特許異議申立
2018-700814
冷凍装置
- 審判番号
- 2018-700814
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2017-517946外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2018年10月05日
- 審決日
- 2019年07月18日
- 公報発行日
- 2019年10月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 分類
- P1651.121-YAA(F25B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6326708号発明「冷凍装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6326708号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1、3、〔2、4-6〕について訂正することを認める。
特許第6326708号の請求項2、4、5及び6に係る特許を維持する。
特許第6326708号の請求項1及び3に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6326708号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成28年5月10日(優先権主張 平成27年5月14日)を国際出願日とする出願であって、平成30年4月27日にその特許権の設定登録がされ、平成30年5月23日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許について、平成30年10月5日に特許異議申立人菅原一郎(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審は、平成31年2月28日付けで取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である平成31年4月22日に意見書の提出及び訂正の請求を行い、その訂正の請求に対して、申立人は、令和元年6月4日に意見書を提出した。
第2 本件訂正の適否
1 本件訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。なお、本件訂正請求は、一群の請求項〔1-6〕に対して請求されたものであり、明細書に係る訂正は、一群の請求項〔1-6〕について請求されたものである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2) 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に、「第1の凝縮部及び第1の蒸発部を有する第1のサーマルサイフォンと、
前記蒸発器及び前記第1の蒸発部のそれぞれによって冷却される貯蔵室と、
をさらに備え、
前記第1の凝縮部と前記吸熱部との間で熱交換して、前記第1の凝縮部内の冷媒が冷却されて凝縮し、
前記第1の蒸発部における前記冷媒の蒸発によって前記貯蔵室が冷却される請求項1に記載の冷凍装置。」と記載されているのを、「圧縮機、凝縮器、減圧器及び蒸発器がこの順で環状に接続されてなる冷媒回路と、
容器内に充填された作動流体が圧縮されるとともに、圧縮により生じる熱が放出される放熱部、及び、前記放熱部で圧縮された作動流体が膨張する吸熱部を有する蓄冷式冷凍機と、
を備え、
前記凝縮器と前記吸熱部との間で熱交換して、前記凝縮器内の冷媒が冷却され、
第1の凝縮部及び第1の蒸発部を有する第1のサーマルサイフォンと、
前記蒸発器及び前記第1の蒸発部のそれぞれによって冷却される貯蔵室と、
をさらに備え、
前記第1の凝縮部と前記吸熱部との間で熱交換して、前記第1の凝縮部内の冷媒が冷却されて凝縮し、
前記第1の蒸発部における前記冷媒の蒸発によって前記貯蔵室が冷却されることを特徴とする冷凍装置。」に訂正する。
(3) 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4) 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に、「請求項1乃至3のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項2」に訂正する。
(5) 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に、「請求項1乃至3のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項2」に訂正する。
(6) 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に、「請求項1乃至5のいずれか1項」と記載されているのを、「請求項2、4及び5のいずれか1項」に訂正する。
(7) 訂正事項7
発明の詳細な説明の段落【0006】に、「冷媒が冷却される。」とあるのを、「冷媒が冷却される。また、冷凍装置は、第1の凝縮部及び第1の蒸発部を有する第1のサーマルサイフォンと、蒸発器及び第1の蒸発部のそれぞれによって冷却される貯蔵室と、をさらに備え、第1の凝縮部と吸熱部との間で熱交換して、第1の凝縮部内の冷媒が冷却されて凝縮し、第1の蒸発部における冷媒の蒸発によって貯蔵室が冷却される。」に訂正する。
2 本件訂正の適否について
(1) 訂正事項1及び3
前記訂正事項1及び3は、請求項1及び3を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(2) 訂正事項2
前記訂正事項2は、訂正前の請求項1を引用する請求項2を独立形式に改めたものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(3) 訂正事項4
前記訂正事項4は、本件訂正前の請求項4が本件訂正前の請求項1乃至3を引用していたところ、前記訂正事項1及び3により請求項1及び3が削除されたことに伴い、請求項2を引用するものとするもので、引用する請求項を減少させるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、前記訂正事項4は、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(4) 訂正事項5
前記訂正事項5は、本件訂正前の請求項5が本件訂正前の請求項1乃至3を引用していたところ、前記訂正事項1及び3により請求項1及び3が削除されたことに伴い、請求項2を引用するものとするもので、引用する請求項を減ずるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、前記訂正事項5は、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(5) 訂正事項6
前記訂正事項6は、本件訂正前の請求項6が本件訂正前の請求項1乃至5を引用していたところ、前記訂正事項1及び3により請求項1及び3が削除されたことに伴い、請求項2、4及び5のいずれか一項を引用するものとするもので、引用する請求項を減ずるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、前記訂正事項6は、新規事項を追加するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(6) 訂正事項7
訂正事項7は、前記訂正事項2の特許請求の範囲の訂正に伴う明細書の訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(7) 以上のとおりであるから、本件訂正は特許法120条の5第2項ただし書1、3及び4号に掲げる事項を目的とするものであって、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1、3、〔2、4-6〕について訂正することを認める。
第3 本件発明
前記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1-6に係る発明は、訂正特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。以下、本件特許に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明1」などといい、総称して「本件発明」という。「【 請求項1】
削除
【請求項2】
圧縮機、凝縮器、減圧器及び蒸発器がこの順で環状に接続されてなる冷媒回路と、
容器内に充填された作動流体が圧縮されるとともに、圧縮により生じる熱が放出される放熱部、及び、前記放熱部で圧縮された作動流体が膨張する吸熱部を有する蓄冷式冷凍機と、
を備え、
前記凝縮器と前記吸熱部との間で熱交換して、前記凝縮器内の冷媒が冷却され、
第1の凝縮部及び第1の蒸発部を有する第1のサーマルサイフォンと、
前記蒸発器及び前記第1の蒸発部のそれぞれによって冷却される貯蔵室と、
をさらに備え、
前記第1の凝縮部と前記吸熱部との間で熱交換して、前記第1の凝縮部内の冷媒が冷却されて凝縮し、
前記第1の蒸発部における前記冷媒の蒸発によって前記貯蔵室が冷却されることを特徴とする冷凍装置。
【請求項3】
削除
【請求項4】
第2の凝縮部及び第2の蒸発部を有する第2のサーマルサイフォンをさらに備え、
前記第2の凝縮部と前記吸熱部との間で熱交換して、前記第2の凝縮部内の冷媒が冷却されて凝縮し、
前記第2の蒸発部と前記凝縮器との間で熱交換して、前記凝縮器内の冷媒が冷却される請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記吸熱部は、前記凝縮器に直に接する請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記蓄冷式冷凍機は、スターリング冷凍機である請求項2、4及び5のいずれか1項に記載の冷凍装置。
第4 取消理由についての判断
1 取消理由の概要
本件訂正前の本件特許に対し通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。
本件特許の特許請求の範囲の請求項1、3-6に記載された発明は、その優先日前日本国内において頒布された下記の甲第1号証-甲第6号証に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
甲第1号証:特開2006-170487号公報(以下「甲1」という。以下同様。)
甲第2号証:特開2001-33139号公報
甲第3号証:特開2005-16740号公報
甲第4号証:特開2011-190952号公報
甲第5号証:特開2008-76011号公報
甲第6号証:特開2004-132653号公報
2 判断
本件訂正により、請求項1及び3が削除され、請求項4-6が引用する請求項から請求項1が除かれたから、上記取消理由は解消した。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立人の主張
特許異議申立人は、以下を主張している。
本件特許の特許請求の範囲の請求項2、4、5及び6に記載された発明は、その優先日前に日本国内において頒布された甲1に記載された発明及び甲2-6に記載された技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、その発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
2 甲号証の記載
(1)甲1について
甲1には、下記の記載がある。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機から吐出された冷媒を凝縮した後、蒸発せしめて冷却作用を発揮する独立した冷媒閉回路を構成する高温側冷媒回路と低温側冷媒回路とからなり、前記高温側冷媒回路の蒸発器と前記低温側冷媒回路の凝縮器とで熱交換器を構成した冷凍装置において、・・・を封入したことを特徴とする冷凍装置。」
「【0016】
次に図面を参照して本発明の実施例を詳述する。図1は本発明の冷凍装置の冷媒回路1を示している。冷媒回路1はそれぞれ独立した第1の冷媒回路としての高温側冷媒回路2と第2の冷媒回路としての低温側冷媒回路3とから構成されている。
【0017】
高温側冷媒回路2は、電動圧縮機4と、補助凝縮器5と、露付き防止パイプ6と、凝縮器8と、乾燥器12と、減圧器13と、蒸発器14と、アキュームレータ15とから構成される。・・・」
「【0020】
このとき、電動圧縮機4の能力は例えば1.5HPであり、運転中の蒸発器14の最終到達温度は-27℃乃至-35℃になる。・・・
【0021】
他方、低温側冷媒回路3は、電動圧縮機10と、油分離器18と、前記蒸発器14内に挿入された高圧側配管としての凝縮パイプ23と、第1の気液分離器29と、第1の中間熱交換器32と、第2の気液分離器33と、乾燥器35と、減圧器36と、乾燥器39と、減圧器40と、第2の中間熱交換器42と、第3の中間熱交換器44と、乾燥器45と、減圧器46と、蒸発パイプ47と、膨張タンク51と減圧器52とから構成される。
【0022】
電動圧縮機10は、前記電動圧縮機4と同様に一相若しくは三相交流電源を用いる電動圧縮機であり、当該電動圧縮機10の吐出側配管10Dには油分離器18が接続される。この油分離器18は、電動圧縮機10に戻る油戻し管19が接続される。油分離器18の出口側に接続された冷媒配管は、蒸発器14内に挿入された高圧側配管としての前記凝縮パイプ23に接続される。この凝縮パイプ23は、蒸発器14と共に、カスケードコンデンサ25を構成している。」
「【0038】
このため、第3の中間熱交換器44では気相配管43中のR50及びR740の一部が凝縮器、これら液化したR14、R50及びR740の一部が減圧器46で減圧された後、蒸発パイプ47に流入し、そこで蒸発して周囲を冷却する。実験によれば、このとき、蒸発パイプ47の温度は-160.3℃~-157.3℃という超低温となった。
【0039】
係る蒸発パイプ47を例えば冷凍庫に設置して庫内の冷却に使用することにより-157.5℃の庫内温度を実現できる。」
「【図1】
」
上記記載より、甲1には、下記の発明が記載されていると認める(以下「甲1発明」という。)
「電動圧縮機10と、油分離器18と、蒸発器14内に挿入された高圧側配管としての凝縮パイプ23と、第1の気液分離器29と、第1の中間熱交換器32と、第2の気液分離器33と、乾燥器35と、減圧器36と、乾燥器39と、減圧器40と、第2の中間熱交換器42と、第3の中間熱交換器44と、乾燥器45と、減圧器46と、蒸発パイプ47と、膨張タンク51と減圧器52とから構成される低温側冷媒回路3と、電動圧縮機4と、補助凝縮器5と、露付き防止パイプ6と、凝縮器8と、乾燥器12と、減圧器13と、蒸発器14と、アキュームレータ15とから構成される高温側冷媒回路2と、前記蒸発パイプ47によって冷却される冷凍庫の庫内とを備え、前記高温側冷媒回路2の蒸発器14と前記低温側冷媒回路3の凝縮パイプ23とで熱交換器を構成した冷凍装置。」
(2)甲2ないし甲6に記載された周知技術
甲2ないし甲6の記載により、本件優先日前に、蓄冷式冷凍機としてスターリング冷凍機は周知技術であった(以下「周知技術」という。)。
(3)甲5に記載された技術
甲5には、以下の記載がある。
「【0009】
この冷却庫は、図示しない開閉扉が設けられた断熱部材から成る矩形箱状の冷却庫本体10と、冷却庫本体10内の背面側に固定された第1蒸発器21を有する第1冷却回路20と、冷却庫本体10内の背面側に固定された第2蒸発器31を有する第2冷却回路30と、各冷却回路20,30の温度をそれぞれ検知可能な第1温度センサ41及び第2温度センサ42とを備えている。各冷却回路20,30内には作動流体として二酸化炭素が封入されている。」
「【0013】
凝縮器22は複数の銅製パイプ22aから成り、各銅製パイプ22aはスターリング冷凍機100の円筒状の冷却部101の外周面のうち略半周に接触するように形成されるとともに、各銅製パイプ22aは冷却部101の軸方向に並設されている。各銅製パイプ22aの上端は上端側集合管22b内に連通し、各銅製パイプ22aの下端は下端側集合管22c内に連通している。凝縮器22内で液化した作動流体が自重によって第1蒸発器21側に流通するように、下端側集合管22cは第1蒸発器21の入口よりも上方に設けられている。」
「【0027】
ここで、冷却庫本体10内には2つの冷却回路20,30が設けられているので、長期の使用や破損等によって例えば第1冷却回路20内の作動流体が不足し、第1冷却回路20の第1蒸発器21によって冷却庫本体10内を冷却できなくなった場合でも、第2冷却回路30の第2蒸発器31によって冷却庫本体10内が冷却される。」
上記記載より、甲5には、下記の事項が記載されていると認める(以下「甲5記載技術」という。)
「冷却庫本体に、スターリング冷凍機の冷却部に凝縮器が接触する2つの冷却回路を設けること。」
3 判断
(1)本件発明2について
甲1発明における「電動圧縮機10」は、その機能・作用等により本件発明2における「圧縮機」に相当する。
同様に、「凝縮パイプ23」は「凝縮器」に、「減圧器46」は「減圧器」に、「蒸発パイプ47」は「蒸発器」に相当する。
甲1の図1から「電動圧縮機10」、「凝縮パイプ23」、「減圧器46」及び「蒸発パイプ47」がこの順で環状に接続されていることが看取できるから、甲1発明における「低温側冷媒回路3」は、本件発明2における「圧縮機、凝縮器、減圧器及び蒸発器がこの順で環状に接続されてなる冷媒回路」に相当する。
甲1発明における「電動圧縮機4と、補助凝縮器5と、露付き防止パイプ6と、凝縮器8と、乾燥器12と、減圧器13と、蒸発器14と、アキュームレータ15とから構成される高温側冷媒回路2」と、本件発明2における「容器内に充填された作動流体が圧縮されるとともに、圧縮により生じる熱が放出される放熱部、及び、前記放熱部で圧縮された作動流体が膨張する吸熱部を有する蓄冷式冷凍機」とは、「冷凍機」の限りで一致する。
甲1発明の「前記高温側冷媒回路2の蒸発器14と前記低温側冷媒回路3の凝縮パイプ23とで熱交換器を構成した」態様は、本件発明1の「凝縮器」と「吸熱部」との間で熱交換して、前記凝縮器内の冷媒が冷却される態様に相当する。
甲1発明における「蒸発パイプ47によって冷却される冷凍庫の庫内」と、本件発明2における「前記蒸発器及び前記第1の蒸発部のそれぞれによって冷却される貯蔵室」とは、「蒸発器によって冷却される貯蔵室」の限りにおいて一致する。
甲1発明における「冷凍装置」は、本件発明2における「冷凍装置」に相当する。
そうすると、本件発明2と甲1発明とは、
「圧縮機、凝縮器、減圧器及び蒸発器がこの順で環状に接続されてなる冷媒回路と、
冷凍機と、
を備え、
前記凝縮器と前記冷凍機の吸熱部との間で熱交換して、前記凝縮器内の冷媒が冷却され、
前記蒸発器によって冷却される貯蔵室と、
をさらに備え、
る冷凍装置。」
で一致し、次の点で相違する。
相違点1
本件発明2は、「容器内に充填された作動流体が圧縮されるとともに、圧縮により生じる熱が放出される放熱部、及び、前記放熱部で圧縮された作動流体が膨張する吸熱部を有する蓄冷式冷凍機と、を備え、
前記凝縮器と前記吸熱部との間で熱交換して、前記凝縮器内の冷媒が冷却される」のに対して、甲1発明は、蓄冷式冷凍機を備えるものではなく、低温側冷媒回路の凝縮器が高温側冷媒回路の蒸発器と熱交換する点。
相違点2
本件発明2は「第1の凝縮部及び第1の蒸発部を有する第1のサーマルサイフォンと、
前記蒸発器及び前記第1の蒸発部によって冷却される貯蔵室と、
をさらに備え、
前記第1の凝縮部と前記吸熱部との間で熱交換して、前記第1の凝縮部内の冷媒が冷却されて凝縮し、
前記第1の蒸発部における前記冷媒の蒸発によって前記貯蔵室が冷却され」ているのに対して、甲1発明はそのような構成を備えていない点。
相違点2について検討する。
前記甲5記載技術は、「第1の凝縮部及び第1の蒸発部を有する第1のサーマルサイフォン」と、「前記第1の蒸発部によって冷却される貯蔵室」とを備え、「前記第1の凝縮部と(蓄冷式冷凍機の)吸熱部との間で熱交換して、前記第1の凝縮部内の冷媒が冷却されて凝縮」する技術であるということができる。
しかし、上記甲5記載技術を参酌しても、甲1発明において相違点2に係る本件発明2の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。すなわち、甲1発明の蒸発器14の最終到達温度は、-27℃乃至-35℃(【0020】)であり、冷凍庫に設置して庫内を冷却する蒸発パイプ47の温度は、-160.3℃~-157.3℃であって、庫内温度を-157.5℃とすることが想定されている(【0038】、【0039】)。
そうすると、甲1発明に蓄冷式冷凍機を採用し、凝縮パイプ23を蓄冷式冷凍機の吸熱部と熱交換する構成とした場合、上記吸熱部の温度は蒸発器14と同程度とされるのであって、蒸発パイプ47によって冷却される冷蔵庫の庫内温度に比べて相当に高温である。そしてこの様な温度関係を前提に、冷蔵庫の庫内に蒸発部を有し、吸熱部と熱交換する凝縮部を有するサーマルサイフォンを設けることは、甲5記載技術によっては示唆されていないし、甲1-4、6にも示唆されていない。
よって、甲1発明において、相違点2に係る本件発明2の特定事項を採用することは、甲1-甲6に記載された事項を参酌しても、当業者が容易に想到し得たとはいえない。
そして、本件発明2は、前記相違点2に係る構成を備えることにより、「本実施の形態に係る冷凍装置1は、第1のサーマルサイフォン200を備える。そして、冷媒回路400の蒸発器408によってだけでなく、第1のサーマルサイフォン200の第1の蒸発部240によっても貯蔵室500を冷却できるように構成されている。従来の二元冷凍装置では、高温側冷媒回路及び低温側冷媒回路のいずれか一方のみでは冷媒回路として機能しなかった。このため、いずれか一方の冷媒回路が故障すると、貯蔵室内を冷却することができなかった。これに対し、本実施の形態の冷凍装置1によれば、冷媒回路400が故障した場合でも、第1のサーマルサイフォン200によって貯蔵室500内をある程度冷却することができる。このため、冷凍装置1の信頼性を向上させることができる。」(【0045】)との効果を奏するものである。
よって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明2は、甲1発明及び甲1-甲6記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2) 本件発明4、5及び6について
本件発明4、5及び6は、本件発明2を更に減縮したものであるから、上記本件発明2についての判断と同様の理由により、甲1発明及び甲1-甲6記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
(3) 小括
本件発明2、4、5及び6は、甲1発明及び甲1-甲6記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものではない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、請求項2、4、5及び6に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項2、4、5及び6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項1及び3に係る特許は、訂正により削除されたため、請求項1及び3についての特許異議の申立ては、対象となる請求項が存在せず、不適法であって、その補正をすることができないものであるから、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により、却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2018-700814