさらに妥当することが明らかである。
本件明細書に記載された、熱可塑性樹脂が「リードフレームとの密着性に乏しく、樹脂部とリードフレームとの剥離を生じやすい」、および「樹脂の流動性が低いため複雑な形状の樹脂成形体を成形するには不適切であり、耐光性にも乏しい」という課題は、それが熱可塑性樹脂、すなわち、「加熱により軟化する樹脂」であることに問題があるとしているわけではないから、本件明細書の記載に接した当業者であれば、上記のような課題を有さない熱可塑性樹脂であれば、その適用に際し特段の問題はないことを当然に理解するのであって、熱可塑性樹脂が本件発明の対象ではないとまでは理解しない。
(4)無効理由3(サポート要件違反)について
特に意見はない。
(5)無効理由4(実施可能要件違反若しくは明確性要件違反)について
特に意見はない。
(6)無効理由5(明確性要件違反)について
特に意見はない。
(7)無効理由6(新規性・進歩性の欠如)について
相違点(特に審理事項通知書に示された「相違点甲2-1」)が容易想到でないことは答弁書の41~48頁において説明したとおりである。
(8)無効理由7(新規性・進歩性の欠如)について
相違点(特に、審理事項通知書に示された「相違点甲16-1」)が容易想到でないことは答弁書の69頁および72~77頁において説明したとおりである。
(9)無効理由8(新規性・進歩性の欠如)について
ア 審理事項通知書に示された「相違点甲17-1」は相違点ではない。
イ 審理事項通知書に示された「相違点甲17-2」が容易想到でないことは、答弁書の85~86頁および88~89頁において主張したとおりである。
(10)無効理由9(新規性・進歩性の欠如)について
審理事項通知書に示された「相違点甲18-1」は実質的なものであり、請求人が主張するように、当業者に自明なものであって、事実上、甲18に開示されているものでないことは、答弁書91~94頁で主張したとおりである。
4 口頭審理における被請求人の主張
(1)請求人が、無効理由6ないし9のうち、新規性欠如(特許法第29条第1項第3号)の無効理由について取下げることについて、承諾する。(調書 被請求人項番4)。
(2)本件発明1は、金型にリードフレームを挟み、樹脂を充填する製造方法であれば実施でき、トランスファ・モールドに特定されない(調書 被請求人項番5)。
5 上申書における被請求人の主張
(1)無効理由2について
「訂正により、審決の予告で示された上記の無効理由は訂正後の特許請求の範囲の記載にはもはや当てはまらないから、本件訂正発明1~12に係る特許は、審決の予告「第6」「3」項で示された無効理由(請求人主張の無効理由2)によって無効とされるものではない。」(第8頁第1~4行)
(2)無効理由3について
「しかし、そもそも、答弁書24頁で述べたとおり、本件発明の課題は分離工程で生じる剥離および剥離を防止することであって、廃棄されるランナーの低減は副次的効果というべきであるから、そのような効果を奏するか否かは本来、問題とはならないというべきであるが、仮にこの点を措いて、廃棄されるランナーの低減が本件発明の奏すべき効果であると考えたとしても、以下のとおり、上記審決の予告の認定は妥当とはいえない。」(第8頁第20~25行)
6 被請求人が提出した証拠方法
以下、証拠番号における「第」および「号証」は略して表記する。
乙1:「半導体大事典」 株式会社工業調査会 平成11年12月20日 1109頁、1624頁、1625頁
乙2:「半導体用語大辞典」 株式会社日刊工業新聞 平成11年3月20日 1904頁、1905頁
乙3:米国特許出願公開第2007/0126020号明細書 2007年6月7日
(以上、答弁書に添付して提出)
乙4:「図解プラスチック用語辞典」 株式会社日刊工業新聞 昭和56年12月25日 268頁、269頁
乙5:「化学大辞典」 株式会社東京化学同人 1989年10月20日 「成形」の項目記載の頁
乙6:「プラスチック大辞典」 株式会社工業調査会 1994年10月20日 529頁
(以上、上申書に添付して提出)
第6 無効理由に対する当審の判断
1 証拠の記載事項の認定
(1)請求人が提出したもの
ア 甲1
甲1には、以下の記載がある(下線は当審が付与した。以下同じ。)。
(ア)「【請求項1】
半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法であって、前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成することを特徴とする、光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。」
(イ)「【0005】
また、このようなSMD型LEDは、通常、図5に示すように、複数のLED素子がマトリックス状に実装された配線基板12上に、当該複数のLED素子の搭載位置に対応したカップ形状の貫通穴を有する樹脂層板(リフレクタ-)14を、当該複数のLED素子の搭載位置に対応した穴15aが形成されている接着シート15をはさんで、加熱加圧して接着した後、図6に示す2方向のダイシングライン20に沿って複数のSMD型LEDを個片に切り離すことで得ることができる。このような製造法によれば、SMD型LEDを多数個同時に作製することができる。
【0006】
しかしながら、上記した従来のSMD型LEDの製造方法では、貫通穴を有する樹脂層板を作製する工程、穴を有する接着シートを作製する工程、樹脂層板と接着シートとLED素子を搭載した配線基板を位置合わせして一体化する工程といった複数の工程やこれに伴う複数の部材が必要となる。」
(ウ)「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記を鑑みて、本発明は、リードタイムの短縮、使用する部材や工程の低減による生産性の向上、低コスト化が可能な光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法およびこれを用いた光半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。」
(エ)「【0011】
(1)光半導体素子搭載領域となる凹部が2つ以上形成された光反射用熱硬化性樹脂組成物層を配線基板上に有する光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法であって、前記光反射用熱硬化性樹脂組成物層をトランスファー成型により形成することを特徴とする、光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。
【0012】
(2)前記光反射用熱硬化性樹脂組成物が、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、熱硬化後の、波長800nm~350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能なものであることを特徴とする、上記(1)に記載の光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法。」
(オ)「【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、従来必要であった複数の工程をトランスファー成型の一つの工程で行うことが可能となるため、リードタイムの短縮、使用する部材や工程の低減による生産性の向上、低コスト化が可能な光半導体素子搭載用パッケージ基板の製造方法および半導体装置の製造方法を提供することが可能となり、また、反りが少ない光半導体素子搭載用パッケージ基板や半導体装置を提供することが可能となる。」
(カ)「【0025】
上記光反射用熱硬化性樹脂組成物としては、公知のものを使用することも可能であるが、好ましくは、熱硬化後の、波長800nm~350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能な光反射用熱硬化性樹脂組成物を用い、より好ましくは、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)硬化促進剤、(D)無機充填剤、(E)白色顔料及び(F)カップリング剤を必須成分として含み、かつ熱硬化後の、波長800nm~350nmにおける光反射率が80%以上であり、熱硬化前には室温(25℃)で加圧成型可能な光反射用熱硬化性樹脂組成物を用いる。上記光反射率が80%未満であると、光半導体装置の輝度向上に十分寄与できない傾向がある。」
(キ)「【0037】
より具体的には、例えば、図1(c)および(d)に示す光半導体素子搭載用パッケージ基板430の凹部420の各底面の所定位置に、例えば、図2および図3に示すように、光半導体素子100を搭載し、該光半導体素子100と金属配線105とをボンディングワイヤ102、はんだバンプ107等の公知の方法で電気的に接続した後、公知の蛍光体106を含む透明な封止樹脂101により該光半導体素子100を覆うことで本発明の光半導体装置を製造する。なお、図1(c)および(d)には、光半導体素子を搭載する凹部が9箇所形成された場合について示されているが、本発明がこれに限定されないことはいうまでもない。」
(ク)「【0046】
(実施例2)
プリント配線板の代わりにリードフレームを用いた以外は、実施例1と同様にして光半導体装置を製造した。
【0047】
(実施例3)
プリント配線板の代わりにメタルコア基板を用いた以外は、実施例1と同様にして光半導体装置を製造した。
【0048】
(実施例4)
プリント配線板の代わりにフレキシブル基板を用いた以外は、実施例1と同様にして光半導体装置を製造した。」
イ 甲2
甲2には、以下の記載がある。
(ア)「[0025] FIGS. 2a and 2b are schematic sectional view and blown-up view of the packaging structure according to a first embodiment of the present invention. As illustrated, the packaging structure provided by the present embodiment contains at least a base 100, a reflection plate 110, the LED chip being packaged 150, a plurality of the bonding wires 120, and a transparent filler 130. The base 100, having a flat form factor, is composed of a heat sinking seat 102, a plurality of electrodes 104, and an insulator 106, integrated together into a single solid object. The heat sinking seat 102 and the electrodes 104 are made of a metallic material having high electrical and thermal conductivities. The insulator 106, on the other hand, is made of an insulating material such as resin or the like.」
(訳:[0025]図2a及び2bは、本発明の第1の実施形態によるパッケージング構造の概略断面図及び拡大図である。図示されるように、本実施形態によって提供されるパッケージング構造は、少なくとも、ベース100と、反射板110と、パッケージングされたLEDチップ150と、複数のボンディングワイヤ120と、透明なフィルター130とを含む。平坦な形状の要素を備えたベース100は、ヒートシンクシート102と、複数の電極104と、絶縁体106とで構成されており、単一の固体物として一体化されている。ヒートシンクシート102および電極104は、高い電気伝導率および熱伝導率を有する金属材料で作られている。一方、絶縁体106は、樹脂等の絶縁材料で形成されている。)
(イ)「[0027] The reflection plate 110 also has a flat form factor with a vertical through hole (not numbered) at an appropriate location in the middle. The reflection plate 110 is made of a metallic material having high reflectivity (e.g., aluminum), or it could be made of an insulating material such as resin but the wall of the through hole has a white coating, or is coated with a film made of highly reflective material such as silver. The reflection plate 110 is adhered to the base 100 with a layer of an appropriate adhesive 160. When the reflection plate 110 is made of a metallic material, the adhesive 160 also provides the insulation between the reflection plate 110 and the base 110's heat sinking seat 102 and electrodes 104. The location and aperture of the through hole are properly configured so that, after the reflection plate 110 is joined with the base 100, the top surface of the heat sinking seat 102 and at least some portion of the top surface of the electrodes 104 are exposed for the fixation of the LED chip 150 and the connection of the bonding wires 120 respectively. As such, when the LED chip 150 is fixed on the exposed top surface of the heat sinking seat 102, the light emitted from the LED chip 150 is able to radiate out of the packaging structure via the through hole. The through hole in the present embodiment has a circular aperture and the diameter of the aperture is larger as it is closer to the top. Please note that the geometric properties of the through hole here is only exemplary.」
(訳:[0027]反射板110はまた、中央の適切な位置に垂直のスルーホール(符番なし)を有する平坦形状を有する。反射板110は、反射率の高い金属材料(例えば、アルミニウム)で形成されるか、または樹脂などの絶縁物質で形成されることができるが、スルーホールの壁面が白いコーティングを有するか、または銀のような高反射性材料からなる膜で被覆される。反射板110は、金属材料からなる場合、反射板110とベース110の備えるヒートシンクシート102および電極104の間の絶縁も提供する。スルーホールの位置および口径は適切に構成されて、反射板110がベース100に接続された後、ヒートシンクシート102の上面および電極104の上面の少なくとも一部分がそれぞれ、LEDチップ150の固定およびボンディングワイヤー120のために露出されるようにする。このように、LEDチップ150が放熱シート102の露出した上面に固定されると、LEDチップ150から放射された光は、スルーホールを介してパッケージ構造から放射することができる。本実施形態の貫通孔は円形の開口部を有し、開口部の直径は上部に行くほど大きくなる。ここでのスルーホールの幾何学的特性は単なる例示であることに留意されたい。)
(ウ)「[0031] FIGS. 4a~4g show the results of the processing steps of a fabrication method according to an embodiment of the present invention. Initially, a large metallic plate 190 having high electrical and thermal conductivities is provided, as shown in FIG. 4a. The metallic plate 190 is used for the subsequent formation of the bases 100 of multiple packaging units 200 simultaneously. The bases 100 of the packaging units 200 are arranged in an array, adjacent to each other or to the boarder 180 of the metallic plate 190. The bases 100 are formed mainly by appropriate means of etching and machinery to remove the part of the bases 100 for the subsequent filling of the insulator 106 and, after that, the heat sinking seats 102 and the electrodes 104 of the bases 100 are left behind, as shown in FIG. 4b. Then, the part of the bases 100 etched away is filled with the insulator 106 and the result is shown in FIG. 4c.」
(訳:[0031]図4a~4gは、本発明の一実施形態による製造方法の処理ステップの結果を示す。最初に、図4aに示すように、高い電気伝導率および熱伝導率を有する大きな金属板190が準備される。金属プレート190は、複数のパッケージングユニット200のベース100を順次形成するのに同時使用される。パッケージングユニット200のベース100は、互いに隣接して、または、金属板190のボーダー180に隣接して、アレイ状に配置される。ベース100は、主にエッチングおよび機械加工といった適切な手段によって形成され、後で絶縁体106が充填されるベース100の一部を除去する。その後には、図4bに示すように、ベース100のヒートシンク102と電極104とが残される。次に、エッチングされたベース100の一部が絶縁体106で充填され、その結果が図4cに示されている。)
(エ)「[0032] Depending on the complexity of the shapes of the heat sinking seat 102 and the electrodes 104, the foregoing etching and machinery process could be conducted to the two major surfaces of the metallic plate 190 simultaneously, producing the patterns of the heat sinking seats 102 and the electrodes 104 for all packaging units 200 in a single run. The filling of the insulator 106 is then performed subsequently. However, if the shapes of the heat sinking seat 102 and the electrodes 104 are rather complex, the etching and the filling of the insulator 106 could be conducted to a major surface of the metallic plate 190 in a first run, and then conducted to the other major surface in a second run. The formation of the bases 100 of all packaging units 200 is then completed.」
(訳:[0032]ヒートシンクシート102および電極104の形状の複雑さに依存して、前述のエッチングおよび機械加工プロセスを、金属プレート190の2つの主表面に同時に行うことができ、全てのパッケージングユニット200用のヒートシンクシート102と電極104のパターン形成は、単一のランありで行う。続いて、絶縁体106の充填が行われる。しかし、ヒートシンク102と電極104の形状が複雑であれば、最初のランで金属板190の主面にエッチングと絶縁体106の充填を行い、その後に、2回目のランで他の主面を処理することができる。このようにして、全てのパッケージングユニット200のベース100の形成が完了する。)
(オ)「[0033] Next, as shown in FIG. 4d, a previously prepared plate member 210 composed of multiple reflection plates 110 is adhered to the processed metallic plate 190 of FIG. 4c by an appropriate adhesive. Then, for each packaging unit 200, the fixation and wire bonding of the LED chip 150 is conducted, whose result is shown in FIG. 4e. The transparent filler 130 is then injected into the through holes of the reflection plates 110 to seal the packaging units 200, as shown in FIG. 4f. At last, as illustrated in FIG. 4g, the packaging units 200 are separated by cutting.」
(訳:[0033]次に、図4dに示すように、予め用意された複数の反射板110からなる板部材210を、適切な接着剤によって、図4cの被加工金属板190に貼り付ける。そして、パッケージングユニット200毎に、LEDチップ150の固定及びワイヤボンディングが行われ、その結果が図4eに示されている。次に、図4fに示すように、反射板110の貫通孔に透光性充填材130 を注入してパッケージング部200を密封する。最後に、図4gに示すように、パッケージングユニット200は切断によって分離される。)
(カ)図2a、図2b及び図4b~図4gは、以下のとおりである。
(キ)図2aからは、反射版110に形成されたスルーホールの底面において電極104が絶縁体106で分割されて露出していること、及び、反射版110の底面において、電極104が露出していることが見て取れる。
また、図4cからは、除去されたベース100の一部に絶縁体106を充填されることにより、全てのパッケージングユニット200のベース100が一体に形成されることが見て取れる。
また、図4gからは、切断によって分離されたパッケージングユニット200は、上から見た外形が略四角形で4つの外側面を有することが見て取れる。
さらに、図2a、図2b及び図4b、図4cから、絶縁体106が充填される、ベース100を除去した部分が、切断によって分離されたパッケージングユニット200の4つの外側面のいずれにも形成されていること、及び、前記4つの外側面において、電極104と絶縁体106とは、略同一面であることが見て取れる。
(ク)以上のとおりであるから、甲2には、以下の発明(以下「甲2発明という。」)が記載されているものと認められる。
<<甲2発明>>
「上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有する、LEDチップ150が固定されたパッケージングユニット200の製造方法であって、
(1)ベース100の上面に、プレート部材210を接着剤で接着する工程、
(2)LEDチップ150をパッケージングユニット200のベース100の各々のヒートシンクシート102の露出された表面に固定し、また、LEDチップの電極をベース100の前記複数の電極104の露出された上面に、複数のボンディングワイヤーによってそれぞれ接続する工程、
(3)パッケージングユニット200の各々のLEDチップ150及びボンディングワイヤー120を透明なフィラー130をプレート部材210の貫通孔の内部に配置することによって封止する工程、
(4)複数のパッケージングユニット200を各々に切断することにより、前記4つの外側面のいずれにおいても複数の電極104と絶縁体106とが略同一面となる、複数のパッケージングユニット200を分離する工程、
とを含み、
ベース100は、金属プレート190の、ヒートシンクシート102、電極104、およびヒートシンクシート102と電極104との間に充填された樹脂などの絶縁体106とから形成され、ベース100の底面において、ヒートシンクシート102と電極104が露出したものであり、
金属プレート190は、パッケージングユニット200のベース100がアレイ状に複数配置されたものであり、
プレート部材210は、樹脂などの絶縁材料で形成され、ベース100に各々に対応した複数の反射板110を含み、反射板110の各々は、壁が白色のコーティングまたは高反射性の材料からなる膜で被覆された垂直な貫通孔を有し、貫通孔の底面にはヒートシンクシート102の上面および前記複数の電極104の各々の上面の少なくとも一部が露出している、
パッケージングユニット200の製造方法。」
ウ 甲3
甲3には、以下の記載がある。
(ア)「【0081】
第1の樹脂成形体40は、パッケージとしての機能を有するため硬質のものが好ましい。また、第1の樹脂成形体40は透光性の有無を問わないが、用途等に応じて適宜設計することは可能である。例えば、第1の樹脂成形体40に遮光性物質を混合して、第1の樹脂成形体40を透過する光を低減することができる。一方、表面実装型発光装置からの光が主に前方及び側方に均一に出射されるように、フィラーや拡散剤を混合しておくこともできる。また、光の吸収を低減するために、暗色系の顔料よりも白色系の顔料を添加しておくこともできる。このように、第1の樹脂成形体40は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。」
(イ)「【0041】
第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていてもよい。第2の樹脂成形体の要求に応じて種々の物質を添加する。例えば、第2の樹脂成形体に蛍光物質を混合することにより、発光素子から射出される発光色と異なる発光色を実現することができる。例えば、青色に発光する発光素子と、黄色に発光する蛍光物質とを用いることにより、白色光を実現することができる。また、光を均一に出射するために、フィラーや拡散剤などを混合しておくこともできる。」
(ウ)「【0086】
<第2の樹脂成形体>
第2の樹脂成形体50は、外部環境からの外力や埃、水分などから発光素子10を保護するために設ける。また、発光素子10から出射される光を効率よく外部に放出することができる。第2の樹脂成形体50は、第1の樹脂成形体40の凹部40c内に配置している。
【0087】
・・・(略)・・・第2の樹脂成形体50は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。第2の樹脂成形体50中には拡散剤を含有させても良い。具体的な拡散剤としては、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等を好適に用いることができる。また、所望外の波長をカットする目的で有機や無機の着色染料や着色顔料を含有させることができる。さらに、第2の樹脂成形体50は、発光素子10からの光を吸収し、波長変換する蛍光物質80を含有させることもできる。」
エ 甲4
甲4には、以下の記載がある。
(ア)「【0017】図1、図2において、10は光の媒質を空気とする表面実装型LEDである。1はパッケージであり、2はこのパッケージ1を構成する、50W/(m・K)以上の熱伝導性の高いMg系、Al系、Cu系等のメタルコア材料から成るメタル基板である。メタル基板2の全面に金メッキ又はぜが施されている。メタル基板2の上面2aから下面2bにかけて、メタル基板2を縦に2分するスリット2cが形成されている。
(当審注:「又はぜ」は、段落【0022】等の記載との整合性から、「又は銀メッキ」の誤記と認められる。)
【0018】3はスリット2cに充填されて両側を接合しているエポキシ樹脂又は耐熱性ポリマー等の樹脂接着剤である絶縁部材である。メタル基板2は、このように絶縁部材3によって電気的に2分割されて一対の電極を構成している。スリット2cを除くメタル基板2の全面に、金メッキ等の表面処理が施されている。4は、パッケージ1を構成する樹脂基板であり、メタル基板2の上面2aに、後述の接着シートを介して接合されている。樹脂基板4には、円形の上部開口4a及び下部開口4b並びにこれらを接続する鍋状の側面4cを有する貫通穴4dが形成されている。側面4cは円錐面の一部、放物面の一部、又は球面の一部を成す形状をしている。樹脂基板4の全面は、光沢銀メッキ等で被覆されて貫通穴4d内面は光反射面となっている。」
(イ)「【0021】次に、このLED10の製造方法について説明する。この方法は表面実装型LED10を多数個同時に加工することができる集合基板を用いた製造方法である。まず、図3に示すように、メタルコア材料から平板状に成形した集合基板状態のメタル基板12を用意し、これにレーザー若しくはプレス抜き加工によって、板厚を貫通するスリット12a、12bを、それぞれ所定の間隔で互いに平行に、両端はメタル基板12の外周までには達しないように加工する。
【0022】スリット12aは、完成LED10のスリット2cになる部分であり、スリット12bは、完成LED10の外周にあたる部分である。その後、全面を金メッキ又は銀メッキ処理をする。次に、スリット12a内に絶縁部材3である樹脂接着剤を充填・硬化させる。」
オ 甲5
甲5には、以下の記載がある。
「【0064】また、前記リードフレームLFの表面には、図4(b)及び図4(c)に示したように、例えば、光沢のある銀めっき膜6を形成しておく。このとき、前記銀めっき膜6は、前記リードフレームLFの一面に形成されていてもよいし、両面あるいは表面全面に形成されていてもよい。
【0112】また、前記リードフレームLFの表面には、前記図4(b)及び図4(c)に示したように、例えば、光沢のある銀めっき膜6が形成されている。またこのとき、前記銀めっき膜6は、前記リードフレームLFの一面に形成されていてもよいし、両面あるいは表面全面に形成されていてもよい。」
カ 甲6
甲6には、以下の記載がある。
(ア)「【0007】
これに対して、リードフレームの表面に粗化処理を施して表面粗度を上げることにより、ダイマウント材やモールド樹脂を構成する樹脂との密着力を向上させ、モールド樹脂の内部における剥離を防止する、という技術が提案されている。
【0008】
このような粗化処理の技術としては、たとえば、樹脂モールドパッケージタイプの半導体装置におけるリードフレームとモールド樹脂との密着性を高めるために、リードフレームのメッキ表面を粗化する技術が提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。」
(イ)「【0015】
図13に示される半導体装置においては、リードフレーム10は、分離形成された素子搭載部11とリード部12とを有するものであり、このリードフレーム10のほぼ全表面に粗化処理が施されている。」
(ウ)「【0020】
Cuなどからなる板材にリード部12および素子搭載部11など、所望のパターンを形成したリードフレーム10を用意し(図14(a)参照)、そのリードフレーム10の表面に粗化処理を行う(図14(b)参照)。」
キ 甲7
甲7には、以下の記載がある。
(ア)「【0011】
そこで、本発明の主たる目的は、封止樹脂との密着強度を高めることができるリードフレーム、及びその製造方法、並びに半導体装置を提供することにある。」
(イ)「【0032】
また、ダイパッド部3及びリード部8などを含むフレーム素材2の表面には、図6に示すように、めっき層10が形成されている。なお、本実施の形態におけるめっき層10は、図10に示すように、フレーム素材2の表面に、順次、Niめっき層17、Pdめっき層18が積層されてなる。そして、Niめっき層17の厚さは0.5~2μmに設定され、Pdめっき層18の厚さは0.005~0.2μmに設定されている。なお、Pdめっき層18は、ボンディングワイヤ及び半田ペーストとの接続性の良好な金属層であり、図7に示すようなボンディングワイヤ13を接続するワイヤボンディングや、図示しない実装基板(プリント配線基板)への半田付けを確実に行うことができる。」
(ウ)「【0061】
ここで、前記の貴金属めっき層10Bとしては、Agめっき層、もしくはフレーム素材2表面に順次Niめっき層、Pdめっき層が積層されてなるめっき層である。」
ク 甲8
甲8には、以下の記載がある。
(ア)「【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、リードフレームとモールド樹脂との密着性に優れるとともに、ペースト状接続材のブリードアウトを防止する。さらに、金属細線接続部においてもワイヤーボンディング性に優れるとともに、外部端子に発生する樹脂バリを抑制する半導体装置用リードフレームとその製造方法を提供することを目的とする。」
(イ)「【0013】
リードフレーム1の表面には、通常、機能めっき皮膜が形成されている。機能めっき皮膜としては、最表面には金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、錫またはその合金からなる機能めっき皮膜が好ましい。」
(ウ)「【0018】
図2(a)~(c)において、銅または銅合金若しくは鉄または鉄合金からなる金属板材8の表面に機能めっき皮膜9を形成する(図2(a))。
【0019】
このとき、機能めっき皮膜9は最表面に、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、錫もしくはその合金を少なくとも1種類含む事が好ましい。これによれば、素子とのダイスボンディング性、素子-リードフレーム間のワイヤーボンディング性、およびリードフレームのはんだ付け性を向上させる機能を付加することが可能になる。」
ケ 甲9
甲9には、以下の記載がある。
「【0086】
<発光素子>
InGaNを発光層とするサファイア基板からなる青色発光の発光素子を用いた。
<第1および第2リードフレームの作製>
銅合金で構成された平板に打ち抜き加工を施し、その表面に銀メッキを施して、第1リードフレーム20′と第2リードフレーム30′とを作製した。
<ワイヤ>
直径が30μmの金線ワイヤを用いた。
<第2熱硬化性樹脂>
シリコーン樹脂100重量部に対して、YAG蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)30重量部と、酸化珪素よりなる光拡散剤5重量部とを含むものを使用した。」
コ 甲10
甲10には、以下の記載がある。
「【0046】
フープ材70は、例えば所定厚さ(本実施の形態では0.15mm)の金属(例えば銅)の帯板に、打ち抜き加工を施すことによって作製することができる。このとき、接続部71を設けておくことにより、三つのリードフレーム80を一体としたフープ材70を形成することができる。また、打ち抜き加工を施す際に渡り部81を設けておくことにより、第1突出部54によって分断される赤用電気導体41および第1緑用電気導体42、第2突出部55によって分断される第2緑用電気導体43および青用電気導体44を、フープ材70の状態では一体にしておくことができる。そして、フープ材70には、必要に応じて全面あるいは一部領域にめっきを施すことができる。ここで、めっきとしては、例えば金めっき、銀めっき、あるいはニッケルめっきなどから適宜選択することができる。また、所定領域毎に異なるめっきを施すこともある。
なお、打ち抜き加工によって形成される穿孔53のうち、フープ材70の長手方向両端部に形成されるものは、図9に示す各工程においてフープ材70を位置決めしながら搬送するためのガイドとしても利用することができる。」
サ 甲11
甲11には、以下の記載がある。
(ア)「【0027】
前記導電性接続部材には、金メッキが施され、また、金線と比較して断面積および表面積が非常に大きいため、この部分の電気抵抗が少なく、発熱も少ない。また、前記金メッキは、上下電極型発光ダイオードから発生する光の反射および電極との接続に共晶ハンダが使用できるようになる。なお、前記金属基板は、銅または銅合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、あるいは前記金属に銀メッキおよび/または金メッキを施したものを含む。」
(イ)「【0034】
前記金属基板は、必要に応じて、一列または複数列に上下電極型発光ダイオードを取り付ける位置に一対の電極部分を形成することができる。前記一対の電極部分は、たとえば、前記金属基板自体、または所定の大きさの金および/または銀メッキ層が形成される。前記反射体の前記電極部分に対する接合工程は、少なくとも一方の幅が前記各スリットの長さより短い反射体を前記各スリットに対応して接合する。前記各接合工程は、たとえば、共晶ハンダを所定部分に置き、熱をかけることにより一度に行うことができる。」
(ウ)「【0039】
前記金属基板12、14は、たとえば、銅に亜鉛を微量含有させ、強度を上げているとともに、表面を銀および/または金でメッキ処理することができる。前記金属基板12、14および反射体16は、円形、四角形、長方形、楕円形等にすることができる。前記反射体16は、光を反射するアルミナ系、アルミナおよびガラスの複合系のセラミックから構成される。また、前記反射体16は、合成樹脂部材に金および/または銀をメッキすることもできる。さらに、前記反射体は、エポキシ樹脂系、ポリイミド樹脂系、ガラス系、ロウ材系の等の接着剤で前記金属基板に接合されている。」
シ 甲12
甲12には、以下の記載がある。
(ア)「【0021】
前記金属基板を分離して成形された複数の対向する電極部分は、たとえば、前記金属基板自体、または所定の大きさの金および/または銀メッキ層が形成される。前記反射体の前記電極部分に対する接合工程は、合成樹脂系接着剤を使用する。前記電極部分、導電性接続部材、および上下電極型発光ダイオードの上下電極との接合工程は、たとえば、共晶ハンダを所定部分に置き、熱をかけることにより一度に行うことができる。前記反射体の先端部には、所望の蛍光体含有膜体が取り付けられる。その後、透明封止材料は、前記金属基板の裏側における前記分離部から前記反射体の内部に充填され、前記上下電極型発光ダイオードが封止される。」
(イ)「【0033】
図1(イ)から(ハ)は本発明の第1実施例で、(イ)はパッケージに上下電極型発光ダイオードを取り付けた状態図、(ロ)は(イ)の拡大図、(ハ)はパッケージおよび上下電極型発光ダイオードの平面図である。図1(イ)から(ハ)において、本実施例における発光装置は、金属基板12、14と、前記金属基板12と14との間に設けられているスリットまたは絶縁部材13と、上下電極型発光ダイオード11と、前記金属基板14と前記上下電極型発光ダイオード11の上部電極111を接続する導電性接続部材(金属板部材)15と、前記金属基板12、14に取り付けられ、反射膜161が形成されている反射体16と、前記反射体16の内部に充填された透明封止材料(図示されていない)とから少なくとも構成されている。前記反射体16は、上部に向かって広がるように傾斜した反射部分を有するほぼ筒状体からなる。前記金属基板12、14は、たとえば、銅に亜鉛を微量含有させ、強度を上げているとともに、表面を銀メッキした後に金メッキすることができる。前記金属基板12、14および反射体16は、円形、正方形、長方形、楕円形等にすることができる。」
ス 甲13
甲13には、以下の記載がある。
「【0048】
(リードフレーム121~124、リード電極121a~124a)
リードフレーム121~124は、電気伝導性がよく、透光性の封止樹脂15との密着性に優れた金属部材などを使用することが望ましい。例えば、鉄、銅、アルミニウムなどの金属、鉄入り銅、ステンレスなどの合金や、これらに、金、銀、白金など種々の金属をメッキさせたものが挙げられる。リードフレームは、金属板の打ち抜き加工等によって形成することができる。」
セ 甲14
甲14には、以下の記載がある。
(ア)「【請求項1】
(A)成分;芳香族エポキシ樹脂を直接水素化して得られる芳香環の水素化率が90~100%の水素化エポキシ樹脂20~95質量%、トリアジン環含有エポキシ樹脂5~80質量%、及び脂環式オレフィンをエポキシ化して得られる脂環式エポキシ樹脂を0~50質量%含有するエポキシ樹脂
(B)成分;酸無水物硬化剤
(C)成分;硬化促進剤
上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有して成る発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物。」
(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような耐熱性及び脆さの問題点がなく、無色透明性に優れた硬化物を与えることができ、特に短波長の光を発するLEDの封止材として有用である発光素子封止材用エポキシ樹脂組成物を提供しようとするものである。」
ソ 甲15
甲15には、以下の記載がある。
(ア)「【請求項1】
430nm以上に発光ピーク波長を有する窒化ガリウム系化合物半導体の発光素子と、該発光素子が載置される、トリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とをエポキシ基当量/酸無水物基当量0.6~2.0の割合で反応させて得られる反応物及びウィスカーを必須成分とする熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化物を用いる成形体と、を有する発光装置。」
(イ)「【0006】
この場合、発光素子封止用エポキシ樹脂組成物におけるトリアジン誘導体エポキシ樹脂の使用については、特開2000-196151号公報(特許文献5)、特開2003-224305号公報(特許文献6)、特開2005-306952号公報(特許文献7)に記載があるが、これらは、いずれもトリアジン誘導体エポキシ樹脂と酸無水物とを反応させて得られた固形物を用いたものではない。」
タ 甲16
甲16には、以下の記載がある。
(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スイッチ内照明、フルカラーディスプレイ、液晶バックライト等の光源として用いられる表面実装用のチップ部品型発光素子及びその製造方法に関する。」
(イ)「【0006】そこで、本発明は薄型化が容易なチップ部品型発光素子とその製造方法を提供することを目的とする。」
(ウ)「【0021】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明に係る実施の形態について説明する。
実施の形態1.図1は、本発明に係る実施の形態1のチップ部品型発光素子の構成を示す斜視図である。本実施の形態1のチップ部品型発光素子は、厚さ方向に貫通する貫通孔14を有する絶縁基板15と該貫通孔14を塞ぐように上記絶縁基板15の一方の面に接合された薄型平板13とからなるパッケージ1の内部に、発光ダイオードチップ(LEDチップ)16が樹脂封止されることにより構成されている。
【0022】詳細に説明すると、絶縁基板15は、例えば厚さが0.06mm~2.0mmの樹脂積層品等からなり、中央部に厚さ方向に貫通する貫通孔14を有する。ここで、貫通孔14の横断面形状は図1に示すように楕円であってもよいし、また楕円以外の円形又は方形でもよい。すなわち、本発明は貫通孔14の横断面形状によって限定されるものではなく、種々の形状の中から任意に選定することができる。また、貫通孔14においては、貫通孔14の開口径が絶縁基板15の一方の面(薄型平板と接合される面)から他方の面に向かって大きくなるように貫通孔の側面を傾斜させることが好ましい。このように貫通孔14の側面を傾斜させると、LEDチップ16から貫通孔14の側面に向かって出射された光を側面で反射させて上方に出力することができるので、LEDチップ16から出射された光を効率良く発光素子からとりだすことができる。
【0023】また、薄型平板13は絶縁分離部24において互いに分離された第1の金属薄板13bと第2の金属薄板13cが絶縁性樹脂13aで接合されることにより一体化されて構成される。ここで、本実施の形態1の薄型平板13においては、第1の金属薄板13bと第2の金属薄板13cにそれぞれ、バンプ17aとバンプ17bとが形成されている。尚、第1の金属薄板13bと第2の金属薄板13cの各下面(チップ部品型発光素子において外側に面する表面)は、バンプ17a,17bの部分を除いて、樹脂層で絶縁されている。
【0024】そして、本実施の形態1において、パッケージ1は、図1に示すように、絶縁分離部24が貫通孔14内(直下)に位置するように、薄型平板13が絶縁基板15の一方の面と接合されることにより構成される。本実施の形態1では、パッケージ1の下面にバンプ17a,17bを形成するようにしたが、本発明はこれに限らず、バンプを形成することなく、第1の金属薄板13b及び第2の金属薄板13cとを直接、実装基板の電極に接続するように構成してもよい。
【0025】このように構成されたパッケージ1の貫通孔14の内部において、LEDチップ16を、第1の金属薄板13b上に接合し、LEDチップ16の正電極と負電極のうちの一方の電極を第1の金属薄板13bに接続し、LEDチップ16の他方の電極を第2の金属薄板13cに接続する。尚、本発明において、LEDチップ16は第1の金属薄板13bに接合することは必ずしも必要ではなく、絶縁分離部24上又は第2の金属薄板13c上に接合するようにしてもよい。また、LEDチップ16の下面(第1の金属薄板13bに接合する面)に、LEDチップ16の負電極又は正電極が形成されている場合は、LEDチップ16の下面を、導電性を有する材料を用いて金属薄板13b又は金属薄板13cに接合するようにして、互いに電気的に導通させるようにしてもよい。
【0026】また、実施の形態1のチップ部品型発光素子において、透光性基板を用いて構成されかつ同一面側に正電極と負電極とを有するLEDチップを用いる場合、LEDチップの正電極と負電極のうちの一方の電極と第1の金属薄板13b及びLEDチップの他方の電極と第2の金属薄板13cとをそれぞれ対向させて導電性材料により接続するようにしてもよい。以上のように貫通孔14内に設けられたLEDチップ16を透光性樹脂(図1においては図示していない。)を用いて封止する。」
(エ)「【0029】次に、図2~図10を参照して、本実施の形態1のチップ部品型発光素子の製造方法について説明する。尚、以下の製造方法の説明では、1つのチップ部品型発光素子に対応する各構成要素を図示して示すが、実際の製造工程においては、複数の構成要素が集合された状態で各工程は行われる。
【0030】(第1の工程)第1の工程では、図2に示すように、パッケージ1の上部要素となる樹脂積層品からなる絶縁基板15の下面に、エポキシ系の接着フィルム19を熱圧着して貼り付け、ドリル等を用いた機械加工あるいはレーザ光によるレーザ加工により貫通孔14を形成する。この時、特殊形状ドリル等を用いて貫通孔14の側面を傾斜させることにより、上述したように反射効率を高めることができる。また、絶縁基板15には白色のものを用い、かつ基板15の上面を黒インク等で黒くすることが好ましい。このようにすると、発光側の上面が黒色で光反射面が白色となるので、フルカラーディスプレイ等に用いる時に重要な要素となる画像の明暗の差を大きく、すなわちコントラストを向上できる。
【0031】(第2の工程)第2の工程では、パッケージ1の薄型平板13となる複数の領域を有する金属薄板母材の上記各領域において、第1の金属薄板13bと第2の金属薄板13cとを絶縁分離するための分離スリット24aを形成する。尚、図3には1つの領域を示しているが、分離スリット24aが形成された後の金属薄板簿材の平面図は、図10に示すようになる。詳細には、例えばCu、りん青銅等の銅合金又はSnメッキ銅泊などからなる金属薄板母材の各領域において、金属薄板母材の裏面22に写真法を用いてバンプ接続部を形成するための凹部23と、第1の金属薄板13bと第2の金属薄板13cとを絶縁分離するための分離スリット24aを形成する。この時、凹部23の窪み深さは約0.15mm程度の深さにすることが好ましく、このようにするとバンプとして用いられる導電性材料が例えば半田であれば、その半田で形成される半田ボールの直径が0.46mm~0.76mmのものまで対応可能とでき、ファインピッチ化が可能となる。また、凹部23を設けてバンプを形成することにより、凹部23の底面及び側面の双方を接合面として接合部の面積を大きくできるので、はんだ付け強度を向上させることができる。我々の検討では、上述の深さの凹部23により、はんだ付け強度を2倍にすることができた。
【0032】(第3の工程)第3の工程では、分離スリット24aに、第1の金属薄板13bと第2の金属薄板13cとを絶縁して保持する樹脂13aを設ける。この時、凹部23のみにマスキングをして樹脂層を形成することにより、凹部23を除く第1の金属薄板13bの下面と側面及び第2の金属薄板13cの下面と側面とに、樹脂13aと連続した樹脂層25を形成する。このようにすると、実装基板に実装したときに、バンプ17aとバンプ17bとの間における短絡を防止することができる。以上の第2の工程及び第3の工程により、金属薄板母材の各領域に薄型平板13が形成される。
【0033】(第4の工程)第4の工程では、図5に示すように、分離スリット24aに絶縁性樹脂が充填されてなる絶縁分離部24が絶縁基板15の貫通孔内に位置するように絶縁基板15と薄型平板13とを接着フィルム19を介して張り合わす。この時、薄板平板13の接着側上面をケミカルエッチング法あるいはブラスト法により粗面化しておくことが好ましく、これにより絶縁基板15との密着力を向上させることができる。また、薄型平板13と絶縁基板15とが張り合わされてなるパッケージ1は、絶縁基板15により十分な機械的強度を有する。
【0034】(第5の工程)第5の工程では、図6に示すように、貫通孔14内に位置する、第1の金属薄板13bの表面26b及び第2の金属薄板13cの表面26c、第1の金属薄板13bと第2の金属薄板13cの各凹部23の内表面に無電解メッキ又は電解メッキ法によりAgあるいはAu等からなるメッキ層27を形成する。尚、この時、凹部23には、第1及び第2の金属薄板とメッキ層27との間に特に良好な電気的接触を得るためにTiあるいはCrからなる接合層又は金属間化合物ができるのを防ぐためNiあるいはPdからなる拡散防止層を構成することが好ましい。
【0035】(第6の工程)第6の工程では、図7に示すように、貫通孔14内に位置する第1の金属薄板13b上にLEDチップを搭載し、LEDチップ16の正電極及び負電極のうちの一方の電極を第1の金属薄板13bに接続し、上記LEDチップの他方の電極を第2の金属薄板13cに接続する。尚、このLEDチップの電極と第1又は第2の金属薄板との接続は図7に示すように、導電性ワイヤー30等を用いて接続することもできるし、上述した他の方法、例えば、透光性基板を用いて構成された同一面側に正電極と負電極とを有するLEDチップを用いる場合において、LEDチップの正電極と第1の金属薄板13b及びLEDチップの負電極と第2の金属薄板13cとをそれぞれ対向させて導電性材料により接続する方法(フリップチップ法)を用いて接続することもできる。このフリップチップ法を用いるとワイヤーを用いる必要がない分さらに薄型化が可能である。
【0036】(第7の工程)第7の工程では、貫通孔14の内部に透光性樹脂31を充填することにより、LEDチップ16を透光性樹脂31で封止する。この時、パッケージ1の絶縁基板15の上面から透光性樹脂31が突出するように凸レンズ形状に形成し、集光力を高めるようにしてもよい。
【0037】(第8の工程)第8の工程では、薄型平板13の凹部23に、導電性材料からなるボールを配置あるいはペースト状の導電性材料を印刷し、高温下にさらすことによりバンプ32を形成する。またペースト状の導電性材料を印刷する場合、クリーム状の導電性材料を、マスクを用いたスクリーン印刷法で印刷して形成することができ、このような方法を用いると製造期間の短縮が可能となる。尚、この第8の工程までの各工程は、複数のチップ部品型発光素子に対応する部分が集合した状態で行われる。
【0038】(第9の工程)第9の工程では、ダイヤモンドカッター等によりチップ部品型発光素子の個片に分割する。以上のような工程により、図1に示す構造の実施の形態1のチップ部品型発光素子が製造される。尚、本第9の工程を経ないで、複数のチップ部品型発光素子を集合状態のままとし、複数の素子が所定の規則で配列したディスプレイとして利用することもできる。以上のような第1~第9の工程を含む製造方法により、本発明に係る実施の形態1のチップ部品型発光素子を製造することができる。」
(オ)「【0039】実施の形態2.次に本発明に係る実施の形態2のチップ部品型発光素子について説明する。本実施の形態2のチップ部品型発光素子は、実施の形態1と同様の考え方に基づいて作製されているが、実施の形態2では、図11に示すように、例えば、青色、緑色、赤色の3つのLEDチップ36を搭載できるパッケージ30を用いていることを特徴としている。
【0040】すなわち、実施の形態2のチップ部品型発光素子は、厚さ方向に貫通する貫通孔34を有する絶縁基板35と該貫通孔34を塞ぐように上記絶縁基板35の一方の面に接合された薄型平板33とからなるパッケージ30の内部に、3つのLEDチップ36が樹脂封止されることにより構成されている。ここで、貫通孔34の横断面形状は図11に示すように楕円であってもよいし、また楕円以外の円形又は方形でもよく、種々の形状の中から任意に選定することができる。また、貫通孔34においては、LEDチップ36から出射された光を効率良くとりだすために、実施の形態1と同様に貫通孔34の側面を傾斜させることが好ましい。
【0041】また、薄型平板33は絶縁分離部44によって互いに分離された第1の金属薄板33aと3つの第2の金属薄板33b,33c,33dとが絶縁性樹脂33eで接合されることにより一体化されて構成される。ここで、本実施の形態2の薄型平板33においては、第1の金属薄板33aと第2の金属薄板33b,33c,33dにそれぞれ、バンプ37が形成されている。尚、第1の金属薄板33aと第2の金属薄板33b,33c,33dの各下面(チップ部品型発光素子において外側に面する表面)は、バンプ37の部分を除いて、樹脂層で絶縁されていることが好ましい。
【0042】そして、本実施の形態2において、パッケージ30は、図11に示すように、少なくとも、第2の金属薄板33bの一部、第2の金属薄板33cの一部、第2の金属薄板33dの一部及び第1の金属薄板33aの一部が貫通孔34の内側に位置するように、薄型平板33と絶縁基板35とを接合して構成する。このように構成されたパッケージ30の貫通孔34の内部において、LEDチップ36を、第1の金属薄板33a上に接合し、LEDチップ36の正電極及び負電極のうちの一方の電極を第1の金属薄板33aに接続し、LEDチップ36の他方の電極をそれぞれ、第2の金属薄板33b,33c,33dに接続する。尚、第1の金属薄板33a及び第2の金属薄板33b,33c,33dの配置を工夫して3つのLEDチップの各電極をフリップチップ法で接続するようにしてもよい。
【0043】また、実施の形態2のチップ部品型発光素子は、実施の形態1と同様、貫通孔34に透光性樹脂が充填されてLEDチップ36が封止されている。
(カ)上記(オ)の実施形態2のチップ部品型発光素子が上記(エ)の各工程と同様の工程で作成されるものであって、また、上記(オ)の記載によれば、実施形態2のチップ部品型発光素子についても上記(ウ)の実施形態1のチップ部品型発光素子についての記載が同様に当てはまることは明らかである。
(キ)図10及び図11は、以下のとおりである。
(ク)図11からは、貫通孔34の底面において薄型平板33は絶縁分離部44によって互いに分離されて露出していること、個片に分割されたチップ部品型発光素子は、上から見た外形が略四角形で4つの外側面を有すること、図10及び図11からは、前記4つの外側面のいずれにも絶縁性樹脂33eが露出されていることが推認されること、及び、前記4つの外側面において、第1の金属薄板33a、第2の金属薄板33b、第2の金属薄板33c及び第2の金属薄板33dと絶縁性樹脂33eとは略同一面となっていると推認される。
また、この推認される事項を踏まえると、甲16の上記(エ)の記載及び図10から、当該露出部分が分離スリットに位置するものと理解できる。
(ケ)以上のとおりであるから、甲16には、以下の発明(以下「甲16発明という。」)が記載されているものと認められる。
<<甲16発明>>
「該貫通孔34を塞ぐように上記絶縁基板35の一方の面に接合された互いに分離された、第1の金属薄板33aと第2の金属薄板33b~dとが絶縁分離部44において接合されてなる薄型平板33と、
ここで、第1の金属薄板と第2の金属薄板は、実装基板の電極に接続されるものであり、
厚さ方向に貫通する貫通孔34を有する樹脂積層品からなる白色の絶縁基板35と、
正電極と負電極のうちの一方の電極が上記第1の金属薄板33aに接続されかつ他方の電極が上記第2の金属薄板33b~dに接続されたLEDチップ36を備え、
貫通孔34の底面において薄型平板33は絶縁分離部44によって互いに分離されて露出しており、
上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有し、前記4つの外側面のいずれにも絶縁性樹脂33eが露出される、チップ部品型発光素子の製造方法であって、
上記パッケージの各薄型平板33となる複数の領域を有する金属薄板母材の上記各領域において、第1の金属薄板33aと第2の金属薄板33b~dとを分離するための上記金属薄板母材を厚さ方向に貫通する分離スリットを形成する工程と、上記分離スリットに絶縁性樹脂33eを充填する工程とを含む絶縁分離工程と、
上記絶縁分離部44が形成された上記各領域にそれぞれ、上記絶縁分離部44が上記絶縁基板35の貫通孔34内に位置するように上記絶縁基板35を接合する接合工程と、
上記LEDチップ36の上記一方の電極を上記第1の金属薄板33aに接続し、上記LEDチップ36の上記他方の電極を上記第2の金属薄板33b~dに接続する接続工程と、
上記貫通孔34の内部に透光性樹脂31を充填することにより上記LEDチップ36を封止する工程と、
ダイヤモンドカッター等によりチップ部品型発光素子の個片に分割する工程と、
を含むチップ部品型発光素子の製造方法。」
チ 甲17
甲17には、以下の記載がある。
(ア)「【発明の属する技術分野】
本発明は、青色発光素子の発光を蛍光体を混入した被覆部材を透過させて白色発光を行う白色発光装置の改良に関し、更に詳しくは、発光色度と発光輝度とを所定範囲に管理することを可能とした白色発光装置に関する。」
(イ)「【0016】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するための本発明の手段は、青色発光素子の発光を蛍光体を混入した被覆部材を透過させて白色発光させる白色発光装置において、前記被覆部材には前記青色発光素子の発光を波長変換して色度調整をするための蛍光体と、前記青色発光素子の発光の輝度調整をするための減光材とが混入されていることを特徴とする。
【0017】
また、前記減光材は前記青色発光素子の発光波長に関わらず輝度を低下させる顔料または染料であることを特徴とする。
【0018】
また、前記被覆部材はシリコン系エラストマーに前記蛍光体と前記減光材とを混入した被覆部材であることを特徴とする。
・・・
【0028】
前述した目的を達成するための本発明の更に他の手段は、反射面を形成した凹部を有するケース体と、該凹部の底面に実装された青色発光素子と、前記ケース体の発光面側を被覆する蛍光体を混入した被覆部材とを有し、前記青色発光素子の発光を前記被覆部材を透過させて白色発光させる白色発光装置において、前記ケース体は絶縁部材を挟んで対向する一対の反射率の高い金属メッキされたメタルコアより成り、前記被覆部材には前記青色発光素子の発光を波長変換して色調調整をするための蛍光体と、前記青色発光素子の発光の輝度を調整をするための減光材とが混入されており、前記被覆部材が前記凹部内に装着されていることを特徴とする。」
(ウ)「【0045】
次に、本発明の第三の実施の形態である白色発光装置の構成について説明する。図6は本発明の第三の実施の形態である白色発光装置の上面側から見た斜視図、図7は同じく下面側から見た斜視図である。図8は図6のB-B断面を示す断面図である。図6~図8において、30は外形が略立方体形状を成す表面実装型の白色発光装置である。21は白色発光装置30のケース体であり、ケース体21の発光面側である上面21aには、発光方向に向いて光を反射する傾斜面21kを有するカップ形状の凹部21cが形成されている。32は凹部21cを覆うようにケース体21に装着された被覆部材である。
【0046】
更に、各構成要素の細部について説明する。まず、ケース体21であるが、23a、23bは射出成形が可能な熱伝導性の高いMg合金系のメタルコア材料から成る一対のメタルコアであり、スリット21gを挟んで対向するように配設されている。4は一対のメタルコア3a、3bをアウトサートモールドすることによりケース体21を構成しているリフロー耐熱性を有する熱可塑性樹脂からなる樹脂成形部である。樹脂成形部4は、少なくとも凹部21cの内面並びに下面21bの端子電極となる一部の面は除いて、スリット21g並びにメタルコア3a、3bの周囲をモールドすることにより結束して強固なケース体21を形成している。(当審注:「3a、3b」はこの段落の他の箇所に「23a、23b」との記載があるから、「23a、23b」の誤記と認められる。)
【0047】
ケース体21の下面21b側のメタルコア23a、23bは、白色発光装置30を実装する配線基板へ接続するための少なくとも一対の端子電極を成している。凹部21cの上端近傍の傾斜面21kには垂直な壁面21mを有する段部21eが形成され、被覆部材32の保持部となっている。ケース体21の表面のメタルコア23a、23bの各露出面には、腐食防止及び光の反射率向上のために光沢仕上げのAgメッキが施されている。その他の構成は第一の実施の形態と同様なので、同じ構成要素には同じ符号と名称とを用いて、詳細な説明を省略する。」
(エ)「【0048】
次に、白色発光装置30の製造方法を図面を用いて説明する。・・・(略)・・・
【0049】・・・(略)・・・
【0050】・・・(略)・・・
【0051】
図9のS5~S10の工程は同じく集合基板方式による白色発光装置の形成工程である。まず、集合メタルコア形成工程S5を図14により説明する。123は射出成形によって形成された集合メタルコアである。集合メタルコア123の外枠123aの内側には、凹部21cを内面に有する円筒部123bが縦横に多数個(ここでも説明の便宜上9個としてある)形成されている。また、円筒部123bを縦断するスリット123g並びに円筒部123b下面側でスリット123gと直角に交差する溝部123cも同時に形成される。ここで、集合メタルコア123にはメッキ処理を施す。次に、図15により集合ケース体形成工程S6を説明する。104は樹脂成形部であり、集合メタルコア123の外枠123aの内側の凹部21c及び下面側の電極面となる図示しないメタルコア露出部を除いた円筒部123bの周囲及びスリット123g、溝部123cの中へ絶縁部材となる樹脂を充填して硬化させる。121はこうして形成された集合ケース体である。
【0052】
次に、図16により、サブマウントパッケージ実装工程S7について説明する。ここでは予めクラス分けしてある同じクラスのサブマウントパッケージ5の下面の電極面を集合ケース体121の凹部21c底面21dに、半田ペーストを介して載置しリフローする。次に、図17により、被覆部材取付工程S8について説明する。予め特性を測定選別済みであり、青色発光素子6の特性に対応する被覆部材32を凹部21cに装着する。130はこうして形成された白色発光装置の集合体である集合発光装置である。次に、図18により、ダイシング工程S9について説明する。集合発光装置130をダイシングラインDLに沿って切断分離して、個片の白色発光装置30を得る。この後、メタル切断面には必要に応じてメッキを施す。最後に完成検査工程S10を経て、白色発光装置30はテーピング包装され出荷される。」
(オ)図8及び図18は、以下のとおりである。
(カ)図8からは、凹部21cの底面において、メタルコア23aとメタルコア23bとがスリット21gに充填された樹脂で分割されて露出していることが見て取れる。
また、図18からは、切断によって分離された白色発光装置30は、上から見た外形が略四角形で4つの外側面を有し、前記4つの外側面に絶縁部材となる樹脂が充填されたスリット123g及び溝部123cが位置し、前記4つの外側面において、スリット123g及び溝部123cに充填された前記樹脂とメタルコア23aとメタルコア23bとは、略同一面であることが見て取れる。
(キ)以上のとおりであるから、甲17には、以下の発明(以下「甲17発明という。」)が記載されているものと認められる。
<<甲17発明>>
「メタルコア及び樹脂成形部を有し、上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有する白色発光装置30の製造方法であって、
集合サブマウント基板を形成する集合基板形成工程S1と、
青色発光素子6を集合基板107上面の対向する配線パターン107bを跨ぐようにして搭載接合する、青色発光素子実装工程S2と、
集合基板107上の青色発光素子6をアンダーフィル樹脂8及び封止樹脂9で封止する、集合サブマウント形成工程S3と、
集合サブマウント105をダイシングラインDLに沿ってダイシングすることにより切断して、個片のサブマウントパッケージ5を得る、ダイシング工程S4と、
外枠123aの内側に、凹部21cを内面に有する円筒部123bが縦横に多数個形成され、円筒部123bを縦断するスリット123g並びに円筒部123b下面側でスリット123gと直角に交差する溝部123cが形成された集合メタルコア123を射出成形によって形成する、集合メタルコア形成工程S5と、
集合メタルコア123の外枠123aの内側の凹部21c及び下面側の電極面となるメタルコア露出部を除いた円筒部123bの周囲及びスリット123g、溝部123cの中へ絶縁部材となる樹脂を充填して硬化させて集合ケース体121を形成する、集合ケース体形成工程S6と、
サブマウントパッケージ5の下面の電極面を集合ケース体121の凹部21c底面21dに、半田ペーストを介して載置しリフローする、サブマウントパッケージ実装工程S7と、
被覆部材32を凹部21cに装着する、被覆部材取付工程S8と、
集合発光装置130をダイシングラインDLに沿って切断分離して、個片の白色発光装置30を得る、ダイシング工程S9と
を有する、製造方法。」
ツ 甲18
甲18には、以下の記載がある。
(ア)「【0045】
本発明の第2の好適実施形態となるデバイスを図5(a)、(b)に示す。
【0046】
表面実装型光電デバイス500は、本体502、3つの概ね平坦な電気接触部材504、506、507、そして2つのLED508、509を含む。その構成において、デバイス500は第1の実施形態におけるデバイス400にかなり似ている。
【0047】
本体502は平面図においては概ね長方形であるが、しかし第1の実施形態と比べると幅広である。その端部は若干外側に向かって傾斜しており、従って、その基部は上部よりも大きくなっている。
【0048】
3つの電気接触部材504、506、507は本体502の実装面510の下側に取り付けられており、接触部材の下側は下からのアクセスが可能となっている。3つの接触部材は全て独立している。主要接触部材504の前側端部はデバイスのほぼ全体にわたって伸びており、デバイス500の中間にある間隙を隔てて他の副接触部材506、507の両方に面している。これらの副接触部材506、507は相互に対して平行である。全ての3つの接触部材504、506、507はデバイスの中間から反対側の端部に向かって水平に伸びている。各接触部材は、これらの端部からの短い距離において第1の部分を含み、各端部はそれぞれに斜め上向きに延びる部分512、514、517と、それに続く水平部分516、518、519を含み、ジグザグ形状(段差形状)を呈している。本体は第1の部分の下を埋めてはいない。この結果、デバイスが実装されている各接触部材の第1の部分と平面の間に窪み520がそれぞれの接触部材の外側端部の下に1つづつ形成されている。各接触部材の残りの部分は第2の部分522、524、525である。
【0049】
LED508、509は両方とも主要接触部材504の前端部近くに導電性媒体526を介して実装されているが、各々からは分離されている。ボンディングワイヤ528、529は、一方のLED508の上部を近い方の副接触部材506へ、そして他方のLED509の上部を他の近い方の副接触部材507へと接続している。
【0050】
上述から、主要接触部材504は概ねT字型であり、T字型の上部分と軸部分との間にウエブを持った形状をしている。2つの副接触部材506、507は図4(a)、(b)の実施形態と同様に概ねへら状又は漏斗状に見える。デバイスの中間近くで相互に向き合う接触部材の端部は、各接触部材の他の部分よりも幅が広くなっている。
【0051】
本実施形態においては、本体502は光学的に不透明なプラスチックから成り、これが2つのLED508、509及び反転させた円錐台形の空洞530の周辺部分を除き、3つの電気接触部材504、506、507の上表面の多くを封止している。この空洞530は光学的に透明なプラスチックで満たされており、その上面は本体の他の部分と面一になっている。よってこの実施形態においては、光は閉じ込められ、円錐台形の空洞を通じて逃げることになる。
【0052】
先に述べた従来技術によるデバイスと異なり、接触部材がパッケージ本体を超えて水平に伸びてはいない。かわりに、フットプリントはより小さくなっており、本体の長さaと幅bに収まっている。更に、窪みがデバイスをPCBへと実装する為のはんだを収容する空間を提供しており、はんだが本体の長さaを超えることはない。よってこれらのデバイスはより緊密に設けることが出来、上から見た場合に、はんだは見える位置に略存在しないように実装され得る。
【0076】
接触部材は、上面及び底面が平行であるものを示した。これは推奨されるものであるが、必ずしもそうである必要は無い。更に、これらは概ね平坦部分から構成されているように描いた。これも必須ではない。これらは、本体又ははんだ等への接着性を高める為に波状形状の表面を持っていても、或いはパターニングされた表面を持っていても良い。」
(イ)図5(a)、(b)は、以下のとおりである。
図5(a) 図5(b)
(ウ)図5(a)及び図5(b)からは、空洞530の底面において、3つの電気接触部材504、506、507は、それらの間を不透明なプラスチックで分割されて露出していることが見て取れる。
また、表面実装型光電デバイス500は、4つの外側面において、電気接触部材504、506、507と、不透明なるプラスチックとは、略同一面であることが見て取れる。
(エ)以上のとおりであるから、甲18には、以下の発明(以下「甲18発明という。」)が記載されているものと認められる。
<<甲18発明>>
「本体の実装面の下側に取り付けられ、デバイスの中間から反対側の端部に向かって水平に伸びている、3つの電気接触部材と、
光学的に不透明なプラスチックからなる、反転させた円錐台形の空洞を有し、3つの電気接触部材の前記端部から短い距離における第1の部分の下に窪みを有する本体と、
接触部材の前端部近くに実装されたLEDと、
空洞を満たす光学的に透明なプラスチックと、
を有する、上側から見た外形が概ね長方形でその端部は若干外側に向かって傾斜している表面実装型光電デバイスの製造方法であって、
空洞の底面において、3つの電気接触部材は、それらの間を不透明なプラスチックで分割されて露出しており、
表面実装型光電デバイスは、4つの外側面において、電気接触部材と、不透明なプラスチックとは、略同一面であり、
窪みは、本体のモールディング加工時に用いられる型の形状により形成される、表面実装型光電デバイスの製造方法。」
テ 甲19
「2.2 樹脂モールド方法
MCPメモリの樹脂モールドには、主にトランスファ成形法が用いられる。・・・まず,チップやワイヤを実装した基板を約180℃に加熱された金型内に固定する。次に,熱硬化性樹脂の粉末を押し固めた樹脂タブレットをポットと呼ばれる空間に投入する。」(31頁左欄)
ト 甲20
「せい-けい【成形・成型】(1)形を作ること。形成。(2)素材に一定の形付けをする工程。轆轤ろくろまたは型を用いて陶磁器の素地を作ること。プラスチック工業などでもいう。」(1601頁)
ナ 甲21
「【0007】
本発明による発光装置の製造方法は、搭載基板上に発光素子を搭載する工程と、発光素子を埋設するように搭載基板上に熱硬化性樹脂を塗布する工程と、熱硬化性樹脂にプラズマ照射又は赤外線照射を行い、熱硬化性樹脂の表面部分のみを硬化させる工程と、表面部分が硬化された熱硬化性樹脂を加熱して硬化させ、樹脂成形体を形成する工程と、を含むことを特徴としている。」
ニ 甲22
「【0126】
[成形方法]
本発明で言う表面実装型発光装置用樹脂成形体の成形方法としては各種の方法が用いられる。例えば、射出成形、トランスファー成形、RIM成形、キャスティング成形、プレス成形、コンプレッション成形等、熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂に一般に用いられる各種成形方法が用いられる。これらの内、成形サイクルが短く成形性が良好であるという点においてはトランスファー成形が好ましい。成形条件も任意に設定可能であり、例えば成形温度についても任意であるが、硬化が速く成形サイクルが短く成形性が良好になりやすいという点においては100℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは150℃以上の温度が好ましい。上記のような各種方法によって成形した後、必要に応じて後硬化(アフターキュア)することも任意である。後硬化した方が耐熱性は高くなり易い。」
(2)被請求人が提出したもの
ア 乙1
乙1には、以下の記載がある。
「・・・通常は0.1~0.25mm厚の金属板が用いられ・・・リードフレームの素材としては、鉄合金系ならびに銅合金系が主流で・・・
リードフレームの製法はエッチング法、スタンピング法の2通りがあり」(1624頁右欄)
イ 乙2
乙2には、以下の記載がある。
「樹脂封止パッケージが普及したのは材料費が安価でリードフレームが大量生産に適した形状となっているためである.リードフレームは枠状の金属シートでできており」(1094頁左欄)
「リードフレームの製作方法としてはエッチング加工とスタンピング加工がある」(1094頁右欄)
ウ 乙3
乙3は、甲2と同じであり、抄訳として以下の記載がある。
(ア)要約
「ハイパワーLEDチップのパッケージング構造および関連する製造方法がここで提供され、それは主に、単一の物体に組み込まれた金属材料および電気絶縁物質からなるベースを含む。金属材料は、ベースの中央にヒートシンクシートを形成し、これはベースの上面から露出させられ、また、ベースの底面または側面から露出させられる。金属材料はまた、ヒートシンクシートを囲む複数の電極を形成し、複数の電極はそれぞれ、ベースの上面から露出させられ、また、ベースの底面または側面から露出させられる。電気絶縁物質が、電極とヒートシンクシートとの間に介在させられて、それらは一緒に接着し、また、ヒートシンクシートと電極のいずれか一つ、およびいずれか二つの電極が電気的に絶縁させられている。パッケージング構造は、電気チャンネルと放熱チャンネルとを分離することによって、優れた放熱効率を達成し、また、別に、有意に減少した製造コストのための大量生産に適用可能である。」
(イ)段落[0027]
「反射板110はまた、中央の適切な位置に垂直のスルーホール(符番なし)を有する平坦形状を有する。反射板110は、反射率の高い金属材料(例えば、アルミニウム)で形成されるか、または樹脂などの絶縁物質で形成されることができるが、スルーホールの壁面が白いコーティングを有するか、または銀のような高反射性材料からなる膜で被覆される。反射板110は、金属材料からなる場合、反射板110は、適切な接着剤160の層でベース100に接着される。反射板110が金属材料からなる場合、接着剤160は、反射板110とベース110のヒートシンクシート102および電極104との間の絶縁を提供する。スルーホールの位置および口径は適切に構成されて、反射板110がベース100に接続された後、ヒートシンクシート102の上面および電極104の上面の少なくとも一部分がそれぞれ、LEDチップ150の固定およびボンディングワイヤー120のために露出されるようにする。このように、LEDチップ150がヒートシンクシート102の露出された上面に固定されると、LEDチップ150から放射された光は、スルーホールを介してパッケージ構造から放射することができる。本実施形態の貫通孔は、円形の開口部を有し、開口部の直径は上部に行くほど大きくなる。ここでのスルーホールの幾何学的特性は単なる例示であることに留意されたい。」
(ウ)請求項1
「ハイパワーLEDチップパッケージング構造であって、
少なくともLEDチップ、
単一の物体に組み込まれた、ヒートシンクシート、複数の電極、および絶縁体を含むベースであって、ヒートシンクシートおよび前記複数の電極が金属材料からなり、前記絶縁体が前記ヒートシンクシートおよび前記複数の電極の間に位置し、これらを一緒に接合していて、前記ヒートシンクシートと前記複数の電極のいずれか一つとの間、および前記複数の電極のいずれか二つの電極の間で電気的絶縁を提供し、前記LEDチップが前記ヒートシンクシートの上面に配置される、ベース、
前記ベースの上面に適切な接着剤で接着させられた反射板であって、適切な位置にて適切な開口を有していて、前記ヒートシンクシートの前記上面および前記複数の電極の各々の上面の少なくとも一部を露出させる、垂直方向のスルーホールを有し、かつ前記スルーホールの壁が高い反射率を有している、反射板、
前記LEDチップの電極を、前記ベースの前記複数の電極に接続するための複数のボンディングワイヤー、
前記反射板の前記スルーホールの内側に配置された、前記LEDチップおよび前記複数のボンディングワイヤーを封止するための、透明物質からなるレンズおよびフィラーのうち一つ
を含む、ハイパワーLEDチップパッケージング構造。」
(エ)請求項9
「複数のハイパワーLEDチップのパッケージングユニットを製造する組み立て方法であって、
(1)金属プレートに前記複数のパッケージングユニットのベースを形成する工程であって、当該工程において、前記ベースの各々はヒートシンクシート、前記ヒートシンクと適切な距離を有する複数の電極、および絶縁体を含み、前記絶縁体は、前記ヒートシンクシートおよび前記複数の電極の間に位置し、前記ヒートシンクシートおよび前記複数の電極とともに接着して、前記ヒートシンクシートと前記複数の電極の任意の一つとの間、および前記複数の電極の任意の二つの間で電気的な絶縁を提供し、
(2)板部材を、前記工程(1)により加工された前記金属プレートの上面に、適切な接着剤で接着する工程であって、当該工程において、前記板部材は、前記ベースに対応する複数の反射板を含むように、予め準備されており、前記複数の反射板の各々は、適切な位置に、適切な口径を有する垂直な貫通孔を有していて、対応するベースの前記ヒートシンクシートの上面、および前記複数の電極の各々の上面の少なくとも一部を露出させており、また、前記貫通孔の壁は高い反射率を有しており、
(3)LEDチップを、前記ベースの各々の前記ヒートシンクシートの前記露出された上面に固定し、また、前記LEDチップの電極を前記ベースの前記複数の電極の前記露出された上面に、複数のボンディングワイヤーによってそれぞれ接続する工程、
(4)前記複数のパッケージングユニットの各々の前記LEDチップおよび前記複数のボンディングワイヤーを、透明なフィラーおよび透明なレンズのうちの一つを、前記貫通孔の内部に配置することによって、封止する工程
(5)切断することにより、前記複数のパッケージングユニットを分離する工程
を含む、方法。」
エ 乙4
「成形 mo(u)lding,forming 一般には,プラスチック成形材料に熱および圧力を加えて軟化あるいは溶融流動化させたのち,金型ないしダイなどを用いて,所望の形状にすることをいう.通常,金型を用いる圧縮成形,トランスファ成形,射出成形,ブロー成形などの成形をmo(u)ldingといい,ダイを用いる押出し,あるいはカレンダリング,真空成形そのほかの成形をformingという.」(268頁)
オ 乙5
「成形・・・プラスチックやゴムの成形とガラス、セラミックスの成形があるが、いずれも加熱して流動状態にして、金型に圧入し、固化させる方法で、固化には冷却して固化させる場合と、反応させて硬化させる方法がある.」
カ 乙6
「molding=forming 成形 成形材料に熱と圧力をかけて流動化させ,金型などを用いて所定の形に賦形すること。成形される材料には熱可塑性樹脂,熱硬化性樹脂,ゴム,バインダーを混ぜて流動性をもたせたセラミックスやメタルの粉末などがある。成形法には射出成形,押出成形,圧縮成形,トランスファー成形,ブロー成形,熱成形,積層成形,発泡成形,回転成形,注型,ディップ成形などがある。」(529頁)
2 無効理由1(サポート要件違反)について
(1)本件明細書の記載
本件明細書には、以下のような記載がある。
ア「【0022】
樹脂パッケージは、四隅からリードが露出されていることが好ましい。樹脂パッケージの一側面全体にリードを設けるよりも、リードの露出部分を低減するができるため、樹脂部とリードとの密着性の向上を図ることができる。また、正負の異なるリード間に絶縁性の樹脂部が設けられているため短絡を防止することができる。」(当審注:「リードの露出部分を低減するができるため」は、「低減することができるため」の誤記と認められる。)
イ「【0042】
樹脂パッケージは、外底面と外側面と外上面とを有する。樹脂パッケージの外側面からリードが露出している。樹脂部とリードとは略同一面に形成されている。この略同一面とは同じ切断工程で形成されたことを意味する。」
ウ「【0050】
切り欠き部は、樹脂成形体を個片化して樹脂パッケージとした際、リードが正負一対となるように形成されている。また、切り欠き部は、樹脂成形体を切断する際に、リードを切断する面積を少なくするように形成されている。例えば、正負一対のリードとなるように横方向に切り欠き部を設け、また、樹脂成形体を個片化する際の切り出し部分に相当する位置に切り欠き部を設ける。ただし、リードフレームの一部が脱落しないように、又は、樹脂パッケージの外側面にリードを露出させるためにリードフレームの一部を連結しておく。ダイシングソーを用いて樹脂成形体をダイシングするため、切り欠き部は、縦及び横若しくは斜めに直線的に形成されていることが好ましい。」
エ「【0078】
次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。
複数の凹部27が形成された樹脂成形体24は、隣接する凹部27の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソーを用いて樹脂成形体24側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。このように切り欠き部21aを設けることにより、切断されるリードフレーム21は少なくなりリードフレーム21と樹脂成形体24との剥離を抑制することができる。また、リードフレーム21の上面だけでなく、切り欠き部21aに相当する側面も樹脂成形体24と密着するため、リードフレーム21と樹脂成形体24との密着強度が向上する。・・・(略)・・・」
(2)当審の判断
本件明細書の段落【0022】の記載は、リードの露出部分を「一側面全体」に設ける場合と「四隅」に設ける場合とを比較し、「四隅」に設ける場合の方が、「リードの露出部分を低減」でき、「樹脂部とリードとの密着性の向上を図る」ことができることから、「好ましい」としているのであって、「四隅」に設ける場合に限定しているわけではない。
また、同段落【0042】および【0050】の記載から、「リードフレームの一部が脱落しないように、又は、樹脂パッケージの外側面にリードを露出させる」ようにするために、リードフレームの樹脂成形体を個片化する際の切り出し部分に相当する位置に「切り欠き部」を設け、「リードフレームの一部は連結しておく」ことが理解できる。
そうすると、この記載からも、リードの露出部分の位置は特に特定されている訳ではなく、「四隅」に設ける場合に限定されない。
さらに、同段落【0078】の記載によれば、「切り欠き部21aに相当する側面が樹脂成形体24と密着する」ことに着目していることが理解できる。
そうすると、切り欠き部21aに相当する側面があれば密着性が向上するのだから、上記記載からも、リードの露出部分が四隅に限定されるとは理解できない。
その他、本件明細書には、リードの露出位置を四隅に限定する記載はない。
以上のとおりであるから、本件明細書には、上記のとおり、リードの露出部分を「四隅」にも受けることがが好適であることは記載されているものの、本件明細書の記載からは、リードの露出部分を四隅に設ける場合に限定されるとまではいえない。
(3)請求人の主張について
この点に関し、請求人は、審判請求書において「本件明細書の発明の詳細な説明および図面で具体的に開示されている態様は何れも、発光装置の四隅においてリードが露出しているものであって、リードの露出位置が発光装置の四隅以外の部分に設けられている態様の具体的な開示はない。」と主張している(上記第4の4(1)を参照。)。
請求人は、リードの露出位置が発光装置の四隅以外の部分に設けられている態様の開示がない旨を主張するが、上記(2)で検討したように、本件明細書の記載からは、リードの露出部分を「四隅」とすることは好適な一例として記載されていると当業者であれば理解できるのであって、リードの露出位置は四隅以外であっても良いことは明らかである。
したがって、請求人の上記主張を採用することができない。
(4)小括
よって、請求人の主張する無効理由1および証拠方法によっては、本件発明1~12についての特許を無効とすることはできない。
3 無効理由2(サポート要件違反)について
(1)請求人の主張する無効理由2は、次のものである。
「本件明細書の段落【0011】には、「本発明は上述した問題に鑑みて、リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供することを目的とする。」との記載があり、特許請求の範囲に記載の「樹脂成形体」乃至「樹脂部」は熱硬化性樹脂であるとされている。
そして、本件特許明細書を参酌する限り、「樹脂成形体」乃至「樹脂部」が熱硬化性樹脂ではない態様の開示はない。
然るところ、特許請求の範囲には、単に「樹脂成形体」乃至「樹脂部」と記載されているのみであるから、これらの「樹脂」には、熱硬化性樹脂以外の樹脂(例えば、熱可塑性樹脂)も包含されることとなる。
したがって、本件発明1~22は何れも、発明の詳細な説明に記載されていない態様を包含するものである。」
(2)これに対し、被請求人は、本件訂正により、請求項1において、「樹脂部」に「熱硬化性樹脂である」との限定をし、「光反射性物質を含有する樹脂成形体」の「樹脂」に「熱硬化性」であるとの限定をし、請求項6および請求項7において、「光反射性物質が含有される樹脂」の「樹脂」に「熱硬化性」であるとの限定をする訂正をおこなった。
(3)したがって、本件訂正により、無効理由2は解消した。
(4)なお、請求人は、弁駁書17頁において、「訂正特許請求の範囲の請求項6および請求項7には、「前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成して樹脂成形体付リードフレームを得る工程」なる記載があるが、形成される「樹脂成形体」に「前記」がないため、当該「樹脂成形体」が、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載されている「熱硬化性樹脂である樹脂成形体」であるのか、あるいはこれとは別の「樹脂成形体」であるのかが必ずしも明らかではない」と主張している。
しかしながら、請求項6および請求項7は、請求項1を引用しさらに限定を付した請求項であることを踏まえると、請求項6および請求項7に記載の「樹脂成形体」は、請求項1に記載されている「熱硬化性樹脂である樹脂成形体」であると解するのが自然である。仮に、請求項6および請求項7に記載された「樹脂成形体」が、請求項1に記載された「樹脂成形体」とは別のものであるとした場合、2つの樹脂成形体が存在することになり、発明として理解し難いものとなってしまう。また、わざわざ理解し難い解釈をする積極的理由もない。
よって、請求項6および請求項7に記載された発明が明確でないとまではいえない。
したがって、請求人の主張は採用できない。
4 無効理由3(サポート要件違反)について
(1)本件明細書の記載
本件明細書には、以下のような記載がある。
ア「【0005】
しかしながら、熱可塑性樹脂はリードフレームとの密着性に乏しく、樹脂部とリードフレームとの剥離を生じやすい。また、熱硬化性樹脂は樹脂の流動性が低いため複雑な形状の樹脂成形体を成形するには不適切であり、耐光性にも乏しい。特に近年の発光素子の出力向上はめざましく、発光素子の高出力化が図られるにつれ、熱可塑性樹脂からなるパッケージの光劣化は顕著となってきている。
【0006】
これらの問題点を解決するため、樹脂成形体の材料に熱硬化性樹脂を用いる発光装置が開示されている(例えば、特許文献3参照)。図17は、従来の発光装置を示す斜視図及び断面図である。図18は、従来の発光装置の製造方法を示す概略断面図である。この発光装置は、金属箔から打ち抜きやエッチング等の公知の方法により金属配線を形成し、ついで、金属配線を所定形状の金型に配置し、金型の樹脂注入口から熱硬化性樹脂を注入し、トランスファ・モールドすることが開示されている。
【0007】
しかし、この製造方法は、短時間に多数個の発光装置を製造することが困難である。また、発光装置1個に対して廃棄されるランナー部分の樹脂が大量になるという問題がある。
【0008】
異なる発光装置及びその製造方法として、配線基板状に光反射用熱硬化性樹脂組成物層を有する光半導体素子搭載用パッケージ基板及びその製造方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。図19は、従来の発光装置の製造工程を示す概略図である。この光半導体素子搭載用パッケージ基板は、平板状のプリント配線板を金型に取り付け、光反射用熱硬化性樹脂組成物を注入し、トランスファー成型機により加熱加圧成型し、複数の凹部を有する、マトリックス状の光半導体素子搭載用パッケージ基板を作製している。また、プリント配線板の代わりにリードフレームを用いることも記載されている。
【0009】
しかし、これらの配線板及びリードフレームは平板状であり、平板状の上に熱硬化性樹脂組成物が配置されており、密着面積が小さいため、ダイシングする際にリードフレーム等と熱硬化性樹脂組成物とが剥離し易いという問題がある。」
(当審注:段落【0005】の「熱硬化性樹脂は樹脂の流動性が低いため」との記載は、「熱可塑性樹脂は樹脂の流動性が低いため」の誤記と認められる。)
イ「【0011】
本発明は上述した問題に鑑みて、リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供することを目的とする。」
ウ「【0014】
本発明は、熱硬化後の、波長350nm~800nmにおける光反射率が70%以上であり、外側面において樹脂部とリードとが略同一面に形成されている樹脂パッケージを有する発光装置の製造方法であって、切り欠き部を設けたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、上金型と下金型とで挟み込まれた金型内に、光反射性物質が含有される熱硬化性樹脂をトランスファ・モールドして、リードフレームに樹脂成形体を形成する工程と、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断する工程と、を有する発光装置の製造方法に関する。かかる構成によれば、切り欠き部に熱硬化性樹脂が充填されるため、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着面積が大きくなり、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着性を向上することができる。また、熱可塑性樹脂よりも粘度が低い熱硬化性樹脂を用いるため、空隙が残ることなく、切り欠き部に熱硬化性樹脂を充填することができる。また、一度に多数個の発光装置を得ることができ、生産効率の大幅な向上を図ることができる。さらに、廃棄されるランナーを低減することができ、安価な発光装置を提供することができる。」
エ「【発明の効果】
【0030】
本発明にかかる発光装置及びその製造方法によれば、リードフレームと樹脂成形体との密着性の高い発光装置を提供することができる。また、短時間に多数個の発光装置を得ることができ、生産効率の大幅な向上を図ることができる。さらに、廃棄されるランナーを低減することができ、安価な発光装置を提供することができる。」
オ「【0078】
次に、切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する。
複数の凹部27が形成された樹脂成形体24は、隣接する凹部27の間にある側壁を略中央で分離されるように長手方向及び短手方向に切断する。切断方法はダイシングソーを用いて樹脂成形体24側からダイシングする。これにより切断面は樹脂成形体24とリードフレーム21とが略同一面となっており、リードフレーム21が樹脂成形体24から露出している。このように切り欠き部21aを設けることにより、切断されるリードフレーム21は少なくなりリードフレーム21と樹脂成形体24との剥離を抑制することができる。また、リードフレーム21の上面だけでなく、切り欠き部21aに相当する側面も樹脂成形体24と密着するため、リードフレーム21と樹脂成形体24との密着強度が向上する。」
(2)当審の判断
ア 本件明細書には、「問題がある」こととして、「短時間に多数個の発光装置を製造することが困難である。また、発光装置1個に対して廃棄されるランナー部分の樹脂が大量になるという問題」(【0007】)、「配線板及びリードフレームは平板状であり、平板状の上に熱硬化性樹脂組成物が配置されており、密着面積が小さいため、ダイシングする際にリードフレーム等と熱硬化性樹脂組成物とが剥離し易いという問題」(【0009】)が記載されている。
また、目的及び効果として「本発明は上述した問題に鑑みて、リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供することを目的とする。」(【0011】)、「本発明にかかる発光装置及びその製造方法によれば、リードフレームと樹脂成形体との密着性の高い発光装置を提供することができる。また、短時間に多数個の発光装置を得ることができ、生産効率の大幅な向上を図ることができる。さらに、廃棄されるランナーを低減することができ、安価な発光装置を提供することができる。」(【0030】)と記載されている。
これらの記載から、発明の詳細な説明に記載された課題として、
「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高くすること」、
「短時間に多数個の発光装置を製造すること」、
「廃棄されるランナーを低減すること」の複数の課題が認識されうる。
イ 「リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高くすること」の課題に対して、発明の詳細な説明には、「切り欠き部に熱硬化性樹脂が充填されるため、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着面積が大きくなり、リードフレームと熱硬化性樹脂との密着性を向上することができる。」(【0014】)、「切り欠き部21aに沿って樹脂成形体24とリードフレーム21とを切断する・・・このように切り欠き部21aを設けることにより、切断されるリードフレーム21は少なくなりリードフレーム21と樹脂成形体24との剥離を抑制することができる。また、リードフレーム21の上面だけでなく、切り欠き部21aに相当する側面も樹脂成形体24と密着するため、リードフレーム21と樹脂成形体24との密着強度が向上する」(【0078】)との記載があり、密着性の課題は、切り欠き部に熱硬化性樹脂が充填されることと、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断することで、解決されることが把握される。
一方、本件特許の請求項1には、「前記リードフレームには前記外側面となる4つの位置のいずれにも前記(熱硬化性樹脂である)樹脂成形体の一部が入り込んだ切り欠き部が設けられ」ること、及び「分離後の各発光装置の前記4つの外側面のいずれにおいても前記リードと前記切り欠き部に入り込んだ前記樹脂部とが略同一面となるように、前記リードフレームと前記樹脂成形体とを切断することにより、複数の発光装置に分離する工程」が記載されており、密着性の課題を解決する手段が反映されているといえる。
また、密着性の課題を解決する手段のうちの「前記リードフレームと前記樹脂成形体とを切断することにより、複数の発光装置に分離する工程」は、「一度に多数個の発光装置を得ることができ」(【0014】)るようにする工程であり、「短時間に多数個の発光装置を製造すること」の課題に対応する解決手段でもあるといえる。
ウ 上記アのとおり本件明細書の記載から複数の課題が把握されるところ、上記イのとおり、本件特許の請求項1には、少なくとも一部の課題を解決するための手段が反映されているといえるから、本件特許の請求項1は、発明の詳細な説明に記載したものである。
また、本件特許の請求項2~12は、全て請求項1を引用するものであるから、本件特許の請求項1と同様に少なくとも一部の課題を解決するための手段が反映されており、発明の詳細な説明に記載したものであるといえる。
エ 仮に、本件明細書に記載された複数の課題が、一体的な課題であり、「廃棄されるランナーを低減すること」の課題も含めて本件特許の請求項1に反映されるべきであるとした場合であっても、以下のとおり、本件特許の請求項1には、該課題を解決するための手段が反映されているといえる。
本件明細書の段落【0006】および【0007】の記載によれば、「廃棄されるランナー」とは、「リード」または「リードフレーム」をトランスファ・モールドする際に、金型の樹脂注入口経路や発光素子の周囲等に生じ、離型後に廃棄される樹脂であることは明らかである。つまり、本件発明は、「金型にリードフレームを挟み、樹脂を充填する製造方法」(例えば、トランスファ・モールド)を用いることを前提とする発明である(なお、調書の被請求人項番5の主張参照。)。
そして、本件発明は、発光装置1個ずつトランスファ・モールドする場合に比べて、多数個同時の場合には、発光装置1個に対しての金型の樹脂注入口経路の数や周囲の長さが減少するから、発光装置1個に対して廃棄されるランナー部分の樹脂の量が減少することは、当業者であれば容易に理解できることである。
してみると、「廃棄されるランナーを低減すること」の課題の解決手段は、「金型にリードフレームを挟み、樹脂を充填する製造方法」を前提に、多数個同時に製造することであるといえる。
乙4~乙6に説明されている「成形」の意味からすれば、「成形」により得られる「樹脂成形体」がリードフレームに付いてなる(すなわちリードフレームに一体に形成されている)「樹脂成形体付リードフレーム」は、「金型にリードフレームを挟み、樹脂を充填する製造方法」で得られたものと解釈できる。
よって、本件特許の請求項1の「樹脂成形体付リードフレームを準備する工程」、「前記リードフレームと前記樹脂成形体とを切断することにより、複数の発光装置に分離する工程」は、「金型にリードフレームを挟み、樹脂を充填する製造方法」を前提に、多数個同時に製造する手段であるといえるから、本件特許の請求項1には、「廃棄されるランナーを低減すること」の課題を解決するための手段が反映されているといえる。
(3)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書において、上記第4の4(3)のとおり、当該「廃棄されるランナー」が、「複数の発光装置に分離する工程」において、切断ライン上等に生じる「樹脂成形体付リードフレーム」の廃棄される部分とした上で、切断前には、個片化後の発光装置において外側面となる面が存在せず、「切断」によって、外側面が形成され、リードフレームはすべてリードとなる結果、「廃棄されるランナーを低減する」ことが本件発明の効果であると主張した上で、本件発明は、凹部を形成する上側樹脂部が切断前に既に外側面を有している状態にある場合や、リードフレームのすべてが個片化後の発光装置が備えるリードとはならない場合(「金型加工」による切断の場合)のように、本件発明の効果を奏しない態様をも包含することを主張している。
また、請求人は、口頭陳述要領書において、上記第4の5(5)のとおり、仮に、「廃棄されるランナー」とは、「リード」または「リードフレーム」をトランスファ・モールドする際に、金型の樹脂注入口経路等に生じ、離型後に廃棄される樹脂とすれば、特許請求の範囲には、本件発明にはトランスファ・モールドにより樹脂成形される旨の特定が求められると主張している。
イ 本件明細書の段落【0006】および【0007】の記載によれば、「廃棄されるランナー」とは、「リード」または「リードフレーム」をトランスファ・モールドする際に、金型の樹脂注入口経路や発光素子の周囲等に生じ、離型後に廃棄される樹脂であることは明らかである。
そして、本件発明は、発光装置1個ずつトランスファ・モールドする場合に比べて、多数個同時の場合には、発光装置1個に対しての金型の樹脂注入口経路の数や周囲の長さが減少するから、発光装置1個に対して廃棄されるランナー部分の樹脂の量が減少することは、当業者であれば容易に理解できることである。
ウ したがって、本件発明における「廃棄されるランナーを低減する」との効果は、発光装置1個ずつトランスファ・モールドするのではなく、発光装置が複数配列される「樹脂成形体付リードフレーム」とすることによってもたらされるものであって、その後の「複数の発光装置に分離する工程」における「切断」で生じる「樹脂成形体付リードフレーム」の廃棄される樹脂を意図したものではなく、請求人の主張は上記「廃棄されるランナーを低減すること」について誤った理解を前提としており、この点において、請求人の主張には理由がない。
エ 請求人は、発光装置の技術分野において、金型を用いることなく成形されたものを「樹脂成形体」としているものがある事実を立証趣旨として甲21を提出している。
確かに、甲21には、熱硬化性樹脂を塗布することで、樹脂の「成形」を行って樹脂成形体を形成することが記載されているが、本件特許の請求項1に記載されている「樹脂成形体付リードフレーム」は、「樹脂成形体付リードフレームの上側には凹部が複数設けられ、前記凹部の底面には前記リードフレームが前記樹脂成形体で分割されて露出されており、前記リードフレームには前記外側面となる4つの位置のいずれにも前記樹脂成形体の一部が入り込んだ切り欠き部が設けられ、且つ前記樹脂成形体付リードフレームの底面にて前記リードフレームが露出している」ものであり、複数の凹部や複数の切り欠き部を所定の位置に設けた複雑な構造であるから、甲21に記載されているように熱硬化性樹脂を塗布することで、成形し得るものではない。また、塗布によりおおよその構造を形成し、切削などの加工をして、複数の凹部や複数の切り欠き部を所定の位置に設けることも一つの方法ではあるが、生産効率の観点から当業者が採用することは困難な方法であるといえる。
本件特許の請求項1に記載された、複数の凹部や複数の切り欠き部を所定の位置に設けた複雑な構造を有する「樹脂成形体付リードフレーム」の製造において、金型を用いることなく塗布により成形するという困難な方法をあえて採用する理由はない。
オ 請求人は、「仮に、「『成形』という用語はそれ自体、金型を用いて成形することを含意している。」としても、リードフレームを挟むためには、上金型と下金型が必要であるところ、本件訂正発明1ではそのような限定はされていないから、本件明細書の発明の詳細な説明等に記載された課題を解決するための手段が反映されていないことにかわりはない。」(弁駁書第14頁下から2行目~第15頁3行目)と主張している。
しかしながら、リードフレームは、切り欠き部を有していることから、熱硬化性樹脂はリードフレームを上下に貫通する部分を有しているものである。このことを踏まえると、金型を用いる場合に上下に金型が必要であることは、本件特許の請求項1に記載された構成から、当業者が理解し得ることである。
カ 請求人は、「本件発明6および7に係る特許も無効理由3を有する」旨主張している(弁駁書第16頁、17頁の「カ 本件発明6および7について」)。
しかしながら、請求項6及び7には、「前記切り欠き部が設けられたリードフレームを上金型と下金型とで挟み込む工程と、前記リードフレームを前記上金型と前記下金型とで挟み込むことにより形成された、前記切り欠き部を含めた空間内に光反射性物質が含有される樹脂を入り込ませた後、前記リードフレームが底面に露出した複数の凹部が形成され、且つ前記リードフレームの底面が露出するように、前記リードフレームと一体に樹脂成形体を形成して樹脂成形体付リードフレームを得る工程」が記載されており、「廃棄されるランナーを低減すること」の課題の解決手段の前提となる構成が明示的に反映されている。そして、請求項6及び7が引用する請求項1に、多数個同時に製造する手段が反映されている。
したがって、請求人の主張は採用できない。
(4)小括
以上のとおり、本件特許請求の範囲の請求項1~12の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定を満たしており、請求人の主張する無効理由3および証拠方法によっては、本件発明1~12に係る特許を無効とすることはできない。
5 無効理由4(実施可能要件違反若しくは明確性要件違反)について
(1)本件明細書の記載
本件明細書には、以下のような記載がある。
「【0047】
リードフレームは、平板状の金属板に打ち抜き加工やエッチング加工等を行ったものである。エッチング加工されたリードフレームは断面形状において凹凸が形成されており、樹脂成形体との密着性を向上することができる。特に、薄いリードフレームを用いた場合、打ち抜き加工ではリードフレームと樹脂成形体と密着性を上げるため、段差や凹凸形状を形成させるが、その段差、凹凸形状は小さくなるので、密着性向上の効果は小さい。しかし、エッチング加工では、リードフレームの断面(エッチング部分)部分すべてに、凹凸形状を形成させることができるので、リードフレームと樹脂成形体との接合面積が大きくでき、より密着性に富む樹脂パッケージを成形することができる。」
(2)当審の判断
上記のとおり、本件明細書の段落【0047】の記載によれば、本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12のリードフレームが有する「凹凸」は、打ち抜き加工やエッチング加工等により形成されるものであって、それにより「樹脂成形体との密着性を向上することができる」ものであると理解できる。
したがって、当該記載に接した当業者であれば、「凹凸」の大きさ等によって「樹脂成形体との密着性」が変化することは、容易に予測できるのであるから、打ち抜き加工やエッチング加工の条件等を変えつつ大きさの異なる「凹凸」を形成する等の実験を通じて、適切な密着性を得られる「凹凸」を決定することに、過大な試行錯誤が必要とは考えられない。
したがって、当業者であれば、本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12を実施できる。
また、本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12における「凹凸」が「樹脂成形体との密着性」を有する程度の大きさであることは、上記記載から明らかであるから、本件の請求項9およびこれを引用する請求項11、12の記載は明確である。
(3)請求人の主張について
請求人は、審判請求書において、上記第4の4(3)のとおり、以下の点を主張している。
ア 本件明細書には、本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12がその効果を奏するためには、「凹凸」がどの程度の大きさのものである必要があるが、その手掛かりとなる記載は一切ない。
イ 「凹凸」の程度が従来から行われていたリードフレーム形成時のエッチング加工で形成される凹凸の程度とどのように相違するのかを理解することができない。
ウ 本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12において、「凹凸」はエッチングで形成されるものと解されるが、そのような特定はないから、不明確である。
しかし、上記(2)で検討したように、実験等を通じて適切な密着性を得られる「凹凸」を決定することは、当業者の通常の創作能力の範囲のことである。
また、本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12が実施可能か否かと、上記イのような従来の加工方法による「凹凸」とは関係がない。
したがって、請求人の上記アおよびイの主張を採用することができない。
また、請求人のウの主張についても、「凹凸」は、打ち抜き加工やエッチング加工等により形成されるものに限られず、密着性を得るためには「凹凸」を有していればよいことは当業者にとって明らかなことである。
したがって、本件発明9およびこれに従属する関係にある本件発明11、12において、「凹凸」の加工方法を特定する必要があるとはいえない。
以上のとおりであるから、請求人の上記主張はいずれも採用できない。
(4)小括
よって、請求人の主張する無効理由4および証拠方法によっては、本件発明9、11および12に係る特許を無効とすることはできない。
6 無効理由5(明確性要件違反)について
(1)当審の判断
本件発明8には、「前記樹脂成形体付リードフレームを準備する工程において、前記リードフレームは、全面に銀メッキ処理が施されている」と記載されているところ、本件発明8の従属先である本件発明1には、「樹脂成形体付リードフレームを準備する工程」におけるリードフレームに、すでに切り欠き部が設けられていることが明記されている。
したがって、本件発明8における「前記樹脂成形体付リードフレームを準備する工程において、前記リードフレームは、全面に銀メッキ処理が施されている」との記載が、「樹脂成形体付リードフレームを準備する工程」におけるリードフレーム、すなわち、切り欠き部が設けられたリードフレームを対象として記載されたものであることは明らかであり、本件発明8が、そのようなリードフレームについて「全面」と記載している以上、それがリードフレームの切り欠き部の内側も含めて「全面」に銀メッキ処理が施す意味であることも明らかである。
また、本件発明8における「全面」が上記のとおりの意味であることは、本件明細書の段落【0015】の「上金型と下金型とで挟み込む前に、リードフレームにメッキ処理を施すことが好ましい。このとき、製造された発光装置には切断された面にメッキ処理が施されておらず、それ以外の部分にはメッキ処理が施されている。」との記載からも明らかである。
したがって、本件発明8およびこれに従属する関係にある本件発明9~12は明確である。
(2)請求人の主張について
請求人は、口頭陳述要領書において、上記第4の5(7)のとおり、「本件発明8およびこれに従属する関係にある本件発明9~12における「全面」が、リードフレームのすべての面を意味し、切り欠き部の内側面を含むということであれば、特に意見はない。」としている一方、審判請求書においては、上記第4の4(5)のとおり、仮に、「全面」が、切り欠き部の内側面をも含むとすれば、樹脂成形体付リードフレームを準備する工程において、樹脂を加熱した後の冷却時には、下図Aの赤矢印に向かう「強い収縮力」が作用するはずであるところ、下図Cに示すように、銀メッキが施された切り欠き部の内部に充填された樹脂部分はその内壁面(内側面)から容易に剥離し、切り欠き部とそこに充填された樹脂部分との間には「隙間」が生じ、このような「隙間」が生じた状態では、切断時の振動や応力などの機械的ストレスを低減することもかなわないから、本件発明の効果(リードフレームと熱硬化性樹脂組成物との密着性が高く、短時間に多数個の発光装置を製造する簡易かつ安価な方法を提供すること)を奏しない態様のものを包含することとなる旨を主張している。
ここで、請求人の主張の根拠としている、「切り欠き部とそこに充填された樹脂部分との間には「隙間」が生じる」との技術的見解について、以下検討する。
リードフレームは金属からなり、熱硬化性樹脂は有機化合物からなるために、両者はその熱膨張係数において差を有し、熱膨張係数の大きな熱硬化性樹脂が熱硬化された後、冷却されるときに、リードフレームよりも大きく収縮するため、その収縮率の違いにより、製造方法によって程度の差はあれ、「反り」を生じることが知られている。
そして、「反り」が生じるということは、面で接合している一方の材料(熱硬化性樹脂)が「全体的」に他方の材料(リードフレーム)より収縮していると理解できる。
一方、請求人の「切り欠き部とそこに充填された樹脂部分との間には「隙間」が生じる」との技術的見解の根拠となる請求人の提示する説明図(以下の図Aおよび図C)を参酌するに、樹脂部分の部分部分がそれぞれ収縮はするが全体的な収縮は見られない(「反り」も生じていない。また、樹脂部分の上側の収縮による寸法変化がない一方、切り欠き部内の樹脂だけが収縮による寸法変化をしており、技術的に矛盾のある記載となっている。)。
図A:樹脂加熱後の冷却時(再掲)
図C:樹脂加熱後の冷却時(再掲)
この説明図の記載は、樹脂部分の部分部分は全体として一体になって面で接合しているにもかかわらず、樹脂部分が「全体的」に収縮するという観点での検討を欠いたことによるものといえる。そして、全体的に収縮することを考慮すると、切り欠き部内の樹脂部分は、樹脂部分全体の収縮中心に向かって収縮し、切り欠き部内壁を押しつけるように接するところがあることになり、説明図に示されたような「隙間」がある状態とはならない。
そうすると、請求人の技術的見解は妥当とはいえないから、その技術的見解に基づいた請求人の上記主張を採用することはできない。
(3)小括
よって、請求人の主張する無効理由5および証拠方法によっては、本件発明8~12に係る特許を無効とすることはできない。
7 無効理由6(進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 甲2発明(再掲)
甲2発明は、上記第6の1(1)イで認定した、以下のとおりのものである。
「上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有する、LEDチップ150が固定されたパッケージングユニット200の製造方法であって、
(1)ベース100の上面に、プレート部材210を接着剤で接着する工程、
(2)LEDチップ150をパッケージングユニット200のベース100の各々のヒートシンクシート102の露出された表面に固定し、また、LEDチップの電極をベース100の前記複数の電極104の露出された上面に、複数のボンディングワイヤーによってそれぞれ接続する工程、
(3)パッケージングユニット200の各々のLEDチップ150及びボンディングワイヤー120を透明なフィラー130をプレート部材210の貫通孔の内部に配置することによって封止する工程、
(4)複数のパッケージングユニット200を各々に切断することにより、前記4つの外側面のいずれにおいても複数の電極104と絶縁体106とが略同一面となる、複数のパッケージングユニット200を分離する工程、
とを含み、
ベース100は、金属プレート190の、ヒートシンクシート102、電極104、およびヒートシンクシート102と電極104との間に充填された樹脂などの絶縁体106とから形成され、ベース100の底面において、ヒートシンクシート102と電極104が露出したものであり、
金属プレート190は、パッケージングユニット200のベース100がアレイ状に複数配置されたものであり、
プレート部材210は、樹脂などの絶縁材料で形成され、ベース100に各々に対応した複数の反射板110を含み、反射板110の各々は、壁が白色のコーティングまたは高反射性の材料からなる膜で被覆された垂直な貫通孔を有し、貫通孔の底面にはヒートシンクシート102の上面および前記複数の電極104の各々の上面の少なくとも一部が露出している、
パッケージングユニット200の製造方法。」
イ 本件発明1と甲2発明との対比
本件発明1と甲2発明とを対比すると、口頭審理において審理したように、以下のとおりとなる。
(ア)甲2発明の「プレート部材210」は、「樹脂などの絶縁材料」で形成されており、「ベース100に各々に対応した複数の反射板110を含」むものであるので、甲2発明の「プレート部材210」と本件発明1の「光反射性物質を含有する樹脂成形体」とは、ともに、「反射機能を有する樹脂製の部材」である点で共通する。
(ウ)甲2発明において、ヒートシンクシート102と電極104との間には樹脂などの絶縁体106が充填され、貫通孔の底面にはヒートシンクシート102の上面および前記複数の電極104の各々の上面の少なくとも一部が露出しているので、甲2発明は、本件発明1の「前記凹部の底面には前記リードフレームが前記樹脂成形体で分割されて露出されており」との事項を備える。
(エ)甲2発明において、「ベース100」の上面に「プレート部材210」が接着されたものは、本件発明1の「樹脂成形体付リードフレーム」に相当する。
しかし、甲2発明の「ベース100」の「樹脂などの絶縁体106」と樹脂等の絶縁材料からなる「プレート部材210」との間には、「接着剤」が存在しているため、「ベース100」と「プレート部材210」の「樹脂」は別のものであるのに対し、本件発明1のリードフレームの切り欠き部に入り込んだ樹脂は、「光反射性物質を含有する樹脂成形体」の一部であって、樹脂成形体付リードフレームにおいて、凹部の「樹脂成形体」とリードフレームの切り欠き部に入り込んだ「樹脂成形体」とは、同じ「樹脂成形体」である。
(オ)そして、本件発明1と甲2発明との一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「 リード及び樹脂部を有し、上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有する発光装置の製造方法であって、
リードフレームと、「反射機能を有する樹脂製の部材」と、を有する樹脂成形体付リードフレームを準備する工程であって、前記樹脂成形体付リードフレームの上側には凹部が複数設けられ、前記凹部の底面には前記リードフレームが「樹脂成形体」で分割されて露出されており、前記リードフレームには前記外側面となる4つの位置のいずれにも前記「樹脂成形体」の一部が入り込んだ切り欠き部が設けられ、且つ前記樹脂成形体付リードフレームの底面にて前記リードフレームが露出している、樹脂成形体付リードフレームを準備する工程と、
前記凹部の底面に発光素子を載置する工程と、
前記凹部内に、前記発光素子を被覆する封止部材を配置する工程と、
分離後の各発光装置の前記4つの外側面のいずれにおいても前記リードと前記切り欠き部に入り込んだ前記樹脂部とが略同一面となるように、前記リードフレームと前記樹脂成形体とを切断することにより、複数の発光装置に分離する工程と、
を有する発光装置の製造方法。」
[相違点甲2-1]
本件発明1では、リードフレームの切り欠き部に入り込んだ樹脂は、「光反射性物質を含有する樹脂成形体」の一部であって、樹脂成形体付リードフレームにおいて、凹部の「樹脂成形体」とリードフレームの切り欠き部に入り込んだ「樹脂成形体」とは同じ「樹脂成形体」からなり、一体のものであるのに対し、甲2発明の樹脂等の絶縁材料からなる「プレート部材210」と「ベース100」の「樹脂などの絶縁体106」との間には、「接着剤」が存在しているため、「プレート部材210」と「ベース100」の「樹脂」は別体のものである点。
[相違点甲2-2]
「反射機能を有する樹脂製の部材」が、本件発明1では、「光反射性物質を含有する」ものであるのに対し、甲2発明では、「樹脂などの絶縁材料で形成され、壁が白色のコーティングまたは高反射性の材料からなる膜で被覆された」ものである点。
(カ)ここで、[相違点甲2-1]について、請求人は、口頭陳述要領書において、「甲2においては、符号106と符号110が付された部位はともに樹脂であり得るとされているのであって、これらを一体としてみれば、文言上、本件発明1の樹脂成形体に該当し、特許請求の範囲の記載および甲2の開示するところに照らせば、甲2に開示されている製造方法ではプレート部材210が別途接着されているとしても、図4dに示されている態様(ベース100と反射板110を備えたプレート部材210から成る部材)が本件発明1の「樹脂成形体付リードフレーム」の構成を文言上充足する」との主張を行っている(上記第4の5(8)を参照。)。
しかし、甲2発明において、プレート部材210を構成する樹脂が、ベース100のヒートシンクシート102と電極104との間に充填されることはないから、甲2発明は、本件発明1の「樹脂成形体付リードフレーム」の構成を文言上であっても充足しない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
ウ 当審の判断
(ア)[相違点甲2-1]について検討する。
甲1の請求項1、段落【0005】および【0006】の記載によれば、甲1には、「貫通穴を有する樹脂層板を作製する工程、穴を有する接着シートを作製する工程、樹脂層板と接着シートとLED素子を搭載した配線基板を位置合わせして一体化する工程といった複数の工程やこれに伴う複数の部材が必要となる」ことを課題として、この課題の解決のために、「プリント配線板に樹脂層板とを接着するに際し、接着工程に代えて、トランスファ・モールド工程を採用する」技術が記載されている。
そして、甲2発明は、「ベース100の上面に、プレート部材210を接着剤で接着する工程」を有しているから、甲1に記載された技術と同様の工程により製造されるものといえる。
そうすると、甲2発明は、甲1に記載された技術事項と同様の課題を有していることは、当業者であれば容易に理解できるところ、当該課題を解決するために、甲1に記載された技術事項を適用して、接着工程に代えて、トランスファ・モールド工程を採用しようとすることは、当業者であれば容易に想到し得ることといえる。
しかし、上記のように、甲2発明に甲1に記載された技術事項を適用した際には、トランスファ・モールド工程によって、ベース100の上面にプレート部材210が形成されることになるものの、ベース100には、既に、ヒートシンクシート102と電極104との間に、樹脂などの絶縁体106が充填されているから、ヒートシンクシート102と電極104との間に充填された樹脂などの絶縁体106の間に、トランスファ・モールド工程に使用される樹脂がさらに充填されることはない。
したがって、甲2発明に甲1に記載された技術を適用したとしても、本件発明1のように、リードフレームに、「前記外側面となる4つの位置のいずれにも前記樹脂成形体の一部が入り込んだ切り欠き部」が設けられることにはならない。
なお、甲1には、段落【0046】に、実施例2として、プリント配線板の代わりにリードフレームを用いることが記載されているが、このリードフレームについての具体的な記載はなく、記載されているのは、接着シートを用いることを含む工程をトランスファー成型の工程で行うことであり、甲2発明に甲1に記載された技術を適用したとしても、リードフレームに、「前記外側面となる4つの位置のいずれにも前記樹脂成形体の一部が入り込んだ切り欠き部」が形成されるとまではいえない。
また、甲2~15には、[相違点甲2-1]に係る発明特定事項についての記載はないし、甲2~15は、[相違点甲2-1]に係る発明特定事項が周知技術であることを示す文献でもない。
そして、本件発明1は、[相違点甲2-1]に係る発明特定事項を備えることにより、樹脂部とリードとの密着性の向上を図ることができるとの作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、甲2発明および甲1~15に記載された技術および周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものではない。
(イ)以上のとおりであるから、[相違点甲2-2]について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明および甲1~15に記載された技術および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~12について
本件発明2~12は、本件発明1の構成を全て含む発光装置の製造方法であるから、上記本件発明2~12と甲2発明とは、少なくとも[相違点甲2-1]および[相違点甲2-2]で相違する。
そして、[相違点甲2-1]についての判断は、上記(1)ウのとおりであるから、本件発明2~12は、甲2発明および甲1~15に記載された事項および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)小括
よって、請求人の主張する無効理由6および証拠方法によっては、本件発明1~12に係る特許を無効とすることはできない。
8 無効理由7(進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 甲16発明(再掲)
甲16発明は、上記第6の1(1)タで認定した、以下のとおりのものである。
「該貫通孔34を塞ぐように上記絶縁基板35の一方の面に接合された互いに分離された、第1の金属薄板33aと第2の金属薄板33b~dとが絶縁分離部44において接合されてなる薄型平板33と、
ここで、第1の金属薄板と第2の金属薄板は、実装基板の電極に接続されるものであり、
厚さ方向に貫通する貫通孔34を有する樹脂積層品からなる白色の絶縁基板35と、
正電極と負電極のうちの一方の電極が上記第1の金属薄板33aに接続されかつ他方の電極が上記第2の金属薄板33b~dに接続されたLEDチップ36を備え、
貫通孔34の底面において薄型平板33は絶縁分離部44によって互いに分離されて露出しており、
上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有し、前記4つの外側面のいずれにも絶縁性樹脂33eが露出される、チップ部品型発光素子の製造方法であって、
上記パッケージの各薄型平板33となる複数の領域を有する金属薄板母材の上記各領域において、第1の金属薄板33aと第2の金属薄板33b~dとを分離するための上記金属薄板母材を厚さ方向に貫通する分離スリットを形成する工程と、上記分離スリットに絶縁性樹脂33eを充填する工程とを含む絶縁分離工程と、
上記絶縁分離部44が形成された上記各領域にそれぞれ、上記絶縁分離部44が上記絶縁基板35の貫通孔34内に位置するように上記絶縁基板35を接合する接合工程と、
上記LEDチップ36の上記一方の電極を上記第1の金属薄板33aに接続し、上記LEDチップ36の上記他方の電極を上記第2の金属薄板33b~dに接続する接続工程と、
上記貫通孔34の内部に透光性樹脂31を充填することにより上記LEDチップ36を封止する工程と、
ダイヤモンドカッター等によりチップ部品型発光素子の個片に分割する工程と、
を含むチップ部品型発光素子の製造方法。」
イ 本件発明1と甲16発明との対比
本件発明1と甲16発明とを対比すると、口頭審理において審理したように、以下のとおりとなる。
[一致点]
「リード及び樹脂部を有し、上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有する発光装置の製造方法であって、
リードフレームと、「反射機能を有する樹脂製の部材」とを、有する樹脂成形体付リードフレームを準備する工程であって、前記樹脂成形体付リードフレームの上側には凹部が複数設けられ、前記凹部の底面には前記リードフレームが「樹脂成形体」で分割されて露出されており、前記リードフレームには前記外側面となる4つの位置のいずれにも「樹脂成形体」の一部が入り込んだ切り欠き部が設けられ、且つ前記樹脂成形体付リードフレームの底面にて前記リードフレームが露出している、樹脂成形体付リードフレームを準備する工程と、
前記凹部の底面に発光素子を載置する工程と、
前記凹部内に、前記発光素子を被覆する封止部材を配置する工程と、
分離後の各発光装置の前記4つの外側面のいずれにおいても前記リードと前記切り欠き部に入り込んだ前記樹脂部とが略同一面となるように、前記リードフレームと前記樹脂成形体とを切断することにより、複数の発光装置に分離する工程と、
を有する発光装置の製造方法。」
[相違点甲16-1]
本件発明1では、リードフレームの切り欠き部に入り込んだ樹脂は、「光反射性物質を含有する樹脂成形体」の一部であって、樹脂成形体付リードフレームにおいて、凹部の「樹脂成形体」とリードフレームの切り欠き部に入り込んだ「樹脂成形体」とは同じ「樹脂成形体」からなるものであるのに対し、甲16発明では、樹脂積層品からなる白色の「絶縁基板35」と「薄型平板33」とは接合されているものであって、「絶縁基板35」の樹脂積層品と「薄型平板33」の分離スリット24aに充填された「絶縁性樹脂33e」とは、別のものである点。
[相違点甲16-2]
「反射機能を有する樹脂製の部材」が、本件発明1では、「光反射性物質を含有する」ものであるのに対し、甲16発明では、樹脂積層品からなる白色の絶縁基板である点。
ここで、[相違点甲16-1]について、請求人は、口頭陳述要領書において、上記無効理由6と同様に、「特許請求の範囲の記載および甲16の開示するところに照らせば、甲16に開示されている製造方法では「絶縁基板」が別途接着されているとしても、上述した樹脂を一体としてみたものと金属薄板母材の組み合わせが、本件発明1の「樹脂成形体付リードフレーム」の構成を文言上充足する」との主張を行っている(上記第4の5(9)を参照。)。
しかし、上記主張は、無効理由6について検討したことと同様に(前記7(1)イ(カ)を参照。)、甲16発明は、本件発明1の「樹脂成形体付リードフレーム」の構成を文言上であっても充足しない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
ウ 当審の判断
(ア)[相違点甲16-1]について検討する。
[相違点甲16-1]は、上記7で検討した[相違点甲2-1]と同様のものであるから、上記7(1)ウの判断が当てはまる。
したがって、本件発明1は、甲16発明および甲1~15に記載された技術および周知技術に基づいて、当業者が容易になし得たものではない。
(イ)以上のとおりであるから、[相違点甲16-2]について検討するまでもなく、本件発明1は、甲16発明および甲1~15に記載された事項および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~12について
本件発明2~12は、本件発明1の構成を全て含む発光装置の製造方法であるから、上記本件発明2~12と甲16発明とは、[相違点甲16-1]および[相違点甲16-2]を含むものである。
そして、[相違点甲16-1]についての判断は、上記(1)ウのとおりであるから、本件発明2~12は、甲16発明および甲1~15に記載された事項および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)小括
よって、請求人の主張する無効理由7および証拠方法によっては、本件発明1~12に係る特許を無効とすることはできない。
9 無効理由8(進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 甲17発明(再掲)
甲17発明は、上記第6の1(1)チで認定した、以下のとおりのものである。
「メタルコア及び樹脂成形部を有し、上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有する白色発光装置30の製造方法であって、
集合サブマウント基板を形成する集合基板形成工程S1と、
青色発光素子6を集合基板107上面の対向する配線パターン107bを跨ぐようにして搭載接合する、青色発光素子実装工程S2と、
集合基板107上の青色発光素子6をアンダーフィル樹脂8及び封止樹脂9で封止する、集合サブマウント形成工程S3と、
集合サブマウント105をダイシングラインDLに沿ってダイシングすることにより切断して、個片のサブマウントパッケージ5を得る、ダイシング工程S4と、
外枠123aの内側に、凹部21cを内面に有する円筒部123bが縦横に多数個形成され、円筒部123bを縦断するスリット123g並びに円筒部123b下面側でスリット123gと直角に交差する溝部123cが形成された集合メタルコア123を射出成形によって形成する、集合メタルコア形成工程S5と、
集合メタルコア123の外枠123aの内側の凹部21c及び下面側の電極面となるメタルコア露出部を除いた円筒部123bの周囲及びスリット123g、溝部123cの中へ絶縁部材となる樹脂を充填して硬化させて集合ケース体121を形成する、集合ケース体形成工程S6と、
サブマウントパッケージ5の下面の電極面を集合ケース体121の凹部21c底面21dに、半田ペーストを介して載置しリフローする、サブマウントパッケージ実装工程S7と、
被覆部材32を凹部21cに装着する、被覆部材取付工程S8と、
集合発光装置130をダイシングラインDLに沿って切断分離して、個片の白色発光装置30を得る、ダイシング工程S9と
を有する、製造方法。」
イ 本件発明1と甲17発明との対比
本件発明1と甲17発明とを対比すると、口頭審理において審理したように、以下のとおりとなる。
(ア)甲17発明の「メタルコア」と本件発明1の「リード」とは、発光装置における「電極」である点で共通する。
そうすると、甲17発明の切断分離前の「集合メタルコア123」と本件発明1の「リードフレーム」とは、前記「電極」が配列された「電極の集合体」である点で共通し、甲17発明の「集合ケース体121」と本件発明1の「樹脂成形体付リードフレーム」は、「樹脂成形体付の電極の集合体」である点で共通する。
(イ)そして、本件発明1と甲17発明との一致点および相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「「電極」及び樹脂部を有し、上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有する発光装置の製造方法であって、
「電極の集合体」と、樹脂成形体と、を有する「樹脂成形体付の電極の集合体」を準備する工程であって、前記「樹脂成形体付の電極の集合体」の上側には凹部が複数設けられ、前記凹部の底面には前記「電極の集合体」が前記樹脂成形体で分割されて露出されており、前記「電極の集合体」には前記外側面となる4つの位置のいずれにも前記樹脂成形体の一部が入り込んだ切り欠き部が設けられ、且つ前記「樹脂成形体付の電極の集合体」の底面にて前記「電極の集合体」が露出している、「樹脂成形体付の電極の集合体」を準備する工程と、
前記凹部の底面に発光素子を載置する工程と、
前記凹部内に、前記発光素子を被覆する封止部材を配置する工程と、
分離後の各発光装置の前記4つの外側面のいずれにおいても前記「電極」と前記切り欠き部に入り込んだ前記樹脂部とが略同一面となるように、前記「電極の集合体」と前記樹脂成形体とを切断することにより、複数の発光装置に分離する工程と、を有する発光装置の製造方法。」
[相違点甲17-2]
「電極」、「電極の集合体」および「樹脂成形体付の電極の集合体」が、本件発明1では、それぞれ「リード」、「リードフレーム」および「樹脂成形体付リードフレーム」であるのに対し、甲17発明では、「メタルコア」、「集合メタルコア123」および「集合ケース体121」である点。
[相違点甲17-3]
樹脂成形体が、本件発明1では、「光反射性物質を含有する」ものであるのに対し、甲17発明では、そのようなものではない点。
(ウ)ここで、[相違点甲17-2]について、請求人は、口頭陳述要領書において(上記第4の5(10)を参照。)、
a 「リード」は電極となる金属体であればその厚みに特段の制限はなく、「メタルコア」は「リード」の一態様であること、
b 「リード」や「リードフレーム」は、折り曲げることが困難なほどに肉厚のものであり得るのであって、「メタルコア」は「リード」の一態様であること。
c その結果、「集合メタルコア」および「集合ケース体」はそれぞれ、「リードフレーム」および「樹脂成形体付リードフレーム」の一態様である。」との主張を行っている。
しかし、請求人の上記主張の根拠は、「リード」は電極となる金属体であればその厚みに特段の制限はないことにとどまっており、「メタルコア」が、折り曲げることが困難なほどに肉厚の「リード」や「リードフレーム」の一態様となる場合があり得ることは理解できるが、あらゆる「メタルコア」が「リード」や「リードフレーム」の一態様であるとはいえず、甲17発明の集合メタルコア123のように、外枠123aの内側に、凹部21cを内面に有する円筒部123bが縦横に多数個形成され、円筒部123bを縦断するスリット123g並びに円筒部123b下面側でスリット123gと直角に交差する溝部123cが形成されるものまで、「リードフレーム」の一態様であるとまではいえない。
したがって、請求人の上記主張は採用できない。
ウ 当審の判断
(ア)[相違点甲17-2]について検討する。
甲1の請求項1、段落【0005】および【0006】の記載によれば、甲1には、「貫通穴を有する樹脂層板を作製する工程、穴を有する接着シートを作製する工程、樹脂層板と接着シートとLED素子を搭載した配線基板を位置合わせして一体化する工程といった複数の工程やこれに伴う複数の部材が必要となる」ことを課題として、この課題の解決のために、「プリント配線板に樹脂層板とを接着するに際し、接着工程に代えて、トランスファ・モールド工程を採用する」技術が記載されている。
しかし、甲17発明では、甲17の段落0046に記載されているように、「集合メタルコア123の外枠123aの内側の凹部21cおよび下面側の電極面となるメタルコア露出部を除いた円筒部123bの周囲およびスリット123g、溝部123cの中へ絶縁部材となる樹脂を充填して硬化させて集合ケース体121を形成する」ことによって、「強固なケース体21を形成している」から、甲17発明の集合メタルコア123をリードフレームに変更する動機付けはない。
また、仮に、甲17発明に甲1に記載された技術を適用するとしても、「集合メタルコア123」を「リードフレーム」に置き換えたうえで適用しなければならず、当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
また、甲1、3、14~15には、[相違点甲17-2]に係る発明特定事項についての記載はないし、[相違点甲17-2]に係る発明特定事項が周知技術であることを示す文献でもない。
(イ)[相違点甲17-3]について検討する。
本件発明において、樹脂成形体が「光反射性物質を含有する」のは発光素子からの光を反射させるためである。
一方、甲17には「【0028】前述した目的を達成するための本発明の更に他の手段は、反射面を形成した凹部を有するケース体と、該凹部の底面に実装された青色発光素子と、前記ケース体の発光面側を被覆する蛍光体を混入した被覆部材とを有し、前記青色発光素子の発光を前記被覆部材を透過させて白色発光させる白色発光装置において、前記ケース体は絶縁部材を挟んで対向する一対の反射率の高い金属メッキされたメタルコアより成り、前記被覆部材には前記青色発光素子の発光を波長変換して色調調整をするための蛍光体と、前記青色発光素子の発光の輝度を調整をするための減光材とが混入されており、前記被覆部材が前記凹部内に装着されていることを特徴とする。」(下線は、当審が付与した。)との記載があるように、発光素子からの光を反射させるのは、反射面を形成した凹部を有するケース体であり、反射率の高い金属メッキされた「メタルコア」である。
してみると、甲17発明において、発光素子からの光を反射させる役割は「メタルコア」が既に担っており、別途「光反射性物質」を樹脂に含有させる動機付けがあるとはいえない。
(ウ)以上のとおりであるから、本件発明1は、甲17発明および甲1、3、14~15に記載された事項および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~12について
本件発明2~12は、本件発明1の構成を全て含む発光装置の製造方法であるから、上記本件発明2~12と甲17発明とは、[相違点甲17-2]および[相違点甲17-3]を含むものである。
そして、[相違点甲17-2]についての判断は、上記(1)ウのとおりであるから、本件発明2~12は、甲17発明および甲1~15に記載された事項および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)小括
よって、請求人の主張する無効理由8および証拠方法によっては、本件発明1~12に係る特許を無効とすることはできない。
10 無効理由9(進歩性欠如)について
(1)本件発明1について
ア 甲18発明(再掲)
甲18発明は、上記第6の1(1)ツで認定した、以下のとおりのものである。
「本体の実装面の下側に取り付けられ、デバイスの中間から反対側の端部に向かって水平に伸びている、3つの電気接触部材と、
光学的に不透明なプラスチックからなる、反転させた円錐台形の空洞を有し、3つの電気接触部材の前記端部から短い距離における第1の部分の下に窪みを有する本体と、
接触部材の前端部近くに実装されたLEDと、
空洞を満たす光学的に透明なプラスチックと、
を有する、上側から見た外形が概ね長方形でその端部は若干外側に向かって傾斜している表面実装型光電デバイスの製造方法であって、
空洞の底面において、3つの電気接触部材は、それらの間を不透明なプラスチックで分割されて露出しており、
表面実装型光電デバイスは、4つの外側面において、電気接触部材と、不透明なプラスチックとは、略同一面であり、
窪みは、本体のモールディング加工時に用いられる型の形状により形成される、表面実装型光電デバイスの製造方法。」
イ 本件発明1と甲18発明との対比
本件発明1と甲18発明とを対比すると、以下のとおりとなる。
[一致点]
「リード及び樹脂部を有し、上側から見た外形が略四角形で4つの外側面を有し、
樹脂部に凹部が形成されており、
前記凹部の底面に発光素子が載置されており、
前記凹部内に、前記発光素子を被覆する封止部材が配置されており、
発光装置の4つの外側面のいずれにおいても前記リードと前記樹脂部とが略同一面となっている発光装置
の製造方法。」
[相違点甲18-1]
本件発明1は、本件発明1で特定される工程を含むものであるのに対し、甲18発明は、発光装置がモールディング加工されるものであるものの、切断により個々の発光装置に分離するものではなく、本件発明1で特定されるような工程により製造されるか否か不明である点。
ウ 当審の判断
(ア)甲18には、具体的な製造方法の開示がないだけでなく、本件発明1の製造方法の各工程に至る示唆等も存在しない。
したがって、このような甲18に基づいて、当業者であっても、本件発明1のような製造方法を容易に想到することはできない。
(イ)請求人は、「甲18発明を実施するに際しては、リードフレームと樹脂成形体とを有する樹脂成形体付リードフレームを準備する工程は必須のものであり、発光装置が凹部の底面に載置されること、凹部内に発光素子を被覆する封止部材を配置すること、切断工程が求められること、は何れも自明である。」と主張している。(上記第4の5(11)を参照。)。
請求人の上記主張では、自明とする具体的な根拠については不明であるが、無効理由9の証拠とされた甲1、3、14~15、17について、以下に検討する。
a 甲1に記載された技術は、「プリント配線板に樹脂層板とを接着するに際し、接着工程に代えて、トランスファ・モールド工程」を示すにとどまるから、甲1に記載された技術を、「リードと前記樹脂部とを有する発光装置」を前提とし、しかも、その具体的な製造方法が特定されていない甲18発明に適用する動機付けがない。
なお、甲1には、段落【0046】に、実施例2として、プリント配線板の代わりにリードフレームを用いることが記載されていることを考慮したとしても、上記判断は変わらない。
b また、甲3、14~15、17には、請求人の主張する「リードフレームと樹脂成形体とを有する樹脂成形体付リードフレームを準備する工程」についての記載はないし、その他、上記工程が周知技術であることを示す文献もない。
したがって、請求人の上記主張を採用することができない。
(ウ) 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲18発明および甲1、3、14~15、17に記載された事項および周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2、6~12について
本件発明2および6~12は、本件発明1の構成を全て含む発光装置の製造方法であるから、上記本件発明2及び6~12と甲18発明とは、[相違点甲18-1]を含むものである。
そして、[相違点甲18-1]についての判断は、上記(1)ウのとおりであるから、本件発明2及び6~12は、甲18発明及び甲1、3、14~15、17に記載された事項及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)小括
よって、請求人の主張する無効理由1~2及び6~12及び証拠方法によっては、本件発明1~2及び6~12に係る特許を無効とすることはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、次のとおりとなる。
本件特許の請求項1~12に係る発明についての特許は、無効理由1ないし9によっては、無効とすることはできない。
本件特許の請求項13~22は、本件訂正により削除されたから、当該請求項について請求人がした無効審判請求は、これを却下する。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人の負担とする。
よって、結論のとおり審決する。
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2018-800125