特許異議申立
2018-700566
無人飛行体
- 審判番号
- 2018-700566
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2015-100911
- 登録番号
- 特許第6261090号(P6261090)
- 請求日
- 2018年07月12日
- 審決日
- 2019年09月04日
- 公報発行日
- 2019年12月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】株式会社amuse oneself
- 【権利者代理人】特許業務法人あーく特許事務所
- 【異議申立人】株式会社 DRONE iPLAB
- 【異議申立人代理人】山崎 拓哉
- 審判長/審判官
- 審判長 清水 正一
- 審判官 樫本 剛
- 審判官 菊池 智紀
- 分類
- P1651.121-YAA(H04N) / P1651.536-YAA(H04N) / P1651.537-YAA(H04N)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第126条第7項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6261090号発明「無人飛行体」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
【結 論】
特許第6261090号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔4~22〕について訂正することを認める。
特許第6261090号の請求項1~22に係る特許を維持する。
理由
【理 由】
第1 手続の経緯
特許第6261090号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~22に係る特許についての出願は、平成27年5月18日の出願であって、平成29年12月22日にその特許権の設定登録(特許公報発行日 平成30年1月17日)がされ、平成30年7月12日に特許異議申立人株式会社DRONE iPLABにより請求項1~22に対して特許異議の申立てがされたものである。
そして、その後の経緯は次のとおりである。
平成30年10月 5日付け 取消理由通知
同年12月 6日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
平成31年 2月25日 意見書の提出(特許異議申立人)
同年 3月27日付け 取消理由通知(決定の予告)
令和 元年 5月29日 訂正請求書、意見書の提出(特許権者)
同年 7月12日 意見書の提出(特許異議申立人)
第2 訂正の適否についての判断
1 請求の趣旨、訂正の内容
(1)請求の趣旨
令和元年5月29日に特許権者により行われた、願書に添付した明細書及び特許請求の範囲の訂正(以下、「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、特許第6261090号の明細書、特許請求の範囲を、本件訂正の訂正請求書(以下、「本件訂正請求書」という。)に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項4~22について訂正することを求める、というものである。
(2)訂正の内容
本件訂正の内容は以下ア~クのとおりである。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項4に「前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致している」と記載されているのを、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致しており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影する」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項9~22も同様に訂正する)。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に「前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされている」と記載されているのを、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされており、前記1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影する」に訂正する(請求項5の記載を引用する請求項8、10~22も同様に訂正する)。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6に「前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致している」と記載されているのを、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致しており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影する」に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項8~9、11~22も同様に訂正する)。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に「前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられている」と記載されているのを、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画象の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影する」に訂正する(請求項7の記載を引用する請求項8~10、12~22も同様に訂正する)。
オ 訂正事項5
明細書の段落【0008】の「この点に関し、特許文献1に記載のジンバル駆動装置では、パノラマ画像を撮影する構成にはなっておらず、たとえパノラマ画像を撮影するようにしても、パノラマ画像に自身の無人飛行体がほぼ或いは全く写らないようにした構成にはなっていない。」との記載を、「この点に関し、特許文献1に記載のジンバル駆動装置では、パノラマ画像を撮影する構成にはなっておらず、たとえパノラマ画像を撮影するようにしても、パノラマ画像に自身の無人飛行体が全く写らないようにした構成にはなっていない。」との記載に訂正する。
カ 訂正事項6
段落【0009】の「そこで、本発明は、パノラマ画像に自身の無人飛行体がほぼ或いは全く写らないようにすることができる無人飛行体を提供することを目的とする。」との記載を、「そこで、本発明は、パノラマ画像に自身の無人飛行体が全く写らないようにすることができる無人飛行体を提供することを目的とする。」との記載に訂正する。
キ 訂正事項7
段落【0010】の(2)第2態様の無人飛行体において「前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致している」との記載を、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致しており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影する」との記載に訂正する。段落【0010】の(3)第3態様の無人飛行体において「前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされている」との記載を、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影する」との記載に訂正する。段落【0010】の(4)第4態様の無人飛行体において「前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致している」との記載を、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記1ジンバル部に設けられ、前記2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致しており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影する」との記載に訂正する。また、段落【0010】の(5)第5態様の無人飛行体において「前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられている」との記載を、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられており、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影する」との記載に訂正する。
ク 訂正事項8
段落【0029】の「本発明によると、パノラマ画像に自身の無人飛行体がほぼ或いは全く写らないようにすることが可能となる。」との記載を、「本発明によると、パノラマ画像に自身の無人飛行体が全く写らないようにすることが可能となる。」との記載に訂正する。
2 一群の請求項について
訂正事項1~4は、一群の請求項〔4~22〕に対して請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
訂正事項5~8による明細書の訂正は、一群の請求項〔4~22〕について行われたものであるから、特許法第120条の5第9項の規定によって準用する同法第126条第4項の規定に適合する。
したがって、上記訂正事項1~8は、特許法第120条の5第4項及び同条第9項の規定によって準用する同法第126条第4項の規定に適合するものである。
3 訂正の目的の適否、新規事項の追加の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、独立特許要件について
(1)訂正事項1~4について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項1~4は、飛行体本体の構成、並びに、第1カメラ部及び第2カメラ部の撮影対象範囲に係る構成に限定を加えるものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 新規事項の追加の有無について
訂正事項1~4により限定が加えられた構成のうち、「前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、前記第1駆動部は前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記1ジンバル部に設けられ、前記2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ」との構成については、明細書の段落0042、0043、0061、0065、0067、0068、0093、0095、0096、0103、及び図面の図1、2、7、8、10、11に記載されている。
また、訂正事項1~4により限定が加えられた構成のうち、「前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し」及び「前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影する」との構成については、明細書の段落0034、0037、0038、0041、0062、0076、0080、0084、0145、及び図面の図9に記載されている。
以上から、訂正事項1~4は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について
訂正事項1~4は、請求項4~22のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
エ 独立特許要件について
本件特許異議申立事件においては、全ての請求項について特許異議の申立てがされているから、訂正事項1~4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
(2)訂正事項7について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項7は、上記訂正事項1~4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無について
訂正事項7により追加される事項は、上記訂正事項1~4と同じであるから、上記(1)イと同様に明細書及び図面に記載されているといえる。
よって、訂正事項7は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項7は、請求項4~22のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
(3)訂正事項5、6、8について
ア 訂正の目的の適否について
訂正事項5、6、8は、上記訂正事項1~4に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載の整合を図るための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 新規事項の有無について
訂正事項5、6、8に係る事項は、上記訂正事項1~4に含まれているから、上記(1)イと同様に明細書の段落0145、及び図面の図9に記載されているといえる。
よって、訂正事項5、6、8は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正事項5、6、8は、請求項4~22のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
4 小括
上記のとおり、訂正事項1~8に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、並びに、同条第9項で準用する同法第126条第4項、第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔4~22〕について訂正することを認める。
第3 特許異議の申立てについて
1 本件特許発明
本件特許の特許請求の範囲の請求項1~3に係る発明、及び、本件訂正請求により訂正された請求項4~22に係る発明(以下「本件特許発明1」~「本件特許発明22」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~22に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
なお、本件特許発明1~22の各構成には、(A)~(Z)の符号を当審において付した。以下、構成A~構成Zと称する。
(本件特許発明1)【請求項1】
(A)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(B)前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と
を備え、
(C)前記カメラ部は、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(D)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(E)前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部と前記第2カメラ部との間の領域に位置し、
(F)前記第1カメラ部は、複数台の前記第1カメラと、複数台の前記第1カメラに電力を供給する第1バッテリーとを備え、
前記第2カメラ部は、複数台の前記第2カメラと、複数台の前記第2カメラに電力を供給する第2バッテリーとを備えていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明2)【請求項2】
(A1)請求項1に記載の無人飛行体であって、
(G)前記ジンバル駆動装置は、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
をさらに備え、
(H)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置していることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明3)【請求項3】
(A2)請求項2に記載の無人飛行体であって、
(I)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明4)【請求項4】
(A)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(B1)前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
を備え、
(Z)前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
(C1)前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(D)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(E1)前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
(H)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(I)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、
(J)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致しており、
(Y)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明5)【請求項5】
(A)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(B1)前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
を備え、
(Z)前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
(C1)前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(D)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(E1)前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
(H)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(I)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、
(K)前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされており、
(Y)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明6)【請求項6】
(A)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(B1)前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
を備え、
(Z)前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
(C1)前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(D)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(E1)前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
(H)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(I)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、
(L)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致しており、
(Y)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明7)【請求項7】
(A)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(B2)前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と、
前記カメラ部を鉛直方向に沿った鉛直軸線回りに回動させる第3駆動部と
を備え、
(Z)前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
前記第1駆動部は、前記飛行体本体における前記空間内において回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
(C1)前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(D)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(E1)前記ジンバル駆動装置及び前記飛行体本体は、前記第1カメラ部の視野角の外側、かつ、前記第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置し、
(H)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(I1)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、
(M)前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられており、
(Y)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影することを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明8)【請求項8】
(A3,5-7)請求項3又は請求項5から請求項7までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
(J)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部の重心とが一致又は略一致していることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明9)【請求項9】
(A3,4,6-8)請求項3、請求項4又は請求項6から請求項8までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
(K)前記カメラ部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点を基準に点対称又は略点対称とされていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明10)【請求項10】
(A3-5,7-9)請求項3から請求項5までの何れか1つ又は請求項7から請求項9までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
(L)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記飛行体本体の中心とが一致又は略一致していることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明11)【請求項11】
(A3-6,8-10)請求項3から請求項6までの何れか1つ又は請求項8から請求項10までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
(B3)前記ジンバル駆動装置は、前記カメラ部を鉛直方向に沿った鉛直軸線回りに回動させる第3駆動部をさらに備え、
(I1)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線とが交わる構成とされ、
(M)前記第3駆動部は、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点を含むように設けられていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明12)【請求項12】
(A7,11)請求項7又は請求項11に記載の無人飛行体であって、
(N)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線と前記鉛直軸線との交点と、前記第3駆動部の重心とが一致又は略一致していることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明13)【請求項13】
(A2-12)請求項2から請求項12までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
(O)前記カメラ部、前記第2ジンバル部及び前記第2駆動部を含む構成要素は、前記第1水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明14)【請求項14】
(A13)請求項13に記載の無人飛行体であって、
(P)前記ジンバル駆動装置は、前記第2駆動部に対して均衡を保つためのおもり部材をさらに備えていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明15)【請求項15】
(A14)請求項14に記載の無人飛行体であって、
(Q)前記第2駆動部及び前記おもり部材は、前記第1水平軸線に間にして、それぞれの重心が前記第1水平軸線に直交する水平方向に揃う又は略揃うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明16)【請求項16】
(A13-15)請求項13から請求項15までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
(R)前記カメラ部を含む構成要素は、前記第2水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第2ジンバル部に設けられていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明17)【請求項17】
(A16)請求項16に記載の無人飛行体であって、
(S)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、前記第2水平軸線を間にして、それぞれの重心が鉛直方向に揃う又は略揃うように前記第2ジンバル部に設けられていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明18)【請求項18】
(A2-17)請求項2から請求項17までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
(T)当該無人飛行体は、前記第1水平軸線を基準に線対称又は略線対称とされ、かつ、前記第2水平軸線を基準に線対称又は略線対称とされていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明19)【請求項19】
(A1-18)請求項1から請求項18までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
(U)前記カメラ部を含む構成要素は、前記第1水平軸線を支点軸として重量的に釣り合う又は略釣り合うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明20)【請求項20】
(A19)請求項19に記載の無人飛行体であって、
(V)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、前記第1水平軸線を間にして、それぞれの重心が鉛直方向に揃う又は略揃うように前記第1ジンバル部に設けられていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明21)【請求項21】
(A19,20)請求項19又は請求項20に記載の無人飛行体であって、
(W)前記カメラ部の重心及び前記第1カメラ部の重心の間の第1距離と、前記カメラ部の重心及び前記第2カメラ部の重心の間の第2距離とが同一又は略同一とされていることを特徴とする
(A)無人飛行体。
(本件特許発明22)【請求項22】
(A1-21)請求項1から請求項21までの何れか1つに記載の無人飛行体であって、
(X)前記何れの駆動部もブラシレスモーターであることを特徴とする
(A)無人飛行体。
2 取消理由(決定の予告)の概要
平成31年3月27日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
平成30年12月6日付けの訂正の請求により訂正された特許請求の範囲の請求項4~請求項22に係る特許は、本件特許の出願前日本国内または外国において頒布された下記の甲第1号証、甲第3号証~甲第5号証及び参考資料1に記載された発明及び技術事項に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。
甲第1号証:特開2014-167413号公報
甲第3号証:特開2001-92001号公報
甲第4号証:特開2008-131539号公報
甲第5号証:特表2014-528868号公報
参考資料1:特開2015-19344号公報
3 取消理由(決定の予告)で引用しなかった甲号証及び参考資料
上記取消理由(決定の予告)において引用しなかった甲号証及び参考資料は以下のとおりである。
甲第2号証:米国特許出願公開第2015/0021429号明細書
甲第6号証:広辞苑、第六版、岩波書店、2008年、第1851頁
参考資料2:特開2003-244511号公報
4 甲号証及び参考資料
(1)甲第1号証について
(1-1)甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、次の記載がある。なお、以下の下線は当審で付したものである。
「【0018】
【図1】本実施例に係る航空写真システムを示す構成図である。
【図2】本実施例に係る航空写真装置の斜視図である。
【図3】該航空写真装置の断面図である。
【図4】航空写真装置の制御系の構成図である。
【図5】航空写真装置、地上基地、遠隔操縦機の関連を示す図である。
【図6】飛行体の飛行状態を示す説明図である。
【図7】撮影時刻に於ける撮影位置を求めるタイミングチャートである。」
「【0022】
前記航空写真装置2は、主に飛行体(後述)にジンバル機構を介して鉛直に支持された支持部材としてのシャフト6と、該シャフト6の下端、上端にそれぞれ設けられた下カメラ7、上カメラ8と、前記シャフト6の下端に設けられ、前記下カメラ7と一体化された再帰反射体としてのプリズム9と、前記地上基地4との間で通信を行う飛行体通信部11とを具備している。尚、前記下カメラ7、前記上カメラ8の光軸は、前記シャフト6の軸心と合致し、常に鉛直となる様に設けられている。前記プリズム9の光軸も鉛直となる様に設定され、更に該プリズム9と前記下カメラ7、前記上カメラ8との位置関係も既知となっている。尚、前記下カメラ7、前記上カメラ8及び前記プリズム9の光軸が鉛直になる様支持されればよく、前記シャフト6の軸心は必ずしも鉛直でなくてもよい。」
「【0032】
前記下カメラ7、前記上カメラ8の内どちらにより撮影を実行するかは、測定対象物に応じて適宜選択される。例えば、農作物、或は地表の構造物等が測定対象物である場合は、前記下カメラ7により鉛直下方の撮影を行い、橋桁、或はトンネルの天井が測定対象物の場合は、前記上カメラ8により鉛直上方の撮影が行われる。更に、橋桁、或はトンネルの天井等の測定では、前記下カメラ7及び前記上カメラ8により鉛直下方、鉛直上方を同時に撮影してもよい。」
「【0037】
前記飛行体15は、放射状に延出する複数で且つ偶数のプロペラフレーム17を有し、各プロペラフレーム17の先端にプロペラユニットが設けられる。該プロペラユニットは、前記プロペラフレーム17の先端に取付けられたプロペラモータ18と、該プロペラモータ18の出力軸に取付けられたプロペラ19により構成される。前記プロペラモータ18により前記プロペラ19が回転され、前記飛行体15が飛行する様になっている。
【0038】
前記飛行体15は中心に、中空円筒状の主フレーム21を有し、該主フレーム21の上端には外方に向って延出する外フランジ22、下端には中心に向って延出する内フランジ23が設けられている。該内フランジ23の中心部には、円形の孔24が形成される。
【0039】
前記プロペラフレーム17は棒状であり、前記主フレーム21の軸心と直交する平面内に配設され、水平方向に等角度間隔で所定数(少なくとも4本、好ましくは8本、図示では8本(17a~17h)を示している)設けられている。前記プロペラフレーム17の内端部は、前記主フレーム21を貫通すると共に前記外フランジ22に固着されている。
【0040】
前記主フレーム21を上下に貫通する様に前記シャフト6が設けられ、該シャフト6はジンバル25により鉛直となる様に支持され、該ジンバル25は防振部材26を介して前記内フランジ23に設けられている。
【0041】
前記ジンバル25は直交する2方向の揺動軸27a,27bを有し、前記シャフト6を直交する2方向に揺動自在に支持する。前記防振部材26は、前記プロペラモータ18、前記プロペラ19が回転した際の振動を吸収し、振動が前記シャフト6に伝達されない様にしている。
【0042】
傾斜センサ28は前記シャフト6の下端に設けられ、前記飛行体15の加速度の変化により生じる急なジンバル25の傾きを検出する。又、傾斜センサ28は前記シャフト6が鉛直に対して傾斜した場合、鉛直線と前記シャフト6の軸心との角度を検出するものであり、前記傾斜センサ28の検出結果は後述する制御装置35(図4参照)に送出される。」
「【0093】
又、前記シャフト6は、重力の作用で鉛直方向に向く様、前記ジンバル25により支持されたが、前記揺動軸27a,27b(図3参照)にそれぞれモータを連結し、前記傾斜センサ28からの傾斜信号に基づき強制的に前記揺動軸27a,27bを傾きとは逆方向に回転し、鉛直状態を維持する様に構成してもよい。」
「【図2】
」
「【図3】
」
(1-2)甲第1号証に記載の技術的事項
上記記載から、甲第1号証には、以下(ア)~(カ)の技術的事項が記載されているものと認められる。
(ア)段落0037~0039から、「中心に中空円筒状の主フレームを有し、該主フレームの下端において中心に向かって延出するとともに中心部に円形の孔が形成された内フランジと、該主フレームの軸心と直交する平面内に放射状に延出し、先端にプロペラユニットが設けられるとともに内端部が主フレームを貫通する偶数のプロペラフレームとを有する飛行体」が記載されている。
(イ)段落0040から、「前記主フレームを上下に貫通するように設けられたシャフト」が記載されている。
(ウ)段落0040、0041から、「前記内フランジに設けられ、直交する2方向の揺動軸を有し、前記シャフトを直交する2方向に揺動自在にかつ鉛直となるように支持するジンバル」が記載されている。
また、段落0018において航空写真装置の断面図と説明されている図3における、揺動軸27a、27bの記載や、前記「ジンバル」が「前記シャフトを」「鉛直となるように支持する」ための「直交する2方向の揺動軸」の構成として通常想定される態様から、「直交する2方向の揺動軸」が水平であることは明らかである。
さらに、前記「ジンバル」が、前記「直交する2方向の揺動軸を有し、前記シャフトを直交する2方向に揺動自在にかつ鉛直となるように支持する」機能を有するものである場合に、一方の揺動軸に係るジンバルの構成が他方の揺動軸に係るジンバルの構成に設けられる構造を通常備えていることは、本件特許の優先日前における技術常識であると認められるから、前記「直交する2方向の揺動軸を有し、前記シャフトを直交する2方向に揺動自在にかつ鉛直となるように支持するジンバル」には当該「一方の揺動軸に係るジンバルの構成が他方の揺動軸に係るジンバルの構成に設けられる構造」が備わっているものといえる。
(エ)段落0022、0032から、「前記シャフトの下端、上端にそれぞれ設けられ、鉛直下方、鉛直上方を同時に撮影する下カメラ、上カメラ」が記載されている。
(オ)段落0042、0093から、「前記揺動軸にそれぞれ連結され、鉛直線と前記シャフトの軸心との角度を検出する傾斜センサからの傾斜信号に基づき、鉛直状態を維持するように、強制的に前記揺動軸を傾きとは逆方向に回転させるモータ」が記載されている。
(カ)図2及び図3から、航空写真装置の構成が、前記直交する2方向の揺動軸の各々を基準として、水平方向においてほぼ対称に配置されており、かつ、飛行体の構成が、前記直交する2方向の水平な揺動軸の交点を基準として、水平方向においてほぼ対称に配置されていることが記載されている。
(1-3)甲1発明
以上より、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。なお、各構成の符号(a)~(h)は、説明のために当審が付したものであり、以下、構成a~構成hと称する。
(甲1発明)
(b)中心に中空円筒状の主フレームを有し、該主フレームの下端において中心に向かって延出するとともに中心部に円形の孔が形成された内フランジと、該主フレームの軸心と直交する平面内に放射状に延出し、先端にプロペラユニットが設けられるとともに内端部が主フレームを貫通する偶数のプロペラフレームとを有する飛行体と、
(c)前記主フレームを上下に貫通するように設けられたシャフトと、
(d)前記内フランジに設けられ、直交する2方向の水平な揺動軸を有するとともに、一方の揺動軸に係るジンバルの構成が他方の揺動軸に係るジンバルの構成に設けられる構造を備え、前記シャフトを直交する2方向に揺動自在にかつ鉛直となるように支持するジンバルと、
(e)前記シャフトの下端、上端にそれぞれ設けられ、鉛直下方、鉛直上方を同時に撮影する下カメラ、上カメラと、
(f)前記揺動軸にそれぞれ連結され、鉛直線と前記シャフトの軸心との角度を検出する傾斜センサからの傾斜信号に基づき、鉛直状態を維持するように、強制的に前記揺動軸を傾きとは逆方向に回転させるモータと、を具備し、
(g)航空写真装置の構成が、前記直交する2方向の水平な揺動軸の各々を基準として、水平方向においてほぼ対称に配置されており、
(h)前記飛行体の構成が、前記直交する2方向の水平な揺動軸の交点を基準として、水平方向においてほぼ対称に配置されている、
(a)航空写真装置。
(2)甲第3号証について
甲第3号証には、次の記載がある。なお、以下の下線は当審で付したものである。
「【0002】
【従来の技術】撮影者がビデオカメラを手で支え、歩きながら(あるいは走りながら)移動撮影を行うハンディ移動撮影においては、撮影者の挙動がカメラに直接伝わると、撮像にブレが生じ不安定になるので好ましくない。そこで、撮影者の挙動をカメラに伝わりにくくした撮影補助装置が種々提案されている。例えば、スプリングが組み込まれたアームを、カメラに三次元的フレキシブルに連結し、その連結部に、カメラおよび付属物(電源やビデオテープなど)を含めたカメラ全体系の重心を配し、撮影者がアームを介してカメラを支持する構成のものがある。
【0003】このような装置によれば、撮影者の挙動はアームのスプリングに吸収されてカメラに伝わりにくく、ブレのない安定した撮像が得られるとされている。また、カメラは、アームとカメラの連結部を支点として上下・左右方向のアングル変換(ティルト・パン)ならびに左右方向の傾動(ロール)が自在になされる。このため、これらの動作をカメラに与えるカメラ操作は、連結部と全体系の重心とが完璧に一致しているときわめて軽微な力で行うことができ、しかも重心以外に外部から力を受けない限り、一定させたカメラの向きは動かず、安定性に優れるとされている。」
「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る第1の発明は、支持部と、この支持部に、ティルト軸、パン軸およびロール軸を備えたジンバルを介してティルト自在、パン自在かつロール自在に取り付けられたフレームと、このフレームに設けられたカメラ取付用の雲台とを備え、ジンバルにおけるティルト軸、パン軸およびロール軸の各軸心が、雲台にカメラを取り付けた状態の全体系の重心において互いに交差しており、かつ、支持部とジンバルとの間に振動吸収手段が介在されていることを特徴としている。
【0008】第1の発明の撮影補助装置を用いて撮影を行うには、光軸をジンバルのロール軸と平行にしてカメラを雲台に取り付け、撮影者は、支持部を直接握って支持するか、他の支持具を介して支持する。カメラのアングル変換は、カメラもしくはカメラと一体のフレームを操作することなどにより可能で、ティルト(上下方向の首振り)はジンバルのティルト軸を中心として、パン(左右方向の首振り)はジンバルのパン軸を中心として起こる。さらに、ジンバルのロール軸を中心として、カメラはフレームごとロールすることが許容されている。本発明では、フレームとジンバルの相対位置を調整することで、全体系の重心にジンバルの中心(ティルト軸、パン軸およびロール軸の各軸心の交点)を容易かつ的確に配置することができる。撮影者は、支持部、振動吸収手段およびジンバルを介して全体系の重心を支持することになり、これに加え、撮影者の挙動は振動吸収手段によって吸収され直接カメラに伝わりにくい。これらの結果、ハンディ移動撮影を行った際にブレのない安定した撮像を得ることができるとともに、難しい操作を要さず使い勝手に優れる。」
「【図3(a)】
」
(3)甲第4号証について
甲第4号証には、次の記載がある。なお、以下の下線は当審で付したものである。
「【0010】
一体となったカメラとバランスアーム・ウエイトの重心位置と3軸ジンバル構造中心の距離を極力小さくすることが、安定した映像を撮影するための決め手であり、そのため摩擦の少ない3軸ジンバル構造を装備することおよびバランスウエイトを簡単、正確に位置微調整できるための機構がポイントとなる。」
(4)甲第5号証について
甲第5号証には、次の記載がある。なお、以下の下線は当審で付したものである。
「【0002】
無人航空機は、小型、軽量、低コスト、柔軟性のある操作、および高い安全性を特徴とし、航空撮影、監視、調査および救助、ならびに資源探査などの分野で広範囲に適用されている。無人航空機はそれ自体が高周波の振動および低周波のジッタという問題を抱えており、安定した撮影をするためのビデオカメラまたはカメラを搭載するためには、航空撮影安定化架台を装備する必要がある。航空撮影安定化架台は、ほとんど、電子装置を介してビデオカメラまたはカメラの姿勢の変化を検知して、ビデオカメラまたはカメラの安定化を達成するために操舵機の逆修正を制御する。先行技術において、架台の多くがビデオカメラまたはカメラの2軸、3軸、または多軸回転を達成するために、機械的な歯車駆動を用いている。無人航空機が回転、ホバリング、上昇、降下、または傾斜などの様々な姿勢をとるとき、歯車伝動装置にはいつでも遅れがあることから、架台の反応時間が長くなり、そして、操舵機の調整が遅くなり、その結果、ビデオカメラまたはカメラが、無人航空機の姿勢の調整と適時に適合して、その角度を調整することが非常に難しくなり、したがって、ビデオカメラまたはカメラの画像品質が影響を受けることになる。一方、歯車伝動装置架台は高い柔軟性を有しておらず、無限に可変の調整を実行できないことから、調整精度が高くなく、低周波の振動または機体傾斜による影響を排除することができなくなり、したがって、高品質の画像を撮影することおよび専門家の必要性に応えることが非常に困難になる。」
「【0004】
この技術的な問題を解決するために、本発明によって採用されている技術的な解決策は、次のとおりである。小型無人航空機に使用するための2軸架台が、機械骨組組立体と、伝動装置組立体と、撮影組立体とを備えるように構築されており、機械骨組組立体が第1のブラケットと、第2のブラケットと、第3のブラケットとを備え、撮影組立体が第1のブラケット上に固定され、第1のブラケットが第2のブラケットとともに回転可能に配置され、第2ブラケットが第3ブラケットとともに回転可能に配置されており、伝動装置組立体が、第1のモータと、第2のモータとを備え、第1のモータが、第2のブラケットに対して、第1のブラケットをその回転軸を中心にして回転するように駆動し、そして、第2のモータが、第3のブラケットに対して、第2のブラケットをその回転軸を中心にして回転するように駆動する。」
「【0025】
前述の技術的な解決策に基づき、好ましくは、本実施形形態により提供される架台が、航空撮影および監視のための小型無人航空機のために適合し、そして、第1のモータ3と、第2のモータ5および第4のモータが好ましくは直流ブラシレスモータとなる。無人航空機に使用するための架台に直流ブラシレスモータを使う利点は、次のような点にある:(1)電気的整流が、機械的整流に代わり、信頼性のある性能、永久的な耐摩耗性、低い故障率およびブラシモータよりも約6倍増加した使用可能寿命を達成している。(2)直流ブラシレスモータは、小さな無負荷電流をともなう静電モータである。(3)高い効率。(4)小型。」
(5)参考資料1について
参考資料1には次の記載がある。なお、以下の下線は当審で付したものである。
「【背景技術】
【0002】
魚眼レンズや超広角レンズなどの広角なレンズを複数使用して全方位(以下、全天球という。)を一度に撮像する全天球撮像システムが知られている。上記全天球撮像システムでは、各々のレンズからの像をセンサ面に投影し、得られる各画像を画像処理により結合することで、全天球画像を生成する。例えば、180度を超える画角を有する2つの広角なレンズを用いて、全天球画像を生成することができる。
【0003】
上記画像処理では、各レンズ光学系により撮影された部分画像に対して、所定の射影モデルに基づいて、また理想的なモデルからの歪みを考慮して、歪み補正および射影変換を施す。そして、部分画像に含まれる重複部分を用いて部分画像をつなぎ合わせ、1枚の全天球画像とする処理が行われる。画像をつなぎ合わせる処理においては、部分画像間の重複部分において、パターンマッチングなどを用いて被写体が重なる位置が検出される。」
「【0013】
[全体構成]
以下、図1~図3を参照しながら、本実施形態による全天球撮像システムの全体構成について説明する。図1は、本実施形態による全天球撮像システム(以下、単に、撮像システムと参照する。)10を示す断面図である。図1に示す撮像システム10は、撮像体12と、上記撮像体12およびコントローラやバッテリなどの部品を保持する筐体14と、上記筐体14に設けられたシャッター・ボタン18とを備える。図1に示す撮像体12は、2つの結像光学系20A,20Bと、CCD(Charge Coupled Device)センサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの2つの固体撮像素子22A,22Bとを含む。結像光学系20と固体撮像素子22とを1個ずつ組み合わせたものを撮像光学系と参照する。結像光学系20各々は、例えば6群7枚の魚眼レンズとして構成することができる。上記魚眼レンズは、図1に示す実施形態では、180度(=360度/n;n=2)より大きい全画角を有し、好適には、185度以上の画角を有し、より好適には、190度以上の画角を有する。
【0014】(略)
【0015】
図1に示す実施形態では、結像光学系20A,20Bは、同一仕様のものであり、それぞれの光軸が合致するようにして、互いに逆向きに組み合わせられる。固体撮像素子22A,22Bは、受光した光分布を画像信号に変換して、図示しないコントローラ上の画像処理手段に出力する。画像処理手段では、詳細は後述するが、固体撮像素子22A,22Bからそれぞれ入力される部分画像をつなぎ合わせて合成し、立体角4πラジアンの画像(以下「全天球画像」と参照する。)を生成する。全天球画像は、撮影地点から見渡すことのできる全ての方向を撮影したものとなる。ここで、図1に示す実施形態では、全天球画像を生成しているが、水平面のみ360度を撮影した、いわゆるパノラマ画像であってもよい。
【0016】
上述したように、魚眼レンズが180度を超える全画角を有するため、全天球画像を構成する際には、各撮像光学系による撮影画像において、重複する画像部分が、同一像を表す基準データとして画像つなぎ合わせの参考とされる。生成された全天球画像は、例えば、撮像体12に備えられる、または撮像体12に接続されているディスプレイ装置、印刷装置、SD(登録商標)カードやコンパクトフラッシュ(登録商標)などの外部記憶媒体などに出力される。」
「【0036】
図9は、位置検出処理の際における、2つの魚眼レンズで撮像された2つの部分画像の球面座標系へのマッピングを説明する図である。位置検出用歪み補正部202による処理の結果、魚眼レンズで撮像された2つの部分画像0,1は、図9に示すように、全天球画像フォーマット上に展開される。魚眼レンズ0により撮影された部分画像0は、典型的には、全天球のうちの概ね上半球にマッピングされ、魚眼レンズ1により撮影された部分画像1は、全天球のうちの概ね下半球にマッピングされる。全天球フォーマットで表現された補正画像0および補正画像1は、魚眼レンズの全画角が180度を超えるため、それぞれ半球からはみ出し、その結果、補正画像0および補正画像1を重ね合わせると、画像間で撮影範囲が重複する重複領域が発生する。」
「【図1】
」
「【図9】
」
(6)甲第2号証について
甲第2号証(米国特許出願公開第2015/0021429号明細書)には、次の記載がある。なお、以下の下線は当審で付したものである。
「[0024] FIG. 1 shows an aircraft 10 according to the invention with a framework 13. A body 20 is provided, which has four arms 21 that are curved inward 24. On the one hand, this curvature has the advantage that the rotors 11 arranged at the ends 22 of the arms 21 are protected, since they are surrounded in many directions by the framework 13, so that the risk of accident decreases but also the risk of injuries of the rotors 11 decreases. On the other hand, there is also the advantage that a relatively long length of the arms 21 can be constructed in a very compact manner, as a result of which the aircraft 10 in terms of its outer dimensions can be kept very small. This length of the arms 21 is used to absorb and dissipate vibrations, which can occur due to the movement of the rotors 11, via the arms 21.
[0025] Both the bridge 30 and also the body 20 are designed as lattice constructions. This has the advantage that the two components can be designed so that they have a very low weight and also a small attack surface for air currents and winds. One can also see that the bridge 30 is arranged via a central module 40 on the body 20. The central module 40 here has compensation elements 41 which are here designed as servomotors 42.
[0026] Moreover, one can see that the bridge 30 has a holder 12 at its first end 31. Into this holder, one or more recording apparatuses that are not shown here can be introduced. At the second end 32, the bridge 30 has a counterweight 34. This counterweight consists preferably of accumulator batteries. The counterweight 34 is used for the purpose of keeping the bridge 30 balanced, when the holder 12 is loaded with one or more recording apparatuses.」
(仮訳:
[0024]図1は、本発明によるフレームワーク13を有する飛行体10を示す。内側24に湾曲した4つのアーム21を有するボディ20を備える。また、この湾曲はアーム21の端部22に備えられた回転翼11を保護する利点がある。これは、多方向からフレームワーク13で囲むことで、事故のリスクを減少させるのみならず回転翼11が損傷するリスクも減少できるからである。また、アーム21の相対的に大きい長さを非常にコンパクトに構成でき、その結果、飛行体10の外寸を非常に小さくできる。このアーム21の長さは、回転翼11で生じアーム21を伝わる振動を吸収、拡散するために用いられる。
[0025]ブリッジ30とボディ20の双方は、格子構造を有する。これにより、この2つの構成要素が非常に軽量かつ気流や風が当たる表面を非常に小さくできる利点がある。ブリッジ30はボディ20上に中央モジュール40を介して設けられる。中央モジュール40はサーボモータ42として設計された補償要素41を有する。
[0026]また、ブリッジ30が第1端31にホルダ12を有していることが理解できる。このホルダに対して1以上の記録装置(図示せず)を組み込むことができる。第2端32には、ブリッジ30は、カウンターウェイト34を有している。このカウンターウェイトは、好ましくは、蓄電池からなる。カウンターウェイト34は、ホルダ12に1以上の記録装置を取り付けたときに、ブリッジ30のバランスを維持するために用いられる。)
5 取消理由(決定の予告)に記載した取消理由について
5.1 本件特許発明4について
(1)対比
本件特許発明4の構成A~E1、H~J、Y、Zを甲1発明の構成a~hと対比する。
(1-1)構成Aについて
構成c及び構成eは、カメラに係る一体の構成であるから、構成c及び構成eは、構成Aの「少なくとも2台のカメラを有するカメラ部」に相当する。
構成d及び構成fは、構成dの「ジンバル」がカメラ部の「シャフト」を支持し、構成fの「モータ」が揺動軸、すなわちジンバルを回転させて駆動させていることから、構成Aの「前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置」に相当する。
構成bの「飛行体」は、構成dの「ジンバル」を設けた「内フランジ」を有しているから、構成Aの「前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体」に相当する。
そして、構成aの「航空写真装置」は、無人であることは明らかであり、構成c、構成e、構成d、構成f及び構成bを有しており、当該各構成は上記のとおりであるから、構成aの「航空写真装置」は、構成Aの「少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体」に相当する。
(1-2)構成B1について
構成dの「直交する2方向の水平な揺動軸」は、構成B1の「水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線」及び「前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線」に相当する。そして、構成dの「直交する2方向の水平な揺動軸を有するとともに、一方の揺動軸に係るジンバルの構成が他方の揺動軸に係るジンバルの構成に設けられる構造を備え、前記シャフトを直交する2方向に揺動自在にかつ鉛直となるように支持するジンバル」は、構成B1の「水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部」及び「前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部」に相当する。
構成fの「前記揺動軸にそれぞれ連結され、鉛直線と前記シャフトの軸心との角度を検出する傾斜センサからの傾斜信号に基づき、鉛直状態を維持するように、強制的に前記揺動軸を傾きとは逆方向に回転させるモータ」は、構成B1の「前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部」及び「前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部」に相当する。
以上から、構成dの「ジンバル」及び構成fの「モータ」は、構成B1に相当する。
(1-3)構成Zについて
構成bの「飛行体」は、中心に「中空円筒状の主フレーム」を有し、かつ該主フレームの下端の「内フランジ」が「中心部に円形の孔」を有するから、中央部において鉛直方向に貫通する空間を有しているといえる。
また、軸を回動させるモータを軸に連結する構成として、モータの回転軸を回動される軸に一致させることは常套手段と認められるから、構成dの各ジンバルの揺動軸に設けられる構成fの各モータは、構成Zの「前記第1駆動部は、回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され」及び「前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され」に相当する構成を有している。
しかしながら、第1駆動部が設けられる位置について、本件特許発明4は「該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間内」であるのに対し、甲1発明は第1駆動部が設けられる位置が特定されていない点で相違する。
(1-4)構成C1について
構成eの「前記シャフトの下端、上端にそれぞれ設けられた下カメラ、上カメラ」は、構成C1の「少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部」及び「少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部」に相当する。
また、構成dの「直交する2方向の水平な揺動軸を有するとともに、一方の揺動軸に係るジンバルの構成が他方の揺動軸に係るジンバルの構成に設けられる構造を備え、前記シャフトを直交する2方向に揺動自在にかつ鉛直となるように支持するジンバル」のうち、構成B1の「第1ジンバル部に設けられて第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部」に相当するシンバルが、カメラ部の「シャフト」を支持していると認められる。よって構成dは、構成C1の「前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ」に相当する構成を有している。
(1-5)構成D、構成Hについて
構成eの「下カメラ、上カメラ」は、構成cの「主フレームを上下に貫通するように設けられたシャフト」の下端、上端にそれぞれ設けられており、構成dの「直交する2方向の水平な揺動軸」を有するジンバルは、構成bの「主フレームの下端において中心に向かって延出するとともに中心部に円形の孔が形成された内フランジ」に設けられているから、構成eの「下カメラ、上カメラ」は、上下カメラの位置関係を上下方向とした場合において、構成dの「直交する2方向の水平な揺動軸」よりも下、上にそれぞれ位置している。そして、構成dの「直交する2方向の水平な揺動軸」は、上記(1-2)のとおり、構成B1の「第1水平軸線」及び「第2水平軸線」に相当するものであるから、構成eの「下カメラ、上カメラ」及び構成dの「ジンバル」からなる構成は、構成Dの「前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し」及び構成Hの「前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し」に相当する構成を有している。
(1-6)構成E1について
構成eの、撮影対象範囲が「鉛直下方、鉛直上方」である「下カメラ、上カメラ」は、視野角が特定されていない。よって、ジンバル駆動装置及び飛行体本体とカメラの視野角との位置関係について、本件特許発明4は「ジンバル駆動装置及び飛行体本体は、第1カメラ部の視野角の外側、かつ、第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置」しているのに対し、甲1発明は当該位置関係が特定されていない点で相違する。
(1-7)構成Iについて
構成dの「直交する2方向の水平な揺動軸」は、上記(1-2)のとおり、構成B1の「第1水平軸線」及び「第2水平軸線」に相当するとともに、直交するものであるから、構成dの「直交する2方向の水平な揺動軸」は、構成Iの「前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ」に相当する構成を有している。
(1-8)構成Jについて
構成dの「直交する2方向の水平な揺動軸」、構成cの「シャフト」及び構成eの「前記シャフトの下端、上端にそれぞれ設けられた下カメラ、上カメラ」からなる構成は、上記(1-7)及び(1-1)のとおり、構成Jの「第1水平軸線と第2水平軸線との交点」及び「カメラ部」に相当する構成を有している点で、構成Jと共通する。
しかしながら、前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部との関係について、本件特許発明4では当該交点とカメラ部の重心とが一致又は略一致しているものであるのに対し、甲1発明では当該交点とカメラ部の重心との位置関係が特定されていない点で相違する。
(1-9)構成Yについて
構成eの「下カメラ、上カメラ」と、構成Yの「第1カメラ部及び2カメラ部」は、「所定の撮影範囲を撮影する」構成を有する点で共通する。しかしながら、前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部の所定の撮影対象範囲について、構成Yは「それぞれの撮像画像の一部をオーバーラップさせ」かつ「当該無人飛行体が全く写らないように」した「全方位」であるのに対し、構成eは「鉛直下方、鉛直上方」である点で相違する。
(2)一致点、相違点
以上のことから、本件特許発明4と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
(A)少なくとも2台のカメラを有するカメラ部と、前記カメラ部が設けられたジンバル駆動装置と、前記ジンバル駆動装置が設けられた飛行体本体とを備えた無人飛行体であって、
(B1)前記ジンバル駆動装置は、
水平方向に沿った回動軸線である第1水平軸線回りに回動する第1ジンバル部と、
前記第1ジンバル部を前記第1水平軸線回りに回動させる第1駆動部と、
前記第1ジンバル部に設けられて前記第1水平軸線に直交する水平方向に沿った回動軸線である第2水平軸線回りに回動する第2ジンバル部と、
前記第2ジンバル部を前記第2水平軸線回りに回動させる第2駆動部と
を備え、
(Z’)前記飛行体本体は、該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間を有し、
前記第1駆動部は、回転軸の中心が前記第1水平軸線上又は略第1水平軸線上に位置するように前記飛行体本体に設けられ、
前記第1ジンバル部は、前記第1駆動部の回転軸に固定され、
前記第2駆動部は、回転軸の中心が前記第2水平軸線上又は略第2水平軸線上に位置するように前記第1ジンバル部に設けられ、
前記第2ジンバル部は、前記第2駆動部の回転軸に固定され、
(C1)前記カメラ部は、前記第2ジンバル部に設けられ、少なくとも1台の第1カメラを備えた第1カメラ部と、少なくとも1台の第2カメラを備えた第2カメラ部とを備え、
(D)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第1水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(H)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、それぞれ、前記第2水平軸線を間にして鉛直方向における一方側及び他方側に位置し、
(I)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線とが交わる構成とされ、
(J’)前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点及び前記カメラ部を有しており、
(Y’)前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部は、所定の撮影範囲を撮影するものである
(A)無人飛行体。
(相違点1)
第1駆動部が設けられる位置について、本件特許発明4は「該飛行体本体の中央部において鉛直方向に貫通する空間内」であるのに対し、甲1発明は第1駆動部が設けられる位置が特定されていない点。
(相違点2)
ジンバル駆動装置及び飛行体本体とカメラの視野角との位置関係について、本件特許発明4は「ジンバル駆動装置及び飛行体本体は、第1カメラ部の視野角の外側、かつ、第2カメラ部の視野角の外側の領域に位置」しているのに対し、甲1発明は当該位置関係が特定されていない点。
(相違点3)
前記第1水平軸線と前記第2水平軸線との交点と、前記カメラ部との関係について、本件特許発明4は当該交点とカメラ部の重心とが一致又は略一致しているものであるのに対し、甲1発明は当該交点とカメラ部の重心との位置関係が特定されていない点。
(相違点4)
前記第1カメラ部及び前記第2カメラ部の所定の撮影対象範囲について、本件特許発明4は「それぞれの撮像画像の一部をオーバーラップさせ」かつ「当該無人飛行体が全く写らないように」した「全方位」であるのに対し、甲1発明は「鉛直下方、鉛直上方」である点。
(3)当審の判断
上記相違点のうち、まず相違点2及び相違点4について検討する。
複数の方位を撮像する技術において、撮影された部分画像をつなぎ合わせて全方位を撮像することは、参考資料1の段落0002、0003に背景技術として記載されているように周知の技術課題である。また、同参考資料1には、段落0013~0016、0036、図1、9において、2つの撮像光学系により重複領域を有する上半球、下半球の画像を撮像する技術(以下、「参考資料1に記載の技術」という。)も記載されている。ここで、前記重複領域を有する上半球、下半球の画像を撮像することは、それぞれの撮像画像の一部をオーバーラップさせて全方位を撮影することに相当する。
よって、構成eの下カメラ、上カメラにより撮影する構成において、それぞれの撮像画像の一部をオーバーラップさせて全方位を撮影する技術を採用することは、上記周知の技術課題及び参考資料1に記載の技術に基づき当業者が容易になし得ることである。
しかしながら、それぞれの撮像画像の一部をオーバーラップさせて全方位を撮影する際に、撮影手段を備えた装置を当該撮影手段の視野角の外側の領域に位置させて、撮影手段を備えた装置が全く写らないようにすることは、同参考資料1、甲第1号証、甲第3号証~甲第5号証、並びに、取消理由(決定の予告)で引用しなかった甲第2号証、甲第6号証及び参考資料2のいずれにも記載されていない。また、当該事項が技術常識であるとも認められない。
なお、相違点2及び相違点4に関して、特許異議申立人により、平成31年2月25日に提出された意見書において「パノラマ画像のような複数の画像を合成して得られる合成画像に撮影者又は撮影主体物が写り込まないように、それら撮影者又は撮影主体物をすべてのカメラ部の撮像可能範囲の外(カメラ部の画角外)に配置することは、例えば、上掲の参照資料2の【0008】段落に記載されているように、極めて当たり前のことである。」との主張がなされている。
しかしながら、参考資料2の段落0008には「複数の固定焦点デジタルカメラを、撮影者が持ち上げ可能な脚体に配置したことで、手軽に持ち運び可能であり、且つ撮影者の頭上で撮影することにより撮影者が写り込まない全方位撮影カメラとすることができる。」と記載されており、前記「全方位撮影カメラ」の撮影範囲と解される「全方位」とは、水平方向に関してであって下方は含まれないと解される。してみると、参考資料2に記載の撮影範囲は、本件特許発明4の構成Yの「第1カメラ部及び第2カメラ部」の「それぞれの撮影画像の一部をオーバーラップさせて当該無人飛行体が全く写らないように全方位を撮影すること」に対応するものではないから、特許異議申立人による上記主張は採用することができない。
よって、構成eの下カメラ、上カメラにより撮影する構成において、それぞれの撮像画像の一部をオーバーラップさせて全方位を撮影する技術を採用する際に、下カメラ、上カメラを備えた構成aの航空写真装置を当該下カメラ、上カメラの視野角の外側の領域に位置させて、航空写真装置が全く写らないようにすることは、当業者であっても甲1発明並びに甲第2号証~甲第6号証、参考資料1及び参考資料2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、本件特許発明4は、その他の相違点である相違点1及び相違点3について検討するまでもなく、当業者であっても甲1発明並びに甲第2号証~甲第6号証、参考資料1及び参考資料2に記載された技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
5.2 本件特許発明5~本件特許発明22について
本件特許発明5~本件特許発明7は、本件特許発明4と同様に、構成E1及び構成Yを有するものであるから、本件特許発明4と同じ理由で、当業者であっても、甲第1号証~甲第6号証、参考資料1及び参考資料2に記載された発明及び技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件特許発明8~本件特許発明22は、本件特許発明4~本件特許発明7を直接的又は間接的に引用するものであって、本件特許発明4~本件特許発明7からさらに限定を加えるものであるから、本件特許発明4と同じ理由で、当業者であっても、甲第1号証~甲第6号証、参考資料1及び参考資料2に記載された発明及び技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
6 取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
平成31年3月27日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について、以下検討する。
(1)本件特許発明1~3に対する進歩性(特許法第29条第2項)について
(1-1)対比
本件特許発明1の構成A~Fを甲1発明の構成a~hと対比する。
(ア)甲1発明が構成A及び構成Dに相当する構成を有することは、上記5.1(1)(1-1)及び(1-5)に示したとおりである。
(イ)甲1発明が構成B1及び構成C1に相当する構成を有することは、上記5.1(1)(1-2)及び(1-4)に示したとおりである。そして、構成B1及び構成C1は構成B及び構成Cに対してさらに限定を加えたものであるから、甲1発明は、構成B及び構成Cに相当する構成も同様に有しているといえる。
(ウ)甲1発明の構成bの「中心に中空円筒状の主フレームを有し、該主フレームの下端において中心に向かって延出するとともに中心部に円形の孔が形成された内フランジと、該主フレームの軸心と直交する平面内に放射状に延出し、先端にプロペラユニットが設けられるとともに内端部が主フレームを貫通する偶数のプロペラフレームとを有する飛行体」は、構成c及び構成eの下カメラ、上カメラが下端、上端にそれぞれ設けられたシャフトが前記飛行体の主フレームを上下に貫通する構成を有する。また、構成dのジンバルは、構成bの飛行体の内フランジに設けられており、構成fのモータはジンバルに連結されている。したがって、甲1発明の構成bの「飛行体」、構成dの「ジンバル」、構成fの「モータ」、構成eの「下カメラ、上カメラ」及び構成cの「シャフト」からなる構成は、構成Eに相当する構成を有している。
以上(ア)~(ウ)から、本件特許発明1と甲1発明とは、構成A~構成Eを備える点で一致し、甲1発明が構成Fを備えていない点で相違する。
(1-2)判断
甲第2号証には、飛行体の一部に複数の記録装置を設けること、及び、該複数の記録装置に対するカウンターウェイトとしての蓄電池を設けることが記載されている。しかしながら、甲1発明は、構成eにおいて下カメラ、上カメラからなる複数のカメラを有し、カウンターウェイトを用いていないものであって、甲1発明において甲第2号証に記載された当該技術事項を組み合わせる動機づけは存在しない。
また、仮に、甲1発明の下カメラ、上カメラの各々において複数のカメラを設けることが容易想到であったとしても、さらに、構成Fの「複数台の第1カメラに電力を供給する第1バッテリー」及び「複数台の第2カメラに電力を供給する第2バッテリー」に相当する構成を採用することは、各甲号証及び参考資料のいずれにも記載されておらず、技術常識等に基づく設計変更であるともいえない。
よって、構成Fを有する本件特許発明1は、当業者であっても、甲第1号証~甲第6号証、参考資料1及び参考資料2に記載された発明及び技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件特許発明2及び本件特許発明3は、本件特許発明1を直接的又は間接的に引用するものであって、本件特許発明1からさらに限定を加えるものであるから、本件特許発明1と同じ理由で、当業者であっても、甲第1号証~甲第6号証、参考資料1及び参考資料2に記載された発明及び技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
(2)本件特許発明1~22に対する委任省令要件(特許法第36条第4項第1号)、及び、サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について
(2-1)本件特許発明1~3について
本願明細書の段落0147に記載の「無人飛行体全体の軽量化を実現させること」は、構成Fを備えた本件特許発明1を解決手段とした場合の、発明が解決しようとする課題に対応するものと認められる。
また、他に委任省令要件又はサポート要件を満たさない理由を発見しない。
よって、本件特許発明1及び本件特許発明1を引用する本件特許発明2、3は、委任省令要件及びサポート要件を満たしている。
(2-2)本件特許発明4~22について
本願明細書の段落0009には、発明が解決しようとする課題として「パノラマ画像に自身の無人飛行体がほぼ或いは全く写らないようにすることができる無人飛行体を提供すること」が記載されており、構成Yを備えた本件特許発明4~7が、前記課題の解決手段に対応するものと認められる。
また、他に委任省令要件又はサポート要件を満たさない理由を発見しない。
よって、本件特許発明4~7及び本件特許発明4~7を引用する本件特許発明8~22は、委任省令要件及びサポート要件を満たしている。
第4 むすび
以上のとおりであるから、平成31年3月27日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~3に係る特許、及び、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項4~22に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~3に係る特許、及び、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項4~22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2018-700566