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特許拒絶査定不服審判

2018-016359

釣竿用ブランクの製造方法

審判番号
2018-016359
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2014-089795外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2018年12月07日
審決日
2019年10月17日
公報発行日
2020年01月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-Z (A01K)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第17条の2第6項、特許法第17条の2第5項第2号、特許法第29条第1項第3号
データ出所
審決公報(SGML)

事件の表示

特願2014- 89795「釣竿用ブランクの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年11月24日出願公開、特開2015-208235〕について、次のとおり審決する。

結論

【結 論】 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

【理 由】 第1 手続の経緯 本願は、平成26年4月24日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成29年12月20日付け:拒絶理由通知 平成30年 4月24日  :意見書、手続補正書の提出 平成30年 9月25日付け:拒絶査定 平成30年12月 7日  :審判請求書、手続補正書の提出 第2 平成30年12月7日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成30年12月7日にされた手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、平成30年4月24日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1を次のように補正することを含むものである。 (補正前) 「【請求項1】 所定形状に裁断されたプリプレグがマンドレルに巻回されるファースト工程と、成形テープによる上記プリプレグの締付け及び熱処理を含む中間工程と、上記成形テープが取り外されるファイナル工程とを有する釣竿用ブランクの製造方法であって、 上記中間工程は、 上記ファースト工程の後、上記プリプレグの表面に銘板が付される銘板工程と、 上記銘板が付されたプリプレグに上記成形テープが巻き付けられる締付工程と、 80°C~140°Cで90分~150分間上記プリプレグが加熱される熱処理工程と、を含む釣竿用ブランクの製造方法。 【請求項2】 上記中間工程は、 上記銘板工程の前又は後に、上記プリプレグに塗装が施される塗装工程を含んでいる請求項1に記載の釣竿用ブランクの製造方法。」 (補正後) 「【請求項1】 所定形状に裁断されたプリプレグがマンドレルに巻回されるファースト工程と、成形テープによる上記プリプレグの締付け及び熱処理を含む中間工程と、上記成形テープが取り外されるファイナル工程とを有する釣竿用ブランクの製造方法であって、 上記中間工程は、 上記ファースト工程の後、上記プリプレグの表面に銘板が付される銘板工程と、 上記銘板工程の前に、上記プリプレグに塗装が施される塗装工程と、 上記銘板が付されたプリプレグに上記成形テープが巻き付けられる締付工程と、 80°C~140°Cで90分~150分間上記プリプレグが加熱される熱処理工程と、を含む釣竿用ブランクの製造方法。」(下線は訂正箇所を示す。) 2 補正の適否 上記補正事項は、補正前の請求項1に、請求項2に記載された「上記銘板工程の前又は後に、上記プリプレグに塗装が施される塗装工程を含んでいる」のうちの、「上記銘板工程の後に」を除いて、「上記銘板工程の前に、上記プリプレグに塗装が施される塗装工程」を追加するものであって、かつ補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、上記補正事項は、出願当初の特許請求の範囲等に記載されていたものであるから、新規事項を追加するものではなく、同法第17条の2第3項の規定を満たしている。 そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)補正発明 補正発明は、上記1において本件補正後の請求項1として示したとおりのものである。 (2)引用文献の記載事項 ア 引用文献1 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開昭63-182137号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある(下線は審決で付した。以下同様。)。 (ア)「産業上の利用分野 本発明は表面に金属光沢のある図形、記号、文字などを表示する釣竿等の竿管の製造法に関するものである。」(1頁左下欄11~14行) (イ)「発明が解決しようとする問題点 本発明は金属光沢のある金属片を釣竿等の竿管製造時に表面に一体的に固定し竿管に金属光沢のある図形、記号、文字などを容易かつ強固に表示形成するようにしたことを目的とするものである。 問題点を解決するための手段 本発明は前記目的を達成するための構成として芯金に捲着したプリプレグの表面にその含浸樹脂の粘性で図形、文字、記号などを表示する光沢のある金属片を貼着した後、プリプレグ外周面に緊縛テープを捲着し、次いで常法により加圧加熱硬化処理、テープ剥離、脱芯することを要旨とするものである。」(1頁右下欄10行~2頁左上欄2行) (ウ)「実施例 本発明の詳細を説明すると、高強度繊維からなる織布またはシートに未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸して形成したプリプレグ1を芯金2に捲着し、その表面に前記熱硬化性樹脂の粘性を利用して任意形状の図形、文字、記号などの光沢のある金属片3を貼着する。 前記金属片3が複数断片からなるときには各断片の関係位置を保持するため、第2図及び第3図に示すように予め各断片の表面を前記熱硬化性樹脂の接着力より弱いアクリール接着剤等を塗布したポリエステル等のベースフィルム4に貼着し、このベースフィルム4をプリプレグ1の表面に貼着した後ベースフィルム4だけを剥離して金属片3をプリプレグ1表面に熱硬化性樹脂の粘性で接着するのが好適であり、また光沢のある金属片3としてはメッキエッチング等で形成した厚さ0.02~0.2m/mのアルミニウム、ニッケル、銅等を使用するのが好ましい。 このようにして金属片3を貼着したプリプレグ1の外周面にセロファンテープなどの緊縛テープ5を一部重合状態に捲着した後、常法により加圧加熱して硬化処理すると金属片3はプリプレグ表面に滑らかに一体的に埋没固定されるので、緊縛テープ5を剥離し、芯金2を引抜き、更に外周面にカラークリア6を塗布して釣竿、ゴルフクラブシャスト等の竿管を製造するものである。」(2頁左上欄2行~右上欄9行) (エ)「発明の効果 本発明は光沢のある金属片をプリプレグの含浸樹脂の粘性を利用してプリプレグ表面の彎曲面に仮止め固定した後、その外周面に緊縛テープを捲着し、次いで、常法により加圧、加熱硬化処理、緊縛テープ剥離及び脱芯をして釣竿等の竿管を製造することにより、金属光沢のある金属片はプリプレグ表面に滑らかに一体的に埋没固定でき、釣竿等の竿管表面に金属光沢のある図形模様、竿名、社名、記号等を竿管の製造と同時にその周面に沿って一体的に表示形成できると共にその製造手段もプリプレグ含浸樹脂を利用して金属板を仮止め固定できるので簡易であって従来の糸止め等の面倒な手段を必要とせず極めて容易で、しかも竿管の径を大きくしたり重量を増加することもない優れた特徴を有するものである。」(2頁右上欄10行~左下欄5行) (オ)上記(ア)ないし(エ)からみて、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認める。 「高強度繊維からなる織布またはシートに未硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸して形成したプリプレグ1を芯金2に捲着し、その表面に前記熱硬化性樹脂の粘性を利用して任意形状の図形、文字、記号などの光沢のある金属片3を貼着し、 金属片3を貼着したプリプレグ1の外周面にセロファンテープなどの緊縛テープ5を一部重合状態に捲着した後、常法により加圧加熱して硬化処理すると金属片3はプリプレグ表面に滑らかに一体的に埋没固定されるので、緊縛テープ5を剥離し、芯金2を引抜き、更に外周面にカラークリア6を塗布した、 釣竿の竿管の製造法。」 イ 引用文献2 原査定の補正の却下の決定に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平6-46720号公報(以下「引用文献2」という。)には、次の記載がある。 (ア)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は竿及び竿の製造方法に関する。」 (イ)「【0002】 【従来の技術】この種の竿を製造するに、従来は、プリプレグとして例えば炭素繊維等の強化繊維にフェノール等の熱硬化性樹脂を含浸させたものを、マンドレルに巻回して竿素材を形成するとともに、竿素材の外周面に成形用のポリエステル若しくはポリプロピレン等の成形テープを螺旋状に巻回して焼成し、焼成後成形テープを剥がし、成形テープを剥がした竿素材の外周面に塗装を施していた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記製造方法による場合は、塗装を施す場合には、塗料の付着を良好にするために、表面研磨加工を施していた。ところが、成形テープを巻回することによって形成される凹凸面が、表面研磨加工によってならされることになる為に、糸絡みが起こり易い点を解消できてなかった。つまり、表面研磨加工によって表面が平滑であるから、その表面に付着した水分が表面張力によって保形し、その水玉部分で糸が捕らえられる等の原因によって糸絡みが起こり易くなっている。又、焼成した際にプリプレグの内部より発生したガスが竿素材より抜け出て形成されたピンホールが、表面研磨加工によって表面に浮き出てくることもあるところから、そのピンホールを埋める為に、下塗りを必要とし、これが作業時の手間を増大させていた。本発明の目的は、製作時の手間を少なくしながら、糸絡みを効果的に抑制することのできる竿及びその竿の製造方法を提供する点にある。」 (ウ)「【0004】 【課題を解決するための手段】本第1発明による特徴構成はプリプレグを巻回して形成した竿素材の外周面に、塗料を塗布して塗料層を形成するとともに、その塗料層の外周面に、成形テープの巻き付け圧着による凹凸面を形成してある点にあり、その作用効果は次の通りである。 【0005】 【作用】 ○1(審決注:丸囲み数字は、「○数字」と表記する。以下同様。) 竿素材の外周面に先ず塗料層を形成する構成によって、竿素材の外周面には成形テープの巻き付け圧着による凹凸面の形成は殆どない。凹凸面が形成されるにしても、塗料層の膜厚部にのみ生じるだけである。したがって、塗料を施すに、下地処理としての表面研磨加工を必要としない、あるいは、極表層に限った部分で行えばよく、ピンホールを表面に浮き立たせることはすくないところから、従来必要であったピンホールを埋める為の下塗り工程を必要とせず、製作工程を簡素化できる。 ○2 しかも、塗料層に成形テープを巻き付けて凹凸面を形成しているので、表面研磨しなくとも所望の彩色表面を得ることができて、製品の状態でこの凹凸面が残ることになり、糸絡みを少なくできる。 【0006】 【発明の効果】その結果、単に塗料層と凹凸面とを入れ換えて形成するだけの簡単な変更をするだけで、糸絡みを抑制する面でも、製作工程の簡略化の面でも良好なものを提供できるとともに、下塗り工程によって竿が重くなるといったことも解消できる。」 (エ)「【0007】 【課題を解決するための手段】本第2発明による特徴構成は芯金に複数のプリプレグを巻き付けて竿素材を形成するとともに、前記竿素材の外周面に塗料を塗布して塗料層を形成し、前記塗料層の外周に成形テープを巻き付けた状態で焼成し、その焼成後前記成形テープを除去する点にあり、その作用効果は次の通りである。 【0008】 【作用】第1発明の作用○1○2と同様の作用に加えて、塗料層の上から成形テープを巻いて焼成するので、塗料層に焼き締め力が加わり、塗装膜の剥離に対する強度を向上できる。 【0009】 【発明の効果】その結果、単に塗料層と凹凸面とを入れ換えて形成するだけの簡単な変更をするだけで、糸絡みを抑制する面でも、製作工程の簡略化の面でも良好なものを提供できるとともに、下塗り工程によって竿が重くなるといったことも解消でき、併せて、塗装膜に焼き付け塗装的効果をもたらすことができ、長期に亘って安定した塗装効果を維持できる。」 (オ)「【0010】 【実施例】図1(イ)に示すように、マンドレル1を使用して竿を形成する方法について、順を追って説明する。 ○1 図1(ロ)に示すように、周方向に炭素系の強化繊維を引き揃えたプリプレグを第1層2としてマンドレル1に巻き付ける。 ○2 図1(ハ)に示すように、軸芯方向に炭素系の強化繊維を引き揃えたプリプレグを第2層3として巻き付ける。 ○3 図1(ニ)に示すように、周方向に炭素系の強化繊維を引き揃えたプリプレグを第3層4として巻き付け、竿素材5を形成する。上記した各層をマンドレル1に巻き付けるには、プリプレグを定盤上にセットしておき、プリプレグ上にマンドレル1を載せ付けて、マンドレル1をプリプレグとともにその軸芯周りで回転させて巻き付け成形する。 ○4 図1(ホ)に示すように、竿素材5の表面に吹きつけによってウレタン塗装を行い、塗料層6を形成する。この塗料層6においては、内側に着色塗料層6A外側にクリアー塗料層6Bを夫々施す。 ○5 図1(ヘ)に示すように、塗料層6の外周面にスパイラル状にポリエステル等の成形テープ7を巻回き焼成する。 ○6 焼成後、図1(チ)に示すように、成形テープ7を剥離させ竿素材5を所定長さに裁断して、竿とする。 このように形成された竿の表面におけるクリアー塗料層6Bに、図1(ト)に示すように、成形テープ7の折り重なり部分に相当する凹部がスパイラル状に形成されて凹凸面を形成し、糸絡みを抑制する機能を発揮する。以上のような製造方法によって成形される竿に使用される樹脂は、フェノール等の熱硬化性樹脂であり、この樹脂を炭素繊維等の強化繊維に対してプリプレグ全体重量比で23~35%程含浸させてプリプレグを形成してある。このプリプレグは一般に使用されているプリプレグ(38%~45%)に比べて低樹脂であるところから、焼成時の樹脂からのガス発生はすくなく、焼成時にピンホール等の発生は少ないと考えられ、塗装を施して更にその上から成形テープ7を巻回しても、影響は高樹脂プリプレグに比べておさえられる。」 (カ)「【0011】〔別実施例〕 ○1 プリプレグとしては、他の熱硬化性樹脂を使用可能であり、事情が許せば熱可塑性樹脂も使用可能であり、かつ、強化繊維としては炭素繊維以外のガラス繊維及びボロン繊維等が使用可能である。 ○2 プリプレグを複数層に巻いているが、一層であってもよく、かつ、強化繊維の方向も前記したものに限られず、少なくとも第1層2だけが周方向に設定してあれば、第2層3、第3層4については周方向又は軸芯方向のいずれの方向であってもよい。 ○3 プリプレグとしては、強化繊維を一方向に揃えたものだけでなく、直交状態に配したものでもよい。 ○4 着色塗料層6Aを形成するには、樹脂基材に染料又は顔料を混入させたものを使用するが、次のような特殊なものを使用してもよい。つまり、透明性の高い樹脂基材に、一方向に配向させた顔料を混入させて、この顔料からの反射光と可視光線との干渉を利用して、発色させるものを利用してもよい。この顔料は、天然マイカの表面を酸化チタン或いは酸化鉄等の高屈折率金属酸化物で被覆したものである。」 (キ)上記(ア)ないし(カ)からみて、引用文献2には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認める。 「炭素系の強化繊維に熱硬化性樹脂を含侵させたプリプレグをマンドレル1に巻き付け、竿素材5を形成し、 竿素材5の表面に吹き付けによってウレタン塗装を行い、内側に着色塗料層6A外側にクリアー塗料層6Bが夫々施された塗料層6を形成し、塗料層6の外周面にスパイラル状にポリエステル等の成形テープ7を巻回き焼成し、 焼成後、成形テープ7を剥離させ竿素材5を所定長さに裁断して、竿とし、 このように形成された竿の表面にクリアー塗料層6Bに、成形テープ7の折り重なり部分に相当する凹部がスパイラル状に形成されて凹凸面を形成する、 竿の製造方法。」 ウ 引用文献3 原査定に周知例として引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開2005-52093号公報(以下「周知例1」という。)には、次の記載がある。 「【0039】 次に、図5が示すように、第1番節13の中空部29は、材料シート(シート状部材)38が芯金39に巻回されることによって成形製造される(第2工程)。この材料シートは、上記中空部29を構成する繊維強化樹脂である。そして、同図(a)が示すように、材料シート38が予め設計された形状に裁断される(ステップ4)。さらに、同図(b)が示すように、この材料シート38が芯金39(いわゆるマンドレル)に巻回され、芯金39の外形形状に対応する形状に成形される(ステップ5)。すなわち、中空部29が成形される。芯金39は、所定のテーパが形成されており、そのために、材料シートは、当該テーパが形成された円筒状に成形される。 【0040】 芯金39に巻回された材料シート38は、同図(c)が示すように、芯金39と共に加熱炉36に収容され、加熱炉36に備えられたヒータ37によって加熱される(ステップ6)。本実施形態では、中空部29は、前述のマトリクス樹脂(エポキシ樹脂)を含むので、加熱温度は、40℃~160℃で、加熱時間は、1時間~3時間に設定される。なお、加熱炉36による加熱温度及び加熱時間は、中空部29を構成する材料(マトリクス樹脂の種類)によって適切に調整されるものである。この加熱処理の後、芯金29が引き抜かれ(ステップ7)、円筒状の中空部29が製造される。」 エ 引用文献4 原査定に周知例として引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である、特開平9-85844号公報(以下「周知例2」という。)には、次の記載がある。 (ア)「【0070】本発明の繊維強化プラスチック製管状体は、強化繊維に未硬化のマトリックス樹脂を含浸させたプリプレグシートを用い、パターンに裁断し、積層後、積層物に圧力を付与しながら樹脂を加熱硬化させる方法により製造できる。」 (イ)「【0118】(2)釣竿の作製 上記のプリプレグを所定の寸法にカットし、その繊維方向がマンドレル軸方向に対して90゜になるように1層巻き付け、次に同プリプレグをその繊維方向がマンドレル軸方向と同じ(円筒軸方向に対して0゜の角度)になるように1層巻き付け、次に同プリプレグを90゜になるように1層巻き付け、次に同プリプレグをその繊維方向がマンドレル軸方向と同じになるように1層巻き付けた。次に耐熱性フィルム・テープ(ラッピングテープ)を巻き付け、135℃で2時間加熱して成形した。マンドレルを抜き取り、表面を研削することにより釣竿を得た。 (3)対比 補正発明と引用発明1とを対比する。 ア 引用発明1の「プリプレグ1」、「芯金2」、「緊縛テープ5」、「任意形状の図形、文字、記号などの光沢のある金属片3」、「カラークリア6」、「釣竿の竿管の製造法」は、それらの構成及び機能からみて、それぞれ、補正発明の「プリプレグ」、「マンドレル」、「成形テープ」、「銘板」、「塗装」、「釣竿用ブランクの製造方法」に相当する。 イ 引用発明1の「プリプレグ1」は、通常、マンドレルに巻回される際に、所定形状に裁断されたものが用いられる(引用文献3または引用文献4参照。)から、引用発明1の「高強度繊維からなる織布またはシートに未硬化状態の熱硬化性樹脂を含侵して形成したプリプレグ1を芯金2に捲着」することは、補正発明の「所定形状に裁断されたプリプレグがマンドレルに巻回されるファースト工程」に相当する。 ウ 引用発明1の「プリプレグ1の外周面にセロファンテープなどの緊縛テープ5を一部重合状態に捲着した後、常法により加圧加熱して硬化処理する」ことは、補正発明の「成形テープによる上記プリプレグの締付け及び熱処理を含む中間工程」に相当する。 エ 引用発明1の「緊縛テープ5を剥離」することは、補正発明の「上記成形テープが取り外されるファイナル工程」に相当する。 オ 引用発明1の「プリプレグ1を芯金2に捲着し、その表面に」「任意形状の図形、文字、記号などの光沢のある金属片3を貼着する」ことは、補正発明の「上記ファースト工程の後、上記プリプレグの表面に銘板が付される銘板工程」に相当する。 カ 引用発明1の「金属片3を貼着したプリプレグ1の外周面にセロファンテープなどの緊縛テープ5を一部重合状態に捲着した」ことは、補正発明の「銘板が付されたプリプレグに上記成形テープが巻き付けられる締付工程」に相当する。 キ 引用発明1の「プリプレグ1の外周面にセロファンテープなどの緊縛テープ5を一部重合状態に捲着した後、常法により加圧加熱して硬化処理する」ことと、補正発明の「80°C~140°Cで90分~150分間上記プリプレグが加熱される熱処理工程」とは、「上記プリプレグが加熱される熱処理工程」で共通している。 ク 上記アないしキからみて、補正発明と引用発明1とは、以下の点で一致している。 〔一致点〕 所定形状に裁断されたプリプレグがマンドレルに巻回されるファースト工程と、成形テープによる上記プリプレグの締付け及び熱処理を含む中間工程と、上記成形テープが取り外されるファイナル工程とを有する釣竿用ブランクの製造方法であって、 上記中間工程は、 上記ファースト工程の後、上記プリプレグの表面に銘板が付される銘板工程と、 上記銘板が付されたプリプレグに上記成形テープが巻き付けられる締付工程と、 上記プリプレグが加熱される熱処理工程と、を含み、 釣竿用ブランクの製造方法。 また、補正発明と引用発明1とは、次の2点で相違している。 〔相違点1〕 中間工程において、補正発明は、銘板工程の前に、上記プリプレグに塗装が施される塗装工程を含むのに対し、引用発明1は、塗装工程を含んでいない点。 〔相違点2〕 プリプレグが加熱される熱処理工程において、補正発明は、80°C~140°Cで90分~150分間加熱されるのに対し、引用発明1は、加熱温度及び時間が特定されていない点。 (4)判断 上記相違点1及び相違点2について検討する。 ア 相違点1 引用発明1は、「緊縛テープ5を剥離し、芯金2を引き抜」いた後に、「カラークリア6を塗布」するものである。 また、引用文献2の【従来技術】(上記(2)イ(ア))に記載されているように、成形テープを剥がした後の竿素材に、塗装を施すことは、一般的に行われているものと認められる。 そこで、引用文献2に接した当業者であれば、成形テープを剥がした後の竿素材の外周面に、塗装を施すことによる課題を解決するために、引用発明1に引用発明2を適用しようとすることは、当業者であれば容易に思い付くことであって、引用発明2の「竿素材5の表面に」「塗料層6を形成し、塗料層6の外周面にスパイラル状にポリエステル等の成形テープ7を巻回き焼成」する工程を引用発明1に適用する際に、引用発明1は、緊縛テープ5を捲着する前に金属片3を貼着しているので、その金属片3を貼着する前か後に塗料層6を形成するように適用するしかなく、その前と後のどちらとするかは、当業者が適宜選択し得る事項に過ぎないことである。 したがって、引用発明1に引用発明2を適用することにより、上記相違点1に係る補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。 イ 相違点2 プリプレグを加熱する熱処理工程において、その加熱温度及び時間は、当業者が適宜設計し得る事項であるところ、引用文献3に、「加熱温度は、40℃~160℃の範囲で適宜設定され、加熱時間は、1時間~3時間の範囲で適宜選択される。」と記載され、引用文献4に「135℃で2時間加熱して成形した。」と記載されているように、補正発明の加熱温度及び加熱時間程度のものは、本願出願前に通常行われるものであって、特に引用文献4に記載の135℃、2時間は、補正発明の80℃~140℃、90分~150分の範囲に含まれている。したがって、引用発明1の「常法により加圧加熱して硬化処理する」工程において、上記通常行われている加熱温度及び時間を適宜採用し、80℃~140℃及び90分~150分とすることは、当業者が適宜なし得た程度のことに過ぎない。 ウ 請求人の主張について (ア)プリプレグに塗装が施される工程の実行時期について、請求人は審判請求書において以下のとおり主張している。 「本願発明では、銘板工程が塗装工程の後であって締付工程及び熱処理工程の前に実行されるため、銘板工程の実行中に、先に実行された塗装工程においてプリプレグに施された塗装を乾かすことができます。つまり、銘板工程と塗装の乾燥とを並行して実行することができます。その結果、ブランクの製造にかかる時間を短縮することができます。 一方、引用文献2に記載の発明では、引用文献2の[0010]の[実施例]の手順6に記載されているように、『形成された竿の表面におけるクリアー塗料層6Bに、図1(ト)に示すように、成形テープ7の折り重なり部分に相当する凹部がスパイラル状に形成されて凹凸面を形成し、糸絡みを抑制する機能を発揮する。』との効果を奏します。 前述したような凹凸面は、塗装が施された後、速やかに成形テープが巻き付けられることによって鮮明に生じさせることができます。つまり、施された塗装が乾燥しないうちに成形テープが巻き付けられることによって、凹凸面を鮮明に生じさせることができます。 そうすると、引用文献2に記載の発明を、引用文献1に記載の発明に適用する際に、プリプレグに塗装が施される工程は、銘板工程に対応する工程より後に実行され、その後速やかに締付工程が実行される方法とされるのが、当業者の自然な発想であります。なぜなら、仮に、プリプレグに塗装が施される工程が、銘板工程に対応する工程より前に実行された場合、プリプレグに塗装が施される工程の後、締付工程が実行されるまでの間に、銘板工程が実行される分の時間が経過してしまい、この時間の経過中に施された塗装が乾燥してしまうため、凹凸面を鮮明に生じさせることができなくなるからです。」 (イ)上記(ア)の請求人の主張について検討する。 引用文献2には、塗料層の材料は特定されていないから、必ずしも、速乾性の塗料を用いているとは限られず、そして、銘板を貼着する作業の作業時間が、該作業の前後で、塗料層の柔らかさに顕著な違いをもたらすものとは認められない。 また、引用文献2では、凹凸面を鮮明に生じさせることが課題として認識されているものではなく、同じく、塗装が施された後、速やかに成形テープが巻き付けられる必要があるとも記載されておらず、塗料層が多少乾燥した状態で成形テープを巻き付けたとしても、鮮明な凹凸でなければ、凹凸面は形成されるものと認められる。 さらに、引用発明2は、成形テープを巻き付けた後に焼成するものであるから、該焼成によっても、該焼成前よりも、成形テープの折り重なり部分による凹部がより鮮明となることも想定される。 よって、塗料層を施す順序を、銘板の前とするか後とするかによって、その作用効果に顕著な差異は認められないから、請求人の主張は採用できない。 なお付言すると、引用発明1は、「任意形状の図形、文字、記号などの光沢のある金属片3を貼着し」たものであるから、塗料層を形成しても、該光沢が認識可能とするのであれば、金属片3を貼着する前に、塗料層を施すべきであることは、当業者に自明である。 エ 小括 したがって、補正発明は、当業者が引用発明1、引用発明2及び周知技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 3 本件補正についてのむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成30年12月7日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成30年4月24日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2[理由]1において、本件補正前の請求項1として示したとおりのものである。 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、 「1.(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の請求項1~3に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1、2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1:特開昭63-182137号公報 引用文献2:特開平6-46720号公報」というものである。 3 引用文献 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1の記載事項、周知例1、2に記載事項は、上記第2の[理由]2(2)ア、ウ及びエに記載したとおりである。 4 対比 本願発明と引用発明1を対比すると、上記第2[理由]2(3)アないしキに記載した相当関係(「補正発明」は「本願発明」と読み替える。)を有しているから、両者は、 「所定形状に裁断されたプリプレグがマンドレルに巻回されるファースト工程と、成形テープによる上記プリプレグの締付け及び熱処理を含む中間工程と、上記成形テープが取り外されるファイナル工程とを有する釣竿用ブランクの製造方法であって、 上記中間工程は、 上記ファースト工程の後、上記プリプレグの表面に銘板が付される銘板工程と、 上記銘板が付されたプリプレグに上記成形テープが巻き付けられる締付工程と、 上記プリプレグが加熱される熱処理工程と、を含む釣竿用ブランクの製造方法。」で一致するものの、以下の点で相違している。 〔相違点A〕 プリプレグが加熱される熱処理工程において、本願発明は、80°C~140°Cで90分~150分間加熱されるのに対し、引用発明1は、加熱温度及び時間が特定されていない点。 5 判断 上記相違点Aについて検討すると、相違点Aは、上記第2[理由]2(3)クに記載した相違点2と同じものであるから、その理由についても、上記第2[理由]2(4)イで説示した理由と同じ理由により、引用発明1及び周知技術により当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、引用文献1に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2018-016359

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