特許訂正審判
2018-390186
レーザ加工モニタ及びレーザ加工装置
- 審判番号
- 2018-390186
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2014-091953
- 登録番号
- 特許第6430142号(P6430142)
- 請求日
- 2018年11月29日
- 審決日
- 2019年02月14日
- 公報発行日
- 2019年05月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【請求人】浜松ホトニクス 株式会社
- 【請求人代理人】長谷川 芳樹
- 【請求人代理人】黒木 義樹
- 【請求人代理人】阿部 寛
- 【請求人代理人】柴山 健一
- 審判長/審判官
- 審判長 西村 泰英
- 審判官 中川 隆司
- 審判官 栗田 雅弘
- 分類
- P141 .841-Y (B23K) / P141 .852-Y (B23K)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(SGML)
事件の表示
特許第6430142号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
【結 論】
特許第6430142号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-18〕について訂正することを認める。
理由
【理 由】
第1.手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第6430142号(以下、「本件特許」という。)は、平成26年4月25日を出願日とする出願(特願2014-91953号)の請求項1ないし18に係る発明について平成30年11月9日に特許権の設定登録がなされ、平成30年11月29日に本件訂正審判の請求がなされたものである。
第2.請求の趣旨及び訂正事項
本件審判の請求の要旨は、特許第6430142号発明の特許請求の範囲を、審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、すなわち、下記1及び2のとおり訂正することを求めるものである。
1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「前記第2光ファイバと前記第2光学部との間における前記第1光及び前記測定光の光路上に配置された第1レンズと」を、「前記第2光ファイバと前記第2光学部との間における前記第1光及び前記測定光の光路上に配置された第2レンズと」に訂正する。(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3ないし18も同様に訂正する。)
2.訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2の「前記第2光ファイバと前記第2光学部との間における前記第1光及び前記測定光の光路上に配置された第1レンズと」を、「前記第2光ファイバと前記第2光学部との間における前記第1光及び前記測定光の光路上に配置された第2レンズと」に訂正する。(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3ないし18も同様に訂正する。)
なお、訂正前の請求項1ないし18は、請求項3ないし18が、訂正の請求の対象である請求項1及び2の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、一群の請求項1ないし18について請求されたものである。
第3.当審の判断
1.訂正事項1について
(1)訂正の目的について
ア.訂正前の請求項1の記載
訂正前の請求項1の記載は以下のとおりである。
「レーザ光を発する光源から前記レーザ光を伝播させる第1光ファイバを保持する第1光ファイバ保持部と、
前記レーザ光のうち第1波長帯を有する第1光を加工対象物に照射するレーザ加工ヘッドに前記第1光を伝播させ且つ前記加工対象物において前記第1光が照射された部分で発せられた測定光を前記レーザ加工ヘッドから伝播させる第2光ファイバを保持する第2光ファイバ保持部と、
前記第1光ファイバから出射した前記レーザ光のうち前記第1光を反射させ且つ当該レーザ光のうち前記測定光の波長帯に相当する第2波長帯を有する第2光を透過させる第1光学部と、
前記第1光学部で反射した前記第1光を反射させ且つ前記第2光ファイバから出射した前記測定光を透過させる第2光学部と、
前記第2光学部を透過した前記測定光を検出する光検出部と、
前記第1光ファイバと前記第1光学部との間における前記レーザ光の光路上に配置された第1レンズと、
前記第2光ファイバと前記第2光学部との間における前記第1光及び前記測定光の光路上に配置された第1レンズと、を備え、
前記第1光ファイバの許容NAは、前記第2光ファイバの許容NAよりも小さい、レーザ加工モニタ。」
イ.訂正前の請求項1における誤記の存在について
上記のとおり、訂正前の請求項1には、「第1レンズ」に関し、「前記第1光ファイバと前記第1光学部との間における前記レーザ光の光路上に配置された第1レンズ」(以下、「前者」という。)、及び、「前記第2光ファイバと前記第2光学部との間における前記第1光及び前記測定光の光路上に配置された第1レンズ」(以下、「後者」という。)と、2つの記載がなされている。
この点について検討する。
訂正前の請求項1の「前記第1光ファイバから出射した前記レーザ光のうち前記第1光を反射させ且つ当該レーザ光のうち前記測定光の波長帯に相当する第2波長帯を有する第2光を透過させる第1光学部と、前記第1光学部で反射した前記第1光を反射させ且つ前記第2光ファイバから出射した前記測定光を透過させる第2光学部と」との記載から、「第1光ファイバ」から出射されたレーザ光を「第1光学部」が入射されるよう「第1光学部」が配置され、「第1光学部」から反射された第1光を「第2光学部」が入射されるよう配置されていることが分かる。
また、訂正前の請求項1の「前記第2光ファイバから出射した前記測定光を透過させる第2光学部」との記載から、「第2光ファイバ」から出射された測定光を「第2光学部」が入射されるよう配置されていることが分かる。
そして、「第1光ファイバ」と「第2光ファイバ」は各々伝播する光が異なるため、互いに異なる部材であり、また、「第1光学部」と「第2光学部」も同様に異なる部材であるから、「第1光ファイバ」と「第1光学部」との間と、「第2光ファイバ」と「第2光学部」との間とでは、それにより定義される空間が異なることは明らかであって、異なる空間のそれぞれに、同じ部材である「第1レンズ」が配置されることはあり得ない。
したがって、「前記第1光ファイバと前記第1光学部との間における前記レーザ光の光路上に配置された」ものを「第1レンズ」とした場合に、「前記第2光ファイバと前記第2光学部との間における前記第1光及び前記測定光の光路上に配置された」ものは、「第1レンズ」とはならず、別のレンズになるべきものであるから、後者の「第1レンズ」との記載が誤記となることは訂正前の請求項1の記載から明らかである。
これに加えて、後者の第1レンズが前者の第1レンズとは別部材であることは、明細書の段落【0027】の記載、及び、【図3】の図示事項によれば、訂正前の請求項1の前者の「第1レンズ」は、発明の詳細な説明におけるレンズ31であり、また、明細書の段落【0028】の記載、及び、【図3】の図示事項によれば、訂正前の請求項1の後者の「第1レンズ」は、発明の詳細な説明におけるレンズ32であることからも明らかである。
以上のとおり、訂正前の請求項1において、異なる光路空間に置かれた別部材である対象物同士に対して、これらを共に「第1レンズ」と表記したことは誤りであって、前者の「第1のレンズ」を正しいとした場合に、後者の「第1レンズ」は誤記であることは明らかである。
ウ.訂正後の請求項1の記載について
訂正後の請求項1は、後者の「第1レンズ」を「第2レンズ」とすることにより、別部材でありながら両者とも「第1レンズ」と表記した誤記が解消されたものである。
エ.訂正の目的のまとめ
以上から、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものと認められる。
(2)新規事項の追加の有無について
上記(1)で検討したように、明細書の段落【0027】、【0028】の記載からも、訂正事項1は、本件出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内でなされたものと認められる。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正後の請求項1の記載は、誤記を訂正したものであるから、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項1による訂正後における特許請求の範囲の請求項1及び3ないし18に記載されている事項により構成される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
よって、訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
2.訂正事項2について
(1)訂正の目的について
ア.訂正前の請求項2の記載
訂正前の請求項2の記載は以下のとおりである。
「レーザ光を発する光源から前記レーザ光を伝播させる第1光ファイバを保持する第1光ファイバ保持部と、
前記レーザ光のうち第1波長帯を有する第1光を加工対象物に照射するレーザ加工ヘッドに前記第1光を伝播させ且つ前記加工対象物において前記第1光が照射された部分で発せられた測定光を前記レーザ加工ヘッドから伝播させる第2光ファイバを保持する第2光ファイバ保持部と、
前記第1光ファイバから出射した前記レーザ光のうち前記第1光を反射させ且つ当該レーザ光のうち前記測定光の波長帯に相当する第2波長帯を有する第2光を透過させる第1光学部と、
前記第1光学部で反射した前記第1光を反射させ且つ前記第2光ファイバから出射した前記測定光を透過させる第2光学部と、
前記第2光学部を透過した前記測定光を検出する光検出部と、
前記第1光ファイバと前記第1光学部との間における前記レーザ光の光路上に配置された第1レンズと、
前記第2光ファイバと前記第2光学部との間における前記第1光及び前記測定光の光路上に配置された第1レンズと、を備え、
前記第1光ファイバの径は、前記第2光ファイバの径よりも小さい、レーザ加工モニタ。」
イ.訂正前の請求項2における誤記の存在について
上記のとおり、訂正前の請求項2には、「第1レンズ」に関し、「前記第1光ファイバと前記第1光学部との間における前記レーザ光の光路上に配置された第1レンズ」(以下、「前者」という。)、及び、「前記第2光ファイバと前記第2光学部との間における前記第1光及び前記測定光の光路上に配置された第1レンズ」(以下、「後者」という。)と、2つの記載がなされている。
この点について検討する。
訂正前の請求項2の「前記第1光ファイバから出射した前記レーザ光のうち前記第1光を反射させ且つ当該レーザ光のうち前記測定光の波長帯に相当する第2波長帯を有する第2光を透過させる第1光学部と、前記第1光学部で反射した前記第1光を反射させ且つ前記第2光ファイバから出射した前記測定光を透過させる第2光学部と」との記載から、「第1光ファイバ」から出射されたレーザ光を「第1光学部」が入射されるよう「第1光学部」が配置され、「第1光学部」から反射された第1光を「第2光学部」が入射されるよう配置されていることが分かる。
また、訂正前の請求項2の「前記第2光ファイバから出射した前記測定光を透過させる第2光学部」との記載から、「第2光ファイバ」から出射された測定光を「第2光学部」が入射されるよう配置されていることが分かる。
そして、「第1光ファイバ」と「第2光ファイバ」は各々伝播する光が異なるため、互いに異なる部材であり、また、「第1光学部」と「第2光学部」も同様に異なる部材であるから、「第1光ファイバ」と「第1光学部」との間と、「第2光ファイバ」と「第2光学部」との間とでは、それにより定義される空間が異なることは明らかであって、異なる空間のそれぞれに、同じ部材である「第1レンズ」が配置されることはあり得ない。
したがって、「前記第1光ファイバと前記第1光学部との間における前記レーザ光の光路上に配置された」ものを「第1レンズ」とした場合に、「前記第2光ファイバと前記第2光学部との間における前記第1光及び前記測定光の光路上に配置された」ものは、「第1レンズ」とはならず、別のレンズになるべきものであるから、後者の「第1レンズ」との記載が誤記となることは訂正前の請求項2の記載から明らかである。
これに加えて、後者の第1レンズが前者の第1レンズとは別部材であることは、明細書の段落【0027】の記載、及び、【図3】の図示事項によれば、訂正前の請求項1の前者の「第1レンズ」は、発明の詳細な説明におけるレンズ31であり、また、明細書の段落【0028】の記載、及び、【図3】の図示事項によれば、訂正前の請求項2の後者の「第1レンズ」は、発明の詳細な説明におけるレンズ32であることからも明らかである。
以上のとおり、訂正前の請求項2において、異なる光路空間に置かれた別部材である対象物同士に対して、これらを共に「第1レンズ」と表記したことは誤りであって、前者の「第1のレンズ」を正しいとした場合に、後者の「第1レンズ」は誤記であることは明らかである。
ウ.訂正後の請求項1の記載について
訂正後の請求項2は、後者の「第1レンズ」を「第2レンズ」とすることにより、別部材でありながら両者とも「第1レンズ」と表記した誤記が解消されたものである。
エ.訂正の目的のまとめ
以上から、訂正事項2は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものと認められる。
(2)新規事項の追加の有無について
上記(1)で検討したように、明細書の段落【0027】、【0028】の記載からも、訂正事項2は、本件出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面の記載の範囲内でなされたものと認められる。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第5項の規定に適合する。
(3)特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
訂正後の請求項2の記載は、誤記を訂正したものであるから、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第6項の規定に適合する。
(4)独立特許要件について
訂正事項2による訂正後における特許請求の範囲の請求項2ないし18に記載されている事項により構成される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない理由を発見しない。
よって、訂正事項2は、特許法第126条第7項の規定に適合する。
第4.むすび
したがって、本件審判の請求に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第5項ないし第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
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